Dexter Wansel – Life On Mars (1976)
Dexter Wansel「Life On Mars」について
Dexter Wanselの「Life On Mars」は、1976年にリリースされたソロ作品で、フィラデルフィア出身のキーボード奏者、作曲家、アレンジャー、プロデューサーとしての持ち味がよく出た1枚である。ジャズ、ファンク、ソウル、R&Bを横断する音作りで知られるWanselらしく、ここでも鍵盤を軸にした演奏と、当時のフィリー・ソウル周辺の洗練された空気がまとまっている。
サウンドの印象
収録曲は、ジャズ・ファンクやフュージョン、ディスコの要素を含みつつ、リズムの輪郭がはっきりした作りが印象的である。ベースとドラムが前に出る場面でも、上もののシンセやコードワークが細かく動き、音の層が厚い。録音全体も、70年代のソウル作品らしい整った質感で、派手さよりも編曲の流れが聴きどころになっている。
Dexter Wanselにおける位置づけ
Wanselは、Philadelphia International Recordsのサウンド形成に深く関わった人物としても知られている。「Life On Mars」は、その活動と並行して展開されたソロ作のひとつで、作曲家・アレンジャーとしての手腕が前面に出た作品といえる。のちの「Voyager」や「Time Is Slipping Away」と並べて語られることも多く、70年代モダン・ソウルの流れの中で見ても重要なタイトルである。
同時代とのつながり
この時期のフィラデルフィア周辺では、洗練されたストリングス・アレンジや滑らかなグルーヴを持つソウル作品が多く生まれていた。Dexter Wanselの音楽もその文脈にありつつ、シンセサイザーの使い方やジャズ寄りのコード感によって、より機械的な質感と都会的な空気を加えている。ジャズ・ファンク、フュージョン、ソウルの境目を行き来する感触で、同時代のプロデュース作品とも自然に接続する内容である。
作品まわりのエピソード
この作品のLPジャケットには、Rudolph de Harakによる“The Light Tunnel”が背景として使われている。もともと1971年に制作されたこの光のトンネルは、ニューヨークの127 John Streetにあったもので、後に解体された。写真映えする場所として知られ、ミュージシャンのプロモーション写真にも使われたという記録が残っている。視覚面でも、作品の時代感を伝える要素になっている。
2013年盤について
ここで扱うのは2013年にリリースされた盤で、オリジナルの1976年作としての「Life On Mars」である。70年代の空気をそのまま伝えるタイトルとして、Dexter Wanselの代表作のひとつに数えられている。
トラックリスト
- A1 A Prophet Named K.G. (4:20)
- A2 Life On Mars (5:50)
- A3 Together Once Again (4:23)
- A4 Stargazer (3:20)
- B1 One Million Miles From The Ground (5:00)
- B2 You Can Be What You Wanna Be (5:04)
- B3 Theme From The Planets (4:53)
- B4 Rings Of Saturn (3:43)