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Turning Point – Creatures Of The Night (1977)

元ニュークリアス(Nucleus)やアイソトープ(Isotope)などで英国ジャズ・ロック界を牽引したベーシストのジェフ・クライン(Jeff Clyne)と、キーボーディストのブライアン・ミラー(Brian Miller)を中心に結成されたターニング・ポイント(Turning Point)のファースト・アルバム。1977年に英ガル・レコード(Gull Records)からリリースされた。ギタリストを排したクインテット編成を採り、透明感のあるエレクトリック・ピアノとスキャットを軸にした冷涼なアンサンブルを展開している。

アイソトープ脱退と「ギターレス」編成の意図

ターニング・ポイントの母体となったのは、ギタリストのゲイリー・ボイル率いるアイソトープだ。1974年に同バンドの第1期ラインナップが解体した際、方向性の違いから脱退を選んだジェフ・クラインとブライアン・ミラーが、1975年に新たな表現の場として立ち上げたのが本グループである。

ハードなギター・リフと速弾きが前面に出ていたアイソトープへの反措定のように、ターニング・ポイントではあえて専任ギタリストを置かない編成が選択された。メロディの主軸を担うのは、ジェフ・クラインのパートナーでもある女性ヴォーカリストのペピ・レマー(Pepi Lemer)と、ソプラノおよびテナー・サックスを操るデイヴ・ティッドボール(Dave Tidball)の2人である。ペピ・レマーは具体的な歌詞を歌わず、スキャットやハミングによって楽器と対等に単旋律を紡ぐ「ワードレス・ヴォイス」の手法を全面的に採用。初期リターン・トゥ・フォーエヴァーのフローラ・プリムや、英国カンタベリー周辺のノーマ・ウィンストンらの系譜に通じる浮遊感をもたらしている。

モーガン・スタジオでの録音と制作陣

レコーディングはロンドンのモーガン・スタジオ(Morgan Studios)で行われた。エンジニアはリンゼイ・キッド(Lindsay Kidd)が務め、リミックスには同スタジオのハウス・エンジニアとしてアイソトープやプログレッシブ・ロック諸作を手掛けた名手マーティン・レヴァン(Martin Levan)が参加。バンド自身によるセルフ・プロデュースで制作が進められた。

サウンドの骨格を形作るのは、ブライアン・ミラーが奏でるフェンダー・ローズ、アコースティック・ピアノ、シンセサイザーのレイヤーだ。そこにポール・ロビンソン(ドラムス、パーカッション)による軽快なリズムと、クラインのメロディックなベース・ラインが絡み合う。また、アート・ディレクションにはローリング・ストーンズの「ベロ・マーク」の生みの親として知られるジョン・パッシェ(John Pasche)とデヴィッド・ハウエルズが関与し、マイク・プリドル(Michael Priddle)の描いた寓意的なジャケット・イラストレーションとともに独特の陰影を与えている。

楽曲の多面性とカンタベリー・シーンとの交差

アルバムには各メンバーの個性を反映した多彩なトラックが収められている。デイヴ・ティッドボールが作曲した「Vanishing Dream」では、ソプラノ・サックスの切ないトーンとローズの和声感が際立つバラードが描かれる一方、ブライアン・ミラーの手によるタイトル曲「Creatures Of The Night」では、サンバ調のビートに乗せてサックスとヴォイスの流麗なユニゾンが繰り広げられる。

B面冒頭を飾る8分超の大作「Princess Aura」では、複雑な変拍子と繊細なアンサンブルが交錯し、当時のブリティッシュ・プログレッシブ・ロックやカンタベリー派と地続きの構築美が示されている。実際、バンドは1977年にカンタベリー・シーンの代表格であるナショナル・ヘルス(National Health)の英国内ツアーのサポート・アクトを務めるなど、当時のジャズ・ロック地下シーンと深い交流を持っていた。

バンドの足跡と後年の展開

ターニング・ポイントは翌1978年にセカンド・アルバム『Silent Promise』を発表。その後、1980年の解散前ラスト・ツアーにおいては、ギタリストのアラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)をはじめ、ニール・アードレイ(Neil Ardley)や若きゲイリー・ハズバンド(Gary Husband)らが合流して演奏を行うなど、英国ジャズ・ロックの重要人物たちが交差するハブのような役割も果たした。

アメリカ産フュージョンの爽快感とは趣を異にし、どこか英国的な憂いと室内楽的な緻密さをたたえた本作は、1970年代後半の英国ジャズ・ロック/フュージョンにおける個性的な達成例のひとつといえるだろう。

トラックリスト

  • A1 - My Lady C (5:22)
  • A2 - The Journey (5:50)
  • A3 - Vanishing Dream (4:25)
  • A4 - Creatures Of The Night (5:59)
  • B1 - Princess Aura (8:15)
  • B2 - Rain Dance (7:25)
  • B3 - Better Days (7:20)
2026.11.04
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