Alan Stivell – Trema’n Inis = Vers L’ile (1976)
Alan Stivell「Trema’n Inis = Vers L’ile」(1976)
フランス出身のマルチ・インストゥルメンタリスト、Alan Stivellによる1976年の作品。ケルト・ハープの普及で知られる彼らしい視点が、フォーク、ポップ、ロック、ワールド・ミュージックの要素をまたいでまとまった一枚になっている。
作品の輪郭
アコースティックな質感を軸に、民謡由来の旋律感と現代的なバンド・サウンドが並ぶ内容。リズムは派手すぎず、弦の響きや楽器同士の重なりを前に出した作りで、曲ごとにフォーク寄りの親密さと、ロック寄りの推進力が行き来する印象。
タイトルの「Trema’n Inis = Vers L’ile」は、島へ向かうイメージをそのまま示すような言葉づかいで、作品全体にも旅や土地の気配がにじむ。英語圏のフォーク・ロックや、同時代のケルト系リバイバルとも並べて語られやすいタイプの音楽だが、ここではハープを中心にした独自の手触りがはっきりしている。
Alan Stivellという位置づけ
Alan Stivellは、ケルト・ハープを広く知らしめた人物として重要な存在。60年代から活動を重ね、この時期には伝統音楽をそのまま再現するだけでなく、ロックやポップの文法を取り込みながら、自分の音楽として組み直していく段階にある。1976年のこの作品も、その流れの中に置ける一枚。
アーティストとしては、ブレトン音楽やケルト文化を軸にしつつ、より広いリスナーに届く形へと音を開いていく時期の作品として見やすい。ハープの響きが前面に出る場面と、歌やアンサンブルが前に進む場面の切り替えが、作品の骨格になっている。
サウンドの印象
- アコースティック楽器の輪郭がはっきりした音像
- フォーク由来の旋律と、ロック的な流れの併存
- 軽やかさよりも、演奏の積み重ねを感じる構成
- ケルト・ハープの存在感が中心
補足
この作品は、1976年当時のオリジナル作品として捉えるのが自然だろう。ジャンル表記としてはRock、Pop、Folk、World & Countryにまたがり、スタイル面ではAcoustic、Folkの色合いが強い。
Alan Stivellの代表的な文脈を追ううえでも、ケルト音楽がロックやポップと接続していく1970年代の流れをたどるうえでも、ひとつの節目として見えてくる作品。
トラックリスト
- A1 Stok Ouzh An Enez = En Vue De L’Île (4:08)
- A2 Hommes Liges Des Talus En Transe (16:36)
- B1 Rinnenn XX = Arcane XX (3:36)
- B2 An Eur-se Ken Tost D’ar Peurbad = Cette Heure Si Près De L’Éternel (5:13)
- B3 Negro Song (4:14)
- B4 E-tal Ar Groaz = Face À La Croix (5:37)
- B5 Ar Chas Doñv’yelo Da Quez = Les Chiens Redeviendront Sauvages (1:50)