Circus – Live (1978)

スイス・バーゼル出身のシンフォニック/プログレッシブ・ロック・バンド、サーカス(Circus)。彼らが1978年にスイスのインディ・レーベル「ツィトグロッゲ(Zytglogge)」から発表したライブ・アルバムが、この『Live』(通称『All Stars Live』)だ。1978年1月にチューリッヒとベルンで開催された特別公演の記録であり、バンドの枠を越えてスイス国内のポップ、ロック、フォーク勢が合流した「サーカス・オール・スター・バンド(Circus All Star Band)」名義で制作された。

スイス・シーンの連帯とメゾン・ルージュ移動スタジオでの実況録音

1972年に結成されたサーカスは、専任キーボード奏者を置かず、マルコ・チェルレッティ(Marco Cerletti)の12弦ギターやベース・ペダル、ローランド・フライ(Roland Frei)のアコースティック・ギターとサックス、アンドレアス・グリーダー(Andreas Grieder)のフルート、そして後に現代音楽/即興打楽器奏者として世界的に名を馳せるフリッツ・ハウザー(Fritz Hauser)のパーカッションを軸にした緻密な室内楽的プログレで名を馳せていた。

本作が企画された背景には、言語圏やジャンルによって分断されがちだったスイス国内のポップ、ロック、フォークのミュージシャン同士の交流を深めるという明確な意図があった。ロンドンから名門「メゾン・ルージュ(Maison Rouge)」移動スタジオを招聘し、1978年1月26日のチューリッヒ「フォルクスハウス(Volkshaus)」および翌27日のベルン「ホテル・ナショナル」での熱狂的なステージをピーター・J・マクタガート(Peter J. MacTaggart)がマルチ録音。ベルンのシナス・スタジオ(Sinus Studio)でミックスが施された。

ゲスト陣には、スイス・ロック界の重鎮ポロ・ホファー(Polo Hofer / ルンペルシュティルツ)をはじめ、キーボードのシュテファン・アンマン(Stephan Ammann)、ホーン隊のテオドール・ヨーストやアラン・ソロモン、女性シンガーのコリーナ・クルシェラスらが名を連ね、総勢10名を超える大所帯でサーカスのレパートリーが拡張されている。

ブラスとヴィブラフォンが躍動する大曲「アウグスタ・ラウリカ」

A面では、ホーン・セクションとパーカッションが一体となって疾走するファンキーなプログレ・ジャム「Eight Miles On A Highway」で幕を開け、ルーツ・ロック調の「Drivin’ Wheel」、そしてクラシカルな構成美を見せる「Andante Maestoso / Rondo Furioso」へと流れる。

圧巻は、B面全体(約19分)を占める組曲「Augusta Rauricorum」だ。バーゼル近郊にある古代ローマ都市遺跡(アウグスタ・ラウリカ)を題材にしたこの大曲は、チェルレッティの12弦ギターとグリーダーのフルートによる叙情的な序奏から、フリッツ・ハウザーの精緻なドラミングとヴィブラフォンがポリリズムを刻むジャズ・ロック・パートへと雪崩れ込む。ホーン隊によるスリリングなユニゾンと、女性コーラスを交えた変拍子のアンサンブルがダイナミックに交錯し、スタジオ盤の繊細さにライブならではの祝祭的な熱量が加わっている。

スイス・プログレッシブ・ロック史の記念碑

キング・クリムゾンやジェントル・ジャイアントからの影響を咀嚼しながら、卓越したアコースティック演奏力とブラス・アンサンブルを融合させた本作は、スイスのロック・ミュージシャンたちが一堂に会して生み出した類まれな実況録音盤として、ヨーロッパのプログレッシブ・ロック史に深く刻まれている。

トラックリスト

  • A1 - Eight Miles On A Highway (10:30)
  • A2 - Drivin' Wheel (6:00)
  • A3 - Andante Maestoso / Rondo Furioso (5:47)
  • B - Augusta Rauricorum (19:00)
2026.10.23
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