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The Fugs – It Crawled Into My Hand, Honest (1968)

The Fugs / It Crawled Into My Hand, Honest

The FugsのIt Crawled Into My Hand, Honestは、1968年にアメリカで出た5作目のLPで、Reprise Recordsからの2作目のスタジオ盤にあたる作品だ。ここで聴けるのは、60年代後半のニューヨーク・アンダーグラウンドをそのまま抱えたような、風刺、政治性、ユーモア、性的な言葉遊びが前面に出た内容である。サイケデリック・ロックの枠の中でも、かなり言葉の力が強いタイプのアルバムだと言える。

バンドの立ち位置

The Fugsは1964年にニューヨークで結成された。Tuli KupferbergとEd Sandersを中心に始まり、のちにPeter StampfelやSteve Weberらが加わっている。反ベトナム戦争の抗議活動とも近い場所で活動し、当時のロックの中でも、政治的なメッセージをかなり露骨に持ち込んだグループとして知られる。

このアルバムは、そうしたThe Fugsの性格がよく出た時期の作品で、アメリカ本国での活動に加えて、ヨーロッパ側でも存在感を広げるきっかけになった盤として扱われている。作品としては、バンドの土台をはっきり示す位置づけの一枚だ。

内容と聴きどころ

曲の作りは、ロック、フォーク、詩の朗読的な要素、即物的な語りが入り混じる形。演奏そのものは整いすぎず、ラフな手触りが残る。そこに、社会風刺や性的な表現、薬物や政治への言及が重なるので、音の派手さよりも言葉と態度で押してくるアルバムという印象が強い。

代表曲としてよく知られるのは、Dover Beachを下敷きにした楽曲や、詩を元にしたナンバーだ。文学作品をそのままロックの文脈に持ち込むやり方は、当時のアングラ・シーンらしい動きでもある。曲名や歌詞の扱い方にも、The Fugsらしいひねりがある。

同時代の文脈

1968年という年は、サイケデリック・ロックが広く広がりながら、同時に政治的な緊張も強かった時期だ。その中でThe Fugsは、単なる実験性よりも、反体制的な言葉を前に出したグループとして見られている。比較対象としては、同時代のフォーク・ロック勢や、アングラ演劇、詩のシーンとの接点を思わせるところがある。

ただし、The Fugsの場合は洗練よりも、わざと乱したような空気が残る。そのため、同時代の他のサイケデリック・バンドと並べても、かなり言葉中心の作りになっている。

1986年UK盤について

このページの盤は1986年のUK再発盤で、ゲートフォールド仕様。オリジナルの1968年盤を基にした再発で、ジャケットの見せ方が変わっているのがまず分かる。録音はNew York CityのImpact Soundで行われている。

盤面に関しては、内側見開きでB10曲目の哲学者Plotinusの表記が誤っているが、ラベルでは正しく綴られている。こうした細部も、再発盤ならではの確認ポイントになっている。

まとめ

It Crawled Into My Hand, Honestは、The Fugsの反骨、風刺、詩的な参照、粗いバンド感がまとまった1968年作である。ヒット曲を軸にした作品というより、バンドの性格そのものを記録したアルバムとして見ると分かりやすい。60年代後半のアメリカン・アンダーグラウンドを知るうえで、外せない一枚である。

トラックリスト

  • A1 – Crystal Liaison (3:07)
  • A2 – Ramses II Is Dead, My Love (2:45)
  • A3 – Burial Waltz (2:24)
  • A4 – Wide Wide River (2:47)
  • A5 – Life Is Strange (2:32)
  • B1 – Johnny Pissoff Meets The Red Angel (4:32)
  • B2 – Marijuana (1:38)
  • B3 – Leprechaun (0:10)
  • B4 – When The Mode Of The Music Changes (3:51)
  • B5 – Whimpers From The Jello (0:20)
  • B6 – The Divine Toe (Part I) (0:38)
  • B7 – We’re Both Dead Now, Alice (0:16)
  • B8 – Life Is Funny (0:14)
  • B9 – Grope Need (Part I) (0:18)
  • B10 – Tuli, Visited By The Ghost Of Plotinus (0:03)
  • B11 – More Grope Need (Grope Need – Part II) (0:15)
  • B12 – Robinson Crusoe (0:17)
  • B13 – Claude Pelieu And J. J. Lebel Discuss The Early Verlaine Bread Crust Fragments (4:30)
  • B14 – The National Haiku Contest (0:25)
  • B15 – The Divine Toe (Part II) (0:46)
  • B16 – Irene (1:10)

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2026.08.11
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