Deep Purple – Stormbringer (1974)
Deep Purple『Stormbringer』について
『Stormbringer』は、Deep Purpleが1974年に発表した9作目のスタジオ・アルバムだ。メンバー変遷の多いバンドだが、この時期はデヴィッド・カヴァデール(vocals)、グレン・ヒューズ(bass, vocals)、リッチー・ブラックモア(guitar)、ジョン・ロード(keyboards)、イアン・ペイス(drums)という編成。いわゆる「Mark III」の時代にあたる作品で、前作『Burn』に続く流れの中にある。
日本盤は1976年にワーナー・パイオニアからリリースされた盤で、インサートと帯付きの仕様。オリジナルの1974年盤とは発売時期が異なるため、国内流通盤としての位置づけで見るのが自然だ。
作品の位置づけ
Deep Purpleは、Led ZeppelinやBlack Sabbathと並んでハードロック/ヘヴィメタルの初期を支えたバンドとして語られることが多い。その中で『Stormbringer』は、従来の重厚なギター・リフ主体の曲作りに加えて、ファンクやソウルの要素がより前面に出た時期の作品として知られている。
バンドのキャリア全体で見ると、Mark II期の代表的な攻撃性とは少し違う方向を示したアルバムだ。とはいえ、演奏の密度や各パートの分離ははっきりしていて、Deep Purpleらしいバンド・アンサンブルは保たれている。
収録曲と代表曲
タイトル曲「Stormbringer」は、このアルバムを代表する1曲。ジョン・ロードのキーボードとブラックモアのギターが前に出る構成で、ハードロックの枠組みの中に別のリズム感が入っている。
シングルとしては「Stormbringer」「You Can’t Do It Right (With the One You Love)」「Lady Double Dealer」が出ている。特に「Stormbringer」は、後年のライブでも存在感を持つ曲として扱われてきた。
アルバム全体では、
- 「Stormbringer」
- 「You Can’t Do It Right (With the One You Love)」
- 「Soldier of Fortune」
あたりがよく知られている。中でも「Soldier of Fortune」は、派手な演奏よりも曲そのものの構成が印象に残るタイプで、アルバム後半の流れを作っている。
同時代の文脈
1974年前後のハードロックは、より重く、より大きな音へ向かう流れの中にあった。Deep Purpleもその中心にいたが、『Stormbringer』では単純に音を重ねるのではなく、リズムやグルーヴの置き方に変化が見える。Led ZeppelinやBlack Sabbathが別の方向へ音を拡張していた時期と重なるが、Deep Purpleはその中でキーボードとツインの表情を活かしながら、バンドとしての別の顔を出している。
聴きどころ
実際に聴くと、まず耳に入るのはリズム隊の押し出しだ。イアン・ペイスのドラムは硬く、グレン・ヒューズのベースと歌が前景に出る場面も多い。そこへジョン・ロードの鍵盤が差し込まれ、リッチー・ブラックモアのギターが曲の輪郭を決める、という流れがはっきりしている。
『Stormbringer』は、Deep Purpleの中でも編成の個性がそのまま音に出ているアルバムだ。ハードロックの骨格を保ちながら、ソウルフルな歌唱やファンク寄りのノリが混ざる時期の記録として、バンドの変化を追ううえで重要な1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Stormbringer (4:03)
- A2 – Love Don’t Mean A Thing (4:23)
- A3 – Holy Man (4:28)
- A4 – Hold On (5:05)
- B1 – Lady Double Dealer (3:19)
- B2 – You Can’t Do It Right (With The One You Love) (3:24)
- B3 – High Ball Shooter (4:26)
- B4 – The Gypsy (4:13)
- B5 – Soldier Of Fortune (3:14)