Gryphon – Raindance (1975)
Gryphon『Raindance』(1975)について
Gryphonは、UKのプログレッシブ・ロック・バンドだ。初期は中世音楽や英国フォークの要素を強く持つアコースティック寄りの編成で始まり、その後はエレクトリック・ギターやキーボードも取り入れながら、よりロック色の強いサウンドへ移行していった。この『Raindance』は1975年の作品で、バンドが活動を重ねる中期の一枚に当たる。
1973年のデビュー作以降、Gryphonは楽器編成の幅を広げてきたが、この時期にはすでに独自の色合いがはっきりしている。一般的なロック編成の中に、木管系や古楽由来の響きを織り込む作風で、同時代の英国プログレの中でもかなり特徴的な立ち位置にある。
作品の位置づけ
バンドのプロフィールを踏まえると、『Raindance』は、初期の中世・ルネサンス志向から、よりロック寄りの表現へと進んでいく流れの中にある作品と見てよさそうだ。Gryphonは『Midnight Mushrumps』や『Red Queen to Gryphon Three』が代表作として語られることが多いが、本作もその前後の時期にあたる重要な記録になっている。
1974年にPhilip Nestorが加入し、その後1975年にメンバー交代があった時期でもあるので、バンドの編成面でも動きのあるタイミングだった。そうした背景を知って聴くと、Gryphonが単なる「中世風の珍しいバンド」ではなく、編成と楽曲構成を少しずつ更新しながら活動していたことが見えやすい。
録音について
収録曲は、ほとんどが1975年6月から7月にかけてコーンウォールのSawmills Studiosで録音されている。例外として「Wallbanger」は1974年10月、ロンドンのBrian Goodman’s P.L.S. StudiosでManor Mobileを使って録音されたと記されている。こうした記録からも、アルバム全体が一気に作られたというより、いくつかのセッションを経てまとめられていることがわかる。
また、背面ジャケットはEnglandでRoborが印刷・製作したとされている。UK盤らしい制作クレジットが残る一枚だ。
サウンドの印象
Gryphonの音楽は、初期にはロックというより英国のフォークや古い宮廷音楽に近い響きで語られることが多い。本作もその延長線上にあると考えられるが、1975年という時期のため、完全なアコースティック一辺倒ではなく、プログレッシブ・ロックとしての展開も意識された内容だったはずだ。
実際の聴感としては、同時代の大編成プログレに比べて、派手な技巧の見せ場よりも、楽器の音色や旋律の作り方に耳が行きやすいタイプの作品として受け取られやすい。YesやGenesisのような大きなシンフォニック志向とは別の方向で、英国的なフォーク感覚や古楽由来の響きをロックの中に置いている点が、Gryphonらしさだと言えそうだ。
同時代の文脈
1975年の英国プログレは、すでに初期の実験性を経て、より洗練された作編成や楽曲構成へ向かっていた時期だ。その中でGryphonは、一般的なギター・オルガン主体のプログレとは少し違い、木管楽器や古風な旋律感を前面に出す独自路線を保っていた。比較対象としては、英国フォークの流れをロックに持ち込んだバンドや、ルネサンス音楽の要素を取り入れたグループが思い浮かぶが、Gryphonはその中でもかなり明確に「英国の古い音」をロックに接続している。
まとめ
『Raindance』は、Gryphonの中期を示す1975年のUK盤で、バンドの初期から続くフォーク/古楽志向と、プログレッシブ・ロックとしての構成感が同居する作品だ。代表作としてまず挙がる盤ではないかもしれないが、Gryphonというバンドの個性がどの方向へ伸びていったのかを見るうえでは、十分に重要な一枚として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – Down The Dog (2:44)
- A2 – Raindance (5:37)
- A3 – Mother Nature’s Son (3:08)
- A4 – “Le Cabrioleur Est Dans Le Mouchoir” (2:14)
- A5 – Ormolu (1:00)
- A6 – Fontinental Version (5:36)
- B1 – Wallbanger (3:33)
- B2 – Don’t Say Go (1:48)
- B3 – (Ein Klein) Heldenleben (16:03)