Ian Gillan Band – Child In Time (1976)
Ian Gillan Band『Child In Time』について
『Child In Time』は、Ian Gillan Bandが1976年に発表した作品。Ian Gillanといえば、Deep Purpleのヴォーカリストとして知られる人物だが、このバンドはその活動の流れから生まれた別プロジェクトという位置づけになる。1975年末に結成され、翌1976年にアルバムを形にした流れで、この作品はその初期を示す一枚になっている。
タイトルはDeep Purple時代の代表曲「Child in Time」と同じだが、こちらはIan Gillan Bandとしての作品名。バンド名に本人の名前を冠していることからも、Gillan自身のソロ志向と、当時の新しい音楽的方向をはっきり示している盤といえる。
作品の位置づけ
Ian Gillan Bandは、Deep Purpleの延長線上にあるハードロックだけでなく、より自由度のある演奏や構成を取り入れていたグループとして見られることが多い。ここでも、ハードロックを軸にしつつ、クラシック・ロックやプログレッシブ・ロックの要素が同居している。Gillanの声を中心に置きながら、各楽器の動きにも目を向けた作りが特徴になっている。
メンバーはIan Gillan、Ray Fenwick、John Gustafson、Mark Nauseefに加え、キーボードにMike Moran、その後Mickey Lee Soule、さらにColin Townsへと変化していく流れがある。この編成の変化も、バンドの音に少なからず影響しているように見える。
サウンドと聴きどころ
この時期のIan Gillan Bandは、Deep Purpleのような一直線のハードロックとは少し違い、曲ごとに展開を持たせる場面が目立つ。Ray Fenwickのギター、John Gustafsonのベース、Mark Nauseefのドラム、キーボード陣の厚みが、Gillanのヴォーカルを支える形。演奏はロックの骨格を保ちながら、やや組曲的に感じられる部分もある。
実際に聴くと、Ian Gillanの歌い方が、叫ぶだけではなく、フレーズの置き方や語りかけるような運びに意識が向いていることが分かる。Deep Purpleの代表曲で聴けるような強烈な高音の印象だけでなく、バンド全体のアンサンブルの中でどう音を動かすかという感覚が前に出ている印象。
同時代との関係
1976年という時期は、ハードロックが大きな存在感を保ちつつ、プログレッシブ・ロックの手法もまだ広く共有されていた時代。Ian Gillan Bandのこの作品も、その両方の文脈で語られやすい。Deep Purpleのようなハードロック勢を思い浮かべつつ、より構成を重視するバンド群とも比較されることがある。
そのため、単純に「重い」「速い」といった方向だけでは収まらず、演奏の間や展開の作り方に耳が向く作品になっている。ロックの中でも、70年代中盤らしい作り込みのある一枚という見方がしやすい。
日本盤の仕様
- 見開きジャケット仕様
- 英語と日本語の歌詞インサート付き
- U字型のポリライン内袋入り
日本盤としては、歌詞カードが英語と日本語の両方で付く点が実用的。見開きジャケットも含めて、当時のLPらしいパッケージ感がある。音源そのものは1976年の作品として扱われる一枚。
まとめ
『Child In Time』は、Ian GillanがDeep Purple後の活動で示した、バンド形式の新しい方向を確認できる作品。ハードロックを土台にしながら、演奏の組み立てやキーボードの使い方に70年代中盤らしい広がりがある。Ian Gillanという歌手の個性と、バンドとしてのまとまり、その両方が見える内容。
トラックリスト
- A1 – Lay Me Down (2:56)
- A2 – You Make Me Feel So Good (3:41)
- A3 – Shame (2:47)
- A4 – My Baby Loves Me (3:34)
- A5 – Down The Road (3:20)
- B1 – Child In Time (7:22)
- B2 – Let It Slide (11:37)