Klaatu – Sir Army Suit (1978)
Klaatu『Sir Army Suit』について
『Sir Army Suit』は、カナダのプログレッシブ・ロック・グループ、Klaatuが1978年に発表した作品だ。前年までにCapitol Recordsとの契約下で活動していた彼らが、Daffodil Recordsから送り出したアルバムで、バンド名義の作曲、演奏、制作のまとまりがはっきりした一枚でもある。
Klaatuは、John WoloschukとDee Longを中心に1973年に結成されたグループで、後にTerry Draperが加わっている。ビートルズ連想で語られることの多いバンドだが、実際にはカナダのロック・シーンの中で、緻密なアレンジとメロディ志向を持った存在として見られてきた。『Sir Army Suit』も、その路線がそのまま出た作品という印象がある。
作品の位置づけ
この時期のKlaatuは、ラジオでの認知を獲得しにくい状況の中で、アルバム単位の完成度を積み上げていた。『Sir Army Suit』は、そうした流れの中で出た1978年作として、バンドの持つポップ感覚と構成力を確認できる一枚だ。派手な主張よりも、曲ごとの作り込みと流れのよさが前に出るタイプの作品である。
同時代のカナダ産ロックの中では、Rushのような技巧性の強いバンドや、FMラジオ向けのメロディを持つグループと並べて語られることがある。とはいえKlaatuは、演奏の鋭さを前面に押し出すより、複数の声や重ねたアレンジで曲を組み立てるところに特徴がある。
盤の仕様と当時のリリース
オリジナルLPでは、ジャケット前面にKlaatuのロゴとタイトルがエンボス加工で入っており、内側のダストジャケットはパウダーブルーのカードボード仕様だった。歌詞もここに収められている。カナダ盤らしく、内袋やラベル表記には「Printed in Canada」「Manufactured and distributed in Canada」といった記載が見られる。
- ラベル表記: All Songs Composed by Klaatu
- 出版表記: Klaatoons, Inc. ASCAP/CAPAC
- 権利表記: ⓟⓒ1978, Daffodil Records
- 背表紙表記: “(ER) Printed in Canada”
ランアウトはエッチング主体で、JAMFと◎のみスタンプ仕様。こうした細部も、1970年代カナダ盤の物理的な雰囲気をよく伝えている。
サウンドの印象
実際に聴くと、音の作りはかなり整っている。ギター、キーボード、コーラスがそれぞれ単独で目立つというより、曲の中で重なりながら進む場面が多い。派手な一撃で押すタイプではないが、メロディの置き方や展開の切り替えに、Klaatuらしい丁寧さがある。
ロックの骨格はしっかりしていて、そこにポップ寄りのフックが乗るため、構成が複雑でも聴き流しにくい。曲によってはシアトリカルな感触もあるが、過度に大仰にはならず、あくまでアルバムの流れの中で機能している。
曲と聴きどころ
『Sir Army Suit』では、アルバム全体の組み立てが重要で、特定の一曲だけを切り出すというより、曲順で印象が変わるタイプの作品だ。バンド名義で統一されたクレジットも、そのまとまりに合っている。
Klaatuは一般的に、後年にシングル曲で注目されることが多いグループだが、このアルバムではヒット曲の押し出しより、アルバム単位の完成度が前に来る。そうした意味では、バンドの持つ作曲面の強さを確認しやすい作品でもある。
まとめ
『Sir Army Suit』は、1978年のカナダ産ロックの中で、Klaatuの整理されたアレンジ、メロディ重視の作り、そしてアルバムとしての統一感が出た一枚だ。ジャケットやインナーの造りも含めて、当時のオリジナル盤らしい手触りが残る作品として見ることができる。
トラックリスト
- A1 – A Routine Day (3:07)
- A2 – Juicy Luicy (3:36)
- A3 – Everybody Took A Holiday (2:57)
- A4 – Older (3:13)
- A5 – Dear Christine (3:50)
- B1 – Mister Manson (4:13)
- B2 – Tokeymor Field (3:25)
- B3 – Perpetual Motion Machine (3:14)
- B4 – Cherie (3:03)
- B5 – Silly Boys (5:00)