Locomotiv GT – Ringasd El Magad (1972)
Locomotiv GT『Ringasd El Magad』について
Locomotiv GTは、1971年に結成されたハンガリーのロック・グループ。Omegaの元メンバー、Presser GáborとLaux Józsefを核に始まり、以後はハンガリーのロック史の中で長く活動を続けたバンドとして知られている。『Ringasd El Magad』は1972年リリースの作品で、初期Locomotiv GTの姿をそのまま伝える1枚。バンドがまだ始動して間もない時期の録音で、のちの幅広い展開に入る前の、グループの基礎が見えやすい位置づけのアルバムと言える。
アルバムの位置づけ
この時期のLocomotiv GTは、ハンガリー国内のロック・シーンで存在感を強めていく段階にある。結成の中心人物であるPresser Gáborの作曲性と、バンドとしての演奏のまとまりが前面に出る時期で、70年代ハンガリー・ロックの文脈で見ると重要な初期作のひとつ。メンバーにはJózsef Laux、Gábor Presser、Frenreisz Károly、János Solti、Tamás Barta、János Karácsony、Tamás Somlóといった名前が並び、時期によって編成が動く中でも、バンドの核となる色はこの頃からはっきりしている。
サウンドの印象
本作は、ハードに押し切るタイプというより、曲ごとの構成や展開を重視する作りが目立つ。ギター、キーボード、リズム隊のバランスを軸にしながら、メロディをきちんと聴かせる場面が多い。初期プログレ寄りの組み立てと、70年代ロックらしい直進性が同居していて、サイケデリック・ロックの空気もそこに重なる。派手な技巧で見せるというより、曲の中で少しずつ景色を変えていくタイプの進み方。
実際に耳を通すと、音の隙間の使い方が印象に残る。密度を上げる場面と、フレーズを整理して聴かせる場面の切り替えがあり、アルバム全体が一気に流れ込むというより、曲単位で輪郭が立つ感じ。ハンガリー語の響きも含めて、英米のロックとは少し違う語感を持っているのが面白いところ。
同時代の文脈
1972年という時期は、欧州ロックがプログレッシブな構成や長めの展開を広げていた頃でもある。Locomotiv GTもその流れの中にありつつ、単なる英米追従では終わらない。ハンガリーのバンドらしい歌心と、演奏の硬質さが同居していて、同時代の英国プログレや、東欧圏のロックの中で聴くと輪郭がつかみやすい。Omegaと並べて語られることがあるのも自然で、どちらもハンガリー・ロックの基盤を作った存在として見られている。
作品としての見どころ
『Ringasd El Magad』は、Locomotiv GTの初期像を確認するうえで分かりやすい作品。のちの活動では毎年のようにLPを発表していくが、この段階ではまずバンドの骨格を固めることが主眼にあるように聴こえる。代表曲や大きなヒットだけで押すアルバムというより、バンドの音のまとまりや、作曲と演奏の関係を聴かせるタイプの内容。
盤の情報
- アーティスト: Locomotiv GT
- タイトル: Ringasd El Magad
- オリジナル・リリース年: 1972年
- リリース国: ハンガリー
- ジャンル: Rock
- スタイル: Psychedelic Rock, Prog Rock, Classic Rock
- カタログ番号: LPX 17449
スリーブ上の表記としてはLPX 17449が確認でき、ランアウトは基本的にスタンプ処理、ただし5-3のみエッチングという仕様になっている。ハンガリー盤らしい実用的な作りで、70年代初頭の現地リリースとして見ると資料的な面白さもある。
まとめ
『Ringasd El Magad』は、Locomotiv GTの出発点を示す1972年作。ハンガリーのロック・シーンの中で、メロディと構成、バンドの演奏感をきちんと形にした初期アルバムとして聴ける。英米のロック文脈だけでは捉えきれない、東欧の70年代ロックの手触りが残る1枚。
トラックリスト
- A1 – Cirkusz (4:28)
- A2 – A Szerelem Börtönében (3:06)
- A3 – Szerenád – Szerelmemnek, Ha Lenne (2:25)
- A4 – A Semmi Kertje (4:28)
- A5 – Lincoln Fesztivál Blues (4:58)
- B1 – Ne Szédíts (3:20)
- B2 – Kakukkos Karóra (2:01)
- B3 – Kotta Nélkül (6:32)
- B4 – Azt Hittem (5:26)
- B5 – Megvárlak Ma Délben (3:56)
- B6 – Ringasd El Magad (1:09)