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Pink Floyd – A Saucerful Of Secrets (1968)

Pink Floyd『A Saucerful Of Secrets』について

Pink Floydの『A Saucerful Of Secrets』は、1968年に英国で発表された2作目のスタジオ・アルバムです。Syd Barrett在籍期の終盤と、David Gilmour加入後の新体制への移行が重なった作品で、初期Pink Floydのサイケデリックな感触と、後の展開につながる構成感が同居している一枚です。

この2016年盤は日本流通仕様で、2016年の米国再発盤をベースに、日本製の帯、解説、インサート類を加えたものです。作品そのものは1968年の録音・発表作で、盤の発売年とは分けて見る必要があります。

作品の位置づけ

Pink Floydにとって本作は、バンドの初期像を示すと同時に、次の段階へ進むための橋渡しにあたる作品だといえる。Syd Barrettはすでにバンドを離れる流れにあり、David Gilmourが実質的にその後を引き継いでいる。バンド名義としてはまだサイケデリック・ロックの色が強いが、音の作りは一部でかなり実験的で、後年のプログレッシブ・ロックへつながる要素も見える。

同時代の英国ロックでいうと、The Beatlesの後期実験作や、The Moody Blues、Procol Harum、Jethro Tull、Cream周辺の拡張志向とも並べて語られることがある。ただしPink Floydの場合は、曲のまとまりよりも音響そのものや余白の使い方に特徴があり、そこが他のバンドと少し違うところだ。

収録曲と聴きどころ

全7曲構成で、短い曲と長尺曲が混在するアルバム。メンバーの役割分担もはっきりしていて、Roger Watersのベース、Nick Masonのドラム、Richard Wrightの鍵盤、Syd BarrettとDavid Gilmourのギターがそれぞれ曲ごとに異なる表情を作る。

  • 「Let There Be More Light」

    6分台のオープニングで、リフと鍵盤が前に出る構成。ゆるやかながら緊張感のある立ち上がり。
  • 「Remember a Day」

    Richard Wrightが印象に残る楽曲。メロディ中心で、アルバムの中では比較的親しみやすい部類。
  • 「Set the Controls for the Heart of the Sun」

    もともとライブでよく演奏された曲で、のちのPink Floydを代表する初期曲のひとつ。打楽器の使い方と低いテンションが際立つ。
  • 「Corporal Clegg」

    Syd Barrettのヴォーカルが入る楽曲で、マーチ風の要素やユーモアが混ざる。初期らしいひねりのある曲。
  • 「A Saucerful of Secrets」

    タイトル曲にして、アルバムの中心。インストゥルメンタル寄りの長尺曲で、パートごとに場面が切り替わる。後年のライブでも重要な位置を占めた。
  • 「See-Saw」

    Wrightの作風がよく出た曲で、素朴な旋律とアレンジの対比がある。
  • 「Jugband Blues」

    Syd Barrettの最終期を象徴する曲のひとつ。終盤の展開に独特の切れ方があり、バンドの転換点を感じさせる。

代表曲として触れたい曲

このアルバムでまず挙がるのは「Set the Controls for the Heart of the Sun」とタイトル曲「A Saucerful of Secrets」あたりだろう。「Set the Controls for the Heart of the Sun」は初期Pink Floydの定番曲として知られ、静かな反復と打楽器の配置が印象に残る。「A Saucerful of Secrets」は曲というより組曲に近く、1968年時点での実験精神をそのままパッケージしたような内容だ。

また、Syd Barrett最後期の記録としては「Jugband Blues」も重要だ。Barrett時代の空気が残る一方で、次のPink Floydへ視線が移っていく節目の曲として扱われることが多い。

この2016年日本盤について

この盤は2016年の米国再発盤をもとにした日本仕様で、レプリカ帯、日本語解説、シリーズ・インサート、バック・インサートが付属する構成。オリジナル1968年盤とは発売時期も体裁も異なるが、内容面では1968年作『A Saucerful Of Secrets』をそのまま再現した再発盤という位置づけになる。

Pink Floydの初期作品は、後年の巨大な成功作と比べると地味に見えることもあるが、このアルバムにはバンドがどこから来て、どこへ向かったのかがはっきり残っている。サイケデリック・ロックの時期から、より構築的な表現へ移る、その途中の記録として見える一枚だ。

トラックリスト

  • A1 – Let There Be More Light
  • A2 – Remember A Day
  • A3 – Set The Controls For The Heart Of The Sun
  • A4 – Corporal Clegg
  • B1 – A Saucerful Of Secrets
  • B2 – See Saw
  • B3 – Jugband Blues

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2026.08.14
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