Visitors – Visitors (1981)
フレンチ・カルト・ロック界における最大の狂人/奇才プロデューサーとして、レ・マレディクタス・サウンド(Les Maledictus Sound)やオホリフィック・チャイルド(Horrific Child)などの伝説的カルト作を生み出したジャン=ピエール・マシエラ(Jean-Pierre Massiera)。彼が1974年にマグマ(Magma)人脈などを集結させて始動させた異星人コンタクト系スペース・ロック・プロジェクト「ヴィジターズ(Visitors)」を、1980年代の幕開けとともにコズミック・ディスコ/エレクトロ・スペース・ロックへと大胆にアップデートしたのが、1981年発表の本作『ヴィジターズ(Visitors)』だ。
70年代プログレから80年代コズミック・シンセ・ディスコへの劇的転生
1974年の第1作(アメリカではバンド名商標権の都合から『Force 5』名義で配給)では、変拍子と狂気のサイケデリック・プログレを展開していたヴィジターズ。しかし1981年にパリのスタジオJ.ジョレスで録音された本作では、同時期のロケッツ(Rockets)やスペース(Space)、ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)の台頭に呼応するかのように、脈打つシーケンサーとボコーダー、そして図太いシンセ・ベースを主軸にした近未来型エレクトロ・サウンドへと劇的な変貌を遂げている。
アルバムの象徴となるオープニング曲「V-I-S-I-T-O-R-S ’81」は、ロボティックなボコーダー・ボイスで綴られるスペルコールと、疾走する16ビートのシンセ・アルペジオが炸裂するスペース・ディスコの決定打。チープとスペクタクルが紙一重で同居するマシエラ特有のキッチュなSF美学が全開となっており、のちのイタロ・ディスコやフレンチ・エレクトロのDJ陣からもカルト的人気を博すキラー・チューンだ。
ギタリストのベルナール・トレリと繰り広げるハード・エレクトロ・ファンク
本作のサウンドに鋭利なエッジを与えているのが、74年の初期ヴィジターズからの盟友であり、のちに米国サンディエゴのトラック・スター・スタジオで数々のグラミー関連作を手掛ける名エンジニア/ギタリスト、ベルナール・トレリ(Bernard Torelli)のプレイだ。「Everybody Now!」や「Don’t Squeeze!」では、シンセサイザーの無機質なグリッドに対し、トレリのファンキーなカッティングと唸りを上げるハード・ロック調のギターソロが激突し、ロック・バンドならではの生々しいダイナミズムを生み出している。
フランス語・イタリア語・英語の3言語が入り乱れる扇情的なメッセージが乗る「Reveille Toi – Svegliati – Get Up!」や、エレクトロ・ポップのキャッチーなリフレインが耳に残る「A-E-I-E-O」、ディストピア的な監視社会を想起させるシリアスなシンセ・ファンク「Mental Slavery」など、マシエラの奇矯なアイデアが怒涛のように繰り出される。さらにB面のハイライト「Joyo Can You Hear (Part 1 & 2)」では、メランコリックなバラードから壮大なコズミック・シンフォニーへと昇華していく構成美を聴かせ、プログレッシブ・ロックを出自に持つ音楽家としての確かな構築力を証明している。
フレンチ・エレクトロの地下水脈に君臨するミュータント・クラシック
B級映画的なスペース・オペラの過剰な演出と、時代の最先端をいく電子音響が奇跡的なバランスで融合した1981年版『Visitors』。ダフト・パンク(Daft Punk)やジャスティス(Justice)へと繋がるフランス産シンセ・ミュージックの怪しげな地下水脈を辿る上でも外せない、中毒性の高いミュータント・スペース・ディスコの金字塔だ。
トラックリスト
- A1 - V-I-S-I-T-O-R-S '81 (4:32)
- A2 - Everybody Now! (3:05)
- A3 - A-E-I-E-O (3:37)
- A4 - Reveille Toi - Svegliati - Get Up! (3:37)
- A5 - Mental Slavery (3:31)
- B1 - Joyo Can You Hear (Part 1) (3:53)
- B2 - Joyo Can You Hear (Part 2) (4:32)
- B3 - Don't Squeeze! (3:37)
- B4 - Try (3:43)