Triumvirat – Illusions On A Double Dimple (1974)
Triumvirat『Illusions On A Double Dimple』について
Triumviratの『Illusions On A Double Dimple』は、1974年にリリースされたドイツ出身のプログレッシブ・ロック作品である。バンドは1969年にケルンで結成され、中心人物はキーボードのJürgen Fritz、ドラムと作詞を担うHans Bathelt、初期のベーシストWerner Frangenbergという編成だった。後にメンバー交代を経ながら活動を続け、この2作目でアメリカ市場でも存在感を強めたアルバムとして知られている。
Triumviratは、当時のヨーロッパ産プログレらしく、鍵盤を前面に出した構成が特徴のバンドである。Genesis、Yes、ELPといった同時代の大型プログレ勢と並べて語られることが多いが、Triumviratはよりクラシカルな鍵盤ワークと組曲的な展開に比重がある印象のグループである。
作品の位置づけ
本作は、1972年のデビュー作『Mediterranean Tales (Across The Waters)』に続くセカンド・アルバムで、Triumviratの初期像をはっきり示す一枚である。制作中にはドラマーのHans Papeが離れ、Helmut Köllenが加入している。こうした編成の変化もあり、アルバムにはバンドの骨格が固まっていく途中の緊張感がある。
この作品は米国でもCapitolから出され、ラジオでかなりオンエアされたとされる。ヨーロッパのプログレ作品としては珍しく、アメリカで実地の反応を得たタイトルのひとつである。その後にはFleetwood Macの前座としての米国ツアーも行われ、Triumviratの名前を広げるきっかけになった。
録音とUS盤の情報
録音は1973年6月から10月にかけて、ケルンのEMI-Electrola Studiosで行われた。US盤のバックカバーには1973年のEMI Electrola表記があり、ラベル面では1974年表記となっている。アメリカ盤はCapitol Recordsが製造・流通を担っている。
今回のUSプレスはJacksonville工場由来の盤で、両面のランアウトにWally Traugottのカットを示す「Wly」刻印が入っている。マスタリングのクレジットとして、少なくともこの盤ではその名が確認できる。
音の印象
実際に聴くと、やはりまず耳に入るのはJürgen Fritzの鍵盤である。オルガン、ピアノ、シンセの切り替えが細かく、楽曲の推進力をほぼ一手に担っている。ギター主体で押すタイプのロックではなく、キーボードのレイヤーで曲を組み立てるタイプのプログレである。
曲の展開は長尺でも流れが見えやすく、組曲的な構成の中でテーマが何度か姿を変えて戻ってくる。派手なギミックより、旋律とリフの反復で引っ張る場面が多い。ヘヴィさ一辺倒ではなく、室内楽的な感触とロックのリズムが同居しているのがこの作品の持ち味である。
同時代との関係
1974年は、欧州プログレが成熟していた時期でもある。Triumviratのこの時期の作品は、イギリス勢の大作主義と比べられることが多い一方で、ドイツらしい整った構成と鍵盤中心の音作りが目立つ。ELP的なオルガン・ロックの感触を思わせる部分もありつつ、よりメロディ志向で、過度に攻撃的にはならないバランス感がある。
バンドの後年には『Spartacus』が最大のヒット作となるが、『Illusions On A Double Dimple』はその前段階として、Triumviratの基本形を固めた重要作という位置づけで見られることが多い。
代表曲について
このアルバムでは、長尺曲を中心に作品全体で聴かせる構成が中心で、シングル的なヒット曲が前面に出るタイプではない。とはいえ、アメリカで放送回数が伸びたことで、Triumviratの名を広げる役割は果たしている。アルバム単位で評価されるタイプの一枚である。
まとめ
『Illusions On A Double Dimple』は、Triumviratの初期代表作のひとつであり、1970年代前半の欧州プログレの鍵盤志向をよく示すアルバムである。録音はドイツ、発売は1974年のUS盤で、アメリカでも一定の反応を得た。バンドの後の飛躍を考えるうえでも、この時点での完成度と方向性を確認できる作品である。
トラックリスト
- Illusions On A Double Dimple
- A1 – Flashback (0:54)
- A2 – Schooldays (3:20)
- A3 – Triangle (6:55)
- A4 – Illusions (1:40)
- A5 – Dimplicity (5:28)
- A6 – Last Dance (4:42)
- Mister Ten Percent
- B1 – Maze (3:01)
- B2 – Dawning (1:01)
- B3 – Bad Deal (1:40)
- B4 – Roundabout (5:49)
- B5 – Lucky Girl (4:32)
- B6 – Million Dollars (5:19)