O.R.k. – Ramagehead (2019)
O.R.k.『Ramagehead』について
『Ramagehead』は、UK発のO.R.k.が2019年に発表した作品である。Pat Mastelotto、Colin Edwin、Lorenzo Esposito Fornasari、Carmelo Pipitoneらによる編成で、ロックを土台にしながら、緻密な展開と不穏さを含んだ音像をまとめたアルバムとして位置づけられる。ジャンル表記としてはArt Rock、Prog Rockにまたがる内容で、演奏の切り替えやリズムの組み方にその性格が出ている。
バンドの輪郭
O.R.k.は、メンバーそれぞれの活動歴がはっきりしたプロジェクト型のバンドである。Pat Mastelottoは複雑なリズム処理で知られるドラマーで、Colin Edwinは低音の動きで楽曲の芯を支えるタイプのプレイヤーとして知られる。そこにLorenzo Esposito Fornasariの歌と、Carmelo Pipitoneのギターが加わることで、硬質なバンドサウンドの中に、声と間の使い方が入ってくる構成になっている。
アーティスト紹介にもある通り、このグループの音楽は、アコースティックな手触り、数学的な組み立て、アンビエント寄りの電子音の気配が同居する方向にある。とはいえ、前面に出るのはあくまでロックのバンド演奏で、音の整理と圧のかけ方に特徴がある。
『Ramagehead』の内容
本作は全9曲構成で、レコードのトラック表記も1から9まで通しで記されている。曲ごとの性格を細かく切り分けるより、アルバム全体で流れを作るタイプの作品に見える。強いビートで押す場面と、空間を広く取る場面の行き来があり、曲の入り口と終わり方にも丁寧さがある。
聴感上は、演奏の解像度が高い一方で、過度に整えすぎない感触が残る。リズム隊が前に出る局面では推進力が強く、歌が入る場面ではメロディよりも言葉の置き方が曲の表情を決めている印象がある。プログレッシブ・ロックの文脈で語られやすいタイプだが、技巧の誇示だけに寄らず、曲の温度を保っているところがこの作品の特徴だろう。
作品の位置づけ
2019年時点のO.R.k.にとって、『Ramagehead』はバンドの輪郭をさらに固めたアルバムとして見やすい。初期の試行錯誤を経て、メンバーの持ち味がすでに噛み合っている段階の作品で、音の密度と構成のバランスが取れている。派手なヒット曲を前提にした作りではなく、アルバム単位で聴かせる性格が強い。
同時代のロックでいえば、プログレやアートロックの系譜にあるが、クラシックな大作主義よりも、現代的な音の切り詰め方が目立つ。King Crimson系の緊張感や、ポスト・プログレ的な整理された質感を連想する場面もあるが、O.R.k.はそこに独自の歌とリズムの組み方を持ち込んでいる。
盤の仕様
今回のUK盤は、180グラムのクリア・ヴィニール仕様で、300枚限定。再封可能なプラスチック・スリーブに入れられ、ハイプステッカーが付属する。印刷入りの内袋には歌詞とクレジットが収録され、折りたたみ式のインサートにはKscopeのほかの作品案内が載っている。さらにBurning Shedのポストカードも同梱される内容である。
盤面やジャケットの表記では、トラック番号は1から9まで統一されている。コレクター向けの仕様を備えつつ、作品としてはアルバム本編のまとまりを重視した作りと言える。
まとめ
『Ramagehead』は、O.R.k.の演奏力と構成力が前面に出た2019年作である。ロックを基盤にしながら、アートロックやプログレッシブ・ロックの要素を、過剰に飾らずに並べた一枚。メンバーの個性がはっきりしているぶん、各曲の輪郭も見えやすい作品である。
トラックリスト
- A1 – Kneel To Nothing
- A2 – Signals Erased
- A3 – Beyond Sight
- A4 – Black Blooms
- A5 – Some Other Rainbow Part 1
- B6 – Time Corroded
- B7 – Down The Road
- B8 – Strangled Words
- B9 – Some Other Rainbow Part 2