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Jan Akkerman – Tabernakel = 流浪の神殿 (1973)

Jan Akkerman『Tabernakel = 流浪の神殿』(1973年)

オランダのギタリスト、Jan Akkermanが1973年に発表したソロ作品。Brainbox、そしてThijs van Leerと組んだFocusで知られる人物で、フォーカス在籍期の活動と並んで、ソロ名義ではより自由にギターの表現を広げていった時期の代表的な一枚として位置づけられる作品だ。

本作『Tabernakel』は、英語圏ではそのまま「Tabernakel」として知られ、日本盤では『流浪の神殿』という邦題が付いている。プログレッシブ・ロック文脈で語られることが多いが、単純にバンド然とした作品というより、ギターを中心に据えた構成のアルバムという印象が強い。Akkermanの名前を追ううえで、Focus以前・以後の流れをつなぐ位置にある作品として見られることも多い。

作品の特徴

この時期のAkkermanは、バンドの一員としての役割から離れ、ギタリスト個人としての色を前面に出している。技巧を見せるだけでなく、フレーズの置き方や音の間の取り方に耳がいく内容で、ロックを土台にしながらも、ジャズやクラシカルな感触が自然に混ざるのが彼らしいところだ。

Focusで広く知られる前後のソロ作と比べても、ギターの主張がはっきりしていて、旋律の運びを聴かせる場面が多い。派手な速弾きだけで押すタイプではなく、音色の切り替えやリズムの置き方に耳が向く作品で、Akkermanの個性が見えやすい。

同時代の文脈

1973年という時期は、ヨーロッパのプログレッシブ・ロックが充実していた頃でもある。Focusのようなオランダ勢はもちろん、英国勢のYes、King Crimson、Genesisなどと並べて語られることもあるが、Akkermanの場合はバンドの大編成を押し出すというより、ギタリストとしての輪郭がより前に出る。そうした意味で、本作は「プログレの中のギター作品」として聴かれることが多い一枚だ。

また、Akkermanは当時から“ギタリストのためのギタリスト”のような扱いを受けることもあり、後年のインスト寄りの演奏家たちと同じ棚に置かれることもある。とはいえ、本作は技巧の見本市というより、曲の流れの中でギターがどう歌うかを聴くタイプの作品という印象が強い。

収録曲について

日本盤のインサートには和文・英文の曲名が載っているが、「Lammy」の細かなサブトラックについては日本語表記が付いていない。アルバム全体としては、曲単位で切り出すよりも、流れで聴かれる構成になっている。

代表曲という意味では、Focus時代ほど広く知られたシングル曲が前面にある作品ではないが、Akkermanのギタリストとしての存在感を確かめるには分かりやすい内容だ。特定のヒット曲で押すアルバムではなく、アルバム全体の組み立てで聴かせるタイプの一枚である。

日本盤について

この1973年の日本盤は、マット仕様の見開きジャケットに帯付き、さらに日本語と英語の曲名を載せた片面1枚のインサートが付属する。ジャケット内側には「Printed in Japan」の表記がある。盤面はスタンパー刻印のある仕様で、同系統の日本盤には裏ジャケットに価格表記のない別仕様も見られる。

日本盤の体裁は、当時の国内流通盤らしい丁寧な作りで、作品の雰囲気をそのまま日本向けに整えたものになっている。洋楽ロックの輸入盤文化が広がっていた時代の空気も感じさせる。

Jan Akkermanという人物

Jan Akkermanは1946年12月24日、アムステルダム生まれのオランダ人ギタリスト。Brainboxの創設メンバーであり、Thijs van Leerと組んだFocusでも中心人物として活動した。1976年にFocusを離れ、その後はソロ活動へ進んでいく。姉妹関係としてはCocky Akkermanの兄としても知られる。

『Tabernakel』は、そうしたキャリアの中で、バンド・ギタリストからソロ・アーティストへと軸足を移していく流れの中にある作品。Focusの成功だけでは捉えきれない、Akkerman個人の演奏感覚を確認できるアルバムとして見てよさそうだ。

トラックリスト

  • A1 – Britannia By John Dowland = ジョン・ダウランドによるブリタニア (3:55)
  • A2 – Coranto For Mrs. Murcott By Francis Pilkington = フランシス・ピルキントンによるミセス・マルコットに捧げるコランテ (1:26)
  • A3 – The Earl Of Derby, His Galliard By John Dowland = ジョン・ダウランドによるダービー卿のガリアード (1:36)
  • A4 – House Of The King = 王の館 (2:23)
  • A5 – A Galliard By Anthonie Holborne = アンソニー・ホルボーンによるガリアード (2:10)
  • A6 – A Galliard By John Dowland = ジョン・ダウランドによるガリアード (1:31)
  • A7 – A Pavan By Thomas Morley = トーマス・モーリーによるパバーヌ (3:03)
  • A8 – Javeh = ユダヤ (3:22)
  • B1 – A Fantasy By Laurencini Of Rome = ローマのローレンツィーニによるファンタジー (3:17)
  • Lammy = ラミー (14:06)

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2026.10.04
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