David Bowie – Station To Station (1976)
David Bowie『Station To Station』について
David Bowieの10作目のスタジオ・アルバム『Station To Station』は、1976年1月に発表された作品だ。ここでは、アメリカ的なリズム感と西ヨーロッパ的な和声感が交差し、Bowie自身はこの時期に「Thin White Duke」という別人格をまとっていた。作品全体の空気感は、前作までの流れを受けつつも、より都会的で、冷たさのある方向へ進んでいる。
日本盤は1976年の初回リリースで、RVC Corporationによる製造。帯付きで、折り込みインサートが付属し、日本語ライナーと英語歌詞を収録している。レーベル表記はRCA Recordsの1976年表記で、盤面の製造リングには3行の刻印が入る仕様だ。
作品の位置づけ
『Station To Station』は、Bowieのキャリアの中でも転換点として語られることが多いアルバムだ。グラム・ロック期の派手さから一歩離れ、ファンクやソウルの要素を取り込みながら、より硬質なロック作品へと寄っていく。のちのベルリン三部作につながる前段階として見られることもある。
制作時期のBowieは、すでに大きな変化の只中にあった。タイトル曲では長尺の構成が採られ、静かな導入からバンド全体が立ち上がっていく流れが印象的だ。アルバムの冒頭を飾るこの曲が、その後の展開を引っ張る役割を担っている。
収録曲と聴きどころ
このアルバムでまず挙がるのは、やはりタイトル曲「Station to Station」だろう。10分を超える楽曲で、リズムの組み立て、ギターの鋭さ、ボーカルの緊張感がはっきりしている。Bowieの作品の中でも、展開の読みづらさと推進力の両方が目立つ1曲だ。
続く「Golden Years」は、この時期の代表曲として知られる。ファンク色の強いビートと、引っかかりのあるメロディが前面に出た曲で、アルバムの中では比較的シングル曲らしい輪郭がある。ラジオでも耳にしやすい部類の楽曲だ。
「TVC 15」や「Stay」も、この作品の性格をよく示す曲だ。前者は軽快さがありつつも不穏さを含み、後者はグルーヴを軸にしたロック寄りの構成になっている。A面とB面で温度差があり、その揺れがアルバム全体の流れを作っている。
同時代の文脈
1976年という時代で見ると、『Station To Station』はロック、ファンク、ソウルの境目に立つ作品として聴ける。Bowieはこの頃、単にロックの枠の中に収まる存在ではなく、R&Bや黒人音楽の要素を自分の文脈に組み込んでいた。そこには、同時代のファンク勢や、より実験的な方向へ進んでいたアーティストたちとの接点も感じられる。
ただし、この作品はジャンルの混交だけで終わらない。構成の作り方、音の隙間、ボーカルの置き方に、Bowie独特の距離感がある。派手な装飾に寄らず、必要な音だけを残すような感触が、アルバム全体を貫いている。
日本盤の特徴
日本初回盤は、帯と折り込みインサートが付く点がまず目立つ。日本語ライナーが入るので、当時の国内リスナー向けの情報に触れやすい仕様だ。英語歌詞も載っており、作品の世界を追いやすい作りになっている。
盤としては1976年のオリジナル期のリリースなので、後年のリマスター盤や再発盤とは音質や収録内容が異なる場合がある。ここで扱うのは、その最初期の日本盤という位置づけになる。
まとめ
『Station To Station』は、David Bowieの中期から後期へ向かう流れの中で重要なアルバムだ。ファンク、ソウル、ロックの要素がまとまり、Thin White Dukeという人物像も含めて、作品の輪郭が強く残る。代表曲「Golden Years」を含みつつ、タイトル曲の長大な構成がアルバム全体の軸になっている。
1976年のBowieを知るうえで、かなり重要な1枚という印象だ。
トラックリスト
- A1 – Station To Station (10:10)
- A2 – Golden Years (3:58)
- A3 – Word On A Wing (5:56)
- B1 – TVC 15 (5:28)
- B2 – Stay (6:09)
- B3 – Wild Is The Wind (5:59)