Tom Waits – Small Change (1976)
Tom Waits『Small Change』について
Tom Waitsの『Small Change』は、1976年にリリースされた作品。ジャズ、ロック、フォーク、ワールド/カントリーの要素をまたぎながら、ブルース・ロックを軸にした1枚として位置づけられる。1973年の『Closing Time』に続く時期の作品で、Tom Waitsの初期像をつかむうえで重要なタイトルのひとつになっている。
作品の輪郭
この時期のTom Waitsは、歌詞の運びや語り口、しゃがれた声で強く印象を残す存在。『Small Change』でも、その特徴ははっきりしている。ジャズ寄りの空気感や、ブルースを土台にした進行、ロックの感触が重なり、楽曲ごとに場面が切り替わるような構成が見えてくる。
録音の雰囲気は、派手に作り込むというより、曲の輪郭や声の質感を前に出す方向。リズムは一定のテンポ感を保ちながらも、曲によってはゆるやかに揺れ、バンドの鳴りと歌が近い距離で並ぶ印象がある。
Tom Waitsというアーティストの中で
Tom Waitsは1949年12月7日、カリフォルニア州ポモナ生まれ。初期は『Closing Time』で知られ、その後、ブルースやビート詩の影響を背景に、独自のソングライティングを深めていく。『Small Change』は、その流れの中で、彼の声と詞の個性がより前面に出てくる時期の作品として見られることが多い。
また、Tom Waitsは音楽だけでなく映画でも存在感を持つ人物で、フランシス・フォード・コッポラ、コーエン兄弟、ジム・ジャームッシュ、テリー・ギリアム、ロバート・アルトマンらの作品に出演している。音楽と映像の両方で、独特の立ち位置を築いてきたアーティストといえる。
同時代とのつながり
1970年代半ばのアメリカでは、シンガーソングライター的な語り口と、ブルースやジャズの要素を取り込んだ作品が並んでいた。Tom Waitsの『Small Change』も、その文脈の中に置ける一枚。Howlin’ Wolfのようなブルースの系譜や、Jack Kerouacに通じるビート的な感覚が、歌詞や声の運びに滲むところがある。
ひとこと
『Small Change』は、Tom Waitsの初期キャリアの流れを追ううえで外せない1976年作。ブルース・ロックを軸に、ジャズやフォークの気配も混ざる内容で、彼の声と言葉の個性がよく見える作品。
トラックリスト
- A1 Tom Traubert’s Blues (6:40)
- A2 Step Right Up (5:39)
- A3 Jitterbug Boy (3:41)
- A4 I Wish I Was In New Orleans (4:50)
- A5 The Piano Has Been Drinking (Not Me) (3:37)
- B1 Invitation To The Blues (5:20)
- B2 Pasties And A G-String (2:32)
- B3 Bad Liver And A Broken Heart (4:46)
- B4 The One That Got Away (4:00)
- B5 Small Change (5:03)
- B6 I Can’t Wait To Get Off Work (3:20)