Carl Lewis – Goin’ For The Gold (1984)
五輪4冠の英雄が放った、ナラダ・マイケル・ウォルデン制作の本格派エレクトロ・ブギー
1984年のロサンゼルス・オリンピックにおいて、伝説のアスリートであるジェシー・オーエンス以来となる男子陸上4冠(100m、200m、4×100mリレー、走幅跳)の偉業を達成し、世界中を熱狂の渦に巻き込んだカール・ルイス(Carl Lewis)。その絶頂期に日本限定の12インチ・マキシシングルとしてOverseas Records(カタログ番号: UDL-1001-V)からリリースされたのが本作『Goin’ For The Gold』である。トップアスリートの記念碑的企画盤という側面に留まらず、80sエレクトロ/シンセファンクの観点からも極めて贅沢かつハイレベルなプロダクションが施された知られざるレア盤だ。
世界的巨匠ナラダ・マイケル・ウォルデンによる超弩級のシンセファンク・サウンド
本作のプロデュースおよびソングライティングを手掛けたのは、後にホイットニー・ヒューストンやアレサ・フランクリンらの世界的メガヒットを連発し、名ドラマーとしても知られる巨匠ナラダ・マイケル・ウォルデン(Narada Michael Walden)。ウォルデンが構築したトラックは、Oberheim DMXやLinnDrumを思わせるパンチの効いたデジタル・ビートに、図太くうねるシンセベース、そして煌びやかなシンセ・ブラスが炸裂する、80年代中葉の王道エレクトロ・ブギーそのものだ。
カール・ルイスのボーカルは、素朴ながらもポジティブな高揚感に満ちており、金メダルへの邁進を歌い上げるキャッチーなメロディラインと見事な相乗効果を生み出している。
フロア対応の「Dance Mix」と時代を映すオールドスクール・ラップ
本作の12インチ仕様ならではの醍醐味は、Side Bに収められたインストルメンタル/ダブワイズな展開を含む「Dance Mix」と、Side Aに収録された「Rap Version」にある。1984年当時、シュガーヒルやRun-D.M.C.の台頭によってストリートからオーバーグラウンドへと浸透しつつあったオールドスクール・ヒップホップのエッセンスを貪欲に取り入れたラップ・バージョンは、時代を先取りしたカルチャーの交差を鮮明に物語っている。
さらにSide Bの「Dance Mix」では、パーカッシブなビートブレイクとシンセサイザーの抜き差しが巧みに施されており、当時のクラブフロアでも十二分に機能するキラーなダンス・トラックへと昇華されている。
80年代カルチャーの熱気とアスリート・ポップスの極致
スポーツ界のスーパースターが音楽の世界へと越境し、最高峰のR&B/ポップ・プロデューサーと手を組んで生み出された本作。日本独自のアナログ12インチとしてカッティングされた本作は、盤面の音圧も高く、当時の日本における爆発的なカール・ルイス人気と80sポップ・カルチャーのバイタリティを象徴する歴史的コレクターズ・ピースである。
トラックリスト
- A1 - Goin' For The Gold (Short/Singing)
- A2 - Goin' For The Gold (Short//Rap Version)
- B1 - Goin' For The Gold (Dance Mix)