Don Sebesky – Sky Fantasy (1980)
Don Sebesky『Sky Fantasy』(1980)
ドン・セベスキーは、アメリカ出身のトロンボーン奏者、作編曲家、指揮者として知られる人物で、ジャズの現場では特にアレンジの仕事で存在感を残した人だ。1970年代から80年代にかけては、ストリングスやホーンを含む編成を使ったジャズ作品でも注目されていて、『Sky Fantasy』はそうした流れの中に置ける1980年作である。日本盤としてリリースされた本作は、帯とインサート付きで流通した。
作品の位置づけ
『Sky Fantasy』は、セベスキーの作編曲家としての手つきが前面に出るタイプの作品として見やすい。ジャズの中でもフュージョン期の空気を持つタイトルで、当時の洗練されたアンサンブル志向とつながる1枚だ。大編成を鳴らすことに長けたセベスキーらしく、単なるソロ作品というより、全体の響きや配置を聴く楽しみがある。
セベスキーは、ジャズ・アレンジャーとして非常に広い活動歴を持つが、この時期の作品では、演奏者というより「音の設計者」としての面がわかりやすい。Miles Davis や George Benson 周辺の作品で知られる同時代の編曲家たちと比べても、セベスキーはオーケストレーションの密度や色づけに持ち味がある印象だ。
サウンドの特徴
フュージョンという枠の中でも、ギターやキーボードが前に出るロック寄りの熱気より、アンサンブルの整理された響きが目立つタイプの作品として捉えやすい。リズムの推進力を保ちながら、管や鍵盤のレイヤーで曲を組み立てていく流れが中心になりやすい。聴きどころは、ソロの派手さだけでなく、フレーズの受け渡しや和声の動きにある。
実際に耳を傾けると、各パートが同時に鳴っていても輪郭が崩れにくく、編曲の見通しが比較的よい。曲単位でのドラマより、アルバム全体を通した流れで味わう性格が強い1枚に見える。
同時代の文脈
1980年のジャズ・フュージョンは、70年代後半までの開放感から少し整理された方向へ進んでいた時期でもある。ジャズ・ロック的な強い押し出しより、スタジオで練られた音像や、編成のバランスに重心が置かれやすい。『Sky Fantasy』も、その空気の中で理解しやすい作品だ。
同じ時代のフュージョン作品と比べると、ソロの火花を見せるより、アレンジの流れそのものを聴かせるタイプ。セベスキーが長く積み上げてきた編曲の仕事が、そのままアルバムの性格になっている。
日本盤としてのポイント
日本盤には帯とインサートが付属している。80年代初頭の日本盤ジャズLPらしい仕様で、当時の国内流通盤としてのまとまりがある。盤としての資料性を考えると、アメリカのジャズ・アレンジャー作品が日本市場でどのように受け止められていたかを示す例としても見やすい。
まとめ
『Sky Fantasy』は、ドン・セベスキーの作編曲家としての輪郭が出やすい1980年のジャズ・フュージョン作品だ。トロンボーン奏者としての経歴を持ちながら、ここでは演奏そのものより、アンサンブルの構成や音の配置に耳が向く。派手な話題性より、編曲の精度と全体の流れで聴く1枚という印象である。
トラックリスト
- A1 – White Rabbit
- A2 – Love Is The Answer
- A3 – Summer Of ’42
- A4 – Sky Dive
- B1 – Love Story
- B2 – California Dreamin’
- B3 – Lucky Southern
- B4 – Was A Sunny Day
- C1 – Pavane
- C2 – Yesterday’s Dreams
- C3 – No Sooner Said Than Done
- C4 – Song To A Seagull
- D1 – Amazing Grace
- D2 – What Are You Doing The Rest Of Your Life?
- D3 – Cactus
- D4 – Skyliner