• TOP
  • Blues
  • Hako Yamasaki – 幻想旅行 (1981)

Hako Yamasaki – 幻想旅行 (1981)

Hako Yamasaki『幻想旅行』について

『幻想旅行』は、山崎ハコが1981年に発表した作品である。山崎ハコは、1970年代のフォークブームを代表するシンガーソングライターのひとりで、ハスキーな歌声と、日常感のある言葉をそのまま置いていくような歌い方で知られる。本作も、その持ち味が前面に出た時期のアルバムとして聴ける作品だ。

作品の位置づけ

山崎ハコは1975年のデビュー以降、コンスタントに作品を重ねてきた。本作が出た1981年は、フォークの文脈だけでは収まりきらない歌作りが、ロックやブルース寄りの感触も含めて広がっていった時期に当たる。『幻想旅行』というタイトルからも、現実の風景をそのまま写すというより、内面の揺れや視点の移動を曲に落とし込む方向性がうかがえる。

音の輪郭

クレジット上のジャンルはRock、Blues、Pop、Folk、World & Country、スタイルはVocal、Blues Rock、Pop Rock、Folkとなっている。山崎ハコの作品として見ると、アコースティックな歌を軸にしつつ、バンドの厚みやブルース由来の粘りを含んだ音像が想像しやすい。歌そのものを中心に据えた構成で、伴奏はあくまで言葉と旋律を支える役回りになりやすいタイプの作品だろう。

山崎ハコらしさ

山崎ハコの楽曲は、感情を大きく誇張するよりも、抑えた温度のまま深いところへ入っていく曲が多い。本作でも、その線は続いていると見てよさそうだ。声質の個性が強いだけでなく、歌詞の言い回しや間の取り方に独特の重さがあるため、派手な展開よりも一曲ごとの言葉の運びが印象に残りやすい。

同時代との関わり

1980年前後の日本のシンガーソングライター作品は、フォークの語り口を残しながら、編成やサウンド面でロック化・ポップ化していく流れが見られる。山崎ハコもその流れの中にいて、同時代の女性シンガーソングライターの中でも、率直さよりも陰影のある歌で存在感を示していた。吉田拓郎系のフォーク・ロックや、井上陽水のような言葉の感触を重視する流れとも近く、ただし山崎ハコの場合は、より硬質で、個人の体温がそのまま録音に残るような印象が強い。

代表曲について

山崎ハコの代表曲としては「呪い」「気分をかえて」「織江の唄」などがよく知られている。『幻想旅行』がそのまま最大のヒット作というより、彼女の表現の幅を確認できる時期の一枚として見られることが多い。こうした代表曲に通じる、歌の強さと、感情を抑え込んだまま積み上げる作法は、本作でも確認できるはずだ。

聴きどころの見方

この作品を聴くときは、メロディの派手さよりも、声の質感、言葉の置き方、伴奏との距離感に注目すると輪郭がつかみやすい。山崎ハコの作品は、1曲単位で大きく盛り上げるというより、曲が進むにつれてじわじわと印象が残るタイプが多い。『幻想旅行』も、その流れの中で位置づけられるアルバムとして捉えやすい。

1981年という時点での山崎ハコの歌を知るうえで、ひとつの節目として置いておける作品だ。

トラックリスト

  • A1 – 幻想旅行
  • A2 – 北北東
  • A3 – 終点まで満員
  • A4 – 東北・都
  • A5 – 雪の道
  • B1 – サンクチュアリーへ
  • B2 – 港の歌
  • B3 – さくら
  • B4 – 歌は旅
  • B5 – 旅路

関連動画

2026.09.26
この記事をシェア