King Crimson – Discipline (1981)
King Crimson『Discipline』について
1981年に登場したKing Crimsonの『Discipline』は、長い活動の流れの中でバンドが新しい編成へ移行した時期を示す重要な作品だ。Robert Frippを軸に、Adrian Belew、Tony Levin、Bill Brufordという顔ぶれで制作され、King Crimson名義としては1980年代の再始動を告げるアルバムになっている。プログレッシブ・ロックという枠の中でも、70年代の重厚さとは少し違う、リズムの組み立て方やギターの絡み方に焦点がある一枚。
作品の位置づけ
King Crimsonは1968年に結成された英国発のプログレッシブ・ロック・バンドで、初期から編成変化の多いグループとして知られている。1974年にいったん活動を終えたあと、7年ぶりに新しい形で再登場したのがこの時期だ。『Discipline』は、その再始動後の最初のスタジオ・アルバムとして、80年代King Crimsonの方向性を決定づけた作品といえる。
この編成では、Frippのギターが前面に出るというより、Belewのボーカルとギター、LevinのChapman Stick、Brufordのドラムが細かく噛み合う構成が目立つ。King Crimsonの中でも、70年代の『Larks’ Tongues in Aspic』期や『Red』期とは手触りがかなり違う。
サウンドの特徴
アルバム全体を通して耳につくのは、反復の使い方と、各パートの独立した動きだ。単純に演奏が派手というより、複数のパターンがずれながら重なっていく作りで、リズム面の設計がかなり細かい。ギターはフレーズの切れ方がはっきりしていて、ベースやStickの音も含め、輪郭の見えやすい録音になっている。
聴きどころとしては、タイトル曲「Discipline」がまず挙がる。アルバムの冒頭で、バンドの新しい方法論をそのまま提示するような曲だ。さらに、「Matte Kudasai」はこの作品の中でも比較的メロディが前に出た曲として知られ、アルバムの中で印象を変える役割を持っている。ほかにも「Frame by Frame」「Thela Hun Ginjeet」など、80年代King Crimsonを代表する楽曲が並ぶ。
同時代の文脈
1981年という時期のプログレッシブ・ロックは、70年代前半のような大型組曲中心の流れから少し離れ、ニューウェーブやポスト・パンク以後の感覚とも接点を持ちはじめていた。『Discipline』はその中で、King Crimsonが過去のスタイルをそのまま繰り返さず、より鋭いリズム感と整理された音像へ寄せていった作品として聴かれることが多い。
同時代のロックの中では、単なる懐古ではなく、複雑な構成を保ちながらも音数や切り口を変えている点が特徴的だ。Frippの作曲観や編成の組み方が、ここではかなり明確に出ている。
US盤について
今回のUS盤は1981年リリースで、Warner Bros. Records / E.G. Recordsのクレジットが入っている。スパインには「Warner Bros. Records Inc. / E.G. Records Ltd. Printed In U.S.A.」、バックカバーには「© ℗ 1981 EG Records Ltd. Made in U.S.A.」の表記がある。レーベル面では、全曲がE.G. Music Inc.-BMI / Editions E.G.-ASCAP表記になっている。
オリジナル盤としての1981年の空気感を持つ一枚で、後年の再発盤と比べると、まずは当時のUSリリース仕様そのものを確認できるのがポイントだ。
まとめ
『Discipline』は、King Crimsonが80年代に入って再び動き出したことを示すアルバムであり、Fripp、Belew、Levin、Brufordという編成の個性がそのまま音になった作品だ。初期のプログレとも、70年代後半の重い展開とも違う、細部の組み立てで聴かせるタイプのKing Crimson。バンドの歴史の中でも、ひとつの転換点として扱われることが多い。
トラックリスト
- A1 – Elephant Talk (4:40)
- A2 – Frame By Frame (5:05)
- A3 – Matte Kudasai (3:46)
- A4 – Indiscipline (4:30)
- B1 – Thela Hun Ginjeet (6:23)
- B2 – The Sheltering Sky (8:19)
- B3 – Discipline (5:00)