Robert Fripp – God Save The Queen / Under Heavy Manners (1980)
Robert Fripp / God Save The Queen / Under Heavy Manners
King Crimsonの中心人物として知られるRobert Frippが、1980年に発表したシングル盤。名義はソロだが、内容はフリップの当時の関心がそのまま出た作品で、ギターの前面に出るロック的な感触と、リズムや反復を軸にした実験性が同居している。1970年代末のフリップ周辺を追っていると見えてくる、ポスト・パンク以後の空気と、ディスコやエレクトロニックの要素が交差する時期の記録として捉えやすい一枚。
作品の位置づけ
Robert FrippはKing Crimsonの創設メンバーであり、継続的な中心人物でもあるギタリストだが、この時期はバンド活動とは別に、Frippertronicsに通じる処理や、反復を使った構成にも関心を向けていた。
このシングルも、そうした流れの中にある。ギターのフレーズを主役にしながら、バンドサウンドをそのまま鳴らすというより、音の層や編集の感覚を前に出した作りになっている。
1980年という年で見ると、King Crimsonがいったん活動を止めていた時期とも重なる。Fripp個人の動きとしては、次の展開に向かう前段階の作品という見方がしやすい。
収録曲と内容
- God Save The Queen
- Under Heavy Manners
タイトル曲の「God Save The Queen」は、同名の英国国歌を思わせる題名だが、内容はそのままの引用ではなく、Frippらしい緊張感を持った別物として扱われている。政治的な意味合いを強く断定するより、タイトルの持つ引っかかりと、楽曲の構造の方に目が向く作品。
「Under Heavy Manners」は、この盤の中心に置かれる曲として知られる。反復するビートと、硬質なギターの動きが前に出るタイプで、同時代のアート・ロックやダンス・ミュージックの境界をまたぐ感触がある。Frippのソロ作の中では、即興の奔放さよりも、リズムの固定と編集された感触がはっきりしている。
同時代の文脈
1980年前後のFripp周辺は、King Crimson的なプログレ文脈だけでなく、ポスト・パンクやニューウェイヴ以後の「ギターの使い方」と近いところにもいる。
たとえば、鋭いフレーズを短く反復させる感覚、ベースやドラムの機械的な推進力、スタジオでの組み立てを重視する姿勢などは、同時代のアート・ロックや実験的なダンス志向の作品群と並べて見やすい。
ただし、Frippの音はあくまでギタリストとしての手触りが強い。電子音楽寄りの処理が入っても、音の芯はギターにある、という印象が残る。
音の印象
実際に聴くと、派手な展開で押す盤ではなく、同じ素材を少しずつずらしながら進める作りが目につく。
音数は多くないが、フレーズの置き方と間の取り方がはっきりしていて、Frippの作品の中でも「音の配置」を意識しやすい。ロックの形式に収まりきらない一方で、完全に環境音楽へ寄るわけでもない、その中間の緊張感がある。
この盤についての補足
1979年に複数の場所で録音され、ニューヨークのHit Factoryでコンパイルされた作品。インナー・スリーブ付きで発行されている。US盤ではラベル表記や刻印に特徴があり、プレス工場に関する手がかりも残されている。
後年には再発もあるが、1980年のオリジナル盤としては、当時のFrippの関心がストレートに出た記録として見やすい。
まとめ
「God Save The Queen / Under Heavy Manners」は、Robert FrippがKing Crimsonの枠外で、リズム、反復、編集感覚を前面に出していた時期の一枚。
プログレのギタリストという見え方だけでは収まりにくく、1980年前後の実験的なロック、アート・ロック、ダンス寄りの感覚が交差する地点にある作品として、位置づけやすいシングル盤。
トラックリスト
- A1 – Red Two Scorer (6:54)
- A2 – God Save The Queen (9:50)
- A3 – 1983 (13:20)
- B1 – Under Heavy Manners (5:14)
- B2 – The Zero Of The Signified (12:38)