Steve Hackett – Voyage Of The Acolyte (1975)
Steve Hackett / Voyage Of The Acolyte
Steve Hackettの初ソロ作として知られるのが、1975年発表の「Voyage Of The Acolyte」だ。Genesis在籍中に制作されたアルバムで、バンドの枠を少し離れたところで、ギターを軸にした組曲的な構成と、シンフォニックな展開を前面に出している。プログレッシブ・ロックの文脈では、Steve Hackettという名前を語るうえで外せない1枚になっている。
ここで扱うのは1978年に日本で出た盤。オリジナルの1975年盤とは時期が異なり、日本盤としての仕様が加わっている。帯とインサート付きで、インサートには英語詞と日本語ライナーノーツを収録。曲順や内容は作品の核をそのまま伝えつつ、国内盤らしい丁寧な作りになっている。
作品の位置づけ
Steve Hackettは、1950年ロンドン生まれの英国人ギタリスト。Genesisで8作に参加し、1977年に離脱したのち、ソロ活動へ本格的に移っていく。その流れの中で見ると、「Voyage Of The Acolyte」は、後のソロ作へつながる出発点という位置づけがはっきりしている。Genesis時代の緊密なアンサンブル感を引き継ぎながら、より個人名義の作品として組み立てられている点が重要だ。
音の印象
全体はロックを基調にしつつ、プログレッシブ・ロックらしい展開の多さがある。アコースティックなパートとエレクトリックなパートの切り替え、静かな導入から厚みのあるバンド・サウンドへ進む構成など、曲ごとの温度差が大きい。ギターは前に出るが、いわゆる速弾き中心ではなく、フレーズの置き方や音色の選び方で聴かせるタイプの内容だ。
実際に聴くと、派手さよりも、曲が少しずつ形を変えながら進む流れが印象に残る。細かな部分では、メロディの運びや間の取り方に、当時のGenesis周辺で共有されていた感覚が見える。単独のギタリスト作品というより、1970年代半ばの英国プログレの空気をまとったアルバム、という受け止め方がしやすい。
同時代との関係
1975年という時期は、Genesisのほか、YesやCamel、King Crimson周辺など、英国のプログレッシブ・ロックが多様化していた頃に当たる。その中でこの作品は、歌や大編成の派手さで押すより、ギターを中心にした作曲と構成のまとまりで存在感を出している。Steve Hackett個人の感性が、そのまま作品の骨格になっている点が特徴的だ。
代表曲として触れたい曲
アルバム全体の流れで聴かれる作品だが、「Shadow of the Hierophant」はよく話題に上る曲だ。長めの構成で、静かな始まりから徐々に密度を上げていく展開が印象に残る。ソロ作でありながら、バンド的なスケール感を持ったナンバーとして、このアルバムの性格を端的に示している。
日本盤について
1978年の日本盤は、帯と日本語ライナーノーツ付きという点がまず分かりやすい。さらに、インサートに英語詞が載っているので、歌詞を追いながら聴きやすい仕様になっている。トラックの長さはインサート表記基準で、世界各国盤の表記と少し異なるとのこと。レコードの細部まで含めて楽しめる、当時の国内プレスらしい一枚だ。
まとめ
「Voyage Of The Acolyte」は、Steve HackettがGenesisのギタリストとして知られる以前から、すでにソロ作としての輪郭を持っていたことを示すアルバムだ。1975年のオリジナル作品としての価値に加え、1978年の日本盤では、帯・インサート付きの仕様も含めて当時の輸入盤文化を感じさせる。英国プログレの流れの中で、ギター主導の組曲的な作品として位置づけやすい1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Ace Of Wands (5:20)
- A2 – Hands Of The Priestess (Part 1) (3:24)
- A3 – A Tower Struck Down (3:49)
- A4 – Hands Of The Priestess (Part 2) (2:47)
- A5 – The Hermit (4:43)
- B1 – Star Of Sirius (7:04)
- B2 – The Lovers (7:56)
- B3 – Shadow Of The Hierophant (5:22)