Al Di Meola – Scenario (1983)
Al Di Meola『Scenario』について
『Scenario』は、ジャズ/フュージョン・ギタリスト、Al Di Meolaが1983年に発表した作品。初期から高い技巧で知られてきた彼が、1980年代前半のデジタル録音時代に入って制作したアルバムで、作り込みの細かさと演奏の切れ味が前面に出た一枚として位置づけられる。
Al Di Meolaは1954年、ニュージャージー州ジャージー・シティ生まれ。Return to Foreverで名を広めたあと、ソロ作ではラテン色の強いアコースティック路線から、エレクトリックなフュージョンまで幅広く展開してきた。この『Scenario』は、その流れの中で1983年という時代感をよく映す作品といえる。
作品の内容と参加ミュージシャン
本作には、Phil CollinsとBill Brufordが参加している。いずれもそれぞれの所属レーベルのクレジット付きで収録されており、ロック/プログレッシブ・ロックの文脈でも名前の通る演奏家が関わっている点が、この作品の輪郭をはっきりさせている。
演奏面では、Di Meolaらしい速いフレーズ、音の粒立ちのそろったギター、緻密なアンサンブルが中心。ジャズの即興性だけで押し切るというより、構成のあるフュージョン作品としてまとまっている印象を持たれやすい内容だろう。
1983年のフュージョン作品としての位置
1980年代前半のフュージョンは、録音技術の進化やシンセサイザーの普及と結びついて、音像が整理された作品が増えていた時期。本作も「A Digital Recording.」とあるように、当時の新しい録音環境を反映した仕上がりになっている。
同時代の近い感覚を持つギタリストとしては、John McLaughlinやLarry Coryell、Pat Methenyなどが比較対象に挙がりやすい。もっとも、Di Meolaはその中でもリズムの切り方やピッキングの明瞭さが際立つタイプで、『Scenario』でもその個性が前に出ている。
日本盤の仕様
この日本盤は、帯付き、重量感のあるカードスリーブ、厚手のMaster Sound内袋という仕様。英語・日本語の片面インサートが付属し、盤によってはMastersound Catalogueのインサートが入る場合もある。
オリジナルが1983年の作品であるのに対し、この日本盤も同年リリース。初出時の空気をそのまま伝える盤として扱える。
聴きどころ
この作品でまず目を引くのは、ギターの輪郭のはっきりした音作り。速弾きの派手さだけでなく、音の抜け、リズムの置き方、バンド全体の密度が聴きどころになっている。
また、ゲスト陣の存在によって、単なるギター・ソロ作品ではなく、曲ごとの色合いが変わる点もこのアルバムの面白さ。ジャズの即興、ロック寄りの推進力、スタジオ作品としての整った構成、その3つが同居した一枚として捉えやすい。
まとめ
『Scenario』は、Al Di Meolaの1983年時点の到達点を、デジタル録音のクリアな音像でまとめたフュージョン作品。技巧、編曲、ゲストの存在感がバランスよく並んだアルバムで、80年代前半のジャズ/フュージョンの空気を知るうえでも重要なタイトルのひとつといえる。
トラックリスト
- A1 – Mata Hari (6:04)
- A2 – African Night (4:51)
- A3 – Island Dreamer (4:06)
- A4 – Scenario (3:55)
- B1 – Sequencer (4:06)
- B2 – Cachaca (5:34)
- B3 – Hypnotic Conviction (3:51)
- B4 – Calliope (4:19)
- B5 – Scoundrel (3:44)