King Crimson – USA (1975)
King Crimson『USA』について
『USA』は、King Crimsonが1975年に発表したライヴ・アルバム。録音は1974年6月のアメリカ公演で、ニュージャージー州アズベリー・パークのCasinoでの演奏が中心になっている。King Crimsonといえば、1960年代末からプログレッシブ・ロックの流れを形づくってきた重要バンドで、この作品は1972年以降の重さと緊張感を含んだ編成のライヴ記録として位置づけられる。
この時期のKing Crimsonは、ロバート・フリップ、ジョン・ウェットン、ビル・ブルフォードらを軸にしたラインナップで、スタジオ盤とは少し違う、演奏の切迫感や即興性が前に出る時期だった。『USA』はその空気をそのまま切り取った作品で、同時代のプログレの中でも、YesやGenesisのような構築的な側面とは別に、より硬質で鋭い演奏感を持つ記録として聴かれている。
収録内容と録音の背景
マスターノートによると、アルバムの大部分は1974年6月28日にニュージャージー州アズベリー・パークのCasinoで録音されている。さらに「21st Century Schizoid Man」は、1974年6月30日にロードアイランド州プロヴィデンスのPalace Theatreで録音されたもの。ライブ音源をつなぎ合わせた形だが、当時のバンドの演奏をまとめて追える構成になっている。
録音はRecord Plant N.Y.C.で行われ、ミックスはロンドンのOlympic Studios。クレジットには1975年のAtlantic Recording Corporation表記がある。盤面のランオフには手書き刻印がある仕様で、初期プレスの資料性を重視する人には気になるポイントになりそうだ。
聴きどころ
この作品でまず目立つのは、ライヴならではの音の前進感。会場のノイズが針を落とす前から入り込み、B面にはロックした溝にまで観客のざわめきが続くという記載があり、単なる演奏記録というより、当日の会場の空気を含めたパッケージになっている。
King Crimsonのライヴは、スタジオ盤での緻密な構成に対して、ステージ上ではさらに緊張感が増すことが多いが、『USA』もその性格がはっきりした作品。特に「21st Century Schizoid Man」は、バンドの初期代表曲として知られる曲で、70年代中盤の編成で改めて演奏されることで、オリジナルとは別の硬さと推進力が見えてくる。
King Crimsonの中での位置づけ
King Crimsonは結成以来、メンバー交代を重ねながら、時期ごとに音楽性を変えてきたバンド。『USA』は、その変遷の中でも、70年代前半の重厚なプログレ路線を示すライヴ資料として見やすい一枚。スタジオ盤の『Larks’ Tongues in Aspic』や『Starless and Bible Black』周辺の流れを、観客のいる空間で確認できる内容になっている。
同時代のプログレ勢と比べると、演奏の整然さよりも、音のぶつかり方や即興の張り詰め方が前に出る印象がある。ジャズ・ロック寄りの感触や、フリーな展開を含む場面もあり、King Crimsonらしい実験性がライヴの形で出ている作品といえる。
作品の要点
- 1975年発表のKing Crimsonのライヴ・アルバム
- 1974年6月のアメリカ公演を収録
- 中心はアズベリー・パークのCasinoでの録音
- 「21st Century Schizoid Man」を含む構成
- 1970年代中盤のKing Crimsonの演奏感を伝える記録
『USA』は、曲そのものの完成度だけでなく、当時のKing Crimsonがステージ上でどう鳴っていたかを知る手がかりになる一枚。録音時期、会場、編成の条件が重なって、バンドの持つ緊張感がそのまま残っている作品だといえる。
トラックリスト
- A1 – Larks’ Tongues In Aspic Part II (6:45)
- A2 – Lament (4:05)
- A3 – Exiles (7:04)
- B1 – Asbury Park (6:50)
- B2 – Easy Money (6:32)
- B3 – 21st Century Schizoid Man (7:32)