Fairport Convention – Moat On The Ledge (Live At Broughton Castle, August ’81) (1982)

Fairport Convention『Moat On The Ledge (Live At Broughton Castle, August ’81)』について

Fairport Conventionは、1967年に結成されたイングランドのフォーク・ロック・バンド。英米のフォーク・ソングをロック・バンド編成で鳴らす流れの中でも、かなり早い段階から存在感を示したグループで、このライブ盤はその長い活動の中でも、1981年の再結成公演を記録した作品として位置づけられる。タイトルどおり、場所はオックスフォードシャー州バナベリー近郊のBroughton Castle。バンドの歴史と、後のCropredy Festivalにつながる出来事をそのまま残した記録盤という性格が強い。

作品の成り立ち

収録は1981年8月15日。1979年の解散後、最初の再結集となった公演で、もともとは一度きりのイベントとして行われたものだったという。その後、この再結成公演は翌年も繰り返され、さらに毎年続く形になっていき、やがてCropredy Festivalへ発展していく。つまりこのレコードは、単なるライブ・アルバムというより、フェアポート・コンベンションの再始動を示す現場記録でもある。

録音後はWoodworm Studiosでミックスされており、ジャケットはブルー系の色調。カナダ盤として出ているのもこの情報の特徴で、同じタイトルでもレーベル表記やラベルの意匠に差がある版が確認されている。

バンドの文脈

Fairport Conventionといえば、イギリスのフォークを基盤にしながら、ロックの編成と演奏感を持ち込んだ代表的な存在。Sandy Denny、Richard Thompson、Dave Swarbrick、Dave Pegg、Simon Nicol、Dave Mattacksといった名前が並ぶだけでも、このバンドの履歴の厚みが見えてくる。メンバーの入れ替わりが多いグループだが、再結成の場でその系譜をまとめて確かめられるのがこの作品の面白さだろう。

同時代の英国フォーク・ロックの流れで見ると、Steeleye SpanやPentangleと並べて語られることが多いバンドだが、Fairport Conventionはより長く活動を重ね、ライブの現場でバンドの歴史そのものを更新していった印象がある。この盤は、その過程のひと区切りにあたる。

音の印象

ライブ盤なので、スタジオ作品のような整った音像というより、会場の空気感と演奏の流れが前に出るタイプの記録だ。アコースティック楽器の響きと、ロック・バンドとしての厚みが同居するのがFairport Conventionらしいところで、曲ごとの輪郭がはっきりしていく。録音会場が城の前ということもあり、屋外の開放感と、フォーク・ソングの素朴な輪郭がそのまま残っている。

実際に聴くと、バンドの歴史を知っているほど、各メンバーの役割が見えやすい。Richard Thompsonのギター、Dave Peggのベース、Dave Swarbrickのフィドルなど、各パートが曲の推進力として機能しているのがわかる。再結成直後の演奏ということで、過去曲の再現に終わらず、バンドの現在形を見せようとする意識も感じられる。

収録曲について

この作品はバンドの代表曲群をライブでまとめて聴けるタイプの一枚として扱える。Fairport Conventionのライブでは、伝統曲の流れとオリジナル曲の流れが地続きになりやすく、そこがこのバンドの持ち味でもある。特定の一曲だけが突出するというより、セット全体でバンドの履歴が立ち上がる構成だ。

代表曲として知られる「Matty Groves」や「Who Knows Where the Time Goes?」など、Fairport Conventionを象徴する曲群と結びつけて聴かれることが多い系統の作品でもある。歌ものの印象と、インストゥルメンタルの切り替えが自然で、ライブならではの進行が見えやすい。

この盤の位置づけ

『Moat On The Ledge』は、1970年代末の空白を経て、Fairport Conventionが再び公の場に立った瞬間を記録した作品として見やすい。単なる懐古ではなく、このあと続いていく再結成の流れの出発点に置かれる一枚だ。バンドの歴史を追ううえでは、スタジオ盤と並んで押さえたいライブ記録という位置づけになる。

カナダ盤としての本作は、1982年のリリース当時のかたちを伝える資料としても意味がある。Fairport Conventionの歩みを、再結成の現場から見せるライブ盤。そういう性格の作品だ。

トラックリスト

  • A1 – Walk Awhile (4:08)
  • A2 – Country Pie (3:23)
  • A3 – Rosie (4:15)
  • A4 – Matty Groves (9:30)
  • B1 – Both Sides Now (3:25)
  • B2 – Poor Will And The Hangman (5:37)
  • B3 – The Brilliancy Medley / Cherokee Shuffle (3:27)
  • B4 – Woman Or A Man (3:20)
  • B5 – High School Confidential (4:20)

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2026.09.03
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