Trees – On The Shore (1970)

Trees『On The Shore』について

Treesは、1969年から1972年にかけて活動したイングランドのフォーク・ロック・バンド。『On The Shore』は、その活動初期にCBSから発表された2枚目のスタジオ・アルバムで、オリジナルは1971年の作品だ。今回の盤は1987年リリースのUK盤で、オリジナル盤から時間を置いた再発として聴かれることになる。

グループは、トラディショナル・ソングのアレンジと、主にBias Boshellによるオリジナル曲を組み合わせた構成で知られる。Fairport Conventionと並べて語られることが多い一方で、こちらはもう少しサイケデリックな色合いが強い、とされるバンドだ。『On The Shore』は、そのバンド像がまとまって見える1枚という位置づけにある。

アルバムの背景

TreesはCBSと1969年8月に契約し、Sound Techniquesスタジオでトニー・コックスのプロデュースのもと、短い間隔で2枚のアルバムを制作した。1枚目の『The Garden Of Jane Delawney』に続く本作では、フォークの曲調を軸にしながら、演奏の組み立てや曲の運びに独特の緊張感がある。カバー・アートはHipgnosisのStorm Thorgersonによるもの。

メンバーはBias Boshell、Barry Clarke、Celia Humphris、David Costa、Unwin Brown、Barry Lyons、Alun Eden。バンド内での役割がはっきりしていて、女性ヴォーカルのCelia Humphrisを含む編成が、楽曲の輪郭をはっきりさせている。

サウンドの印象

実際に聴くと、アコースティックな響きが中心にありつつ、曲によってはエレクトリックな入り方や展開の付け方に70年代初頭らしい質感がある。フォーク・ロックの枠内に収まりながら、素朴さだけで終わらない構成で、曲ごとの陰影が出やすいアルバムだ。トラッド由来の素材とオリジナル曲が並ぶことで、バンドの編集感覚も見えやすい。

派手なヒット曲で押すタイプではなく、アルバム全体で流れを聴かせる性格が強い。なので、1曲単位の知名度よりも、作品全体のまとまりで印象が残るタイプのレコードだと思う。

同時代との関係

同時代の英国フォーク・ロックとしては、Fairport Conventionとの比較がよく挙がる。Treesの場合は、伝統曲の扱いに加えて、少し心理的な陰りやサイケデリックな感触が混ざる点が特徴として語られることが多い。『On The Shore』は、その方向性がはっきりした中期の記録として見える。

1987年盤として

この盤は1987年のUKリリース。オリジナルの1971年盤と比べると、作品そのものは同じ内容として受け取られる一方、再発盤としては当時の入手性を補う役割が大きい。Treesのアルバムをまとめてたどるうえで、80年代後半の再発は重要な入り口になっている。

まとめ

『On The Shore』は、Treesというバンドが持っていた英国フォーク・ロックの骨格と、少しだけ外側に出る感触をそのまま残したアルバムだ。トラディショナルとオリジナルの並び、Celia Humphrisの歌声、Sound Techniquesでの録音、Storm Thorgersonのアートワーク。そうした要素が揃っていて、バンドの代表的な1枚として見られることが多い作品になっている。

トラックリスト

  • A1 – Soldiers Three (1:50)
  • A2 – Murdoch (5:05)
  • A3 – Streets Of Derry (7:30)
  • A4 – Sally Free And Easy (10:40)
  • B1 – Fool (5:20)
  • B2 – Adams Toon (1:10)
  • B3 – Geordie (5:05)
  • B4 – While The Iron Is Hot (3:20)
  • B5 – Little Sadie (3:05)
  • B6 – Polly On The Shore (6:10)

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2026.06.18