Pink Floyd – The Later Years 1987-2019 (2019)
Pink Floyd『The Later Years 1987-2019』について
『The Later Years 1987-2019』は、Pink Floydの1987年以降の活動をまとめたボックス・セットで、2019年にリリースされた作品だ。対象になっているのは、David Gilmour、Nick Mason、Richard Wrightを軸にした後期Pink Floydの時代で、スタジオ盤、ライヴ盤、映像作品、未発表音源や別ミックスなどを横断的に収めた内容になっている。
Pink Floydというと、1960年代後半のサイケデリック期から、70年代のコンセプト色の強い作品群までがまず思い浮かぶが、このセットはその後の1987年以降に光を当てたものだ。バンドの後期キャリアを整理してたどれる構成で、歴史資料としての性格も強い。
作品の位置づけ
この時期のPink Floydは、1987年の『A Momentary Lapse of Reason』で再始動し、1994年の『The Division Bell』、2014年の『The Endless River』へとつながっていく。ライヴ作品では『Delicate Sound of Thunder』『Pulse』が重要で、いずれも後期Pink Floydの演奏を記録した代表作として知られている。
『The Later Years 1987-2019』は、こうした後期の音源と映像をまとめて確認できるセットで、バンドの後半20年以上を一つのまとまりとして見せる内容だ。Roger Waters脱退後の編成で進んだ時代を中心にしている点が、Pink Floydのディスコグラフィの中でははっきりした特徴になっている。
収録時代の流れ
- 『A Momentary Lapse of Reason』(1987年)
- 『Delicate Sound of Thunder』(1988年)
- 『The Division Bell』(1994年)
- 『Pulse』(1995年)
- 『The Endless River』(2014年)
この流れを見ると、スタジオ作品とライヴ作品が交互に重要な位置を占めていることがわかる。特に『The Division Bell』期は、後期Pink Floydのサウンドを代表する時代として語られることが多い。『High Hopes』のような楽曲は、その時代を象徴する1曲として知られている。
内容とパッケージ
この盤はゲートフォールド仕様で、24ページのブックレットが付属する。単なる音源集というより、記録性を意識した編集物という印象が強い。後期Pink Floydの活動を、作品単位ではなく時系列で見通せる点がポイントだ。
オリジナルの各アルバムやライヴ盤を個別に追っていくのとは違い、このセットでは1987年以降の流れをまとめて把握できる。再発盤というより、後期作品群を包括するアーカイヴ・プロジェクトとしての性格が前面に出ている。
Pink Floydの中での意味
Pink Floydは、哲学的な歌詞、音響実験、サウンドエフェクト、そして大規模なライヴ演出で知られるバンドだが、このセットはそのうちの後期ライヴ・バンドとしての側面をあらためて示している。70年代の『The Dark Side of the Moon』や『Wish You Were Here』のような作品群とは時代も編成感も違うが、後期にも独自の制作規模と演出意識が続いていたことが伝わる内容だ。
Pink Floydはプログレッシブ・ロックの文脈で語られることが多い一方、この時期は大きな会場でのライヴ運用や映像表現も含めて、バンドの総合力が見えやすい。『The Later Years 1987-2019』は、その後期像を整理した記録として位置づけられる作品だ。
まとめ
『The Later Years 1987-2019』は、1987年以降のPink Floydをまとめた2019年のボックス・セットだ。『A Momentary Lapse of Reason』から『The Endless River』までの主要な流れを押さえつつ、ライヴ作品や関連資料も含めて、後期Pink Floydの全体像を追える構成になっている。バンドの歴史の中では、Roger Waters脱退後の時代をどう記録するかという意味合いが強い作品だ。
トラックリスト
- A1 – Shine On You Crazy Diamond, Parts 1-5 (Live At Knebworth 1990)
- A2 – Marooned Jam (The Division Bell Sessions)
- A3 – One Slip (2019 Remix)
- B1 – Lost For Words (Pulse Tour Rehearsal 1994)
- B2 – Us And Them (Delicate Sound Of Thunder 2019 Remix)
- B3 – Comfortably Numb (Live At Knebworth 1990)
- C1 – Sorrow (2019 Remix)
- C2 – Learning To Fly (Delicate Sound Of Thunder 2019 Remix)
- C3 – High Hopes (Early Version) (The Division Bell Sessions)
- D1 – On The Turning Away (2019 Remix)
- D2 – Wish You Were Here (Live At Knebworth 1990)
- D3 – Run Like Hell (Delicate Sound Of Thunder 2019 Remix)