• TOP
  • Rock
  • Alameda – Misterioso Manantial (1980)

Alameda – Misterioso Manantial (1980)

1979年にセビリアで結成され、デビュー作『Alameda』の成功によってトリアーナ(Triana)と並ぶロック・アンダルス(Rock Andaluz / アンダルシアン・ロック)の旗手となったアラメダ(Alameda)が、1980年にディスコス・エピック(Epic / Discos CBS)から発表したセカンド・アルバム。「神秘の泉」を意味するタイトルを冠した本作は、デビュー作の熱狂的な反響を受けつつ、より緻密なプログレッシブ・ロック的構成とフラメンコ、室内楽的アレンジを深めた作品である。

ゴンサロ・ガルシア・ペラヨの制作体制とツイン・キーボード

プロデュースを手掛けたのは、トリアーナをはじめ数々のアンダルシアン・ロックの重要作を世に送り出したプロデューサー、ゴンサロ・ガルシア・ペラヨ(Gonzalo García-Pelayo)率いる「ZA Producciones」。レコーディングはマドリードのオーディオフィルム(Audiofilm)スタジオで行われ、音響エンジニアはアントニオ・モラレス(Antonio Morales)が担当した。

バンドの中核を成すのは、フラメンコ由来のメロディと哀愁を帯びた歌声を聴かせるペペ・ロカ(Pepe Roca)のボーカル&ギターと、ラファエル&マノロのマリネッリ兄弟(Rafael & Manolo Marinelli)によるツイン・キーボード編成だ。アコースティック・ピアノ、モーグ・シンセサイザー、ストリングス系鍵盤を重層的にレイヤーしたマリネッリ兄弟のアレンジが、マノロ・ロサ(ベース)とルイス・モレノ(ドラムス)のリズムセクションと組み合わさり、シンフォニックなスケール感を生み出している。

トマティートとマングリスの豪華客演

本作の大きなハイライトとなっているのが、当時のスペイン音楽シーンを代表する名手たちのゲスト参加である。

フラメンコ・ギターには、伝説的カンタオールであるカマロン・デ・ラ・イスラとの共演で若くして脚光を浴びていたトマティート(Tomatito / 本名ホセ・フェルナンデス・トーレス)が全面的に参加。幕開けを告げる短いインストゥルメンタル「Aurora」ではバンドとともに作曲者としてもクレジットされているほか、哀愁のバラード「Dos Amores」や「En Tus Labios」、タイトル曲「Misterioso Manantial」など、アルバムの大半のトラックで歯切れの良いトケ(フラメンコの奏法)を披露している。

さらにA面ラストを飾る7分超の大作「Canto Al Despertar」では、アンダルシアン・ジャズ・ロックの代表的グループであるグアダルキビール(Guadalquivir)を率いるギタリスト、ルイス・コボ “マングリス”(Luis Cobo “Manglis”)が客演。流麗かつエッジの効いたエレクトリック・ギター・ソロを聴かせている。

ラテン・リズムと室内楽的アプローチの導入

前作が歌モノとしての親しみやすさで広く受け入れられたのに対し、本作では楽曲の構成やアレンジ面での実験性が一段と強まっている。

「Canto Al Despertar」では、ブラジルのサンバやボサノヴァを思わせる軽快なリズムパターンを取り入れ、フラメンコ・ロックとのクロスオーバーを試みている。また、タイトル曲「Misterioso Manantial」では、アントニオ・ガルシアによるクラリネットやミゲル・サンスのオーボエといった木管楽器を導入。ハビエル・ベネットらによるティンパニなどのクラシック打楽器も加わり、ロックとフラメンコの枠を超えた室内楽的・交響詩的な音像が構築されている。

マキシモ・モレノのアートワークと本作の位置づけ

アルバムのジャケット・アートワークを手掛けたのは、トリアーナの諸作をはじめとするアンダルシアン・ロックのジャケット画で知られる画家マキシモ・モレノ(Máximo Moreno)。静謐な水辺と光をシュルレアリスムの手法で描き出した絵画は、アルバムの持つ内省的で幻想的な世界観を的確に視覚化している。

シングル曲のヒットに支えられたファースト・アルバムに比べると、即効性のあるポップさよりもプログレッシブなアンサンブルの構築に重きを置いた構成となっており、1980年前後のスペインにおいてロック・アンダルスが到達した音楽的成熟のひとつの形を物語る作品といえるだろう。

トラックリスト

  • A1 - Aurora (2:01)
  • A2 - Dos Amores (4:15)
  • A3 - En Tus Labios (5:54)
  • A4 - Canto Al Despertar (7:17)
  • B1 - Misterioso Manantial (5:37)
  • B2 - Vuelo De Cristal (3:24)
  • B3 - Al Caer (4:37)
  • B4 - Sobre Tu Piel (5:51)
2026.11.04
この記事をシェア