• TOP
  • Jazz
  • Allan Holdsworth – Atavachron (1986)

Allan Holdsworth – Atavachron (1986)

Allan Holdsworth『Atavachron』について

『Atavachron』は、ギタリスト/作曲家 Allan Holdsworth による1986年作。ジャズ・フュージョンを軸にしながら、ロックの感触も持ち込んだアルバムとして知られている。Holdsworth は、速弾きの派手さよりも、独特の和声感やレガート主体のフレーズ、そしてギターの音色そのものまで含めて語られることの多い人物で、この作品もその個性がよく出た時期の一枚といえる。

作品の位置づけ

1980年代半ばの Holdsworth は、フュージョンの文脈の中で、より複雑なコード進行や浮遊感のあるメロディを押し出していった時期にある。『Atavachron』もその流れの中にあり、一般的なジャズ・ロックの枠に収まりきらない内容になっている。アルバム単位で聴くと、ギターの主張だけでなく、シンセサイザーやリズムの組み方まで含めて、独自の設計で進む作品という印象が強い。

タイトル曲「Atavachron」は、アルバムの核として語られやすい曲で、Holdsworth の作曲面の特徴がまとまっている。代表曲として挙げられることも多く、この時期の彼を知る入口になりやすいナンバーだ。

音の印象

実際に聴くと、まず耳に入るのは Holdsworth のギターの滑らかなつながり方。音が途切れずに流れていくようなフレーズが続き、普通のロック・ギターのリフ中心の進み方とはかなり違う。リズム面でも、単純な反復より、細かく展開する構成が目立つ。ジャズ寄りのテンション感と、ロックの推進力が同居している感じだ。

また、この時期の作品らしく、シンセの色合いも大きい。ギターだけで押し切るというより、音の層を重ねて空間を作るタイプのアルバムで、演奏の密度は高いが、聴感上は意外と広がりがある。フュージョンという言葉から連想される軽快さより、もっと構築的な方向に寄っている。

時代背景と比較の文脈

1980年代のジャズ・フュージョンは、ウェザー・リポート系の流れや、よりポップな洗練へ向かう動きなど、いくつかの方向に分かれていた。その中で Holdsworth は、アラン・ホールズワースでしかないコード感と音程感を強く押し出していた。比較対象として名前が挙がりやすいのは、同時代のフュージョン・ギタリストというより、より実験性の高いプレイヤーや、ジャズ寄りの音楽家たちのほうかもしれない。

ただし、この作品は前衛一辺倒ではなく、ロック的な粘りもある。そのバランスが、単なる技巧披露に見えないところにつながっている。

日本盤としての情報

この盤は日本製、Warner-Pioneer Corporation による製造で、ライセンス盤としてリリースされている。ジャケットや内容面では日本語ライナーが付属する仕様。日本盤ならではの丁寧な体裁が整った一枚で、1986年当時の国内流通盤としての存在感がある。

  • アーティスト: Allan Holdsworth
  • タイトル: Atavachron
  • オリジナル・リリース年: 1986年
  • リリース国: Japan
  • ジャンル: Jazz / Rock
  • スタイル: Fusion / Contemporary Jazz

まとめ

『Atavachron』は、Allan Holdsworth のギター表現と作曲感覚がまとまった1986年作。ジャズ・フュージョンの中でも、和声や音の流れに強く意識が向いた作品で、彼の個性を確認しやすいアルバムだ。タイトル曲を中心に、演奏の技巧だけでなく、曲そのものの構造を味わうタイプの一枚として受け止められている。

トラックリスト

  • A1 – Non Brewed Condiment (3:39)
  • A2 – Funnels (6:10)
  • A3 – The Dominant Plague (5:41)
  • B1 – Atavachron (4:45)
  • B2 – Looking Glass (4:31)
  • B3 – Mr Berwell (6:21)
  • B4 – All Our Yesterdays (5:25)

関連動画

2026.10.14
この記事をシェア