King Crimson – Islands (1971)
King Crimson『Islands』日本盤LP
King Crimsonの『Islands』は、1971年に発表された4作目のスタジオ・アルバムで、プログレッシブ・ロック初期の流れの中でも、ひときわ室内楽的なまとまりを持つ作品として知られている。バンドは1969年のデビュー作『In the Court of the Crimson King』で一気に存在感を示し、その後も編成を変えながら活動を続けたが、『Islands』はその変化の途中に置かれた1枚という位置づけになる。
この時期のKing Crimsonは、Robert Frippを軸に、管楽器やヴィブラフォン、オーボエ、チェロなども交えた編成で、ロックの基本形から少し離れた音作りを進めている。後の時代の重い音像や鋭いリズム感とは異なり、この作品では音の隙間や静けさが前面に出ているのが特徴だ。
作品の輪郭
『Islands』は、長尺曲と短い小品が並ぶ構成で、アルバム全体が一つの流れとして進んでいく印象がある。とくにタイトル曲「Islands」は、ジャズや室内楽に近い響きを持つ代表的な楽曲としてよく語られる。派手な展開で押し切るタイプではなく、旋律の置き方や音の余白で聴かせる曲だ。
一方で、アルバムには「Ladies of the Road」のような、やや骨太で直接的なロック曲も収められており、全体を通して単一の色に染まりきらない。静かな曲と強い曲の対比が、そのまま当時のKing Crimsonの不安定さや実験性につながっているように見える。
当時のKing Crimsonの中での位置
この時期のKing Crimsonは、初期の旗印だったドラマ性の強いシンフォニック路線から少し距離を取り、より内省的で複雑な方向へ進んでいた。のちに1972年以降の編成で見せる、重厚で攻撃的なプログレとはかなり手触りが違う。『Islands』は、その転換点の手前にある記録として聴かれることが多い。
同時代のプログレッシブ・ロックと比べても、Yesのような技巧の明快さや、Genesisのような物語性とは別の場所にある作品だと感じられる。むしろ、室内楽的なアレンジや即興の気配を含んだ作りは、当時のジャズ・ロックや実験色の強い英国ロックとも近い。
日本盤としての仕様
この日本盤LPは1972年のリリースで、薄手の段ボール製フリップバック・スリーブ、帯、折り込みインサート、さらに薄いカードボードのユニパック型ゲートフォールド内袋が付く仕様になっている。日本盤らしい紙物の情報量が多く、当時の国内流通盤としての存在感もある。
オリジナルは1971年発表なので、この日本盤は作品の初出から少し後に出た盤になる。レーベルやジャケットの細部、帯やインサートの有無で印象が変わるタイプのタイトルでもある。
聴きどころ
- タイトル曲「Islands」の静かな展開と旋律
- 「Formentera Lady」に見える、長い導入部と流れの作り方
- 「Ladies of the Road」の硬いリズム感
- アルバム全体に通る、管楽器や鍵盤の配置
ひとこと
『Islands』は、King Crimsonの中でも派手さよりも配置と余白が目立つ作品だ。初期の象徴的な1枚とはまた違う角度で、このバンドが何を広げようとしていたかが見えやすいアルバムである。
トラックリスト
- A1 – Formentera Lady (9:55)
- A2 – Sailor’s Tale (7:20)
- A3 – The Letters (4:25)
- B1 – Ladies Of The Road (5:29)
- B2 – Prelude: Song Of The Gulls (4:14)
- B3 – Islands (9:14)