Harris Chalkitis – Marita (1975)
Harris Chalkitis「Marita」
「Marita」は、フランスで1975年にリリースされたHarris Chalkitisの作品。作曲、編曲、歌唱、マルチインストゥルメンタリストとして知られるHarris Chalkitisが、パリのBarclay Studiosで1975年4月から5月にかけて録音した一枚である。ジャズ、ロック、ファンク、ポップ、フォークの要素をまたぐ作風で、ジャズロック、ジャズファンク、プログレッシブ・ロック、ディスコの文脈でも語られる作品になっている。
作品の輪郭
Harris Chalkitisは1945年にカイロで生まれ、幼少期に家族とともにギリシャへ移った人物。作曲家、オーケストレーター、シンガー、マルチインストゥルメンタリストとして活動し、後年はQueen Samanthaのプロデュースでも知られるほか、Demis Roussos、Mireille Mathieu、Dalidaなどの作曲も手がけている。その経歴を踏まえると、「Marita」も単独の歌手作品というより、作編曲の手腕が前面に出るタイプのレコードとして位置づけやすい。
録音はパリのBarclay Studios。℗表記も1975年のBarclayで、フランス盤として同年の空気をそのまま閉じ込めた資料性のあるレコードといえる。ジャズ寄りのリズム感、ロックの推進力、ファンクのうねり、そして当時のポップ/ディスコの感触が並ぶところに、この時代のヨーロッパ制作らしい混ざり方が見える。
サウンドの印象
この作品のポイントは、ジャンルの切り替えがはっきりしていること。ジャズ・ロックやジャズ・ファンクの文脈では演奏の密度が前に出やすく、プログレッシブ・ロックの要素では展開の組み立てが目立つ。そこにディスコ的なビート感や、ポップ、フォーク、ワールド・ミュージックの要素が重なっているため、単一の型に収まらない作りになっている。
実際に聴くと、歌ものとしての輪郭と、編曲の細かい動きの両方が見えやすいタイプの作品になりそうだ。メロディを追いながらも、伴奏のリズムや管弦の配置に耳が向く盤だろう、という印象である。
時代背景とつながり
1975年という年は、ヨーロッパのポップスやフュージョン、ディスコ前夜のサウンドが交差していた時期。フランス制作のレコードとして見ると、シャンソン的な歌心と、当時の国際的なソウル/ファンク感覚の接点にある作品とも捉えやすい。Harris Chalkitisの後年のプロデュースワークや大衆歌謡への関わりを考えても、この時期の仕事は彼の幅広い作曲・編曲感覚を示す一枚といえる。
代表曲やヒット曲として広く知られる定番曲の情報は見当たらないが、制作年、録音場所、参加した音楽的文脈をたどると、70年代フランス盤の中でも作り手の個性が出る作品として見ていける。
盤について
この盤は1975年のフランス盤。ラベルにはMade in Franceの表記があり、当時のBarclay系プレスとして出回ったものだとわかる。プレスリングの仕様も1975年のフランス国内プレスに特徴的なものとされている。
Harris Chalkitisのキャリアを追ううえで、「Marita」は、作曲家・編曲家としての感覚と、当時のフランス録音の空気が重なる一枚として押さえておきたい作品である。
トラックリスト
- A1 – Marita (3:45)
- A2 – Funny She Loves Me (2:18)
- A3 – Right On Moving (2:49)
- A4 – Always On My Mind (2:37)
- A5 – Without You (4:15)
- B1 – Introduction Moog (0:59)
- B2 – Glory Of A Love Song (3:25)
- B3 – Morning Sunshine (2:47)
- B4 – New York City (3:47)
- B5 – With A Smile (2:35)
- B6 – Let Me Go My Way (2:42)
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Missing Persons – Color In Your Life (1986)
Missing Persons『Color In Your Life』
Missing Personsは、1980年に結成されたカリフォルニアのニュー・ウェイヴ・バンド。Dale Bozzioの存在感あるヴォーカルと、Terry Bozzio、Warren Cuccurulloらを含む編成で知られ、「Destination Unknown」「Right Now」「Walking In L.A.」「Words」といった曲で名前が広まったグループだ。
『Color In Your Life』は1986年の作品。ElectornicとRockを軸に、Pop RockやSynth-popの流れの中でまとめられたアルバムで、バンドの80年代的なサウンドがそのまま出ている一枚になっている。
作品の輪郭
録音はカリフォルニア州タルザーナのCan-Am Recordingと、ロサンゼルスのLarrabee Recordingで行われている。ミックスはA1からB3、B5がMedia Sound in NYC、B4がLarrabee Recording in L.A.、マスタリングはFrankford/Wayne in NYC。制作の流れを見ても、西海岸で録音しつつニューヨークで仕上げる、当時らしい作業環境がうかがえる。
クレジットにはPatrick O’Hearn、Dale Bozzio、Terry Bozzio、Chuck Wild、Warren Cuccurulloらが並ぶ。バンドの中心人物が多く関わっており、Missing Personsの持っていた演奏面とサウンド面の両方が反映されやすい構成だ。
聴きどころ
この時期のMissing Personsは、初期の代表曲で印象づけたシンセ主体の質感を保ちながら、ロック寄りの輪郭も見せる流れにある。Dale Bozzioの声は、輪郭のはっきりしたシンセやギターとぶつかることで、曲の中でかなり目立つ。80年代のポップスとして聴いたときも、音の置き方が整理されていて、リズムとメロディの役割がわかりやすい。
代表曲を持つバンドのアルバムとして見ると、過去のヒット曲のイメージをそのままなぞるというより、当時のバンドがどこにいたかを確認できる作品という位置づけに近い。ニュー・ウェイヴ、シンセ・ポップ、ポップ・ロックの文脈で並べて聴くと、同時代のバンド群の中でもMissing Personsらしい整った打ち込み感と、演奏の生っぽさが同居している。
同時代との関係
1986年という時期は、ニュー・ウェイヴの初期衝動が少し落ち着き、シンセ・ポップやポップ・ロックの形に整理されていく頃でもある。Missing Personsもその流れの中にあり、当時のLA周辺のバンドや、シンセを前面に出したロック・バンドと並べて語られやすい存在だ。
『Color In Your Life』は、バンドの名前を知っている人にはその延長線上の作品として、80年代のポップ・ロックを追っている人には当時の音作りを確認できる一枚として見えてくる。派手な説明よりも、録音と演奏の配置で聴かせるタイプのアルバムだ。
基本情報
- アーティスト: Missing Persons
- タイトル: Color In Your Life
- オリジナルリリース年: 1986
- リリース国: Europe
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: Pop Rock, Synth-pop
トラックリスト
- A1 – Color In Your Life (5:00)
- A2 – I Can’t Think About Dancin’ (5:16)
- A3 – No Secrets (4:29)
- A4 – Flash Of Love (4:15)
- B1 – Go Against The Flow (5:54)
- B2 – Boy I Say To You (4:38)
- B3 – Come Back For More (3:41)
- B4 – Face To Face (3:33)
- B5 – We Don’t Know Love At All (5:02)
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Fernando Yvosky – Dos Mundos (1975)
Fernando Yvosky『Dos Mundos』について
Fernando Yvoskyは、ベネズエラの演出家、劇作家、俳優、そして音楽家でもある人物で、この『Dos Mundos』は1975年に発表された作品である。電子音楽、ロック、ラテンの要素を土台に、プログレッシブ・ロック、実験音楽、シンフォニック・ロックの流れの中で聴かれる一枚となっている。
作品の輪郭
タイトルの「Dos Mundos」は「二つの世界」を意味する言葉で、作品全体の構えにもそのままつながる印象がある。ロックの編成感と、ラテン系のリズム感、さらに電子的な質感が同じ盤面に置かれている点が、この作品の大きな特徴と言える。ベネズエラの1970年代作品として見ると、当時のラテンアメリカ圏で広がっていたシンフォニック・ロックや実験的なロックの文脈にしっかり乗った内容である。
Fernando Yvoskyの経歴を踏まえると、演劇や戯曲の世界で培った感覚が、音楽の構成や展開にも反映されている可能性がある。音だけで進むというより、場面が切り替わるような組み立てを意識した作品として受け取れそうだ。
1986年盤について
この盤は1986年にベネズエラで再発されたもの。クレジットには「master tapes」からの再発とあり、CaracasのVinyl International SRLからリリースされている。ジャケットも新たにデザインし直されたシングルカバー仕様になっている。オリジナルの1975年盤と比べると、音源そのものは同じ系統であっても、見た目の印象は異なる再発盤である。
サウンドの位置づけ
ジャンル表記としてはElectronic、Rock、Latin、スタイルとしてはProg Rock、Experimental、Symphonic Rockが並ぶ。実際、この並びが示す通り、単純なロック作品ではなく、音の層や構成の変化を楽しむタイプの一枚として捉えやすい。ラテンアメリカのプログレ作品に関心を持つ人なら、同時代の各国シーンと並べて見たくなる内容でもある。
ヒット曲や代表曲として特定の曲名が広く知られているわけではないが、アルバム全体の流れそのものを聴くタイプの作品として扱われることが多そうだ。曲ごとの見せ場というより、連続した構成の中で雰囲気が形を取っていく印象である。
まとめ
『Dos Mundos』は、ベネズエラのアーティストFernando Yvoskyによる1975年作品であり、1986年に再発された盤も存在する。ロック、電子音楽、ラテンの要素を含みながら、プログレッシブ・ロックや実験性、シンフォニックな展開へつながる構成が見どころの一枚。演劇畑の人物による作品として見ると、その背景も含めて興味深い記録である。
トラックリスト
- A1 – Prólogo
- A2 – La Música, Mágico Vehículo
- A3 – Merengue Al Hombre Del Tiempo
- A4 – El Señor De Azul
- A5 – El Anciano
- B1 – Es Difícil Expresarlo
- B2 – Exteriorizaciones De Un Mundo Interior
- B3 – Estoy Viviendo
- B4 – Eres Bella
- B5 – En Busca De El
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Intergalactic Touring Band – The Intergalactic Touring Band (1977)
Intergalactic Touring Band「The Intergalactic Touring Band」について
Intergalactic Touring Bandは、実在の固定バンドというより、1977年に登場したSFコンセプト・アルバム名義のプロジェクトだ。UKではCharisma Recordsからリリースされ、タイトルもそのまま「The Intergalactic Touring Band」。電子音響、ロック、ファンク/ソウルをまたぐ内容で、シンフォニック・ロック、ディスコ、プログレッシブ・ロック、ファンク、パロディの要素が並ぶ作品として知られている。
参加メンバーがかなり豪華で、Meat Loaf、Ben E. King、Larry Fast、Percy Jones、Annie Haslam、Rod Argent、Peppi Marchelloなど、ジャンルの違うプレイヤーやシンガーが集まっているのが特徴だ。プロフィール欄にあるMarvin Lee Adayは、Meat Loafの本名として知られる名前。
作品の輪郭
このアルバムは、多世代にわたる宇宙旅行と、人類の宇宙移住を大きな筋として曲がつながっている。いわゆるストーリー仕立ての作品で、各曲が独立しながらも、全体ではひとつのSF世界を形づくる構成になっている。歌詞、イラスト、クレジットを収めた12ページの光沢ブックレットと、ピクチャー入りインナー・バッグが付属する仕様も、作品のコンセプトを補強する要素になっている。
同時代の空気とのつながり
1977年という時期を考えると、ロックの中でもプログレッシブ・ロックの語法や、シンフォニックな展開、ディスコ寄りの感触、ファンクのリズム感が同居していた時代の空気がある。特定のバンドの継続作というより、複数の名手を集めて大型企画として組み上げたアルバムで、当時のコンセプト・アルバム文化やスタジオ主導の制作とも重なる位置づけと言えそうだ。
Meat LoafやAnnie Haslam、Ben E. Kingといった歌い手が同じ枠に並ぶこと自体が、この作品の性格をよく表している。ロック、ポップ、ソウル、プログレの境界をまたぐキャスティングで、ジャンルの分かれ目を使い分ける作りになっている点が見どころだ。
聴きどころとして見える点
実際に聴くと、参加者ごとの声質や演奏の輪郭がはっきりしていて、曲ごとの表情が変わるタイプのアルバムとして受け取れそうだ。ひとつのバンドが一貫した音を鳴らすというより、楽曲ごとに色を変えながらも、宇宙旅行というテーマでまとめる構造が中心にある。派手な歌唱や分厚いアレンジ、リズムの跳ね方など、個々の要素が前に出る場面が想像しやすい内容だ。
代表曲について
この作品は、一般的な意味で広く知られたヒット曲を持つアルバムというより、アルバム全体のコンセプトと参加メンバーの顔ぶれで語られることが多い。曲単位での単独ヒットよりも、企画盤としてのまとまりや、SF的な物語性が印象に残るタイプの1枚だ。
まとめ
「The Intergalactic Touring Band」は、1977年のUKリリースらしい、企画性の強いコンセプト・アルバム。ロック、電子音楽、ファンク/ソウルの要素を、宇宙開拓というテーマで束ねた作品で、参加ミュージシャンの顔ぶれも含めて、当時の野心的なスタジオ作品の一例として見えてくる。バンド作品というより、ひとつの物語を多人数で演じるアルバムとして受け取ると輪郭がつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – Approach (Overture) (2:41)
- A2 – Silver Lady (4:25)
- A3 – Universal Zoo / Why? (4:55)
- A4 – Starship Jingle (3:25)
- A5 – Heartbreaker (3:59)
- A6 – Reaching Out (4:08)
- B1 – First Landing (3:18)
- B2 – Space Commando (4:03)
- B3 – Robot Salesman (4:43)
- B4 – Love Station (2:54)
- B5 – A Planet Called Monday / Epilogue (4:34)
- B6 – Keeper Keep Us (3:46)
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- Intergalactic Touring Band – Approach (Overture)
- Intergalactic Touring Band – Universal Zoo
- Building a Starship!
- Intergalactic Touring Band – Reaching Out (1977)
- First Landing – Exclusivo ProgVacas – Intergalactic Touring Band
- Intergalactic Touring Band: Space Commando
- Intergalactic Touring Band – Robot Salesman
- Intergalactic Touring Band Love Station 1977
- Meat Loaf | Keeper Keep Us [VERY RARE] 1977
Caravan – Caravan (1969)
Caravan『Caravan』について
Caravanの『Caravan』は、1969年にオリジナルが出た初期作品で、Canterbury系プログレッシブ・ロックの出発点を確認できる1枚。こちらは1982年に日本で出た盤で、ジャケットやクレジットからも、当時の国内流通盤としての位置づけが見えてくる。録音は1968年10月、ロンドンのAdvision Studios。バンドがまだ初期段階にあった時期の記録である。
バンドの成り立ちと、この作品の位置
Caravanは、Wilde Flowersの流れをくむメンバーを中心に1968年に結成された英国のバンド。Canterbury周辺の音楽シーンを代表する存在として知られ、のちの『In the Land of Grey and Pink』で高い評価を受けることになるが、この『Caravan』はその少し前、バンドの輪郭が固まりつつある時期の作品にあたる。
この時点では、後年の代表作で前面に出てくる組曲的な展開や、ジャズ寄りの複雑な構成というより、ロックを土台にブルースの要素を含んだ演奏が中心。Canterbury系の中でも、比較的ストレートなバンド・サウンドとして聴こえる一面がある。
収録曲と聴きどころ
本作では、長めの展開を持つ曲と、比較的コンパクトな曲が並び、初期Caravanらしい試行の幅が見える。代表曲としてまず挙がるのは「Place of My Own」「Magic Man」あたりで、バンド名義の初期レパートリーとしても重要な存在。特に「Place of My Own」は、のちのCaravanを知ってから聴くと、すでにメロディの運びにこのバンドらしさが出ていることが分かる。
演奏面では、デヴィッド・シンクレアのキーボード、パイ・ヘイスティングスのギターとヴォーカル、リチャード・シンクレアのベース、リチャード・コフランのドラムという初期の核がそのまま機能していて、バンドとしてのまとまりがはっきりしている。各パートがきっちり役割を持ち、派手に押し切るというより、曲の流れを崩さず進めていくタイプの演奏。
同時代との関係
1969年という時期を考えると、英国ではプログレッシブ・ロックの輪郭が見え始め、サイケデリック・ロックやブルース・ロックもまだ強く残っていた頃。Caravanはその交差点にいるバンドで、同じCanterbury系のSoft Machineと並べて語られることも多い。とはいえ、本作ではジャズ色の強い方向へ深く振り切る前段階として、ロック・バンドとしての輪郭がはっきりしている。
後年のCaravanを知っていると、この盤には「完成された代表作」よりも、バンドの初期衝動や方向性の確認といった意味合いが強く感じられる。そこがこの作品の面白いところでもある。
1982年日本盤について
この1982年の日本盤は、オリジナルが1969年という作品を国内向けにあらためて届けた盤。クレジットには「Manufactured by Polydor K. K., Japan」とあり、当時の日本盤らしい仕様になっている。オリジナル盤との内容差については、この情報からは特に別テイクや大きな改訂は読み取れず、作品としては初期Caravanの記録をそのまま伝えるものとして扱える。
まとめ
『Caravan』は、Canterbury系プログレの本流に入る前のCaravanを確認できる初期作。ブルース・ロックを土台にしつつ、のちのバンド・カラーにつながる要素がすでに見えている。代表作の影に隠れがちだが、バンドの始まりをたどるうえでは外せない1枚である。
トラックリスト
- A1 – Place Of My Own
- A2 – Ride
- A3 – Policeman
- A4 – Love Song With Flute
- A5 – Cecil Rons
- B1 – Magic Man
- B2 – Grandma`s Lawn
- B3 – Where But For Caravan World I
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Gomrath – Gomrath (2024)
Gomrath『Gomrath』について
Gomrathの『Gomrath』は、2024年にリリースされた作品で、1971年のオリジナル録音をもとにまとめられたLPです。UK & Irelandのバンドによる音源で、メンバーはRoy Wiles、Clive Rutledge、Adrian Long、Paul Martin。ロックを軸に、Acid Rock、Psychedelic Rock、Prog Rockの要素が並ぶ内容になっている。
作品の位置づけ
この盤は、7インチのアセテート、KCS LP、プライベート・スタジオ・テープから構成された音源をもとにしている。つまり、当時のセッションや試作的な録音を含むアーカイブ的な1枚という見方がしやすい。1971年という時期を考えると、サイケデリック・ロックの余韻と、プログレッシブ・ロックへ向かう流れが重なるタイミングで、そうした時代の空気がそのまま残っている盤とも言える。
サウンドの印象
アシッド・ロック、サイケデリック・ロック、プログ・ロックという並びからは、ギターの響きや展開のある曲作り、当時らしいロックの質感が想像しやすい。オリジナル録音が1971年なので、音の芯に残る素朴さや、スタジオ録音ならではの距離感もこの作品の要素になっているはずだ。再発盤としての2024年盤は、そうした断片的な資料をまとまった形で聴ける点に意味がある。
オリジナル録音と2024年盤
本作の内容は1971年録音に基づくが、盤としてのリリースは2024年。つまり、作品そのものの年代と、現在手に取るLPの年代は分けて考える必要がある。オリジナルの時点では正式なアルバムとして流通していなかった音源群が、2024年に1枚の作品として整理されている形だ。
時代背景とジャンルの文脈
1971年前後のUKロックでは、サイケデリックな感覚を残したバンドが、より長尺で構成的な演奏へ移っていく流れがあった。Gomrathの音源も、そうした時代の空気の中で捉えると輪郭が見えやすい。ハードに寄るアシッド・ロック、色彩のあるサイケデリック・ロック、構成を意識したプログ・ロックが同じ盤の中で並ぶところに、この時期ならではの混ざり方がある。
まとめ
『Gomrath』は、GomrathというUK & Irelandのグループが1971年に残した録音を、2024年にLPとしてまとめたアーカイブ作品。メンバー4人による当時の音を、ロック、アシッド・ロック、サイケデリック・ロック、プログ・ロックの文脈で追える1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Spare Time
- A2 – Telephone Song
- A3 – Collage
- A4 – Hebrides
- B1 – Better By You Better Than Me
- B2 – Louisiana Gatepost
- B3 – Home In The Rain
- B4 – You Jumped In The River To Avoid The Fish
- B5 – Spare Time (Slight Return)
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- Gomrath (1971) [2024 Bright Carvings Reissue]
- Gomrath – Spare Time
- Gomrath – Telephone Song
- Gomrath – Collage
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- Gomrath – You Jumped In The River To Avoid The Fish
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Jade Warrior – Released (1971)
Jade Warrior『Released』について
Jade Warriorの『Released』は、1971年に発表された2作目のスタジオ・アルバム。バンドは1970年に結成されたブリティッシュ・プログレッシブ・ロック・バンドで、Jon Field、Tony Duhig、Glyn Havardを中心に活動を始めた。前作で見せたエスニックでワールド・ミュージック寄りの要素に対して、本作ではよりストレートなプログレッシブ・ロックの流れが前面に出ている作品として位置づけられている。
アルバムの内容
本作は、力強いロック・ナンバーと静かなバラード、さらにインストゥルメンタルを組み合わせた構成になっている。公式サイトの紹介でも、“Three-Horned Dragon King” や “We Have Reason To Believe” のような直線的なロック曲、“Bride Of Summer” や “Yellow Eyes” のような穏やかな曲、そしてジャズの感触を含む “Water Curtain Cave”、ブラスを加えた長尺ジャム “Barazinbar” が対照的に並ぶとされている。
実際に聴くと、曲ごとの役割がはっきりしている印象が残る。ロック曲はリズムとギターの押し出しが強く、バラードは音数を絞って展開し、インスト曲では演奏の組み立てそのものを聴かせる流れ。1枚の中で温度差が大きく、アルバム全体の構成で聴かせるタイプの作品といえる。
Jade Warriorの中での位置づけ
『Released』は、Jade Warriorの初期2作目にあたるアルバム。のちの作品でより独自の音楽性を深めていく前段階として、プログレッシブ・ロックの文法を比較的まっすぐに使っているのが特徴になっている。初期の段階で、バンドの持つ演奏面のまとまりや、曲調の切り替えのうまさが見えやすい作品でもある。
同時代の文脈
1971年のブリティッシュ・プログレッシブ・ロックといえば、演奏技術の高さと組曲的な構成、曲想の切り替えが目立つ時期。Jade Warriorもその流れの中にありつつ、フォークやジャズの要素を曲の中に滑り込ませる場面がある。大作主義のバンドと比べると、曲の長さやアレンジの置き方に独自のバランスがある。
収録曲に触れると
- Three-Horned Dragon King:勢いのあるロック曲
- We Have Reason To Believe:直進性のあるバンド演奏が軸の曲
- Bride Of Summer、Yellow Eyes:静かな面を担うバラード
- Water Curtain Cave:ジャズ寄りのインストゥルメンタル
- Barazinbar:ブラスを含む長尺のジャム
代表曲を一曲に絞るタイプではなく、アルバム全体の流れで印象が残る作品。プログレッシブ・ロックの初期らしい試みと、バンドの演奏力がまとまっている一枚として見てよさそうだ。
メンバー
クレジットには Jon Field、Tony Duhig、Glyn Havard をはじめ、Dave Sturt、David Duhig、Allan Price、Dave Conners、Gowan Turnbull、Colin Henson らの名前が見える。初期のJade Warriorらしい、編成の変化も含めたバンドの動きがうかがえる。
トラックリスト
- A1 – Three-Horned Dragon King (6:09)
- A2 – Eyes On You (3:05)
- A3 – Bride Of Summer (3:19)
- A4 – Water Curtain Cave (6:28)
- A5 – Minnamoto’s Dream (5:30)
- B1 – We Have Reason To Believe (3:50)
- B2 – Barazinbar (15:00)
- B3 – Yellow Eyes (2:51)
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Trees – On The Shore (1970)
Trees『On The Shore』について
Treesは、1969年から1972年にかけて活動したイングランドのフォーク・ロック・バンド。『On The Shore』は、その活動初期にCBSから発表された2枚目のスタジオ・アルバムで、オリジナルは1971年の作品だ。今回の盤は1987年リリースのUK盤で、オリジナル盤から時間を置いた再発として聴かれることになる。
グループは、トラディショナル・ソングのアレンジと、主にBias Boshellによるオリジナル曲を組み合わせた構成で知られる。Fairport Conventionと並べて語られることが多い一方で、こちらはもう少しサイケデリックな色合いが強い、とされるバンドだ。『On The Shore』は、そのバンド像がまとまって見える1枚という位置づけにある。
アルバムの背景
TreesはCBSと1969年8月に契約し、Sound Techniquesスタジオでトニー・コックスのプロデュースのもと、短い間隔で2枚のアルバムを制作した。1枚目の『The Garden Of Jane Delawney』に続く本作では、フォークの曲調を軸にしながら、演奏の組み立てや曲の運びに独特の緊張感がある。カバー・アートはHipgnosisのStorm Thorgersonによるもの。
メンバーはBias Boshell、Barry Clarke、Celia Humphris、David Costa、Unwin Brown、Barry Lyons、Alun Eden。バンド内での役割がはっきりしていて、女性ヴォーカルのCelia Humphrisを含む編成が、楽曲の輪郭をはっきりさせている。
サウンドの印象
実際に聴くと、アコースティックな響きが中心にありつつ、曲によってはエレクトリックな入り方や展開の付け方に70年代初頭らしい質感がある。フォーク・ロックの枠内に収まりながら、素朴さだけで終わらない構成で、曲ごとの陰影が出やすいアルバムだ。トラッド由来の素材とオリジナル曲が並ぶことで、バンドの編集感覚も見えやすい。
派手なヒット曲で押すタイプではなく、アルバム全体で流れを聴かせる性格が強い。なので、1曲単位の知名度よりも、作品全体のまとまりで印象が残るタイプのレコードだと思う。
同時代との関係
同時代の英国フォーク・ロックとしては、Fairport Conventionとの比較がよく挙がる。Treesの場合は、伝統曲の扱いに加えて、少し心理的な陰りやサイケデリックな感触が混ざる点が特徴として語られることが多い。『On The Shore』は、その方向性がはっきりした中期の記録として見える。
1987年盤として
この盤は1987年のUKリリース。オリジナルの1971年盤と比べると、作品そのものは同じ内容として受け取られる一方、再発盤としては当時の入手性を補う役割が大きい。Treesのアルバムをまとめてたどるうえで、80年代後半の再発は重要な入り口になっている。
まとめ
『On The Shore』は、Treesというバンドが持っていた英国フォーク・ロックの骨格と、少しだけ外側に出る感触をそのまま残したアルバムだ。トラディショナルとオリジナルの並び、Celia Humphrisの歌声、Sound Techniquesでの録音、Storm Thorgersonのアートワーク。そうした要素が揃っていて、バンドの代表的な1枚として見られることが多い作品になっている。
トラックリスト
- A1 – Soldiers Three (1:50)
- A2 – Murdoch (5:05)
- A3 – Streets Of Derry (7:30)
- A4 – Sally Free And Easy (10:40)
- B1 – Fool (5:20)
- B2 – Adams Toon (1:10)
- B3 – Geordie (5:05)
- B4 – While The Iron Is Hot (3:20)
- B5 – Little Sadie (3:05)
- B6 – Polly On The Shore (6:10)
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Vita Nova – Vita Nova (1971)
Vita Nova『Vita Nova』について
Vita Novaのセルフタイトル作。1971年のオリジナル盤を土台にした、2004年盤。ドイツのミュンヘン周辺で活動した短命のプロジェクトで、Sylvester Levay、Eddy Marron、Christian Von Hoffmannの3人による編成になっている。
バンド名のVita Novaはラテン語で「新しい人生」の意味。作品の中身もその名の通り、ラテン語詞を軸にした構成で、クラシック寄りのロックと当時のフュージョン感覚が交差する内容になっている。プログレッシブ・ロックとクラウトロックの文脈で語られる一枚だが、演奏の中心にあるのは、ギターと鍵盤の動きが細かく組み合わさるアンサンブル。
制作背景
1971年2月、Sylvester LevayがミュンヘンのUnion Studiosを数日間借りて録音したという経緯がある。スタジオ内で自由に演奏する形で進められた作品で、ライブ活動は行わず、録音専用のグループとして完結していた点も特徴的。
メンバーは、ポーランド出身のEddy Marron、ハンガリー出身のSylvester Levay、スイス出身のChristian Von Hoffmannという国際色のある顔ぶれ。ミュンヘンのシーンの中でも、国籍の異なる音楽家が集まった編成として見ておきたいところ。
音の印象
この作品では、Hohner Clavinetの存在感が大きい。Levayが弾くこの電気ハープシコード的な音色が、ギターやドラムと絡みながら、硬質なリズム感を作っている。クラシック寄りの展開と、ロックの推進力が同居するあたりに、当時のドイツ産プログレらしい手触りがある。
演奏は簡潔なロックの枠に収まらず、組曲的な流れやパートの切り替えが目立つ。ラテン語詞のため、歌の意味を追うというより、声も含めて楽器の一部として機能している印象。
アーティストの中での位置づけ
Vita Novaは、1971年のこのアルバムだけで存在感を残したグループ。のちに活動は続かず、短い期間の記録として残った作品になっている。Eddy MarronやSylvester Levayの個性が前面に出た一作で、バンドの出発点かつ終着点という位置づけ。
同時代の文脈
同時代のドイツのプログレ/クラウトロックと並べると、即興や反復だけに寄らず、構成の細かさが際立つタイプ。英国系プログレの影響を感じさせる部分もありつつ、ドイツのスタジオ志向の制作感も見える。比較対象としては、同時期のクラシック要素を含むロックや、ジャズ寄りのフュージョンを取り入れた作品群が思い浮かぶ。
再発盤について
2004年盤は、1971年オリジナル盤の再発。オリジナルのアルバムに加えて、1971年夏に録音された未発表曲「Lacrimosa (Death Of A World)」「Olymp 99」が収録されている。もともとのアルバム本編に、当時未発表だった2曲が補われた形になっている。
まとめ
Vita Nova『Vita Nova』は、ミュンヘンのスタジオで生まれた、ラテン語詞のプログレッシブ・ロック作品。国際的なメンバー構成、Clavinetの音色、短命に終わったバンドの記録という点が重なる一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Quomodo Manet
- A2 – Vita Nova Inventions
- A3 – Whirl Wind
- A4 – Istanbul
- A5 – Sylvester
- A6 – Wildman
- A7 – Inventions Finale
- A8 – Heya-Cleya
- A9 – Olymp 99
- B1 – Adoramus
- B2 – Sunt Alteri
- B3 – Adoramus Finale
- B4 – Tempus Est
- B5 – Lacrimosa
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Vulcan – Meet Your Ghost (1981)
Vulcan「Meet Your Ghost」について
Vulcanの「Meet Your Ghost」は、1981年にオリジナルが出たUSロック作品だ。アメリカのロック文脈の中でも、サイケデリック・ロック、ローファイ、ハードロックの要素が重なる一枚として見ておきたいタイトルである。
作品の輪郭
この作品は、派手な完成度で押すタイプというより、ざらついた録音感や生々しさが前に出る印象の作品として受け取られやすい。ハードロックの骨格に、サイケデリック・ロックらしい広がりや揺らぎが混ざり、そこへローファイな質感が加わることで、音の輪郭が少し荒く残るところに特徴がある。
1981年という時期を考えると、ハードロックやロックの表現が多様化していた時代背景の中で、こうした直線的すぎない手触りが一つの個性になっている。整った大作感よりも、バンドの温度や空気感がそのまま残るタイプの作品として捉えやすい。
聴きどころ
実際に聴くと、きっちり磨き上げた音像というより、演奏の勢いと音の粗さが同居しているところが耳に残る。ギターの歪み、曲の進み方、空間の取り方に、サイケデリック・ロック寄りの感触が見える場面があり、そこにハードロックの押しの強さが重なる構成だ。
全体として、曲ごとの表情を大きく振るというより、同じ温度でぐいっと進める流れに魅力がある。ローファイな録音の質感も含めて、音そのものを作品の要素として聴かせるタイプの一枚と言えそうだ。
同時代の文脈
USロックの中で、1970年代後半から1980年代初頭にかけては、ハードロックの語法にアンダーグラウンドな感触やサイケデリックな要素を残すバンドも少なくない。その流れの中で「Meet Your Ghost」も、洗練よりも手触りを重視した作品として見ると位置がつかみやすい。
特定のヒット曲を前面に押し出すタイプの作品というより、アルバム全体のまとまりや音の質感で印象を残す一枚だ。タイトル曲「Meet Your Ghost」も、作品名を背負う曲として自然に目が向く存在である。
まとめ
Vulcan「Meet Your Ghost」は、1981年のUSロック作品として、サイケデリック・ロック、ローファイ、ハードロックの要素が交差する一枚だ。音の粗さとバンド感、そして少し揺れを含んだ進行が、作品の核になっている。
トラックリスト
- A1 – Prelude
- A2 – High C
- A3 – Lightning
- A4 – Noname
- A5 – Count On Us Next Time
- B1 – One Nighter
- B2 – Untitled Instrumental
- B3 – Title Track
- B4 – The End
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The Average Disco Band – Stranded In A Latin Disco (1978)
The Average Disco Band「Stranded In A Latin Disco」
1978年にUSでリリースされた、The Average Disco Bandのアルバム「Stranded In A Latin Disco」。タイトルの通り、ディスコを軸にしながら、LatinとFunk / Soulの要素を取り込んだ1枚で、70年代後半らしいフロア志向の空気がはっきり出ている作品だ。
作品の輪郭
この時期のディスコ作品らしく、リズムの推進力が前に出るタイプの内容で、踊るための音楽としてのまとまりがある。ラテン系のパーカッシブな感触と、ファンク由来のベースやビート感が重なっていて、ディスコの定型に少しだけ別の色を足した作りに見える。
US制作、USリリースという点も含めて、当時のアメリカのディスコ・シーンの中に置いて聴くと分かりやすい。ジャズ・ファンクやソウル寄りのディスコ、あるいはラテン色のあるダンス・ミュージックと近い距離感がある。
聴きどころ
実際に聴くと、派手な展開で押すというより、ビートと反復で引っ張る感触が印象に残る。曲の構成も、ダンスフロアでの流れを意識した作りに感じられる場面が多い。ラテン・パーカッションの入り方や、ファンク寄りの演奏があることで、単純な四つ打ちのディスコとは少し違う手触りになっている。
この時代のディスコ作品をよく聴く人なら、ラテン・ディスコやファンク・ディスコの文脈で自然に入ってくるタイプの内容だろう。華やかさだけでなく、リズムの細かい動きが耳に残る作り。
同時代との関係
1978年という年は、ディスコが大きく広がっていた時期で、ラテン要素やソウル、ファンクを混ぜた作品も数多く出ていた。「Stranded In A Latin Disco」も、その流れの中で理解しやすい。ラテン・ディスコやソウル寄りのダンス・サウンドを聴いている人には、当時の空気が伝わりやすいタイトルだ。
The Average Disco Bandという名義自体も、作品の中身に合わせてかなり機能的で、バンドの個性を前面に出すというより、ディスコという形式に寄せた設計が見える。
まとめ
「Stranded In A Latin Disco」は、1978年のディスコ・シーンにある、LatinとFunk / Soulの要素を備えたUS盤。ラテンのパーカッション感、ファンク由来のグルーヴ、ディスコの反復感が同居する1枚として、当時のダンス音楽の広がりを感じさせる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Tico Tico (4:40)
- A2 – Feelings (5:22)
- A3 – Love Is The Answer (4:40)
- A4 – Another Star (5:34)
- B1 – Grease (5:58)
- B2 – Hey Girl, Come And Get It (5:22)
- B3 – Copacabana (At The Copa) (5:58)
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Pentangle – Cruel Sister = クルーエル・シスター (1970)
Pentangle『Cruel Sister = クルーエル・シスター』について
Pentangleは、1960年代後半から活動したイギリスのフォーク・ロック・バンドだ。Jacqui McSheeの歌声、Bert JanschとJohn Renbournのギター、Danny Thompsonのダブルベース、Terry Coxのドラムスという編成で知られ、アコースティックな響きとロックのリズム感を同時に持つグループとして位置づけられる。
『Cruel Sister』は1970年に発表された作品で、Pentangleの初期の流れを代表する1枚として知られている。バンドの持ち味である、声と弦楽器の組み合わせ、リズムの細かな動き、民謡由来の素材を扱う感覚が、そのまま盤全体の骨格になっている。
作品の輪郭
タイトルの通り、伝承歌やバラッドの要素を軸にした作品として受け取られることが多い。Pentangleは同時代のブリティッシュ・フォークの中でも、伝統曲の扱い方に独自性があるグループで、Fairport Conventionのような英国フォーク・ロックの文脈と並べて語られることがある。
ただし、Pentangleの場合はロック寄りの勢いだけで押すタイプではなく、演奏の細部をじっくり聴かせる印象が強い。Jacqui McSheeのボーカルが前面に出る場面もあれば、JanschとRenbournのギターが絡み合う場面もあり、そこにThompsonのベースとCoxのドラムスが入ることで、曲の輪郭がはっきり立つ構成になっている。
聴きどころ
実際に聴くと、派手な展開よりも、音の置き方や間の取り方が印象に残るタイプの作品だ。アンサンブルは緻密だが、過剰に作り込んだ感じは薄く、楽器それぞれの音が見えやすい。フォークの素材感と、ロックのバンド演奏としてのまとまりが同居しているところが、この作品の核になっている。
代表曲という意味では、Pentangle全体で知られる楽曲群の中で語られることが多い曲名はいくつかあるが、この作品はアルバム単位での流れが重視される印象が強い。1曲ごとの強さより、通して聴いたときの組み立てに目が向く盤だ。
1980年盤としての位置づけ
今回の盤は1980年の日本盤だ。オリジナルの1970年盤からは時間が経っているが、Pentangleの初期作品を日本で改めて手に取れる形にしたリリースとして見られる。ジャケット表記や帯など、国内盤らしい体裁で流通した可能性がある点も、この時期の再発売盤らしいところだ。
オリジナル盤と比べた内容面の違いは、少なくとも作品情報上では確認しにくい。なので、ここでは1970年作としての『Cruel Sister』が、1980年に日本で再度聴かれる形になった盤、と捉えるのが自然だ。
Pentangleというバンドの中で
Pentangleは、フォークの伝統をそのまま保存するのではなく、バンド編成の中で再構成したグループだった。『Cruel Sister』は、その姿勢がよく見える作品のひとつだと思える。アコースティック主体でありながら、演奏は単なる伴奏に収まらず、各パートが対話するように進む。そこにこのバンドならではの強みがある。
1970年前後の英国フォーク・ロックを追うとき、Pentangleは外せない存在だ。その中でも『Cruel Sister』は、伝承曲の題材とバンド演奏の両方を、かなり明確に見せてくれるアルバムとして印象に残る。
トラックリスト
- A1 – A Maid That’s Deep In Love = 恋する女 (5:25)
- A2 – When I Was In My Prime = 若かりし頃 (2:54)
- A3 – Lord Franklin = ロード・フランクリン (3:22)
- A4 – Cruel Sister = クルーエル・シスター (6:58)
- B – Jack Orion = ジャック・オリオン (18:40)
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The Box – Secrets Out (1983)
The Box『Secrets Out』(1983)について
『Secrets Out』は、イングランド・シェフィールド出身のThe Boxが1983年に発表した作品です。電子音楽とロックの要素を軸にしながら、新しい波の時代らしい硬質さと実験的な感触をあわせ持つ1枚として聴こえます。The Boxは、Clock DVAの初期メンバーだったPaul Widger、Charlie Collins、Roger Quailを中心に、Terry Toddらが加わって結成されたグループで、この作品はそうした流れの中で形になった初期の仕事にあたります。
作品の立ち位置
バンドは後にGo! DiscsからLPを2枚と複数のシングルを出し、その後はCabaret VoltaireのDoublevisionレーベルでも活動を続けています。そうした経歴を踏まえると、『Secrets Out』はThe Boxの出発点に近い時期の記録であり、のちの展開につながる輪郭がすでに見える作品として位置づけられるはずです。Peter Hopeが参加した編成で、メンバーはPeter Hope、Roger Quail、Charlie Collins、Paul Widger、Terry Todd。
音の印象
楽器の配置はかなり整理されていて、リズムの刻み、ギターの切れ味、電子的な質感が前に出るタイプの音像です。ロックの推進力を保ちながら、ニューウェーブ以降の乾いた空気感や、実験色のある組み立てが同居しているところが耳に残ります。シェフィールド周辺の同時代の流れ、たとえばCabaret VoltaireやClock DVAに通じる緊張感を感じさせる場面もあり、ただしそのまま同列に置けるわけではなく、よりバンドとしてのまとまりが見える印象です。
同時代の文脈
1983年という時期は、ポストパンクの余韻と電子音楽の方法が交差していた時代です。The Boxもその空気の中で、単純なロックでも純粋な電子音楽でもない形を取っています。音の作り方にしても、歌ものとしての分かりやすさより、リズムや質感の組み合わせを優先しているように聴こえる場面があり、この時代の実験的なニューウェーブ作品らしい手触りです。
ひとこと
『Secrets Out』は、The Boxが1980年代前半のシェフィールド・シーンの中でどんな位置にいたかを確かめやすい作品です。電子音、ロック、ニューウェーブ、実験性が一枚の中でどう接続されているか、その輪郭が見えやすいタイトルといえます。
トラックリスト
- A1 – Water Grows Teeth
- A2 – Skin, Sweat And Rain
- A3 – Something Beginning With ‘L’
- A4 – Strike
- A5 – The Hub
- A6 – Hang Your Hat On That!
- B1 – I Give Protection
- B2 – No Sly Moon
- B3 – Slip And Slant
- B4 – Old Style Drop Down
- B5 – Swing
- B6 – Out
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Twelfth Night – Fact And Fiction (1982)
Twelfth Night『Fact And Fiction』について
Twelfth Nightは、1978年に結成されたUKのネオ・プログレッシブ・ロック・バンド。『Fact And Fiction』は1982年にリリースされた作品で、この時期のバンドの輪郭をつかみやすい一枚だ。ジャンル表記としてはRock、スタイルはProg Rock。80年代初頭の英国プログレ系の空気をそのまま映したような内容になっている。
バンドの位置づけ
Twelfth Nightは、1987年にいったん解散し、その後2007年から2012年にかけて再結成も行っている。『Fact And Fiction』は、バンドの活動初期から中期にかけての代表的な時期に置かれる作品として見られることが多い。メンバーにはMartyn Watson、Andy Revell、Geoff Mann、Clive Mitten、Brian Devoil、Rick Battersby、Andy Sears、Dean Baker、Roy Keyworth、Nigel Atkins、Electra McLeod、Ian Lloyd Jones、Mark Spencer、Andy Faulknerらの名前が並ぶ。
作品の印象
このアルバムでは、プログレッシブ・ロックらしい構成の変化や、楽曲の展開を追う楽しさが前に出ている。演奏はきっちり組み立てられていて、リズムやギター、キーボードの役割分担がはっきりしている印象だ。派手な装飾を重ねるというより、曲の流れを保ちながら場面を切り替えていくタイプの作りに感じられる。
実際に聴くと、音の重ね方や間の置き方に80年代初頭の英国プログレらしい整理された感触がある。メロディを前面に出す場面と、演奏で押していく場面の切り替えがはっきりしていて、1曲ごとの表情の違いが追いやすい。ボーカルの存在感もあり、インスト中心の硬質なプログレとは少し違う、歌を軸にしたバンド感が見えやすい作品だ。
同時代の文脈
Twelfth Nightは、同じく英国で展開したネオ・プログレ系の流れにあるバンドとして語られることが多い。MarillionやIQなどと並べて見られることもあり、70年代プログレの系譜を引きつつ、80年代の録音感やバンド編成の実感を持ち込んでいるところが特徴になっている。『Fact And Fiction』も、その文脈の中で聴くと整理しやすい。
補足
この作品について特に広く知られたヒット曲がある、というよりは、アルバム全体の流れで聴かれるタイプの一枚として捉えられやすい。バンドの活動史の中では、初期の性格を確認できる重要な時期の記録として位置づけられるだろう。
1982年のUK発プログレ作品として見ると、『Fact And Fiction』は、時代の空気とバンドの持ち味がそのまま残るアルバムだ。
トラックリスト
- We Are Sane (10:27)
- A2 – Human Being (7:50)
- A3 – This City (4:01)
- A4 – World Without End (1:54)
- B1 – Fact And Fiction (3:59)
- B2 – The Poet Sniffs A Flower (3:51)
- B3 – Creepshow (11:57)
- B4 – Love Song (5:40)
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Alberto Radius – Che Cosa Sei (1976)
Alberto Radius / Che Cosa Sei
Alberto Radiusの「Che Cosa Sei」は、1976年に発表された作品で、ロックとポップの要素を軸にしたポップ・ロックの一枚だ。アルベルト・ラディウスはイタリア出身のギタリスト、シンガーで、60年代後半から70年代にかけてのイタリアン・ロック・シーンで存在感を示した人物として知られる。
アーティストの立ち位置
Radiusは、バンド活動を通してキャリアを積み上げたあと、1969年にFormula 3を結成したことで広く知られる。Lucio BattistiのレーベルNumero Unoからデビューし、代表曲「Questo Folle Sentimento」がイタリアのチャートで上位に入ったことでも知られる。そうした流れを踏まえると、「Che Cosa Sei」は、バンド・ミュージシャンとしての経験と、ソロでの表現がつながる時期の作品として位置づけられる。
作品の印象
この作品は、ギターを前面に押し出したロック色と、歌ものとしての聴きやすさが同居するタイプのアルバムとして捉えやすい。70年代イタリアのポップ・ロックには、メロディを重視しつつ演奏にも力が入る作品が多いが、本作もその文脈の中にある一枚と言えそうだ。曲の輪郭を保ちながら、演奏の細部で個性を見せる流れが見えやすい。
作曲者としてのRadiusの持ち味は、バンド時代に培ったギターの感覚と、歌のフレーズの運びの両方にある。Formula 3や、同時代のイタリアン・ロックに通じる耳なじみのよさと、ロック寄りの音作りが近い距離にあるのがこの時代の特徴でもある。
盤について
ここにある盤は1982年リリースのもの。作品そのものは1976年の発表なので、70年代オリジナルの流れを後年の盤で聴く形になる。ジャケットや音質の細かな違いは盤ごとに変わることがあるが、作品の核になる部分は1976年時点のものとして受け止めやすい。
関連する文脈
- イタリアン・ロックの流れの中にあるソロ作品
- Formula 3での活動を経たギタリスト/シンガーとしての一面
- ロックとポップの間を行き来する70年代イタリア作品の一例
「Che Cosa Sei」は、Alberto Radiusの経歴を踏まえて聴くと、演奏家としての手触りとポップ・ソングとしてのまとまりが見えやすい作品だ。派手さよりも、曲と演奏の組み合わせで聴かせるタイプのアルバムとして記憶しやすい。
トラックリスト
- A1 – Che Cosa Sei (3:58)
- A2 – L’Asino (3:58)
- A3 – Il Respiro Di Laura (5:12)
- A4 – La Meta’ (5:07)
- B1 – Sound (3:40)
- B2 – Salamoia (3:42)
- B3 – Suoni (4:47)
- B4 – Zenit (4:47)
- B5 – Pop Star (4:00)
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Various – The Harvest Bag (1971)
The Harvest Bag / Various (1971)
1971年にUKで出たHarvestレーベルのサンプラー盤で、レーベル・コンピレーションとしての性格がはっきりした1枚です。ロックを軸にしながら、ブルース・ロック、カントリー・ロック、ジャズ・ロック、プログレッシブ・ロックまでを一通り見渡せる内容になっていて、当時のHarvestの幅をそのまま切り取ったような作品です。
作品の位置づけ
Harvestは1971年11月にこうしたサンプラーを送り出していて、レーベルの色をまとめて示す役割が強い盤です。個別のアーティスト作品ではなく、複数の録音を通して当時のレーベルの方向性を伝える内容で、UKロックの流れの中にあるHarvestの立ち位置が見えやすい構成です。
特にこの盤は、Electric Light Orchestraの初出音源を収録していることで知られています。ELOの初期記録に触れられる点は、このレコードの大きな特徴です。
収録内容の印象
曲単位で見ると、ブルース寄りの粘り、カントリー・ロックの素朴な運び、ジャズ・ロックのリズム処理、プログレッシブ・ロックの展開感といった要素が、1枚の中で切り替わっていく構成です。レーベル・コンピレーションらしく、ひとつの作品世界を通して聴かせるというより、当時のHarvestが抱えていた音の輪郭を並べて示す内容といえる盤です。
こうしたサンプラー盤は、個々の曲の代表性よりも「その時点で何が起きていたか」を伝える資料性が前面に出やすいですが、この盤もそのタイプです。1971年のUKロックを、レーベル単位で俯瞰する入口のような位置にある作品です。
時代背景
1971年のUKロックは、ブルースの土台を残しながら、カントリーやジャズ、プログレの要素を取り込んでいく時期でした。Harvestはその流れを受け止めるレーベルのひとつで、このサンプラーにはその動きがまとまって表れています。Pink Floyd周辺で知られるレーベルという印象だけでは収まらない、もう少し広い音楽性の広がりが見える内容です。
まとめ
The Harvest Bagは、1971年のUK Harvestレーベルを一望できるサンプラー盤です。ロックを基盤に、複数のスタイルを横断する当時の空気感がそのまま入っていて、さらにElectric Light Orchestraの初出音源を含む点でも記録性の高い1枚です。作品単体というより、レーベルの断面を残したコンピレーションとして捉えると、その性格がつかみやすい盤です。
トラックリスト
- A1 – Laughed At The Judge
- A2 – River Woman
- A3 – Queen Of The Hours
- A4 – Shoot Her If She Runs
- A5 – After The Day
- B1 – Call Me A Liar
- B2 – Ain’t Gonna Do You No Harm
- B3 – Living Here Alone
- B4 – Ella James
- B5 – The City – Part 1 (The Ghetto)
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- Grease Band – 1971 – Laughed At The Judge – Dimitris Lesini Blues
- SOUTHERN COMFORT “RIVER WOMAN” (1972)
- Queen of the Hours (2001 Remaster)
- Shoot Her if She Runs
- After The Day
- Edgar Broughton Band – Call Me A Liar (1971)
- East of Eden – Ain’t Gonna Do You No Harm
- Roy Harper – Living Here Alone (UK1971)
- Ella James (2005 Remaster)
- Mark-Almond Band – The Ghetto
Steve Hackett – Cured (1981)
Steve Hackett『Cured』
Steve Hackettは、Genesisでの活動で知られる英国出身のギタリスト。1977年にバンドを離れてからはソロ活動を軸に作品を重ねていて、『Cured』は1981年に発表されたソロ作のひとつである。英国ロックの流れの中でも、プログレッシブ・ロックの出自を残しながら、より歌もの寄りの作りへ寄った時期の作品として聴かれることが多い。
作品の輪郭
このアルバムでは、Steve Hackettらしいギターの存在感を土台にしつつ、Pop RockとProg Rockが並ぶ構成になっている。Genesis時代の複雑な展開をそのまま引き継ぐというより、曲ごとの輪郭をはっきりさせた作りで、ロック・アルバムとしてのまとまりが前に出る印象である。
1980年代初頭という時期もあって、70年代のプログレに比べると音像はすっきりしている。ギターのフレーズは前面にありながら、曲調は比較的コンパクトで、メロディの分かりやすさが耳に残るタイプの一枚。プログレ寄りのソロ・ギタリスト作品としても、同時代の英国ロック作品としても追える内容である。
聴きどころ
Steve Hackettのソロ作品では、ギターの表情がそのまま曲の色になることが多いが、『Cured』でもそこは変わらない。派手に弾き続けるというより、フレーズの置き方や音の抜き差しで曲を進めていく場面が目立つ。ボーカル曲でもギターが前に出るため、バンド作品とは違う視点で彼の演奏を追えるアルバムである。
代表曲として広く知られた定番曲が真っ先に挙がる作品ではないが、アルバム全体を通して聴くと、80年代初頭のSteve Hackettがどんな方向を向いていたかが見えやすい。Genesis脱退後のソロ活動を確認する上でも、ひとつの節目に置かれる作品といえる。
リリースについて
オリジナルは1981年の作品で、ここで扱う盤は1984年リリースのもの。UK盤として流通した再発盤にあたり、作品そのものは1981年の内容を収めている。オリジナル発表時の空気を残しつつ、80年代の流通の中で聴かれてきた一枚である。
まとめ
『Cured』は、Genesisを経たSteve Hackettが、ソロ・アーティストとして自分のギターを中心に組み立てた1981年作。プログレッシブ・ロックの文脈を持ちながら、ポップ・ロック寄りのまとまりも見せるアルバムで、80年代初頭の英国ロックの一断面として捉えやすい作品である。
トラックリスト
- A1 – Hope I Don’t Wake
- A2 – Picture Postcard
- A3 – Can’t Let Go
- A4 – The Air-Conditioned Nightmare
- B1 – Funny Feeling
- B2 – A Cradle Of Swans
- B3 – Overnight Sleeper
- B4 – Turn Back Time
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Clearlight – Forever Blowing Bubbles (しゃぼん玉幻覚) (1975)
Clearlight「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」について
Clearlightは、フランス・パリ出身のプログレッシブ・ロック・バンド。1973年に始動し、キーボード奏者Cyrille Verdeauxを軸に、Gong周辺を含むフランスのプログレ/アンダーグラウンド界のミュージシャンたちが入れ替わりで参加してきたグループだ。本作「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は1975年に発表された作品で、日本盤は1982年リリース。Electronic、Jazz、Rockをまたぐ内容で、Jazz-Rock、Experimental、Prog Rockの文脈に置かれる一枚になっている。
作品の立ち位置
Clearlightは、バンドというよりもCyrille Verdeauxのプロジェクト色が強い出発点を持ち、その後にClearlight名義のグループとして広がっていった経緯がある。本作もその流れの中にある作品で、Steve Hillage、Didier Lockwood、Tim Blake、Didier Malherbeといった顔ぶれが並ぶのがまず目を引くところ。フランスのプログレ/ジャズ・ロックの線上で、演奏者の個性を前面に出すタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲ごとに音の重心が少しずつ動いていくのが分かりやすい。キーボードを中心に据えた展開がありつつ、ギターやサックス、ヴァイオリン系の音色が差し込まれ、ロックのリズム感と即興性のあるフレーズが交差する場面が多い。ジャズ・ロックらしい流れの中に、電子音や浮遊感のある処理が入ることで、単純なバンド・サウンドには収まらない作りになっている。
派手な歌もの中心というより、演奏の展開そのものを聴かせるタイプ。フレーズの受け渡しや、音色の切り替えに耳が行く作りで、フランスのプログレらしい実験性と、当時のジャズ・ロックの推進力が同居している印象だ。
同時代の文脈
1970年代半ばのフランスでは、GongやMagma周辺を含め、ロック、ジャズ、サイケデリックな感覚を横断する作品が次々に生まれていた。本作もその流れの中で聴くと位置づけが見えやすい。英国のプログレに比べると、構築美だけでなく、演奏の自由度や音の飛び方が前に出る場面があり、Clearlightもその系譜に連なる存在と言えそうだ。
特にSteve HillageやDidier Lockwood、Didier Malherbeのようなプレイヤーが関わっている点は、この時期のフレンチ・プログレ/ジャズ・ロックの交差点をよく示している。バンドの固定的な編成というより、場面ごとに色が変わるアンサンブルとしての面白さがある。
日本盤について
1982年に出た日本盤は、オリジナルの1975年盤から数年後の登場になる。日本での紹介時期としては、70年代プログレの再評価が進んでいたタイミングとも重なり、当時のリスナーにとってはフランス産の変則的なジャズ・ロック/プログレ作品として受け取られたはずだ。盤としてはオリジナル発売から時間をおいてのリリースになるため、作品そのものの成立時期と日本での流通時期は分けて見ておきたいところ。
まとめ
「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は、Clearlightというプロジェクトの性格がよく出た一枚。Cyrille Verdeauxを中心に、フランスの個性的な演奏家たちが集まり、ロック、ジャズ、電子的な要素を混ぜながら進んでいく。1970年代フランス・プログレの広がりを、そのまま音にしたような作品として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 – Chanson (4:44)
- A2 – Without Words (7:41)
- A3 – Way (8:16)
- B1 – Ergotrip (6:24)
- B2 – Et Pendant Ce Temps La (4:43)
- B3 – Narcisse Et Goldmund (2:39)
- B4 – Jungle Bubbles (2:45)
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Chic – Take It Off (1981)
Chic『Take It Off』について
Chicの『Take It Off』は、1981年にリリースされた作品。Nile RodgersとBernard Edwardsを中心に1977年に結成されたChicは、ディスコ期を代表するグループのひとつとして知られていて、この時期のファンク/ソウルの流れの中でも、演奏の精度とリズムの組み立てで存在感を示している。
グループ名を追うと、Chicはギター、ベース、ドラムの土台がはっきりしたバンドで、そこにボーカルとホーン、キーボードが重なっていく構成。Nile Rodgersのカッティング・ギターとBernard Edwardsのベースが軸にある点は、この作品でも作品全体の骨格として意識しやすいところだ。
1981年のChicという位置づけ
1981年のChicは、ディスコの文脈を引き継ぎつつ、よりファンク寄りの手触りを持った時期として捉えやすい。『Take It Off』もその流れの中にある作品で、ダンス・ミュージックとしての機能性と、バンド演奏の輪郭が前に出るタイプの1枚。ディスコの華やかさだけでなく、リズムセクションの細かい動きや、声の掛け合いの配置に耳が向く内容だ。
同時代のファンク/ダンス・ミュージックと比べると、Chicは派手な装飾よりも、演奏の組み合わせで曲を組み上げていく印象が強い。そうした作りは、後のダンス・ミュージックやR&Bにもつながる流れとして語られることが多い。
サウンドの聴きどころ
この作品でまず目立つのは、ギターとベースの噛み合い方。Nile Rodgersの細かいストロークと、Bernard Edwardsの動くベースラインが、リズムを前へ押していく。そこにドラム、キーボード、ホーンが加わり、曲の中でグルーヴの密度が上がっていく作りだ。
ボーカル面では、リードとコーラスの受け渡しが重要な要素。Chicらしいアンサンブル感があり、ひとりの歌を前面に出すというより、バンド全体でフレーズを積み重ねていく感触がある。
Chicの代表曲とのつながり
Chicといえば『Le Freak』『Good Times』が代表曲としてよく挙がるが、『Take It Off』もその延長線上で、バンドの基本形がよく見える時期の作品として捉えられる。ヒット曲中心のイメージとは少し違い、バンドの演奏とアレンジの組み立てに目が向くところがある。
まとめ
『Take It Off』は、1981年のChicが持っていたファンク/ディスコの手触りを、そのままパッケージしたような作品。Nile RodgersとBernard Edwardsを核にした演奏の強さ、ホーンやコーラスを含めたバンド・アンサンブル、そしてダンス・ミュージックとしての推進力がまとまっている1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Stage Fright (3:55)
- A2 – Burn Hard (5:12)
- A3 – So Fine (4:10)
- A4 – Flash Back (4:28)
- A5 – Telling Lies (2:28)
- B1 – Your Love Is Cancelled (4:12)
- B2 – Would You Be My Baby (3:34)
- B3 – Take It Off (5:12)
- B4 – Just Out Of Reach (3:45)
- B5 – Baby Doll (3:10)
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- Take It Off
- So Fine
- Stage Fright
- Burn Hard
- Telling Lies
- Chic – Take It Off (1981) – A4 – Flash Back
- Chic – Take It Off (1981) – B1 – Your Love Is Cancelled
- Chic – Take It Off (1981) – B4 – Just Out Of Reach
- Chic – Take It Off (1981) – B2 – Would You Be My Baby
- Chic – Take It Off (1981) – B5 – Baby Doll
Nine Days’ Wonder – Sonnet To Billy Frost (1976)
Nine Days’ Wonder / Sonnet To Billy Frost
1976年にドイツでリリースされた、Nine Days’ Wonderのアルバム。マインハイムを拠点にしたこのバンドは、1960年代から活動していたWalter Seyfferを中心に発展してきたグループで、Krautrockの流れの中でも、ジャズ、ブリティッシュ・プログレ、フランク・ザッパ的な感触を取り込んだ硬質なロックを鳴らしていたことで知られる。
Sonnet To Billy Frostは、そのNine Days’ Wonderの1976年作品として位置づけられる一枚。メンバーにはMichael Bundt、Sid Gautama、John Earle、Walter Seyffer、Bernd Unger、Rolf Henning、Karl Mutschlechner、Martin Roscoe、Peter Oehler、Hans Frauenschuh、Freddie Münster、Karl-Heinz Weiler、Walter Kirchgässnerらが名を連ねる。
作品の輪郭
この時期のNine Days’ Wonderは、単純なハードロックでもなく、一直線のプログレッシブ・ロックでもない、曲ごとに手触りの変わる作りが特徴になっている。Walter Seyfferの個性的なヴォーカルを軸に、曲展開の切り替えやリズムの組み替えが入り、バンド全体で組曲的な流れを作っていくタイプの作品と言える。
同時代のドイツ勢でいえば、CanやAmon Düül IIのようなKrautrockの流れ、あるいは英国プログレの構成感と比較して語られることが多いバンドだが、Nine Days’ Wonderはその中でも演奏の密度と、ロックの骨格を崩しすぎない点に特徴がある。Frank Zappaの影響を感じさせる、ひねりのあるアレンジ感もこのグループらしい要素。
聴きどころ
実際に聴くと、まず耳に残るのはWalter Seyfferの声質。歌として流すというより、フレーズの置き方で曲の輪郭を強めていく印象がある。そこに、管や鍵盤、ギター、リズム隊が細かく絡み、ひとつの曲の中で場面が何度も切り替わっていく。
派手なヒット曲で引っ張る作品というより、アルバム全体で聴かせるタイプの内容。収録曲それぞれが、演奏の緊張感やアンサンブルの組み替えを見せる方向に寄っていて、70年代中期のドイツ産プログレ/Krautrockの文脈をそのまま感じられる一枚になっている。
バンドの中での位置づけ
Nine Days’ Wonderは、1960年代から続くWalter Seyfferの活動史の延長線上にあるバンドで、The GravesからNine Days Wonderへと発展していった経緯を持つ。Sonnet To Billy Frostは、その流れの中で70年代中盤の到達点のひとつとして捉えやすい作品。バンドの持つ多国籍な編成と、ジャズやプログレを含む広い音楽語法が、比較的まとまった形で表れている。
まとめ
1976年のドイツ産プログレ作品として、Nine Days’ Wonderらしい複雑さと、ロックの推進力が同居したアルバム。Krautrock、British progressive rock、Frank Zappa的な感覚が交差するバンドの個性を、そのままアルバム単位で追える内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Alchemists (5:50)
- A2 – I Need A Rest (4:06)
- A3 – In Memory Of Sir Hillary (3:25)
- Five Minute Musical
- A5 – Turn And Go On (4:05)
- B1 – Sonnet To Billy Frost (6:23)
- B2 – Empty Frame (3:56)
- B3 – Almost October (3:50)
- B4 – Jamie (3:42)
- B5 – You’re Always All Alone With The Things You Love (5:39)
- B6 – I Need A Rest, Part II (1:12)
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Rockwell – Somebody’s Watching Me (1984)
Rockwell「Somebody’s Watching Me」について
Rockwellの「Somebody’s Watching Me」は、1984年にリリースされたシングルで、同名タイトルの代表曲として知られる作品だ。US出身のヴォーカリスト/プロデューサーであるRockwellにとって、短い活動期間の中でも存在感を強く残した1曲で、彼の名を広く知らしめた中心作でもある。
ジャンルはElectronicとFunk / Soul、スタイルとしてはSynth-popとFunkに位置づけられる。打ち込み主体の骨格に、ファンク由来のリズム感が重なる作りで、当時の80年代らしいシンセの質感が前面に出ている。リリース国はUS、アーティストもUSという、同時代のアメリカン・ポップ/R&Bの流れの中で捉えやすい作品だ。
作品の立ち位置
Rockwellは1964年生まれ、デトロイト出身。Motown創設者Berry Gordyの息子として生まれた人物で、本人の経歴自体もかなり特徴的だ。とはいえ、この作品でまず耳に入るのは肩書きよりも、ひとつの楽曲としての強さのほうだろう。80年代前半のシンセポップとファンクの接点にある音像で、彼のキャリアを語るときの軸になる。
「Somebody’s Watching Me」は、タイトル通り“誰かに見られている”という感覚をそのまま曲にした内容で、軽いノリだけでは終わらない緊張感がある。リズムは跳ねるが、歌の運びには落ち着かない空気がまとわりつく。そのバランスが、この曲を単なるダンス・トラック以上のものにしている印象だ。
聴きどころ
実際に聴くと、まずシンセのフレーズが印象に残る。音数は多すぎず、輪郭のはっきりしたビートに引っかかるように鳴っていて、曲全体を引っ張る役割を持っている。ベースの動きも一定の推進力を作っていて、ファンク寄りの感触がそこで出てくる。
ボーカルは、派手に押し切るタイプというより、言葉を追わせるような運びが中心だ。そこに不穏さが乗るので、フックの強さと少し落ち着かない気配が同居している。80年代のシンセポップの中でも、ポップさだけに寄り切らないところがこの曲の輪郭だと思う。
同時代とのつながり
この時期のアメリカでは、シンセを前面に出したポップやR&Bが広がっていて、ファンクの感覚と電子音の組み合わせも珍しくない流れだった。そうした文脈の中で見ると、「Somebody’s Watching Me」は、クラブ寄りの軽さと、歌詞の不安感を同居させたタイプの1曲として整理しやすい。派手なサウンドの中に、テーマのわかりやすさがあるのも特徴だ。
Rockwellの作品としては、この曲がまず先に挙がることが多いはずで、彼の短い活動の中でも代表的な位置づけにある。1984年という年の空気感を、そのまま切り取ったような1枚だ。
まとめ
「Somebody’s Watching Me」は、80年代前半の電子音主体のポップとファンクの接点にある作品で、Rockwellの名を決定づけた楽曲として見てよさそうだ。シンセのフレーズ、跳ねるリズム、そして“見られている”というテーマが一体になった、印象の残るタイトル。
トラックリスト
- A1 – Somebody’s Watching Me (5:01)
- A2 – Obscene Phone Caller (3:24)
- A3 – Taxman (3:56)
- A4 – Change Your Ways (4:49)
- B1 – Runaway (4:24)
- B2 – Wasting Away (3:55)
- B3 – Knife (5:03)
- B4 – Foreign Country (5:56)
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Paatos – Breathing (2011)
Paatos『Breathing』について
『Breathing』は、スウェーデン・ストックホルムで結成されたプログレッシブ・ロック・バンド、Paatosの作品。オリジナルのリリースは2011年で、こちらの盤は2013年にオランダで出たもの。Paatosは2000年8月に結成され、Reine Fiske、Stefan Dimle、Ricard “Huxflux” Nettermalm、Johan Wallen、Petronella Nettermalmを中心に活動してきたバンドである。
バンドの輪郭
Paatosはストックホルム出身のプログレッシブ・ロック・バンドとして知られる。現在の編成は、Ricard Nettermalmがドラム、パーカッション、プログラミング、Petronella Nettermalmがヴォーカルとチェロ、Peter Nylanderがギター、Ulf Ivarssonがベースという布陣。メンバーの顔ぶれを見ると、ロックの基本編成にチェロやプログラミングも加わる構成で、バンドの音づくりの幅広さがうかがえる。
プログレッシブ・ロックの文脈では、演奏の組み立てや曲展開の作り込みが重視されることが多いが、Paatosもその系譜にあるバンドとして語られることが多い。北欧のプログレ/オルタナ寄りの流れの中で聴かれることもある存在で、同時代のシーンでは繊細な女性ヴォーカルを軸にしたバンドとして名前が挙がりやすい。
『Breathing』の位置づけ
2011年発表の『Breathing』は、Paatosのディスコグラフィーの中でも後期の作品にあたる。結成から10年を超えた時期のリリースで、バンドとしての経験値が反映された時期の録音と見てよさそうだ。2013年盤はオランダでのリリースで、作品そのものは2011年のものとして扱われる。
このバンドは、Reine FiskeやStefan Dimleといったメンバーの関与でも知られていて、北欧プログレ周辺のファンの間ではその人脈も含めて語られることがある。『Breathing』も、そうした流れの中で受け取られてきた作品のひとつと言える。
サウンドの印象
実際に聴くと、Paatosらしい緊張感のあるバンド演奏と、Petronella Nettermalmのヴォーカルが軸にあることがわかる。チェロが入ることで音の重心が低くなり、ギター、ベース、ドラムのロック・バンドとしての推進力に、別の質感が重なる構成。派手に押し切るというより、音数の配置や空気の残し方で曲を進めていくタイプの作品に聴こえる。
プログレッシブ・ロックといっても長大な組曲だけで構成される印象ではなく、曲ごとの流れを追いやすいところもある。北欧のメロディを前面に出すタイプのロックや、静と動の切り替えを重視するバンドと並べて語られることがありそうな内容である。
代表曲について
この作品全体はアルバム単位で聴かれる性格が強く、特定のヒット曲で知られるタイプとは少し違う。むしろ、曲間のつながりやアルバム全体の流れのほうに耳が向く作りで、Paatosの持つバンドとしてのまとまりが見えやすい。
まとめ
『Breathing』は、ストックホルム出身のPaatosが積み重ねてきたプログレッシブ・ロックの手触りを、後期の時期にまとめた作品。2011年のオリジナル盤としては、演奏の精度、Petronella Nettermalmの歌声、チェロを含む編成の個性が見えやすい一枚である。北欧プログレの流れの中でも、バンドの輪郭がはっきり出るタイトルとして受け止められてきた作品だろう。
トラックリスト
- A1 – Gone (5:52)
- A2 – Fading Out (3:36)
- A3 – Shells (5:58)
- A4 – In That Room (4:56)
- A5 – Over & Out (3:31)
- B1 – Breathing (5:56)
- B2 – Smärtan (4:30)
- B3 – Surrounded (4:48)
- B4 – Precious (4:25)
- B5 – No More Rollercoaster (4:15)
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Tudor Lodge – Tudor Lodge (1971)
Tudor Lodge『Tudor Lodge』について
英国レディングを拠点に活動したフォーク・バンド、Tudor Lodgeのアルバム『Tudor Lodge』。オリジナルは1971年の作品で、リリース国はUK。メンバーにはLinda Thompson、John Stannard、Lyndon Green、Ann Steuart、Lynne Whitelandの名前が並ぶ。
John Stannardを中心にしたバンドとして知られ、フォークを土台にしたロック寄りの響きが、この作品にも通っている。後年の再発盤として1988年に出回った盤もあり、現在では当時の英国フォーク・ロックの流れをたどるうえで触れられることの多い一枚という位置づけになっている。
作品の輪郭
ジャンル表記はRock、スタイルはFolk Rock。アコースティックな感触を軸にしながら、ロックのフォーマットの中で演奏を組み立てるタイプの作品として受け取られてきた。Tudor Lodgeというバンド名の通り、英国の古い民謡的な空気と、1970年代初頭のロックの流れが同居している印象がある。
同時代の英国フォーク・ロックの文脈では、Fairport ConventionやPentangleの流れを思わせる場面がある。とはいえ、派手なロック色を前面に出すというより、曲ごとの輪郭や歌の置き方に重心があるタイプの作品として語られることが多い。
聴きどころ
実際に聴くと、Linda Thompsonの歌声がまず印象に残る。後の活動でも知られる彼女だが、この時期の録音では、曲の芯をまっすぐ支えるような歌い方が目立つ。アンサンブルは過度に厚くならず、歌と伴奏の距離感が近い。フォーク・ロックらしい編成の中で、音数を詰め込みすぎない作りが特徴的だ。
アルバム全体としては、曲ごとの表情を追う楽しさがある一方で、1曲だけを切り出して強く押し出すより、まとまりで聴くタイプの作品に感じられる。代表曲として広く知られる一曲を前面に置くというより、アルバム単位で当時のUKフォーク・ロックの空気を残した記録として見られている。
アーティストにとっての位置づけ
Tudor Lodgeは、John Stannardを中心に長く活動を続けてきたバンドで、このアルバムはその初期の姿を伝える重要な記録といえる。バンドのプロフィールをたどると、Reading, Englandを拠点に活動を続けてきたことがわかり、地域に根ざしたフォーク・バンドとしての輪郭も見えてくる。
1971年という時期を考えると、英国ではフォークの伝統がロックの形式に吸収されていく流れが強かった。Tudor Lodgeのこの作品も、その流れの中に置くと理解しやすい。フォーク・ロックの文脈に沿いながら、バンドの持ち味をそのまま残したアルバムとして受け止められている。
まとめ
『Tudor Lodge』は、英国フォーク・ロックの初期70年代らしい質感を持つアルバム。Linda Thompsonの参加を含む編成、John Stannardを軸にしたバンドの形、そして歌を中心に据えた作りが、作品の輪郭をはっきりさせている。再発盤として流通した1988年盤でも、この1971年作の空気はそのまま伝わってくる。
トラックリスト
- A1 – It All Comes Back To Me
- A2 – Would You Believe?
- A3 – Recollection
- A4 – Two Steps Back
- A5 – Help Me Find Myself
- A6 – Nobody’s Listening
- B1 – Willow Tree
- B2 – Forest
- B3 – I See A Man
- B4 – The Lady’s Changing Home
- B5 – Madeline
- B6 – Kew Gardens
関連動画
- Tudor Lodge ► Willow Tree [HQ Audio] 1971
- Tudor Lodge 1971 *It All Comes Back To Me*
- Tudor Lodge 1971 *Would You Believe*
- Tudor Lodge 1971 *Recollection*
- Tudor Lodge 1971 *Two Steps Back*
- Tudor Lodge 1971 *Help Me Find Myself*
- Tudor Lodge 1971 *Nobody’s Listening*
- Tudor Lodge 1971 *Willow Tree*
- Tudor Lodge 1971 *Forest*
- Tudor Lodge 1971 *I See A Man*
Space – The Best of Space (2018)
Space『The Best of Space』
『The Best of Space』は、Spaceの代表曲をまとめた2018年作のベスト盤だ。Spaceはフランスのグループで、Didier Marouani(Ecama名義でも知られる)とRoland Romanelliを中心に結成されたユニットとして知られている。1977年のUKディスコ・ヒット「Magic Fly」で広く注目を集め、その後も「Just Blue」や「Tango In Space」、「Carry On, Turn Me On」など、電子音を前面に出したディスコ作品を残してきた。
作品の位置づけ
この『The Best of Space』は、そうした活動を振り返る内容のコンピレーションとして捉えやすい。Spaceの音楽は、ディスコのビート感にシンセサイザーのフレーズを重ねた作りが特徴で、当時のダンス・ミュージックの流れの中でも、少し機械的で、少し宇宙的な方向へ寄っている印象がある。
オリジナルの活動期を追って聴くと、「Magic Fly」のような代表曲だけでなく、「Just Blue」収録曲のようなインストゥルメンタル中心の楽曲にもグループの輪郭が見えやすい。ベスト盤としては、その流れを短い時間でたどれる構成といえる。
サウンドの印象
Spaceの音は、電子楽器のラインが前に出る一方で、ディスコらしい一定のグルーヴも保っているのがポイントだ。Madeline BellやCissy Stoneのような歌手の参加歴もあり、曲によっては声の存在感が加わる場面もある。とはいえ、全体の軸はやはりリズムとシンセの反復にある。
同時代のディスコと比べると、よりヨーロッパ産の電子音楽寄りの感触が強い。派手な歌モノのディスコというより、Kraftwerk以降の電子音楽の流れや、70年代後半のクラブ向けインストゥルメンタルの空気と接点があるタイプだ。そこにSpace独自のメロディ感が乗る、という見方がしやすい。
代表曲について
やはり外せないのは「Magic Fly」だ。Spaceの名前を決定づけた曲として知られていて、この曲のイメージがそのままグループ像につながっている。ベスト盤の中でも中心になる存在で、Spaceを初めて聴くときの入口としても機能しやすい。
そのほか、「Just Blue」や「Tango In Space」のような曲名からも分かる通り、宇宙や未来感のあるテーマが一貫している。音だけでなく、タイトルや曲の設計にもグループの方向性がはっきり出ている。
まとめ
『The Best of Space』は、Spaceのディスコ/エレクトロニック路線を代表曲中心に追える2018年のベスト盤だ。1977年の「Magic Fly」を軸に、当時のヨーロッパ・ディスコの中でこのグループがどんな立ち位置にいたのかをつかみやすい内容になっている。電子音の質感とディスコの推進力、その組み合わせがこの作品の核だ。
- アーティスト: Space
- タイトル: The Best of Space
- リリース年: 2018年
- ジャンル: Electronic
- スタイル: Disco
- 代表曲: 「Magic Fly」
トラックリスト
- A1 – Magic Fly
- A2 – Tango In Space
- A3 – Flying Nightmare
- A4 – Running In The City
- B1 – Carry On, Turn Me On
- B2 – Air Force
- B3 – Fasten Seat Belt
- C1 – Deliverance
- C2 – Save Your Love For Me
- C3 – Symphony
- D1 – Just Blue
- D2 – Deeper Zone
- D3 – Ballad For Space Lovers
- D4 – Velvet Rape