Nine Days’ Wonder – Sonnet To Billy Frost (1976)
Nine Days’ Wonder / Sonnet To Billy Frost
1976年にドイツでリリースされた、Nine Days’ Wonderのアルバム。マインハイムを拠点にしたこのバンドは、1960年代から活動していたWalter Seyfferを中心に発展してきたグループで、Krautrockの流れの中でも、ジャズ、ブリティッシュ・プログレ、フランク・ザッパ的な感触を取り込んだ硬質なロックを鳴らしていたことで知られる。
Sonnet To Billy Frostは、そのNine Days’ Wonderの1976年作品として位置づけられる一枚。メンバーにはMichael Bundt、Sid Gautama、John Earle、Walter Seyffer、Bernd Unger、Rolf Henning、Karl Mutschlechner、Martin Roscoe、Peter Oehler、Hans Frauenschuh、Freddie Münster、Karl-Heinz Weiler、Walter Kirchgässnerらが名を連ねる。
作品の輪郭
この時期のNine Days’ Wonderは、単純なハードロックでもなく、一直線のプログレッシブ・ロックでもない、曲ごとに手触りの変わる作りが特徴になっている。Walter Seyfferの個性的なヴォーカルを軸に、曲展開の切り替えやリズムの組み替えが入り、バンド全体で組曲的な流れを作っていくタイプの作品と言える。
同時代のドイツ勢でいえば、CanやAmon Düül IIのようなKrautrockの流れ、あるいは英国プログレの構成感と比較して語られることが多いバンドだが、Nine Days’ Wonderはその中でも演奏の密度と、ロックの骨格を崩しすぎない点に特徴がある。Frank Zappaの影響を感じさせる、ひねりのあるアレンジ感もこのグループらしい要素。
聴きどころ
実際に聴くと、まず耳に残るのはWalter Seyfferの声質。歌として流すというより、フレーズの置き方で曲の輪郭を強めていく印象がある。そこに、管や鍵盤、ギター、リズム隊が細かく絡み、ひとつの曲の中で場面が何度も切り替わっていく。
派手なヒット曲で引っ張る作品というより、アルバム全体で聴かせるタイプの内容。収録曲それぞれが、演奏の緊張感やアンサンブルの組み替えを見せる方向に寄っていて、70年代中期のドイツ産プログレ/Krautrockの文脈をそのまま感じられる一枚になっている。
バンドの中での位置づけ
Nine Days’ Wonderは、1960年代から続くWalter Seyfferの活動史の延長線上にあるバンドで、The GravesからNine Days Wonderへと発展していった経緯を持つ。Sonnet To Billy Frostは、その流れの中で70年代中盤の到達点のひとつとして捉えやすい作品。バンドの持つ多国籍な編成と、ジャズやプログレを含む広い音楽語法が、比較的まとまった形で表れている。
まとめ
1976年のドイツ産プログレ作品として、Nine Days’ Wonderらしい複雑さと、ロックの推進力が同居したアルバム。Krautrock、British progressive rock、Frank Zappa的な感覚が交差するバンドの個性を、そのままアルバム単位で追える内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Alchemists (5:50)
- A2 – I Need A Rest (4:06)
- A3 – In Memory Of Sir Hillary (3:25)
- Five Minute Musical
- A5 – Turn And Go On (4:05)
- B1 – Sonnet To Billy Frost (6:23)
- B2 – Empty Frame (3:56)
- B3 – Almost October (3:50)
- B4 – Jamie (3:42)
- B5 – You’re Always All Alone With The Things You Love (5:39)
- B6 – I Need A Rest, Part II (1:12)