Mouse – Lady Killer (1973)
Mouse『Lady Killer』について
Mouseは、1970年代前半の短い活動期間に残した英国のプログレッシブ・ロック・バンドで、ギタリストのRay Russellを中心にしたグループだ。『Lady Killer』は1973年に発表された作品で、Ray Russellにとっては、1972年のRunning Man、1975年のChopynへとつながる一連の“一回限り”のロック・プロジェクトの中では2作目にあたる。
編成は、Ray Russell、Alan “Al” Clare、Jeff Watts、Alan Rushtonの4人。ジャズ畑でも知られるRay Russellが、ギターを軸にロック寄りの表現へ振った時期の記録として見ると、位置づけがつかみやすい作品だ。
作品の性格
クレジット上はロック、スタイルはプログレッシブ・ロック。Mouseという名義のまとまった作品としては、70年代初頭の英国プログレ周辺の空気を背景にした1枚として扱える。バンド名単位での活動期間は長くないが、Ray Russellのキャリアの流れの中では、ジャズ・ギタリストがロック・バンドでどこまで行けるかを示す記録でもある。
同時代の文脈で見ると、演奏の前面にギターを置きつつ、曲展開や構成の変化を重視するタイプの英国プログレの系譜に入る。Ray Russellの名前からは、ジャズ・ロック寄りの感触を連想しやすいが、この作品はそうした経歴を踏まえたうえでのロック・バンド作品として受け取るのが自然だ。
盤のリリースについて
手元の盤はドイツ盤で、白ラベルに黒文字のシングル・スリーブ仕様。1980年代半ばごろのブートレグ再発盤として流通したものとされる。オリジナルのカラー・カバーを白黒で再現した体裁で、見た目の情報量は絞られているが、作品自体を手に取りやすくした再発形態のひとつといえる。
聴きどころとして見える点
実際の音像を細かく書くには盤そのものの確認が必要だが、Ray Russellの参加作としては、ギターの扱いが軸になるはずの作品だ。Alan Clareのヴォーカルとキーボード、Jeff Wattsのベース、Alan Rushtonのドラムという編成からも、歌と演奏の両方で組み立てるロック・アルバムの形が見える。派手なヒット曲で知られるタイプの盤ではなく、バンドの短い歴史とRay Russellの動き方をたどるうえでの一枚という印象が強い。
まとめ
『Lady Killer』は、Ray Russellを中心にしたMouseの1973年作として、英国プログレの流れとジャズ・ギタリストの感覚が交差する作品だ。バンドの活動期間は短いが、そのぶん時代の空気とメンバーの個性がそのまま残った記録として見やすい。オリジナルの71年初頭のロック・シーンを背景にしつつ、80年代半ばの再発盤ではその断片的な存在感が改めて流通した、そんな位置づけの一枚である。
トラックリスト
- A1 – Going Out Tonight
- A2 – You Don’t Know
- A3 – Electric Lady
- A4 – All The Fallen Teen-Angels
- A5 – Ashen Besher
- B1 – We Can Make It
- B2 – East Of The Sun
- B3 – It’s Happening To Me And You
- B4 – Sunday
- B5 – Just Came Back
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Alice Island Band – Splendid Isolation (1974)
Alice Island Band『Splendid Isolation』について
Alice Island Bandの『Splendid Isolation』は、1974年に作品としてまとまった、スペイン発のレコードです。盤としては2019年にリリースされたもので、オリジナル作品をあらためて楽しめる形になっています。収録内容は、フォークやバラードの要素を軸にした、歌もの中心の作品と見てよさそうです。
作品の成り立ち
このアルバムは1968年の夏に構想され、1973年のクリスマスに録音されたとされています。制作の時間差がはっきりしていて、完成までにかなり長い期間を経た作品です。2019年盤には4ページの歌詞インサートが付属し、限定500枚でのリリースでした。
クレジット上で確認できるメンバーはTim Phillipsです。アーティストの詳細プロフィールや関連情報は多く出ていませんが、作品単位で見ると、かなり個人的な視点と手触りを持ったレコードに見えます。
音の方向性
ジャンル表記はPop、Folk、World、& Country、スタイルはFolk、Ballad。実際のところ、派手なアレンジを前面に出すタイプというより、歌と曲の流れを中心に聴かせる作りが想像しやすいです。タイトルの『Splendid Isolation』という言葉にも、外側へ広く開くというより、内側に向かって丁寧に組み上げた印象があります。
フォーク寄りのバラード作品は、同時代のシンガーソングライターや英国圏のフォーク作品と並べて語られることが多いですが、この作品もその流れの中で、語り口の強さや曲の輪郭を味わうタイプのアルバムとして受け取れそうです。
2019年盤について
2019年盤は再発としての位置づけで、オリジナルの1974年盤に対して、歌詞インサート付きで入手しやすい形になっているのが特徴です。限定500枚という点も含めて、コレクション性のあるリリースでした。オリジナル盤との細かな音質差や編集差については、確認できる範囲では明記されていません。
聴きどころの見方
- 1968年に構想、1973年に録音という制作の時間差
- 歌詞インサート付きの2019年再発盤
- フォーク、バラード寄りの曲作り
- 限定500枚のプレス
曲名や代表曲の情報は確認できませんでしたが、アルバム単位でじっくり聴くことで、制作時期の長さや歌詞の存在感が見えてくるタイプの作品といえそうです。
トラックリスト
- A1 – Goodbye Cindy
- A2 – Smoke
- A3 – She Is An Island
- A4 – Stranger In A Crowd
- A5 – Anna Clare
- A6 – The Man That I Am
- A7 – Everything That Meets My Eyes
- B1 – Sleepiness
- B2 – The Lover
- B3 – Hostages
- B4 – Devil’s Island
- B5 – Nickel Island
- B6 – As I Get Older
- B7 – Package Tour Mona Lisa
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Marillion – Misplaced Childhood (1985)
Marillion『Misplaced Childhood』について
Marillionの『Misplaced Childhood』は、1985年に発表された3作目のスタジオ・アルバムだ。英国のプログレッシブ・ロック・バンドとして存在感を強めていた時期の作品で、いわゆる「Fish期」の代表作としてよく挙げられる。バンド名を知る人には、この作品でMarillionの輪郭がはっきりした、と感じる人も多いはずだ。
2017年盤として出回っているこのレコードは、オリジナルの1985年作を後年に再プレス、あるいは再発したものにあたる。作品そのものは1985年のものとして受け取るのが自然だ。
作品の位置づけ
Marillionは1979年にイングランドのアリスベリーで結成され、80年代前半から活動を続けてきた。特に初期は、アート・ロックやシアトリカルな要素を含む80年代プログレの代表格として語られることが多い。『Misplaced Childhood』は、その中でも商業面・評価面の両方で大きな到達点になったアルバムだ。
この時期のMarillionは、同時代のプログレ再興組として語られることが多く、GenesisやCamel、IQ、Pallas、Pendragonといった名前と並べて語られることもある。とはいえ、単なる「復古」ではなく、Fishの語り口を前面に出したドラマ性の強い楽曲構成が、バンド独自の色になっている。
アルバムの内容と聴きどころ
『Misplaced Childhood』は全10曲で構成され、通して聴くと一つの物語のように流れていく作りだ。特にA面冒頭の「Pseudo Silk Kimono」から「Kayleigh」へのつながりは、このアルバムの入り口としてよく知られている。
なかでも「Kayleigh」は、Marillionを代表する曲としてまず名前が挙がることが多い。シングルとしても広く知られ、バンドの認知を押し上げた一曲だ。続く「Lavender」も同時期の代表曲として語られることが多く、このアルバムが“曲単位でも覚えられている”作品であることを示している。
演奏面では、Steve Rotheryのギターが旋律を明確に引っぱり、Mark Kellyのキーボードが和声と装飾を支え、Pete TrewavasとIan Mosleyのリズムが場面転換を作る。Fishの歌は、メロディをなぞるだけでなく、台詞のように曲の場面を動かしていくタイプで、このアルバムではその特徴がかなりはっきり出ている。
曲の流れとアルバム構成
この作品は、単独のヒット曲だけでなく、曲間のつながりや組曲的な構成で聴かれることが多い。前後の曲が切れ目なく印象をつないでいくため、1曲ごとの輪郭とアルバム全体の流れが両方残るタイプの作りだ。
- 「Kayleigh」: 代表曲として最も知られる曲
- 「Lavender」: 80年代Marillionを象徴する人気曲のひとつ
- 「Heart of Lothian」: バンドの演奏力と展開の多さが出る曲
- 「Blind Curve」: 長尺で組曲的な性格が強い構成
2017年盤について
2017年盤は、オリジナルの1985年盤からかなり時間を置いて出た再発盤と考えられる。こうした再発では、オリジナル盤の入手性を補う形で流通することが多く、ジャケットや収録内容は基本的に作品本体をそのまま伝えるものだ。
再発盤を手にする場合、まず大事なのは音源のクレジットやカッティング情報を確認することだが、この作品については、まずアルバム本編そのものの価値が中心になる。1985年当時のプログレ・アルバムとしての存在感が、そのまま残るタイトルだ。
まとめ
『Misplaced Childhood』は、MarillionのFish期を代表する一枚であり、1980年代プログレの中でもよく話題に上る作品だ。代表曲「Kayleigh」を軸にしつつ、アルバム全体でひとつの流れを作る構成が印象に残る。バンドの演奏、Fishの語り口、メロディの運び方がまとまっていて、Marillionというバンドの特徴がかなり分かりやすく表れたアルバムといえる。
Twink – Think Pink (1970)
Twink『Think Pink』について
Twinkは、英国のドラマー/ソングライター/シンガー、John Charles Edward Alderの名で知られる人物である。The Fairies、The Pretty Things、Tomorrow、Pink Fairiesといった60〜70年代英国アンダーグラウンドの重要バンドを渡り歩いた人で、その活動の流れの中で1970年に発表されたのが『Think Pink』だ。タイトルの段階からして、いかにも当時のロンドン・アンダーグラウンドらしい手触りがある作品で、British psychedeliaの文脈で語られることが多い。
この盤は2020年の50周年リマスター盤で、オリジナルの1970年作を現在の形で聴ける再発盤にあたる。レコードとしてはカナダ盤で、収録内容はオリジナル・アルバムを軸にしながら、リマスターで音の輪郭を整えた形と見てよさそうだ。
作品の位置づけ
『Think Pink』は、Twinkのキャリアの中でも大きな節目にあたる1枚である。ドラマーとしての活動が先行していた人物が、自身の名義で色を出したアルバムとしても重要で、単なる伴奏者ではなく、当時のサイケデリック・ロックの空気を自分の作品としてまとめた印象が強い。
背景には、Ladbroke Grove周辺のアンダーグラウンド・シーン、そしてHawkwind周辺の人脈がある。制作面では友人のMick Farrenが関わり、Paul RudolphやSteve Peregrin Tookらが参加している。特にSteve Peregrin Tookは、T. Rexの初期を知る人にはおなじみの名前で、こうした人脈だけでも当時の英国ロックの交差点にある作品だと分かる。
サウンドの印象
実際に聴くと、派手なロック・バンドの完成形というより、セッション感や実験性が前に出る作りである。曲ごとに演奏の温度が変わり、直線的に盛り上がるというより、音の配置やリフの反復、声の置き方で引っ張る場面が多い。ドラマーの作品らしく、リズムの立ち上がりがはっきりしている一方で、曲の展開はきっちり整えすぎず、ラフさも残している。
プロト・パンクの荒さと、サイケデリック・ロックの浮遊感、その中間にあるような手触りもある。Pink FairiesやTomorrow、さらには同時代のHawkwind周辺を思わせる部分はあるが、Twink自身の音としてまとまっているのが面白いところだ。
同時代との関係
1970年という年は、英国ロックが60年代的なサイケデリアから次の段階へ移る時期で、重さを増すハードロックや、より長尺で実験的なプログレッシブ・ロックも強くなっていった。その中で『Think Pink』は、そうした大きな流れに飲み込まれながらも、地下シーンの感覚を保っている作品として聴ける。
比較の軸としては、The Pink Fairies、Tomorrow、初期のHawkwindあたりが浮かぶ。いずれも大きく売れた主流ロックとは別の場所で、自由度の高い演奏や反商業的な空気を持っていたバンドだ。『Think Pink』もその延長線上にあるが、Twink個人の名前が前に出るぶん、より私的な記録としての性格も感じさせる。
曲について
この作品はアルバム全体で流れを聴くタイプの内容で、特定の大ヒット曲で知られる盤ではない。とはいえ、タイトル曲「Think Pink」を中心に、アルバムの輪郭を覚えやすい構成になっている。曲名の並びや演奏の切り替わりからも、当時のサイケデリック・ロックらしい自由な組み立てが見て取れる。
2020年リマスター盤として
2020年の50周年リマスター盤は、オリジナル盤の時代性を保ちながら、音の見通しを整えた再発として位置づけられる。盤面表記やインサートの扱いなど、細部は再発盤らしい仕様になっている。オリジナルの空気をそのまま封じ込めたというより、現在の再生環境で聴きやすくした版、と見るのが自然だろう。
まとめ
『Think Pink』は、Twinkという人物が英国アンダーグラウンドの中心付近で積み上げてきた経験を、1970年時点でひとつの作品にしたアルバムである。ドラマー主導の作品でありながら、演奏の荒さ、サイケデリックな広がり、仲間たちの気配が同居している。英国サイケ、Ladbroke Grove周辺、Pink FairiesやHawkwindの流れに関心があると、作品の輪郭がつかみやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – The Coming Of The One (5:30)
- A2 – Ten Thousand Words In A Cardboard Box (4:30)
- A3 – Dawn Of Magic (1:44)
- A4 – Tiptoe On The Highest Hill (5:19)
- A5 – Fluid (4:08)
- B1 – Mexican Grass War (5:30)
- B2 – Rock And Roll The Joint (2:32)
- B3 – Suicide (4:26)
- B4 – Three Little Piggies (3:15)
- B5 – The Sparrow Is A Sign (2:24)
関連動画
- Twink – Think Pink ( 1970 UK Prog Rock, Psychedelic Rock ) Full Album
- Twink “Think Pink” 1970 *The Coming Of The Other One*
- Twink “Think Pink” 1970 *Ten Thousand Words In A Cardboard Box*
- Twink “Think Pink” 1970 *Dawn Of Magic*
- Twink “Think Pink” 1970 *Tiptoe On The Highest Hill*
- Twink “Think Pink” 1970 *Fluid*
- Twink “Think Pink” 1970 *Mexican Grass War*
- Twink “Think Pink” 1970 *Rock An’ Roll The Joint*
- Twink “Think Pink” 1970 *Suicide*
- Twink “Think Pink” 1970 *Three Little Piggies*
The Crusaders – Street Life (1979)
The Crusaders『Street Life』について
The Crusadersの『Street Life』は、1979年に発表された作品で、グループの名前が広く知られるきっかけになった1枚として語られることが多い。もともとジャズ・クルセイダーズとして活動を始めた彼らは、1960年代のハード・バップから、70年代にかけてソウル寄り、ファンク寄りの感触を強めていった。その流れの中で出てきたのがこの時期の『Street Life』という位置づけになる。
中心メンバーはJoe Sample、Wilton Felder、“Stix” Hooper。そこにLarry Carltonらが加わった時期のサウンドは、演奏の密度を保ちながら、リズムの前に出方がはっきりしている。ジャズの演奏力を軸にしつつ、R&Bの文脈でも聴かれる内容になっている。
作品の性格
この作品でまず挙げられるのは、代表曲「Street Life」。ゲスト・ヴォーカルのRandy Crawfordを迎えたこの曲は、The Crusadersの名前を広く押し上げたナンバーとして知られている。グループの器楽演奏だけで進む曲とは違い、歌が前面に出ることで、当時の彼らの方向性がより見えやすい。
アルバム全体としても、ソウル・ジャズの流れを持ちながら、70年代後半らしいファンクの輪郭がある。ベース、ドラム、キーボードの組み立てが明確で、そこにギターがリフを重ねる場面が多い。The Crusadersがそれ以前から積み重ねてきた演奏の精度が、そのままポピュラー音楽寄りのフォーマットに接続されている感じがある。
同時代とのつながり
The Crusadersは、同時代のジャズ・ファンクやソウル・ジャズの中でも、演奏の組み立てが比較的整理されているグループとして見られることが多い。Steely Dan、Curtis Mayfield、Joni Mitchell、Ray Charles、Van Morrisonなど、多くのアーティストのバックを務めてきた経歴もあり、単独のバンドというより、当時の録音現場全体に関わるプレイヤー集団としての存在感が大きい。
その意味で『Street Life』は、ジャズの演奏家がポップスやR&Bの現場と近い場所で鳴っていた時代の記録でもある。ジャズ・フュージョンの流れの中で、演奏の自由さよりも曲としての推進力が前に出た作品、と見ることができる。
盤について
今回の盤は1980年のUSリリース。ラベル下部の外周に「© 1980 MCA Records, Inc.」表記があり、ジャケット裏面右上に白いバーコード枠がある再発盤仕様になっている。オリジナルの作品年は1979年で、盤として手元にあるのはその翌年のリリースという整理になる。
オリジナル期の作品を、1980年仕様のUS盤で聴く形。70年代末の空気を持つ内容を、80年の再発盤で追える一枚、と言えそうだ。
まとめ
『Street Life』は、The Crusadersがジャズ・グループとしての出自を保ちながら、R&Bやファンクの現場で広く届く形へ移っていった時期を示す作品。代表曲「Street Life」とRandy Crawfordの参加は、その方向性をもっともわかりやすく伝える要素になっている。グループのキャリアを振り返るうえでも、重要な位置に置かれる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Street Life (11:18)
- A2 – My Lady (6:43)
- B1 – Rodeo Drive (High Steppin’) (4:28)
- B2 – Carnival Of The Night (6:24)
- B3 – The Hustler (5:18)
- B4 – Night Faces (5:10)
関連動画
- Crusaders – Street Life (1979) – A1 – Street Life
- Crusaders – Street Life (1979) – A2 – My Lady
- Crusaders – Street Life (1979) – B1 – Rodeo Drive (High Steppin’)
- Crusaders – Street Life (1979) – B2 – Carnival Of The Night
- Crusaders – Street Life (1979) – B3 – Carnival Of The Night
- The Crusaders & Randy Crawford Street Life Extended album version
- Crusaders – Street Life (1979) – B4 – Night Faces
Kapela Ze Wsi Warszawa – Uwodzenie / Waterduction (2020)
Kapela Ze Wsi Warszawa「Uwodzenie / Waterduction」について
Kapela Ze Wsi Warszawaは、ポーランドのフォーク・バンドとして知られるグループで、この「Uwodzenie / Waterduction」は2020年の作品として扱われるタイトルだ。リリース国もポーランドで、ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolk。バンド名のとおり、ワルシャワの村の音楽を思わせる土着感と、現代的な編成をあわせ持つグループとして認識されている。
この盤は2022年リリースのもの。オリジナル作品の年は2020年なので、作品そのものは2020年時点の内容として見るのが自然だ。盤としては後年に出た形になる。
作品の輪郭
収録名からもわかるように、この作品はポーランドの伝統音楽を軸にした世界観を持つ。Kapela Ze Wsi Warszawaは、民謡の旋律やリズムをベースにしながら、バンド編成で立体的に聴かせるタイプのグループで、アコースティックな響きと合奏の推進力が前に出ることが多い。クレジットされているメンバー数も多く、合奏としての厚みが作品の要点になっている印象だ。
参加メンバーは Paweł Mazurczak、Maja Kleszcz、Magdalena Sobczak、Maciej Szajkowski、Wojciech Krzak、Mariusz Dziurawiec、Sylwia Świątkowska、Piotr Gliński、Miłosz Gawryłkiewicz、Wiktoria Długosz、Anna Jakubowska、Ksenia Malec、Marcin Kozak、Małgorzata Śmiech、Ewa Wałecka、Robert Jaworski、Katarzyna Szurman。人数の多さからも、単独のシンガー中心というより、複数の演奏者が重なっていく構成が想像しやすい。
Kapela Ze Wsi Warszawaというバンドの位置
このグループは、ポーランドのフォークを現在形で扱う存在として語られることが多い。伝統音楽をそのまま保存するというより、バンドとしての演奏感を前に出しながら聴かせるスタイルで、同時代のヨーロッパ民俗音楽の流れの中でも存在感がある。ワールド・ミュージック系の文脈でも見かけることがあり、ポーランドの地方音楽を広く伝える役割も担っている。
関連サイトとしては、公式サイト http://www.kzww.pl/、http://www.warsawvillageband.net/、Facebookページ https://www.facebook.com/WarsawVillageBand/ がある。Myspaceにもアーカイブ的なページが残っている。
聴きどころとして見えやすい点
実際に触れると、こうしたバンドの作品は、旋律の反復とアンサンブルの積み重ねが軸になりやすい。メロディを細かく飾る場面、リズムを強く押し出す場面、声と楽器が近い距離で絡む場面など、フォークの基本的な要素が前面に出る形が想像しやすい。タイトルにも英語表記の Waterduction が添えられていて、作品名の見せ方にも現代的な意識がうかがえる。
2020年のオリジナル作品、2022年盤という時間差もあり、作品を追う際はこの2つの年を分けて見ると整理しやすい。オリジナルの時点での内容を軸に、のちの盤で流通したものとして捉えるのがよさそうだ。
まとめ
「Uwodzenie / Waterduction」は、Kapela Ze Wsi Warszawaらしいポーランド・フォークの文脈にある作品だ。大人数のメンバー編成、伝統音楽を土台にした合奏感、そして2020年作品としての位置づけがポイントになる。ポーランドの民俗音楽を現在のバンド表現で聴かせるグループとして、このタイトルもその流れの中に置いて理解しやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Uroda
- A2 – Oracja Do Wody
- A3 – Spławiany
- A4 – Uwodzenie
- A5 – Potopielka
- B1 – Chasydzki Z Urzecza
- B2 – Rzeceńka
- B3 – Krępiański
- B4 – Kołyska
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Sally Oldfield – Playing In The Flame (1981)
Sally Oldfield「Playing In The Flame」について
「Playing In The Flame」は、Sally Oldfieldが1981年にUKで発表したアルバムです。ジャンルとしてはRockとPopにまたがり、スタイル面ではDowntempo、Pop Rock、Synth-popの要素が並ぶ作品として位置づけられています。Sally Oldfieldは、Mike Oldfieldの姉としても知られるUK出身のシンガーで、この時期にはソロ作を通じて自分の歌声と楽曲の輪郭をはっきり打ち出していった流れの中にある作品です。
作品の位置づけ
1981年という年代を考えると、アコースティック寄りのフォーク的な感触よりも、当時のポップ・ロックやシンセを使ったサウンドの空気が前に出やすい時期です。Sally Oldfieldの作品群の中でも、ソロ・アーティストとしての表現を、同時代の英国ポップスの文脈に置いて聴ける1枚といえます。妹や弟という家族関係で語られがちなアーティストですが、この作品ではそうした話題だけでなく、ひとりの歌い手としての存在感が中心にある印象です。
盤の仕様
このUK盤にはプリント入りのインナー・スリーブが付属しています。発売当時のパッケージとして、作品の世界観をそのまま補強する要素のひとつです。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲ごとにリズムの置き方や鍵盤の使い方が変わり、歌を支えるアレンジの設計がはっきりしているタイプのアルバムとして受け取れます。派手な押し出しだけで引っ張るのではなく、声と曲の流れを軸にまとめていく作りで、1980年代初頭の英国ポップ・ロックらしい整理された響きが見えます。シンセの使い方も、装飾というより曲の骨格に関わる役割として機能しているように聴こえます。
同時代の文脈
同じ時期のUKでは、ポップ・ロックとシンセ・ポップの境目をまたぐ作品が多く出ていました。「Playing In The Flame」もそうした流れの中で理解しやすいアルバムです。フォーク由来の繊細さを持ちながら、80年代的な音像へ寄せていく感覚は、同時代の英国女性シンガー・ソングライターの作品とも並べて語られやすい部分です。
アーティストについて
Sally Oldfieldは1947年にダブリンで生まれ、幼少期をイングランドのReadingで過ごしています。バレエやクラシック・ピアノの学習歴を持ち、音楽活動は1960年代後半にMike Oldfieldとのデモ録音から始まりました。その後、兄MikeとともにThe Sallyangieを結成し、1968年にはアルバム「Children of the Sun」を録音しています。そうした背景を踏まえると、「Playing In The Flame」は、彼女がソロの表現を継続しながら、より洗練されたポップ寄りの形に向かっていた時期の記録として見えてきます。
まとめ
「Playing In The Flame」は、1981年のUKポップ・ロックの空気をまといながら、Sally Oldfieldの歌と楽曲の作りを確認しやすいアルバムです。Mike Oldfieldの家族という文脈だけでなく、ソロ作品としてのまとまりを持った1枚として、1980年代初頭の英国作品らしい手触りが残ります。
トラックリスト
- A1 – Playing In The Flame (5:03)
- A2 – Love Of A Lifetime (4:08)
- A3 – River Of My Childhood (3:57)
- A4 – Let It All Go (2:55)
- A5 – Song Of The Lamp (3:16)
- B1 – Rare Lightning (4:45)
- B2 – Man Child (3:57)
- B3 – It’s A Long Time (3:35)
- B4 – Song Of The Being (4:41)
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James Carr – A Man Needs A Woman (1968)
James Carr『A Man Needs A Woman』について
James Carrが1968年に発表したアルバム『A Man Needs A Woman』。USのRhythm & Blues/Soulシンガーとして知られるCarrの作品の中でも、60年代後半のGoldwax時代を代表する一枚として位置づけられる作品だ。タイトルからもわかる通り、歌そのものを前面に出した構成で、ソウル・シンガーとしての持ち味がまとまった内容になっている。
James Carrという歌い手
James Carrは1942年、ミシシッピ州コアホーマ生まれ。メンフィスでゴスペルや教会音楽に触れながら歌い始め、1960年代半ばにGoldwax Recordsで録音を重ねた。R&Bチャートに初めて入ったのは1966年の”You’ve Got My Mind Messed Up”で、その後ではDan PennとChips Momanが書いた”The Dark End of the Street”が特に知られている。
この『A Man Needs A Woman』は、そうした代表曲で注目を集めた時期の延長線上にある作品。Goldwaxのカタログの中でも、Carrの声を中心に据えたソウル・アルバムとして聴かれることが多い。
作品の位置づけ
1968年という時期は、メンフィス・ソウルやサザン・ソウルの流れが強く感じられる時代。James Carrもその文脈の中にいる歌い手で、同時代のシンガーと並べると、Otis ReddingやWilson Pickettのような強い歌声の系譜、あるいは同じくメンフィス周辺のソウル・シーンとつながる存在として見えてくる。
一方でCarrは、派手なパフォーマンスよりも、曲の中で感情を積み上げていくタイプの歌い手として語られることが多い。『A Man Needs A Woman』も、その持ち味を軸にしたアルバムとして受け取られている。
収録曲とクレジット
本作は全曲に出版社クレジットが付いており、複数のソングライター/出版社の楽曲で構成されている。A1、A2、A4、A5、A6、B5はRise Music Co. – Aim Music、A3はEarl Barton Music, Inc.、B1はWilderness Music Pub. Co., Inc、B2はZann Music, Inc.、B3はPresto Music Pub. Co.、B4はIl Gatto Music, Inc.の管理曲となっている。
ジャケット・デザインはForlenza Venosa Associatesによるもの。US盤として1968年に出たオリジナル・リリースで、当時のソウル盤らしい編集と見せ方が意識された一枚といえる。
聴きどころ
James Carrの作品は、声の強さだけで押すというより、フレーズの置き方や言葉の運びで曲の温度を上げていくところに特徴がある。このアルバムでも、その歌い回しが中心になるはずだ。特に”The Dark End of the Street”で知られるような、切迫感のある表現を期待して聴くと、Carrらしさが見えやすい。
60年代のソウル盤らしく、歌とバンドの関係が近い手触りもこの時代ならでは。メンフィスの空気を感じるタイプのソウルとして、Goldwax周辺の作品群と合わせて見ると、当時のシーンの輪郭がつかみやすい。
まとめ
『A Man Needs A Woman』は、James Carrのソウル・シンガーとしての立ち位置をそのまま示す1968年作。代表曲”The Dark End of the Street”で知られる彼の、60年代メンフィス・ソウルの流れの中での姿が見えるアルバムだ。派手な演出よりも、歌そのものを軸にした一枚として記憶される作品といえる。
トラックリスト
- A1 – A Man Needs A Woman (2:38)
- A2 – Stronger Than Love (2:24)
- A3 – More Love (2:36)
- A4 – You Didn’t Know It But You Had Me (1:50)
- A5 – A Woman Is A Man’s Best Friend (3:25)
- A6 – I’m A Fool For You (1:54)
- B1 – Life Turned Her That Way (2:29)
- B2 – Gonna Send You Back To Georgia (2:10)
- B3 – The Dark End Of The Street (2:20)
- B4 – Sowed Love And Reaped A Heartache (2:20)
- B5 – You’ve Got My Mind Messed Up (2:20)
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Gal Costa – Legal (1970)
Gal Costa『Legal』について
Gal Costaの『Legal』は、ブラジルの音楽シーンを代表する女性歌手による作品で、オリジナルは1970年のリリース。ここで扱う盤は1983年リリースのブラジル盤で、70年代初頭の空気をまとった内容を、80年代のプレスで聴ける一枚となっている。
Gal Costaという歌手
Gal Costaは1945年、ブラジルのサルヴァドール生まれの人気歌手。MPBを軸にしながら、ソウルやラテンの感触も取り込んだ歌唱で知られ、トロピカリア周辺の文脈でも重要な存在として語られてきた。2022年に亡くなっている。
作品の位置づけ
『Legal』は、Gal Costaのキャリア初期から中期にかけての流れを考えるうえで見逃せないタイトル。70年前後のブラジル音楽は、MPB、サンバ、ロック、ソウル、ラテンの要素が交差していた時期で、この作品もその広がりの中に置かれる一枚といえる。Caetano VelosoやGilberto Gil、Maria Bethâniaら同時代のブラジル音楽家たちと並べて語られることも多い流れ。
サウンドの印象
ジャンル表記はJazz、Latin、Funk / Soul、スタイルはMPB、Soul。Gal Costaの作品らしく、歌が中心にありながら、リズムの置き方や編曲の感触に当時のブラジル音楽らしい柔らかさと推進力がある。ソウル寄りの質感を持ちながらも、あくまでMPBの歌ものとしてまとまっているところが、この時代のGalらしいポイント。
実際に聴くと、声の輪郭が前に出てくる場面と、伴奏にすっと溶ける場面の切り替えが自然で、曲ごとの温度差も見えやすい。ブラジル音楽の中でも、ジャズ的な和声感、ラテンのリズム、ファンク寄りのノリが同じ空間に並ぶ感触がある。
1983年盤について
この盤は1983年のブラジル盤。センターラベルには℗1982、ランアウトには℗1983の表記がある。オリジナルの1970年盤とは年代が離れているため、手元の個体としては後年のプレスという位置づけになる。ブラジル盤らしい再発の文脈で、当時の作品を改めて聴ける仕様になっている。
ひとこと
『Legal』は、Gal Costaの歌そのものと、70年代ブラジル音楽の混ざり合いを確認できるタイトル。ヒット曲や代表曲として単独で大きく語られるというより、アルバム全体の流れの中でGalの持ち味が見えるタイプの作品として受け取れそうだ。
トラックリスト
- A1 – Eu Sou Terrível (2:30)
- A2 – Língua Do P (3:40)
- A3 – Love, Try And Die (2:23)
- A4 – Mini-Mistério (4:16)
- A5 – Acauã (2:49)
- B1 – Hotel Das Estrêlas (4:22)
- B2 – Deixa Sangrar (2:53)
- B3 – The Archaic Lonely Star Blues (3:03)
- B4 – London, London (4:00)
- B5 – Falsa Baiana (2:11)
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Le Pamplemousse – Le Pamplemousse (1976)
Le Pamplemousse / Le Pamplemousse (1976)
Le Pamplemousseは、Laurin RinderとW. Michael LewisによるUSのユニットで、このアルバムは1976年にリリースされた同名作品。ジャンルはFunk / Soul、スタイルはDiscoに位置づけられる一枚で、70年代半ばのダンスミュージックらしい空気をまとっている。
作品の輪郭
録音はカリフォルニア州ハリウッドのProducer’s Workshopで行われ、AVI Recordsから発表された。フランスのCompagnie Phonographique Francaise Barclayとの共同制作クレジットも記されていて、US発のディスコ作品でありながら、当時の国際的な流通や制作の広がりも感じさせる内容になっている。
クレジット面では、A1、A4、A2、B1、A3、A5、B2、B5、A6、B3、B4と各曲ごとに出版社が細かく割り振られており、制作物としてきっちり管理されたアルバムという印象が強い。1976年という年は、ディスコがクラブやラジオを通じて広がっていく時期でもあり、この作品もその流れの中に置きやすい。
サウンドの印象
実際に聴くと、リズムの押し出しがはっきりしていて、ベースとドラムの反復が曲を前へ進めるタイプの作り。ファンク由来のうねりを残しつつ、ディスコらしい一定の推進力を保っているのが分かりやすい。派手に展開を変えるというより、ダンスフロアでの持続を意識した組み立てが中心で、曲の流れそのものがまとまりを作っている。
70年代ディスコの中でも、オーケストラを前面に出すタイプというよりは、リズム・セクションを軸にしたストレートな感触がある。Salsoul系や、その周辺のファンク/ディスコ作品と並べて聴かれることがあるのも、こうした骨格の近さによるものだろう。
アーティストとしての位置づけ
Le Pamplemousseは、この名義自体がまず1976年のこの作品と結びついて語られることが多い。Laurin RinderとW. Michael Lewisの制作感覚が前面に出たプロジェクトとして、70年代ディスコの一断面を示す存在と見てよさそうだ。
代表曲としては、このアルバムから知られる曲が各種コンピレーションやDJ文脈で扱われることがあるが、作品全体としては1曲だけでなく、アルバム単位でリズムの流れを楽しむ性格が強い。タイトル曲の存在感もあり、アルバムの顔として機能している。
同時代との関係
1976年のUSディスコは、ニューヨークやフィラデルフィアだけでなく、西海岸でも独自の作りが見られた時期。Le Pamplemousseは、その中でファンクの硬さとディスコの反復性をつないだ作品として捉えやすい。派手な歌唱で押すタイプとは少し違い、演奏とグルーヴの組み立てで聴かせるところに特徴がある。
70年代後半のダンスミュージックの入口として、当時のスタジオ制作の質感や、クラブ向けの曲作りをそのまま感じられる一枚。1976年の空気をそのまま閉じ込めたアルバムとして、記録性の高い内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Manha De Carnival (3:48)
- A2 – Gimmie What You Got (5:23)
- A3 – Beginning Of The End (3:38)
- A4 – Poinciana (3:20)
- A5 – Gitcha Down (3:24)
- A6 – Soular Street (2:36)
- B1 – El Diablo Dorado (4:21)
- B2 – Love To Michelle (2:33)
- B3 – A Man And A Woman (3:25)
- B4 – Song Of The Jet (Samba Do Aviao) (3:10)
- B5 – After The Carafe (3:13)
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Wigwam – Lucky Golden Stripes And Starpose (1976)
Wigwam『Lucky Golden Stripes And Starpose』(1976)
フィンランドのプログレッシブ・ロック・バンド、Wigwamが1976年に発表した作品。
アートロックとプログレッシブ・ロックの要素を軸にした、バンド後期の一枚として位置づけられるアルバムである。
Wigwamは1968年結成のフィンランドのバンドで、同国のロック史では重要な存在として知られている。
この時期の編成には、Jim Pembroke、Jukka Gustavson、Pekka Pohjola、Pekka Rechardt、Måns Groundstroem、Esa Kotilainen、Pave Maijanenら、フィンランドのロック/ジャズ系シーンでも名前の挙がるメンバーが並ぶ。
演奏面の情報だけ見ても、キーボード、ギター、ベース、ドラムに加えて複数の参加者が関わる構成で、バンドの作り込みの強さがうかがえる。
作品の位置づけ
1976年作ということで、Wigwamのキャリアの中でも70年代中盤の流れにあるアルバム。
前作までの流れを受けつつ、英国のVirginからも流通した作品で、フィンランド国内ではLove Records盤、国外ではVirgin盤として出回った。
同じタイトルでも、Love盤とVirgin盤ではカバーアートが異なる点が特徴になっている。
オリジナル盤の仕様としては、エンボス加工の単独ジャケットに、大きく折りたたまれた歌詞インサート/ポスターが付属する形。
Virgin盤は6面折りの歌詞ポスター、Love盤は歌詞と写真ディスコグラフィー入りのインナーが付く構成で、装丁面でも資料性のある一枚になっている。
サウンドの印象
内容は、ロックを基調にしながら、プログレッシブ・ロックらしい展開とアレンジの組み込みが目立つタイプ。
Wigwamは、同時代の英国プログレに接続しながらも、単純に英国勢の模倣に収まらないところが持ち味で、HawkwindやJethro Tullのような直線的な比較よりは、よりメロディと構成を詰めたバンドとして語られることが多い。
この作品でも、演奏の密度、キーボードの配置、曲の組み立てにその傾向が出ている。
実際に聴くと、派手さだけで押すよりも、各パートの受け渡しや曲中の切り替えで聴かせる場面が多い。
Jim Pembrokeのヴォーカルを軸にしながら、Pekka PohjolaやPekka Rechardt、Esa Kotilainenらの個性が曲の輪郭を作る流れ。
フィンランドのバンドらしい湿度のある空気感と、英国プログレ由来の構成感が同居している印象である。
時代背景と比較
1976年は、プログレッシブ・ロックが70年代前半のピークから少し形を変えていく時期。
その中でWigwamは、過度に大仰になりすぎず、アートロック寄りの整理された感覚と、プログレの長い流れを両立させている。
Genesis、Yes、King Crimsonといった英国勢の文脈に置かれやすい一方で、北欧圏ならではの落ち着いた組み立てが目立つグループでもある。
まとめ
『Lucky Golden Stripes And Starpose』は、Wigwamの70年代中盤を代表する一枚として見やすい作品。
ロック、アートロック、プログレッシブ・ロックの要素が、演奏力と構成力の両方でまとめられている。
盤の仕様も含めて、当時の英国流通盤とフィンランド盤の違いが残る、記録性の高いアルバムである。
トラックリスト
- A1 – Sane Again
- A2 – International Disaster
- A3 – Timedance
- A4 – Colossus
- A5 – Eddie And The Boys
- B1 – Lucky Golden Stripes And Starpose
- B2 – June Maybe Too Late
- B3 – Never Turn You In
- B4 – In A Nutshell
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The Roys – Kicked Off The Train (1986)
The Roys「Kicked Off The Train」について
The Roysの「Kicked Off The Train」は、UKのバンド、The Roysの1986年にリリースされた作品。盤も同年のもので、1986年という時代の空気をそのまま閉じ込めた一枚として見てよさそうだ。スタイルはソフトロック寄りで、ロックの中でも耳当たりのよさや歌の流れが前に出るタイプの作品として捉えやすい。ブリティッシュ・ロックシーンに襲いかかるアメリカン・インディの新鋭らしい。どっちなんだ。
作品の印象
タイトルから受ける勢いに対して、内容はソフトロックらしい聴きやすさが軸になっている印象だ。硬さ一辺倒ではなく、メロディや曲の運びを重視したつくりが想像しやすい。1980年代半ばの日本盤ロックとして見ると、過度に派手さへ寄せるというより、曲そのものをしっかり聴かせる方向の作品群の中に置けるかもしれない。
実際に聴いた人の感覚としては、音の輪郭が比較的はっきりしていて、ボーカルと演奏のバランスを追いやすいタイプに受け取られることが多そうだ。ソフトロックの文脈では、強いビートで押し切るよりも、コード感やサビの抜け方で印象を残す作りが見どころになりやすい。
1986年の位置づけ
1986年は、ロックの中でもAORやポップスとの距離感が近い作品が目立つ時期でもある。この「Kicked Off The Train」も、その時代らしい整った音作りの中で、ロックの骨格とソフトロックの聴きやすさが同居する一枚として見ると、輪郭がつかみやすい。
The Roysについては詳しいプロフィール情報が見当たらないが、少なくともこの作品では、タイトル曲を含めて作品単位でのまとまりが意識された可能性がある。アルバム全体で流れを聴かせるタイプなら、1曲単位の派手さよりも、通して聴いた時の連続性が印象に残りやすい。
曲やヒット曲について
現時点では、この作品の中で特に広く知られた代表曲やヒット曲として断定できるものは確認しにくい。とはいえ、タイトル曲「Kicked Off The Train」は作品名を背負っているぶん、アルバムの軸になっている可能性が高い。こうした作品では、タイトル曲にバンドの方向性や当時のサウンド感が集まりやすい。
盤について
この盤は1986年の日本盤として流通したもの。見本盤としての記録があるため、一般流通盤とは扱いが少し異なる可能性があるが、作品そのものは1986年当時のリリースとして受け取れる。
トラックリスト
- A1 – Kicked Off The Train
- A2 – Little Nam
- A3 – Hard Time
- A4 – Mediacs
- A5 – Serious
- B1 – Dog Day
- B2 – Rise Up Youth
- B3 – Don’t Go With Strangers
- B4 – Cabbage Town
- B5 – Who Shot That Man
Prince And The Revolution – Parade (1986)
Prince And The Revolution「Parade」について
1986年にリリースされた、Prince And The Revolution名義の8作目のスタジオ・アルバムが「Parade」です。Princeの作品の中でも、The Revolutionをバンドとして前面に出した最後のアルバムとして知られていて、ソロ色の強い次の展開へ向かう前の節目の一枚という位置づけです。ジャンル表記としてはRock、Funk / Soul、Pop、スタイルではFunk、Minneapolis Sound、Pop Rockにまたがる内容で、Princeらしいリズムの強さと、曲ごとの色分けがはっきりした構成になっています。
作品の輪郭
このアルバムは、Prince And The Revolutionという編成のまとまりを感じさせる内容です。メンバーにはLisa Coleman、Matt Fink、Brownmark、Wendy Melvoin、Prince Rogers Nelson、Bob Rivkinがクレジットされていて、キーボード、ギター、ベース、ドラムがしっかり絡み合うバンド感が土台になっています。とはいえ、中心にいるのはやはりPrinceで、楽曲の方向性や音の設計には彼の個性が強く出ている作品です。
同時代のポップやファンクの流れの中でも、ミネアポリス・サウンドの代表的な一枚として見られることが多いアルバムです。シンセサイザーの使い方、リズムの切れ味、メロディの立ち上がり方などに、その時期のPrince作品らしい特徴がまとまっています。ファンクの躍動感とポップな聴きやすさのあいだを行き来する作りで、アルバム全体の流れも比較的コンパクトにまとまっています。
代表曲「KISS」
この作品を語るうえで外せないのが「KISS」です。シングルとして大きく知られた曲で、アルバムの中でも特に印象の強いトラックです。ギター、リズム、ファルセットの使い方がはっきりしていて、Princeの曲作りの輪郭がわかりやすい一曲になっています。ほかの楽曲も含めて、派手さだけで押すのではなく、音数や配置で引っかかりを作る感じがこのアルバムらしいところです。
映像作品とのつながり
リリース時のシュリンクには、Warner Bros.の映画「Under the Cherry Moon」の音楽であることと、「KISS」がヒットシングルであることが告知されています。つまり、このアルバムは単独の音源作品としてだけでなく、当時のPrinceの映像作品とも地続きの文脈で出てきたものです。音だけでなく、映像やキャラクター性も含めて展開していた時期の記録としても見やすい一枚です。
日本盤としての仕様
この日本盤はゲートフォールド仕様で、オビには「Prince 8th」と入っています。シュリンク上のステッカーには「KISS」のヒットを含むことや、「Under the Cherry Moon」との関連が記されています。付属品としては、英和対訳のクレジット・インサート、英和歌詞インサート、アルバム・カタログ付きのマーケティング/アンケート・カードが確認できます。レーベル表記には1986年の表記があり、Warner-Pioneer Corporation, Japanによるライセンス盤です。
ひとこと
「Parade」は、Prince And The Revolutionという名義の終盤に置かれたアルバムでありながら、曲の強さと構成のまとまりがしっかり感じられる作品です。特に「KISS」の存在で広く知られていますが、アルバム全体として見ると、ファンク、ポップ、ロックの要素がPrince流に整理された時期の記録としても興味深い内容です。
トラックリスト
- Intro
- A1 – Christopher Tracy’s Parade (2:11)
- A2 – New Position (2:21)
- A3 – I Wonder U (1:40)
- A4 – Under The Cherry Moon (2:57)
- A5 – Girls & Boys (5:30)
- A6 – Life Can Be So Nice (3:12)
- A7 – Venus De Milo (1:54)
- End
- B1 – Mountains (3:58)
- B2 – Do U Lie? (2:43)
- B3 – Kiss (3:38)
- B4 – Anotherloverholenyohead (3:58)
- B5 – Sometimes It Snows In April (6:50)
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Tim Hardin – Painted Head (1972)
Tim Hardin「Painted Head」について
Tim Hardinは、アメリカのフォーク・シンガー/ソングライターとして知られる人物だ。
「If I Were a Carpenter」や「Reason to Believe」といった楽曲で広く名前が残っているが、「Painted Head」は1972年に発表された作品で、彼のフォーク・ブルース寄りの持ち味がまとまった一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
このレコードは1981年に日本でリリースされた盤で、ジャケットや資料に日本語インサートが付いた仕様になっている。
オリジナルは1972年の作品なので、盤としては後年の再発にあたる。日本盤ならではの丁寧な付属物がある点も、この時期の輸入盤・国内再発らしいところだ。
サウンド面では、フォークを土台にしつつ、ブルース・ロックの要素が重なる構成。
Tim Hardinの作品らしく、歌と曲の骨格が前に出るタイプで、派手なアレンジで押すというより、言葉とメロディの流れで聴かせる印象がある。
Tim Hardinというアーティストの中で
Tim Hardinは、同時代のフォーク・シーンの中でも、シンガーとしての存在感とソングライターとしての評価が強い人だ。
自作曲が多くのアーティストにカバーされてきたことからも、楽曲そのものの強さがよくわかる。特に「If I Were a Carpenter」は、Bobby Darin、Joan Baez、Johnny Cash、The Four Tops、Robert Plantなど、多くの歌手に取り上げられた代表曲として知られている。
また「Reason to Believe」も重要な楽曲で、Rod Stewartのヒットでも広く知られる。
こうした曲と比べると、「Painted Head」はヒット曲の単独の知名度で押すというより、アルバム全体でTim Hardinの書く歌の手触りを追う作品という見え方になりやすい。
ジャンルの文脈
この作品は、Rock、Blues、Folk、World, & Countryという広い枠で整理されている。
実際のところ、60年代フォークの延長線上にあるシンガー・ソングライター作品として聴かれることが多そうだが、そこにブルース・ロックの感触が加わることで、単なる弾き語り中心の作品とは少し違う輪郭を持つ。
同時代の感覚でいえば、フォークの語り口とロックの帯域を行き来するアーティストたち――たとえばより広い意味でのシンガー・ソングライター作品群の中に置くと、Tim Hardinの独特な書き方が見えやすい。
歌詞を前面に出しながら、曲の流れ自体で引っ張るタイプの一枚、と言えそうだ。
まとめ
「Painted Head」は、Tim Hardinの代表曲で知られる作家性を、アルバム単位で確かめられる作品だ。
1972年のオリジナル作品を、1981年の日本盤で聴く形になるため、当時の日本での受け止め方も含めて残された一枚として見ておくと、より位置づけがつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – You Can’t Judge A Book By The Cover (4:09)
- A2 – Midnight Caller (3:09)
- A3 – Yankee Lady (4:24)
- A4 – Lonesome Valley (4:29)
- A5 – Sweet Lady (3:44)
- B1 – Do The Do (3:44)
- B2 – Perfection (3:02)
- B3 – Till We Meet Again (3:11)
- B4 – I’ll Be Home (5:42)
- B5 – Nobody Knows You When You’re Down And Out (6:23)
The Cosmic Jokers – Planeten Sit-In (1974)
The Cosmic Jokers『Planeten Sit-In』について
The Cosmic Jokersは、Klaus Schulze、Manuel Göttsching、Harald Grosskopf、Dieter Dierks、Jürgen Dollaseらが関わったドイツのスペース・ロック/エクスペリメンタル・プロジェクトだ。1973年のセッション素材をもとに1974年に作品化され、後年にはコスミッシェ・ムジーク文脈の重要作として語られることが多い。
『Planeten Sit-In』は、そのThe Cosmic Jokersの一枚。1974年のオリジナル作品として知られ、ここで挙げる盤は1996年フランス盤。ジャケットやレーベル表記も含めて、再発盤として流通している一枚だ。
作品の輪郭
収録音は、Studio Dierksでのジャム・セッションを土台にしたもの。電子音、持続音、反復するフレーズが前に出て、曲というよりは長い流れとして聴かせる作りになっている。ジャンル表記はElectronic、スタイルはExperimental、Ambient。実際に針を落とすと、シンセのレイヤーとギターの断片、リズムのゆらぎがゆっくり重なっていく構成が目立つ。
タイトル曲「Planeten Sit-In」は、宇宙旅行のイメージを前面に出したこのプロジェクトらしさが強い。歌もののヒット曲が中心の作品ではなく、音の連なりそのものが主役という印象だ。
ライナーノートと作品の見え方
この盤のリリースノートには、Hören Sie “Planeten Sit In” quadrophonisch und Sie entdecken die neuen Zauberwelten des Galaxien-Sounds der Kosmischen Musik.
とあり、4チャンネル的な聴取を意識した表現が入っている。さらに、Raumschiff Galaxy
や Sternenmädchen
といった言葉で、宇宙船に乗って銀河を巡るような筋書きが添えられている。音だけでなく、当時のコスミックなイメージ作りも含めた作品だと受け取れる。
The Cosmic Jokersの中での位置づけ
The Cosmic Jokersは、後にクラウトロックや電子音楽の文脈で参照されることの多い名前だ。Klaus SchulzeやManuel Göttschingの参加によって、Ash Ra Tempelや初期のソロ作品に通じる質感も見えやすい。とはいえ、ここではそれぞれの個人名義作よりも、セッション素材を編集した“プロジェクト盤”としての性格が強い。
1970年代前半のドイツでは、電子音楽、即興、スペース・ロックが近い距離で交差していた。その中でThe Cosmic Jokersは、Ash Ra Tempel、Klaus Schulzeの初期作品、Tangerine Dream周辺と並べて語られることがある。『Planeten Sit-In』も、その時代の流れをそのままパッケージしたような一枚に見える。
盤の情報
- アーティスト: The Cosmic Jokers
- タイトル: Planeten Sit-In
- オリジナル年: 1974年
- この盤のリリース年: 1996年
- リリース国: France
- ジャンル: Electronic
- スタイル: Experimental, Ambient
スパインとレーベルにはSPALAXLP14104、バックカバーには14104の表記。フランス盤としてまとまった仕様になっている。
『Planeten Sit-In』は、The Cosmic Jokersの中でも、宇宙的なイメージと編集されたジャム感が前に出た作品だ。1970年代ドイツの電子音楽が持っていた、即興と構成の境目をそのまま残したような内容である。
トラックリスト
- A1 – Raumschiff Galaxy Startet (1:04)
- A2 – The Planet Of Communication (0:55)
- A3 – Elektronenzirkus (0:37)
- A4 – Der Narr Im All (1:16)
- A5 – Raumschiff Galaxy Fliegt In Die Sonne (2:12)
- A6 – Intergalactic Nightclub (4:08)
- A8 – Loving Frequencies (3:18)
- B1 – Electronic News (3:56)
- B2 – Intergalactic Radio Guri Broadcasting (4:24)
- B3 – Raumschiff Galaxy Gleitet Im Sonnenwind (0:40)
- B4 – Interstellar Rock: Kosmische Musik (3:11)
- B5 – Raumschiff Galaxy Saust In Die Lichtbahnen (0:44)
- B6 – Der Planet Des Sternenmädchens (8:21)
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Patto – Patto (1970)
Patto / Patto(1970年・UK)
Pattoのデビュー作にあたるPattoは、1970年にUKで登場した作品だ。もともとTimeboxに在籍していたMike Pattoを中心に、Ollie Halsall、Clive Griffiths、John Halseyらが合流してPattoへと改名した流れの中で生まれたアルバムで、バンド名そのものを掲げた最初の一枚という位置づけになる。
ジャンルとしてはRock、スタイルとしてはProg RockとHard Rockに分類されている。実際にバンドの成り立ちを見ても、60年代末の英国ロックから70年代初頭のプログレ/ハードロックへ接続する時期の作品として捉えやすい。派手な看板を立てるというより、演奏力を前に出して押していくタイプのバンド像が見える作品だ。
バンドの輪郭
Pattoは1970年にイングランドで結成された英国のプログレッシブ・ロック・バンドで、ヴォーカルのMike Pattoを核に、Timebox由来のメンバーを加えて始動した。ラインナップにはOllie Halsallのギターとヴィブラフォン、Clive Griffithsのベース、John Halseyのドラムが並ぶ。のちにBernie HollandやMichael McCarthyの名もクレジットに見えるが、このアルバム時点の基本線は、Patto、Halsall、Griffiths、Halseyの4人組として押さえておくのが自然だ。
作品の位置づけ
このPattoは、バンドの出発点をそのまま刻んだ一枚として見やすい。Timeboxから名前を変えて新しい形を打ち出した直後の記録であり、以後のPattoの方向性を示す入口になっている。UK産のプログレッシブ・ロックが拡張していく時期の中で、サイケデリック寄りの流れやハードなバンド演奏が交差するあたりに置けるアルバムだ。
演奏面の注目点
Pattoの名前を押し出した作品だけに、中心はMike Pattoの歌とOllie Halsallのプレイに集まりやすい。Halsallは後年まで語られることの多いギタリストで、ここでもバンドの色を作る重要な存在として機能している。リズム隊のまとまりも含めて、曲ごとの展開を追うより、バンド全体の推進力で聴かせるタイプのアルバムという印象が強い。
盤について
このレコードはUK盤として流通している。レーベル表記や盤面の仕様に違いがある個体も見られるため、コレクションとしてはプレス違いの確認がポイントになりやすい。とはいえ作品そのものは、1970年当時のPattoの出発点を示す内容として理解しておけばよさそうだ。
同時代の文脈
同じ時代のUKロックで言えば、プログレッシブ・ロックの構成感と、ハードロックの押し出しをまたぐ位置にいる。派手なコンセプト性よりも、演奏の密度やリフの手触り、ボーカルの存在感で勝負する流れが見える。そうした意味で、当時の英国ロックの中でも、バンドの身体感覚が前に出る作品として置ける。
Pattoというバンド名をそのまま冠した初期作として、まずはここから彼らの輪郭が立ち上がる。1970年のUKロックの空気を、演奏主体で切り取った一枚だ。
トラックリスト
- A1 – The Man (6:12)
- A2 – Hold Me Back (4:40)
- A3 – Time To Die (2:54)
- A4 – Red Glow (5:15)
- B1 – San Antone (3:07)
- B2 – Government Man (4:20)
- B3 – Money Bag (10:04)
- B4 – Sittin’ Back Easy (3:42)
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Kuni Kawachi & Friends – 切狂言 (1970)
Kuni Kawachi & Friends『切狂言』について
Kuni Kawachi & Friendsの『切狂言』は、1970年に発表された日本のロック作品で、サイケデリック・ロックとアシッド・ロックの流れの中に置かれる1枚だ。メンバーには和田アキラではなく、川内康範…ではなく、Kuni Kawachi、Joe Yamanaka、Hideki Ishima、Chito Kawachiが名を連ねている。日本のサイケデリック・ロック史を語るうえで、当時の空気を強く反映した作品として見られることが多い。
作品の輪郭
アルバムはタイトル曲「Kirikyogen」から始まり、「Time Machine」「Omaeno Sekaihe」「Renai Bochi」「Onna No Kyoushitsu」など、英訳を添えた曲名も並ぶ構成だ。全7曲というまとまりの中で、言葉の置き方と演奏の緊張感が前面に出ている印象がある。レコード全体としては、歌ものの形を保ちながらも、演奏のうねりや音の質感が曲の骨格を作っているタイプの作品だ。
収録曲の見どころ
- A1「Kirikyogen」: タイトルを冠した導入曲。作品の入口として置かれた1曲。
- A2「Ningen Syutaino Keieitokoji (Works Composed Mainly By Humans)」: 長い曲名が印象に残る。言葉遊びの感触もある。
- A3「Time Machine」: タイトルからして、当時のサイケデリックな感覚と相性のよい楽曲名。
- B1「Omaeno Sekaihe (To Your World)」: 英訳付きの表記で、曲の輪郭がつかみやすい。
- B2「Renai Bochi (Graveyard Of Love)」: 邦題と英訳の落差が目を引く。
- B3「Onna No Kyoushitsu (Classroom For Women)」: 物語性を感じさせる題名。
- B4「Otokowo Onnakaramita Kagakutekicyousa (Scientific Investigation)」: アルバムの終盤を締める、最も長い曲名の1曲。
サウンドと時代感
1970年の日本ロックは、英米のサイケデリック・ロックやアシッド・ロックの影響を受けつつ、国内の歌謡的な感覚や実験性が交差していた時期だ。『切狂言』もその文脈に置くと、当時の日本のロックが持っていた語法のひとつとして聴こえてくる。Joe Yamanakaのヴォーカル、Hideki Ishimaのギター、Kuni Kawachiの作曲面、Chito Kawachiのリズムが組み合わさって、曲ごとの推進力を作っている構成だ。
同時代の日本のサイケデリック・ロックやアート寄りのロックと比較されることはありそうだが、この作品はとくにバンド名義のまとまりと、曲名に表れた言葉の強さが目立つ。演奏そのものとタイトルの並びが、作品の印象を決めている1枚と言えそうだ。
2021年盤について
この盤は2021年リリースのものだが、作品自体は1970年のオリジナル発表。したがって、内容としては初期の作品を現在の盤で聴く形になる。再発盤としての大きな違いは、少なくともこの情報だけでは細かくは追えないが、作品の本体は1970年のオリジナル録音にある。
まとめ
『切狂言』は、Kuni Kawachi & Friendsという名義のもとで、日本のサイケデリック・ロックが持っていた実験性と歌の輪郭が同居した作品だ。全7曲という構成、長い曲名の並び、1970年という時代背景が、そのままアルバムの性格を形作っている。
トラックリスト
- A1 – 切狂言 (芝居小屋の名役者)
- A2 – 人間主体の経営と工事
- A3 – タイム・マシーン
- B1 – おまえの世界へ
- B2 – 恋愛墓地
- B3 – 女の教室
- B4 – 男から女を見た科学的調査
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Areski – Brigitte Fontaine – Je Ne Connais Pas Cet Homme (1973)
Areski – Brigitte Fontaine「Je Ne Connais Pas Cet Homme」
フランスのAreski BelkacemとBrigitte Fontaineによる共作名義、Areski – Brigitte Fontaineの一枚。1973年のオリジナル作品として知られるタイトルで、ここに収められているのはシャンソンを軸にしながら、アヴァンギャルドや実験的な要素を前面に出した世界観だ。
作品の輪郭
Brigitte Fontaineの語りかけるような歌唱と、Areskiの多彩な演奏・構成がぶつかり合うというより、同じ空間の中で少しずつ形を変えていく作り。ロックやポップの枠に置かれながらも、一般的な歌モノの流れには収まらない、ひっかかりのある音像がこの作品の中心にある。
この二人の共同作業は、単独名義の作品とは少し違って、作品全体がひとつの会話のように進むところが特徴的だ。メロディが前に出る場面もあれば、言葉の運びや間の取り方が主役になる場面もあり、シャンソンの伝統と前衛的な感覚が同居している。
聴きどころ
この手のAreski-Fontaine作品では、派手な展開や分かりやすいサビよりも、音の配置や声の置き方に耳が向く。Brigitte Fontaineの声は、歌うというよりも言葉を音楽の中に置いていくようで、Areskiの側はその動きを受け止めながら、楽曲の輪郭を少しずつずらしていく印象がある。
70年代フランスのシャンソン周辺には、BarbaraやJacques Higelin、Magma周辺のように既存の形式を崩しながら独自の表現へ向かう動きがあったが、この作品もその流れの中で語られることがありそうだ。とはいえ、ロックの推進力だけでも、実験音楽の硬さだけでもなく、その中間にある独特の距離感が残る。
リリースについて
盤として流通しているものは1990年代後半から2000年代初頭の再発盤とみられ、オリジナルの1973年盤とは別の時代のプレスになる。再発盤としては、価格コードやバーコードが付かない仕様という点が目立つ。
アーティストのキャリアの中では、AreskiとBrigitte Fontaineの共同名義作品の一つとして位置づけられる一枚。二人の関係性そのものが作品の核にあるタイプで、単なる客演ではなく、名前どおりの共同制作として捉えるのが自然だ。
まとめ
「Je Ne Connais Pas Cet Homme」は、フランスのシャンソンを土台にしながら、ポップ、ロック、実験性が同じ画面に並ぶ作品。歌と演奏の役割分担が固定されず、曲ごとに表情が変わっていくところが面白い。
トラックリスト
- A1 – Depuis (1:54)
- A2 – J’ai 26 Ans, Madame (1:15)
- A3 – La Fille Du Curé (2:04)
- A4 – Comment Ca Va (1:40)
- A5 – Montparnasse (1:23)
- A6 – La Recherche De L’Hiver (3:44)
- A7 – Les Blanchisseuses (1:09)
- A8 – C’est Normal (4:21)
- B1 – Dis-moi (4:03)
- B2 – Insert (0:25)
- B3 – On N’est Pas Des Arbres (1:45)
- B4 – La Renarde Et Le Bélier Touffu (3:56)
- B5 – Insert (0:25)
- B6 – Je Ne Connais Pas Cet Homme (2:18)
- B7 – Nous Ne Pourrons Plus Dormir (1:32)
- B8 – La Morvien (2:37)
- B9 – Le Silence (1:52)
- B10 – Final (0:35)
関連動画
- Areski et Brigitte Fontaine – C’est Normal
- La fille du curé
- Montparnasse
- La recherche de l’hiver
- Les blanchisseuses
- Brigitte Fontaine – C’est normal
- Areski et Brigitte Fontaine “Dis-moi”
- Areski & Brigitte Fontaine – On N’Est Pas Des Arbres (1973)
- Brigitte Fontaine et Areski Belkacem – La renarde et le bélier touffu
Patrice Witt – For D’js And Long Highways (1982)
Patrice Witt『For D’js And Long Highways』について
Patrice Wittはフランスのキーボーディスト/作曲家で、For D’js And Long Highwaysは1982年にフランスでリリースされた作品だ。ジャンルはElectronic、Jazz、Rock、スタイルはProg Rock、Ambient、Fusionに位置づけられている。ひとことで言えば、キーボードを軸にしたインストゥルメンタル寄りの作品として受け止めやすい1枚で、同時代のプログレッシブ・ロックやフュージョンの流れの中に置くと見通しがつきやすい。
作品の位置づけ
このアルバムは、Patrice Wittにとってソロ名義の初期作にあたる。ジャケットには「Vent D’Estのピアニストによる初のソロ・アルバム、Pierre Moerlen参加」といった内容のステッカーが付くものもあるようで、バンド活動とは別に、キーボード奏者としての個性を前面に出した作品として扱われていることがわかる。1982年という時期を考えると、プログレの語法とエレクトロニックな質感、ジャズ由来の演奏感覚が近い距離で並ぶ時代性も見えやすい。
音の輪郭
この作品の核にあるのは、キーボードのフレーズと音色の組み立てだろう。ロックの推進力、ジャズの流れ、エレクトロニックなレイヤーが重なり、派手な歌ものというよりは、演奏と構成の変化で聴かせるタイプの内容として捉えられる。フュージョンの手触りもあり、当時のフランス周辺のプログレ/インストゥルメンタル作品と並べて語られることがありそうだ。
同時代の比較対象としては、キーボード主導のプログレや、ジャズ・ロックの延長にある作品群が思い浮かぶ。Pierre Moerlenの参加がクレジットされる点からも、リズム面にしっかりした推進力が入る構図が見えてくる。こうした背景を踏まえると、単なるソロ・キーボード作品というより、バンド的な緊張感を持ったインスト作品として受け取られやすい。
リリース情報
- アーティスト: Patrice Witt
- タイトル: For D’js And Long Highways
- オリジナルリリース年: 1982年
- リリース国: フランス
- アーティストの国: フランス
- ジャンル: Electronic / Jazz / Rock
- スタイル: Prog Rock / Ambient / Fusion
まとめ
For D’js And Long Highwaysは、1982年のフランスで生まれた、キーボード奏者Patrice Wittのソロ作品だ。プログレ、アンビエント、フュージョンの要素が同居し、同時代のインストゥルメンタル作品の流れの中で見ていける内容。派手なヒット曲で押すというより、演奏の組み立てや音色の変化で輪郭を作るタイプのアルバムとして記憶されやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – On The Edge Of Time (4:23)
- A2 – Just The Sound Of Your Name (4:50)
- A3 – Mandragore (3:20)
- A4 – Blind Eyes (3:56)
- A5 – Dreams Of Sun (5:40)
- B1 – Catfish (3:18)
- B2 – Crying Guitar Reggae (3:08)
- B3 – Gypsy Queen (2:50)
- B4 – You’re Just Seventeen (4:06)
- B5 – Exodus Space Flight To Cygnus X1 (5:22)
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King Crimson – Lizard (1970)
King Crimson「Lizard」について
King Crimsonの「Lizard」は、1970年に発表されたプログレッシブ・ロックの重要作です。もともと初期King Crimsonは、Robert Frippを中心に、Ian McDonald、Greg Lake、Michael Giles、Peter Sinfieldらが参加した編成で出発し、1969年のデビュー作で強い印象を残しました。その流れの中で作られた本作は、初期King Crimsonの中でも特に組曲的な構成が目立つ一枚です。
この日本盤は1971年リリースの初期国内盤で、見開きジャケット仕様。Rock Age obi付きのファースト・イシューで、インサートも封入されています。ライナーノーツの日付は「1971.3.11」となっています。
作品の位置づけ
「Lizard」は、King Crimsonの中期以降の重厚なサウンドへ直結するというより、初期の実験性と室内楽的な構成感が強く出た作品として位置づけられることが多いアルバムです。バンドの編成変化が続いていた時期の作であり、Robert Frippを軸にしながらも、楽曲ごとの色がはっきり分かれている印象があります。
同時代のプログレッシブ・ロックの文脈では、YesやGenesisのようなメロディ志向の展開とは別に、より不安定な和声やジャズ寄りの動き、劇的な構成を前面に出したタイプとして聴かれることが多い作品です。Keith Tippettの参加も、このアルバムの音の輪郭を形づくる要素になっています。
聴きどころ
本作の中心は、組曲的に展開する長尺曲「Lizard」になる。パートごとに場面が切り替わる構成で、ロックのリズム感だけで押し切るというより、ブラスやピアノを含むアレンジで進んでいくのが特徴です。曲単位でのまとまりより、全体を通してひとつの組曲として聴く感覚が強い作品といえます。
また、アルバム全体としては、硬質なギターの響きと、アンサンブルの混線する感じが同居しています。派手なヒット曲で押すタイプではなく、曲の流れや音の配置を追う楽しさがある一枚です。
日本盤としての魅力
この日本盤初期プレスは、当時の国内発売の仕様をそのまま味わえる点がまず目を引きます。見開きジャケットや帯、インサートを含めて、1970年代初頭の日本盤らしい作りです。オリジナル盤の年代は1970年ですが、こちらは1971年の国内流通盤として手元に置くタイプのリリースになります。
まとめ
「Lizard」は、King Crimsonの初期の実験精神を強く映したアルバムです。バンドの歴史の中では、編成の揺れが続く時期の作品でありながら、組曲構成、ジャズ的な要素、室内楽的な処理がひとつの形になっているのが面白いところです。初期プログレの中でも、かなり個性の出たタイトルとして語られる一枚です。
トラックリスト
- A1 – Cirkus (Including: Entry Of The Chameleons) (6:28)
- A2 – Indoor Games (5:38)
- A3 – Happy Family (4:15)
- A4 – Lady Of The Dancing Water (2:43)
- Lizard (22:24)
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Carmen Maki & Oz – 閉ざされた町 = Tozasareta Machi (1976)
Carmen Maki & Oz「閉ざされた町 = Tozasareta Machi」について
Carmen Maki & Ozの「閉ざされた町 = Tozasareta Machi」は、1976年に日本でリリースされた作品だ。東京を拠点に1972年に結成されたこのバンドは、Carmen Makiを中心に、Shigeyuki Kawakami、Osamu Takeda、Hirofumi Kasuga、Yoshihiro Naruse、Tetsuya Nishi、George Azuma、Yasuyuki Hasegawaといったメンバーで活動した。1970年代半ばの日本のロックの流れの中で、プログレッシブ・ロックとハードロックの要素を持つバンドとして位置づけられる作品群のひとつだ。
作品の位置づけ
1976年という年は、バンドにとって活動の中盤にあたる時期で、1977年の解散より少し前の段階になる。Carmen Maki & Ozは、当時の日本ロックの中でも、演奏の密度や曲の構成に重心を置いたグループとして見られることが多く、この作品もその流れの中にある一枚だ。タイトルから受ける印象どおり、都市や空間の閉塞感を意識させるような感触がある。
サウンドの印象
実際に聴くと、バンド名に含まれるCarmen Makiの歌声が前面に出てくる場面があり、そこにギター、ベース、ドラムの硬質なバンドサウンドが重なる。曲の展開は単純に進むというより、フレーズやリズムの切り替えを交えながら進行していく印象で、70年代ロックらしい手触りがある。演奏は、歌を支えるだけでなく、曲の空気そのものを作る役割を担っているように感じられる。
同時代の文脈
1970年代半ばの日本のロックには、海外のハードロックやプログレッシブ・ロックの影響を受けながらも、日本語の歌詞や独自の感覚を前面に出すバンドが少なくない。「閉ざされた町」も、そうした時代の流れの中で聴かれる作品だ。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体の流れや曲ごとの構成で印象を残すタイプの作品として捉えやすい。
代表曲について
この作品では、タイトル曲の「閉ざされた町 = Tozasareta Machi」がまず中心になる。作品名そのものを担う曲だけに、アルバムの方向性を示す役割を持つ存在として聴こえる。曲名からも、当時の都市感覚や心理的な圧迫を連想させる。
まとめ
Carmen Maki & Ozの「閉ざされた町 = Tozasareta Machi」は、1976年の日本のロックを語るうえで外せない一枚のひとつだ。バンドの演奏力、Carmen Makiの存在感、そして当時のハードロック/プログレッシブ・ロックの空気が、ひとまとまりになった作品として見えてくる。解散前の時期に作られたこともあって、バンドの輪郭がはっきり感じられる内容だ。
トラックリスト
- A1 – Introduction
- A2 – 崩壊の前日
- A3 – 振り子のない時計
- A4 – 火の鳥
- B1 – Lost Love
- B2 – 閉ざされた町
- B3 – Epilogue
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Novela – Exciting Mini (Unreleased Takes and Limited Edition) (1984)
Novela『Exciting Mini (Unreleased Takes and Limited Edition)』
1984年に日本で登場した、Novelaのミニ・アルバム。大阪で結成された日本のプログレッシブ・ロック/ハード・ロック・バンドらしく、速い展開と鍵盤を前に出した編成がはっきりしている作品だ。タイトルどおり、未発表テイクを含む内容で、当時のバンドの演奏感をコンパクトに切り取った一枚になっている。
バンドの立ち位置
Novelaは1979年に大阪で結成されたバンドで、1986年まで活動した。もともとプログレッシブ・ハード・ロック・バンドSchéhérazadeのメンバー4人と、山水館の元メンバー2人から始まった経歴を持つ。日本の70年代末から80年代前半にかけてのプログレ/ハード・ロックの流れの中で、テクニカルな演奏と劇的な展開を持つバンドとして語られることが多い。
作品の内容
この盤はミニ・アルバムで、未発表テイクを収録しているのが大きな特徴。加えて、インサートとポスターが付属し、クリア・ヴィニール仕様という点もコレクター向けの要素として目を引く。1984年のオリジナル盤として見た場合、Novelaの活動期の中盤にあたる時期の記録という位置づけになる。
収録曲の細部まではここで触れられる情報が限られるが、バンドの持ち味であるギターの切り込み、キーボードの前面に出るアレンジ、そしてリズム隊の推進力は、この時代のNovelaをそのまま示す要素として受け取れる。日本のプログレッシブ・ロックが80年代に入ってもなお、演奏面の密度を保っていたことを感じさせる内容だ。
同時代の文脈
日本のプログレ/ハード・ロックでは、同時代にアースシェイカーや44マグナムのようなハード・ロック勢が存在し、プログレ方面ではアングラ系の色合いを持つバンドも少なくなかった。Novelaはその中でも、よりシンフォニックな鍵盤の使い方と、メタリックなギターを両立させたタイプとして捉えられることが多い。
クレジット
- アーティスト: Novela
- タイトル: Exciting Mini (Unreleased Takes and Limited Edition)
- オリジナル・リリース年: 1984年
- リリース国: 日本
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock, Hard Rock
Novelaのディスコグラフィーの中では、アルバム本編とは少し違う角度から当時のバンド像を見せる一枚。未発表テイクという性格もあり、作品としてのまとまりより、活動期の断片を記録した資料性が前に出る盤だ。
トラックリスト
- A1 – Metal Fantasy
- A2 – Limited Express
- B1 – Lunatic (Live Version)
- B2 – Harukana-Toki No Hate Ni (Live Version)
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Il Rovescio Della Medaglia – Contamination (1973)
Il Rovescio Della Medaglia『Contamination』
イタリアのプログレッシブ・ロック・バンド、Il Rovescio Della Medagliaが1973年に発表したアルバム。バンド初期のハード・ロック寄りの作風から一歩進み、キーボードを加えた編成でシンフォニックな方向へ寄った作品として知られている。イタリアン・プログレの中でも、演奏の密度と構成の切り替えがはっきりした一枚だ。
バンドの流れの中での位置づけ
Il Rovescio Della Medagliaは1970年ごろ、ローマで結成されたグループ。1971年の『La Bibbia』、1972年の『Io come io』では、硬質なギターを軸にしたサウンドにプログレ的な要素を少しずつ取り入れていた。そこから本作『Contamination』では、Franco Di Sabatinoのキーボードが加わり、音の中心がより多層的になっている。
この作品では、アルゼンチン出身の作曲家との協働も行われており、バンド単独のハードさよりも、組曲的な展開や管弦楽的な組み立てが前に出ている。グループにとっては、初期2作とは明確に方向の違う3作目という位置づけになっている。
1973年オリジナル盤の特徴
1973年のオリジナル・リリースは、イタリア国内盤として出たもの。バンドは当時、非常に大音量のライブでも知られており、その勢いがスタジオ作品にも通じている。ギター、ベース、ドラムにキーボードが重なることで、リフ主体の硬さと、展開の多い構成が並立している。
また、この時期のバンドは国外展開も意識していて、英語詞版も制作され、複数の国で発売されている。イタリアン・プログレの中でも、国内市場だけでなく海外流通を見据えた動きがあった作品として見られる一枚だ。
2015年盤について
2015年盤は、デジタル・リマスターを施した180グラム盤としてリリースされている。オリジナル盤の年代とは別に、再発盤として音質面の見直しが行われた形だ。アナログ盤としての重量盤仕様になっている点も、この再発の特徴になっている。
曲の印象と聴きどころ
本作は、派手な単発ヒットを前面に出すタイプではなく、アルバム全体の流れで聴かせる構成。キーボードが入ったことで、ギターの押し出しだけではなく、音の層そのものを動かす場面が増えている。硬めの演奏と、組曲的に場面が変わる展開の両方が目に入る内容だ。
イタリアン・プログレの同時代作品と比べると、演奏の力感を保ちながらも、よりシンフォニックな作りへ踏み込んだ位置にある。初期のハード・ロック色を残しつつ、より構成重視のアルバムへ移った転換点として捉えられる。
メンバー
- Franco Di Sabatino
- Gino Campoli
- Pino Ballarini
- Enzo Vita
- Stefano Urso
作品データ
- アーティスト: Il Rovescio Della Medaglia
- タイトル: Contamination
- オリジナル・リリース年: 1973年
- 盤のリリース年: 2015年
- リリース国: Italy
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock
トラックリスト
- A1 – Absent Minded
- A2 – Orphan Me
- A3 – Johann’s Rock
- A4 – Another Name Am I
- A5 – Crazy Baby
- A6 – Lost Myself Today
- B1 – Johann
- B2 – Scotched
- B3 – I Can Fly
- B4 – Contamination
- B5 – Isolation Ward
- B6 – For The Love Of Anna
- B7 – Bach Lives
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Harris Chalkitis – Marita (1975)
Harris Chalkitis「Marita」
「Marita」は、フランスで1975年にリリースされたHarris Chalkitisの作品。作曲、編曲、歌唱、マルチインストゥルメンタリストとして知られるHarris Chalkitisが、パリのBarclay Studiosで1975年4月から5月にかけて録音した一枚である。ジャズ、ロック、ファンク、ポップ、フォークの要素をまたぐ作風で、ジャズロック、ジャズファンク、プログレッシブ・ロック、ディスコの文脈でも語られる作品になっている。
作品の輪郭
Harris Chalkitisは1945年にカイロで生まれ、幼少期に家族とともにギリシャへ移った人物。作曲家、オーケストレーター、シンガー、マルチインストゥルメンタリストとして活動し、後年はQueen Samanthaのプロデュースでも知られるほか、Demis Roussos、Mireille Mathieu、Dalidaなどの作曲も手がけている。その経歴を踏まえると、「Marita」も単独の歌手作品というより、作編曲の手腕が前面に出るタイプのレコードとして位置づけやすい。
録音はパリのBarclay Studios。℗表記も1975年のBarclayで、フランス盤として同年の空気をそのまま閉じ込めた資料性のあるレコードといえる。ジャズ寄りのリズム感、ロックの推進力、ファンクのうねり、そして当時のポップ/ディスコの感触が並ぶところに、この時代のヨーロッパ制作らしい混ざり方が見える。
サウンドの印象
この作品のポイントは、ジャンルの切り替えがはっきりしていること。ジャズ・ロックやジャズ・ファンクの文脈では演奏の密度が前に出やすく、プログレッシブ・ロックの要素では展開の組み立てが目立つ。そこにディスコ的なビート感や、ポップ、フォーク、ワールド・ミュージックの要素が重なっているため、単一の型に収まらない作りになっている。
実際に聴くと、歌ものとしての輪郭と、編曲の細かい動きの両方が見えやすいタイプの作品になりそうだ。メロディを追いながらも、伴奏のリズムや管弦の配置に耳が向く盤だろう、という印象である。
時代背景とつながり
1975年という年は、ヨーロッパのポップスやフュージョン、ディスコ前夜のサウンドが交差していた時期。フランス制作のレコードとして見ると、シャンソン的な歌心と、当時の国際的なソウル/ファンク感覚の接点にある作品とも捉えやすい。Harris Chalkitisの後年のプロデュースワークや大衆歌謡への関わりを考えても、この時期の仕事は彼の幅広い作曲・編曲感覚を示す一枚といえる。
代表曲やヒット曲として広く知られる定番曲の情報は見当たらないが、制作年、録音場所、参加した音楽的文脈をたどると、70年代フランス盤の中でも作り手の個性が出る作品として見ていける。
盤について
この盤は1975年のフランス盤。ラベルにはMade in Franceの表記があり、当時のBarclay系プレスとして出回ったものだとわかる。プレスリングの仕様も1975年のフランス国内プレスに特徴的なものとされている。
Harris Chalkitisのキャリアを追ううえで、「Marita」は、作曲家・編曲家としての感覚と、当時のフランス録音の空気が重なる一枚として押さえておきたい作品である。
トラックリスト
- A1 – Marita (3:45)
- A2 – Funny She Loves Me (2:18)
- A3 – Right On Moving (2:49)
- A4 – Always On My Mind (2:37)
- A5 – Without You (4:15)
- B1 – Introduction Moog (0:59)
- B2 – Glory Of A Love Song (3:25)
- B3 – Morning Sunshine (2:47)
- B4 – New York City (3:47)
- B5 – With A Smile (2:35)
- B6 – Let Me Go My Way (2:42)