Neuronium – Vuelo Químico (1978)
Neuronium『Vuelo Químico』
Neuroniumは、スペイン・バルセロナを拠点にした電子音楽グループで、1976年にMichel Huygen、Carlos Guirao、Albert Giménezの3人で始動したユニットだ。本作『Vuelo Químico』は、1978年にオリジナルが登場した作品で、彼らの初期活動を示す1枚として位置づけられる。
作品の位置づけ
この時期のNeuroniumは、EMI-Harvestからのアルバムを重ねていた初期段階にあたる。前作『Quasar 2C361』に続く流れの中で作られた『Vuelo Químico』は、のちにMichel Huygen中心の体制へ移っていく前の、バンドとしてのまとまりが見える時期の記録でもある。メンバー表を見ても、初期メンバーがそろった形で残る作品として読むことができる。
サウンドの輪郭
ジャンル表記はElectronicとRock、スタイルはProg RockとAmbient。実際に聴くと、シンセサイザーを軸にした構成の中に、ロック由来の展開やリズム感が入り、曲の進行そのものを聴かせるタイプの作りだ。電子音だけで閉じず、ギターやバンド的な動きが残っている点が、この時期のNeuroniumらしいところだろう。
Huygen自身がNeuroniumの音楽を「psychotronic music」「cosmic electronic music」と呼んでいたこともあり、宇宙的な広がりを持つ電子音楽として語られることが多い。とはいえ、ここでは雰囲気だけに寄らず、音のレイヤーやフレーズの積み重ねで曲を組み立てている印象がある。
同時代の文脈
1970年代後半のスペインでこうした電子音楽を鳴らしていた点は、同時代の欧州プログレやアンビエントの流れとも重なる。ドイツの電子音楽や、英国のプログレッシブ・ロックと比べながら聴くと、Neuroniumはよりシンセ主体で、しかもロックの骨格を完全には手放していない。そういう中間的な立ち位置が、アルバム全体の特徴になっている。
録音・再発の見方
盤のリリース年は1983年だが、作品そのものの初出は1978年。したがって、1983年盤はオリジナル時点の音源をあらためて手に取れる形の再登場として見るのが自然だろう。オリジナル盤との比較で細かな差異を語れる情報はここでは確認できないが、少なくとも作品の中核は1978年のNeuronium初期像にある。
ひとこと
『Vuelo Químico』は、Neuroniumがのちにたどる長い電子音楽活動の出発点のひとつとして置けるアルバムだ。バンド編成の感触と、シンセを中心にした構築、その両方が見える初期作として印象に残る。
トラックリスト
- Abismos De Terciopelo (19:55)
- B1 – Viento Solar (2:43)
- B2 – Vuelo Químico (14:45)
関連動画
Peter Baumann – Repeat Repeat (1981)
Peter Baumann『Repeat Repeat』について
Peter Baumannによる『Repeat Repeat』は、1981年に発表された電子音楽作品です。ジャンルはElectronic、スタイルはSynth-popに位置づけられていて、Tangerine Dreamでの活動でも知られるBaumannが、ソロ・アーティストとして展開していた時期の作品として捉えられます。
作品の輪郭
Peter Baumannは、1971年から1977年までTangerine Dreamに在籍し、シンセサイザー主体の音作りをバンドの中核へ押し進めた人物として知られています。その流れを踏まえると、『Repeat Repeat』にも、彼の電子音楽家としての経験がそのまま反映されていると見てよさそうです。Tangerine Dreamの流れを引き継ぐ作品群の中でも、ソロならではの整理された作りに目が向くタイトルです。
1981年という時期は、電子音楽が実験的な文脈だけでなく、ポップな構造とも結びついていったタイミングでもあります。この作品も、その時代感の中で聴かれることが多い1枚でしょう。シンセサイザーの音色を軸にしながら、曲の輪郭を比較的はっきり示すタイプの作品として受け取られやすい内容です。
Peter Baumannというアーティストの位置づけ
Baumannにとってこの時期のソロ活動は、Tangerine Dreamで培った電子音楽の手法を、自分の名前で組み立て直していく流れにあたります。バンドでの大規模な活動を経て、個人の作家としてどこまで音の設計を詰めるか、という関心が前面に出る時期でもあります。
のちに彼は自身のレーベル運営や、Baumann Instituteでの活動にもつながるように、音楽を単なる作品発表だけでなく、より広い視点で扱っていくことになります。そうした経歴を踏まえると、『Repeat Repeat』は、彼の電子音楽家としての基盤を確認しやすい作品のひとつです。
同時代とのつながり
1981年のシンセポップは、ヨーロッパの電子音楽とポップ・フォーマットが重なる時代でもあります。Baumannの作品は、そうした流れの中で、クラブ向けのダンス・ポップというよりは、シンセの質感や構成の組み方に重心があるタイプとして見られます。Tangerine Dream周辺の電子音楽、あるいは同時代のシンセ主体のソロ作品と並べて語られることが多い領域です。
まとめ
『Repeat Repeat』は、Peter BaumannがTangerine Dream後のソロ活動で示した電子音楽の一作。1981年という年らしいシンセサイザー中心の空気を持ちながら、彼の作家性を追いやすいタイトルです。作品全体を通して、電子音楽の流れの中でBaumannがどの位置にいたのかを確認しやすい1枚として受け止められます。
トラックリスト
- A1 – Repeat Repeat (3:43)
- A2 – Home Sweet Home (3:44)
- A3 – Deccadance (3:11)
- A4 – Realtimes (3:25)
- A5 – M.A.N. Series Two (3:37)
- B1 – Brain Damage (2:45)
- B2 – Kinky Dinky (3:14)
- B3 – Daytime Logic (2:51)
- B4 – Playland Pleasure (3:27)
- B5 – What Is Your Use (3:30)
関連動画
- PETER BAUMANN – What Is Your Use? (1981)
- Peter Baumann – Daytime logic (Baby won’t you mary me)
- Peter Baumann — Brain Damage
- PETER BAUMANN – Playland Pleasure (1981)
- Peter Baumann – M.A.N. Series Two
- Peter Baumann – Repeat Repeat (Remastered Video) (1981)
- Peter Baumann – Deccadance (1981)
- Peter Baumann – Repeat Repeat (full Vinyl album)
- Peter Baumann – Repeat Repeat
- Peter Baumann – Realtimes (Single von 1981)
Khan – Space Shanty (1972)
Khan『Space Shanty』について
Khanは、Steve Hillageを中心に結成されたUKのプログレッシブ・ロック・バンドで、Canterbury sceneに連なる存在として知られるグループだ。活動期間は1971年から1972年までと短く、アルバムは1枚だけ。その唯一の作品が1972年発表の『Space Shanty』になる。
この作品は、Rockを軸にPsychedelic RockとProg Rockの要素がまとまった一枚。Steve Hillageのギターを中心に、Dave Stewart、Nigel Griggs、Eric Peachey、Nick Greenwood、Val Stevensらが参加している。Khanというバンドの全体像をつかむには、まずこのアルバムを聴くのがいちばんわかりやすい位置づけだろう。
作品の位置づけ
『Space Shanty』は、Steve Hillageがのちにソロで展開していく感覚の前段階としても見られる作品だ。Canterbury系らしい演奏の組み立てと、サイケデリックな広がりが同居していて、当時のUKプログレ周辺の流れの中でも、かなりKhanらしい個性が出ている一枚という印象になる。
同時代の文脈で見れば、長尺の展開や複雑なアンサンブルを重視するProg Rockの流れと、より色彩感のあるPsychedelic Rockの感覚が重なる時期の作品として捉えやすい。Canterbury sceneの関連作を追っていると、演奏の細かな受け渡しやリズムの運びに、その系譜らしさが見えてくる。
1972年作品としての流れと1976年盤
オリジナルは1972年の作品で、今回の盤は1976年リリース。作品そのものは1972年のKhanを示すものとして扱える。再発盤として流通した可能性があるため、基本的にはオリジナル作品の内容をそのまま受け継ぐ形で見るのが自然だ。
聴きどころ
このアルバムの中心は、やはりSteve Hillageのギター。フレーズの置き方や音の伸びが楽曲の推進力になっていて、バンド全体の演奏もそれに合わせて組み立てられている。大きく派手に押すというより、演奏の切り替わりや展開の変化で引っ張るタイプの作品だ。
いわゆるヒット曲が前面に出るタイプではなく、アルバム全体の流れで聴く性格が強い。曲ごとのまとまりよりも、連続する展開や演奏の手触りに耳が向く一枚、と言えそうだ。
ひとこと
Khanにとって『Space Shanty』は、短命だったバンドの足跡をそのまま残したような作品だ。Steve Hillageのキャリアを起点に、Canterbury sceneとUKプログレのつながりを見ていくうえでも、外せない存在として語られることが多い。
トラックリスト
- A1 – Space Shanty (Incl. The Cobalt Sequence And March Of The Sine Squadrons)
- A2 – Stranded (Incl. Effervescent Psycho Novelty No. 5)
- A3 – Mixed Up Man Of The Mountains
- B1 – Driving To Amsterdam
- B2 – Stargazers
- B3 – Hollow Stone (Including Escape Of The Space Pilots)
関連動画
- Space Shanty (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Stranded (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Mixed up Man of the Mountains (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Driving to Amsterdam (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Stargazers (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Hollow Stone (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Break the Chains (feat. Steve Hillage & Dave Stewart) (Bonus Track)
- Mixed up Man of the Mountains (feat. Steve Hillage & Dave Stewart) (First Version – Bonus Track)
Kings Of Convenience – Peace Or Love (2021)
Kings Of Convenience『Peace Or Love』について
Kings Of Convenienceは、ノルウェー・ベルゲン出身のデュオ。Erlend ØyeとEirik Glambek Bøeの2人によるユニットで、どちらも歌い、どちらも作曲を手がける。細かなギターの絡みと、落ち着いた歌声で知られるグループだ。
『Peace Or Love』は2021年にリリースされた作品で、Kings Of Convenienceにとってこの時期の活動をそのまま反映したアルバムとして聴ける1枚。リリース国はヨーロッパ盤。ジャンル表記はPop、Folk、World, & Country、スタイルはFolk、Indie Popとなっている。
作品の印象
この作品では、Kings Of Convenienceらしい、音数を抑えたアレンジと、2人の歌声の呼吸が前に出る構成が中心になる。ギターのフレーズは細かく、演奏の隙間がそのまま曲の輪郭になっているタイプ。派手な展開で押す作品というより、声と弦の動きで曲を組み立てる作りだ。
聴き進めると、メロディの見せ方がかなり丁寧なことがわかる。短いフレーズの反復や、声の重なり方で曲を進める場面が多く、Kings Of Convenienceの既知の持ち味がそのまま出ている印象。いわゆるインディー・フォークやインディー・ポップの文脈に置くと、余白のある編曲と柔らかい歌唱が軸になる作品として見やすい。
アーティストにとっての位置づけ
Kings Of Convenienceは、デビュー以降、派手さよりも曲の細部を積み上げるスタイルで知られてきたユニット。この『Peace Or Love』も、その延長線上にあるアルバムとして捉えやすい。ベルゲン出身という背景も含め、北欧のインディー・フォークらしい静かな手触りを感じさせる。
同時代のインディー・フォーク、インディー・ポップの流れの中では、Broken Social Sceneのような大編成の動きとは対照的で、Sufjan StevensやThe Acornの一部作品に見られるような、音の配置を細かく整える方向と比べやすい。とはいえ、Kings Of Convenienceはあくまで2人の声とギターのやり取りに重心がある。
ひとこと
『Peace Or Love』は、Kings Of Convenienceの名前から連想しやすい、控えめな編曲とデュオの歌の組み合わせがそのまま表に出た作品。2021年作として、彼らの持ち味を確認できるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Rumours (4:09)
- A2 – Rocky Trail (3:30)
- A3 – Comb My Hair (3:06)
- A4 – Angel (3:15)
- A5 – Love Is A Lonely Thing (2:45)
- A6 – Fever (3:56)
- B1 – Killers (3:53)
- B2 – Ask For Help (4:07)
- B3 – Catholic Country (3:00)
- B4 – Song About It (3:04)
- B5 – Washing Machine (2:46)
関連動画
Joe Yamanaka – Reggae Vibration (1982)
Joe Yamanaka「Reggae Vibration」について
「Reggae Vibration」は、Joe Yamanakaが1982年に発表した作品。日本のボーカリストとして知られる彼が、レゲエを軸にしたサウンドへ向けて手を伸ばした一枚で、オリジナルのリリースは1982年。日本で制作され、日本で出た作品としてまとまっている。
作品の輪郭
ジャンル表記はReggae、スタイルはRoots ReggaeとReggae-Pop。ルーツ寄りの骨格を持ちながら、ポップスとしての聴きやすさも意識した内容として捉えやすい。Joe Yamanakaの歌声を中心に置いた構成が想像しやすく、レゲエのリズムを土台にしながら、歌ものとしての存在感を前に出した作品群という印象になる。
Joe Yamanakaという存在
Joe Yamanakaは1946年9月2日に横浜で生まれ、2011年8月7日に横須賀で亡くなった日本のボーカリスト。国内ロックやポップスの文脈でも語られる人物だが、この作品ではレゲエというスタイルに焦点が当たっている。1980年代初頭という時期に、日本のアーティストがレゲエを作品として打ち出していた点も、この一枚の見どころになっている。
同時代の文脈
1982年の日本では、レゲエがまだ主流ジャンルとして広く定着していたとは言いにくい時期。そんな中で、Roots ReggaeとReggae-Popの要素を持つ作品が出ているのは、当時の日本の音楽シーンの中でも少し目を引く動き。海外のレゲエ・シーンをそのままなぞるというより、日本語圏の歌い手が自分の持ち味を乗せていく流れとして見ると、位置づけがつかみやすい。
聴きどころ
実際の音像は、Joe Yamanakaの声質とレゲエのリズムの組み合わせに集約されるタイプの作品として受け取りやすい。派手な装飾よりも、歌とビートの関係が前に出るつくりが想像される。レゲエ・ポップ寄りの手触りが入ることで、ルーツ色の強さだけに寄らない、まとまりのある聴感につながっている可能性が高い。
関連情報
- アーティスト: Joe Yamanaka
- タイトル: Reggae Vibration
- オリジナルリリース年: 1982年
- リリース国: Japan
- ジャンル: Reggae
- スタイル: Roots Reggae, Reggae-Pop
Joe Yamanakaの公式サイトは http://www.joe-yamanaka.com/ 。
1982年という年に、日本のボーカリストがレゲエを自分の作品として形にした記録。そんなふうに見ると、この「Reggae Vibration」は、当時の日本の音楽の広がりを示す一枚として位置づけやすい。
トラックリスト
- A1 – Rastafari Part I (2:31)
- A2 – Reggae Vibration (3:28)
- A3 – I’m A Stranger (4:23)
- A4 – As The Time Passes By (4:53)
- A5 – A New Day Is Rising Now (4:03)
- B1 – Caribbean Love Song (3:45)
- B2 – Shining Star (3:43)
- B3 – On Your Own (3:53)
- B4 – Travel On Again (3:31)
- B5 – Never Too Late (3:50)
- B6 – Rastafari Part II (0:31)
関連動画
- joe yamanaka & the wailers i’m a stranger
- Joe Yamanaka A new day is rising now
- Joe Yamanaka & The Wailers – Reggae Vibration
- Amazing Reggae Vibrations : By Joe Yamanaka and The Wailers
- Joe Yamanaka – I’m A Stranger (Disco Reggae Vibration 1982)
- Joe Yamanaka – “Reggae Vibration”
- Joe Yamanaka and The Wailers – Reggae Vibrations
- Joe Yamanaka & The Wailers – On YourOwn
Memory Control One – Counter (2008)
Memory Control One「Counter」について
Memory Control Oneは、イタリアのElectro/Discoプロジェクトで、Francesco BoscoloとBeppe Lodaによるユニットだ。2008年にリリースされた「Counter」は、その活動の中でも2008年時点の空気をそのまま閉じ込めた作品として捉えやすい。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronic、スタイルはTrance、Electro、Italo-Disco。こうした並びからも、シンセサイザーを軸にしたダンス寄りの電子音楽として整理しやすい1枚だ。イタリアという土地と、Italo-Discoの文脈が自然につながるところも、このユニットの特徴として見えてくる。
Francesco BoscoloとBeppe Lodaという2人の名前が並ぶあたり、単なる匿名的なエレクトロ・プロジェクトというより、制作の手触りや選曲感覚がはっきり出るタイプの作品として受け取りやすい。Beppe Lodaはイタリアのディスコ/ダンス文脈で知られる人物でもあり、その背景を踏まえると、「Counter」にはディスコの延長線上にある電子音楽の感覚が通っているように見える。
2008年という時点での位置づけ
2008年は、Italo-Discoの再評価や、エレクトロ・サウンドの更新がいくつも重なっていた時期だ。「Counter」も、その流れの中で置くと理解しやすい。80年代のディスコ感を参照しつつ、より硬質な電子音や反復を前に出した作りが想像しやすい作品だ。
同時代の文脈で言えば、レトロなディスコの要素をそのまま復刻するというより、ElectroやTranceの要素を通して現在形に組み直すタイプのプロジェクトとして見ると、輪郭がつかみやすい。派手な歌ものというより、ビートやシンセの動きに耳が向く作品として受け取られることが多そうだ。
聴きどころのイメージ
実際に聴くと、リズムの押し出し方やシンセの反復に耳が残りやすいタイプの作品として感じられるかもしれない。メロディを強く前に出すというより、トラック全体の推進力で聴かせる印象だ。Italo-Disco由来の明確なコード感と、Electroの機械的な輪郭、そのあいだを行き来する作りが見どころになりそうだ。
代表曲や大きなヒット曲として広く知られた1曲を挙げるのは難しいが、アルバム全体の流れの中で、反復と展開のバランスをどう作るかがこの作品の核になっているように見える。
まとめ
「Counter」は、イタリア発のElectro/DiscoプロジェクトであるMemory Control Oneの2008年作として、Trance、Electro、Italo-Discoの要素を横断する1枚だ。Francesco BoscoloとBeppe Lodaという制作陣の背景も含めて、イタリアのダンス・エレクトロの流れをたどるうえで押さえやすい作品と言えそうだ。
トラックリスト
- A – Counter (6:06)
- B – Counter (B. Loda Elettro Monster Version) (6:15)
関連動画
Various – Baubles Vol.One – Down To Middle Earth (1988)
Various『Baubles Vol.One – Down To Middle Earth』について
『Baubles Vol.One – Down To Middle Earth』は、UKのVarious名義で1988年にリリースされたレコードだ。ロックを軸に、ガレージ・ロック、ポップ・ロック、サイケデリック・ロックの要素が並ぶ1枚で、80年代後半の空気の中で、60年代的な感触を引き寄せるような作品として受け取れる。
作品の印象
Various名義の作品なので、特定のバンドの個性を前面に出すというより、収録曲ごとの色合いを楽しむタイプの構成になっている。タイトルからもまとまった企画盤らしさがあり、ロックの中でも、ざらついたギター感、メロディの分かりやすさ、少し浮遊感のある響きが行き来する内容が想像しやすい。
1988年という時期を考えると、同時代のUKロックの流れの中で、よりシンプルなバンド感や、60年代回帰の感覚を持つ作品群と近い位置に置いて語られることがありそうだ。ガレージ・ロックの直線的な勢い、ポップ・ロックの整理された曲作り、サイケデリック・ロックの音の広がりが、ひとつの盤の中で並ぶあたりが見どころになりそうである。
聴きどころ
- ギターの粗さと、曲の輪郭の見えやすさの両立
- ポップ寄りのメロディと、ロックらしい押しの強さ
- サイケデリックな質感が、曲間の空気にどう出るか
ヒット曲や広く知られた代表曲については、この情報からは特定しづらい。各曲の顔ぶれを追いながら、収録順で雰囲気がどう変わるかを見る楽しみ方が合いそうな作品だ。
当時の文脈
80年代後半のUKでは、ロックの中でも過去のスタイルを参照する動きがいくつか見られた時期で、この盤もそうした流れの中で捉えやすい。ガレージ・ロックの荒さ、ポップ・ロックの明快さ、サイケデリック・ロックの色づけが同居する構成は、単独のバンドの自己表現というより、ロックの複数の系譜を一枚に置いたような印象につながる。
1988年オリジナルのUK盤として、80年代のリリースらしいまとまりを持ちながら、内容面ではより古いロックの感覚に触れるタイプの作品として見てよさそうだ。
まとめ
『Baubles Vol.One – Down To Middle Earth』は、Various名義の1988年UKロック作品として、ガレージ・ロック、ポップ・ロック、サイケデリック・ロックの要素が並ぶ1枚である。作品全体の輪郭は、曲ごとの性格や並び方に目を向けるとつかみやすいタイプだ。
トラックリスト
- A1 – Things (Goin’ Round In My Mind) (2:31)
- A2 – Any Way The Wind Blows (2:59)
- A3 – The French Girl (2:55)
- A4 – The Man Who Paints Pictures (6:48)
- A5 – Tendency To Be Free (2:36)
- A6 – Full Cycle (6:00)
- A7 – You Must Be A Witch (2:43)
- B1 – Six Feet Down (2:33)
- B2 – Down To Middle Earth (2:49)
- B3 – A Visit With Ashiya (3:32)
- B4 – More Than It Seems (3:19)
- B5 – Pale Dream (2:31)
- B6 – Forgotten Man (2:20)
- B7 – Nightmare Of Percussion (2:48)
関連動画
- Girl (I`m Waiting For You) – Merrell Fankhauser & H.M.S. Bounty
- Anyway The Wind Blows (Version A)
- The Sonics – Anyway The Wind Blows
- The Daily Flash – “The French Girl”
- Man Who Paints The Pictures
- ILL WIND – ‘Full Cycle’ (1968)
- Rabbit Mackay – Tendency To Be Free
- The Lollipop Shoppe-You must be a Witch
- THE DRUIDS OF STONEHENGE- Six Feet Down (1968)
Terry Hall – Laugh (1997)
Terry Hall『Laugh』について
Terry Hallのソロ作『Laugh』は、1997年に発表された作品。スキンヘッド・レゲエや2トーンの文脈で知られるThe Specialsのフロントマンとして名を上げた彼が、ソロでは別の角度から自分の歌を聴かせる流れにある1枚だ。2019年盤として出回っているこのレコードは、オリジナルの1997年作をあらためて手に取れる形にしたものとして見てよさそうだ。
作品の位置づけ
Terry Hallは、The Specials、Fun Boy Three、The Colourfield、Vegasといった活動を経て、1990年代にソロ名義のアルバムを発表している。その中で『Laugh』は、彼のソロ期を代表するタイトルのひとつ。バンドでの役割が強かった時代と比べると、より個人の視点が前に出る作品として位置づけられる。
音の印象
ジャンル表記はRock、スタイルはPop Rock、Alternative Rock。実際のサウンドも、その枠の中で整理しやすい内容になっている。派手に押し出すタイプというより、メロディと歌の輪郭をきちんと見せる作りで、Terry Hallの歌い方の癖や言葉の置き方がよく伝わる。
彼の声は、軽く流すというより、少し間を置いて言葉を置く感じがある。そのため、曲の中ではユーモアと皮肉、そして静かな温度差が同居して聞こえる場面がある。The SpecialsやFun Boy Threeでの経験が下地にありつつ、90年代のオルタナティヴ寄りの空気にも接続している印象だ。
1990年代英ロックとのつながり
『Laugh』が出た1997年は、UKロックやポップの中で、ソロ・シンガーがバンド的な質感を持ち込む作品も多かった時期。Terry Hallの場合は、ダンスホールやスカのイメージだけに収まらず、歌ものとしての強さを前に出している点が特徴的だ。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体の流れで聴かせるタイプの作品。
再発盤としての見どころ
2019年盤として流通しているこのレコードは、1997年のオリジナル盤をあらためて楽しめる形。盤としての新しさよりも、当時の音像や曲順をそのまま追える点に意味がある。Terry Hallのソロ期をまとめて辿るうえでも、ひとつの節目になるタイトルだ。
まとめ
『Laugh』は、Terry Hallの歌と曲作りが、The Specials以降の文脈の中でどうソロ作品へつながっていくかを見せる1枚。ポップ・ロック、オルタナティヴ・ロックの枠に置きながらも、彼ならではの言葉の運びと、少し距離を取った歌声が印象に残る作品だ。
トラックリスト
- A1 – Love To See You
- A2 – Sonny And His Sister
- A3 – Ballad Of A Landlord
- A4 – Take It Forever
- A5 – Misty Water
- B1 – Room Full Of Nothing
- B2 – Happy Go Lucky
- B3 – For The Girl
- B4 – Summer Follows Spring
- B5 – I Saw The Light
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Pulsar – Halloween (1977)
Pulsar / Halloween
フランス・リヨン出身のプログレッシブ・ロック・バンド、Pulsarによる1977年作品が「Halloween」だ。ピンク・フロイドやキング・クリムゾン、さらにマーラーのようなクラシック作曲家からの影響を公言するバンドらしく、ロックを軸にしながらも、音の組み立てや曲の進み方に独特の重さと緊張感がある作品として知られている。
バンドの立ち位置
Pulsarは1974年にファースト・アルバムを発表し、フランスのプログレ・シーンの中でも早い段階から活動していたグループだ。イングランドのレーベルと契約した最初のフランスのバンドとしても記録されていて、国内シーンにとどまらない動きがあったことがうかがえる。「Halloween」は、そうした流れの中で発表された中期の作品にあたる。
音の印象
この時期のPulsarは、オルガンやシンセサイザー、メロトロン、フルート、ギター、ベース、ドラムスを中心にした編成。演奏の密度が高く、各楽器が前に出たり引いたりしながら、長めの展開を組み立てていくタイプのプログレになっている。フランス産プログレに見られる室内楽的な感触と、英国プログレ由来の重心の低さ、その両方を持つバンドとして語られることが多い。
実際に聴くと、派手なフックで押すというより、曲の流れそのものをじっくり追わせる作りが目立つ。ギターとキーボードの絡み、フルートの差し込み、リズム隊の粘りが、曲ごとの空気を細かく変えていく印象だ。
1977年という時代
1977年という年は、プログレッシブ・ロックにとっては大きな転換期でもある。その中で「Halloween」は、流行の変化にそのまま寄せるのではなく、Pulsarらしい長尺志向と構築的な演奏を保っている作品として位置づけられる。前作までの流れを引き継ぎつつ、1970年代後半の空気の中で自分たちの語法を続けたアルバム、と見られそうだ。
1987年盤について
手元にあるのは1987年盤で、作品そのものは1977年のオリジナル・リリースに属する。フランス盤として出ているこの再発は、オリジナル盤から10年後の再登場ということになる。盤としては当時の再発仕様で手に取られた一枚で、Pulsarの1970年代作品を後追いで聴く入口のひとつになっている。
まとめ
「Halloween」は、フランスのプログレ・バンドPulsarの中期を代表する一枚として捉えやすい作品だ。ピンク・フロイドやキング・クリムゾンの系譜を感じさせつつ、フランス的な感触もある、70年代プログレらしい密度の高いアルバム。バンドの歩みの中では、1974年のデビュー後に積み上げた表現が、1977年時点でどこまで深まっていたかを示す作品とも言えそうだ。
トラックリスト
- Halloween Part I (20:30)
- A1 – Halloween Song (1:20)
- A2 – Tired Answers (9:30)
- A3 – Colours Of Childhood (6:00)
- A4 – Sorrow In My Dreams (3:40)
- Halloween Part II (18:40)
- B1 – Lone Fantasy (4:50)
- B2 – Dawn Over Darkness (6:10)
- B3 – Misty Garden Of Passion (2:15)
- B4 – Fear Of Frost (3:35)
- B5 – Time (1:50)
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The Beach Boys – Shut Down Volume 2 (1964)
The Beach Boys『Shut Down Volume 2』について
The Beach Boysの『Shut Down Volume 2』は、1964年に発表された5作目のスタジオ・アルバムだ。アメリカ西海岸のサーフ・カルチャーと結びついた初期の代表作のひとつで、Brian Wilsonを中心にした緻密なコーラスと、車や海辺を題材にした楽曲が並ぶ一枚になっている。
この時期のThe Beach Boysは、サーフ・ロックのイメージを強く打ち出しながら、ポップ・グループとしての完成度も高めていた。The Beatlesや同時代のブリティッシュ・インヴェイジョン勢と並べて語られることも多いが、こちらはあくまでアメリカン・ポップの文脈で存在感を示した作品群のひとつだ。
作品の位置づけ
『Shut Down Volume 2』は、初期The Beach Boysの流れをつかむうえで重要なアルバムだ。デビュー後の勢いをそのまま持ち込みつつ、グループ独自のハーモニーやアレンジが少しずつ洗練されていく段階が見える。後年の実験的な作品に比べると、ここでは曲ごとの役割がはっきりしていて、当時のバンドの輪郭がつかみやすい。
代表曲と内容
収録曲の中では、「Fun, Fun, Fun」や「Don’t Worry Baby」といった曲がよく知られている。「Fun, Fun, Fun」はThe Beach Boysらしい車と若さのイメージを前面に出した曲で、イントロから推進力がある。「Don’t Worry Baby」は、同じアルバムの中でも少し温度の違う楽曲で、コーラスの重なりが印象に残る。どちらもグループの初期を代表する定番曲として扱われている。
全体としては、ロックンロールの勢い、サーフ・ミュージックの要素、そしてボーカル・ハーモニーが中心。演奏面ではシンプルに聞こえる部分もあるが、声の配置やフレーズのまとまりで曲を引っ張る作りになっている。
日本盤としてのリリース
ここで扱うのは1977年に日本で出た盤だ。オリジナルの1964年盤から時間を置いた再登場で、当時の日本のリイシュー盤として受け取られたものになる。オリジナル盤と比べると、時代を経た後の再発売という位置づけがはっきりしている。
録音年代の空気感は当然1960年代前半のままだが、1970年代の日本盤として手に取ると、The Beach Boysの初期像を改めて確認するような感覚がある。アルバム単位で追うと、のちの『Pet Sounds』以降の流れに至る前段階としても見えてくる一枚だ。
まとめ
『Shut Down Volume 2』は、The Beach Boysの初期を象徴するサーフ/カー・ソング集として機能しつつ、バンドのハーモニーの強さをよく示すアルバムだ。ヒット曲を含みながら、1964年当時のアメリカン・ポップの輪郭をそのまま残した内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Fun, Fun, Fun
- A2 – Don’t Worry Baby
- A3 – In The Parkin’ Lot
- A4 – “Cassius” Love Vs. “Sonny” Wilson
- A5 – The Warmth Of The Sun
- A6 – This Car Of Mine
- B1 – Why Do Fools Fall In Love
- B2 – Pom Pom Play Girl
- B3 – Keep An Eye On Summer
- B4 – Shut Down, Part II
- B5 – Louie, Louie
- B6 – Denny’s Drums
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Pink Floyd – Wish You Were Here = 炎 (あなたがここにいてほしい) (1975)
Pink Floyd『Wish You Were Here = 炎 (あなたがここにいてほしい)』1975年盤
Pink Floydの『Wish You Were Here』は、1975年に発表された9作目のスタジオ・アルバムです。イングランドのロック・バンドとして知られる彼らが、実験性の高いサウンドと、曲の構成を丁寧に積み上げる作風をさらに進めた時期の作品で、日本盤は同じ1975年リリースです。邦題は『炎(あなたがここにいてほしい)』となっている。
作品の位置づけ
この時期のPink Floydは、『The Dark Side of the Moon』の成功を経て、バンドとしての存在感が一段と大きくなっていた頃です。『Wish You Were Here』は、その流れの中で作られたアルバムで、前作までの到達点を受けながら、より内省的な内容へ進んでいる印象がある。
演奏面では、David Gilmour、Roger Waters、Richard Wright、Nick Masonの4人を軸にした作品で、各パートの役割がはっきりしているのも特徴です。ギター、ベース、キーボード、ドラムがそれぞれ無理なく噛み合い、音の隙間を活かした作りになっている。
収録曲と代表曲
アルバムの中心にあるのは、表題曲「Wish You Were Here」です。後年までPink Floydを代表する楽曲のひとつとして扱われることが多く、静かな導入からアコースティック・ギターの流れへつながる構成が印象に残る。
もうひとつの大きな曲が「Shine On You Crazy Diamond」。アルバム冒頭と終盤に分かれて配置されていて、全体をひとつの組曲のように聴かせる作りになっている。シンセサイザーやギターの音色が長く伸びる場面が多く、Pink Floydらしい構成感がよく出ている。
また、「Welcome to the Machine」では機械的な質感のある音作りが前面に出ていて、アルバム全体の中でも性格の異なる一曲として機能している。「Have a Cigar」はシングルとしても知られ、この作品の中では比較的わかりやすい輪郭を持つ曲のひとつ。
サウンドの特徴
このアルバムでは、派手な速弾きや大きな展開よりも、音の配置と間の取り方が目立つ。アコースティック・ギター、エレクトリック・ピアノ、シンセサイザー、効果音が重なり、ロック・バンドの演奏でありながら、かなり設計された音像になっている。
1970年代半ばのプログレッシブ・ロックの文脈でも重要な一枚として扱われることが多く、同時代の大編成志向の作品とは違って、感情の温度を保ちながら細部を積むタイプのアルバムとして聴こえる。
日本盤について
この日本盤は1975年リリースのオリジナル期の盤で、作品の初出時の空気をそのまま持っている。邦題「炎(あなたがここにいてほしい)」が付いているため、英語タイトルとは少し印象が変わるが、内容はオリジナル・アルバムに沿ったもの。
ひとこと
『Wish You Were Here』は、Pink Floydの中でも曲ごとの役割がはっきりしていて、アルバム全体の流れで聴く意味が大きい作品だと思う。表題曲の存在感はもちろん、組曲的な「Shine On You Crazy Diamond」が盤面の軸になっている点も、この作品を語るうえで外せないところ。
- アーティスト: Pink Floyd
- タイトル: Wish You Were Here = 炎(あなたがここにいてほしい)
- オリジナルリリース: 1975年
- 日本盤リリース: 1975年
- ジャンル: Rock
- 代表曲: 「Wish You Were Here」「Shine On You Crazy Diamond」「Have a Cigar」
トラックリスト
- A1 Shine On You Crazy Diamond (Part 1 To 5) (13:30)
- A2 Welcome To The Machine (7:24)
- B1 Have A Cigar (5:08)
- B2 Wish You Were Here (5:32)
- B3 Shine On You Crazy Diamond (Part 6 To 9) (12:27)
Ozric Tentacles – Erpland (1990)
Ozric Tentacles『Erpland』について
Ozric Tentaclesは、1983年にイングランド・サマセットで結成された、プログレッシブ/スペース/サイケデリック・ロックのバンドだ。電子音とロックを行き来する編成で知られ、40年にわたって30作以上のアルバムを発表している。中心人物はギタリストのEd Wynneで、長い活動のなかでも彼が唯一のオリジナル・メンバーとして在籍を続けている。
『Erpland』は1990年の作品。今回の盤は2024年リリースのものとして扱われる。Ozric Tentaclesの中でも、電子音のレイヤーとバンド演奏の推進力が前面に出た時期を示すアルバムとして位置づけられる作品だ。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronicとRock、スタイルはAmbient、Space Rock、Psychedelic Rock。曲の流れを追っていくと、リズム隊の反復の上にシンセやフルート、ギターが重なり、場面ごとに密度を変えながら進んでいく構成が印象に残る。Ozric Tentaclesらしい、演奏主体のインストゥルメンタル志向がはっきりした内容だ。
実際に聴いていくと、曲ごとの区切りよりも全体の連続感が強く、アルバム単位で聴く性格がかなり濃い。Space Rockの文脈で語られることが多いのも納得しやすい作りで、同時代のサイケデリック/プログレッシブ系インスト作品と並べて聴かれることがあるのも自然なところだ。
バンドの中での位置づけ
Ozric Tentaclesは編成の変化が多いバンドだが、そのなかでもEd Wynneのギター、キーボード、プログラミングを軸にした作りは一貫している。『Erpland』も、その核がよく見える一枚だと言えそうだ。1990年という時期を考えると、アナログ的なバンド感と電子的な処理が同居する、グループの持ち味がまとまっている作品として捉えやすい。
聴きどころとして名前が挙がりやすい曲
本作を語るうえでは、タイトル曲「Erpland」がまず中心に置かれることが多い。アルバムの輪郭を端的に示す曲として扱われやすく、バンドの代表的な一面をまとめて感じられる存在だ。
また、アルバム全体を通じて、フルートやシンセが前に出る場面と、ギターがリズムを押し出す場面の切り替わりが見どころになる。特定のヒット曲で引っ張るというより、曲間の流れと音の配置で聴かせるタイプの作品だ。
2024年盤について
2024年盤として流通しているこのエディションは、オリジナルの1990年作を現在の形で聴ける盤として見てよさそうだ。Ozric Tentaclesの作品群を追ううえでは、初期からのサウンドの流れを確認できる一枚でもある。
派手な説明を必要としない、演奏と音の層で成立しているアルバム。Ozric Tentaclesのディスコグラフィーのなかでも、スペース・ロックとサイケデリック・ロックの要素がまとまった代表的な一作として見られている。
トラックリスト
- A1 Eternal Wheel (8:20)
- A2 Toltec Spring (3:03)
- A3 Tidal Convergence (7:14)
- B1 Sunscape (4:02)
- B2 Mysticum Arabicola (9:15)
- B3 Cracker Blocks (5:40)
- C1 The Throbbe (6:22)
- C2 Erpland (5:32)
- C3 Valley Of A Thousand Thoughts (6:32)
- D1 Snakepit (3:18)
- D2 Iscence (4:38)
- D3 A Gift Of Wings (9:47)
関連動画
- Ozric Tentacles – Erpland [Full Album]
- Eternal Wheel (2020 Ed Wynne Remaster)
- Toltec Spring (2020 Ed Wynne Remaster)
- Tidal Convergence (2020 Ed Wynne Remaster)
- Sunscape (2020 Ed Wynne Remaster)
- Mysticum Arabicola (2020 Ed Wynne Remaster)
- Crackerblocks (2020 Ed Wynne Remaster)
- The Throbbe (2020 Ed Wynne Remaster)
- Valley Of A Thousand Thoughts (2020 Ed Wynne Remaster)
- Snakepit (2020 Ed Wynne Remaster)
Severed Heads – Since The Accident (1983)
Severed Heads「Since The Accident」について
「Since The Accident」は、オーストラリア出身の電子音楽グループ、Severed Headsが1983年に発表した作品。UK盤も同じ1983年リリースで、初期のバンドが持っていた実験性と、その後につながるダンス寄りの感覚が同居した時期の記録として位置づけられる一枚である。
Severed Headsは1979年にシドニーで始動したグループで、もともとはMr And Mrs No Smokin’ Signとして活動していた。初期はテープループやノイズ、シンセサイザーの不協和音を軸にした、いわゆるインダストリアル寄りの作風で知られる。その後、4/4の規則的なリズムや分かりやすいメロディ、コード進行を取り入れていき、前衛性とEBM、シンセポップが交わるような方向へ進んでいった。
作品の輪郭
「Since The Accident」は、その流れの中でも、リズムの輪郭がはっきり見えやすい時期の作品として聴こえる。打ち込みの感触、反復するフレーズ、音の切り貼り感が前面に出ていて、初期インダストリアルの硬さと、後年のダンス・ミュージック的な推進力のあいだを行き来する内容になっている。
ジャンル表記としてはElectronic、スタイルとしてはLeftfield、Experimental、Synth-pop、Industrial。こうした並びからも、単純なシンセポップ作品というより、実験音楽の手つきが残った電子音楽として捉えられていることが分かる。同期の電子音楽と比べると、整ったポップ性だけでなく、音の配置や質感にひっかかりが残るタイプの作品である。
アーティストの中での位置づけ
Severed Headsにとっては、初期のアヴァンギャルド寄りの作風から、より広いリスナーに届く可能性を持ったサウンドへ移っていく途中の重要な段階にある作品といえる。のちに「Dead Eyes Opened」で1984年にチャート入りし、Nettwerk RecordsやVolition Recordsとの関係を通じて活動の幅を広げていくが、その前段階である1983年時点のバンドの姿がこの作品にはよく表れている。
中心人物Tom Ellardを軸に、Garry Bradbury、Richard Fielding、Stephen Jones、Robert Racicらが関わったバンドの文脈を踏まえると、「Since The Accident」はSevered Headsらしい変化の途中を示すタイトルとして見やすい。完全に実験音楽へ振り切るのでもなく、かといって素直なポップへ寄るわけでもない、その中間の張りつめた感じが印象に残る。
同時代の文脈
1983年という年は、シンセポップやインダストリアル、初期EBMが互いに影響を与え合っていた時期でもある。Severed Headsは、その中でオーストラリア発のグループとして、欧米のシーンと接続しながら独自の音作りを進めていた。Cabaret VoltaireやThrobbing Gristleの流れを思わせる要素と、当時のシンセポップの明快さが同居するあたりが、この時期の彼らの特徴として受け取られている。
ひとこと
「Since The Accident」は、Severed Headsの初期と中期をつなぐような位置にある作品。テープ、シンセ、反復、リズムの組み立てがそのままバンドの個性になっていて、1983年の電子音楽の空気感をそのまま切り取ったような一枚である。
トラックリスト
- A1 A Relic Of The Empire
- A2 A Million Angels
- A3 Houses Still Standing
- A4 Gashing The Old Mae West
- A5 Dead Eyes Opened
- A6 Golden Boy
- B1 Godsong
- B2 Epilepsy 82
- B3 Exploring The Secrets Of Treating Deaf Mutes
- B4 Brassiere, In Rome
- B5 Wasps
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Marius Leirånes – Langtidsperspektiv (2021)
Marius Leirånes『Langtidsperspektiv』について
『Langtidsperspektiv』は、ノルウェー出身のMarius Leirånesによる2021年の作品。ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rockで、タイトルからも長いスパンで物事を見る視点がうかがえる一枚だ。リリース国もノルウェーで、同年に作品として登場している。
作品の輪郭
プログレッシブ・ロックという枠の中でも、演奏の切り替わりや構成の組み立てを軸に聴かせるタイプの作品として捉えやすい。派手な一発よりも、曲の流れや展開の積み重ねに目が向くタイトルで、ロックの基本形から少しずつ視点をずらしていくような作りが想像しやすい。
アーティストのプロフィールやメンバー情報は公開情報だけでは追いにくいが、関連サイトとしてBandcampが挙がっているので、作品単位での発信を中心に追う形のリスナーには接点を持ちやすい。
同時代の文脈
2020年代のプログレは、70年代的な長尺構成や変拍子の感覚を引き継ぎつつ、録音や音像は比較的コンパクトにまとめる流れも見られる。この作品も、そうした現代的なプログ・ロックの文脈に置いて聴ける一枚として受け取りやすい。ノルウェーのロック作品らしく、北欧圏の実直な作り込みを想像させるところもある。
聴きどころとして見えそうな点
- 曲の展開を重ねていく構成感
- ロックの骨格を保ちながら、プログ寄りの組み立てを見せる点
- タイトルが示す、時間感覚や視点の移動を意識した作り
ひとこと
『Langtidsperspektiv』は、2021年のノルウェー発プログレッシブ・ロック作品として、曲の流れと構成で聴かせるタイプの一枚として見えてくる。派手な話題性よりも、作品名とジャンルのあいだにある設計そのものを追う楽しさがあるタイトルだ。
トラックリスト
- A1 Begynnelser
- A2 Amerika
- A3 Isen På Bukta
- B1 Granatsjokk
- B2 1959
Peter Gabriel – I/O (Dark-Side Mixes) (2023)
Peter Gabriel『I/O (Dark-Side Mixes)』について
Peter Gabrielの『I/O (Dark-Side Mixes)』は、2023年に登場した通算10作目のスタジオ・アルバム『i/o』の「Dark-Side Mixes」版。ロック、ポップを軸にしながら、Art RockやPop Rockの要素を前面に出した作品で、全12曲を収めた大作になっている。
Peter Gabrielは、Genesisの元フロントマンとして知られる英シンガー/ソングライター/マルチ・インストゥルメンタリスト。ソロ転向後は、オリジナル作の間隔が長くなる時期もありつつ、アルバム単位で強い存在感を保ってきた。本作は、2002年の『Up』以来となる新作オリジナル・アルバムで、ソロ名義のスタジオ作としてはかなり久しぶりの一枚という位置づけになる。
作品の構成
『I/O』は、各曲に「Bright-Side Mix」と「Dark-Side Mix」の2種類のミックスが用意されているのが大きな特徴だ。この『Dark-Side Mixes』は、そのうちのダーク側にあたるミックスをまとめた内容。アルバム全体としては68分を超え、Peter Gabrielのオリジナル・スタジオ作の中でも最長クラスのボリュームになっている。
曲数は12曲。単なる新曲集というより、同じ楽曲を別の角度から聴かせる構成で、ミックス違いを聴き比べる楽しみがあるタイプの作品だ。
Peter Gabrielにとっての位置づけ
本作は、長い制作期間を経て完成した新作であり、Peter Gabrielのキャリアの中でも節目感のあるアルバムだ。Genesis脱退後のソロ活動、ワールド・ミュージックの文脈ともつながる活動、そしてアルバム制作に時間をかける姿勢。その延長線上にある作品として見ると、かなり自然に受け止められる。
また、Peter GabrielはWOMADの創設者としても知られていて、音楽の広がり方そのものに関心を持ち続けてきた人物でもある。『I/O』でも、そうした制作へのこだわりがアルバム全体の設計に表れているように見える。
サウンドの印象
『Dark-Side Mixes』というタイトルどおり、音の輪郭や空気感に重心を置いた聴こえ方になっている。ロックの骨格を保ちながらも、音の配置や質感をじっくり追うタイプのミックスで、曲ごとの細部が見えやすい構成だ。
実際に聴くと、派手な即効性よりも、じわじわと曲の輪郭が立ち上がってくる感触がある。Peter Gabrielらしい緻密なアレンジの積み重ねが前に出る作りで、同じ楽曲でもミックスによって印象が変わるのがわかりやすい。
同時代・ジャンルの文脈
Art RockやPop Rockの文脈で見ると、70年代から続くプログレ寄りの構成感と、80年代以降の洗練されたポップ感覚、その両方をまたぐ立ち位置の作品と言える。Genesis周辺の系譜を思わせつつ、ソロ期のPeter Gabrielが積み上げてきた実験性や音響志向も感じられる。
同時代の大物ロック・アーティストが新作を出す際の「懐かしさ」に寄りすぎない作りとは少し違って、Peter Gabrielの場合はアルバムそのものを作品として組み上げる姿勢が強い。そうした意味で、単発の楽曲集というより、1枚通して聴く前提の構成になっている。
まとめ
『I/O (Dark-Side Mixes)』は、Peter Gabrielの長いキャリアの中でも、かなり重要な新作オリジナル・アルバム『i/o』のダーク側ミックス版。12曲それぞれを別の質感で聴かせる構成が特徴で、久々の新作であること自体も含めて、ソロ活動の節目を示す内容になっている。
トラックリスト
- A1 Panopticom (5:16)
- A2 Playing For Time (6:17)
- A3 The Court (4:21)
- B1 Four Kinds Of Horses (6:47)
- B2 I/O (3:52)
- B3 Love Can Heal (5:59)
- C1 Road To Joy (5:21)
- C2 So Much (4:51)
- C3 Olive Tree (5:58)
- D1 This Is Home (5:04)
- D2 And Still (7:42)
- D3 Live And Let Live (7:11)
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Pink Floyd – A Collection Of Great Dance Songs (1981)
Pink Floyd「A Collection Of Great Dance Songs」について
Pink Floydのコンピレーション・アルバム「A Collection Of Great Dance Songs」は、1981年に米国でリリースされた作品だ。ロンドンで結成されたこのバンドが、サイケデリック・ロックからプログレッシブ・ロックへと歩みを進めた時期までの代表曲を、短くまとめて聴ける内容になっている。
Pink Floydといえば、哲学的な歌詞、音響効果、長尺の構成、そして大規模なライヴ演出で知られるグループだが、このアルバムではそうした要素の中でも、特に耳に残りやすい楽曲が選ばれている印象が強い。タイトルの通り、ダンス・ミュージックというよりは、バンドの楽曲の中から広く知られたものを集めた編集盤としての性格がはっきりしている。
収録曲の特徴
この作品で特に注目されるのが、「Shine On You Crazy Diamond」と「Another Brick in the Wall (Part 2)」の別ミックス収録だ。いずれもPink Floydを代表する楽曲で、後年のベスト盤「Echoes: The Best of Pink Floyd」にも収められているが、こちらでは別の形で聴けるのがポイントになる。
「Money」は再録音版が収録されている。Capitol Recordsがオリジナル音源の使用許諾を出さなかったためで、David Gilmourがギター、キーボード、ベース、ボーカルを担当し、James Guthrieと共同プロデュースした。Dick Parryのサックスも再び加わっている。オリジナル版と比べると、サックスやギター・ソロの印象、リヴァーブのかかり方、最後の歌い回しなどに違いがある。Nick Masonのドラムではなくなっているため、リズムの手触りも少し変わって聴こえる。
作品の位置づけ
1981年時点のPink Floydは、すでに世界的な成功を収めた後の段階にある。アルバム単位で語られることの多いバンドだが、この編集盤はその主要曲を1枚で確認できる形にしたものとして見える。初期のサイケデリックな側面から、後期の洗練されたプログレッシブ・ロックまで、バンドの幅を短時間でたどれる構成だ。
同時代の英国ロック、特に長尺の組曲性や音響表現を重視する流れの中でも、Pink Floydは独自の立ち位置を築いていた。YesやGenesisのようなプログレッシブ・ロック勢と比べても、より音像の設計や空間の使い方に重点があるバンドとして語られることが多い。そうした特徴が、このベスト選曲にもそのまま表れている。
聴きどころ
- 「Another Brick in the Wall (Part 2)」の分かりやすいフック
- 「Money」の再録音版における演奏の違い
- 「Shine On You Crazy Diamond」の編集された形での収録
- Pink Floydの代表曲をコンパクトに追える構成
まとめ
「A Collection Of Great Dance Songs」は、Pink Floydの代表曲を別ミックスや再録音を交えながらまとめた1981年のコンピレーションだ。アルバム作品を軸に評価されることの多いバンドの中で、楽曲の知名度と音源の違いの両方を確認できる一枚として位置づけられる。
バンドの歴史を追う入口としても、既に知っている曲を別の形で聴くための資料としても、Pink Floydらしい編集盤だと言えそうだ。
トラックリスト
- A1 One Of These Days (5:49)
- A2 Money (6:45)
- A3 Sheep (10:21)
- B1 Shine On You Crazy Diamond (10:40)
- B2 Wish You Were Here (5:26)
- B3 Another Brick In The Wall (Part 2) (3:54)
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Fonográf – Útközben (1978)
Fonográf『Útközben』について
『Útközben』は、ハンガリーのカントリー・ロック・バンド、Fonográfが1978年に発表した作品。バンドは1973年結成、1985年に解散しており、このアルバムはその活動期の中盤にあたる1枚になる。メンバーにはLevente Szörényi、János Bródy、László Tolcsvay、Szabolcs Szörényi、Mihály Móricz、Oszkár Némethらが名を連ね、ギター、スティールギター、キーボード、ベース、ドラムを軸にした編成になっている。
作品の位置づけ
Fonográfはハンガリーのロック史の中でも、カントリー・ロックとプログレッシブ・ロックの要素をあわせ持つグループとして知られる存在。『Útközben』は、そうしたバンドの持ち味が前面に出た時期の作品として捉えやすい。ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rockとなっており、フォーク寄りの質感とロックの構成感が同居するタイプのアルバムとして見ることができる。
サウンドの印象
この作品では、スティールギターを含む編成が示す通り、アメリカン・カントリー・ロックの手触りを土台にしつつ、楽曲展開にはプログレッシブ・ロックらしい組み立てが感じられる。派手な技巧を押し出すというより、歌とアンサンブルの流れを重視した作りに見える。ギター、キーボード、コーラスの配置がはっきりしていて、バンドとしてのまとまりが伝わる内容。
同時代の文脈
1970年代後半の東欧ロックでは、英米のロックを参照しながらも、各国の言語や民謡的な感覚を取り込んだバンドが少なくない。Fonográfもその流れの中で、ロック、カントリー、プログレの要素を自国語の歌に落とし込んだグループとして位置づけられる。比較の軸としては、同時代のフォーク・ロックやプログレ系バンドと並べて語られることが多いタイプの音像。
メンバー構成
- Levente Szörényi – Guitar, Vocals
- János Bródy – Steelguitar, Vocals
- László Tolcsvay – Keyboards, Vocals
- Szabolcs Szörényi – Bass, Vocals
- Mihály Móricz – Guitar
- Oszkár Németh – Drums
まとめ
『Útközben』は、Fonográfというバンドの持つカントリー・ロック的な骨格と、プログレッシブ・ロック寄りの構成感が見えやすい1978年作。ハンガリーのロック史をたどるうえでも、バンドの活動期を映す一枚として確認しやすい作品になっている。
トラックリスト
- A1 1978
- A2 Király Nagy Ági
- A3 Mosolyod Vigasztal
- A4 Ez Már Így Szokás
- A5 Útközben
- B1 Elvesztett Illúziók
- B2 Menjünk Gyerekek
- B3 Hunyd Le A Szemed
- B4 Ha Szerelem Kell
- B5 Gondolj Néha Rám
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Bjørn Riis – A Fleeting Glimpse (2022)
Bjørn Riis『A Fleeting Glimpse』
ノルウェーのシンガー、ギタリスト、コンポーザー、Bjørn Riisによる『A Fleeting Glimpse』は、2022年に発表されたプログ・ロック作品だ。アーティスト自身の出身国であるノルウェーからリリースされた一枚で、彼のソロ活動の流れの中に置くと、メロディと構成の両方を丁寧に組み立てるタイプの作品として見えてくる。
作品の輪郭
Bjørn Riisは、プログレッシブ・ロックを軸にしながら、歌、ギター、作曲を担うミュージシャンとして知られている。『A Fleeting Glimpse』でも、その持ち味がそのまま表れていて、ロックの推進力に、長めの展開や細かな音の積み重ねが重なる作りになっている。ジャンル表記としてはRock、スタイルとしてはProg Rock。いわゆる直線的なロックよりも、曲の中で場面が少しずつ切り替わっていくタイプの作品だ。
サウンドの印象
音の質感は、ギターを中心にしたバンド・サウンドが軸になりやすい。演奏の密度を保ちながらも、フレーズ同士の間合いを活かすような組み立てで、派手さだけを前に出すより、曲の流れを追っていく面白さがある。プログ・ロックらしい構成感を持ちながら、歌ものとしての輪郭も見えやすいところが、この手の作品の特徴として感じられる。
アーティストの位置づけ
Bjørn Riisは、ノルウェーのクロスオーバー・プログ系の文脈にいるアーティストとして捉えやすい。ソロ作では、ギタリストとしての音作りと、作曲家としての展開設計が前に出る。『A Fleeting Glimpse』も、その延長線上にあるタイトルとして見るとわかりやすい。2022年という時点での彼の表現を切り取った作品で、同時代のプログ・ロックの中でも、北欧らしい整った構成感を持つ一枚として並べて語られることがありそうだ。
同時代の文脈
この作品は、クラシックなプログ・ロックの流れを引きつぎつつ、現代的な録音感覚でまとめられたタイプの作品として見える。大きく言えば、ギター主体のプログ・ロックが持つ伝統の上にあり、メロディの運びや曲の展開に重きを置く点では、北欧圏のプログ系アーティストに通じる部分もある。派手な実験性より、曲の完成度や演奏の整合性が前に出るタイプだ。
まとめ
『A Fleeting Glimpse』は、Bjørn Riisの作曲家・ギタリストとしての顔がよく見える2022年作だ。プログ・ロックの枠組みの中で、歌、ギター、構成のバランスを取りながら進む作品として、彼のディスコグラフィーの中でも自然に位置づけられる一枚といえる。
トラックリスト
- A1 Dark Shadows (Part 1) (6:47)
- A2 A Voyage To The Sun (7:41)
- B1 Summer Meadows (5:26)
- B2 Dark Shadows (Part 2) (6:10)
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Dagmar Krause – Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler) (1986)
Dagmar Krause『Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler)』について
Dagmar Krauseは、ドイツ出身の前衛的な歌手として知られるアーティストだ。本作『Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler)』は1986年の作品で、ブレヒト、ヴァイル、アイスラーに関わる歌曲をまとめた内容になっている。タイトルからもわかる通り、演劇や政治性を含むドイツ語圏の歌曲史に接続するアルバムだ。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronic、Non-Music、Pop、スタイルはModern Classical、Chanson、Political、Balladとなっている。実際の印象としては、ポップ・ソングのような分かりやすさだけでなく、室内楽的な響きや演劇的な語り口が前に出るタイプの作品として捉えやすい。歌の抑揚や言葉の置き方が中心にあり、音そのものも整った楽曲進行より、テキストの輪郭を際立たせる方向に寄っている。
Dagmar Krauseの持つ硬質な歌声は、この手のレパートリーと相性がよい。ブレヒト作品に通じる距離感、ヴァイルの都市的な感触、アイスラーの政治的な色合いが、彼女の解釈を通して一本の流れとしてつながっている。ドイツの前衛音楽や実験的なシャンソンの文脈で見ても、かなり位置がはっきりしたアルバムだ。
サウンドと雰囲気
質感としては、軽やかな歌謡曲というより、言葉を聴かせるための編成と音作りが目立つ。電子的な要素、現代音楽的な構成、バラード調の運びが混ざり、舞台作品に近い緊張感を持つ場面もある。派手な装飾で押すというより、旋律とテキストの関係を見せるタイプの仕上がりだ。
ブレヒト/ヴァイル/アイスラーという並びから連想される、政治性、風刺、都市の感触といった要素も、アルバム全体の空気に反映されている。シャンソンやモダン・クラシカルの周辺にある作品として聴くと、輪郭をつかみやすい。
位置づけ
Dagmar Krauseにとっては、前衛的な歌唱とドイツ語歌曲の伝統が重なる地点にある作品と見られる。彼女のキャリア全体を考えると、実験性だけでなく、既存の歌曲や舞台音楽をどう歌い直すかという面がよく出た一枚だ。
同時代の文脈でいえば、ブレヒト歌曲の再解釈は、演劇性と政治性を帯びた作品群の中で語られることが多い。Dagmar Krauseはその中でも、歌唱の輪郭を強く出すタイプの表現者として比較されやすい存在だろう。
トラック構成について
この盤には10曲の追加トラックを収録したCD版が存在する。オリジナルの1986年盤とあわせて見ると、収録内容の違いがある作品として扱われる。
まとめ
『Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler)』は、Dagmar Krauseの歌声を軸に、ブレヒト、ヴァイル、アイスラーの系譜を現代的に捉え直したアルバムだ。電子音響、シャンソン、政治的な歌曲、現代音楽的な構成が交差する一枚として、1986年のドイツの音楽シーンの一端を示している。
トラックリスト
- A1 Angebot & Nachfrage (Song Von Der Ware) (2:57)
- A2 Grabrede 1919 (1:59)
- A3 Deutsche Miserere (1:39)
- A4 O Falladah, Die Du Hangest! (2:41)
- A5 Alabama-Song (2:51)
- A6 Hollywood-Elegien (2:55)
- A7 Surabaya Johnny (3:59)
- A8 Moritat (Ballade Von Mackie Messer) (2:39)
- B1 Matrosen-Tango (3:57)
- B2 Die Ballade Von Der Höllenlili (2:25)
- B3 Das Lied Von Der Moldau (1:40)
- B4 Im Gefängnis Zu Singen (3:00)
- B5 Ostersonntag 1935 (1:24)
- B6 Zu Potsdam Unter Den Eichen (2:22)
- B7 Der Song Von Mandelay (2:12)
- B8 Benares Song (3:52)
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Al Green – I’m Still In Love With You (1972)
Al Green『I’m Still In Love With You』について
Al Greenの『I’m Still In Love With You』は、1972年にアメリカでリリースされた作品。Funk / Soulを軸にしたアルバムで、Rhythm & BluesとSoulの流れの中にある一枚だ。Al Greenの代表的な時期を示す作品としても知られている。
Al Greenという歌い手
Al Greenは、1946年生まれのアメリカ南部出身のソウル/ゴスペル・シンガー、ソングライター。1960年代後半以降はAl Green名義で活動し、のちにはメンフィスのFull Gospel Tabernacleで牧師も務めている。Rock And Roll Hall of FameとSongwriters Hall of Fameの両方に名を連ねる人物でもある。
作品の立ち位置
1972年という時期は、Al Greenがソウル・シンガーとして存在感を強めていたタイミングにあたる。歌声を前面に出した作りで、ゴスペル由来の節回しとR&Bの流れが自然につながっている印象だ。派手な展開よりも、歌とリズムの組み合わせで引っ張るタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの特徴
音の質感は、リズム隊の粘りと、ボーカルの近さが印象に残るタイプ。ファンク寄りの動きがありつつ、全体としてはソウルの流れにしっかり置かれている。メロディをなぞる歌い回しと、間の取り方が曲の輪郭を作っている。
同時代の文脈
1970年代前半のソウルは、R&Bの流れを保ちながら、ファンクの要素を取り込んでいく時期でもある。Al Greenのこの時期の作品は、その中でも歌ものとしての重心がはっきりしていて、同時代のソウル・アーティストたちの中でもボーカル主導の作りが際立つ。
代表曲としての位置づけ
タイトル曲の「I’m Still In Love With You」は、Al Greenの代表曲のひとつとして扱われることが多い。曲名の通り、恋愛感情をまっすぐに歌う内容で、彼のボーカルの持ち味がよく出る楽曲だ。
ひとこと
『I’m Still In Love With You』は、Al Greenの歌唱、ソウルの手触り、1972年当時のR&Bの空気感がまとまった一枚。派手さよりも、歌の運びとリズムの組み方で聴かせる作品として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 I’m Still In Love With You (3:12)
- A2 I’m Glad You’re Mine (2:54)
- A3 Love And Happiness (5:00)
- A4 What A Wonderful Thing Love Is (3:37)
- A5 Simply Beautiful (4:08)
- B1 Oh, Pretty Woman (3:22)
- B2 For The Good Times (6:27)
- B3 Look What You Done For Me (3:04)
- B4 One Of These Good Old Days (3:15)
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- Al Green * Love And Happiness * I’m Still In Love With You
- Al Green * I’m Glad You’re Mine * I’m Still In Love With You (Drum break)
- Al Green * What A Wonderful Thing Love Is * I’m Still In Love With You
- Al Green – I m Still in Love With You -1972 (FULL ALBUM)
- AGREEN 01
- I’m Still In Love With You (180g Vinyl, Limited Edition) – New Sealed
- Al Green – I’m Still in Love with You (Official Audio)
- Al Green – For the Good Times (Official Audio)
- Al Green – Love and Happiness (Official Lyric Video)
Curtis Mayfield – Super Fly (1972)
Curtis Mayfield『Super Fly』について
Curtis Mayfieldの『Super Fly』は、1972年に発表されたサウンドトラック・アルバムで、同名の映画に合わせて制作された作品です。Mayfieldにとってはソロ3作目のスタジオ・アルバムでもあり、1970年代ソウルとファンクを代表する一枚として語られることが多い作品です。
アメリカのソウル・ミュージシャン、Curtis Mayfieldは、The Impressionsの共同創設者としても知られ、1970年にグループを離れてソロ活動へ移行しています。その流れの中で生まれた『Super Fly』は、ソロ期の代表作のひとつという位置づけになっています。
サウンドと質感
このアルバムは、ファンクのリズムとソウルの歌心が前面に出た作りです。低音の効いたグルーヴ、歯切れのよいギター、きっちり組み立てられたホーンやストリングスが印象に残ります。音の輪郭ははっきりしていて、映画音楽としての機能性と、1枚のアルバムとしてのまとまりが両立している印象です。
また、華やかな雰囲気だけで進む作品ではなく、都市の現実を映すような硬さもあります。タイトルや映画のイメージに引っぱられがちですが、音そのものはかなり整理されていて、Mayfieldらしい緻密な構成が見えます。
作品の位置づけ
『Super Fly』は、Marvin Gayeの『What’s Going On』と並んで、社会的なテーマを正面から扱ったソウルの先駆的なアルバムのひとつとして見られています。貧困やドラッグの問題を扱う歌詞が特徴で、当時としてはかなり踏み込んだ内容でした。
映画『Super Fly』との関係も興味深いところです。映画側の視点と、Curtis Mayfieldが音楽で示した立場には温度差があり、そこが作品の輪郭をよりはっきりさせています。サウンドトラックでありながら、単なる映像の付属物ではなく、Mayfield自身の表現として独立した存在感を持っている作品です。
ヒット曲
このアルバムからは、シングル「Freddie’s Dead」とタイトル曲「Super Fly」が大きなヒットになっています。どちらもR&Bチャート、ポップ・チャートの両方で結果を残し、アルバムの評価を押し上げました。
- 「Freddie’s Dead」:R&B 2位、Pop 4位
- 「Super Fly」:R&B 5位、Pop 8位
特に「Freddie’s Dead」は、作品全体のテーマを象徴する曲としても知られています。メロディの分かりやすさと、内容の重さが同居しているところが、Mayfieldらしいところです。
同時代の文脈
1970年代初頭のソウルやファンクの流れの中でも、『Super Fly』はかなり重要な位置にあります。映画のサウンドトラックでありながら大きな成功を収めた点でも特異で、作品の売れ方は当初の予想を超えていたとされています。
その成功によって、Curtis Mayfieldはこの後も映画音楽の仕事へつながっていきます。ソウル・アーティストとしての表現力だけでなく、社会性のあるテーマをアルバムとしてまとめ上げる力を示した一枚、という見方がしやすい作品です。
トラックリスト
- A1 Little Child Running Wild (5:15)
- A2 Pusherman (4:50)
- A3 Freddie’s Dead (5:08)
- A4 Junkie Chase (Instrumental) (1:52)
- B1 Give Me Your Love (Love Song) (4:15)
- B2 Eddie You Should Know Better (2:14)
- B3 No Thing On Me (Cocaine Song) (4:52)
- B4 Think (Instrumental) (3:44)
- B5 Superfly (3:51)
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Virus – Thoughts (1971)
Virus『Thoughts』について
Virusは、ドイツ・ビーレフェルト出身のプログレッシブ・ロック・バンドで、1970年代前半に活動していたグループだ。『Thoughts』は1971年に発表された作品で、KrautrockとProg Rockの文脈に置かれるレコードとして知られている。
作品の輪郭
このアルバムは、当時のドイツ勢らしい硬質なバンド・サウンドと、プログレッシブ・ロックの構成感が重なる一枚といえる。ギター、オルガン、ベース、ドラムを軸にした演奏が中心で、ロックの推進力を保ちながら、曲展開に余白を持たせた作りが見えてくる。
サウンドの質感としては、同時代のKrautrockに通じる直線的な熱量と、Prog Rockらしい組曲的な流れが同居する印象だ。派手な装飾よりも、バンド全体のアンサンブルで押していくタイプの作品として受け取れる。
アーティストにおける位置づけ
Virusは1970年代前半に活動したバンドで、『Thoughts』はその時期の活動を示す記録のひとつといえる。メンバーにはGeorge Kochbek、Jörg-Dieter Krahe、Jürgen Schäfer、Axel Nieling、Wolfgang Rieke、Bernd Rösner、Werner Vogt、Reinhard Iffländer、Reinhold Spiegelfeld、Bernd Hohmann、Werner Monkaが名を連ねている。
バンドの編成からも、単なるロック・バンドというより、当時のドイツの実験的なロック表現と接続する姿が見えてくる。Krautrockの流れの中で、より構成的なプログレ寄りの手触りを持つ作品として扱われることが多いタイプだ。
同時代の文脈
1971年という時期は、ドイツのロックが独自性を強めていった時代にあたる。英米のサイケデリックやハード・ロックの影響を受けつつも、反復、展開、演奏の密度に重心を置くバンドが増えていた。Virusの『Thoughts』も、その流れの中で理解しやすい作品だ。
比較の軸としては、Krautrock周辺のバンド群や、同時代のプログレッシブ・ロック勢が思い浮かぶ。とはいえ、Virusは大きなヒット曲で知られるタイプというより、アルバム単位で当時のドイツ・ロックの空気を伝える存在として見られやすい。
盤について
ここで扱う盤は1983年リリースのものだが、作品そのものは1971年の発表作として位置づけられる。オリジナル期の記録を後年の盤でたどる形の一枚として、当時のサウンドをそのまま追ううえで興味深い。
まとめ
『Thoughts』は、1970年代初頭のドイツ産ロックの流れを感じさせるVirusの代表的な作品のひとつだ。KrautrockとProg Rockの接点にある、バンド演奏中心のアルバムとして、当時の空気をそのまま映している。
トラックリスト
- A1 King Heroin (5:37)
- A2 Mankind, WHere Do You Go To ? (5:00)
- A3 Theme (0:21)
- A4 Old Time Movie (4:16)
- A5 Butterflies (4:26)
- B1 Take Your Thoughts (6:13)
- B2 Sittin’ And Smokin’ (2:56)
- B3 Going On (4:32)
- B4 Deeds Of The Past (2:13)
- B5 My Strand-Eyed Girl (4:13)
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Hako Yamasaki – 歩いて (1980)
Hako Yamasaki『歩いて』(1980)について
山崎ハコの『歩いて』は、1980年に日本でリリースされた作品。フォークを軸にしながら、ロック、ブルース、ポップスの要素もにじむ一枚で、アコースティックな手触りを土台にした歌世界が印象に残る。1970年代のフォーク・ブームをくぐり抜けてきた山崎ハコの流れの中でも、80年代に入る時期の作品として位置づけられるタイトルだ。
サウンドの輪郭
全体の中心にあるのは、ギターを軸にしたシンプルな響きと、声の存在感。派手な装飾で押すというより、言葉と旋律を前に出す作りで、フォークの直線的な感触がよく出ている。アコースティックな質感が強く、曲ごとの温度差や呼吸がそのまま伝わってくるタイプの作品として受け取れる。
山崎ハコというアーティストの文脈
山崎ハコは、1957年生まれ、大分県日田市出身の日本のフォーク・シンガーソングライター、ギタリスト、女優。1970年代のフォーク・ブーム期から存在感を示し、その後も長く作品を発表し続けてきた。『歩いて』は、そうした活動の流れの中で、80年代初頭の山崎ハコの表現を確認できる作品として見ておきたい。
同時代とのつながり
この時期の日本のフォークやシンガーソングライターの作品には、歌詞の輪郭をはっきり聴かせる作りや、ギター主体の編成を基調にしたものが多い。山崎ハコの音楽も、その文脈の中で語られることが多く、フォークの語法を保ちながら、ブルースやロックの感触も差し込むあたりに特徴がある。派手さよりも、歌の芯で聴かせる方向性。
作品の位置づけ
『歩いて』は、山崎ハコのディスコグラフィーの中で、80年代に入った時期の一作として見ると流れがつかみやすい。1970年代のフォーク・ブームの延長線上にありつつ、時代の変化の中でも自分の歌の形を保っている、そんな印象のタイトルだ。
まとめ
『歩いて』は、山崎ハコの持つ直線的な歌声、アコースティック中心の響き、フォークを土台にした表現がまとまった1980年の作品。日本のフォーク/シンガーソングライター史の流れの中でも、彼女の立ち位置を確認しやすい一枚といえる。
トラックリスト
- A1 夢
- A2 我が里
- A3 道を探せ
- A4 黒いバス
- A5 小さな海
- B1 歪み板
- B2 何もいらない
- B3 君は自由か
- B4 13の女の子
- B5 歩いて
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Regal Worm – Worm! (2022)
Regal Worm「Worm!」について
「Worm!」は、UKのアーティスト、Regal Wormによる2022年の作品。メンバーはJarrod Goslingで、Rockを軸に、Prog Rock、Psychedelic Rock、Art Rockの要素を重ねた内容になっている。ソロ・プロジェクトとしての色合いが強く、ひとりの手で組み上げた作品らしいまとまりが感じられる一枚。
サウンドの印象
ジャンルの並びからも分かる通り、演奏の流れや構成にひねりを持たせたプログレ寄りの作りが中心。そこにサイケデリック・ロックの浮遊感、アート・ロックらしい組み立ての細かさが加わるタイプで、直線的に進むロックというより、曲ごとの展開や音の重なりを追っていく感触がありそうだ。音の質感としては、ロックの骨格を保ちながらも、少し距離を置いた視点で作られたような印象につながる。
アーティストの位置づけ
Regal WormはUKのロック文脈の中でも、プログレやサイケデリック寄りの表現と相性がよさそうな存在。Jarrod Goslingの個人名義に近い形で展開されているため、バンドの合奏感よりも、作家性や構成の意図が見えやすい作品群として捉えられる。2022年作の「Worm!」も、その流れの中にある一作と見てよさそうだ。
同時代・ジャンルの文脈
Prog Rock、Psychedelic Rock、Art Rockという組み合わせからは、70年代的な構成美や実験性を引き継ぎつつ、現代の録音感でまとめた作品像が思い浮かぶ。UKのプログレ系アーティストに見られる、複雑さと聴きやすさの境目を行き来するタイプの作品群と近い立ち位置にある。
関連情報
- アーティスト名: Regal Worm
- 作品名: Worm!
- リリース年: 2022年
- 国: UK
- メンバー: Jarrod Gosling
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock, Psychedelic Rock, Art Rock
なお、代表曲やヒット曲として特定の曲が広く知られているかどうかは、この作品情報からは読み取れない。作品全体の構成や音の流れを楽しむタイプのアルバムとして見るのが自然だろう。
トラックリスト
- A1 Regal Wishbone (3:55)
- A2 Don’t Freak Out The Creatures (4:33)
- A3 Dindy Super (2:45)
- A4 The Steppe Nomad Space Program (9:14)
- B1 Bong Song (2:42)
- B2 Chlorophyllia (4:38)
- B3 Green Beetle, Plate 31 (4:23)
- B4 Is There Anything Blacker Than A Black Cat? (3:57)
- B5 Hop (2:39)