3 – … To The Power Of Three (1988)
3『… To The Power Of Three』
『… To The Power Of Three』は、1988年に登場した3の唯一のアルバムである。3は、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)周辺の流れから生まれたトリオで、Keith Emerson、Carl Palmer、Robert Berryの3人で構成された。プログレッシブ・ロックの流れを引き継ぎつつ、80年代のUSロック寄りの手触りを持つ作品として位置づけられる一枚だ。
バンドの成り立ちとこの作品の位置づけ
この作品は、ELPのKeith EmersonとCarl Palmerが中心となり、そこにRobert Berryが加わって成立した。前身のEmerson, Lake & PowellではCozy Powellが参加していたが、その後Carl Palmerが戻り、Greg Lakeはこのプロジェクトには参加していない。結果として、ELPの文脈を引き継ぎながらも、Greg Lakeの役割をRobert Berryが担う形になったのが、このアルバムの大きな特徴である。
3はのちにKeith EmersonとRobert Berryのデュオへとつながっていくため、このアルバムはその最初の到達点とも言える位置にある。Keith Emersonの鍵盤、Carl Palmerのドラム、Robert Berryのボーカルとベースという編成は、ELPの派生形でありながら、80年代のメインストリーム寄りのロック作品としてまとまっている。
音の印象
収録曲は、プログレッシブ・ロックの構成感を残しつつ、当時のポップ・ロックやアリーナ・ロックの文法に寄った作りである。演奏面では、Emersonのキーボードが前面に出る場面があり、Palmerのタイトなドラミングも存在感がある。一方で、全体の輪郭は70年代の長尺志向というより、80年代らしいコンパクトさを持つ。
実際に聴くと、楽曲ごとの起伏ははっきりしていて、シンセのレイヤーとリズム隊の押し出しが要になる印象だ。Robert Berryの歌が入ることで、ELP本来の器楽的な重心とは少し違う、歌ものとしてのまとまりが生まれている。
収録曲と見どころ
このアルバムには、The Byrdsのサイケデリック・クラシック「Eight Miles High」のカバーが含まれている。原曲はよく知られた楽曲だが、3の版ではキーボード主体のアプローチが前に出るため、オリジナルとは別の角度で聴ける構成になっている。
また、シングルとして切られた楽曲もあり、この作品がアルバム単体で完結するだけでなく、当時のリリース戦略の中でも動いていたことがわかる。
同時代の文脈
1988年という時期は、プログレッシブ・ロックの第一世代が再編成や再接続を行っていた時代でもある。3はその中で、単なる懐古ではなく、80年代の録音感覚に合わせてELP的な要素を組み替えた作品として見える。シンセを使ったロックが広く浸透していた時期だけに、同時代のハードロックやアリーナ・ロックとも地続きの印象がある。
その意味で、3のこのアルバムは、ELPそのものの延長線というより、ELPの要素を持ちながら80年代のロック・フォーマットに収めた作品として聴かれることが多そうだ。
US盤の仕様メモ
US盤はSpecialty Records Corporationのプレスが示されており、ランアウトにはSRCロゴが入る。個体によってはサイド2のラベルにエンボスの「E A S T」が見られるものもある。内袋には写真と歌詞が印刷されていた仕様で、当時のGeffen/Warner系リリースらしい体裁である。
まとめ
『… To The Power Of Three』は、Keith EmersonとCarl PalmerというELPの核に、Robert Berryを迎えて作られた1988年のアルバムである。プログレッシブ・ロックの文脈を背負いながらも、80年代のポップ・ロック、アリーナ・ロックの感触を持つ、3にとっての唯一のアルバム。カバー曲「Eight Miles High」も含め、バンドの立ち位置がはっきり見える作品だ。
トラックリスト
- A1 – Talkin’ Bout (4:00)
- A2 – Lover To Lover (4:12)
- A3 – Chains (3:42)
- Desde La Vida (7:06)
- B1 – Eight Miles High (4:08)
- B2 – Runaway (4:42)
- B3 – You Do Or You Don’t (5:02)
- B4 – On My Way Home (4:46)
関連動画
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- 3 – Lover to lover [lyrics] (HQ Sound) (AOR/Melodic Rock)
- 3 – Chains [lyrics] (HQ Sound) (AOR/Melodic Rock)
- 3 – Desde la vida [lyrics] (HQ Sound) (AOR/Melodic Rock)
- 3 – Eight miles high [lyrics] (HQ Sound) (AOR/Melodic Rock)
- 3 – Runaway [lyrics] (HQ Sound) (AOR/Melodic Rock)
- 3 – You do or you don’t [lyrics] (HQ Sound) (AOR/Melodic Rock)
- 3 – On my way home [lyrics] (HQ Sound) (AOR/Melodic Rock)
- 3 – Talkin’ bout
- 3 – Lover To Lover
Renaissance – Azure D’or (1979)
Renaissance『Azure d’Or』(1979)について
Renaissanceの『Azure d’Or』は、1979年にリリースされたスタジオ・アルバムで、ロンドンで録音された作品だ。バンドの70年代後半の流れに位置する1枚で、アニー・ハズラムの歌声、マイケル・ダンフォードの楽曲、ジョン・タウトのキーボードを軸にした編成の時代を映している。
Renaissanceは1969年にロンドンで結成されたグループで、ロック、フォーク、クラシックの要素を組み合わせたサウンドで知られる。70年代を通じて編成を固めながら作品を重ね、この時期にはプログレッシブ・ロックの文脈で語られることが多い。『Azure d’Or』も、その流れの中にあるアルバムだ。
作品の位置づけ
『Azure d’Or』は、1978年の『A Song for All Seasons』に続く時期の作品で、バンドが70年代後半に築いてきた様式を引き継いでいる。Renaissanceの音楽は、アニー・ハズラムの透明感のあるボーカルと、ピアノやオーケストラ的な鍵盤アレンジ、メロディを前面に出した構成が特徴として挙げられるが、このアルバムでもその要素が中心になっている。
録音はロンドンのMaison Rouge Studiosで、1978年11月から1979年2月にかけて行われた。70年代プログレの後期らしく、演奏のまとまりと曲の組み立てを重視した作りになっている。
収録曲とシングル
この作品からはシングルも出ている。マスターノートに挙がっている「Jekyll and Hyde」は、アルバムの中でも比較的シングル向きの位置にある曲として扱われたようだ。Renaissanceの作品では、アルバム全体の流れの中で1曲ごとの構成がはっきりしていることが多く、本作でもそうした作りが確認できる。
サウンドの印象
実際に聴くと、バンドの持つ端正なアンサンブルが前に出るタイプのアルバムだ。アニー・ハズラムの声はこの時期のRenaissanceを強く印象づける要素で、旋律の運びを支える鍵盤との相性もよい。ギターやリズム隊が前面に出て押し切るというより、曲の骨格をきれいに組み上げていく方向の演奏が目立つ。
同時代のプログレッシブ・ロックの中では、YesやGenesisのような大編成の展開美とは少し違い、Renaissanceは女性ボーカルを中心に据えた室内楽的なまとまりがある。この作品でも、その性格は変わっていない。
この時期のRenaissance
1970年代後半のRenaissanceは、アニー・ハズラム、マイケル・ダンフォード、ジョン・タウト、ジョン・キャンプ、テリー・サリヴァンを中心に活動していた時期で、バンドとしての完成度が高まっていた段階にある。『Azure d’Or』は、その安定した編成の末期に置かれる作品として見ることができる。
Renaissanceはこの後も活動を続けるが、70年代の作品群の中では、本作もまたバンドの特徴がよくまとまった一枚として位置づけられる。派手な転調や長大な組曲だけでなく、楽曲ごとの輪郭を保ったまま組み立てていくところに、このバンドらしさがある。
まとめ
『Azure d’Or』は、1979年のRenaissanceをそのまま切り取ったようなアルバムだ。ロックを土台にしながら、フォークやクラシック由来の感触を織り込むバンドの持ち味が、アニー・ハズラムの歌を軸に整理されている。70年代プログレの後期における、Renaissanceの一つの到達点として見てよさそうな作品である。
トラックリスト
- A1 – Jekyll And Hyde (4:38)
- A2 – The Winter Tree (3:02)
- A3 – Only Angels Have Wings (3:43)
- A4 – Golden Key (5:13)
- A5 – Forever Changing (4:48)
- B1 – Secret Mission (5:00)
- B2 – Kalynda (A Magical Isle) (3:43)
- B3 – The Discovery (4:23)
- B4 – Friends (3:30)
- B5 – The Flood At Lyons (4:57)
関連動画
- Renaissance – Azure d’Or – Forever Changing
- Renaissance – Azure d’Or – Only Angels Have Wings
- Renaissance – Azure d’Or – Friends
- Jekyll and Hyde
- Renaissance – Azure d’Or – Golden Key
- Renaissance – Azure d’Or – Secret Mission
- Renaissance – Azure d’Or – The Discovery
- Renaissance – Azure d’Or – The Winter Tree
- Kalynda (A Magical Isle)
- Renaissance – Azure d’Or – The Flood At Lyons
Portishead – Portishead (1997)
Portishead『Portishead』について
Portisheadの2作目のスタジオ・アルバム『Portishead』は、1997年にGO! Beatから発表された作品。Bristol出身のGeoff Barrow、Beth Gibbons、Adrian Utleyを中心とするこのバンドは、90年代のUKシーンでトリップホップを代表する存在として語られてきた。前作『Dummy』で広く知られるようになったあと、その流れを受けつつも、より硬質で緊張感のある音像へ進んだ1枚として位置づけられている。
作品の立ち位置
Portisheadにとってこのアルバムは、デビュー作『Dummy』の評価を背負ったうえで出された2枚目のスタジオ作という意味を持つ。『Dummy』で示したサンプル主体の組み立てと、Beth Gibbonsの歌声、Geoff BarrowとAdrian Utleyによる演奏を軸にした作風はそのままに、1997年作ではさらに閉じた空気感が強まっている。90年代後半のUKエレクトロニック・ミュージックの中でも、Massive AttackやTrickyと並べて語られることが多い流れの中にある作品。
ただし、Portisheadは同じトリップホップ周辺でも、ラップやクラブ的な推進力より、曲ごとの間合い、ノイズ感、ストリングスやギターの配置に重心がある。『Portishead』ではその傾向がはっきりしていて、アルバム全体が一つのまとまった空気を作っている。
聴きどころ
代表曲としてまず挙がるのは「All Mine」。シングルとしても知られ、アルバムの中では比較的輪郭がつかみやすい曲。打ち込みのリズムと生の楽器の隙間が目立ち、Beth Gibbonsのボーカルが前に出る構成になっている。
ほかにも「Over」「Only You」「Cowboys」など、低い音域のうねりと、細かく切られたビート、少ない音数で押してくる曲が並ぶ。実際に聴くと、音の派手さで引っ張るアルバムではなく、曲が進むほど緊張感が積み上がるタイプの作品という印象が残る。音が多いわけではないのに、空白が強く意識される作り。
ギターやドラムの存在感も、単なる伴奏ではなく、音の輪郭を決める要素として機能している。Portisheadの作品の中でも、サンプリングだけに寄らないバンド感が強く出ているアルバムという見方ができる。
同時代との関係
1990年代のUKでは、ブリストル発の音楽が一つの重要な流れになっていた。Portisheadはその中心にいたグループのひとつで、ヒップホップ、ソウル、ダブ、映画音楽的な感触を混ぜた文脈で語られることが多い。『Portishead』は、その文脈の中でも特に陰影の深い作品として扱われてきた。
同じく90年代のエレクトロニック系作品と比べても、Portisheadのこのアルバムは、リズムの快楽よりも、歌と音像の距離感に特徴がある。派手な展開を追うより、同じ温度のまま進む曲が続く構成で、アルバム単位で聴く意味がはっきりしている。
2017年盤について
今回の2017年盤は、1997年のオリジナル・リリースを元にした再発盤。裏ジャケットには1997年の著作権表記があり、GO! BeatとPolydorのクレジットが入っている。パッケージはシールド仕様で、ダウンロードコードが付属する形で流通している。なお、すべてのコピーにダウンロードコードが入っているわけではない。
また、ランアウトは基本的にスタンプ刻印で、RCとMiles. Abbey Road. Room 30の部分のみエッチングになっている。製造表記は「Made in the EU」。
まとめ
『Portishead』は、Portisheadの中期的な核を示す1997年作。『Dummy』で確立したスタイルを引き継ぎながら、より重く、より閉じた感触へ進んだアルバムとして受け取れる。トリップホップという呼び名の中でも、歌、ビート、空間の使い方をかなり独自に組み立てた作品だといえる。
トラックリスト
- A1 – Cowboys (4:38)
- A2 – All Mine (3:59)
- B1 – Undenied (4:18)
- B2 – Half Day Closing (3:49)
- B3 – Over (4:00)
- C1 – Humming (6:02)
- C2 – Mourning Air (4:11)
- C3 – Seven Months (4:15)
- D1 – Only You (4:59)
- D2 – Elysium (5:54)
- D3 – Western Eyes (3:57)
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Lydia Pense – Lydia Pense & Cold Blood (1976)
Lydia Pense & Cold Blood
Lydia Penseの名義で出た本作は、1976年のUS盤としてリリースされたアルバムで、Lydia Penseが率いるCold Bloodの作品として位置づけられる1枚です。Lydia Penseはサンフランシスコ出身のロック/ソウル系シンガーで、1968年にCold Bloodへ加入した人物。バンドの中心に彼女の歌がある、という構図がはっきりした作品です。
作品の輪郭
音楽的には、Rock、Funk / Soulを軸に、Pop Rock、Rhythm & Blues、Boogie、Soul、Funkの要素が並ぶ内容です。70年代半ばのアメリカ西海岸らしい、ロックの骨格にソウルの歌唱、ファンクのリズム感が重なるタイプの作品として見るとわかりやすいでしょう。Cold Bloodは当時のホーンを含むR&B色の強いロック・バンドとして知られており、Lydia Penseの歌声がその性格を決定づけている印象です。
アルバムとしての位置づけ
1976年という時期は、Cold Bloodの初期のサンフランシスコ・シーンでの活動を経たあとで、バンドの名前よりもLydia Penseの存在感が前に出た形で記録された時代でもあります。グループ単位のサウンドを保ちながら、ボーカリストを明示したタイトルになっている点に、この時期の立ち位置が出ています。
聴きどころ
収録曲の中では、「We’re Cold Blood – We’re Smokin’」のリードギターに関するクレジットが目を引きます。この曲では、Warren SasakiとMichael Sasakiによって設計・制作された「Mini Guitar」が使われていると記されています。普通のギターとは少し違う楽器設計が入っている点は、当時のバンドの試みとして興味深いところです。
同時代との関係
70年代のUSロック/ソウル周辺では、歌を軸にしたファンク・ロックや、R&B寄りのグルーヴを持つバンドがいくつも活動していました。Lydia Pense & Cold Bloodもその流れの中にあり、ロックバンドの編成感と、ソウル歌手としてのLydia Penseの表現が同居するタイプの作品です。ジャズやファンクの要素を含む点でも、当時のクロスオーバーな空気が反映されていると見られます。
リリース情報
- アーティスト: Lydia Pense
- タイトル: Lydia Pense & Cold Blood
- オリジナルリリース年: 1976年
- リリース国: US
- アーティストの国: US
- 仕様: Gatefold cover
ゲートフォールド仕様のジャケットは、当時のLPらしい作りで、作品をアルバム単位で見せる意図がうかがえます。Lydia Penseの歌を中心に、ロック、ソウル、ファンクの間を行き来するCold Bloodの性格を、そのままパッケージにしたような1枚です。
トラックリスト
- We Came Down Here & Cold Blood Smokin’ (Medley) (4:20)
- A2 – I Get Off On You (3:40)
- A3 – Drink The Wine (4:01)
- A4 – I Got Happiness (3:19)
- A5 – Feel The Fire (5:01)
- B1 – Let Me Be The One (4:04)
- B2 – Back Here Again (3:34)
- B3 – I Love You More Than You’ll Ever Know (5:47)
- B4 – Blinded By Love (3:48)
- B5 – It Takes A Lotta Good Lovin’ (3:31)
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Neil – Neil’s Heavy Concept Album (1984)
Neil / Neil’s Heavy Concept Album(1984)
英国のテレビシリーズ「The Young Ones」から生まれたキャラクター、Neilによる作品で、1984年に登場したアルバム。演じているのは、同作のキャストとして知られる俳優Nigel Planer。テレビの中のヒッピー的な人物像を、そのままレコード作品として広げた内容になっている。
レコードのクレジット上はロック、ノンミュージック、ポップにまたがり、スタイル面ではオルタナティヴ・ロック、コメディ、サイケデリック・ロックが並ぶ。実際、音楽作品として聴くと、バンド作品というよりも、キャラクター性とギャグ、断片的な楽曲、語りや小ネタが混ざった構成が目につくタイプの1枚。
作品の位置づけ
Neilというキャラクターは、「The Young Ones」の中でも特に内向的で、おだやかで、少し浮世離れした存在として描かれていた。その人物像を前面に出したのがこのアルバムで、番組人気を背景にした派生作品という位置づけが分かりやすい。テレビで親しまれたキャラクターを、レコードという形で別のパッケージに移した作品、と見るとつかみやすい。
タイトルの通り、アルバム全体は“コンセプト”を掲げた作りで、曲単体を順番に並べるだけではなく、作品全体の流れで聴かせる意識がある。とはいえ、ロック作品としての本格的な重厚さを狙ったものというより、あくまでパロディ性を軸にした作り。1980年代前半の英国コメディ文化と、当時のロック・アルバムの形式そのものを笑いの対象にしている印象が強い。
音の印象
実際に聴くと、一般的なポップ・アルバムのようにメロディを前面に押し出す場面もあれば、芝居仕立ての流れや、言葉のやり取りが主役になる場面もある。サイケデリック・ロック寄りの要素は、音そのものの幻想感というより、作品の見せ方や引用の仕方に表れているように感じられる。
一方で、当時の英国コメディ作品にしばしば見られる、曲の途中で急に雰囲気が変わる作りや、真面目に聴くと肩透かしになる展開も多い。そうしたズレが、この作品の中心にある面白さと言える。
同時代の文脈
1980年代前半の英国では、コメディ番組と音楽の距離がかなり近い時期でもあった。「The Young Ones」自体が、ロック文化を強く参照した番組だったこともあり、このアルバムもその延長線上にある。音楽とテレビの境界がゆるく、キャラクター商品として片付けるには内容が濃い、そんな時代性がある。
比較の対象としては、同時代の英国コメディ・ロックや、パロディを含む企画作品が思い浮かぶ。とはいえ、この作品は単なる物まねよりも、番組内キャラクターの性格をそのまま音楽化した点に特徴がある。
ジャケット周りと仕様
この盤は赤いインナー・スリーブとインサート付き。さらに、裏ジャケットとインサートは、別作品の裏ジャケットとインサートをもじったパロディになっている。レコード本体だけでなく、紙もののデザインまで含めてネタを仕込んだ作りで、視覚面でも作品の性格がはっきりしている。
まとめ
Neil’s Heavy Concept Albumは、テレビ番組「The Young Ones」のキャラクターNeilを中心にした、1984年の英国産の企画色の強いアルバム。ロック、ポップ、コメディの要素をまたぎながら、キャラクターの魅力と当時の文化的な遊び心をレコードの形に落とし込んだ1枚として位置づけられる。
音楽作品としての芯と、パロディ作品としての軽さが同居しているところが、このアルバムの見どころになっている。
トラックリスト
- A1 – Hello Vegetables
- A2 – Hole In My Shoe
- A3 – Heavy Potato Encounter
- A4 – My White Bicycle
- A5 – Neil The Barbarian
- A6 – Lentil Nightmare
- A7 – Computer Alarm
- A8 – Wayne
- A9 – The Gnome
- A10 – Cosmic Jam
- B1 – Golf Girl
- B2 – Bad Karma In The UK
- B3 – Our Tune
- B4 – Ken
- B5 – The End Of The World Cabaret
- B6 – No Future (God Save The Queen)
- B7 – Floating
- B8 – Hurdy Gurdy Man
- B9 – Paranoid Remix (Incorporating The Hole In My Shoe)
- B10 – The Amoeba Song (From A Very Cellular Song)
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The Afterglow – Afterglow (1968)
The Afterglow『Afterglow』について
米オレゴン州を拠点にしたサイケデリック・バンド、The Afterglowが1968年に残した唯一のアルバム『Afterglow』。ギタリスト/ヴォーカリストのTony Tecumsehを中心にしたグループで、1965年の結成、メンバー交代を経た再編、そして1967年末まで続いた録音作業を経て、翌1968年にMTA Recordsからオリジナル盤が出ている。バンドとしてはこの1枚で姿を消したため、60年代末のローカル・サイケ・バンドの記録としても位置づけやすい作品だ。
アルバムの位置づけ
The Afterglowは、1965年にTony Tecumseh、Larry Alexander、Mikeの3人で始まり、その後Gene Reslerを加えて活動を進めたのち、1966年にRon GeorgeとRoger Swansonを迎えて再編されている。録音はプロデューサーLeo LuklaのGolden State Recordersで始まり、学業の都合もあって完成まで時間がかかったとされる。そうした経緯を踏まえると、このアルバムは当時の学生バンド的な活動と、60年代後半のサイケデリック・ロックの制作環境が重なった一枚として見えてくる。
アートワークや曲順の流れまで含めて、単なるデビュー作というより、バンドが活動の区切りとして残した作品という印象が強い。後年の再発盤では、こうした当時の資料性も意識されている。
2001年再発盤の内容
今回の盤は2001年のUS再発盤で、オリジナルの1968年盤を元にしたSundazed Musicによるリイシュー。内袋にはSundazed Musicの印刷入りで、裏ジャケットには再発に関する表記が入っている。音源面では全曲ステレオが基本で、「Susie’s Gone」だけがオルタネイト・バージョンのモノラル収録になっている。また、Side 2の4曲目から7曲目までがボーナス・カットとして追加されている。
オリジナル盤と比べると、再発盤は音源の並びや収録内容に補強が加えられている点が大きい。60年代の本編に加えて、資料的な意味合いを持つ補足音源が入ることで、バンドの記録としての側面が見えやすい仕様だ。
サウンドの印象
実際に聴くと、60年代後半のアメリカ西海岸周辺でよく見られる、ギター主体のサイケデリック・ロックとポップ・ロックの中間あたりに位置する作りだと感じやすい。派手に長尺で引っ張るタイプというより、曲ごとの輪郭を保ちながら、当時らしいオルガンやギターの質感を置いていくタイプのアルバムとして耳に入る。
また、メロディの運びが比較的はっきりしているため、サイケデリック・ロックの中でも曲の入口がつかみやすい部類に入る。録音時期や制作背景を思うと、完成度だけでなく、当時のローカル・シーンの空気がそのまま残った記録として聴ける作品だ。
同時代とのつながり
The Afterglowのようなバンドは、60年代後半の米国各地で生まれたサイケデリック・ロック/ポップ・ロックの流れの中で語りやすい。大きな全国的成功を前提にしたバンドというより、地域のシーンで活動し、録音を残し、その後に解散や休止へ向かうタイプのグループだ。
その意味では、同時代のより知られたサイケ・バンド群と並べるときも、商業的なヒットより作品の痕跡や録音の空気感が注目点になる。『Afterglow』もその一枚として、1968年という時代のサウンドとバンドの履歴をそのまま留めたアルバムといえる。
代表曲について
このアルバムに大きく知られたヒット曲があるというより、アルバム全体で聴かれる性格が強い。再発盤では「Susie’s Gone」の別ヴァージョンが入っているため、この曲は本作を語るうえで触れやすい一曲だ。オリジナル収録曲とは別の形で置かれている点も、再発盤ならではの見どころになっている。
ひとことでいうと
The Afterglow『Afterglow』は、オレゴン発のサイケデリック・バンドが1968年に残した唯一のアルバムを、2001年にSundazedが再発したもの。オリジナル盤の記録性に、ボーナス音源と再発仕様の補強が加わった形で、60年代末のローカル・サイケ・ロックの輪郭をつかみやすい作品だ。
トラックリスト
- A1 – Morning (2:02)
- A2 – Dream Away (2:30)
- A3 – Susie’s Gone (2:26)
- A4 – Mend This Heart Of Mine (2:34)
- A5 – Afternoon (1:56)
- A6 – Chasing Rainbows (1:46)
- A7 – By My Side (1:51)
- A8 – It’s A Wonder (2:25)
- B1 – Love (2:59)
- B2 – Riding Home Again (2:31)
- B3 – Meadowland Of Love (2:20)
- B4 – Susie’s Gone (Alt. Version) (2:29)
- B5 – Chasing Rainbows (Alt. Backing Track) (1:40)
- B6 – Afternoon (Alt. Backing Track) (1:44)
- B7 – Morning (Alt. Backing Track) (2:10)
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King Crimson – In The Court Of The Crimson King (An Observation By King Crimson) = クリムゾン・キングの宮殿 (1969)
King Crimson『In The Court Of The Crimson King(クリムゾン・キングの宮殿)』について
King Crimsonのデビュー作にあたるこのアルバムは、1969年に発表されたプログレッシブ・ロック初期の重要作として知られている。バンドは1968年に結成され、ロバート・フリップを軸に、イアン・マクドナルド、グレッグ・レイク、マイケル・ジャイルズ、ピーター・シンフィールドらが参加した初期編成でこの作品を残した。のちのKing Crimsonの多様な展開を考えると、この1枚は出発点としての意味が大きい。
本作は、1969年10月10日に公式発売日が案内されている作品で、収録曲の中でも「21st Century Schizoid Man」と表題曲「The Court of the Crimson King」は特に代表的な存在だ。前者はリフ主体で鋭い演奏が印象に残り、後者は長尺の構成とメロトロンの使い方がよく知られている。60年代末のロックの中でも、曲ごとの役割がはっきりしたアルバムとして語られることが多い。
作品の位置づけ
King Crimsonにとっては、単なるデビュー盤ではなく、その後の進路を決める出発点のような作品だ。ハードな演奏、ジャズ寄りの動き、長い構成、シンフォニックな鍵盤の使い方が同居していて、同時代のプログレッシブ・ロックの流れを代表する1枚として扱われることが多い。GenesisやYes、Emerson, Lake & Palmerと並べて語られることもあるが、King Crimsonはその中でも初期からかなり鋭い音像を持っている。
メロディーの分かりやすさだけで押し切るタイプではなく、曲の展開そのものを聴かせる作品だ。歌ものとしての親しみやすさと、演奏の緊張感が同時にある点が、このアルバムの特徴として挙げられる。
収録曲と代表的な楽曲
「21st Century Schizoid Man」:アルバム冒頭を飾る代表曲。歪んだサックス、強いリフ、変則的な展開が目立つ。
「Epitaph」:メロトロンの響きが前面に出る曲で、アルバムの中でも特にドラマ性が強い。
「Moonchild」:静かなパートから即興的な流れへ移る構成で知られる。
「The Court of the Crimson King」:アルバムを締める表題曲。大きなスケール感と、当時のプログレらしい構成美がある。
この4曲を中心に、アルバム全体がひとつの物語のように流れていく構成だ。シングルヒットを狙う作りではなく、アルバム単位で聴く前提の作り込みがはっきりしている。
サウンドの特徴
この時期のKing Crimsonらしく、ロック・バンドの基本編成に加えて、メロトロンやサックスが重要な役割を担っている。ギター、ベース、ドラムの演奏はもちろん、イアン・マクドナルドの鍵盤と管楽器が全体の色を決めている印象だ。グレッグ・レイクのボーカルは伸びがあり、ピーター・シンフィールドの詞と組み合わさることで、楽曲に独特の重さが出ている。
録音年代相応の質感はあるが、音の輪郭ははっきりしていて、各パートの役割が追いやすい。演奏の緊張感と、メロディーの明瞭さが同居している点が、このアルバムを長く聴かれている理由のひとつだろう。
この日本盤について
今回の盤は日本で流通したリリースで、テクスチャーのある見開きジャケット仕様とされている。インサートには1971年の著作権表記がある。オリジナル盤とはクレジットやランアウトが異なる盤で、ジャケットや製造情報の違いを含めて、当時の日本盤としての個性がある。
King Crimsonの初期作品は、のちの再発盤や各国盤で細かな仕様差が出やすいが、このタイトルは特に盤ごとの差も含めて集められてきた作品のひとつだ。音楽そのものだけでなく、初期プレスや日本盤の装丁も含めて語られることが多い。
まとめ
『In The Court Of The Crimson King』は、King Crimsonの原点であり、プログレッシブ・ロック初期を象徴するアルバムだ。強いリフ、長い構成、メロトロンの響き、サックスの存在感がまとまっていて、60年代末のロックがどこまで広がったかを示す作品として位置づけられる。デビュー作でありながら、すでにバンドの個性がはっきりしている点が印象に残る。
トラックリスト
- A1 – 21st Century Schizoid Man (Including “Mirrors”) = 21世紀の精神異常者 – ミラーズ (7:21)
- A2 – I Talk To The Wind = 風に語りて (6:08)
- A3 – Epitaph (Including “March For No Reason” And “Tomorrow And Tomorrow”) = エピタフ (墓碑銘) – 理由なき行進 – 明日又明日 (8:52)
- B1 – Moonchild (Including “The Dream” And “The Illusion”) = ムーン・チャイルド – ドリーム – 幻想 (12:15)
- B2 – The Court Of The Crimson King (Including “The Return Of The Fire Witch” And “The Dance Of The Puppets”) = クリムゾン・キングの宮殿 – 帰って来た魔女 – あやつり人形のおどり (9:25)
関連動画
- King Crimson – 21st Century Schizoid Man (Including “Mirrors”)
- King Crimson – I Talk To The Wind
- King Crimson – Epitaph (Including “March For No Reason” and “Tomorrow And Tomorrow”)
- King Crimson – Moonchild (Including “The Dream” And “The Illusion”)
- King Crimson – The Court Of The Crimson King
- King Crimson – In The Court Of The Crimson King (Album Visualiser)
Gong – Magick Brother (1969)
Gong「Magick Brother」について
Gongの「Magick Brother」は、バンド初期の空気がまとまった作品として知られる1枚です。オリジナルは1969年の作品で、フランスで結成された時期のGongがどんな音を出していたのかを追ううえで、ひとつの起点になるタイトルです。サイケデリック・ロックとスペース・ロックの要素を持ちながら、のちのGongに見られるような長い展開やジャズ寄りの複雑さへ向かう前段階の記録でもある。
この盤は1970年リリースの日本盤で、ジャケット内側にラミネートが施された仕様、白地に黒文字のかなり簡素なレーベル面という案内が付いています。盤面の表記も基本的なトラック情報中心で、装丁は実用寄りのつくりです。日本で出た初期盤らしい、飾りを抑えた見た目。
作品の位置づけ
Gongは1969年にフランスで結成されたサイケデリック・ロック・バンドで、デヴィッド・アレンとジリー・スミスを中心に始動しました。キャンンタベリー・シーンとの接点でも語られることが多く、メンバー変動の多いバンドとしても知られています。「Magick Brother」は、そうした長い変遷のなかで、まだ初期衝動が前に出ている時期の作品という位置づけになりやすい。
のちのGongは、よりジャズ・ロック色の強い方向へ進んでいきますが、この時期はまだサイケデリック・ロックの手触りが中心です。デヴィッド・アレンの独特な視点、ギリ・スミスのヴォーカル、当時のバンドが持っていた自由度が、そのまま出やすい時期の記録といえる。
音の印象
「Magick Brother」は、きっちり組み立てられたロックというより、ゆるやかに場面が切り替わっていくタイプの作品として捉えられることが多いです。曲ごとの輪郭を追いながら聴くと、フォーク寄りの素朴さ、反復の強さ、浮遊感のある展開が並びます。後年のGongを知っていると、まだ荒削りな部分も含めて初期バンドらしい手つきが見えやすい。
スペース・ロックの文脈では、同時代のPink Floydの初期や、The Soft Machineなどと比較されることがあります。ただし、この作品はその中でもより手作り感のあるサイケデリック・ロックとして耳に入りやすい。派手な技巧を前面に出すというより、言葉と音の並びで空気を作るタイプ。
代表曲として触れられやすい曲
アルバムの中ではタイトル曲「Magick Brother」がまず挙がりやすいです。作品の世界観をそのまま示す曲名で、初期Gongの方向性をつかむ入口になっている。楽曲単位で強いフックを押し出すというより、アルバム全体の流れの中で印象を残すタイプの曲が並ぶ構成です。
この盤ならではの情報
- 1970年の日本盤
- リリース国は日本
- 白ラベルに黒文字のかなり簡素な表記
- ジャケット内側ラミネート仕様
- 盤の案内は基本的なトラック情報中心
まとめ
「Magick Brother」は、Gongの初期像を知るうえで外しにくい1枚です。のちの複雑な展開やジャズ・ロック寄りの変化の前に、サイケデリック・ロックの手触りが前面に出ている時期の記録。1969年のオリジナル作品として見たとき、Gongというバンドの出発点を確認できる内容になっています。
トラックリスト
- Early Morning Side
- A1 – Mystic Sister – Magick Brother (5:54)
- A2 – Change The World (4:10)
- A3 – Glad To Sad To Say (3:35)
- A4 – Chainstore Chant – Pretty Miss Titty (4:38)
- A5 – Fredfish – Hope You Feel OK (3:18)
- Side Of The Late Night
- B1 – Ego (3:55)
- B2 – Gongsong (4:05)
- B3 – Princess Dreaming (2:55)
- B4 – 5 & 20 Schoolgirls (4:23)
- B5 – Cos You Got Green Hair (4:58)
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Mitch Ryder – Rock And Roll / Soul Kitchen (1979)
Mitch Ryder『Rock And Roll / Soul Kitchen』について
Mitch Ryderの『Rock And Roll / Soul Kitchen』は、1979年にUSで出た録音作品で、Rockpalast Nightでのライヴ録音として位置づけられる1枚だ。1960年代にMitch Ryder & The Detroit Wheelsでヒットを重ねたデトロイト出身のシンガーが、70年代後半の時点でどんな歌い方をしていたのかを確認できるタイトルでもある。
アーティストの背景
Mitch Ryderは1945年、ミシガン州ハムトラミック生まれ。デトロイトのロックンロール/R&B圏で頭角を現し、1960年代には自分のバンドを率いてヒットを飛ばした。代表的な活動としては、Mitch Ryder & The Detroit Wheels名義での成功がよく知られている。その後も音楽活動は続き、1969年には新たな編成でThe Band Detroitを結成し、1971年には同名アルバムも残している。
1970年代に入ると商業的な勢いは1960年代ほどではなくなるが、ステージでの実力派シンガーとしての印象は強く残っている。2005年にはMitch Ryder & The Detroit WheelsとしてMichigan Rock and Roll Legends Hall of Fame入り、2009年にはソロとしても同殿堂に選ばれている。
この作品の位置づけ
『Rock And Roll / Soul Kitchen』は、Mitch Ryderのキャリアを振り返ると、初期ヒット期の勢いを知る耳で聴くより、ライブ・アクトとしての持久力を見る作品という印象が強い。タイトルにある「Rock And Roll」は、彼の原点をそのまま示すような語で、そこに「Soul Kitchen」が並ぶ構成も、ロックンロールとソウルの往復運動を続けてきた彼らしい。
同時代のデトロイト勢で言えば、MC5やThe Stoogesのような荒さを前面に出すタイプとは少し違い、Mitch RyderはもっとR&B寄りの歌い回しと、ショウとしての推進力で勝負する側にいる。だからこそ、録音されたライヴでは、曲の知名度以上に、声の押し出しやバンドとの掛け合いが中心になるタイプの作品だと見られる。
収録曲について
タイトルに含まれる「Rock And Roll」は、Mitch Ryderの定番レパートリーとして受け取られやすい曲名だ。彼のキャリア全体を通じても、ロックンロールの直球感と、ソウルの粘りを行き来するスタイルは一貫していて、この作品名もその性格をよく表している。
「Soul Kitchen」は、曲名からも分かるようにソウル色の強い組み合わせを想起させる。ライヴ作品では、曲そのものの構成よりも、テンポの置き方やシャウトの入り方で印象が変わりやすいが、Mitch Ryderの声質にはそうした場面がよく似合う。
聴きどころ
- 1960年代から続く、前に出る歌い方
- ロックンロールとソウルのあいだを行き来する曲の運び
- スタジオ盤よりも、ライヴで輪郭が出やすいタイプのボーカル
- 70年代後半時点での、ベテランとしてのステージ感
まとめ
『Rock And Roll / Soul Kitchen』は、Mitch Ryderという歌い手の核が、そのままライヴの形で残った作品として見ると分かりやすい。1960年代のヒットを知る人には、その延長線上にある声とグルーヴが見えやすいはずだし、デトロイトのロック史を追う上でも、彼が単なる懐古ではなく、舞台の上で自分の持ち味を保っていたことが伝わる1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Rock And Roll
- A2 – Soul Kitchen
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Ogives Big Band – Boisterous Love (2024)
Ogives Big Band『Boisterous Love』について
『Boisterous Love』は、Bristol, UKを拠点とするOgives Big Bandによる2024年作。実験性の強いロックバンドとして紹介されており、編成はBen Harris(Lead Guitar)、Steve Roberts(Lead Vocals)、Oli Cocup(Lead Drums)、Ben Holyoake(Lead Bass)の4人組という形になっている。ジャンル表記はRock、スタイルはStoner Rock、Sludge Metal。UK発の重さと粘りを前面に出した作品として見てよさそうだ。
作品の輪郭
本作は2024年にリリースされたアルバムで、英国盤。限定300枚のリリースで、ダウンロードカードも付属する。オルタナティブな音の作り込みと、バンド名の通り少し大きめのスケール感を感じさせるタイトルが印象に残る。
アーティスト紹介では、experimental、noise rock、progressive、psychedelic bandとされていて、単なるストーナー/スラッジの枠だけでは収まりきらない立ち位置が見える。とはいえ、外側を広げるよりも、まずはリフの圧、音の粘度、ドラムとベースの推進力を軸にした作品として捉えるのが自然だろう。
バンドの背景
Ogives Big BandはBristolのバンド。Ben Harrisがギター、Steve Robertsがボーカル、Oli Cocupがドラム、Ben Holyoakeがベースを担当する。Bristolという土地は、実験的なロックや重音系の文脈とも相性がよく、このバンドのプロフィールにもその空気がにじむ。ノイズのざらつき、プログレ的な展開、サイケデリックな広がりを含みながら、骨格はロックとスラッジの重心に置かれている印象だ。
サウンドの見え方
実際の音像としては、分厚いギターリフと低音の圧、そして前に出るボーカルが中心になっていそうなタイプ。ストーナー・ロック由来の反復感と、スラッジ・メタル由来の鈍い押し出しが並ぶ構図。そこにノイズロック的な荒さや、プログレッシブな構成感が重なると、曲ごとの表情はかなり変わるはずだ。
こうした作りの作品では、派手なフックよりも、リフの質感や曲の立ち上がり方が印象を左右することが多い。『Boisterous Love』も、タイトルから受けるイメージどおり、ただ荒々しいだけではなく、音の動きや密度で押してくるタイプの1枚として受け取れそうだ。
同時代・ジャンルの文脈
UKのストーナー/スラッジ系では、重さだけでなく、ノイズ感や実験性を混ぜる動きが目立つ。Ogives Big Bandもその流れの中に置けるバンドで、純粋なリフ勝負というより、音の質感や構成のひねりを含んだ作りが想像しやすい。Bristolのシーンらしい、少しひねりの効いた重音ロックとして受け止めるのがしっくりくる。
ひとことでいうと
『Boisterous Love』は、2024年のOgives Big Bandによる、重さと実験性をあわせ持つ英国ロック作品。限定300枚という小規模リリースも含めて、バンドの現在地をそのまま切り取ったような1枚として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – /…./……. (0:15)
- A2 – Super Sanity (4:13)
- A3 – Chronic Thuggery (6:13)
- A4 – Brandishment (6:49)
- B1 – Annihilation (5:35)
- B2 – Absolute Unit (8:48)
Bunalım – Bunalım (2006)
Bunalım『Bunalım』について
トルコのアンダーグラウンド・ロック史を語るうえで、Bunalımは外せない存在だ。1969年に結成され、1970年から1972年にかけて少数のシングルを残しただけのバンドだが、その短い活動歴の中で、70年代初頭のトルコ音楽シーンに強い印象を残したグループとして知られている。
この『Bunalım』は、彼らが残したシングル群をまとめた編集盤として位置づけられる作品で、オリジナルの楽曲は1970年から1972年にかけて発表されたもの。2012年盤としてリリースされ、スペイン盤で手に取れる形になっている。ブックレットではなく、片面印刷のライナーノーツとクレジット用のインサートが付属する仕様。
バンドの背景
Bunalımという名前はトルコ語で「抑うつ」「いらだち」といった意味を持つ。彼らはトルコのロック・ミュージシャンであり、アナトリアン・ロックの重要人物でもあるCem Karacaのもとで活動し、マネジメントとプロデュースを受けていた。Cem Karacaは70年代トルコ・ロックの中心人物の一人で、この時代の文脈を考えるうえでも重要な存在だ。
メンバーはCengiz Teoman、Nihat Örerel、Melik Yirmibir、Berç Yenal、Nur Yenal、Aydin Çakus、Rifat Öncel、Ahmet Güvenç、Hüseyin Sultanoğlu。バンドとしての統一感だけでなく、後年それぞれが別の活動へつながっていく点でも、トルコ・ロック史の中で意味を持つグループだといえる。
音の印象
収録曲は、ヘヴィな質感のサイケデリック・ロックを軸に、トルコ音楽の要素が差し込まれる作り。ギターの硬さ、リズムの押し出し、東洋的な旋律の扱いが同居していて、当時の西洋ロックの影響をそのままなぞるのではなく、ローカルな感覚を前に出したタイプの演奏だ。
シングルを集めた構成なので、アルバム単位で組まれた流れというより、曲ごとの輪郭がはっきりしている印象になりやすい。短く鋭い曲の連なりとして聴くと、Bunalımの持っていた粗い熱量が伝わりやすい編集だろう。
位置づけ
Bunalımは、完成されたアルバムを残さなかった一方で、トルコの70年代ロックの初期像を示すバンドとして重要視されている。ディスコグラフィーが少ないぶん、残されたシングルの価値が高く、後年のコンピレーションや再発盤でその存在が改めて確認されるタイプのグループだ。
同時代の文脈で見ると、Cem Karacaやアナトリアン・ロック周辺の流れとつながる位置にあり、欧米のサイケデリック・ロックやハード・ロックの影響を受けつつ、トルコ独自の旋律やリズム感を組み込んでいる点が特徴的だ。
代表曲について
この盤はシングル曲の集成であり、特定のヒット曲を中心にした作品というより、バンドの代表的な録音をまとめて聴ける内容だ。Bunalımの初期トルコ・ロックを知る入口としては、単発の楽曲よりも、こうした編集盤のほうが全体像をつかみやすい。
まとめ
『Bunalım』は、70年代トルコ・ロックの荒さと輪郭を、そのまま残したような編集盤だ。少数のシングルしか残さなかったバンドの記録として、またCem Karacaの周辺から生まれた重要グループのまとめとして、資料性の高い一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Başak Saçlım (2:58)
- A2 – Hele Hele Gel (2:44)
- A3 – Bunalim (3:32)
- A4 – Tas Var Köpek Yok (3:56)
- A5 – Yollar (2:48)
- A6 – Yeter Artik Kadin (3:23)
- B1 – Bir Dünya Da Bana Ver (3:48)
- B2 – Kinali Gelin (3:47)
- B3 – Bir Yar Için (2:41)
- B4 – Ask Senin Bildigin Gibi Degil (3:45)
- B5 – Ayrilik Olmasaydi (3:31)
- B6 – Güzel (2:56)
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Bo Hansson – Music Inspired By Lord Of The Rings (1970)
Bo Hansson『Music Inspired By Lord Of The Rings』
Bo Hanssonは、スウェーデンのキーボード奏者/マルチ・インストゥルメンタリスト。本作『Music Inspired By Lord Of The Rings』は、J.R.R.トールキン『指輪物語』に着想を得たインストゥルメンタル作品で、オリジナルは1970年発表。ここで扱うUS盤は1972年リリースで、Buddah Recordsから出ている。
Hanssonは、Hansson & Karlssonで知られるようになった人物で、Jimi Hendrixとのセッション的な接点でも語られることがある。本作は、その後のファンタジー志向のインストゥルメンタル作品群の中でも、いちばん広く知られた1枚として位置づけられている。のちの英語圏では『Sagan Om Ringen』のタイトルでも知られる作品だ。
作品の性格
歌ものではなく、主役はキーボードとバンド・アンサンブル。アート・ロックとサイケデリック・ロックの間を行き来する作りで、テーマを細かく追うというより、場面ごとの空気を音で組み立てるタイプのアルバムになっている。全体に、モーグやオルガンの音色が前面に出やすく、ロックのリズム隊がその下を支える構図。
同時代のプログレッシブ・ロックと並べて語られることは多いが、英国勢の大作主義とは少し違い、もっと素朴で、録音の手触りも比較的直接的な印象を受ける。やや室内楽的に進む部分もあれば、バンドらしい推進力が前に出る場面もある。
収録曲について
曲名からして物語との対応がはっきりしていて、アルバム全体が章立てのように進む。中でもB面終盤の「Homeward Bound / The Scouring Of The Shire」は、ジャケット表記とレーベル表記で綴りが異なることで知られている。表記差はあるが、内容面では作品の締めくくりにあたる重要なトラック。
このアルバムには、シングル・ヒットのように広く独立して知られる曲があるタイプではない。ただし、作品全体としての知名度は高く、Bo Hanssonの代表作としてまず挙がる1枚になっている。
このUS盤について
この盤は1972年のUSリリースで、クレジットには「© & ℗ 1972 Buddah Records, Inc.」とある。Buddah Records配給のアメリカ盤として流通したもので、オリジナルの1970年盤とは発売年が異なる。作品そのものは1970年の時点で成立しており、こちらはその後のUS展開の一形態として見ておくのが自然だろう。
位置づけ
Bo Hanssonにとっては、初期の代表作にして、最も広く知られたアルバム。後年の幻想的なインスト作品につながる出発点としても見やすい。『指輪物語』という題材を、ロックの編成で長尺の組曲的に描いた点が、この作品の核になっている。
Hansson & Karlssonから続く鍵盤主導の感覚、そしてスウェーデンのロック/プログレ文脈が、そのまま物語性のあるアルバムへ結びついた1枚、と整理できる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Leaving Shire (2:47)
- A2 – The Old Forest / Tom Bombadil (3:42)
- A3 – Fog On The Barrow-Downs (2:28)
- A4 – The Black Riders / Flight To The Ford (3:48)
- A5 – At The House Of Elrond / The Ring Goes South (4:23)
- B1 – A Journey In The Dark (1:07)
- B2 – Lothlórien (3:22)
- B3 – Shadowfax (0:50)
- B4 – The Horns Of Rohan / The Battle Of The Pelennor Fields (3:58)
- B5 – Dreams In The Houses Of Healing (1:50)
- B6 – Homeward Bound / The Scouring Of The Shire (2:11)
- B7 – The Grey Havens (4:56)
関連動画
- Bo Hansson ► Lothlórien; Shadowfax; Horns of Rohan [HQ Audio] Lord of the Rings 1970
- Leaving Shire
- The Old Forest – Tom Bombadil
- Fog on the Barrow-Downs
- The Black Riders & Flight to the Ford
- In the House of Elrond & The Ring Goes South
- A Journey in the Dark
- Lothlòrien
- Shadowfax
- The Horns of Rohan & The Battle of the Pelennor Fields
Patrick Vian – Bruits Et Temps Analogues (1977)
Patrick Vian『Bruits Et Temps Analogues』について
Patrick Vianの『Bruits Et Temps Analogues』は、1977年にフランスで発表された電子音楽作品である。ジャズやロックの要素も含みつつ、当時の実験音楽の流れの中で制作されたアルバムとして位置づけられる。Patrick Vianはフランスのジャズ・ミュージシャン/作家Boris Vianの息子で、1960年代末から70年代初頭にかけてはRed Noiseのメンバーとして活動し、その後に短い期間ながら電子音楽へ向かった人物である。
作品の背景
このアルバムは、1976年6月にパリのStudio I.P.で録音されたとクレジットされている。制作地はフランス、リリースもフランス盤で、当時のフランス国内の実験音楽、プログレッシブ・ロック、ジャズ・ロックの周辺と自然につながる作品だと見られる。タイトルからも、音響そのものと時間感覚を扱う姿勢がうかがえる。
Patrick Vianにとっては、Red Noiseでのロック的な活動から電子音楽へと向かった時期の作品であり、キャリア全体を見たときにも重要な位置にある一枚といえる。作品数の多いアーティストではなく、このアルバムが特に名前と結びつきやすい。
音楽性と聴きどころ
収録曲は、電子音響を軸にしながら、ジャズ的なリズム感やロック由来の構成感もにじむ内容である。いわゆるシンセサイザー中心の無機質な電子音楽というより、手触りのある演奏とスタジオ処理が同居するタイプの作品として受け取られやすい。フランスの70年代実験音楽に見られる、即興性と構築性のあいだを行き来する作りが特徴になっている。
同時代の文脈で見ると、フランスのジャズ・ロックやプログレッシブ・ロックの周辺、また電子音楽の実験性を強く押し出した作品群と並べて語られることが多いタイプのアルバムである。比較対象としては、ロックのエネルギーを保ったまま音響実験に寄せた作品群や、ジャズの即興性を電子処理に接続した作品群が思い浮かぶ。
リリース情報
- アーティスト: Patrick Vian
- タイトル: Bruits Et Temps Analogues
- オリジナル・リリース年: 1977年
- リリース国: France
- 録音: 1976年6月、パリのStudio I.P.
- ジャンル: Electronic, Jazz, Rock
- スタイル: Fusion, Prog Rock, Experimental, Ambient
補足
この作品には大きく知られたヒット曲や、一般的に広く流通した代表曲として語られるトラックは見当たらない。むしろアルバム全体を通して聴かれる性格の強い作品であり、曲単位のシングル的な聴かれ方よりも、録音年代の空気感や音の組み立て方に注目される一枚である。
クレジット上では、1976年録音・1977年発表という流れがはっきりしており、70年代半ばのフランスにおける実験的な音楽制作の一断面として捉えやすい。Patrick Vianの名前を追ううえでも、この時期の動きは押さえておきたいところである。
トラックリスト
- A1 – Sphère (6:10)
- A2 – Grosse Nacht Musik (5:05)
- A3 – Oreknock (6:45)
- A4 – Old Vienna (2:10)
- B1 – R & B Degenerit ! (6:10)
- B2 – Barong Rouge (4:10)
- B3 – Tunnel 4, Red Noise (4:30)
- B4 – Bad Blue (1:56)
- B5 – Tricentennial Drag (2:20)
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Chillum – Chillum (1971)
Chillum『Chillum』について
Chillumの『Chillum』は、1971年にUKで出た作品で、UKのプログレッシブ・ロック/サイケデリック系の流れにある1枚です。アーティストとしてはSecond Handの後継にあたるグループで、メンバーはKen Elliott、Kieran O’Connor、Tony McGill、George Hartの4人編成。キーボード、メロトロン、オルガンを軸にしたバンド・サウンドが中心の作品として知られています。
バンドの位置づけ
Chillumは、前身バンドであるSecond Handの流れを受けた存在として語られることが多いです。前作までの延長線上にあるというより、メンバー構成を変えながら、より実験的でひねりのあるサウンドへ向かった時期の記録という見方がしやすい作品です。Ken Elliottの鍵盤類が前面に出る編成で、ギター、ベース、ドラムも含めて、ロックの基本形を保ちながら音の組み立てに重心があるタイプです。
サウンドの特徴
この作品は、電子的な響きとロックの骨格が同居する作りで、プログレッシブ・ロックの中でも実験色の強い部類に入る1枚です。メロトロンやオルガンの厚み、手触りのあるギター、やや唐突に展開が切り替わる構成など、同時代の英国プログレに見られる要素がまとまっています。サイケデリックな感触もあり、音の輪郭がはっきりした部分と、少し崩したような部分が交互に出るのがこの時期らしいところです。
同じ時代のUKバンドでいうと、King CrimsonやVan der Graaf Generatorのような緊張感のあるプログレ、あるいはソフトな幻覚性を含む初期のサイケ系と近い文脈で捉えられることが多いです。ただし、Chillumは大作志向というより、少人数編成で音を積み上げるタイプのバンドとして聴こえます。
作品の内容とエピソード
このLPは、オリジナル盤の装丁がかなり特徴的です。白い無地のスリーブに、緑のステンシルで「CHILLUM」と吹き付けたような文字が入り、赤いMushroomロゴが押され、さらに1ポンドの値札が付いていたという記録があります。カバーの個体差もあったとされ、当時のインディペンデントっぽい粗さと即席感がそのまま出た仕様です。加えて、バンドが地元の公衆トイレの前で撮られた写真も封入されていたという点が、この作品の妙なユーモアと脱力感を伝えています。
聴きどころ
はっきりしたヒット曲や代表曲を前提に聴く作品というより、アルバム全体の流れで味わうタイプの1枚です。曲ごとに見せ場を切り替えながら、鍵盤主体のアレンジ、即興感のあるバンド演奏、少し不穏な空気が続いていきます。特定の1曲だけが独立して広く知られているというより、アルバム単位でこのバンドの方向性を示す内容といえます。
まとめ
『Chillum』は、Second Handの流れを汲むUKバンドが1971年に残した、電子的な響きとロックの推進力を同居させた作品です。装丁や付属物まで含めて、当時のアンダーグラウンドな空気が強く出ている1枚で、英国プログレの中でもかなり個性のある部類に入るアルバムです。
トラックリスト
- A – Brain Strain
- B1 – Land Of Thousand Dreams
- B2 – Too Many Bananas
- B3 – Yes! We Have No Pajamas
- B4 – Promenade Des Anglaises
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Lyn Collins – Check Me Out If You Don’t Know Me By Now (1975)
Lyn Collins「Check Me Out If You Don’t Know Me By Now」について
Lyn Collinsは、1970年代前半のソウル/ファンク・シーンで存在感を残したシンガーだ。特に〈Think (About It)〉で知られ、楽曲中のブレイクやフレーズがヒップホップ以降のサンプリング文化で広く使われたことでも名前が残っている。そうした文脈の中で聴くと、この「Check Me Out If You Don’t Know Me By Now」も、彼女の持つソウル寄りの歌唱とファンクの推進力が前面に出た一枚として位置づけやすい。
作品の基本情報
- アーティスト: Lyn Collins
- タイトル: Check Me Out If You Don’t Know Me By Now
- オリジナルリリース年: 1975年
- 盤のリリース年: 1996年
- ジャンル: Funk / Soul
- スタイル: Soul, Funk
- リリース国: US
オリジナルは1975年の作品で、今回の盤は1996年のUS盤。レーベル表記には〈℗ 1974 Polydor Inc.〉と〈℗ © 1975 Polydor Inc.〉があり、バックカバーにはLyn Collinsの名と〈The Female Preacher〉の表記が見える。Polydorによる流通盤として出ている点も、当時のソウル/ファンク作品らしいリリース形態だ。
Lyn Collinsという歌い手
Lyn Collinsは1948年、テキサス州レキシントン生まれ。2005年にパサデナで亡くなっている。ソロでは、やはり〈Think (About It)〉が代表曲として扱われることが多い。James Brownプロデュースのゴスペル色を持つ楽曲で、短いブレイクや掛け声が後年のヒップホップやドラムンベースで大量に参照された。Rob Base and DJ E-Z Rockの〈It Takes Two〉で知られる〈Yeah! Woo!〉のフレーズも、この曲由来として語られることが多い。
そのためLyn Collinsは、単に70年代ソウルの歌い手というだけでなく、サンプリングの参照点としても重要な人物だ。彼女の声は、直線的に強く押すだけでなく、ゴスペル由来の伸びやかな運びと、James Brown周辺のタイトなビート感の両方を感じさせるところに特徴がある。
この盤の見どころ
1996年盤のノートを見ると、ランアウトグルーヴの識別番号から、この版は1996年か1997年ごろに初めてプレスされた可能性が高いようだ。ジャケットはセミグロス仕上げで、印刷はややシャープさを欠き、色味も落ち着いた見え方とのこと。オリジナル盤の時代感をそのまま持つというより、90年代半ばの再発らしい実用品としての仕上がりに近い印象だ。
こうした再発盤では、音源そのものの時代性に加えて、ジャケットやラベル表記から当時のオリジナル仕様を確認する楽しみがある。今回の盤も、1975年の作品を90年代に改めて手に取れる形にしたものとして見ると分かりやすい。
音楽的な位置づけ
1970年代半ばのUSソウル/ファンクの流れの中で、Lyn CollinsはJames Brown周辺の濃いファンク感と、女性ヴォーカルのソウル表現をつなぐ存在として語れる。〈Think (About It)〉のような代表曲が強く注目されがちだが、彼女の作品全体を追うと、ソウルの歌い上げとファンクの刻みが並ぶところに持ち味がある。
「Check Me Out If You Don’t Know Me By Now」も、その延長線上で聴くと自然だ。70年代のPolydor系ソウル作品として、当時のファンク/ソウルの手触りをそのまま残すタイトルであり、Lyn Collinsのディスコグラフィの中でも、代表曲だけでは見えにくい一面を確認できる作品だと言える。
まとめ
「Check Me Out If You Don’t Know Me By Now」は、1975年のLyn Collinsを知るうえで押さえておきたい1枚。〈Think (About It)〉で知られる強い個性を持ちながら、アルバム単位では70年代ソウル/ファンクの文脈にしっかり収まる内容だ。1996年盤はその作品を後年に再び流通させたもので、オリジナルの空気感を別の時代のパッケージで受け取れる点も興味深い。
トラックリスト
- A1 – A Foggy Day (4:02)
- A2 – To Each His Own (3:08)
- A3 – Put It On The Line (3:25)
- A4 – Mr. Big Stuff (3:59)
- A5 – How Long Can I Keep It Up (5:30)
- B1 – Baby Don’t Do It (3:25)
- B2 – Backstabbers (5:40)
- B3 – Rock Me Again & Again & Again & Again… (3:28)
- B4 – Try A Little Tenderness (3:10)
- B5 – If You Don’t Know Me By Now (5:22)
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Octobre – Clandestins (1981)
Octobre『Clandestins』について
Octobreの『Clandestins』は、1981年にカナダで発表された作品。バンド名のOctobreはフランス語圏のロック文脈を感じさせるが、このアルバムもまさにその流れにある1枚で、Rockの中でもProg Rockとして整理される内容になっている。
メンバーはPhilippe Herpin、Pierre Hébert、Mario Légaré、Gérard Leduc、Pierre Flynn、Jean Dorais、François Lanctôt。編成からして人数が多く、楽器の重なりや展開の組み立てに力を入れたバンドだったことがうかがえる。AllMusicやCitizenFreakでも取り上げられていることから、カナダのプログレッシブ・ロック史の中で一定の位置を持つグループとして見られている。
作品の位置づけ
『Clandestins』は、バンドのオリジナル作品として1981年に出たアルバム。70年代のカナダ産プログレの流れを引き継ぎつつ、80年代初頭の空気の中に置かれた作品として捉えやすい。フランス語圏カナダのロックでは、英語圏の大規模なプログレ・シーンとは少し違う、言葉の響きや歌の運びを重視した作りが目立つことがあるが、Octobreもその文脈で語られることが多い。
バンドの中では、後年の評価よりもまずこの時期の音作りやアンサンブルが見どころになりやすい。大編成を活かしたロックの組み立て、歌と演奏の間合い、曲ごとの構成の切り替えなど、プログレらしい要素が前面に出るタイプのアルバムといえる。
レコードとしての特徴
この盤は、歌詞入りのインナー・スリーブ付きで流通した。アルバムのタイトルはスパイン表記で誤って「Clandestin」となっている。こうした表記違いは初期プレスの個体差として記録されることがあるが、作品そのものは『Clandestins』として扱われている。
オリジナルの1981年盤として見た場合、当時の空気をそのまま持ったカナダ盤ロックの一例として楽しめる仕様。ジャケットやクレジットまわりも含めて、時代のレコードらしいまとまりがある。
サウンドの印象
実際の試聴では、曲ごとの展開を追う作りが印象に残る。プログレッシブ・ロックらしく、単純にリフを繰り返して進むというより、パートの切り替えや曲中の起伏で聴かせるタイプの構成。ボーカルを軸にしながらも、演奏陣の動きが前に出る場面があり、アンサンブルの密度がこの作品の核になっている。
派手さだけを狙うのではなく、フランス語の歌ものとしての流れを保ちながら、ロックの推進力を維持しているところが特徴的。80年代初頭の作品らしく、70年代的な大仰さをそのまま引きずるのではなく、整理された形でまとめている印象もある。
同時代の文脈
カナダのプログレッシブ・ロックというと、英語圏ではRushやFM、フランス語圏ではManeigeやPollenなど、地域ごとに異なる広がりがある。Octobreはその中でも、ケベックのロック史に近い位置で見られるバンドのひとつ。大きな国際的ヒットを前提にした作品というより、地域のロック文化の中で積み上げられたアルバムとして把握しやすい。
『Clandestins』は、そうした流れの中で1981年に残された、カナダ産プログレの一断面。バンドの編成、歌詞付きインナー・スリーブ、スパイン表記の誤記といった細部も含めて、当時のレコードとしての存在感がある一枚。
トラックリスト
- A1 – Pour Te Retrouver (4:28)
- A2 – Clandestins (4:10)
- A3 – L’imposteur (4:24)
- A4 – Je Veux Rouler (3:19)
- A5 – Chanson-Parenthèse (3:03)
- B1 – Prière D’asphalte (5:01)
- B2 – L’imaginoir (5:45)
- B3 – La Dernière Chance (5:20)
- B4 – Le Bout De La Ligne (2:32)
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Argent – Circus (1975)
Argent『Circus』について
『Circus』は、イギリスのロック・バンド、Argentが1975年に発表したアルバムである。Argentは、元The Zombiesのキーボーディスト、Rod Argentを中心に1969年にロンドンで結成されたバンドで、鍵盤を軸にした演奏と、ロック色の強い構成で知られている。
この時期のメンバーは、Rod Argent、Russ Ballard、Jim Rodford、Bob Henritに加え、John VerityとJohn Grimaldiも参加している。バンドの中でも編成の動きが見られる時期で、クレジットからも複数のギタリストが関わっていることがわかる。
作品の位置づけ
Argentは、デビュー以降、オルガンやピアノを前面に出したサウンドと、曲構成の緩急で注目されてきた。『Circus』も、その流れの中にある作品で、グループの後期にあたる1975年のアルバムとして位置づけられる。
同時代の文脈で見ると、1970年代中盤の英国ロック/プログレ系バンドが、長尺の展開だけでなく、曲のまとまりやメロディを重視していく流れの中にある。Argentもその周辺に置いて語られることが多く、CamelやYesのような大編成のプログレとは少し違い、よりソング志向のロックとして捉えられることが多い。
内容と聴きどころ
収録曲の詳細まではここでは触れないが、Argentの作品らしく、Rod Argentの鍵盤とRuss Ballardのギター/ヴォーカルが軸になる構成が想像しやすいアルバムである。バンドの初期から続く、ロックの推進力と、鍵盤の存在感の両立がこの作品でも重要な要素といえる。
Argentの代表曲としては、一般に「Hold Your Head Up」がよく知られている。『Circus』はその大ヒット曲を持つ時期の代表作とは少し異なるが、バンドの後期カタログを追ううえでは外せない一枚に位置づけられる。
オリジナル盤の仕様
このUS盤は1975年リリース。マット仕上げのスリーブに、歌詞と写真入りの内袋が付属している。表記上はCBS Inc. / Epic Recordsによる製造で、当時のアメリカ盤らしいクレジットになっている。
ジャケットや内袋の仕様からも、1970年代中盤のレコードとしての作りが感じられる。オリジナル期の盤として、当時のレーベル表記やパッケージを確認できる点も資料として興味深い。
まとめ
『Circus』は、Argentというバンドの鍵盤主体のロック・サウンドと、1970年代中盤のバンド編成の動きが見える作品である。The Zombiesから続くRod Argentの流れ、Russ Ballardを含むソングライティングの強さ、そしてプログレ寄りの要素とハードなロック感が同居する、当時の英国ロック文脈の中で見ておきたいアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Circus (3:45)
- A2 – Highwire (9:05)
- A3 – Clown (5:50)
- B1 – Trapeze (8:48)
- B2 – Shine On Sunshine (4:02)
- B3 – The Ring (1:20)
- B4 – The Jester (3:35)
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The One – Sunrise (2023)
The One『Sunrise』について
『Sunrise』は、オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、The Oneによる2023年作。リリースもオランダで、同年に登場した作品として扱われている。バンドの公式紹介でも、出自はオランダのプログレッシブ・ロック・バンドとされている。サブレーベルの案内や配信ページでも確認できるように、バンド名とアルバム名を前面に出した、現行の活動を示す1枚という位置づけになっている。
作品の輪郭
ジャンル表記はロック、スタイルはプログ・ロック、シンフォニック・ロック。70年代由来の組み立てを思わせる言葉が並ぶが、ここではあくまで作品の基本情報として押さえておきたい。タイトルは『Sunrise』。朝の始まりを連想させる名前で、アルバム全体の入口としてもわかりやすい。
現時点で確認できる範囲では、メンバー情報や制作ノートの詳細は公開されていない。ただ、公式の配信ページとレーベル案内が出ていることから、少なくとも2023年時点でバンドとして作品を届けていることははっきりしている。
パッケージと盤の仕様
リリース時のパッケージは、ゲートフォールド仕様のジャケット。2ページのプリント入りインサート、ブラックのポリライニング付きLPスリーブ、さらにシュリンクの表側にハイプステッカーが付いた形で案内されている。物としての作り込みが見える仕様で、LPとしての存在感を意識した装丁になっている。
同時代の文脈
The Oneのような現行のオランダ産プログ・ロックは、クラシックな構成感を持つ作品群の中に置くと見えやすい。シンフォニック・ロックという表記も含め、長尺の展開や楽器の重なりを重視する系譜とのつながりが読み取れる。オランダは昔からプログレ系の土壌が厚い地域として知られていて、その文脈の中で新作を出しているバンド、と整理できる。
聴きどころとして見えやすい点
実際の音については、配信ページ経由で確認できる範囲では、アルバムタイトル曲を含む形で作品全体が公開されている。プログ・ロック/シンフォニック・ロックの作品として、曲ごとの展開やレイヤーの積み方に耳を向けたくなるタイプのアルバムと考えられる。ヒット曲として広く知られた1曲を前面に押し出すというより、アルバム全体で流れを聴かせる構成の作品として受け取るのが自然だろう。
まとめ
『Sunrise』は、オランダのThe Oneが2023年に発表したプログ・ロック/シンフォニック・ロック作品。ゲートフォールド盤として丁寧にパッケージされ、バンドの現在地を示す1枚として見ていける。タイトル曲を含め、作品全体の流れを通して聴くタイプのアルバムといえる。
トラックリスト
- A1 – The Thoughts Of Light
- A2 – Time Out
- A3 – The Past Haunts Again
- A4 – Remember
- B1 – Let’s Laugh
- B2 – Between You & Me
- B3 – The Time Stands Still
- B4 – Sunrise
Jan Akkerman – Tabernakel = 流浪の神殿 (1973)
Jan Akkerman『Tabernakel = 流浪の神殿』(1973年)
オランダのギタリスト、Jan Akkermanが1973年に発表したソロ作品。Brainbox、そしてThijs van Leerと組んだFocusで知られる人物で、フォーカス在籍期の活動と並んで、ソロ名義ではより自由にギターの表現を広げていった時期の代表的な一枚として位置づけられる作品だ。
本作『Tabernakel』は、英語圏ではそのまま「Tabernakel」として知られ、日本盤では『流浪の神殿』という邦題が付いている。プログレッシブ・ロック文脈で語られることが多いが、単純にバンド然とした作品というより、ギターを中心に据えた構成のアルバムという印象が強い。Akkermanの名前を追ううえで、Focus以前・以後の流れをつなぐ位置にある作品として見られることも多い。
作品の特徴
この時期のAkkermanは、バンドの一員としての役割から離れ、ギタリスト個人としての色を前面に出している。技巧を見せるだけでなく、フレーズの置き方や音の間の取り方に耳がいく内容で、ロックを土台にしながらも、ジャズやクラシカルな感触が自然に混ざるのが彼らしいところだ。
Focusで広く知られる前後のソロ作と比べても、ギターの主張がはっきりしていて、旋律の運びを聴かせる場面が多い。派手な速弾きだけで押すタイプではなく、音色の切り替えやリズムの置き方に耳が向く作品で、Akkermanの個性が見えやすい。
同時代の文脈
1973年という時期は、ヨーロッパのプログレッシブ・ロックが充実していた頃でもある。Focusのようなオランダ勢はもちろん、英国勢のYes、King Crimson、Genesisなどと並べて語られることもあるが、Akkermanの場合はバンドの大編成を押し出すというより、ギタリストとしての輪郭がより前に出る。そうした意味で、本作は「プログレの中のギター作品」として聴かれることが多い一枚だ。
また、Akkermanは当時から“ギタリストのためのギタリスト”のような扱いを受けることもあり、後年のインスト寄りの演奏家たちと同じ棚に置かれることもある。とはいえ、本作は技巧の見本市というより、曲の流れの中でギターがどう歌うかを聴くタイプの作品という印象が強い。
収録曲について
日本盤のインサートには和文・英文の曲名が載っているが、「Lammy」の細かなサブトラックについては日本語表記が付いていない。アルバム全体としては、曲単位で切り出すよりも、流れで聴かれる構成になっている。
代表曲という意味では、Focus時代ほど広く知られたシングル曲が前面にある作品ではないが、Akkermanのギタリストとしての存在感を確かめるには分かりやすい内容だ。特定のヒット曲で押すアルバムではなく、アルバム全体の組み立てで聴かせるタイプの一枚である。
日本盤について
この1973年の日本盤は、マット仕様の見開きジャケットに帯付き、さらに日本語と英語の曲名を載せた片面1枚のインサートが付属する。ジャケット内側には「Printed in Japan」の表記がある。盤面はスタンパー刻印のある仕様で、同系統の日本盤には裏ジャケットに価格表記のない別仕様も見られる。
日本盤の体裁は、当時の国内流通盤らしい丁寧な作りで、作品の雰囲気をそのまま日本向けに整えたものになっている。洋楽ロックの輸入盤文化が広がっていた時代の空気も感じさせる。
Jan Akkermanという人物
Jan Akkermanは1946年12月24日、アムステルダム生まれのオランダ人ギタリスト。Brainboxの創設メンバーであり、Thijs van Leerと組んだFocusでも中心人物として活動した。1976年にFocusを離れ、その後はソロ活動へ進んでいく。姉妹関係としてはCocky Akkermanの兄としても知られる。
『Tabernakel』は、そうしたキャリアの中で、バンド・ギタリストからソロ・アーティストへと軸足を移していく流れの中にある作品。Focusの成功だけでは捉えきれない、Akkerman個人の演奏感覚を確認できるアルバムとして見てよさそうだ。
トラックリスト
- A1 – Britannia By John Dowland = ジョン・ダウランドによるブリタニア (3:55)
- A2 – Coranto For Mrs. Murcott By Francis Pilkington = フランシス・ピルキントンによるミセス・マルコットに捧げるコランテ (1:26)
- A3 – The Earl Of Derby, His Galliard By John Dowland = ジョン・ダウランドによるダービー卿のガリアード (1:36)
- A4 – House Of The King = 王の館 (2:23)
- A5 – A Galliard By Anthonie Holborne = アンソニー・ホルボーンによるガリアード (2:10)
- A6 – A Galliard By John Dowland = ジョン・ダウランドによるガリアード (1:31)
- A7 – A Pavan By Thomas Morley = トーマス・モーリーによるパバーヌ (3:03)
- A8 – Javeh = ユダヤ (3:22)
- B1 – A Fantasy By Laurencini Of Rome = ローマのローレンツィーニによるファンタジー (3:17)
- Lammy = ラミー (14:06)
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Various – Indonesia Pop Nostalgia – Pan-Indonesian Pop, Folk, Instrumentals & Children’s Songs 1970s-1980s (2012)
Various『Indonesia Pop Nostalgia – Pan-Indonesian Pop, Folk, Instrumentals & Children’s Songs 1970s-1980s』について
2012年にUSでリリースされたコンピレーション盤。タイトルの通り、インドネシアの1970〜1980年代に残されたポップス、フォーク、インストゥルメンタル、子ども向け楽曲をまとめた内容で、Various名義の編集作品になっている。アーティスト単独の作品というより、当時のローカルな音源を横断して拾い上げた記録集の性格が強い。
ジャンル表記はPop、Children’s、Folk、World、& Country、スタイルはKeroncong、Indo-Pop。インドネシア音楽の文脈で見ると、クロンチョンの素朴な弦の響きや、都市部のポップスに寄った歌もの、家庭向け・教育的な子ども向け曲までが同じパッケージに収まっているのがこの作品の特徴だ。ひとつの流行を追うというより、当時の生活の中にあった複数の音楽の並びをそのまま見せる構成になっている。
作品の全体像
この手の編集盤は、単一のスターを軸にしたベスト盤とは違い、曲ごとの表情の差が見えやすい。ポップ寄りの楽曲では、メロディを前に出した歌唱と軽いバンド編成が中心になりやすく、フォーク系では土着的なリズムや旋律の運びが残る。インストゥルメンタルは、歌ものとは別の場面を切り取るように配置されていて、時代の空気を音だけで追う感覚がある。
子ども向け楽曲が含まれている点も、この盤の輪郭をはっきりさせている。大人向けの流行歌だけではなく、学校や家庭で耳にするような用途の曲まで視野に入っているため、当時の音楽がどの範囲に広がっていたかを確認しやすい。単なる懐古ではなく、ローカル・ポップの広がりを俯瞰する編集といえる。
インドネシア・ポップとクロンチョンの文脈
インドネシアの大衆音楽は、地域ごとの要素を取り込みながら発展してきた。クロンチョンはその中でも歴史の長いジャンルで、弦楽器の刻みやメロディの流れに独特の型がある。そこに1970〜1980年代のポップスが重なると、より都市的で軽快なサウンドと、古い形式の名残が同居する。
この盤は、そうした境目の音をまとめて聴ける構成になっている点が面白い。ジャカルタ周辺の洗練されたポップというより、複数地域の感覚が混ざった「Pan-Indonesian」という言葉のほうがしっくりくる。地域横断の編集だからこそ、ジャンルの分かれ目が見えやすい。
同時代の比較対象
同じく東南アジアの1970〜1980年代音源を掘り下げた編集盤と並べると、この作品は派手さよりも資料性が前に出る。英米のディスコ再評価やシティポップ再発見のような文脈とは別で、ローカルな歌謡、民謡、教育音楽の混在をそのまま残しているのがポイントだ。
比較するなら、華やかなスター中心のポップス集より、地域音楽や民衆歌謡を拾うコンピレーションに近い。耳ざわりの統一感より、曲ごとの差異をそのまま受け取るタイプの編集盤だ。
盤としての位置づけ
2012年のリリースで、オリジナル作品というより編集盤としての意味合いが強い。アーティスト情報がVariousであることからも、個人のディスコグラフィーに入れるというより、インドネシア音楽の断片をまとめたアーカイブ的な一枚として見るのが自然だ。
再発盤とオリジナル盤の違いについては、この作品では編成や収録意図そのものが資料的な価値を持っている。だからこそ、単に音源を並べたものではなく、1970〜1980年代のインドネシアのポップ感覚、フォーク感覚、子ども向け音楽の距離感を一度に見渡せる点に意味がある。
まとめ
『Indonesia Pop Nostalgia – Pan-Indonesian Pop, Folk, Instrumentals & Children’s Songs 1970s-1980s』は、インドネシアの大衆音楽を広い視点で切り取ったコンピレーション盤。ポップ、フォーク、インストゥルメンタル、子ども向け楽曲が同居することで、当時の生活圏にあった音楽の幅が見えやすい。KeroncongとIndo-Popの並びも、この作品の方向性をよく示している。編集盤としてのまとまりより、音源の並置そのものに価値があるタイプの一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Buah Manggis (2:25)
- A2 – Mari Bergoyang (3:01)
- A3 – Jangan Menghina (1:57)
- A4 – Malam Joget (3:41)
- A5 – Dikijoknyo (4:15)
- A6 – Borondong Garing (3:53)
- A7 – Siti Padang (2:41)
- B1 – Bangla Desh (2:49)
- B2 – Kawanku (3:32)
- B3 – Sifat Manusia (5:09)
- B4 – Hidupku Untuk Tjinta (2:42)
- B5 – Endar Lela (6:15)
関連動画
- Dina Mariana – Mari Bergoyang
- Aria Jr. – Jangan Menghina
- Orkes Melayu Bulan Purnama – Malam Joget
- Kim – Dikijoknyo
- Bimbo – Borondong Garing
- Kamar Ruddin Z. – Siti Padang
- Orkes Melayu Purnama – Bangla Desh
- Ira Maya Sopha – Kawanku
- Zul Darwis & Asmidar Darwis – Sifat Manusia
- Aneka Ragam – Hidupku Untuk Tjinta
Joe Yamanaka – Live At Nippon Budokan (1978)
Joe Yamanaka『Live At Nippon Budokan』について
Joe Yamanakaの『Live At Nippon Budokan』は、1978年に日本で発表されたライヴ作品だ。横浜生まれのヴォーカリスト、ジョー山中が日本武道館のステージで見せる歌唱を記録した内容で、ロックの中でもブルース色の強さと、当時のサイケデリックな感覚が同居する一枚として受け取れる。
ジョー山中は、1946年9月2日生まれ、神奈川県横浜市出身。2011年8月7日に横須賀市で亡くなった。日本のロック史では、力強い声とソウルフルな表現で知られる存在で、このライヴ盤もその個性が前面に出る作品という位置づけになっている。
作品の輪郭
タイトルどおり会場は日本武道館。大きなアリーナ空間で、スタジオ録音とは違って、声の伸びや息継ぎ、観客の反応がそのまま記録されるタイプの作品だ。ライヴ盤らしく、楽曲そのものだけでなく、演奏の勢いや場の空気が作品の印象を形づくっている。
収録内容の詳細な曲順まではここでは触れないが、ジョー山中の代表的な歌声をライヴで聴ける記録として見るとわかりやすい。ヒット曲やよく知られた楽曲に触れる際も、こうした大型会場での演奏ならではのスケール感が出やすい。
聴きどころのポイント
この作品でまず目に入るのは、ヴォーカルの存在感だ。ジョー山中の歌は、言葉のひとつひとつを押し出すというより、フレーズ全体で熱を持たせるタイプで、ライヴではその輪郭がさらにはっきりする。ブルース・ロック寄りの粘りと、サイケデリック・ロック由来の広がりが、ステージ上で自然に接続している印象だ。
また、ライヴ盤としては、歌だけでなくバンド全体の押し引きが見えやすい作品でもある。音を詰め込みすぎず、間を残した演奏が続くと、武道館の広さがそのまま音像に反映される。スタジオ盤とは別の表情を持つ記録として見ておきたいところ。
パッケージについて
この盤には、歌詞とクレジットを収めた4ページのインサートが付属する。さらに、8ページのカラー写真ブックレットも付く仕様だ。ライヴ作品らしく、音だけでなく当時のステージの雰囲気を紙面でも追える構成になっている。
同時代の文脈
1970年代後半の日本のロックは、英米のハードなロック感覚やブルースの影響を受けながら、日本語の歌唱や国内のライヴ文化をどう結びつけるかが大きなテーマだった。ジョー山中のように、声の強度を軸にしたヴォーカリストは、その流れの中でも印象が残りやすい存在だ。ブルース・ロック、サイケデリック・ロックという枠組みの中で語られることが多いのも納得しやすい。
まとめ
『Live At Nippon Budokan』は、1978年時点のジョー山中の歌唱とライヴの空気をそのまま記録した作品だ。日本武道館という会場、ライヴならではの熱、そして歌声の存在感が前に出る一枚。ジョー山中というヴォーカリストの立ち位置を、スタジオ盤とは違う角度から確認できる記録として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – World Rock Festival Band (2:57)
- A2 – New Generation (4:25)
- A3 – Woman (Shadows Of Lost Days) (6:18)
- A4 – (You’Re) A Part Of Me (6:06)
- A5 – Just One Step (6:00)
- B1 – Endless Way (4:56)
- B2 – Make Up (5:16)
- B3 – The Theme From “Proof Of The Man” = 人間の証明のテーマ (4:08)
- B4 – To The New World (8:22)
Icare – Aquarelle (1980)
Icare『Aquarelle』について
『Aquarelle』は、フランスのプログレッシブ・ロック・グループ、Icareによる1980年作のアルバムだ。アーティスト情報としては、1970年代末に活動したフランスのグループとして知られている。メンバーには Michel Fauconier、René Tocchini、Salvatore Ministeri、Edwin Ladowski、Jean François Back の名前が挙がっている。
作品の軸は、電子的な音色とロックの演奏感が同居するところにある。フランス産のプログレッシブ・ロックらしく、単純に曲を並べるというより、音の切り替えや展開を重ねながら進むタイプの一枚として見てよさそうだ。1980年という時期を考えると、70年代プログレの流れを受けつつも、より整理された音像に寄っている印象を持つ人もいるかもしれない。
作品の位置づけ
Icareは、70年代後半のフランスのプログレ・シーンに属するグループとして位置づけられる。『Aquarelle』は、その活動の中で残された代表的な記録のひとつとして扱われることが多い。バンドのプロフィールから見ても、時代の終盤にプログレ的な構成力を持ち込んだ作品という見方がしやすい。
同時代のフランスのプログレ系バンドと比べると、シンフォニックな流れを強く押し出すタイプというより、演奏の骨格に電子的な質感を加えた作りに目が向く。Genesis系の大仰さや、Yes系の技巧を前面に出すというより、フランスのロック文脈の中で独自の整理の仕方をしている作品として受け取られやすいだろう。
聴こえ方の印象
実際に聴くと、まず耳に入るのは音のレイヤー感だ。ギター、キーボード、リズム隊がそれぞれを埋めすぎず、少しずつスペースを取りながら進む。派手なフックを連発するというより、曲の中で音を積み上げていく構成に特徴がある。ロックの推進力と、電子音色の冷たさが同じ場面で並ぶところが、この作品の核に見える。
派手なヒット曲で引っ張るタイプのアルバムというより、全体を通して流れを追うことで輪郭が見えてくる作りだ。曲ごとの切り替わりや、演奏の密度が変わる場面にこの時代らしさが出ている。
80年フランス作としての見どころ
1980年のフランス製プログレという点も、この盤を考えるうえで大きい。70年代前半の黄金期の延長というより、時代が変わった後に残ったプログレの感覚がどう更新されたかを見る材料になっている。ロックの基本形を保ちながら、電子的な質感を取り入れているあたりに、その時代の空気がある。
再発盤とオリジナル盤の明確な差異については、手元の情報だけでは断定しにくいが、少なくとも作品としては1980年のオリジナル・リリースを起点に理解するのが自然だろう。
まとめ
Icare『Aquarelle』は、フランスの70年代末プログレ・グループが残した1980年作のアルバムだ。電子的な質感とロックの演奏を組み合わせた構成で、時代の変わり目にあったフランスのプログレ作品として眺めると、輪郭がつかみやすい。大きな話題性よりも、当時のシーンの中でどう鳴っていたかに注目したい一枚である。
トラックリスト
- A1 – Aquarelle (8:45)
- A2 – Adam (7:30)
- A3 – Mon Ami Benjamin (2:50)
- B1 – Le Mousse Capitaine (6:19)
- B2 – Prière D’Un Roi Déchu (3:58)
- B3 – In Memory Of (4:25)
- B4 – Pastorale (4:02)
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Steve Hillage – Fish Rising (1975)
Steve Hillage / Fish Rising
1975年に登場したSteve Hillageのソロ・デビュー作。UKのギタリストとして知られるHilllageが、Gongでの活動を経て発表した作品で、ソロ名義ではあるものの、すでに彼の持ち味になっていたギターの処理や、宇宙的な広がりをもつ構成がはっきり出ている1枚だ。リリース国は日本盤、ここで扱う盤も1975年の初出時のものになる。
Steve Hillageは、もともとGongのメンバーとして知られ、その前後にはKevin Ayers周辺でも活動していた人物。Gongで身につけたグリッサンド気味のギター表現、エフェクトを絡めた音作りが、このソロ作でも中心にある。のちにアンビエント寄りの方向へ進む前段階としても位置づけられる作品で、ギタリストとしての個性が前面に出た時期の記録といえる。
作品の輪郭
『Fish Rising』は、ロックを軸にしながらも、スペース・ロック、プログレッシブ・ロック、サイケデリック・ロックの要素が強い。そこに電子的な処理やジャズ・ロック的な展開、実験的な組み立ても重なる。曲のつなぎ方や音の重ね方に、当時のUKプログレの流れが見える一方で、Gong由来の浮遊感も残っている。
実際に聴くと、単にギターが前に出るだけではなく、リフ、反復、シンセの層が少しずつ重なっていく作りが目につく。派手なソロで押し切るというより、音色の変化と空間の使い方で聴かせるタイプの作品だ。とくにエコーやリヴァーブを含んだギターの伸び方は、後年のアンビエント寄りの仕事を思わせる部分がある。
Gongとのつながりと当時の位置づけ
Steve Hillageにとってこの作品は、Gongでの経験をソロの形に持ち込んだ初期の代表作として見られることが多い。Daevid Allenのグリッサンド・ギターの影響を受けつつ、自分の音として整理していく過程がうかがえる。Gongの作品群と並べると、集団の中での自由さを保ちながら、よりギタリスト主導の構成へ寄せた印象がある。
同時代のUKプログレやスペース・ロックの中では、Hawkwindのような反復重視のサイケ寄りバンド、あるいはソロでも拡張的な音像を作るRobert Fripp周辺と比べられる場面がある。とはいえ、『Fish Rising』はそのどちらとも少し違い、メロディと浮遊感、そしてギターのフレーズ感が前に出る作りになっている。
盤の仕様と初回盤らしさ
この日本盤は1975年リリースの初回プレスで、インサート付き。初回盤ならではの基本仕様を持つ。再発盤ではなく当時の盤として扱うため、作品の初期の姿をそのまま追えるタイプの1枚だ。
注目点
- Steve Hillageのソロ初期を代表する作品
- Gongで培ったギター表現がはっきり出ている内容
- ロック、スペース・ロック、プログレ、サイケデリックの要素が交差する構成
- のちのアンビエント/エレクトロニック方面へつながる音作りの原型
- 1975年当時のUKプログレ文脈を感じやすい1枚
まとめ
『Fish Rising』は、Steve HillageがGongの文脈から独立し、自分のギター・サウンドを前面に出した作品として聴ける。曲ごとの展開よりも、音色、残響、反復、空間の作り方に耳が向くアルバムで、1970年代半ばのUKプログレ/スペース・ロックの空気をそのまま閉じ込めたような内容だ。ソロ作としての出発点でありながら、すでに後年の方向性まで見えてくるところが興味深い。
トラックリスト
- Inglid / Involution
- Solar Musick Suite (16:55)
- A2 – Fish (1:23)
- A3 – Meditation Of The Snake (3:10)
- Outglid / Evolution
- The Salmon Song (8:45)
- Aftaglid (14:46)
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Oingo Boingo – Only A Lad (1981)
Oingo Boingo『Only A Lad』について
『Only A Lad』は、USのニューウェーブ・バンド、Oingo Boingoが1981年に発表した1作目のアルバム。Danny Elfmanを中心に、スカ、パンク、ポップ、アートロックの要素を持ち込んだ初期Oingo Boingoの輪郭が、そのまま前面に出た作品である。のちに映画音楽家としても知られるElfmanの、バンドとしての出発点を確かめるうえで重要な一枚でもある。
バンド初期の勢いが強く出たデビュー作
Oingo Boingoは、1976年からElfmanが率いていたサークル的な音楽劇団「The Mystic Knights of the Oingo Boingo」を母体に、1979年にバンドとして動き出した。『Only A Lad』は、その初期段階でのまとまりを記録したアルバムで、ホーンを含む編成と、速いテンポの曲、リズムの切り替えの多さが目立つ。一般的なロックの枠に収まりきらない作りだが、各曲のフックははっきりしていて、聴きやすさもある。
同時代のUSニューウェーブの中では、XやThe Crampsのようなストレートなパンク寄りのバンドとも、Devoのようなひねりのあるアプローチとも少し違う立ち位置にある。スカの跳ね方やホーン・アレンジが前に出るぶん、ロサンゼルス周辺のシーンらしい賑やかさも感じやすい作品だ。
収録曲と代表曲
このアルバムでよく知られるのはタイトル曲「Only a Lad」。少年犯罪や社会の目線を題材にしたような内容で、軽快なリズムの上に皮肉の効いた歌が乗る。Oingo Boingoらしい、明るい音と不穏な語り口の組み合わせが早い段階で見える曲である。
もうひとつ重要なのが「You Really Got Me」。Kinksのカバーで、原曲のロックンロール的な勢いを保ちながら、Oingo Boingo流の管楽器やリズム感で再構成している。アルバム内でも異なる起点を示す1曲になっている。
- 「Only a Lad」: アルバムの軸になるタイトル曲
- 「You Really Got Me」: Kinksのカバー曲
聴きどころ
実際に聴くと、まず耳に残るのはDanny Elfmanの歌い方と、ホーン・セクションの押し出しの強さだ。ギターが前面に出る場面でも、管楽器が単なる装飾で終わらず、曲のリフや展開を引っ張っていく。ドラムも直線的に進むだけでなく、細かい切り替えが入るため、1曲の中で景色が変わる感覚がある。
また、全体としてテンションが高く、短い曲でも情報量が多い。ニューウェーブらしい乾いた質感と、ライヴ感のある一体感が同居していて、バンドが当時かなり強い演奏力を持っていたことが伝わる内容である。
この時期のOingo Boingoの位置づけ
『Only A Lad』は、後年のOingo Boingoが見せるよりポップ寄りの方向性よりも前の、スカとパンクの影響がはっきりした時期の記録として見やすい。1980年代前半のUSニューウェーブが、パンク以後の速さやラフさを残しながら、ポップや実験性を取り込んでいた流れの中に置くと、このアルバムの性格はかなり分かりやすい。
バンドはこの後、編成や音楽性を変えながら長く活動するが、『Only A Lad』にはその出発点ならではの荒さと密度がある。デビュー作として、Oingo Boingoの基本の動きがまとまった一枚という印象である。
盤の情報
このUS盤はA&M Recordsからの1981年リリースで、内袋に歌詞とクレジットが記載されている。A&Mロゴ横の「Z」は、Columbia Records Pressing Plant, Santa Mariaでのプレスを示すものとされる。裏ジャケットにプロモーション用のスタンプが入る個体もある。
まとめ
『Only A Lad』は、Oingo Boingoの初期像をそのまま伝えるアルバムである。Danny Elfmanの個性的な歌唱、ホーンを含む編成、スカやパンクの要素、そしてニューウェーブらしいひねりが、1枚の中でしっかり結びついている。のちの大きな変化を知ったうえで聴くと、バンドの原点として見えてくる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Little Girls (3:44)
- A2 – Perfect System (3:46)
- A3 – On The Outside (3:39)
- A4 – Capitalism (3:40)
- A5 – You Really Got Me (4:40)
- B1 – Only A Lad (3:56)
- B2 – What You See (3:43)
- B3 – Controller (3:24)
- B4 – Imposter (2:59)
- B5 – Nasty Habits (4:06)