Deep Purple – Stormbringer (1974)
Deep Purple『Stormbringer』について
『Stormbringer』は、Deep Purpleが1974年に発表した9作目のスタジオ・アルバムだ。メンバー変遷の多いバンドだが、この時期はデヴィッド・カヴァデール(vocals)、グレン・ヒューズ(bass, vocals)、リッチー・ブラックモア(guitar)、ジョン・ロード(keyboards)、イアン・ペイス(drums)という編成。いわゆる「Mark III」の時代にあたる作品で、前作『Burn』に続く流れの中にある。
日本盤は1976年にワーナー・パイオニアからリリースされた盤で、インサートと帯付きの仕様。オリジナルの1974年盤とは発売時期が異なるため、国内流通盤としての位置づけで見るのが自然だ。
作品の位置づけ
Deep Purpleは、Led ZeppelinやBlack Sabbathと並んでハードロック/ヘヴィメタルの初期を支えたバンドとして語られることが多い。その中で『Stormbringer』は、従来の重厚なギター・リフ主体の曲作りに加えて、ファンクやソウルの要素がより前面に出た時期の作品として知られている。
バンドのキャリア全体で見ると、Mark II期の代表的な攻撃性とは少し違う方向を示したアルバムだ。とはいえ、演奏の密度や各パートの分離ははっきりしていて、Deep Purpleらしいバンド・アンサンブルは保たれている。
収録曲と代表曲
タイトル曲「Stormbringer」は、このアルバムを代表する1曲。ジョン・ロードのキーボードとブラックモアのギターが前に出る構成で、ハードロックの枠組みの中に別のリズム感が入っている。
シングルとしては「Stormbringer」「You Can’t Do It Right (With the One You Love)」「Lady Double Dealer」が出ている。特に「Stormbringer」は、後年のライブでも存在感を持つ曲として扱われてきた。
アルバム全体では、
- 「Stormbringer」
- 「You Can’t Do It Right (With the One You Love)」
- 「Soldier of Fortune」
あたりがよく知られている。中でも「Soldier of Fortune」は、派手な演奏よりも曲そのものの構成が印象に残るタイプで、アルバム後半の流れを作っている。
同時代の文脈
1974年前後のハードロックは、より重く、より大きな音へ向かう流れの中にあった。Deep Purpleもその中心にいたが、『Stormbringer』では単純に音を重ねるのではなく、リズムやグルーヴの置き方に変化が見える。Led ZeppelinやBlack Sabbathが別の方向へ音を拡張していた時期と重なるが、Deep Purpleはその中でキーボードとツインの表情を活かしながら、バンドとしての別の顔を出している。
聴きどころ
実際に聴くと、まず耳に入るのはリズム隊の押し出しだ。イアン・ペイスのドラムは硬く、グレン・ヒューズのベースと歌が前景に出る場面も多い。そこへジョン・ロードの鍵盤が差し込まれ、リッチー・ブラックモアのギターが曲の輪郭を決める、という流れがはっきりしている。
『Stormbringer』は、Deep Purpleの中でも編成の個性がそのまま音に出ているアルバムだ。ハードロックの骨格を保ちながら、ソウルフルな歌唱やファンク寄りのノリが混ざる時期の記録として、バンドの変化を追ううえで重要な1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Stormbringer (4:03)
- A2 – Love Don’t Mean A Thing (4:23)
- A3 – Holy Man (4:28)
- A4 – Hold On (5:05)
- B1 – Lady Double Dealer (3:19)
- B2 – You Can’t Do It Right (With The One You Love) (3:24)
- B3 – High Ball Shooter (4:26)
- B4 – The Gypsy (4:13)
- B5 – Soldier Of Fortune (3:14)
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Terpandre – Terpandre (1981)
Terpandre『Terpandre』について
Terpandreは、フランスのインストゥルメンタル・シンフォニック・プログレッシブ・ロック・グループによる唯一のアルバムとして知られる作品だ。オリジナルは1981年作で、ここで取り上げる盤は1988年のフランス盤再発。Museaからの再発盤として流通したことで、後年に広く知られるようになったタイトルでもある。
バンドはPatrick Tilleman、Michel Tardieu、Michel Torelli、Paul Fargier、Jacques Pina、Bernard Monerriの6人編成。歌ものではなく、演奏を中心に組み立てられた作品で、メロトロンを前面に感じさせる点が大きな特徴として語られてきた。The Enidを思わせる、と評されることがあるのもこのあたりの要素によるものだろう。
作品の位置づけ
Terpandreにとっては、実質的にこの1枚がグループの記録そのものだ。1978年6月にAquarius Studiosで録音され、1981年にアルバムとして世に出た。フランス産のシンフォニック・プログレの中でも、比較的入手難のタイトルとして扱われてきた一枚で、Musea盤の再発によって再評価が進んだ流れが見える。
再発盤ではオリジナルと少し異なるジャケットが使われ、メンバー写真と英語のバンド・ヒストリーを収めたインサートが付属している。裏面にはMuseaのカタログも掲載されており、当時の再発盤らしい資料性のある仕様になっている。
音の印象
実際の内容は、メロトロンを含む鍵盤類を軸にした、演奏主体のシンフォニック路線として整理できる。フランスのプログレらしい端正さと、組曲的に展開していく構成感が印象に残る作品だ。歌詞やボーカルに頼らず、楽器の対話で曲を進めていくタイプのアルバムなので、同系統の欧州シンフォニック・ロックを聴き慣れた耳には、比較のしやすい内容になっている。
曲名単位で大きく知られたヒット曲があるタイプではなく、アルバム全体の流れで聴かれる作品。1曲ごとの派手なフックよりも、連続する展開や音色の積み重ねに重心がある。
同時代・周辺との関係
1980年代初頭のフランスでは、70年代から続くシンフォニック・プログレの文法を引き継ぐ作品がいくつか残されている。Terpandreもその流れの中に置けるタイトルで、英国勢の大仰なシンフォニック・ロックと比べると、よりコレクター向けの文脈で語られてきた印象がある。Museaの再発で広く流通した点も含め、掘り起こされたフレンチ・プログレの一例として見られている。
まとめ
『Terpandre』は、フランスの無名に近いインストゥルメンタル・シンフォニック・プログレ・バンドが残した唯一作であり、1981年のオリジナルと1988年のMusea再発の両方で語られるアルバムだ。メロトロンを含む鍵盤主体の作り、英語資料付きの再発盤、そして単独作という背景が、この作品の輪郭をはっきりさせている。
トラックリスト
- A1 – Le Temps
- A2 – Conte En Vert
- A3 – Anne Michaele
- B1 – Histoire D’Un Pecheur
- B2 – Caroussel
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Mike Oldfield – Tubular Bells = チューブラー・ベルズ (1973)
Mike Oldfield / Tubular Bells = チューブラー・ベルズ
マイク・オールドフィールドのTubular Bellsは、1973年に発表された初期代表作で、本人の名を広く知らしめたアルバムだ。マルチ楽器奏者としての手腕を前面に出した作品で、ロック、フォーク、クラシック寄りの要素をつなぎながら、長尺の組曲のように進んでいく構成になっている。
この日本盤は1974年のリリース。オリジナルの1973年盤から少し遅れて出たもので、黒地に紫と白の文字の帯、セミグロスのジャケット仕様、2ページのインサート付きという体裁だ。インサートには英日両表記の曲名と日本語ライナーが載っている。
作品の位置づけ
このアルバムは、マイク・オールドフィールドにとって出世作として知られている。ヴァージン・レコードの初期を決定づけた作品でもあり、のちのキャリアを語るときにも外せない一枚だ。本人のプロフィールでも、1973年のヒット作として特に挙げられている。
録音はThe Manorで、1972年秋から1973年春にかけて行われた。制作時期を考えると、当時の英国の実験的なロック作品や、長尺の演奏を軸にした作品群と同じ空気を持っている。ただ、ここではバンドの合奏というより、オールドフィールド自身の多重録音と構成力が中心に置かれている。
内容と聴きどころ
表題曲「Tubular Bells」は、この作品を象徴する長大な楽曲だ。マスターノートによれば、オールドフィールド本人はこの曲の着想について、バッハの「Fugue in Minor」の短い部分を逆向きに発想したものだと語っている。古典的なモチーフを下敷きにしつつ、それを別の形に組み替えていく作法が、この曲の骨格にある。
曲は一気に盛り上がるタイプではなく、楽器の音色やフレーズの積み重ねで場面が変わっていく。チューブラー・ベルの響きも、そのまま作品の印象を決める要素だ。オーケストラ的な厚みより、個々の音の配置と反復の組み立てが目立つ。
この盤からシングル化された曲もあり、アルバムの中でも表題曲の存在感は特に大きい。後年の再評価も含め、この一枚の顔としてまず挙がるのはやはり「Tubular Bells」になるだろう。
日本盤としての特徴
1974年盤の日本発売という点では、オリジナル盤との時間差がある。クレジットは℗&©1973 Virgin Records Ltd.となっており、作品そのものは1973年作として扱われる一方、こちらの盤は日本国内で流通した初期プレスの一つという位置づけだ。
付属インサートの表記に関しては、B面の曲長が23:00と誤記されているが、レーベル面では23:50と正しく記載されている。こうした細かな違いも、初期盤を見ていくときの面白いところだ。
同時代の文脈
1973年前後の英国ロックでは、長尺構成、変拍子、民族音楽やクラシックへの接近がいくつも見られる。マイク・オールドフィールドの作品もその流れにあるが、彼の場合はギターを中心にしながら、ひとりで複数のパートを積み上げていく点が際立っている。プログレッシブ・ロック周辺の作品と並べて語られることが多いのも、その構造のためだ。
また、後年の「Moonlight Shadow」や「In Dulci Jubilo」で知られるようになる以前から、すでに作曲家としての輪郭はこの時点でかなりはっきりしている。派手な歌ものではなく、作品全体の設計で聴かせるタイプの出発点として重要なアルバムだ。
まとめ
1973年のオリジナル発表、1974年の日本盤という流れで見ても、このレコードはマイク・オールドフィールドの代表作として扱われる一枚だ。多重録音、長尺構成、チューブラー・ベルの音色、そしてバッハ由来の発想。そうした要素が一つの作品にまとまっている。初期ヴァージンを象徴するタイトルとしても、記録性の高い盤だ。
トラックリスト
- A – Tubular Bells = チューブラー・ベルズ (25:00)
- B – Tubular Bells = チューブラー・ベルズ (23:50)
High Tide – Precious Cargo (1989)
High Tide『Precious Cargo』(1989)について
High Tideは、1969年にロンドンで結成されたイングランドのサイケデリック/プログレッシブ・ロック・バンドだ。トニー・ヒルのギター、サイモン・ハウスのバイオリンを軸にした編成で知られ、1970年にいったん活動を終えたのち、1976年、1979年、そして1989年から1990年にかけても再び姿を見せている。『Precious Cargo』は、その1989年の時点で世に出た作品で、収録されている音源自体は1970年10月から11月にかけて、イギリスのプダットン/ドーセットでスタジオ・ライブとして録音されたものだ。
作品の位置づけ
この作品は、High Tideの初期を伝える音源として位置づけられる。バンド名義で正式に未発表だった素材が、のちにまとまって出た形で、当時の演奏の熱量やアンサンブルの密度をそのまま記録した一枚といえる。メンバーには Simon House、Peter Pavli、Tony Hill、Roger Hadden、Dave Tomlin、Drachen Theaker、Andy Rickell らがクレジットされている。
内容と聴きどころ
収録音源は「ライブ・ジャム」として紹介されることもあるが、実際には1970年のスタジオ録音で、演奏のまとまりと即興性が同居したタイプの記録だ。High Tideらしい点は、ギターとバイオリンが前面に出る編成にある。ロックの基本形から少しずれた音の配置が、そのままバンドの個性になっている。
この時期のイギリスのプログレッシブ・ロックには、長尺の展開、反復、即興、暗めの音像を持つグループが少なくない。High Tideもその流れの中で語られることが多く、同時代の重めのプログレやサイケデリック・ロックと並べて見られることがある。とはいえ、一般的なオルガン主導のプログレとは違い、High Tideはバイオリンの存在がかなりはっきりしていて、そこが聴き分けやすいポイントになっている。
1989年盤としての意味
1989年リリースのこの盤は、録音からかなり時間を経て初めて世に出た音源という点が重要だ。オリジナル時点での未発表素材が、のちの時代に掘り起こされたかたちで、バンドの初期像を後から確認できる内容になっている。再発盤では「Live jam 1970」と表記されることもあるようだが、この1989年盤では1970年録音の資料性が前面にある。
High Tideというバンドを知る手がかりとして
High Tideは活動期間が長く続いたバンドではないが、断続的な再始動を含めて、特定の時期ごとに違う姿を見せている。『Precious Cargo』は、その中でもかなり早い時期の演奏をまとめたもので、バンドの出発点を追ううえでの手がかりになる一枚だ。1970年前後の英プログレ、サイケ、ヘヴィな即興演奏に関心が集まる文脈で語られることが多い作品といえる。
トラックリスト
- A1 – Blood Lagoon (6:02)
- A2 – Quest (5:47)
- A3 – Inflight (5:48)
- A4 – Ice Age (3:32)
- B1 – Movie Madness (4:10)
- B2 – Exploration (9:08)
- B3 – Rock Me On Your Wave (7:45)
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New England – Explorer Suite (1980)
New England『Explorer Suite』について
New Englandは、ボストン出身のロック・バンドで、Infinity Recordsからデビューした4人組だ。『Explorer Suite』は1980年に出た作品で、同バンドの初期像を知るうえでの1枚にあたる。メンバーはJimmy Waldo、John Fannon、Gary Shea、Hirsh Gardner。いわゆるAOR寄りのポップ・ロックと、少し組曲的な構成を感じさせるプログレッシブ・ロックの要素が同居するタイプのバンドとして知られる。
バンドのプロフィールをたどると、デビュー作ではシングル「Don’t Ever Wanna Lose Ya」が小ヒットを記録し、一定の注目を集めた。その後、レーベル事情もあって活動環境が変わり、後年のアルバムへつながっていく。そうした流れの中で見ると、『Explorer Suite』は、彼らがまだ勢いと試行錯誤の両方を持っていた時期の記録として位置づけられる。
作品の印象
実際の音像は、きっちり整えられたハードさよりも、メロディーの分かりやすさとバンド演奏のまとまりを前に出した仕上がりに感じられる。ギター、キーボード、コーラスの重なりが曲の推進力を作っていて、アメリカン・ロックらしい明快さの中に、少しだけ展開の多い構成が入るところがこのバンドらしいところだ。
同時代の文脈でいうと、BostonやStyxのようにメロディーと演奏の密度を両立させる80年前後のロックの流れの中に置いて考えやすい。New Englandはその中でも、よりストレートなロック感と、部分的にプログレ的な組み立てを持つバンドとして扱われることが多い。
収録内容と8曲構成
この盤は8曲入り。曲数が少なめなぶん、1曲ごとの輪郭がはっきり出やすい構成だ。大作志向というより、各曲のフックやリフ、コーラスの作り方で聴かせるタイプのアルバムと言える。
- 8曲構成
- ロックを基盤にしたポップな旋律
- 要所で組曲的な流れを感じる場面
代表曲について
New Englandを語るときは、やはりデビュー期の「Don’t Ever Wanna Lose Ya」が外しにくい。Top 40入りしたシングルとして知られ、バンドの名前を広めた曲だ。『Explorer Suite』の時点でも、そうしたメロディーの強さはバンドの核として残っているはずで、シングル向きの押し出しとアルバム全体のまとまりが両立しているのが特徴になっている。
リリース情報とこの盤の見どころ
オリジナルは1980年のUSリリース。バンドの初期活動期に出た作品で、当時のアメリカン・ロックの空気をそのまま閉じ込めたような時期の記録だ。プロモーション用の盤として流通したものは、一般流通盤と比べて扱いが異なることがあるが、作品そのものは1980年のアルバムとして見るのが自然だ。
New Englandはその後のアルバムがあまり広く成功したわけではないため、初期作である本作には、バンドが外へ向けて打ち出していた輪郭が比較的素直に出ている。ボストン周辺のハードめなメロディー・ロックの流れを追うときにも、ひとつの参照点になる作品だ。
まとめ
『Explorer Suite』は、New Englandの初期の持ち味であるメロディー重視のロックと、少し構成を意識した作りが見える1980年作だ。ヒット曲で知られるバンドの出発点に近い位置の作品として、またボストン周辺のアメリカン・ロックの一角として、静かに確認しておきたい1枚と言える。
トラックリスト
- A1 – Honey Money
- A2 – Livin’ In The Eighties
- A3 – Conversation
- A4 – It’s Never Too Late
- A5 – Explorer Suite
- B1 – Seal It With A Kiss
- B2 – Hey You’re On The Run
- B3 – No Place To Go
- B4 – Searchin’
- B5 – Hope
- B6 – You’ll Be Born Again
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Zone Six – Love Monster (2015)
Zone Six『Love Monster』について
Zone Sixは、1997年にDave Schmidtを中心に始動したドイツのバンドで、即興演奏とスペース・ロックを軸に活動してきたグループだ。メンバーには、Pablo Carneval、Manuel Wohlrab、Dave Schmidtらが名を連ね、ドラム、ギター、ベース、シンセサイザー、サンプルを組み合わせた編成になっている。『Love Monster』は2015年にリリースされた作品で、Vinyl版はDeep Distanceから登場している。透明盤に赤と青のスプラッター仕様、500枚限定というフィジカル面でも印象の強い1枚だ。
作品の輪郭
このアルバムは、Zone Sixが持つ長尺の演奏感覚と、反復を土台にしたサイケデリック・ロックの流れが前面に出る内容として捉えられる。ギターの残響、低音のうねり、電子音の層が重なっていく構成で、曲ごとに勢いを変えながら進むタイプの作品といえる。即興性のある演奏を軸にしつつ、ただ散らばるだけではなく、全体に一定の推進力が通っているのがZone Sixらしいところだ。
バンドの位置づけ
Zone Sixは、Dave Schmidtの活動の中でも、Electric MoonやSula Bassana周辺の流れと地続きで語られることが多いバンドだ。サイケデリック・ロック、スペース・ロック、即興演奏という要素を、ドイツのアンダーグラウンド・シーンの文脈で積み重ねてきた存在であり、『Love Monster』もその延長線上にある作品と見られる。固定された歌モノの形式よりも、演奏の展開や音の質感そのものが主役になりやすいグループだ。
同時代・ジャンルとのつながり
2010年代のサイケデリック・ロックやスペース・ロックの文脈では、長尺のジャム感覚と、モーターリックな推進力、アンビエント寄りの音響処理を行き来するバンドが多い。その中でZone Sixは、より演奏中心の流れを保ちながら、サンプルやシンセも使って空間の広がりを作るタイプに入る。Electric MoonやSula Bassana関連の作品を追っている人には、近い温度感で受け取られる場面がありそうだ。
パッケージ面
Vinyl版はDeep Distanceからの限定500枚、透明盤に赤と青のスプラッター仕様。音だけでなく、アナログ盤としての見た目にもこだわったリリースになっている。2015年時点のオリジナル盤として扱われるタイトルで、コレクタブルな仕様も含めて記録性の高い1枚だ。
まとめ
『Love Monster』は、Zone Sixの即興性、スペース・ロック的な展開、サイケデリックな音の重なりをそのままパッケージした作品として見えてくる。派手なヒット曲で押すタイプというより、演奏の流れと音の層をじっくり追うアルバム。Dave Schmidtを中心とした周辺プロジェクトの流れをたどるうえでも、2015年のZone Sixを知るうえでも、ひとつの要点になるタイトルだ。
トラックリスト
- A1 – Love Monster (14:53)
- A2 – The Insight (8:21)
- B1 – Acidic (7:29)
- B2 – Cosmogyral (15:18)
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Malicorne – Almanach (1976)
Malicorne『Almanach』(1976)
フランスのエレクトリック・フォークを代表するグループ、Malicorneの2作目にあたる作品が『Almanach』。1976年にフランスで発表されたアルバムで、バンド初期の輪郭をそのまま示す一枚として位置づけやすい内容だ。Gabriel YacoubとMarie Yacoubを中心に、伝承曲とその再構成、アコースティック楽器と電気楽器の組み合わせを軸にした作りが特徴になっている。
作品の位置づけ
Malicorneは1973年に始動したグループで、フランスの伝統音楽をロックの編成で扱う流れの中でも、早い時期から存在感を持っていた。『Almanach』は、その初期の方向性をはっきり示す作品として見ることができる。前作『Malicorne』に続き、バンドの語り口が固まりつつある段階のアルバムという印象だ。
同時代の文脈では、イギリスのFairport ConventionやSteeleye Spanのようなブリティッシュ・フォーク・ロックと並べて語られることが多い。ただしMalicorneはフランス語の歌詞、フランスの民謡や古い歌の扱い方、旋律の運びにフランスらしい土台がある点で、かなり独自の立ち位置にある。
録音と装丁
本作は1976年春にStudio Acoustiで録音されている。フランス製で、見開きジャケットに8ページのブックレットを綴じ込んだ仕様。ブックレットにはフランス語歌詞と、各月にまつわるノートが収められている。タイトルの『Almanach』という語感にも、その構成はよく合っている。
レーベル表記や盤の細部にはフランス盤らしい作りが見られ、ジャケットとラベルでカタログ番号が異なる点も確認できる。再発ではなく1976年のオリジナル盤として捉えられる作品だ。
内容の特徴
このアルバムでは、歌と合奏の切り替え、弦楽器や木管系の響き、打楽器の入り方が丁寧に組み合わされている。フォークの素材をそのまま置くのではなく、アレンジで組み替えていくやり方が目立つ。Gabriel YacoubとMarie Yacoubの歌を軸に、複数メンバーの演奏が重なり、民謡の輪郭を保ちながらもロック・アルバムとしてのまとまりが出ている。
実際に聴くと、曲ごとの表情の違いがはっきりしていて、静かな場面と動きのある場面の往復がある。派手な展開で押すタイプではなく、言葉の運びと楽器の配置で曲を進めるタイプの作品という印象だ。フランス語の響きが前面に出るため、メロディよりもまず歌詞の抑揚が耳に残りやすい。
代表曲について
『Almanach』はシングルヒットで広く知られるタイプのアルバムではないが、アルバム全体を通して聴かれることが多い一枚だ。収録曲は月や季節の感覚に沿った構成で、題名どおり暦のような流れを持っている。曲単位でのヒットというより、アルバム全体のまとまりで記憶される作品と言えそうだ。
Malicorneにとっての意味
Malicorneの初期作品の中でも、『Almanach』はバンドの方法論を整理した段階の記録として読める。伝統曲の扱い、アコースティックとエレクトリックの接続、フランス語の歌を前に出す姿勢。こうした要素が、のちのフレンチ・フォーク/ルーツ系の文脈にもつながっていく。
その後、Malicorneはメンバー交代や解散、再結成を重ねるが、この1976年盤は、創設期のバンドがどこを目指していたかを確認しやすい作品として残っている。
クレジットの補足
- アーティスト: Malicorne
- タイトル: Almanach
- オリジナル・リリース年: 1976年
- 国: フランス
- 録音: Studio Acousti、1976年春
- 装丁: 見開きジャケット、8ページのブックレット付属
- 歌詞: フランス語
フランスのフォーク・ロックがどのようにロックの編成へ置き換えられていったか、その一例として見ると輪郭がつかみやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Salut A La Compagnie (0:55)
- A2 – Quand J’étais Chez Mon Père (3:39)
- A3 – Margot (0:56)
- A4 – Les Tristes Noces (7:42)
- A5 – Voici Venir Le Joli Mai (0:24)
- A6 – Voici La Saint Jean (3:10)
- A7 – Le Luneux (4:58)
- B1 – Branle De La Haie (2:05)
- B2 – Quand Je Menai Mes Chevaux Boire (4:36)
- B3 – La Fille Au Cresson (3:37)
- B4 – L’écolier Assassin (8:35)
- B5 – Noël Est Arrivé (2:00)
関連動画
- Malicorne – Branle de la haie (officiel)
- Malicorne – Almanach (Album complet)
- Malicorne – Noël est arrivé (officiel)
- Malicorne – Salut à la compagnie (part à Dieu) (officiel)
- Malicorne – Quand j’étais chez mon père (officiel)
- Malicorne – Margot (officiel)
- Malicorne – Les tristes noces (officiel)
- Malicorne – Voici venir le joli mai (officiel)
- Malicorne – Voici la saint jean (ronde) (officiel)
- Malicorne – Le luneux (officiel)
Goat – Goat (2024)
Goat『Goat』(2024)について
Swedish experimental fusion rock band、Goat のセルフタイトル作。2024年にリリースされた作品で、バンドの持つアフロビート、ハードロック、ジャズ由来の要素を、サイケデリック・ロックやアシッド・ロックの枠組みの中で鳴らしている一枚として確認できる。
メンバー名を公表せず、舞台上では仮面を着け、Capra Informis、Goatman、GÅS といった別名義を使うスタイルもこのバンドらしいところ。編成は2人のシンガー、2本のギター、エレクトリック・ベース、ドラム、コンガという構成で、歌とリズムを前面に出したグループとして知られている。
作品の位置づけ
タイトルがそのまま『Goat』というセルフタイトル作で、バンド名そのものを掲げた作品。こうした命名は、バンドの輪郭を改めて示す場面で使われることが多いが、この作品でもその印象は強い。2024年の時点でのGoatの音像を、まとめて提示する一作という見方がしやすい。
Goatは、北スウェーデンのコルピロンポロにあるヴードゥー教団の伝承をバンドのオリジン・ストーリーとして語りつつ、実際にはイェーテボリを拠点に活動してきた。そうした神話性と、実際の演奏集団としてのまとまりが同居しているのも特徴的。
収録内容と録音
収録曲は通し番号で表記されている。録音は基本的に Parkeringshuset Studio で行われており、「The All Is One」だけは Ängårdsbergen の屋外録音となっている。スタジオ録音と屋外録音が同居している点は、作品全体の質感に少し違いを与えていそうな要素。
また、レコードのクレジット上は Rocket Recordings 発売、UK 製造、2024年表記。ジャンル欄では Rock、Folk, World, & Country、スタイル欄では Psychedelic Rock、Acid Rock、Alternative Rock が並ぶ。
盤の仕様
- インディーショップ限定
- イエロー&ブラックの “Special Swirl” ビニール
- プリント入りインナー・スリーブ付き
- ステッカー付きシュリンク包装
- ダウンロードカード封入
盤面の識別は、ハイプステッカーに Catalogue # LAUNCH363S、スパインと裏ジャケットに Catalogue # LAUNCH363。ランアウトはレーザー刻印。裏ジャケットには (C)+(P) ROCKET RECORDINGS / MADE IN THE UK 2024 の表記がある。
Goatというバンドの文脈
Goatは、同時代のサイケデリック・ロックの中でも、単なる復古調ではなく、アフロビートやフォーク的な反復、ハードなギターリフ、打楽器の推進力を束ねていくタイプのバンドとして語られてきた。YouTubeやBandcampで広く聴ける既存作でも、そのリズムの組み立てと、声の掛け合い、祝祭的な演出が目立つ。
このセルフタイトル作も、そうしたバンドの持ち味をそのまま受け継ぐ作品として捉えやすい。ヒット曲という形で切り出すより、アルバム全体の流れで聴くタイプの一枚という印象が強い。
ひとこと
仮面のバンド、通し番号のトラック、屋外録音を一部に含む構成、そして黄色と黒のスワール盤。Goat らしい記号がきちんと揃った2024年作として見ておくと整理しやすい。
トラックリスト
- A1 – One More Death
- A2 – Goatbrain
- A3 – Fool’s Journey
- A4 – Dollar Bill
- B5 – Zombie
- B6 – Frisco Beaver
- B7 – The All Is One
- B8 – Ouroboros
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Golden Earring – N.E.W.S. (1984)
Golden Earring『N.E.W.S.』について
Golden Earringは、オランダのロック・バンドとして長い活動歴を持つグループで、1960年代から継続して作品を出し続けてきた存在である。『N.E.W.S.』は1984年にリリースされたアルバムで、ハードロックとポップロックの要素を併せ持つ時期の1枚として位置づけられる。
メンバー編成は、Barry Hay、George Kooymans、Rinus Gerritsen、Cesar Zuiderwijkの4人を中心に、時期によってRobert Jan StipsやEelco Gelling、Sieb Warnerらが加わった形で知られる。Golden Earringの作品群のなかでも、80年代らしい音像をまとったアルバムとして語られることが多い。
作品の位置づけ
Golden Earringは、1960年代のデビュー以降、“Radar Love”や“Twilight Zone”のような代表曲で知られるバンドである。『N.E.W.S.』は、そうした代表曲で広く知られる時期の少し後に出た作品で、バンドの活動が長く続くなかでの80年代前半の記録として見ると流れがつかみやすい。
アメリカ盤として出たこのレコードは、PRC Comptonでプレスされた盤で、レーベルにはコード26が入っている。カスタム・インナー・スリーブ付きで、プロモ盤にはフロントにハイプ・ステッカー、裏面にゴールド・スタンプが付く仕様もある。
サウンドと聴きどころ
この時期のGolden Earringは、ギターを軸にしたロック・サウンドを保ちながら、当時の録音らしい整理された鳴りを持っている。Barry Hayのボーカル、George Kooymansのギターとボーカル、Rinus Gerritsenのベースやキーボード、Cesar Zuiderwijkのドラムが、バンドの基本形をそのまま支えている印象である。
実際に聴くと、派手な装飾よりも、曲の推進力とリフの組み立てで聴かせるタイプのアルバムとして受け取れる。ハードロック寄りの骨格と、ポップロック的なまとまりが同居する内容で、70年代から続くバンドの演奏感を80年代仕様に持ち込んだような手触りがある。
同時代の文脈
1984年という年は、ハードロックがより明快なサウンドへ寄っていく一方で、ラジオ向けの音作りも強く意識されていた時代である。Golden Earringもその流れのなかで、長年のバンド感を保ちながら、時代に合った録音とアレンジへ寄せていたと考えやすい。
同じように長く活動してきたロック・バンドと比べると、Golden Earringは大きなイメージチェンジより、持ち味のギター・ロックを積み重ねるタイプである。『N.E.W.S.』も、その延長線上にある作品として捉えやすい。
ひとこと
『N.E.W.S.』は、Golden Earringの長いキャリアの中で、80年代前半の空気をそのまま切り取ったような1枚である。代表曲が並ぶベスト盤的な役割ではなく、バンドの地力と当時のロック・サウンドの組み合わせを確認できるアルバムとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Clear Night Moonlight (3:25)
- A2 – When The Lady Smiles (5:12)
- A3 – Enough Is Enough (3:43)
- A4 – Fist In Glove (3:27)
- B1 – Mission Impossible (5:57)
- B2 – I’ll Make It All Up To You (5:22)
- B3 – N.E.W.S. (5:18)
- B4 – It’s Over Now (4:04)
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Speed, Glue & Shinki – Eve = 前夜 (1971)
Speed, Glue & Shinki / Eve = 前夜 について
Speed, Glue & Shinki は、1970年に結成された日本のサイケデリック・ロック・トリオ。ギターの Shinki Chen を中心に、Kabe Masayoshi、Mike Hanopol、Joey Smith らが関わった編成で知られ、1972年に解散したグループだ。本作 Eve = 前夜 は、1971年に発表されたアルバムで、バンドの初期を代表する作品として位置づけられる。
録音時代の空気を強く残したハードなロック感、ブルースを土台にした演奏、そして当時らしい音のざらつきが同居する一枚。日本のアングラ・ロック、ハード・ロック、アシッド・ロックの文脈で語られることが多い作品で、同時代の重いギター・バンドや、海外のサイケデリック・ロックともつながる手触りがある。
作品の位置づけ
Speed, Glue & Shinki は日本のロック史の中でも、早い時期にヘヴィなギター・サウンドを前面に出したグループとして知られている。Eve = 前夜 は、そのバンド像をはっきり示すアルバムのひとつで、後年の再評価でもよく取り上げられる存在だ。派手なヒット曲で押すタイプというより、アルバム全体の流れで聴くことで輪郭が見えてくる作品と言える。
音の特徴
この作品は、Shinki Chen のギターを軸にした演奏が目立つ。リフの押し出し、歪みの強さ、ブルース寄りのフレーズ運びが印象に残る構成。リズム隊も前に出る場面が多く、単なる歌モノではなく、バンド全体の音圧で聴かせる作りになっている。
曲ごとに、重さのあるロック、土臭いブルース感、サイケデリックな展開が行き来するあたりに、この時代ならではの録音感がある。日本のロックでありながら、英国や米国のハード・ロック、アシッド・ロックと並べて語られる理由も、この音の組み立てにありそうだ。
代表曲について
Eve = 前夜 には、アルバム単位で語られることが多く、特定の一曲だけが広く独立して知られるタイプではない。一方で、グループを代表する楽曲としては、同時期の作品群とあわせて聴かれることが多く、バンドの重いギター・サウンドを確認する入口として扱われている。
2022年盤について
2022年に出たこの盤は、Record Store Day 2022 の “RSD First” として米国向けに登場した再発盤。マルチカラー・ヴィニール仕様で、帯付き、3500枚限定となっている。盤面やジャケットの意匠は2019年のLP再発盤にかなり近い構成で、2017年リマスター音源を使用している。
表記としては、バック・スリーブに WQJL-127、帯とレーベルに ROGV-169 が入っている。ランアウトには side A / side B として J POWELL の刻印が見られる。
同時代の文脈
1971年という年は、ハードなギター・ロックが各地で広がっていた時期でもある。このアルバムは、その流れの中で日本から出てきた作品として見ると、海外勢に引けを取らない重量感を持った録音として捉えやすい。サイケデリックな感触とブルースの骨格が前に出る点では、同時代のハード・ロックやアンダーグラウンドなロック作品と比較しやすい。
Speed, Glue & Shinki のディスコグラフィーの中でも、Eve = 前夜 は早い時期の重要作のひとつ。バンドの輪郭、当時の日本のロックの到達点、そして後年の再発で再び聴き直されるだけの理由が、この一枚にはまとまっている。
トラックリスト
- A1 – Mr. Walking Drugstore Man = ミスター・ウォーキング・ドラッグストア・マン (5:26)
- A2 – Big Headed Woman = 冷い女 (6:16)
- A3 – Stoned Out Of My Mind = ストーンド・アウト (6:02)
- B1 – Ode To The Bad People = 悪人へ捧ぐ (4:54)
- B2a – M Glue = M グルー (2:45)
- B2b – Keep It Cool = キープ・イット・クール (4:18)
- B3 – Someday We’ll All Fall Down = 滅亡の日 (5:34)
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Deep Purple – Perfect Strangers (1984)
Deep Purple『Perfect Strangers』について
『Perfect Strangers』は、Deep Purpleが1984年に発表した通算11作目のスタジオ・アルバムだ。イギリスのハードロック・バンドとして知られる彼らにとって、これは1973年の『Who Do We Think We Are』以来となるMark II編成の再集結作であり、9年ぶりのスタジオ・アルバムでもある。バンドの歴史の中でも、節目の位置にある作品として扱われている。
メンバーは、イアン・ギラン、リッチー・ブラックモア、ロジャー・グローヴァー、ジョン・ロード、イアン・ペイスという、いわゆるMark IIの布陣。Deep Purpleの中でも特に知られた編成で、バンドの代表的な時期を思い出させる顔ぶれだ。
アルバムの位置づけ
Deep Purpleは1968年結成のバンドで、レッド・ツェッペリンやブラック・サバスと並んで、ヘヴィメタルとモダン・ハードロックの先駆者のひとつとして語られてきた。そうした長い歴史の中で見ると、『Perfect Strangers』は過去の看板編成を再び揃えた復活作という意味合いが強い。実際、このアルバムは再結成Mark IIとして最も成功した作品とされている。
1970年代前半のDeep Purpleを知る耳で聴くと、ギランの歌、ブラックモアのギター、ロードのオルガンが揃った時のバンドの呼吸が、1980年代の録音として戻ってきたことが大きい。派手に時代へ寄せるというより、過去の持ち味をそのまま前面に出した作品という印象が残る。
収録曲と代表曲
シングルとしては、1曲目の「Knocking at Your Back Door」と5曲目の「Perfect Strangers」が出ている。「Perfect Strangers」はアルバムのタイトル曲でもあり、この時期のDeep Purpleを象徴する曲としてよく挙げられる。
一方で、CDやカセット版には「Not Responsible」が収録されているが、アナログ盤では外されている。LPで聴く場合は、曲順と収録内容が少し異なる点がこの作品の特徴だ。
1984年という時代の中で
1980年代半ばのハードロックは、当時のメインストリームの中で音像が整えられていく時期でもあった。その中で『Perfect Strangers』は、Deep Purpleらしいバンド演奏を軸にしたアルバムとして存在感を示している。レッド・ツェッペリンやブラック・サバスと並べて語られることが多いバンドの中でも、リユニオン作としての重みがはっきりしている一枚だ。
録音は1984年8月、発売は同年10月29日。オリジナルの英国盤・米国盤の流れに対して、日本盤は帯付きで、解説インサートやカラー写真入りの内袋が付属する仕様になっている。日本盤ならではの資料性もある。
日本盤の仕様
- 帯付き
- 手書き風のライナーノーツ入りインサート
- カラー写真・歌詞・クレジット掲載の光沢内袋
- 店頭用のカラーポスターが付く場合あり
- 盤は強い光にかざすと黒の半透明に見える仕様
レーベル表記は℗1984 Polygram Records, Inc.、日本での製造はPolydor K.K. Japan。こうした国内盤の作り込みも、80年代の洋楽LPらしい見どころだ。
まとめ
『Perfect Strangers』は、Deep Purpleの長い歴史の中でも、Mark II編成の再始動を告げる作品として位置づけられる。バンドの代表的な顔ぶれが再び集まり、タイトル曲や「Knocking at Your Back Door」を含む内容で、1984年の時点におけるDeep Purpleの存在感をはっきり示したアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Knocking At Your Back Door
- A2 – Under The Gun
- A3 – Nobody’s Home
- A4 – Mean Streak
- B1 – Perfect Strangers
- B2 – A Gypsy’s Kiss
- B3 – Wasted Sunsets
- B4 – Hungry Daze
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Luna – Luna (1981)
Luna『Luna』(1981)について
イタリアのロック・シーンに近い感触を持つ、電子楽器とギターを軸にしたプログレッシブ・ロック作品が、1981年の日本盤として出ている。アーティスト名とアルバム名が同じ『Luna』で、クレジット上は Joe Amoruso、Dario Franco、Danilo Rustici、Sabatino Romano の4人編成。ジャンル表記は Electronic、Rock、スタイルは Space Rock、Prog Rock となっている。
作品の位置づけ
1981年という時期は、プログレッシブ・ロックの第一期がひと区切りついたあとで、電子音やシンセサイザーを取り込んだ作品が各地で続いていた時代。その流れの中で、この『Luna』も、硬質なロックの手触りと電子的な処理を同居させた一枚として捉えやすい。イタリア発のプログレ文脈で語られることが多いタイプの作品で、同時代の欧州ロックの空気をまとったアルバムといえる。
メンバー名に Danilo Rustici が見えることからも、単なる歌もの中心ではなく、演奏の組み立てを重視した作品であることがうかがえる。Joe Amoruso の参加もあり、鍵盤やシンセの存在感が前に出る構成が想像しやすい。
日本盤の仕様
この盤は日本でのリリースで、帯やインサートの情報も含めて当時の国内流通仕様になっている。付属物として bilingual lyrics insert が同梱されており、英語と日本語の対訳付き歌詞インサートで聴きやすさを補っている点が特徴。
- Front obi に European ⑥ Rock Collection 2200 のロゴ
- Rear obi に European Rock Collection 2200 Part VI の表記
- シリーズ内で8枚のアルバムが並ぶ構成
このあたりは、当時の日本盤らしい作りで、作品そのものに加えてシリーズ物としてのまとまりも感じさせる。
音の印象
実際に聴くと、ロックのバンド感を土台にしながら、シンセやキーボードが前面に出る場面があり、スペース・ロック寄りの広がりを持つ。リズム隊が単に伴奏に回るというより、曲の推進力そのものを作っていくタイプで、フレーズの積み重ねで展開していく場面が目立つ。派手なヒット曲で押すというより、曲ごとの構成や音色の切り替えで聴かせるアルバムという受け止め方になりやすい。
メロディはイタリアン・プログレに通じる流れを感じさせつつ、電子音の処理が入ることで、より宇宙的な質感を持たせている。ギターが前に出る部分ではロック色が強まり、鍵盤が広がる部分ではシンフォニックな印象が出る、その行き来がこの作品の要所になっている。
同時代との関係
1970年代のイタリアン・プログレ、たとえば Premiata Forneria Marconi や Banco del Mutuo Soccorso のような大きな流れを踏まえつつ、1980年前後の電子化した音作りへ寄った作品として見やすい。スペース・ロックという表記も、単なる硬派なプログレではなく、音響の広がりや浮遊感を重視した聴かせ方を示している。
日本盤の欧州ロック・コレクションに組み込まれていることからも、当時の国内で「欧州の進行形ロック」として受け止められていたことがうかがえる。派手なチャートヒットを狙う作品というより、アルバム単位で聴くタイプの一枚。
まとめ
『Luna』は、1981年の時点でのロックと電子音の接点を示すアルバム。バンド演奏の骨格を保ちながら、シンセや鍵盤で空間を広げる作りがあり、イタリア系プログレの流れを感じさせる内容になっている。日本盤は対訳歌詞付きで、当時の欧州ロック紹介盤としての性格もはっきりしている一枚。
トラックリスト
- A1 – Sulla Luna
- A2 – L’Isola
- A3 – Lou Jean
- A4 – In Concerto
- B1 – Firebird
- B2 – Serenade
- B3 – Un Seme Strano
- B4 – Come Va?
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Orchestral Manoeuvres In The Dark – Dazzle Ships (1983)
Orchestral Manoeuvres In The Dark『Dazzle Ships』について
Orchestral Manoeuvres In The Dark、通称OMDの『Dazzle Ships』は、1983年にリリースされた4作目のスタジオ・アルバムだ。電子音楽を軸にしたポップ・バンドとして知られるOMDの中でも、実験性が前に出た作品としてよく語られる1枚である。シンセサイザー主体の楽曲に加えて、放送音声やタイプライター、短波ラジオの音なども取り込んでいて、当時のバンドの制作姿勢がそのまま表れた内容になっている。
作品の位置づけ
OMDは1978年にイングランドのウィラルで結成された。Andy McCluskeyとPaul Humphreysを中心に始まり、1980年代前半にはUKチャートでも存在感を強めていた。そんな流れの中で出た『Dazzle Ships』は、前作までのヒット路線から少し距離を置き、より前衛的な方向へ振れたアルバムとして位置づけられることが多い。
同時代のシンセ・ポップが持っていた整ったメロディや機械的なリズム感をベースにしながら、テープ編集やノイズ、断片的な音素材を組み合わせている点が特徴だ。New WaveやMusique Concrèteの要素も見える内容で、単純に「聴きやすいポップ作」では収まらない。
タイトルとアートワークの由来
タイトルの『Dazzle Ships』は、第一次世界大戦時の迷彩艦「Dazzle Ships」から取られている。これは船の大きさや進行方向を敵に分かりにくくするため、断片的な線や面で塗装された軍艦のことだ。アートワークもこの発想を引き継いでいて、Peter SavilleがEdward Wadsworthの絵画『Dazzle Ships In Drydock At Liverpool (1919)』に着想を得たとされる。
初回のスリーブはゲートフォールド仕様で、地図の穴から内側のスリーブが見える作りになっている。視覚面でも、音の断片化や配置の妙をそのまま形にしたようなデザインだ。
収録曲とよく知られた曲
このアルバムには、のちにシングルとしても扱われた曲がいくつかある。中でも「Genetic Engineering」は、OMDらしいメロディ感と機械的な推進力が両方出ている代表曲のひとつとして知られる。「Telegraph」や「Radio Waves」も、短波ラジオや通信というモチーフがそのまま音に落とし込まれていて、作品全体のテーマとつながっている。
一方で、B面に近い感触の実験的な小品や、断片的な音響パーツも多く、アルバム単位で流れを追うと、曲ごとの役割がかなりはっきりしている印象だ。ポップソングとしての輪郭と、コラージュ的な構成が同居している。
録音・制作のクレジット
クレジットを見ると、録音はThe Gramophone Suite、Gallery Studio、Mayfair Studioで行われ、ミックスはThe Manor Studios、マスタリングはThe Master Roomとなっている。使用楽器の欄にはRoland Drumatix、Korg MS-20、Roland SH-09、SH-2、Emulator Synthesiser、Prophet 5、Oberheim OB-X、Solina String Machineなど、当時の電子音楽制作を象徴する機材が並ぶ。
さらに、Speak & Spell machine、short wave radio、typewriterまで記載されていて、音色の選び方がこの作品の性格をよく示している。タイプライターや通信機器を楽器の延長として扱う発想は、まさにこのアルバムならではだ。
盤の仕様について
このヨーロッパ盤は1983年リリースで、印刷は西ドイツのMohndruck Graphische Betriebe GmbHによるもの。カットアウト仕様のスリーブに、プリントされたインナー・スリーブが付く形になっている。ラベル面では一部の曲に1981年表記が見られるが、アルバム自体は1983年作として捉えるのが自然だ。
また、Virgin Recordsの表記や、当時の流通事情を反映したAriola Group of Companiesの配給クレジットも確認できる。盤ごとの細かなカタログ番号違いがある点も、初期プレスらしい要素だ。
OMDの中での意味
OMDはその後、より大きなポップ・ヒットを獲得していくが、『Dazzle Ships』は商業的なわかりやすさよりも、制作上の実験が前に出た時期の記録として残る作品だ。バンドの作品群の中では、シンセ・ポップの枠内でどこまで音の構造を崩せるかを試したアルバム、と見られることが多い。
電子音楽、ニュー・ウェイヴ、ポップの接点にある1983年の1枚として、OMDの制作意図や当時の空気がかなりはっきり入った作品である。
トラックリスト
- A1 – Radio Prague (1:18)
- A2 – Genetic Engineering (3:37)
- A3 – ABC Auto-Industry (2:06)
- A4 – Telegraph (2:57)
- A5 – This Is Helena (1:58)
- A6 – International (4:24)
- B1 – Dazzle Ships (2:21)
- B2 – The Romance Of The Telescope (3:27)
- B3 – Silent Running (3:34)
- B4 – Radio Waves (3:45)
- B5 – Time Zones (1:49)
- B6 – Of All The Things We’ve Made (3:27)
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Catharsis – Le Bolero Du Veau Des Dames (Vol. 5) (1974)
Catharsis『Le Bolero Du Veau Des Dames (Vol. 5)』について
フランスのサイケデリック・ロック・バンド、Catharsisによる1974年の作品。バンドは1969年ごろから1977年ごろまで活動し、LPを複数枚とシングルを残したグループで、この作品もその活動期の中盤に置かれる1枚になる。ほぼインストゥルメンタル主体のバンドとして知られ、同時代のフランス産ロックの中でも、演奏を前面に出した作りが特徴になっている。
作品の位置づけ
Catharsisは、詩人/俳優のBernard Verleyとの共作LPも2枚発表しているが、このアルバムはバンド名義の作品としてはその流れとは別に聴ける内容になる。バンドの中心人物はのちにソロ活動やライブラリー音楽、映像音楽の作曲へ進んでおり、そうした経歴を踏まえると、この時期のCatharsisには、楽曲単位の構成力よりも、演奏の流れや音の配置を重視する感覚が感じられる。
録音と盤の仕様
レコーディングはStudio d’Hérouvilleで行われている。フランスのロック史ではよく知られたスタジオで、当時の多くの作品と同様に、ここでの録音らしい空間のある響きが期待される環境だ。1976年に出た盤はゲートフォールド仕様となっており、アルバムとしての見せ方にも力が入っている。
音楽性と聴きどころ
ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rock。Catharsisの音楽は、歌もの中心というより、演奏の展開で聴かせるタイプとして捉えやすい。ギター、鍵盤、リズム隊の動きが前に出て、曲ごとにパートのつながりを作っていく構成が想像しやすい。フランスの同時代のプログレやサイケデリック・ロックと並べると、Magmaのような強い独自語法というより、よりロック寄りの感触で聴かれることが多いタイプに近い。
タイトルの『Le Bolero Du Veau Des Dames』という言葉も印象に残るが、実際には曲調の説明というより、作品全体の雰囲気を示す記号のように働いている。Vol. 5という表記からも、シリーズ的な感覚や連作的な意識がうかがえる。
メンバー
- Roland Bocquet
- Charles Eddi
- Claude Pavi
- Yves De Roubaix
- Patrick Moulia
- Alain Geoffroy
- Niles Brown
- Charlotte Boutillier
- Michel Borderieux
まとめ
『Le Bolero Du Veau Des Dames (Vol. 5)』は、1970年代半ばのフランス産プログレ/サイケデリック・ロックの文脈に置くと輪郭がつかみやすい作品。Catharsisの活動期の中で、演奏主体のバンドとしての性格を確認できる1枚として見るとわかりやすい。ゲートフォールド仕様のアルバムとして、当時のLPらしい手触りも備えた作品になっている。
トラックリスト
- A1 – Palace (5:35)
- A2 – Tango (2:40)
- A3 – Docteur Plue (5:55)
- A4 – Styx (3:04)
- B1 – Melba (5:05)
- B2 – Le Bolero Du Veau Des Dames (10:30)
関連動画
- Catharsis “Palace” 1974 Sonopresse
- Catharsis “Melba” 1974 Sonopresse
- Catharsis – Vol.5 Le Bolero du Veau des Dames (1975) – 02 Tango
- Catharsis – Vol.5 Le Bolero du Veau des Dames (1975) – 03 Docteur Pleu
- Catharsis – Vol.5 Le Bolero du Veau des Dames (1975) – 04 Styx
- Catharsis – Vol.5 Le Bolero du Veau des Dames (1975) – 06 Le Bolero du Veau des Dames
Metamorfosi – Inferno (1973)
Metamorfosi『Inferno』について
Metamorfosiの『Inferno』は、1973年にイタリアで発表されたプログレッシブ・ロック作品だ。バンドはローマを拠点に活動していたが、歌唱を担うDavide Spitaleriはシチリア出身。中心人物のひとりであるEnrico Olivieriのオルガンやキーボードと、Spitaleriの劇的な歌唱が前面に出る構成で知られている。
グループは1969年に成立し、当時の「ビート・ミサ」系の音楽を演奏していた I Frammenti のメンバーにSpitaleriが加わったところから始まる。デビュー作『…e fu il sesto giorno』で輪郭を示し、この『Inferno』で本領を発揮した、という位置づけになっている。
作品の内容
このアルバムは、2つの長大な組曲を軸にした構成で、ジャケット上では16曲分のタイトルが並ぶが、実際にはそれらがまとまって『Inferno』組曲を形作っている。曲ごとの小さな断片を連ねながら進む作りで、組曲としての流れが強い作品だ。
歌の主役はやはりSpitaleriで、ほぼオペラ的と評されることもある声が、Olivieriのキーボードと強く結びついている。単に歌と伴奏が並ぶのではなく、声と鍵盤が同じ線上で展開していく印象がある。リズム隊はその土台を支え、クラシック音楽の影響を感じさせる鍵盤の動きと、ロックの推進力が交差する形。
バンドにとっての位置づけ
Metamorfosiの作品の中では、この『Inferno』が代表作とされることが多い。1作目では要素の提示にとどまっていた部分が、この2作目でまとまり、より明確な形になった、という見方が一般的だ。
その後、3作目として『Paradiso』が構想されたが、当時は録音・発表まで至らず、バンドはいったん解散している。のちに再結成公演などを経て、長く待たれた『Paradiso』が2000年ごろに改めて現れる流れもあり、この『Inferno』がグループの中核にあることがわかる。
同時代のイタリア・プログレとの関係
1970年代初頭のイタリアでは、RPIと呼ばれるシーンの中で、長尺組曲、鍵盤主体の展開、演劇的なボーカルを持つ作品が多く生まれていた。Metamorfosiもその流れの中にあり、Emerson, Lake & Palmer系の重い鍵盤ロックというより、イタリア語圏らしい声の強さと組曲構成が前面に出るタイプに入る。
『Inferno』という題名どおり、ダンテ『神曲』を思わせる文学的なイメージも重なり、当時のイタリアン・プログレにしばしば見られる大作志向をはっきり示している。
1988年盤について
ここでいう1988年盤は、1973年オリジナルとは別の再発盤として扱われるものだ。説明上ではブートレグ盤として流通した版で、見分けるポイントとしては、ゲートフォールド仕様、歌詞インサート付き、ランアウト部の手書き刻印、SIAEマークの扱いなどが挙げられている。1973年盤はスタンプされた番号が使われていたとされ、この点が差になっている。
また、1988年盤は盤質がやや軽いとされる一方で、音については良好と記されている。レーベル表記のVedette Records (3) についても、実在の正規レーベルというより、Discogs上では偽造・非正規再発を示す文脈で扱われている。
まとめ
『Inferno』は、Metamorfosiが持っていたオペラ的な歌唱、鍵盤主導の構成、組曲形式をもっとも明確に結晶させた作品として見られている。1973年のオリジナル盤と、1988年の再発盤では出自や細部が異なるため、コレクション面では確認点の多いタイトルでもある。
イタリアン・プログレの中でも、声と鍵盤の組み合わせが強く印象に残る1枚、という位置づけの作品だ。
トラックリスト
- A1 – Introduzione
- A2 – Selva Oscura
- A3 – Porta Dell’Inferno
- A4 – Caronte
- A5 – Spacciatore Di Droga
- A6 – Terremoto
- A7 – Limbo
- A8 – Lussuriosi
- A9 – Avari
- B1 – Violenti
- B2 – Malebolge
- B3 – Sfruttatori
- B4 – Razzisti
- B5 – Fossa Dei Giganti
- B6 – Lucifero (Politicanti)
- B7 – Conclusione
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The Fevers – The Fevers (1973)
The Fevers『The Fevers』(1973)
ブラジルのグループ、The Feversが1973年に発表したセルフタイトル作。ロック、ラテン、ファンク/ソウル、ポップの要素をまたぎながら、サイケデリック・ロック、バラード、MPBの流れも見える一枚で、当時のブラジルらしいポップス感とバンド演奏のまとまりが前面に出た作品として捉えられる。
作品の位置づけ
The Feversはブラジル国内で長く活動してきたバンドで、この1973年作は、グループ名をそのまま冠したアルバム。バンドの輪郭を示すタイトル盤として見やすく、当時の音楽シーンの中でグループの持ち味を整理した作品として扱えそうだ。メンバーにはPedrinho Da Luz、Augusto César、Almir、Cleudir Borges、Almir Bezerra、Liebert Ferreira、Rama、Luiz Cláudio、Otávio Henrique、Miguel Ângelo、Lécio Do Nascimento、Ivanilton De Souza Limaが名を連ねる。
サウンドの印象
この時期のブラジル音楽は、ロック、ソウル、ポップス、MPBが近い距離で行き来していたが、本作もその空気を共有している。ビートの立ち方はロック寄りでありつつ、メロディの運びには歌謡性があり、さらにリズム面ではラテンやファンク/ソウルの感触が差し込まれる。そこにサイケデリック・ロック的な音の広がりと、バラードの流れが入ることで、単なるロック盤というより、当時のポップ・アルバムとしてのまとまりがある。
実際に聴くと、演奏は派手に崩すよりも、曲ごとの輪郭をはっきり出す方向に寄っている印象を受ける。ギター、リズム隊、歌のバランスが取りやすく、曲調の切り替えでアルバム全体を進めていくタイプの作りに見える。
同時代の文脈
1973年のブラジルでは、MPBの洗練と、ロックやソウルの影響を受けたバンド・サウンドが並走していた。本作もその文脈の中に置ける作品で、ジャンルの境目をまたぎながらも、あくまで大衆性のある作りを保っている。比較対象を挙げるなら、同時代のブラジルのポップロックやMPB寄りのバンド作品に近い視点で聴かれることが多そうだ。
代表曲について
このアルバムについては、収録曲の中で特定のヒット曲を前提に語るより、アルバム全体のまとまりで受け取る性格が強い。セルフタイトル盤らしく、作品名そのものがバンドの提示になっている。
まとめ
The Fevers『The Fevers』は、1973年のブラジルの空気を反映した、ロックとポップスの間を行くバンド作。サイケデリック、バラード、MPB、ソウルの要素が一枚に収まっていて、グループの音楽性をそのまま示すタイトル盤として読める作品だ。
トラックリスト
- A1 – Hey Girl (3:09)
- A2 – Se Você Me Quizesse = I’d Love You To Want Me (3:15)
- A3 – Rock Da Pesada (2:22)
- A4 – Don’t Say Goodbye (2:51)
- A5 – Tudo Que Eu Quero Eu Tenho (2:16)
- A6 – Sem Você = The Flying Dutchman (3:29)
- B1 – Alguém Em Meu Caminho (2:35)
- B2 – Superman (2:39)
- B3 – Algo Errado Em Mim (2:57)
- B4 – Meu Desejo = I’m On Fire (2:42)
- B5 – Gás Neon (2:09)
- B6 – Vivo A Sonhar Com Você = Mademoiselle (2:36)
- B7 – Tudo Passa = Trop Belle Pour Rester Seule (2:30)
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Billy Preston – Music Is My Life (1972)
Billy Preston『Music Is My Life』(1972)について
Billy Prestonは、アメリカのキーボード奏者、歌手、ソングライターとして知られる人物だ。R&B、ソウル、ファンク、ゴスペルをまたぐ活動で知られ、ソロでもバンドの一員でも重要な役割を果たしてきた。1972年作の『Music Is My Life』は、そのBilly Prestonのソロ作品の中でも、タイトルからして本人の音楽観が前面に出た一枚になっている。
この時期のPrestonは、すでにセッション・プレイヤーとしても強い存在感を持っていた。特にThe Beatles周辺での活動はよく知られていて、公式リリースで「The Beatles with Billy Preston」としてクレジットされた例もある。そうした背景を踏まえると、このアルバムは単なるソロ作というより、鍵盤奏者としての技術、歌い手としての熱量、そしてゴスペル由来の感覚がまとまった作品として見えてくる。
作品の位置づけ
『Music Is My Life』は1972年のオリジナル・リリース。Billy Prestonがソロ・アーティストとして勢いを保っていた時期の作品で、ファンク/ソウルの文脈の中に、ゴスペルやリズム&ブルースの要素が自然に入っている。彼のキャリア全体を見たとき、ポップ寄りの大きな成功作と、より泥臭いグルーヴを持つ作品群のあいだをつなぐ位置にある一枚、と言えそうだ。
同時代のソウルやファンクの流れでいうと、同じく鍵盤を軸にした表現を強く打ち出すアーティストたちと並べて語られることが多い。たとえばRay Charlesのゴスペル感、Sly Stoneのファンク感、あるいはAretha Franklinの教会的な押し出しなど、黒人音楽の複数の流れがこの時代には近い距離で響いている。Billy Prestonはその中で、オルガンやエレピの響きを使いながら、自分の歌と演奏を前に出すタイプだった。
収録曲と聴きどころ
このアルバムのタイトル曲「Music Is My Life」は、作品の顔として語られやすい楽曲だ。タイトル通り、音楽そのものを人生の中心に置く姿勢がはっきりしていて、Billy Prestonのキャリアを象徴する曲として受け取られている。
全体としては、鍵盤のリフ、ホーンやリズム隊の推進力、そして歌の勢いが前に出る作りが特徴だ。ソウルの流れを土台にしつつ、ファンクの反復感、ゴスペル由来のコール&レスポンス的な熱気が混ざる構成。派手に飾るというより、演奏の芯で押していくタイプのアルバムという印象になりやすい。
実際に聴くと、Billy Prestonの声と鍵盤の結びつきがよく分かる。歌だけ、演奏だけではなく、両方が同じ方向を向いている感じが強い。そこがこの人の持ち味で、単なるバック・ミュージシャンでは終わらない理由でもある。
音の作りと盤の特徴
US盤の1972年リリースで、ラベル上の「STEREO」の表記が他の文字と異なるフォントで印刷されている点が記録されている。盤面のランアウトはエッチングが基本で、(MR)のみスタンプという仕様も残っている。こうした初期盤特有のディテールは、コレクション面でも目に留まりやすい部分だ。
Billy Prestonというアーティストの文脈
Billy Prestonは、ソロ・ヒットだけでなく、他アーティストとの共演歴の広さでも特別な存在だ。The Beatles、The Rolling Stones、George Harrison、Eric Clapton、Bob Dylan、Aretha Franklinなど、名前を挙げるだけで時代の重みが伝わる相手と関わっている。そうした幅広い経験が、彼のソロ作品にもそのまま反映されているように見える。
『Music Is My Life』は、そうした経歴を持つBilly Prestonが、1972年の時点で何を自分の音楽として提示していたかを確認できる一枚だ。タイトルの通り、音楽を生活の中心に据えた人物像が、そのまま音になっている作品といえる。
トラックリスト
- A1 – We’re Gonna Make It (3:13)
- A2 – One Time Or Another (2:49)
- A3 – Blackbird (2:48)
- A4 – I Wonder Why (5:43)
- A5 – Will It Go Round In Circles (4:28)
- A6 – Ain’t That Nothin’ (3:47)
- B1 – God Loves You (2:50)
- B2 – Make The Devil Mad (Turn On To Jesus) (5:22)
- B3 – Nigger Charlie (6:31)
- B4 – Heart Full Of Sorrow (3:35)
- B5 – Music’s My Life (3:58)
関連動画
- Billy Preston – God Loves You
- Billy Preston – We’re Gonna Make It
- Billy Preston – Make The Devil Mad
- Billy Preston – I Wonder
- Billy Preston – Nigger Charlie
- Billy Preston – Heart Full Of Sorrow
- Billy Preston – Ain’t That Nothing
- Blackbird
- Will It Go Round In Circles
- Billy preston “music is my life”1973
Agitation Free – Momentum (2023)
Agitation Free『Momentum』について
Agitation Freeの『Momentum』は、2023年にドイツのMIG Musicから出た2枚組LPで、同年の作品として扱われるアルバムだ。バンドは1967年にベルリンで結成されたクラウトロック・バンドで、初期メンバーにはLutz Ulbrich、Michael Günther、Lutz Kramer、Christoph Frankeがいた。『Malesch』『2nd』など70年代前半の作品で知られるグループが、長い時間を経て新作を出した流れの一枚になる。
バンドの背景
Agitation Freeは、ベルリンのサイケデリック/実験ロックの文脈で語られることの多いバンドだ。Zodiacクラブのハウス・バンドとして活動し、マルチメディアのライトショーでも知られていた。70年代にはメンバー交代を重ねながらも、エジプト、レバノン、ヨルダン、ギリシャを巡るツアーを行い、その体験が『Malesch』につながっている。Tangerine DreamやAsh Ra Tempelと近い空気を持つ、ドイツ・クラウトロックの重要な一角という位置づけだ。
『Momentum』の位置づけ
本作は、バンドの長い活動史の中ではかなり後年の新作で、オリジナルの70年代作品群とは別の時代に作られたアルバムになる。クレジットには、ロックダウン中に多くの場所で録音されたこと、複数のミュージシャンが参加していることが記されている。Agitation Freeの現在形を示す作品として見るとわかりやすい。
参加メンバーには、Lutz Ulbrich、Michael Hoenig、Micky Duwe、Christian Kneisel、Daniel Cordes、Michael Günther、Dietmar Burmeisterらの名が並ぶ。ゲストとして、Nouveau Sonへのギター参加、Levantでのサントゥール参加、さらに1973年の「Rock En Stock」からのスポークンワーズ使用もクレジットされている。
音の特徴
ジャンル表記はElectronic、Rock、スタイルはKrautrock、Psychedelic Rock。クレジット上でも、ベース、シンセ、ギター、アコースティック・ギター、バンジョー、キーボード、電子パーカッションなどが並び、70年代クラウトロックらしい有機的なバンド演奏と電子的な処理が同居する構成がうかがえる。Side Dは45rpmで収録されている。
レコードはシングル・スリーヴ入りで、白い無地の内袋付き。黒盤の2LP仕様で、2023年にドイツ製造。盤面クレジットではMIG Musicの制作であることが明記されている。
作品としての見どころ
『Momentum』は、Agitation Freeの初期を知る人にとっては、70年代の路線を引き継ぎつつも、録音環境や参加メンバーの世代差を含んだ現在の姿を確認できる一枚になっている。バンドの歴史をたどると、こうした後年の新作は、単なる復活作というより、過去の資産を再演する場でもあり、新しい素材を持ち込む場でもある。
また、クレジットに1973年の素材への言及があることからも、過去と現在をつなぐ意識が見える。Agitation Freeらしい、長く展開する演奏、電子音の処理、即興性の残る構成を軸にした作品として受け取れるだろう。
関連アーティストとの文脈
同じベルリン周辺のクラウトロックでは、Tangerine Dream、Ash Ra Tempelといった名前がまず挙がる。Agitation Freeはその近い空気を持ちながら、よりバンド演奏の手触りや、現場のジャム感を感じさせるグループとして語られることが多い。『Momentum』でも、その系譜の延長線上にある音作りが確認できる。
まとめ
『Momentum』は、1967年結成のベルリン・バンド、Agitation Freeが2023年に発表した最新作で、クラウトロックとサイケデリック・ロックの歴史を背負いながら、電子音とバンド演奏を組み合わせた内容のアルバムだ。70年代の代表作とは時代が異なるが、グループの名前が持つ文脈をそのまま現在に持ち込んだ作品として、位置づけが見えやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Nouveau Son (8:35)
- A2 – Levant (7:53)
- B1 – Lilac (6:19)
- B2 – Nightwatch (9:26)
- C1 – Shibuya (Studio Version) (8:14)
- C2 – Indajungl (7:03)
- D – Momentum (9:18)
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Fonográf – Jelenkor (1984)
Fonográf『Jelenkor』について
『Jelenkor』は、ハンガリーのカントリー・ロック・バンド、Fonográfが1984年に発表した作品である。バンドは1973年に結成され、1985年に解散しているので、このアルバムは活動末期の時期にあたる一枚という位置づけになる。クレジットを見ると、Levente Szörényi、János Bródy、László Tolcsvay、Szabolcs Szörényiら、グループを支えたメンバーがそろっており、ギター、スティール・ギター、キーボード、ベース、ドラムという編成でまとめられている。
作品の輪郭
ジャンル表記はロック、スタイルはプログレッシブ・ロック。Fonográfはハンガリー国内では重要な存在として知られており、フォークやカントリーの要素を土台にしながら、歌ものの作り込みやアンサンブルの厚みで独自の音像を築いてきたバンドである。『Jelenkor』もその流れの中にある作品として捉えやすい。
タイトルの「Jelenkor」はハンガリー語で「現代」「同時代」といった意味を持つ語で、作品名としても時代性を意識したものと受け取れる。1984年という制作年を考えると、バンドが当時の空気をどう切り取っていたかに目が向く一枚でもある。
Fonográfというバンドの立ち位置
Fonográfは、ハンガリーのロック史の中で、フォーク・ロックやカントリー・ロックの文脈から語られることの多いグループである。Levente SzörényiとJános Bródyは、とくにハンガリーの音楽シーンで広く知られる人物で、作曲、作詞、歌唱の面でも存在感が大きい。そうした中心人物を軸に、演奏面ではMóricz Mihályのギター、Németh Oszkárのドラム、Szabolcs Szörényiのベース、Tolcsvay Lászlóのキーボードが支えている構成である。
1980年代前半の東欧圏ロックを見渡すと、土着的な要素を残しながら、スタジオ作品としての完成度を高める動きが各地に見られる。Fonográfもその流れの中で、単なるフォーク・ロックにとどまらない構成力を持ったバンドとして扱われることが多い。
聴きどころとして見えやすい点
実際に聴いた印象として書くなら、この作品は楽器の役割分担が比較的はっきりした作りのアルバムとして受け取りやすい。スティール・ギターが前面に出る場面ではカントリー由来の色が見えやすく、そこにキーボードやコーラスが重なることで、ロック・バンドとしての厚みが出る構成である。演奏の派手さだけで押すタイプというより、曲の流れの中でアレンジを積み上げていくタイプの作品といえる。
また、ハンガリー語の歌詞と母語の響きが、英米の同系統バンドとは違う印象を与える点も大きい。音だけを追っても、メロディの運びや歌の置き方に、独自の整え方があるように感じられる。
代表曲や曲目について
この作品について、広く知られたヒット曲や単独で強く語られる代表曲の情報は見当たりにくい。アルバム単位で聴かれることが前提の作品として扱うのが自然で、バンドの作風や時代感をまとめて確認する役割を持つ一枚といえそうだ。
同時代の文脈
1984年のハンガリーのロック作品として見ると、同時代の欧州ロックと共通する、歌と編曲の組み立てを重視した作りが想像しやすい。英米の大掛かりなプログレとは少し距離がありつつも、フォークやカントリーの要素を含んだロックとしては、Jethro TullやThe Band周辺を連想する人もいるかもしれない。ただし、Fonográfはあくまでハンガリーのバンドとしての文脈が強く、そこが聴きどころにもなっている。
まとめ
『Jelenkor』は、Fonográfの活動末期に近い時期の作品として、バンドの持っていたロック、カントリー、フォーク寄りの感触を確認しやすいアルバムである。1984年のハンガリー・ロックを知るうえでも、グループの歩みをたどるうえでも、位置づけの見えやすい一枚といえる。
トラックリスト
- A1 – Tiltott Forrás
- A2 – A Show Folytatódik
- A3 – Három Az Igazság
- A4 – Vihar Előtt
- B1 – Visszatérés
- B2 – Várj Még
- B3 – A Bengázer
- B4 – A Jelenkor Ítélete
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Peter Gabriel – Secret World Live (1994)
Peter Gabriel『Secret World Live』について
Peter Gabrielの『Secret World Live』は、1994年に発表されたライヴ作品で、1993年11月16日と17日にイタリア・モデナで行われた公演を収めたアルバムだ。Peter Gabrielにとっては2枚目のライヴ・アルバムであり、同時にソロ作品群の中でも大きな存在感を持つ1作。Secret World Tourのコンサート体験を記録した内容で、当時のPeter Gabrielのステージ表現をそのまま持ち帰ったような作品になっている。
作品の位置づけ
Peter Gabrielは、Genesisの初期メンバーとして知られたのち、ソロ活動で独自の道を築いたアーティストだ。この『Secret World Live』は、そのソロ期の充実を示すライヴ盤として位置づけられる。スタジオ作品とは違い、演奏の流れや会場の空気感、バンドの一体感が前面に出るタイプの作品で、Peter Gabrielの作品の中でも「楽曲をどう見せるか」という視点がはっきり表れた記録といえる。
収録時の背景
本作は、1993年11月にモデナで行われたコンサートをベースにしている。クレジットには「Based on an original concert by Peter Gabriel」とあり、ライヴを核にしながらも、追加録音や制作がReal World StudiosやパリのGuillaume Tell Studiosで行われている。ライヴ音源をそのまま並べるだけではなく、作品としてのまとまりも意識された構成だ。
また、Secret World Liveのコンサート・フィルムがFrançois Girard監督で制作されている点も、この作品の広がりを示している。音だけでなく、映像を含めたトータルなステージ作品として扱われているのが特徴だ。
曲の印象
実際に聴くと、ライヴならではのテンポの作り方がはっきりしている。楽曲によっては原曲の輪郭を保ちながら、演奏の密度や間の取り方が変わり、スタジオ版とは違う呼吸が出てくる。Peter Gabrielの歌唱も、きっちりとしたメロディの運びと、ライヴ会場での発声の強さが両立していて、曲ごとの表情が見えやすい。
代表曲としては、Shaking the Tree や Across the River のクレジットが確認できる。Shaking the Tree は共同クレジットのある楽曲として知られ、このライヴでも重要な位置を占める1曲だ。Across the River も含めて、当時のPeter Gabrielが持っていた世界音楽的な要素、リズムの組み立て、音のレイヤーの作り方がライヴ編成の中で整理されている。
2020年盤について
今回の盤は2020年リリース。オリジナルの1994年盤から時間を置いての再発で、2枚組LP、180グラム盤、33 1/3回転、ハーフスピード・リマスターという仕様になっている。さらにHi-Resのダウンロードコードも付属する。ジャケットはシングルスリーブで、2枚の印刷インナー・スリーブが入り、ライヴ写真、クレジット、謝辞が収められている。
盤面の情報としては、PGLPR8、PGLPR8LP1、PGLPR8LP2などのカタログ番号が確認できる。2020年盤ではリマスターとカッティングが施されており、オリジナルのライヴ作品をアナログで聴き直すための再構成盤という印象が強い。
音楽性と文脈
ジャンル表記はElectronic、Rock、Art Rock、Prog Rock、Ambient、New Age。Peter Gabrielのソロ作品らしく、ロックの枠だけで収まらない音作りが軸にある。バンドの演奏を前に出しながら、空間の使い方や音色の積み重ねに気を配っている点は、同時代のアートロックやプログレッシブ・ロックの流れともつながる。
ただし、単に技巧を見せるライヴではなく、楽曲そのものの構成と、ステージ全体の演出を一体で見せる作品になっている。Peter Gabrielがソロ活動で積み上げてきた制作感覚が、ライヴの場でどう機能するかを示す記録として見やすい。
まとめ
『Secret World Live』は、1993年のSecret World Tourを軸にしたPeter Gabrielのライヴ・ドキュメント。1994年のオリジナル発表から長く評価されてきた作品で、2020年盤では180グラムの2枚組LPとして再提示されている。スタジオ作品とは違う曲の流れ、会場の空気、演奏の組み立てがまとまった1作として、Peter Gabrielのソロ期を知るうえで重要なタイトルだ。
トラックリスト
- A1 – Come Talk To Me
- A2 – Steam
- A3 – Across The River
- A4 – Slow Marimbas
- A5 – Shaking The Tree
- B1 – Red Rain
- B2 – Blood Of Eden
- B3 – San Jacinto
- B4 – Kiss That Frog
- B5 – Washing Of The Water
- C1 – Solsbury Hill
- C2 – Digging In The Dirt
- C3 – Sledgehammer
- C4 – Secret World
- D1 – Don’t Give Up
- D2 – In Your Eyes
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- PETER GABRIEL – Secret World Live – 1994
- PETER GABRIEL * SECRET WORLD LIVE
- Peter Gabriel – Steam (Secret World Live HD)
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- Peter Gabriel ft. Paula Cole – Don’t Give Up – Secret World Live (1993)
- Peter Gabriel – In Your Eyes (Secret World Live)
- In Your Eyes (Live)
Amanda Lear – Incognito (1981)
Amanda Lear『Incognito』について
Amanda Learの『Incognito』は、1981年にドイツでリリースされたアルバムで、録音とミックスはミュンヘンのArco-Studiosで1980年11月から1981年2月にかけて行われている。ジャンル表記はElectronic、スタイルはSynth-popとDisco。1970年代後半までのディスコ路線を引き継ぎながら、1980年代初頭らしいシンセ主体の音に寄せた作品として位置づけられる。
作品の背景
Amanda Learは、フランス出身のモデル、シンガー、作詞家、テレビ司会者、俳優、画家として知られる人物で、1960年代のロンドン・シーンやサルバドール・ダリ周辺との関わりでも語られてきた。Roxy Musicの『For Your Pleasure』のジャケットで“パンターといる女性”として写っていたことでも知られ、その後に歌手活動へ進んだ。
1970年代半ばから1980年代初頭にかけては、特にヨーロッパ大陸やスカンディナヴィアでディスコ・シンガーとして存在感を持っていた時期で、『Incognito』はその流れの中にある作品だと見られる。キャリアの中では、ディスコからシンセポップへの移行を示す時期の一枚でもある。
アルバムの内容
このアルバムには、本人のメモとして「未来の世界を、黒いサングラスをかけてインコグニートで歩く」というイメージが残されている。そこでは、嫉妬、暴力、貪欲、恐れ、無関心、官僚主義、そして“未来を受け入れる助けになるお気に入りの罪”としてのノスタルジアが語られている。作品全体の空気を示す言葉として読むことができる。
サウンド面では、ディスコの4つ打ちを引きずりつつ、シンセサイザーの比重が高い。1981年という時期らしく、70年代ディスコの華やかさをそのまま持ち込むのではなく、より機械的で整った質感へ寄せている印象を受ける。Amanda Learの低めの声質は、この種のビートと相性がよく、曲によっては話すように歌うスタイルが前に出る。
収録曲とクレジット
クレジットには、A1、A3、B1、B3、B4、B5がArabella、A2、B2がEd. Meridian、A4がCop. Controlと記されている。制作面の分担が見える記載で、当時のダンス系アルバムらしい共同制作体制がうかがえる。
盤面情報としては、バックカバーとスパインに203 450-320、ラベルに203 450の表記がある。ランアウトの詳細は基本的にスタンプで、バリエーション2と3のII、IIIのみローマ数字のエッチング表記になっている。
同時代の文脈
1981年は、ディスコの大きな流行が一段落し、ヨーロッパではシンセポップやユーロディスコ寄りの音が前に出てくる時期。Amanda Learもその流れの中で、クラブ向けの要素を残しながら、より時代に合った打ち込み感へ移っていった。近い空気を持つ人物としては、同時代のヨーロッパのディスコ・ポップ勢や、よりニューロマンティック寄りの華やかさを持つアクトと並べて語られることがある。
また、Lear本人が持っていた謎めいたパブリックイメージも、この時期の作品に反映されている。本人の言葉やイメージ操作が楽曲のテーマと結びつきやすく、単なるダンス・アルバム以上に、キャラクター性を前面に出した作りになっているのが特徴的だ。
まとめ
『Incognito』は、Amanda Learのディスコ期から1980年代のシンセポップ期へつながる作品。ミュンヘン録音、1981年のドイツ盤という条件も含めて、ヨーロッパのクラブ・ポップの流れの中で理解しやすいアルバムだ。歌手としてのキャラクター、当時のダンス・ミュージックの変化、その両方が見える一枚と言える。
トラックリスト
- Laziness:
- A1 – Hollywood Is Just A Dream When You're Seventeen (4:50)
- Indifference:
- A2 – Love Amnesia (3:45)
- Bureaucracy:
- A3 – Red Tape (3:28)
- Fear:
- A4 – New York (4:28)
- Pride:
- B1 – Egal (4:08)
- Nostalgia:
- B2 – Berlin Lady (3:22)
- Greed:
- B3 – Nymphomania (3:27)
- Envy:
- B4 – If I Was A Boy (4:10)
- Anger:
- B5 – Made In France (2:10)
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Grupo Sintesis – En Busca De Una Nueva Flor (1978)
Grupo Sintesis「En Busca De Una Nueva Flor」について
Grupo Sintesisの「En Busca De Una Nueva Flor」は、1978年に登場した作品で、1979年にメキシコ盤としてリリースされた。Grupo Sintesisは1976年結成のグループで、キューバのロック史の中では初期のプログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロック系バンドとして知られる存在。やがてロック、ジャズ、キューバの伝統音楽を混ぜた方向へ進んでいくが、この時期の作品にはその出発点らしい輪郭が見える。
作品の立ち位置
1978年作という時期は、Grupo Sintesisがまだバンドとしての色を固めていく段階にあたる。のちに見られる融合志向の前段階として、ロックの編成を軸にしながら、組曲的な展開や演奏主体の構成が意識されている時期といえる。キューバのロック文脈では、当時のラテン・ロックやシンフォニック・ロックと並べて語られることが多い流れの中にある。
サウンドの印象
演奏面では、鍵盤を中心にした厚みのあるアンサンブルが核になっている。ギター、ベース、ドラムに加えて、複数のメンバーが絡むことで、単純なバンド・ロックというより、曲ごとに展開を変える構成が前に出るタイプ。シンフォニック・ロックらしい明確なパートの切り替えや、テーマを反復しながら進む作りが目立つ。
Grupo Sintesisの名前から連想されるような、後年のラテン色の強い融合路線へ直結するというより、この作品ではまずロックの骨格をしっかり聴かせる印象がある。メンバー数も多く、アンサンブルの密度が高いことが特徴として挙げられる。
メンバー編成
- Carlos Alfonso
- Ele Valdés
- Lucia Huergo
- Miguel Porcel
- Esteban Puebla
- Fidel Garcìa
- Frank Padilla
- Equis Alfonso
- Raúl Pineda
- Victor Navarrete
- William Martínez
同時代の文脈
1970年代後半のラテン圏のプログレッシブ・ロックは、欧米のシンフォニック・ロックを参照しながらも、地域のリズムや旋律感を取り込む方向へ進むことが多かった。Grupo Sintesisもその流れの中にあり、キューバの音楽的背景を持つバンドとして、単なる輸入型のプログレでは終わらない位置にいる。比較対象としては、同時代のラテン・プログレや、演奏重視のシンフォニック・ロック系バンドが思い浮かぶ。
まとめ
「En Busca De Una Nueva Flor」は、Grupo Sintesisの初期像を確認できる一枚。1978年という時点で、すでにバンドの基礎にある構築性と、後の融合的な方向へつながる演奏感が見える作品だ。1979年のメキシコ盤として流通したことで、当時のラテン圏のロック・シーンの中でも、ひとつの記録として残っている。
トラックリスト
- A1 – Nueve Ejemplares
- A2 – Ven A Encontrarnos
- A3 – Primera Noche
- B1 – Somos La Flor
- B2 – Poema
- B3 – En Busca De Una Nueva Flor
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Godiego – 遥かなる走路 (1980)
Godiego『遥かなる走路』について
Godiego(ゴダイゴ)は、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、日本のロック・ポップスを代表する存在のひとつとして知られるバンドだ。英語詞を軸にした楽曲、鍵盤を中心にしたアレンジ、そして映像作品との結びつきの強さが特徴で、とくにテレビシリーズMonkeyの音楽で海外でも広く知られるようになった。
『遥かなる走路』は1980年に発表された作品で、『ハルカナルソロウ』のサウンドトラックにあたる。レコードの情報としてはロックとステージ&スクリーンにまたがる内容で、Godiegoらしいシングル向けの曲作りと、映像作品に寄り添う劇伴的な役割が同居している。
作品の位置づけ
1980年という時期のGodiegoは、すでにバンドとしての知名度が高く、テレビや映画との接点も強かった。『遥かなる走路』も、その流れの中にある一枚と見てよさそうだ。単独のアルバムというより、作品世界を支えるための音楽集という性格が強い。
同時代の日本のロックを見ても、映像作品と結びついたサウンドトラックで存在感を示すケースはあったが、Godiegoの場合は英語詞の歌、キーボード主体のバンド・サウンド、整ったコーラスが前面に出る点で少し独特だ。日本のロックでありながら、海外向けの聴感も意識した作りに見える。
サウンドの印象
この作品は、タイトルから受ける印象よりも、実際にはバンドの演奏力と曲の組み立てが目立つタイプの内容だ。ギター、キーボード、ボーカルがそれぞれ役割を分け、展開も比較的わかりやすい。Godiegoの作品に多い、メロディをはっきり聴かせる作りがここでも軸になっている。
Glamの要素については、きらびやかな音色や見せ方の中に少し出る。とはいえ、派手さだけを押し出す感じではなく、劇伴として場面を支える実用性のある音作りが中心だ。
メンバー
- Takami Asano
- Tommy Snyder
- Steve Fox
- Mickie Yoshino
- Yukihide Takekawa
- Ryoji Asano
- Yoji Yoshizawa
この編成を見ると、Godiegoの核となる演奏陣がそろっており、バンドとしてのまとまりがそのまま作品に反映されていることがわかる。とくにミッキー吉野の鍵盤、武川雅寛ではなく武川祐吉のボーカルというより、Godiegoらしいアンサンブルの中で曲が組み上がる感触が強い。
関連する文脈
Godiegoを語るうえでは、やはりMonkeyでの国際的な認知が大きい。そのイメージが強い一方で、この『遥かなる走路』のような日本国内の映像作品向け音楽も、バンドの活動を支える重要な側面だった。ヒット曲を前面に出すアルバムというより、作品全体でバンドの機能性を見せるタイプの一枚だ。
同じ時代の日本のポップ・ロックに目を向けると、サウンドトラックでもバンド性を保つ作りは珍しくない。ただ、Godiegoの場合は英語詞、コーラスワーク、鍵盤の存在感が前に出るため、一般的な歌謡サントラとは少し距離がある。そこがこのバンドの個性でもある。
まとめ
『遥かなる走路』は、1980年のGodiegoが映像作品に向けて残したサウンドトラック作品だ。バンドの演奏、メロディの明快さ、スクリーン向けの機能性がまとまった内容で、Godiegoの活動の広がりを示す一枚として捉えやすい。
アルバム単体で聴いても、当時の日本のロックが持っていた国際性と、テレビ・映画との近さが見えてくる作品だ。
トラックリスト
- A1 – After The Rain
- A2 – The Times
- A3 – After The Rain
- B1 – New York, New York
- B2 – Wheels
- B3 – A Moment
- B4 – On And Off
- B5 – In Time
Wishbone Ash – New England (1976)
Wishbone Ash『New England』について
『New England』は、英国のロックバンド、Wishbone Ashが1976年に発表した7作目のスタジオ・アルバムだ。ツイン・リード・ギターを前面に押し出したバンドとして知られる彼らの中でも、70年代中盤の活動を代表する1枚として位置づけられる作品になっている。
バンドの背景
Wishbone Ashは1969年、デヴォンで結成されたバンドだ。オリジナル編成は、Andy PowellとTed Turnerの2本のリード・ギター、Martin Turnerのベースとヴォーカル、Steve Uptonのドラムという構成。2本のギターが掛け合うように旋律を重ねるスタイルで注目を集め、ハード・ロックやプログレッシブ・ロックの文脈でも語られてきた。
『New England』の時点では、そうしたバンドの持ち味がかなり整理されたかたちで表れている。前作までの流れを引き継ぎつつ、曲の構成や演奏のまとまりを重視したアルバムという印象だ。
収録音源と制作メモ
基本トラックは、Mart’s Placeの地下室で、ギター、ベース、ドラムのパートを含めてライヴに近い形で演奏・録音されたというクレジットがある。その後、Criteria / Metro Audio Mobile と Criteria Studio A(Miami, Fla.)でリミックスが行われた。
レコードはゲートフォールド仕様で、特別な印刷インナー・スリーヴ付き。US盤は、ジャケット正面の「New England」の文字が緑色で入っている点、表紙イラストに人物が1人追加されている点、裏面のトラック・リストの見え方が異なる点が確認できる。ラベルには「RI」の表記があり、PRC-Richmondプレスであることが示されている。
音の印象
実際に聴くと、まずギターの組み立てがはっきりしている。2本のリード・ギターが同じメロディをなぞるだけでなく、片方が上、片方が下を支えるように動く場面が多く、バンドの看板がそのまま録音に出ている。リズム隊は前に出すぎず、曲の輪郭を保つ役回りだ。
曲調は、ワイルドに押し切るタイプというより、テンポやフレーズを整えて進める場面が目立つ。ロックとしての骨格は保ちながら、演奏の線が見えやすい作りで、同時代の英国ロックの中でも、演奏の整理されたプログレ寄りのバンド群と並べて捉えやすい内容だ。
作品の位置づけ
Wishbone Ashにとって『New England』は、70年代中盤の成熟した時期を示すアルバムの1つだ。デビュー期に確立したツイン・リードの手法を、より曲単位で聴かせる方向へ持っていった作品として見られることが多い。バンドの個性が演奏の中身にそのまま表れている。
同時代の英国ロックでは、Thin Lizzyのようにツイン・ギターを武器にしたバンドや、より構築的な展開を持つプログレッシブ・ロック勢と比較されることがある。Wishbone Ashはその中間にいるような立ち位置で、ハードなリフとメロディの両方を扱う点が特徴になっている。
まとめ
『New England』は、Wishbone Ashの看板であるツイン・リード・ギターを軸に、70年代半ばの英国ロックらしい演奏感をまとめた1976年作だ。US盤ではジャケット表記や図柄に違いがあり、盤としての見どころもある。バンドの音作りと当時の空気が、そのまま残った作品と言える。
トラックリスト
- A1 – Mother Of Pearl (4:28)
- A2 – (In All Of My Dreams) You Rescue Me (6:14)
- A3 – Runaway (3:17)
- A4 – Lorelei (5:27)
- B1 – Outward Bound (4:49)
- B2 – Prelude (1:15)
- B3 – When You Know Love (5:49)
- B4 – Lonely Island (4:28)
- B5 – Candle-Light (1:49)