REO Speedwagon – Nine Lives (1979)
REO Speedwagon『Nine Lives』(1979)
アメリカ・イリノイ州シャンペーン出身のロック・バンド、REO Speedwagonが1979年に出したアルバムが『Nine Lives』である。70年代を通じて地元シーンから支持を積み上げてきた彼らの、80年代の大きな商業的成功へつながる直前の作品でもある。
REO Speedwagonは、バンド名を車名「REO Speed Wagon」から取ったことで知られる。発音はメーカー名のように一語ではなく、文字を一つずつ読んで「R-E-O」とした、という由来も有名だ。『Nine Lives』は、そのバンドの70年代後半の活動をそのまま切り取ったような1枚で、ハードロック寄りの骨太な演奏が中心になっている。
作品の位置づけ
1979年の『Nine Lives』は、REO Speedwagonにとってアルバム単位での存在感を保ちながら、翌年の『Hi Infidelity』へつながっていく時期の作品として見られることが多い。『Hi Infidelity』は1980年作で、全米トップ40ヒットを4曲生んだ代表作として知られているが、『Nine Lives』はその直前の段階で、バンドの演奏力と曲作りの地力が前面に出た内容になっている。
クレジットを見ると、当時の主要メンバーであるKevin Cronin、Gary Richrath、Neal Doughty、Alan Gratzer、Gregg Philbinらに加え、後年のメンバー名も並んでいる。REO Speedwagonというバンドの人員の入れ替わりを含む長い歴史の中でも、1979年時点の時代感が反映された作品といえる。
音の印象
録音はSound CityのStudio AとKendun RecordersのStudio D、ミックスもKendun RecordersのStudio Dで行われている。ファンキーさやAOR的な流れよりも、ギターを軸にした直線的なロックの手触りがはっきりしている印象だ。派手に作り込むというより、バンドの音を前に出した作りで、1970年代末のアメリカン・ハードロックの空気が濃い。
実際に聴くと、演奏のまとまりと曲ごとの押し出しのバランスがこの時代らしい。Gary Richrathのギターはリフとリードの切り替えがわかりやすく、Kevin Croninの歌はメロディを保ちながらもロック・バンドの前に立つ声として機能している。派手な変化球より、ストレートに進む曲が多く、アルバム全体の流れも読みやすい。
曲とクレジット
収録曲の出版社クレジットを見ると、A1、A2、A3……といった形で作家・出版社がきっちり分かれており、バンド内外の楽曲提供が混ざった構成になっている。A5にはArc Music Corp.、B4にはLarge Musicのクレジットがあり、完全な自作曲集というより、当時のバンドが持っていたレパートリーをアルバムとしてまとめた印象がある。
また、ゲートフォールド仕様のジャケットで、プリント入りインナー・スリーブにアートワークとクレジットを収めている点も1979年盤らしい。LPとして手に取ったときの情報量が多い作りで、当時のロック作品らしいパッケージングになっている。
同時代の文脈
1979年のアメリカン・ロックは、ハードロック、アリーナ志向、AORの入り口が重なっていた時期で、REO Speedwagonもその流れの中にいる。バンドの音は、同時代の堅実なアメリカン・ハードロック・バンドと並べて語られることが多く、70年代末のロック・バンドの標準的な強さを感じさせる。
この『Nine Lives』は、後の大ヒット作のような知名度ではないものの、REO Speedwagonが80年代に入っていく直前の姿を確認できる1枚として位置づけやすい。バンドの基礎体力、曲の骨組み、演奏の癖がそのまま記録されたアルバムである。
まとめ
『Nine Lives』は、REO Speedwagonが1979年に出したハードロック色の強いアルバムで、翌年の大きな成功の前段にある作品だ。Sound City録音、Kendunでのミックス、ゲートフォールド仕様のLPという情報からも、当時のロック・アルバムとしての作りが見えてくる。バンドの70年代末の実像を知るうえで、ひとつの節目になるタイトルである。
トラックリスト
- A1 – Heavy On Your Love (3:34)
- A2 – Drop It (An Old Disguise) (3:12)
- A3 – Only The Strong Survive (3:51)
- A4 – Easy Money (3:59)
- A5 – Rock & Roll Music (2:54)
- B1 – Take Me (3:29)
- B2 – I Need You Tonight (3:34)
- B3 – Meet Me On The Mountain (4:04)
- B4 – Back On The Road Again (5:37)
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Gong – Expresso II (1978)
Gong『Expresso II』について
Gongの『Expresso II』は、1978年に発表されたスタジオ・アルバムで、バンド名義では通算8作目にあたる作品だ。とはいえ、内容の中心にいるのはデヴィッド・アレン時代のサイケデリックな宇宙感というより、ピエール・モエランを軸にしたジャズ・ロック寄りの編成と演奏だ。ヴィブラフォンを前面に出したインストゥルメンタル主体の作りで、Gongの別の側面がはっきり出た一枚として知られている。
作品の位置づけ
Gongはフランスで結成されたプログレッシブ/サイケデリック・ロック・バンドで、メンバーの入れ替わりが非常に多い。この『Expresso II』は、デヴィッド・アレン主導のスペース・ロック的な流れとは距離があり、実質的にはピエール・モエラン率いるGongの2作目にあたる位置づけだ。とはいえ当時は契約上の事情で、Virgin Recordsからはまだ「Gong」名義で出ている。
そのため、同じGongでも前期の作品群とは手触りがかなり違う。一般に連想されやすい浮遊感のあるヴォーカルやコミカルな世界観より、リズムの組み立てとアンサンブルの精度が前に出る内容だ。ジャズ、ロック、フュージョン、プログレッシブ・ロックの交差点に置かれるのは、そのあたりの性格によるものだろう。
サウンドの特徴
このアルバムの軸は、演奏の密度とリズム感だ。ビブラフォンの響きが印象を決め、ギター、ベース、ドラム、パーカッションが細かく噛み合う。Gongらしい実験性は残しつつも、曲の進行はかなり演奏主導で、ジャズ・ロックの文脈で聴かれることが多いのも納得できる。
聴感としては、音の隙間が多いというより、各パートがきっちり役割を持って動くタイプだ。フレーズの反復や拍のずらし方に耳が向きやすく、即興性と構成の両方が見える。前期Gongのような物語性や言葉遊びを追うより、演奏そのものを追いかけるアルバムという印象が強い。
編成とクレジット
参加メンバーには、ピエール・モエラン、ミシェル・グローディ、スティーヴ・ヒレッジ、マイク・ハウレット、ビル・ブラッフォード、ティム・ブレイクらが名を連ねる。ジャズ/プログレ界隈で重要な名前が並んでいて、この時期のGongが単なる「サイケバンド」ではないことがはっきりしている。
とくにビル・ブラッフォードの参加は、英国プログレの耳で聴くと見逃しにくい点だ。ドラムの質感やリズムの立ち上がりに、同時代のプログレッシブ・ロックやフュージョンの感覚が入り込んでいる。
同時代とのつながり
1978年という時期は、プログレッシブ・ロックが初期のピークを過ぎ、ジャズ・ロックやフュージョンとの往復がより目立っていく頃だ。Gongのこの作品も、その流れの中に置くと分かりやすい。比較対象としては、マハヴィシュヌ・オーケストラやソフト・マシーン周辺の、演奏の切れ味を重視する作品群が思い浮かぶ。
ただし『Expresso II』は、純粋なジャズ・ロックへ寄り切るというより、Gongという名前の持つ歴史を背負いながら、その時点のメンバーで別の方向へ進んだ記録になっている。タイトルは同じでも、前期のGongと同一線上で語るより、派生バンドの色合いで捉えたほうが実態に近い。
代表曲・聴きどころ
このアルバムはインストゥルメンタル中心のため、シングルヒットや一般的な代表曲で語られるタイプではない。アルバム全体の流れとアンサンブルが聴きどころだ。曲単位で目立つというより、連続して聴いたときに演奏の組み替わりや音色の違いが見えてくる作りだ。
まとめ
『Expresso II』は、Gongのディスコグラフィの中でも、デヴィッド・アレン期の宇宙的なサイケデリアから離れ、ピエール・モエラン主導のジャズ・ロック路線を明確にした作品だ。1978年の時点で、Gongという名前がまだ複数の方向を内包していたことを示す一枚でもある。ヴィブラフォンを核にしたインストゥルメンタルの演奏、プログレとフュージョンの接点、そして移行期のバンド編成。そのあたりが、このアルバムの輪郭になっている。
トラックリスト
- A1 – Heavy Tune (6:22)
- A2 – Golden Dilemma (4:52)
- A3 – Sleepy (7:18)
- B1 – Soli (7:37)
- B2 – Boring (6:22)
- B3 – Three Blind Mice (4:50)
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Turley Richards – Therfu (1979)
Turley Richards『Therfu』について
『Therfu』は、アメリカのシンガー/ソングライター、ギタリストであるTurley Richardsの1979年作。ソウルやAOR寄りの感触を持ちながら、ロック作品としてまとまった一枚として知られる。Turley Richardsは1970年にWarner Bros.からアルバム・デビューしており、70年代前半には米国で小さなヒットを2曲、さらに1980年にもヒットを記録している。その流れの中にある後期70年代の作品がこの『Therfu』になる。
Turley Richardsという人物
Turley Richardsは1941年6月12日、ウェストヴァージニア州チャールストン生まれ。幼少期に視力を失いながらも音楽活動を続け、ティーン時代からThe Five Pearlsで演奏していた。レコード初登場はFraternity Recordsから出たシングル「All About Ann」。その後、ロサンゼルス、のちにニューヨークへ移り、ニューヨークではアップタウン・イーストサイドのライブ・スポットで活動していたという経歴を持つ。作曲面でも活動し、Tom SnowとNan O’Byrneの「You Might Need Somebody」を最初に録音した人物としても知られる。
1979年の位置づけ
『Therfu』は、70年代のキャリアの後半に置かれた作品。デビューから数年を経て、ヒット曲を持つシンガー・ソングライターとしての経験が反映された時期の録音と見てよさそうだ。1970年代後半のロック作品らしく、バンド演奏を軸にした作りが想像しやすい一方で、Turley Richards自身の歌唱とソングライティングの存在感が中心にあるタイプのアルバムとして受け止められている。
代表曲や関連エピソード
この作品自体の収録曲情報は限られるが、Turley Richardsの代表的な話題としては「You Might Need Somebody」の初録音が大きい。のちにRandy Crawfordが1981年に全英11位、Shola Amaが1997年に全英4位を記録しており、作曲家としての足跡を示す曲になっている。
また、彼は2011年に、自身の本名Richard Turley名義でFraternity Recordsに残した1959年の「Making Love With My Baby」がRockabilly Hall of Fameに入ったことを知り、驚きと喜びをコメントしている。長いキャリアの中で、ロカビリーから70年代ロック、さらにソングライターとしての評価までつながっている点が、この人物の面白さでもある。
聴きどころの見方
『Therfu』を聴くときは、Turley Richardsの歌の運び方と、ギターを含む演奏の組み立てに注目したくなる作品。大きな話題性よりも、キャリアを重ねたミュージシャンが1979年時点でどんな音を鳴らしていたかを確かめるタイプの一枚といえる。
補足
今回の盤は日本盤として流通したもの。オリジナルの年も1979年なので、作品としては同年のアルバムとして見てよさそうだ。Turley Richardsの70年代後半の活動を追ううえで、ひとつの節目に置けるタイトルである。
トラックリスト
- A1 – You Might Need Somebody (3:40)
- A2 – All Over The World (3:33)
- A3 – When I Lose My Way (3:48)
- A4 – Baby, Please Don’t Go (4:55)
- A5 – Climb Up The Steeple (4:32)
- B1 – Stand By Me (3:45)
- B2 – I’m Coming Back Home (With A Little Bit Of Luck) (3:35)
- B3 – Can’t You Hear Them Crying (4:21)
- B4 – It’s All Up To You (3:21)
- B5 – There’s Something Wrong (5:35)
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Hummingbird – We Can’t Go On Meeting Like This (1976)
Hummingbird『We Can’t Go On Meeting Like This』について
『We Can’t Go On Meeting Like This』は、British-American bandのHummingbirdが1976年に発表した作品である。バンドはBobby Tenchを中心に1974年に結成されており、このアルバムもその流れの中で出てきた一枚として位置づけられる。収録メンバーにはBernard Purdie、Max Middleton、Bobby Tench、Conrad Isidore、Robert Ahwai、Bernie Holland、Clive Chamanが並び、演奏者の顔ぶれからも、ロックの骨格にソウル寄りのグルーヴやジャズ的な感触が重なる作りがうかがえる。
作品の輪郭
このアルバムは、ジャンル表記としてJazz、Rock、Funk / Soul、スタイルとしてSoul-Jazz、Jazz-Funk、Funkに分類される。Hummingbirdの持つバンド感を軸にしながら、リズムの粘りや音の運びに黒っぽい感触が入るタイプの作品として捉えやすい。1970年代半ばの、ロックとファンク、ジャズが近い距離で行き来していた時代の空気に沿った内容である。
同時代の文脈で見ると、演奏の細かさやリズムの重心の置き方は、いわゆるジャズ・ロックやジャズ・ファンクの流れに接続する。派手に押し切るというより、各パートの絡みで聴かせるタイプのバンド作品として見えてくる。
メンバー構成が示すもの
Bernard Purdieの参加は、この作品のリズム面を語るうえで大きな要素になりそうだ。Max Middletonも含め、各プレイヤーの名前からは、単なるロック・バンドというより、演奏力を前提にしたセッション感のある編成が見えてくる。Bobby Tenchの存在を軸に、ギター、鍵盤、ベース、ドラムがそれぞれ前に出すぎず、全体のうねりを作る構成が想像しやすい。
Hummingbirdの中での位置づけ
Hummingbirdは1974年にBobby Tenchによって結成されたバンドで、この時期の作品群は、ロックとソウル、ファンクの要素をまとめながら独自の方向を探っていた流れにある。『We Can’t Go On Meeting Like This』は、そのバンド像を示す一枚として見られるだろう。タイトルも含めて、派手なコンセプトを掲げるより、演奏そのものの質感で聴かせる印象が強い。
曲の聴きどころ
ヒット曲や広く知られた代表曲という点では、この作品はシングル一発で語られるタイプではなさそうだ。むしろ、アルバム全体を通して、リズムの組み立て、ギターと鍵盤の受け渡し、歌と演奏の距離感を追うのが中心になる。こうした作りは、同じ時代のジャズ・ファンクやソウル・ロックの作品群と並べて聴くと、バンドの立ち位置が見えやすい。
まとめ
『We Can’t Go On Meeting Like This』は、1976年のHummingbirdを知るうえで外せない作品のひとつである。ロックを土台にしつつ、ソウル、ファンク、ジャズの要素を自然に取り込んだバンド・アルバムとして、演奏者の顔ぶれと1970年代半ばの音楽環境がそのまま反映された内容といえる。派手な売り方よりも、バンドの実力とグルーヴで聴かせる一枚、という印象である。
トラックリスト
- A1 – Fire And Brimstone (4:57)
- A2 – Gypsy Skys (5:20)
- A3 – Trouble Maker (3:14)
- A4 – Scorpio (4:14)
- A5 – We Can’t Go On Meeting Like This (4:19)
- B1 – The City Mouse (4:49)
- B2 – A Friend Forever (5:30)
- B3 – Heaven Knows (Where You’ve Been) (4:05)
- B4 – Snake Snack (4:29)
- B5 – Let It Burn (5:02)
関連動画
- Gypsy Skys – Hummingbird
- Hummingbird – The City Mouse (1976)
- Hummingbird – We Can’t Go On Meeting Like This (1976)
- Hummingbird – We Can’t Go On Meeting Like This (1976) ♫
- hummingbird – fire and brimstone
- Hummingbird – Scorpio.wmv
- We Can’t Go On Meeting Like This – 03 – Trouble Maker
- A FLG Maurepas upload – Hummingbird – A Friend Forever – Soul Funk
- Hummingbird – Heaven Knows (Where You’ve Been)
- HUMMINGBIRD – Snake Snack (1976)
Working Week – Compañeros (1986)
Working Week『Compañeros』(1986)
Working Weekは、1983年に始動したUKのバンドで、Simon Booth、Juliet Roberts、Larry Stabbinsを中核に活動したグループだ。本作『Compañeros』は1986年に発表された作品で、バンドの80年代中盤の動きを知るうえで外せない一枚になっている。ジャズを土台に、ファンクやソウルの感触を取り入れた作りで、当時のUKシーンに広がっていたアシッド・ジャズ周辺の空気ともつながる内容だ。
作品の位置づけ
Working Weekは、ジャズの演奏性とソウル寄りの歌もの感覚を同じ場に置くバンドとして知られている。『Compañeros』もその延長線上にあり、バンドの持ち味であるリズムの軽さと、ボーカルを前に出した構成が見えやすい作品だ。Juliet RobertsやJulie Tippettsといった歌い手が参加している点も、このアルバムの輪郭をはっきりさせている。
1980年代のUKでは、ジャズ、クラブ・ミュージック、ソウルが近い場所で交わり始めていた。Working Weekはその流れの中で、演奏の細かさと都会的な感触を両立させたグループとして位置づけられることが多い。『Compañeros』も、そうした文脈の中で聴かれることの多いタイトルだ。
サウンドの特徴
この作品は、ジャズ・バンド的な演奏の流れを保ちながら、ファンクの反復やソウルの歌心が前に出る。リズム隊の推進力があり、そこにホーンや鍵盤、ギターが細かく絡む構成。派手に押し切るというより、各パートが噛み合いながら曲を進めていくタイプの作りだ。
聴き進めると、バンドの中で演奏と歌の距離が近いことがわかる。ジャズ・ロックのように技巧を見せる場面だけでなく、歌のフレーズを支えるためのアンサンブルとして機能しているところが印象に残る。ソウル寄りのボーカルと、ジャズ由来の展開が同じ曲の中で自然に並ぶのが、このグループらしいところだ。
参加メンバー
- Juliet Roberts
- Julie Tippetts
- Larry Stabbins
- Simon Emmerson
- Roy Dodds
- Kim Burton
- Nic France
- Eyvon Waite
メンバーには、のちに幅広い活動につながる名前も含まれている。特にSimon Emmersonは、その後のUKのクロスオーバー系の文脈でも知られる人物だ。こうした面々が集まっていることからも、単なるバンド作品というより、当時のシーンの交点にある録音として見えてくる。
同時代とのつながり
『Compañeros』は、同時代のUKジャズ系作品と並べて語られることがある。Herbie Hancockの影響を受けたジャズ・ファンク、ソウル・ジャズ、そしてクラブ向けのビート感が近い場所で交差していた時期の作品だ。よりソウル色の強い方向へ寄った作品群や、インストゥルメンタル中心のジャズ・ファンクと比べると、Working Weekは歌の存在感が大きい。
その意味で、本作は「演奏だけで聴かせるジャズ・バンド」でも「完全なポップ・バンド」でもない、中間にある作りがはっきりしている。UKの都市的な音楽感覚を反映したアルバム、と言える内容だ。
まとめ
『Compañeros』は、Working Weekの1986年作として、ジャズ、ファンク、ソウルの接点をそのまま形にした一枚だ。Juliet RobertsやJulie Tippettsのボーカル、Larry Stabbinsらの演奏が組み合わさり、80年代UKのアシッド・ジャズ前夜を思わせる空気を持っている。バンドの方向性をつかむうえでも、当時のシーンをたどるうえでも、目に留まる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Too Much Time (4:01)
- A2 – Dancing In Motion (4:09)
- A3 – Friend (4:43)
- A4 – South Africa (4:50)
- A5 – Shot In The Dark (5:17)
- B1 – Soul Train (4:44)
- B2 – King Of The Night (5:19)
- B3 – Touching Heaven (4:08)
- B4 – Southern Cross (7:54)
関連動画
- ‘Southern Cross’ by Working Week
- Working Week song South Africa trombone solo by Richard Edwards 1986.
- Working Week “Soul Train”
- Working Week – Too Much Time (1986)
- Working Week – Inner City Blues – Live
- Working Week song Dancing in Motion trombone solo by Richard Edwards 1986.
- working week – friend (touche pas mon pote).wmv
- Working Week – Too Much Time (Extended Version)
Westfauster – In A King’s Dream (1971)
Westfauster『In A King’s Dream』について
Westfausterの『In A King’s Dream』は、1971年に発表されたサイケデリック・ロック/プログレッシブ・ロック作品だ。アメリカ・オハイオ州シンシナティ周辺のバンドで、1960年代後半から1970年代前半にかけて活動したグループとして知られている。バンドはNascoレーベルから1枚のLPを残しており、この作品もその流れにある1作となる。
盤として流通しているのは1993年発行のもの。オリジナル盤よりも後の再発盤として扱うのが自然で、70年代初頭の空気を伝える録音に、90年代の再流通が重なった形になる。
作品の位置づけ
Westfausterは、シンシナティのローカル・シーンから出てきたサイケデリック・プログレ・バンドという位置づけになる。バンドの説明では、NascoからのLPは「プログレッシブ」と「ポスト・サイケデリック」の要素が混ざった内容とされている。つまり、60年代後半の心理的な広がりを持つロック感覚を引き継ぎながら、70年代初頭らしい構成重視の演奏へ寄っていく時期の記録と見られる。
メンバーにはStephen Helwig、Michael Newland、Charles West Fausterが名を連ねる。さらに、Haymarket RiotのSteve HelwigがこのLPに参加している点も知られている。こうしたクレジットからも、地域シーンのつながりの中で作られた作品であることがうかがえる。
サウンドの輪郭
実際の音像は、サイケデリック・ロックの持つ揺れや色彩感に、プログレッシブ・ロック的な展開の組み立てが重なるタイプと受け取られている。派手なヒット曲で押すというより、曲の流れやアレンジの変化で聴かせる性格が強そうだ。ジャンル名だけで想像されるほど単純な“サイケ”ではなく、演奏の構造に意識が向いた作品という印象が残る。
同時代の文脈で見ると、60年代末から70年代初頭にかけてのアメリカのローカル・バンドに通じる作りだ。大きな商業的成功を前提にした作品というより、当時のロックが持っていた実験性や長尺志向、演奏の密度が前に出るタイプのアルバム群と並べて語られることが多いだろう。
再発盤としての見どころ
1993年盤は、オリジナルの1971年盤を後年に改めて手に取れる形にしたものだ。再発盤ではあるが、作品そのものは70年代初頭の録音として聴くのが基本になる。こうした盤は、オリジナル流通の少なさゆえに後から評価されることもあり、Westfausterのような地域バンドの記録を現代に残す役割も持っている。
まとめ
『In A King’s Dream』は、シンシナティ出身のWestfausterが残した1971年のLPで、サイケデリック・ロックとプログレッシブ・ロックの接点にある作品だ。地域色のあるバンド編成、Nascoからの単独LP、そして後年の再発という流れまで含めて、70年代初頭のアメリカ地方シーンを知るうえでの一枚として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – Where Are You (3:26)
- A2 – Everyday (8:55)
- A3 – Blind Man (3:16)
- A4 – Blind Man’s Epitaph (2:54)
- B1 – In A King’s Dream (10:08)
- B2 – A Sunny Day (3:18)
- B3 – Low Sun (2:53)
- B4 – Did It Or Didn’t It (Take Us High) (5:09)
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Srđan Marjanović – Uvek Ima Neki Djavo (1980)
Srđan Marjanović『Uvek Ima Neki Đavo』について
Srđan Marjanovićの『Uvek Ima Neki Đavo』は、1980年にユーゴスラビアで出たポップ・ロック作品。アーティストはセルビアのポップ・ロック歌手、ソングライターとして知られる人物で、この時期のユーゴスラビア・ポップスらしい、歌ものを軸にした一枚として位置づけられる作品だ。
作品の基本情報
- アーティスト: Srđan Marjanović
- タイトル: Uvek Ima Neki Đavo
- オリジナル・リリース年: 1980年
- リリース国: Yugoslavia
- 録音: Studio Tetrapak, Split, 1980年
- クレジット表記: バックカバーでは Srdjan Marjanović & “Puma”、ラベルでは Srđan Marjanović i Puma
作品の輪郭
タイトルの『Uvek Ima Neki Đavo』は、セルビア語で直訳すると「いつも何か悪魔がいる」といった意味合いになる。作品全体も、ポップを土台にしながら、バラード要素を含む流れが想像しやすい。1970年代末から1980年前後のユーゴスラビア音楽では、ポップ・ロックと歌謡性の強いメロディが近い距離で並んでいて、この作品もその文脈に置きやすい。
録音はスプリトのStudio Tetrapakで行われている。ユーゴスラビア各地の音楽制作が横断的につながっていた時代の空気が、こうしたクレジットからも見えてくる。
アーティストの位置づけ
Srđan Marjanovićは、セルビアのポップ・ロック歌手/作曲家として紹介されるアーティスト。この作品は1980年の時点での代表的な単独作のひとつとして見られることが多い。派手なロック・バンド作品というより、歌を前に出した作りの中で、メロディと語り口を聴かせるタイプのリリースだと受け取れる。
同時代の文脈
1980年前後のユーゴスラビアのポップ・ロックは、ロックの編成感とラジオ向きのメロディが近接した作品が目立つ時期。西欧ロックの影響を受けつつも、言語の響きや歌い回しが前面に出る点が、この地域の作品らしさとしてある。Srđan Marjanovićも、その流れの中で歌ものを中心に据えた表現を担う存在として捉えやすい。
クレジットの表記について
この盤では、バックカバーとラベルでクレジット表記が少し異なる。バックカバーでは Srdjan Marjanović & “Puma”、ラベルでは Srđan Marjanović i Puma。表記揺れはあるが、作品の基本的な内容を追ううえでは、1980年のユーゴスラビア盤として押さえておけば十分だろう。
聴取メモとして言える範囲
音像や曲順まで実際に聴き込んだ感想として語るには慎重さが必要だが、タイトル、制作年、ジャンル情報から見る限り、バラード寄りの歌ものを含むポップ・ロック作品として受け止められる一枚だ。1980年という時期の空気を反映した、シンプルに歌を聴かせるタイプの記録として整理できる。
まとめ
『Uvek Ima Neki Đavo』は、Srđan Marjanovićの1980年のユーゴスラビア盤。スプリト録音、ポップ・ロック/バラード系の歌もの、そしてセルビア語圏のポップ・ロックの流れの中に置ける作品だ。作品名とクレジットの表記差も含めて、当時の地域作品らしい一枚として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Uvek Ima Neki Djavo
- A2 – Kad Bi Život Bio Televizija
- A3 – Glavna Uloga U Mom Filmu Si Ti
- A4 – Sećanje
- B1 – Ne Veruj Nikome
- B2 – Stani Pred Ogledalo
- B3 – Leptir
- B4 – Volim Dugu I Jednu Staru…
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Obskuria – Burning Sea Of Green (2011)
Obskuria『Burning Sea Of Green』について
Obskuriaの『Burning Sea Of Green』は、2011年にドイツでリリースされた作品です。クレジット上の表記では、World in Soundsからのリリースとなっており、録音物としては同年の初出盤にあたります。ジャンルはRock、スタイルはSpace Rock、Psychedelic Rock。作品名からも伝わるように、ロックの基本形に、宇宙的な広がりとサイケデリックな感触を重ねた内容として整理できる盤です。
作品の輪郭
Obskuriaというアーティストについて公開情報は多くありませんが、このタイトルが示す方向性ははっきりしています。スペース・ロックとサイケデリック・ロックを軸にした作品で、直線的なロックの推進力よりも、音の空間や反復、揺らぎの感覚が前に出るタイプの一枚として受け取れます。2011年という時期に、ドイツ発の作品として出てきた点も含め、クラシックなサイケ/スペース・ロックの流れを現代的な形で引き継ぐ文脈に置けそうです。
リリース情報
- アーティスト: Obskuria
- タイトル: Burning Sea Of Green
- オリジナルリリース年: 2011年
- 盤のリリース年: 2011年
- リリース国: Germany
- アーティストの国: Germany
- レーベル表記: World in Sounds
聴感上のポイント
実際の音像としては、スペース・ロックらしい引き伸ばし方と、サイケデリック・ロック特有の視界のゆらぎが中心になりそうな作品名と分類です。派手なヒット曲で押すというより、曲ごとの展開やモチーフの積み重ねで聴かせるタイプの可能性が高いです。タイトル曲が作品全体の空気を代表していると見てよさそうで、色や熱量を言葉で組み合わせたネーミングも、この手のジャンルでよくある構えです。
ジャンルの文脈
スペース・ロックとサイケデリック・ロックの組み合わせは、長尺の演奏、反復するリフ、エフェクト処理されたギター、広がりのある音作りで語られることが多い領域です。ドイツのロック史をたどると、クラウトロック以降の実験性や、70年代的なサイケデリック感覚との接続も見えてきます。Obskuriaの『Burning Sea Of Green』も、その延長線上で捉えると輪郭がつかみやすい作品です。
まとめ
『Burning Sea Of Green』は、2011年のドイツで登場したObskuriaの作品。ロックを土台に、スペース・ロックとサイケデリック・ロックの要素を重ねた一枚として記録できます。アーティスト情報は多くないものの、作品名、リリース地、ジャンルの並びからは、音の空間を前に出した作品像が見えてきます。
トラックリスト
- A1 – A-Bun-Dance
- A2 – Somewhere
- A3 – Why?!
- A4 – Black Magic
- A5 – Under The Gallows
- A6 – Slow Stone
- B1 – Memories Of Mysteria
- B2 – Screaming Like A Whirlwind
- B3 – Burning Sea Of Green
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Soft Machine – Softs (1976)
Soft Machine『Softs』について
『Softs』は、英国カンタベリー・シーンを代表するSoft Machineが1976年に発表したアルバムである。ジャズとロックの接点を軸にしながら、バンドの編成が大きく変わっていった時期の作品でもあり、Soft Machineの後期を語るうえで外せない1枚として知られている。
本作の録音は1976年春、Abbey Road Recording Studiosで行われている。リリース時点では、創設期からのメンバーであるMike Ratledgeが抜け、Roy Babbington、John Marshall、Allan Holdsworth、John Etheridgeらを経た流れの中で、より演奏色の強いグループとしての姿が前面に出ている。
Soft Machineというバンドの流れの中で
Soft Machineは1966年にカンタベリーで結成された英ロック/ジャズ・バンドで、バンド名はウィリアム・S・バロウズの小説『The Soft Machine』に由来する。Robert Wyatt、Kevin Ayers、Daevid Allenらを含む初期編成から始まり、70年代に入るとメンバー交代を重ねながら、インストゥルメンタル寄りのジャズ・ロックへと重心を移していった。
『Softs』は、その変化がかなり進んだ段階の作品である。初期のサイケデリックな匂いよりも、アンサンブルの精度や即興性、リズムの組み立てが前に出る時期のSoft Machineらしさがある。
音の印象
実際に聴くと、まず耳に入るのは各楽器の役割分担のはっきりした演奏である。ギター、サックス、キーボード、ベース、ドラムがそれぞれ前に出すぎず、曲ごとに細かく表情を変えていく。ロックのバンド編成を保ちながら、演奏の進み方はかなりジャズ寄りで、拍の置き方やフレーズの受け渡しにSoft Machineならではの緊張感がある。
Allan HoldsworthとJohn Etheridgeのギターが関わる時期の流れを踏まえると、コード感よりも線の動きや音の重なりが印象に残る構成で、Mike Ratledge時代のキーボード主体の色彩とはまた違う聴こえ方になる。John Marshallのドラムも、この時期のバンドを支える要として機能している。
収録曲と代表的な位置づけ
『Softs』には、後のライブでも触れられるようなバンドの中核となる楽曲が含まれている。Soft Machineはシングルヒットで知られるバンドではなく、アルバム単位で語られることが多いが、本作もその流れにある。曲ごとの展開を追う楽しさがあり、メロディを前面に押し出すというより、演奏の進行そのものに耳が向く内容である。
この時期のSoft Machineは、同時代のフュージョンやジャズ・ロックの文脈でも見られる存在だが、単に技巧を並べるのではなく、カンタベリー系らしい柔らかい旋律感と、構成の変化を併せ持っている点が特徴的である。比較対象としては、同じ英国のジャズ・ロック/プログレ周辺のバンドや、より即興色の強いフュージョン系のアンサンブルが挙げられることが多い。
1990年盤について
この盤は1990年リリースのものだが、作品自体は1976年のアルバムである。したがって、聴かれるのは70年代中盤のSoft Machineの音像であり、90年時点の新作ではない。再発盤として見ると、オリジナルの制作時代をそのまま伝える役割が強い。
Soft Machineのカタログの中では、初期の実験性と後期のジャズ・ロック志向のあいだで、バンドの輪郭がかなり明確になった時期の記録として置ける作品である。
トラックリスト
- A1 – Aubade
- A2 – The Tale Of Taliesin
- A3 – Ban-Ban Caliban
- A4 – Song Of Aeolus
- B1 – Out Of Season
- B2 – Second Bundle
- B3 – Kayoo
- B4 – The Camden Tandem
- B5 – Nexus
- B6 – One Over The Eight
- B7 – Etika
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Cactus – Cactus (1970)
Cactus『Cactus』について
アメリカのハードロック/ブルースロック・バンド、Cactusのセルフタイトル作。オリジナルは1970年に登場した作品で、ここで取り上げる盤は1974年の日本盤になる。Carmine AppiceとTim Bogertを中心にした編成で、70年代初頭のラウドで骨太なバンドサウンドをまともに押し出した一枚という位置づけだ。
バンドの立ち位置
Cactusは、ハードロックがまだロックの中で輪郭を固めていく時期に出てきたグループのひとつ。後年のような整ったプロダクションよりも、演奏の勢いとリフの強さで押していくタイプで、同時代のハードロック・バンドやブルースロック系の流れの中で語られることが多い。Carmine Appiceのドラム、Tim Bogertのベースを軸にしたリズムの圧は、このバンドの大きな特徴になっている。
作品の内容
『Cactus』では、ブルースを下敷きにしたリフ主体の曲作りと、荒々しい演奏が前に出る。ギター、ベース、ドラムの音のぶつかり方がはっきりしていて、歌よりもバンド全体の推進力で聴かせる場面が目立つ。ハードロックの直線的な力感と、ブルースロック由来の粘りが同居した作りだ。
曲単位では、長めの展開や即興的な空気も入りつつ、全体としては分かりやすいロックの形を保っている。代表曲として知られる「Evil」や「Parchman Farm」の流れでCactusを知る人も多いが、このセルフタイトル作でも、そうしたバンドの持ち味はしっかり確認できる。
同時代の文脈
1970年前後のアメリカン・ロックでは、ブルースを土台にしながら音量と推進力を強めたバンドが次々に現れていた。Cactusは、その中でもかなり演奏の圧を前面に出す側に入る存在で、イギリス勢のハードロックと並べて語られることもある。CreamやJimi Hendrix Experience以後の流れを受けながら、より硬質なバンド・サウンドへ寄せた印象のあるグループだ。
この盤について
1974年の日本盤として流通した一枚で、作品そのものは1970年作として捉えるのが自然だ。日本盤ならではの違いとしては、国内での流通時期やジャケット表記、解説の有無などが盤ごとの楽しみになるが、収録内容の軸はオリジナル作にある。Cactusの初期像をそのまま伝えるアルバムとして、バンドの出発点を確認できる内容になっている。
まとめ
Cactus『Cactus』は、70年代ハードロックの初期衝動とブルースロックの骨格がそのまま出た作品。派手に整えるより、バンドの生身の音で押し切るタイプのアルバムで、Carmine AppiceとTim Bogertの存在感が強く残る。Cactusというバンドの輪郭をつかむうえで、まず押さえやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Parchman Farm (3:05)
- A2 – My Lady From South Of Detroit (4:20)
- A3 – Bro. Bill (5:10)
- A4 – You Can’t Judge A Book By The Cover (6:44)
- B1 – Let Me Swim (3:50)
- B2 – No Need To Worry (6:00)
- B3 – Oleo (4:49)
- B4 – Feel So Good (6:00)
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Gong – You (1974)
Gong『You』について
Gongの『You』は、1974年にオリジナル・リリースされた5作目のスタジオ・アルバムで、Daevid Allen期のGongを代表する作品のひとつだ。前年の『Flying Teapot』、『Angel’s Egg』に続く“Radio Gnome Invisible”三部作の完結編にあたり、Gongの神話的な世界観がアルバム全体にまとまっている。
この盤は1978年の日本盤で、帯とインサート付き。音盤としては、オリジナルの1974年盤とは別に日本で流通した再発盤にあたる。
作品の位置づけ
『You』は、Daevid Allenの主導によるGongの最終章的な位置づけにある作品だ。のちにバンドは編成や音楽性を変えながら続いていくが、このアルバムは、70年代前半のGongらしい宇宙的な設定と、長尺の演奏を組み合わせた時期の到達点として語られることが多い。
録音はイングランド・オックスフォードシャーのVirgin RecordsのManor Studiosで行われ、A面はロンドンのPye Studios、B面はThe Manorでミックスされた。プロデュースはSimon HeyworthとGong名義。Virginの初期プレスでは、Roger Deanによるカラフルなデザインのジャケットが使われていたことでも知られている。
内容と聴きどころ
アルバムは短い語りの断片と、長めの演奏曲が交互に並ぶ構成だ。特に「Master Builder」「A Sprinkling of Clouds」「Isle of Everywhere」あたりが中心になっていて、物語性と演奏面の両方を担っている。
- 「Master Builder」: アルバムを代表する楽曲。Steve Hillageは後年、自身の1978年作『Green』で「The Glorious Om Riff」として再構成している。
- 「A Sprinkling of Clouds」: インストゥルメンタル色の強い流れの中で、楽曲の展開をつなぐ役割がある。
- 「Isle of Everywhere」: 三部作の終盤らしい広がりを持つ曲として位置づけられる。
- 「You Never Blow Yr Trip Forever」: アルバムの締めくくり。終結部として機能する構成。
実際の聴感としては、語りや断片的な場面転換がある一方で、演奏の軸ははっきりしていて、長い曲でも流れが途切れにくい印象だ。ジャズ寄りのリズム、ギターの反復、シンセや管楽器の入り方が、曲ごとの場面を分けながら進んでいく。
当時の文脈
Gongは、サイケデリック・ロック、スペース・ロック、プログレッシブ・ロックの文脈で語られることが多い。Canterbury sceneとの接点もあり、同時代の英国プログレの中でも、より遊びのある神話設定と即興性を持つバンドとして見られてきた。
この時期のGongには、Steve Hillage、Miquette Giraudy、Mike Howlett、Tim Blake、Didier Malherbe、Pierre Moerlenなど、後の個々の活動でも知られるメンバーが関わっている。演奏面では、ロックの枠に収まりきらない展開と、比較的明快なリフの両方が同居している。
日本盤としての見どころ
1978年の日本盤にはOBIとインサートが付属している。オリジナルの1974年盤と比べると、ジャケットや付属物の違いが日本盤ならではの要素になる。Virgin初期盤のRoger Deanデザインを踏まえたビジュアルも、この作品の印象を形づくる部分だ。
まとめ
『You』は、Gongの神話的な世界観、長尺の演奏、断片的な語りをひとつにまとめたアルバムだ。『Flying Teapot』『Angel’s Egg』に続く三部作の終盤として、バンドの70年代前半を区切る作品として位置づけられる。代表曲としては「Master Builder」がよく挙げられ、のちの演奏やカバーにもつながっていく。
トラックリスト
- A1 – Thought For Naught
- A2 – A PHP’s Advice
- A3 – Magick Mother Invocation
- A4 – Master Builder
- A5 – A Sprinkling Of Clouds
- B1 – Perfect Mystery
- B2 – The Isle Of Everywhere
- B3 – You Never Blow Yr Trip Forever
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Anthony Phillips – Private Parts & Pieces II: Back To The Pavilion (1980)
Anthony Phillips『Private Parts & Pieces II: Back To The Pavilion』(1980)について
Anthony Phillipsは、Genesisの初期メンバーとして知られる英国のマルチ奏者だ。1970年にGenesisを離れたあと、ソロ活動ではギターだけに限らず、キーボードや作曲面も含めて幅広い仕事を続けている。1970年代後半からはソロ作や映像音楽、コラボレーションを重ねていて、この『Private Parts & Pieces II: Back To The Pavilion』は、その流れの中にある1980年の作品になる。
タイトルの通り、「Private Parts & Pieces」シリーズの第2作目。シリーズ名からもわかる通り、まとまった楽曲集というより、個人的なスケッチや断片、既発表曲の周辺にある素材まで含めた構成になっている。Anthony Phillipsの作曲家としての手触りを、アルバム単位で追いやすい一枚という位置づけだ。
作品の性格
この作品は、プログレッシブ・ロックの文脈に置かれることが多い。Genesis初期のようなバンド的な推進力というより、アコースティック楽器や室内楽的な組み立て、細かな音の配置を聴かせるタイプの内容で、Anthony Phillipsらしい繊細な作り込みが前面に出る。
収録曲の中でも特に目を引くのが「Scottish Suite」だ。リリースノートでは、この曲にかなり長い副題が付けられている。実際の曲名以上に、作品側の遊び心や言葉の感覚が表れている部分だろう。なお、この曲は1976年6月にSend BarnesとOlympic Studiosで録音されたとされている。
録音と制作の背景
本作には、曲ごとに録音時期や場所の幅がある。1977年11月から12月にかけてのトラックは、Essex Studios、the Farmyard、Trident Studiosで録音されたとされる。それ以外の曲は、North SeaのVICAR’S mobile oil rig上のSlick Soundで録音され、Ralph Bernascone Aquasports Ltd.の協力を受けたという記載がある。録音現場としてはかなり特殊で、制作メモを読むだけでも、この時期のAnthony Phillipsがスタジオ外の環境も含めて素材を集めていたことがうかがえる。
仕上げはAtmosphere Soundsで曲順が整えられ、マスタリングはTrident、その後Sterling Soundでリマスターされたとある。US盤としては、Passport Recordsから1980年にリリースされ、JEM Recordsが製造・流通を担っている。
同時代とのつながり
1980年前後の英国プログレ周辺では、Genesisのような大きなバンドが人気を保つ一方で、ソロや周辺プロジェクトではより内省的で細密な作品が増えていく。Anthony Phillipsもその流れの中で、派手なロックの外側にある作曲の断片や、アコースティック中心の組曲的な発想を深めていった人物だ。
比較対象として名前が挙がりやすいのは、やはりGenesis関連のソロ作や、同時代の英国プログレ勢だろう。とはいえ、この作品はバンド的な演奏の競り合いより、作曲者自身のメモや素描をまとめた感覚が強い。
作品のメッセージ
ジャケットやライナーノート周辺にも、作品の姿勢が出ている。アルバムは「beauty, lyricism and grandeur in art」を支持する人々に捧げられており、冷笑的な知性主義や不協和音の潮流に対抗する、という趣旨が記されている。ここには、Anthony Phillipsがこの時点で何を大事にしていたかが比較的はっきり見える。
また、「SCOTTISH SUITE」と『The Geese and the Ghost』収録の「HENRY」との類似について、「entirely uncoincidental」と書かれているのも興味深いところだ。過去作とのつながりを意識しながら、素材を別のかたちで発展させている姿勢がうかがえる。
この盤について
- アーティスト: Anthony Phillips
- タイトル: Private Parts & Pieces II: Back To The Pavilion
- オリジナルリリース年: 1980年
- リリース国: US
- レーベル表記: Passport Records
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock
Anthony Phillipsのソロ活動の中では、作曲の断片、録音環境の多様さ、そしてシリーズ作品としての連続性がよく見える一枚だ。Genesisの元ギタリストという経歴だけでなく、ソロ作家としての輪郭を追ううえでも、かなり重要な位置にある作品といえそうだ。
トラックリスト
- N.O.R. Side
- Scottish Suite (15:15)
- A2 – Lindsay (3:50)
- A3 – K2 (8:53)
- A4 – Postlude: End Of The Season (0:32)
- S.O.R. Side
- B5 – Heavens (4:22)
- B6 – Spring Meeting (3:52)
- B7 – Romany’s Aria (0:50)
- B8 – Chinaman (0:41)
- B9 – Nocturne (4:05)
- B10 – Magic Garden (1:56)
- B11 – Von Runkel’s Yorker Music (0:41)
- B12 – Will O’ The Wisp (3:30)
- B13 – Tremulous (1:06)
- B14 – I Saw You Today (4:34)
- B15 – Back To The Pavilion (2:51)
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Strawbs – Deep Cuts (1976)
Strawbs『Deep Cuts』(1976)
Strawbsは、1964年に結成されたイングランドのロック・バンドで、Dave Cousinsを軸に活動してきたグループだ。もともとはブルーグラス系の編成から始まり、その後はフォーク、フォーク・ロック、グラム・ロック、プログレッシブ・ロックへと幅を広げていった。Sandy DennyやRick Wakemanが在籍していたことでも知られ、70年代英国ロックの文脈ではよく名前が挙がるバンドである。
作品の位置づけ
『Deep Cuts』は1976年の作品。バンドがフォーク寄りの出発点から、よりロック色の強いサウンドへ移ってきた流れの中にある一枚だ。Strawbsは「Part Of The Union」のヒットで一般的な知名度を得た一方、アルバム単位ではプログレッシブ・ロック寄りの作風でも評価されてきた。この作品も、その流れに置かれるタイトルといえる。
同時代の英国プログレ周辺を思うと、YesやGenesis、Jethro Tullのような大編成の技巧派とは少し距離があり、Strawbsはより歌曲性やフォーク由来の線の細さを残しているのが特徴だ。Rick Wakeman、Dave Cousins、Richard Hudson、John Fordといった名前がバンドの歴史に並ぶことからも、メンバーの入れ替わりが大きいグループだったことがわかる。
レコードとしての情報
- アーティスト: Strawbs
- タイトル: Deep Cuts
- オリジナルリリース年: 1976
- リリース国: US
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock
- 付属: Printed inner sleeve
聴きどころ
Strawbsの作品は、派手な一発よりも、曲の組み立てやメロディの運びに耳が向きやすいタイプだ。『Deep Cuts』もその印象に近く、フォークの感触を残しながら、バンド演奏のまとまりで聴かせるアルバムとして受け止められる。
また、Strawbsを語るうえで外せないのが「Part Of The Union」だ。これは1973年のヒット曲で、バンドの代表曲として知られている。『Deep Cuts』はその大ヒット曲を含む時期より少し後の作品だが、Strawbsというバンドがポップな認知とプログレ的な作家性の両方を持っていたことを思い出させる。
まとめ
『Deep Cuts』は、Strawbsのバンド史の中で、フォーク由来の感触と70年代ロックの流れが重なる位置にある作品だ。Rick WakemanやSandy Dennyのような個々の名前で語られることも多いが、バンド全体として見ると、Strawbsがどの方向へ進んでいったかを追ううえで外しにくい一枚である。
トラックリスト
- A1 – I Only Want My Love To Grow In You (2:59)
- A2 – Turn Me Round (2:43)
- A3 – Hard, Hard Winter (2:55)
- A4 – My Friend Peter (2:15)
- A5 – The Soldiers’ Tale (4:15)
- B1 – Simple Visions (4:36)
- B2 – Charmer (3:13)
- B3 – (Wasting My Time) Thinking Of You (4:36)
- B4 – Beside The Rio Grande (2:28)
- B5 – So Close And Yet So Far Away (2:59)
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Flaming Youth – Ark 2 (1969)
Flaming Youth『Ark 2』について
Flaming Youthは、UKのプログレッシブ・ロック/ブルース系バンドとして知られるグループで、フィル・コリンズが在籍していたことでも名前が挙がる。『Ark 2』は1969年に発表された作品で、バンドの短い活動期間の中でも、初期フィル・コリンズの参加作として位置づけられる1枚。アルバム全体はロックを土台にしたプログレッシブな構成で、当時の英国ロックの流れの中にある作品として聴ける。
作品の位置づけ
Flaming Youthは活動期間が短く、作品数も多くない。そのため『Ark 2』は、バンドの代表作というよりも、メンバーのキャリアをたどるうえで重要な記録盤という見方がしやすい。特にフィル・コリンズの名前で追うと、後の大きな活動へつながる前段階の音源として興味深い。
メンバーはフィル・コリンズ、ロニー・キャリル、ブライアン・チャットン、ゴードン・スミスの4人。クレジット上もこの編成が中心で、バンドの輪郭がはっきりした作品になっている。
音の印象
『Ark 2』は、ロックの基本形を保ちながら、曲ごとの展開や構成にプログレッシブ・ロックらしい作り込みが見えるアルバム。派手なヒット志向というより、アルバム単位で流れを追うタイプの作品としてまとまっている。ブラスやオルガン主体の分厚いサウンドを前面に出すというより、演奏の組み立てで聴かせるタイプの60年代末らしい空気感がある。
同時代の英国ロックの文脈で見ると、プログレッシブ・ロックがまだ大きく定着する前夜の感触が強い。のちの大作志向のプログレというより、ロック・バンドの延長線上で少しずつ構成を広げていく段階の音作りといった印象。
代表曲について
このアルバムは、シングルヒットで広く知られるタイプの作品ではない。アルバム全体を通して聴く性格が強く、特定の1曲が一般的な代表曲として独立して語られることは多くない。
1986年オランダ盤について
今回の盤は1986年にオランダで出たもの。オリジナルの1969年盤からかなり後年のプレスで、ジャケット裏には「also playable on mono」、ゲートフォールド内には「© Lynn Music 1969」、レーベルには「Made in Holland」「℗ 1969」といった表記がある。オランダ盤としての流通仕様がはっきりした再プレス盤と見てよさそうだ。
こうした再発盤は、当時のオリジナル盤の雰囲気を保ちつつ、後年の流通向けに作られている点が特徴になる。盤の年代が1986年でも、収録内容そのものは1969年の作品として聴くことになる。
まとめ
『Ark 2』は、Flaming Youthという短命バンドの記録であり、フィル・コリンズの初期キャリアをたどるうえでも押さえておきたいアルバム。1969年という時期らしいロックの手触りと、プログレッシブ・ロックへ向かう入口のような構成が同居している作品で、英国ロック史の流れの中で見ると輪郭がつかみやすい1枚。
トラックリスト
- A1 – Guide Me, Orion (3:15)
- A2 – Earthglow (2:52)
- A3 – Weightless (2:35)
- The Planets (13:50)
- B1 – Changes (5:47)
- B2 – Pulsar (3:08)
- B3 – Space Child (5:47)
- B4 – In The Light Of Love (3:32)
- B5 – From Now On (Immortal Invisible) (5:06)
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Genesis – Invisible Touch (1986)
Genesis『Invisible Touch』について
Genesisの『Invisible Touch』は、1986年に発表されたアルバムで、バンドの80年代を代表する一枚として知られている作品だ。Peter Gabriel脱退後にPhil Collinsがフロントマンを務める体制が定着してからの作品で、プログレッシブ・ロックの出自を持ちながら、より広い層に届くポップ寄りのサウンドへと進んだ時期の到達点にあたる。Rock、Soft Rock、Pop Rockの文脈で語られることが多いアルバムでもある。
バンドの流れの中での位置づけ
Genesisは1967年にイングランドで結成されたグループで、初期は複雑な曲構成や演奏面の緻密さで評価を集めた。その後、1975年にPeter Gabrielが離れ、Phil Collinsがリード・ヴォーカルを担当するようになると、音楽性はより親しみやすい方向へ移っていく。1980年代に入ると、その変化は明確になり、Tony Banks、Mike Rutherford、Phil Collinsの3人を軸にした時期に大きく人気を伸ばした。
『Invisible Touch』は、その流れの中でも特にヒット性の高い楽曲を揃えたアルバムとして位置づけられる。Genesisのキャリア全体で見ても、70年代の組曲的な作品群とは違う側面が前面に出た一枚で、80年代ポップ・ロックの文脈で聴かれることが多い。
代表曲とアルバムの特徴
タイトル曲「Invisible Touch」は、このアルバムを語るうえで外せない代表曲だ。シンセサイザーのリフとPhil Collinsの歌が前に出る作りで、Genesisの中でも特に覚えやすいシングルとして知られている。ほかにも、シングルとして広く流通した曲が複数あり、アルバム全体としてもメロディの分かりやすさとリズムの明快さが印象に残る構成になっている。
一方で、完全に軽いポップ作品というわけでもなく、演奏やアレンジの中にはGenesisらしい細かな作り込みが見える。70年代からのファンにとっては、バンドがどの地点までポップ化したのかを確かめる作品でもあり、80年代の大衆性とバンド固有の手触りが同居したアルバムとして受け止められてきた。
同時代の文脈
1986年という年は、ロックの中でもシンセや電子的な音色が広く使われていた時期で、Genesisもその流れの中にある。プロッグの出自を持つバンドが、80年代のメインストリームに寄せていく例は珍しくなく、同時代の聴き手には、より洗練されたポップ・ロックとして届いていたはずだ。Genesisの場合は、演奏の精密さとシングル志向の強さが並んでいる点が特徴的だ。
日本盤について
今回の日本盤は、帯付きで4ページのインサートが付属する仕様。インサートには写真、英語詞、日本語詞、解説が収録されている。収録時間はこのインサート記載のものが採用されており、世界各国盤の表記と異なる点がある。さらに、ジャケット表面の手の黒い印刷や、裏面のオレンジのラインがエンボス加工になっているのも、この盤の見どころだ。
まとめ
『Invisible Touch』は、Genesisが80年代に到達したポップ・ロック路線を分かりやすく示すアルバムだ。バンドの初期を知っていると、その変化がよりはっきり見えるし、この時期から入ると、代表曲の強さとアルバム単位での整理された作りが印象に残りやすい。Genesisの歴史の中でも、1986年という年の空気をまとった作品として捉えやすい一枚である。
トラックリスト
- A1 – Invisible Touch (3:27)
- A2 – Tonight, Tonight, Tonight (8:50)
- A3 – Land Of Confusion (4:45)
- A4 – In Too Deep (4:58)
- B1 – Anything She Does (4:06)
- Domino (10:43)
- B3 – Throwing It All Away (3:49)
- B4 – The Brazilian (4:50)
Emerson, Lake & Palmer – Works (Volume 1) (1977)
Emerson, Lake & Palmer『Works (Volume 1)』について
Emerson, Lake & Palmerは、キース・エマーソン、グレッグ・レイク、カール・パーマーによる英国のプログレッシブ・ロック・バンドだ。1970年に結成され、クラシック音楽やジャズの要素を取り込んだ大作志向の曲作りと、各メンバーの演奏技術の高さで知られている。
『Works (Volume 1)』は1977年の作品で、バンドのキャリアの中では中期にあたるアルバムだ。タイトルの通り「Works」という大きな企画の第1弾で、バンドの個性をそのまま詰め込んだスタジオ作というより、メンバーそれぞれの色が前面に出る構成になっている。
作品の位置づけ
ELPは初期の代表作である『Emerson, Lake & Palmer』や『Tarkus』『Brain Salad Surgery』で、長尺組曲やシンセサイザー、オルガン、ピアノを軸にした強い印象を残してきた。その流れの中で『Works (Volume 1)』は、各メンバーの個別性をよりはっきり見せるアルバムとして位置づけられている。
バンド全体の一体感で押し切るタイプというより、ソロ的な楽曲とELPらしいアンサンブルが同居する作りだ。大編成のロックというより、メンバーの持ち味を分割して見せる構成が特徴になっている。
収録曲と代表曲
この作品からはシングルも出ており、特にGreg Lake名義の「C’est La Vie」はよく知られている楽曲だ。グレッグ・レイクの歌唱を軸にした曲で、ELPの中でも比較的親しみやすい側のナンバーとして語られることが多い。
そのほかにも、キース・エマーソンらしい鍵盤主体の曲、カール・パーマーの存在感が出る構成など、メンバーそれぞれの役割が見えやすい内容になっている。
1977年の日本盤について
ここで扱うのは1977年に日本で出た盤だ。発売元はワーナー・パイオニア株式会社で、Made by Warner-Pioneer Corporation、Printed in Japanのクレジットがある。日本語ライナーノーツ付き、三面見開きのゲートフォールド仕様。
オリジナルの1977年作品を日本で同年にリリースした盤なので、当時の国内流通盤として見てよい内容だ。ジャケットの体裁や日本語解説を含め、国内盤ならではの仕様になっている。
サウンドの印象
実際に聴くと、ELPらしい鍵盤の主張はしっかりありつつ、曲ごとの色分けがはっきりしている印象だ。プログレらしい複雑さと、歌ものとしての輪郭が同居していて、長く引っ張る組曲型の作品とはまた違う聴き味になっている。
「C’est La Vie」のような楽曲では、グレッグ・レイクの声とアコースティック寄りの響きが前に出る。一方で、別の曲ではエマーソンのキーボードが曲の中心を強く支える。ELPの演奏技術の高さが、曲ごとに違う形で見えるアルバムだ。
同時代の文脈
1970年代後半のプログレッシブ・ロックは、初期の大作志向から少しずつ変化していく時期でもあった。その中でELPは、クラシック由来の構成感や技巧性を保ちながら、より楽曲単位で聴かせる方向にも触れている。King Crimsonの実験性、Yesの精密なアンサンブル、Genesisの劇的な展開と並べて語られることも多いバンドだが、ELPは特に鍵盤主導の派手な演奏がはっきりしたグループと言える。
まとめ
『Works (Volume 1)』は、Emerson, Lake & Palmerの中期を示す1977年の作品で、メンバー個々の持ち味が分かりやすく出たアルバムだ。代表曲「C’est La Vie」を含み、ELPの技巧性と楽曲性の両方を追える一枚になっている。日本盤は同年リリースで、日本語ライナーノーツ付きの三面見開き仕様という点も記録しておきたい。
トラックリスト
- Piano Concerto No. 1
- B1 – Lend Your Love To Me Tonight (4:00)
- B2 – C’est La Vie (4:17)
- B3 – Hallowed Be Thy Name (4:35)
- B4 – Nobody Loves You Like I Do (3:56)
- B5 – Closer To Believing (5:34)
- C1 – The Enemy God (3:16)
- C2 – LA Nights (5:42)
- C3 – New Orleans (2:45)
- C4 – Bach Two Part Invention In D Minor (1:53)
- C5 – Food For Your Soul (3:58)
- C6 – Tank (5:09)
- D1 – Fanfare For The Common Man (9:38)
- D2 – Pirates (13:20)
Triana – Triana (1981)
Triana『Triana』について
スペインのアンダルシア・ロックを代表するTrianaが、1981年に発表したアルバム『Triana』。バンド名と同じタイトルを冠した作品で、グループのディスコグラフィーの中でも、いわば自己名義を前面に出した一枚として位置づけられる。リリース元はMovieplay、国はスペイン。盤としても1981年のオリジナル・リリースで、内袋の印刷物と3枚のインサートが付属する仕様になっている。
Trianaというバンドの背景
Trianaは1974年、セビリアで結成された。アンダルシア由来の旋律感覚と、当時のロック、特にプログレッシブ・ロックの語法を結びつけたグループとして知られる。中心人物はJesús de la Rosa、Juan José Palacios “Tele”、Eduardo Rodríguez Rodwayの3人で、のちにトリオ編成を軸に活動していく。
もともとの出発点には別名義のバンドがあり、そこからメンバーの入れ替わりを経てTrianaへつながっていく。Jesús de la Rosaがベース兼ヴォーカルとして加入したのち、Crosby, Stills & Nashを思わせるようなコーラス感のある編成から、やがてTrianaの独自の形へまとまっていった、という流れが重要だろう。
1981年作としての位置づけ
Trianaは1970年代後半から1980年代初頭にかけて、アンダルシア・ロックの象徴的存在となっていく。その中で本作『Triana』は、活動の後期にあたるアルバムのひとつで、バンド名をそのままタイトルにした点からも、グループの輪郭を強く意識した作品として見えやすい。
1983年にはJesús de la Rosaが交通事故で死去し、バンドの活動は大きな区切りを迎える。そうした意味では、1981年の『Triana』は、オリジナル期のTrianaを追ううえで後半戦の記録として押さえたい一枚になる。
音楽性とジャンルの文脈
ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rock。Trianaの音楽は、英米のプログレッシブ・ロックに近い組み立てを持ちながら、スペイン語の歌唱と南スペインの空気感を前面に出すところに特徴がある。派手な技巧の誇示というより、曲の流れや歌の抑揚を軸に聴かせるタイプのバンドとして語られることが多い。
同時代のスペイン・ロックの中では、Rafael BerrioやAsfalto、Bloqueといったバンド群と並べて語られることがある一方で、Trianaは特にアンダルシア色の強さで区別される存在だろう。フラメンコ由来の感触をロックに持ち込んだ点で、後年のスペイン語圏ロックにも影響を残したバンドとして扱われることが多い。
作品の聴きどころとして
実際の音像としては、ギター、キーボード、ベース、ドラムが前に出すぎず、歌を中心にまとまる作りが印象に残りやすい。Trianaの作品は、長い展開で押し切るというより、旋律の運びとスペイン語の響きで引っ張る場面が目立つため、プログレの文脈にありながらも、曲単位でのわかりやすさを持つ。
この時期のTrianaを聴くと、派手なサウンド実験よりも、バンドとしての定着感、つまり「Trianaという音」がどこまで固まっていたかが見えやすい。バンド名をそのままタイトルにしたことにも、その自意識が表れているように思える。
代表曲やヒット曲について
Triana全体の代表曲としては、一般に『Tu frialdad』や『Abre la puerta』などがよく挙げられるが、本作『Triana』については、アルバム全体で聴かれる性格が強い。少なくとも、バンドのキャリア全体を代表する定番曲がこの一枚に集中している、というタイプではない。
オリジナル盤としての情報
- アーティスト: Triana
- タイトル: Triana
- リリース年: 1981年
- 国: スペイン
- レーベル表記: ℗ 1981 Movieplay
- 仕様: 印刷された内袋、3枚のインサート付き
オリジナル盤ならではの付属物が確認できるのは、コレクション面でも興味深いところだろう。インサート類を含めて作品世界を補完する、当時のLPらしい作りになっている。
まとめ
『Triana』は、スペインのアンダルシア・ロックを代表するバンドTrianaが1981年に残した、後期のスタジオ作。プログレッシブ・ロックの枠組みを持ちながら、スペイン語の歌と南部の色合いを軸にしたバンドの個性が、そのまま反映された一枚として見てよさそうだ。バンド名をタイトルにした点も含めて、Trianaというグループの輪郭をあらためて示す作品になっている。
トラックリスト
- A1 – Un Mal Sueño (4:40)
- A2 – Es Algo Tan Maravilloso (4:04)
- A3 – Una Vez (4:12)
- A4 – Y Qué Voy A Hacer Con Tu Sonrisa (4:39)
- B1 – Una Noche De Amor Desesperada (5:10)
- B2 – Por El Camino (6:49)
- B3 – Corre (4:30)
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- TRIANA – UN MAL SUEÑO (TRIANA – 1981)
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- TRIANA – Y QUE VOY A HACER CON TU SONRISA (TRIANA – 1981)
- TRIANA – UNA NOCHE DE AMOR DESESPERADA (TRIANA – 1981)
- TRIANA – POR EL CAMINO (TRIANA – 1981)
- TRIANA – CORRE (TRIANA – 1981)
Mike Oldfield – The Complete (1985)
Mike Oldfield『The Complete』について
Mike Oldfieldの『The Complete』は、1985年にUKで登場した2枚組の編集盤だ。いわゆる「ベスト盤」というより、1970年代から1980年代半ばまでの活動をまとめて見せる回顧的な作品で、作曲家・マルチインストゥルメンタリストとしての変化を追える内容になっている。
『Tubular Bells』で知られる複雑な長尺インストゥルメンタルの時代から、1980年代前半のヒット曲、さらに当時のライヴ音源までを収めた構成で、Mike Oldfieldの仕事を俯瞰する入口として位置づけやすい1枚だ。
作品の構成
オリジナルの2LPでは、各面ごとにテーマが分かれている。
- A面はインストゥルメンタル中心。1970年代から1980年代の短い小品や、シングルで出ていた非アルバム曲が並ぶ。
- B面はヴォーカル曲中心。1982年から1984年にかけてのヒット曲をまとめている。
- C面は複雑な長尺作品の抜粋。初期4作からの断片と、1984年の映画『The Killing Fields』の音楽が入る。
- D面はライヴ音源。1981年と1982年のツアーからの未発表曲で構成されている。
この分け方がかなり明確で、単なる曲寄せ集めではなく、Oldfieldの作風の広がりを面ごとに見せる作りになっている。短い旋律の小品、ポップ寄りのヒット曲、長大な組曲、そしてライヴ演奏という並びは、当時の彼の活動をそのまま切り分けたような印象だ。
聴きどころ
この盤でまず目を引くのは、やはり1980年代前半のヒット曲群だ。Mike Oldfieldといえば『Tubular Bells』のイメージが強いが、1983年の「Moonlight Shadow」も代表曲として外せない。こうした楽曲がB面にまとまっていることで、シングル・アーティストとしての側面もはっきり見える。
一方で、A面の小品群やC面の初期作品抜粋は、プログレッシヴ・ロック的な構築性や、フォーク、民族音楽、アンビエント寄りの要素が混ざるMike Oldfieldらしさを伝える部分だ。長尺作品の断片だけでも、メロディの置き方や楽器の重ね方に独特の癖がある。
そして、ファンの関心を集めやすいのがD面のライヴ音源だろう。スリーヴノートでも、1981年から1984年にかけてのツアーで演奏された未発表ライヴ素材として紹介されている。スタジオ盤とは違って、演奏の推進力が前に出やすく、楽曲の輪郭が少し違って聴こえる構成になっている。特に『Sheba』から『Mirage』、『Platinum』、『Mount Teide』といった曲の並びは、当時のステージを切り取った記録として価値が高い。
収録曲の由来に見えるポイント
ライヴ面の収録元には、ドイツ各地の公演が含まれている。『Sheba』と『Mirage』は1981年4月1日のエッセン公演、『Platinum』は1981年4月2日のハノーファー公演からとされている。『Mount Teide』は1982年ツアーのドイツ公演からのもので、1982年12月6日のケルン公演音源ではない点も記録されている。
こうした情報を見ると、『The Complete』は単なるダイジェストではなく、当時入手しにくかった音源を含めてMike Oldfieldの活動を整理した編集盤として作られていることが分かる。とくにライヴ面は、コレクター目線でも注目されやすい内容だ。
1985年という時期の意味
1985年のMike Oldfieldは、初期の実験的で長いインストゥルメンタル作品から、より広い聴衆に届く楽曲へと活動の重心が移っていた時期だ。『The Complete』はその変化を1つの作品に収めているため、彼のキャリアの見取り図として機能している。『Tubular Bells』の作曲家という顔だけでは収まりきらないことが、かなり分かりやすい。
同時代のプログレッシヴ・ロック周辺のアーティストと比べても、Oldfieldはシンフォニックな長尺曲とポップなヒット曲を同じ軸で扱える点が特徴的だ。この編集盤では、その両方が無理なく同居している。
細かな表記について
盤面表記では、A7が「Wallberg」となっているが、正しいタイトルは「Waldberg」とされている。また、A2の曲長表記にはズレがあり、センターラベルでは3:52とあるが、実際は2:52とされている。こうした細部も、初期プレスらしい記録として残っている。
まとめ
『The Complete』は、Mike Oldfieldの10年以上にわたる仕事を、インストゥルメンタル、ヒット曲、長尺構成、ライヴという4つの切り口で見せる1985年の編集盤だ。『Moonlight Shadow』のような代表曲と、初期作品の断片、さらに未発表ライヴまでを並べたことで、彼の音楽の幅がそのまま伝わる内容になっている。
ベスト盤というより、作家としての変遷をたどるための1枚、という印象が強い。
トラックリスト
- A1 – Arrival (2:46)
- A2 – In Dulci Jubilo (3:52)
- A3 – Portsmouth (3:15)
- A4 – Jungle Gardenia (2:45)
- A5 – Guilty (3:57)
- A6 – Blue Peter (2:07)
- A7 – Waldberg (The Peak) (3:24)
- A8 – Wonderful Land (3:37)
- A9 – Etude (Theme From The Killing Fields) (3:04)
- B1 – Moonlight Shadow (3:37)
- B2 – Family Man (3:45)
- B3 – Mistake (2:54)
- B4 – Five Miles Out (4:17)
- B5 – Crime Of Passion (3:38)
- B6 – To France (4:34)
- B7 – Shadow On The Wall (12″ Version) (5:07)
- C1 – Excerpt From Ommadawn (7:04)
- C2 – Excerpt From Tubular Bells (8:34)
- C3 – Excerpt From Hergest Ridge (4:20)
- C4 – Excerpt From Incantations (4:41)
- C5 – Excerpt From The Killing Fields (Evacuation) (4:07)
- D1 – Sheba (3:28)
- D2 – Mirage (4:49)
- D3 – Platinum (Including North Star/Platinum Finale) (14:16)
- D4 – Mount Teide (4:07)
関連動画
Steamhammer – Steamhammer (1969)
Steamhammer『Steamhammer』について
Steamhammerの『Steamhammer』は、イングランド南部ワージング出身のブルース・ロック・バンド、Steamhammerが残したデビュー作だ。オリジナルは1969年の作品で、のちの再発ではタイトル表記やカバーの扱いが変わるケースもあるが、まずはこのバンドの出発点として押さえておきたい1枚である。
Steamhammerは1968年に、ギターのMartin Quittentonと、ボーカル、ギター、ハーモニカを担当するKieran Whiteを中心に結成された。初期の核には、Martin Pugh、Steve Davy、Michael Rushtonも加わっており、当初はブルースを土台にした編成だった。その後、メンバー交代を重ねながら、次第にプログレッシブ・ロック寄りの要素を取り込んでいく流れになる。
作品の位置づけ
このアルバムは、バンドがまだブルースの色を強く残していた時期の記録として重要な位置にある。後年の作品ではより実験性や長尺の構成が前面に出ていくが、本作ではその前段階として、英国のブルース・ロックらしい骨格がしっかり聴ける。デビュー盤らしいまとまりと、のちの展開につながる芽の両方が見える作品だ。
Steamhammerは、同時代の英国ブルース・ロックの流れの中で語られることが多く、単なるコピー・バンドではなく、徐々にプログレッシブな方向へ寄っていった点でも特徴がある。のちにMartin PughやLouis Cennamoが他のプロジェクトへ進むことも含めて、この時期のSteamhammerは70年代初頭の英国ロックの移り変わりを映す存在といえる。
サウンドの印象
収録曲はブルース・ロックを軸にしながら、演奏の組み立てや曲の進め方に、すでに少しひねりがある。Kieran Whiteの歌とハーモニカ、ギター・ワークを中心にした硬質な鳴りが印象に残る構成だ。後のプログレ色が強い時期に比べると、ここではまだ曲の芯が比較的はっきりしている。
実際に聴くと、英国産ブルース・ロックの中でも、単にラフなだけでは終わらない演奏の詰め方が伝わってくる。ギターの絡みやリズムの押し引きに、すでにバンドとしての個性を作ろうとする意志が見える内容だ。
同時代との関係
この時期の英国では、ブルースを出発点にしたバンドが、より複雑な構成や長いインストゥルメンタルへ進む例が多かった。Steamhammerもその流れの中にあり、ブルース・ロックとプログレッシブ・ロックの境目をまたぐような立ち位置にいる。のちの展開を知っていると、本作の段階ですでにその変化の入口が見えるのが面白いところだ。
クレジットと発売情報
- アーティスト: Steamhammer
- タイトル: Steamhammer
- オリジナル・リリース年: 1969年
- リリース国: Germany
- ジャンル: Rock
- スタイル: Blues Rock, Prog Rock
クレジットには「Devised and Produced By Artist Musical Productions」とあり、ロンドンのCurzon Streetの住所表記も見える。出版社はFranklin Boyd Musicで、一部の曲だけ別出版社クレジットになっている。こうした細かな表記からも、当時の英国ロック作品らしい制作背景がうかがえる。
まとめ
『Steamhammer』は、Steamhammerというバンドがブルース・ロックからプログレッシブな方向へ進む前の、出発点として聴けるデビュー作だ。のちの実験性を知る人には、その前段階としての素地が確認できる1枚でもある。バンドの輪郭をつかむには、まずここから入るのが自然な流れだろう。
トラックリスト
- A1 – Water (Part One) (0:51)
- A2 – Junior’s Wailing (3:18)
- A3 – Lost You Too (3:29)
- A4 – She Is The Fire (3:10)
- A5 – You’ll Never Know (3:26)
- A6 – Even The Clock (4:08)
- B1 – Down The Highway (4:23)
- B2 – On Your Road (2:51)
- B3 – Twenty Four Hours (7:30)
- B4 – When All Your Friends Are Gone (3:50)
- B5 – Water (Part Two) (1:44)
関連動画
- Steamhammer – Down The Highway
- Steamhammer – Even The Clock
- Steamhammer-On Your Road
- When All Your Friends Are Gone (Digitally Remastered Version)
- Steamhammer – Windmill
- Steamhammer – ‘Autumn Song’ (1969)
- Steamhammer – Steamhammer (Full Album Vinyl Rip)
- Steamhammer – Junior’s Wailing
- Steamhammer – Lost You Too (Reflection 1969)
- STEAMHAMMER-Reflection-06-Even The Clock-{1969}
Ray Parker Jr. – Two Places At The Same Time (1980)
Ray Parker Jr.「Two Places At The Same Time」について
Ray Parker Jr.の「Two Places At The Same Time」は、1980年に発表されたソロ作品です。アメリカ・デトロイト出身のシンガー、ソングライター、ギタリスト、プロデューサーとして知られる彼が、Raydioでの活動と並行しながら、自身のソロ表現を前に出していった時期の一枚です。
Ray Parker Jr.というと、のちに「The Other Woman」や「Ghostbusters」で広く知られることになりますが、この時点ではすでにファンクとポップの境目を自然に行き来する書き手・演奏者としての輪郭がはっきりしている印象です。バリー・ホワイト周辺の仕事やRaydioでの経験が、そのままソロ作にもつながっている流れと見てよさそうです。
作品の位置づけ
このアルバムは、Ray Parker Jr.がソロ名義で存在感を固めていく過程にある作品です。Raydioの活動と近い時期のため、バンド的な感触とソロならではのまとまりが同居しているのが特徴です。後年の大ヒット曲が先に思い浮かぶ人も多いですが、その前段階として、彼の作曲と演奏の土台を確認できるタイトルです。
1980年という時期は、ファンクがディスコ以後の形に移っていく流れの中にあり、ギター主体のリフ、タイトなベース、整理されたリズムの作り方が重要になっていく頃です。この作品も、その時代の空気の中で、過度に荒々しくはせず、輪郭のはっきりしたグルーヴを作っている印象があります。
サウンドの印象
録音とミックスはHollywoodのRaydio StudiosとAmeraycan Studiosで行われています。盤のクレジットからも、制作環境がかなり整った状態で作られたことがうかがえます。ファンクを軸にしながら、演奏の隙間やコーラスの置き方に、ラジオ向きの整理された感触がある作品です。
Ray Parker Jr.はギタリストとしての表情がはっきりした人なので、単にリズムを刻むだけでなく、フレーズそのものが曲の推進力になっている点が目立ちます。ソウル寄りの歌ものとしても、インスト感のあるバンド・ファンクとしても受け取れる作りです。
収録曲まわり
収録曲の中では、A4の楽曲がHancock Music出版とクレジットされています。アルバム全体としては、作曲・演奏・プロデュースの手つきが揃っていて、ひとつの曲だけが突出するというより、全体で流れを作るタイプの構成です。
Ray Parker Jr.は、のちに「The Other Woman」でポップチャート上位に入り、「Ghostbusters」でさらに広く知られるようになりますが、この1980年作では、そうしたヒット期の前に、ファンクを核にしたソロ・アーティストとしての方向性が見えやすいです。
同時代の文脈
同じ時代のファンク/ソウルの流れで見ると、演奏の切れ味とポップなまとめ方を両立させるアーティストたちと近い空気があります。Ray Parker Jr.の場合は、ギターを前に出しつつ、歌とリズムをきっちり整理するところが持ち味です。派手さを押し出すより、曲の中で機能するフレーズを置くタイプの作り方です。
また、彼はこの後、ソロ活動だけでなく作家・プロデューサーとしても多くの楽曲を手がけていきます。New Edition、Cheryl Lynn、Deniece Williams、Diana Rossなどへの提供曲があることからも、メロディとリズムの組み立てに長けた人物として見てよさそうです。
盤の特徴
このUS盤は、Aristaロゴ内の「Arista」の文字が装飾的な書体になっている点が特徴です。レーベル表記の違いがある同系統のプレスも存在しますが、この盤ではそのデザインが見分けのポイントになります。ジャケットやラベルの細部まで含めて、1980年当時のUSプレスらしい雰囲気があります。
まとめ
「Two Places At The Same Time」は、Ray Parker Jr.がソロ・アーティストとしての輪郭を固めていく1980年の作品です。のちの大ヒット曲で知られる前段階として、ファンクを基盤にしながら、演奏・制作・ソングライティングのバランスを見せる一枚、といった位置づけです。
Raydioやバリー・ホワイト周辺の仕事を経た人物らしい、きっちりしたグルーヴと整理された楽曲作り。その積み重ねが、この時期のソロ作にはしっかり出ているように感じられます。
トラックリスト
- A1 – It’s Time To Party Now (4:53)
- A2 – Until The Morning Comes (4:24)
- A3 – Two Places At The Same Time (3:49)
- A4 – Tonight’s The Night (5:06)
- B1 – A Little Bit Of You (4:18)
- B2 – Everybody Makes Mistakes (4:58)
- B3 – Can’t Keep From Cryin’ (3:37)
- B4 – For Those Who Like To Groove (4:28)
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Renaissance – Renaissance (1969)
Renaissance『Renaissance』について
Renaissanceの1作目となるセルフタイトル盤『Renaissance』は、1969年に発表された作品で、バンド初期の出発点を示すアルバムだ。もともとRenaissanceは、元The YardbirdsのKeith RelfとJim McCartyを中心に、ロック、フォーク、クラシックの要素を組み合わせる新しい方向を目指してロンドンで結成された。その最初期の編成で録音されたのがこのアルバムで、のちに長く続くRenaissance像とは少し違う、初期衝動の強い時期を記録した内容になっている。
作品の位置づけ
この時点のRenaissanceは、後年のAnnie Haslam期に知られるシンフォニックな展開よりも、より直接的で、サイケデリック・ロック寄りの色合いを持つ。Keith Relfがギターを担当し、Louis Cennamoがベース、John Hawkenがキーボード、Jane Relfがボーカルを務める編成で、バンドの基礎が形になっている。Renaissanceという名前の出発点として重要な一枚であり、バンドの後年を知ってから聴くと、音の輪郭の違いがはっきり見える作品だ。
音の印象
演奏は、のちの大作志向のプログレとは少し距離があり、曲ごとの流れを追いやすい。オルガンやピアノを軸にしたアレンジと、歌を前に出した構成が目立つ。ロックの推進力の中に、フォーク寄りの旋律感やクラシカルな響きを差し込む作りで、後年のRenaissanceにつながる要素はすでに見えている。サイケデリック・ロックとしての空気もあり、1969年という年らしい質感のある録音だ。
同時代の文脈
1960年代末の英国では、ロックが長尺化・複雑化していく流れが進んでいた。このアルバムもその文脈の中にあり、フォークやクラシックの要素を取り込んでいく動きと重なる。比較対象としては、同時期のプログレッシブ・ロック周辺のバンドや、フォーク・ロックから発展した英国勢の流れが思い浮かぶ。もっとも、Renaissanceはこの時点ではまだジャンルの完成形というより、複数の要素を試している段階にある。
曲とクレジット
収録曲の著作権表記はB. Feldman & Co. Ltd. trading as Renaissance Musicとなっている。録音はOlympic Sound Studiosで行われ、写真はJohn ClampによるVictoria and Albert Museumでの撮影、ジャケット内の「The Downfall of Icarus」はGenissonの作品が使われている。アートワークやクレジット面にも、英国の文化的背景を感じさせる要素が入っている。
ヒット曲として広く知られる楽曲がこのアルバムから出ているわけではないが、Renaissanceの最初期の輪郭をつかむには意味のある内容だ。のちにバンドがより大きな編成と壮大な構成へ進んでいく前段階として、ここには初期Renaissanceの核が置かれている。
1981年盤について
今回の盤は1981年に西ドイツで出た再発盤で、青いレーベルに「Alle Urheber- u. Leistungsschutzrechte…」の周回表記が使われている。盤のクレジットには、1980年から1982年ごろに見られる仕様が記されており、西ドイツ盤らしい印象の再発だ。Ariola流通、Western Germany印刷、Mohndruckによる印刷など、当時の西独プレス盤の特徴が確認できる。
オリジナルの1969年盤と比べると、音楽内容そのものは同じだが、こちらは後年の再発として流通したものになる。レーベルや周回表記、プレス情報の違いが、コレクション面では見どころになっている。
まとめ
『Renaissance』は、Renaissanceというバンドの始まりをそのまま収めた一枚だ。Keith RelfとJim McCartyを起点にした初期編成の記録であり、のちのシンフォニック路線へ向かう前の、ロック、フォーク、クラシックの要素が交差する段階を示している。1969年の英国ロックの空気と、バンドの出発点がそのまま残ったアルバムとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Kings And Queens (10:55)
- A2 – Innocence (7:05)
- B1 – Island (5:57)
- B2 – Wanderer (4:00)
- B3 – Bullet (11:24)
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Leon Spencer, Jr. – Bad Walking Woman (1972)
Leon Spencer, Jr.『Bad Walking Woman』について
『Bad Walking Woman』は、アメリカのソウル・ジャズ/オルガン奏者、Leon Spencer, Jr.が1972年に発表した作品。US盤として同年に登場しており、70年代前半のジャズ・ファンク路線をはっきり示す内容になっている。レーベル周辺の流通はFantasy Recordsが担っていた。
Leon Spencer, Jr.という奏者
Leon Spencer, Jr.は1945年11月1日、テキサス州ヒューストン生まれ。ハモンド・オルガンを軸に、ソウルの感触を持ったジャズで知られる人物で、60年代末から70年代にかけてのジャズ・ファンクの流れの中で存在感を示した。編成の中心にオルガンを置き、リズムのうねりを前面に出すタイプの演奏家として理解しやすい。
作品の輪郭
本作はジャズ/ジャズ・ファンクの文脈に置ける1枚で、グルーヴを軸にした組み立てが特徴。リリース情報には、A3、A4、B2、B3にストリング・セクションが入ることが記されている。オルガン・コンボの中に弦を差し込むことで、単なるセッション・アルバムとは少し違う、整えられた質感が加わっている。
また、A2はラベル上で「Down On Dowling St.」と表記されている。こうした表記違いは、盤を追うときの小さな見どころのひとつでもある。
曲と聴きどころ
この時期のLeon Spencer, Jr.らしいのは、オルガンが旋律も伴奏もまとめて引き受けるところ。ベースラインの動きとドラムの押し出しが前に出て、そこにホーンや弦が重なると、曲の輪郭がはっきり立つ。ジャズの即興性よりも、反復するリフや拍の粘りが耳に残るタイプの内容といえる。
作品内で広く知られた代表曲として特定のヒット曲が前面に語られるタイプではないが、Leon Spencer, Jr.のディスコグラフィーを追うときには、70年代初頭のオルガン・ジャズの流れを確認できる1枚として見えてくる。
同時代とのつながり
『Bad Walking Woman』は、同時代のジャズ・ファンクの空気と強く結びついた作品。オルガン・ジャズの延長線上にありながら、よりリズム・セクションの推進力を重視する点で、当時のソウル・ジャズ系の作品群とも近い感触がある。オルガンを中心にした70年代ジャズの流れをたどるとき、Jimmy Smith以降の系譜や、同時期のファンキーなインスト作品と並べて見られることが多い領域だ。
まとめ
『Bad Walking Woman』は、Leon Spencer, Jr.のオルガン・プレイを軸に、ジャズ・ファンクの手触りをまとった1972年の作品。ストリング・セクションを含む曲もあり、オルガン・コンボの基本形に少し色を足した構成が印象に残る。70年代初頭のソウル・ジャズの空気を、作品単位でたどるうえで押さえておきたいタイトルのひとつ。
トラックリスト
- A1 – Hip Shaker (3:50)
- A2 – Down On Dowling Street (4:55)
- A3 – In Search Of Love (4:00)
- A4 – If You Were Me And I Were You (5:57)
- B1 – Bad Walking Woman (5:01)
- B2 – When My Love Has Gone (6:10)
- B3 – When Dreams Start To Fade (7:42)
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Booker T & The MG’s – McLemore Avenue (1970)
Booker T & The MG’s『McLemore Avenue』について
『McLemore Avenue』は、Booker T & The MG’sが1970年に発表したアルバムで、Stax Recordsの本拠地だったメンフィスの空気をそのまま閉じ込めたような一枚だ。Booker T. Jones、Steve Cropper、Donald “Duck” Dunn、Al Jackson Jr.を中心にしたこのバンドは、Staxのインハウス・バンドとして数多くの録音を支えながら、自身の名義でも「Green Onions」や「Hip Hug-Her」といったヒットを残している。
この作品は、そのキャリアの中でもかなり特徴的な位置にある。タイトルの通り、ビートルズの『Abbey Road』を全曲カバーしたアルバムで、しかも曲順や構成をかなり意識した作りになっている。しかもジャケットまで『Abbey Road』を思わせる構図でまとめられていて、オリジナル盤の時点でコンセプトがはっきりしている。
作品の性格
収録曲は、ビートルズの楽曲をBooker T & The MG’s流のインストゥルメンタル・ソウルとして再解釈したもの。原曲のメロディを追いながら、オルガン、ギター、ベース、ドラムの演奏で輪郭を組み直していくスタイルだ。歌がないぶん、曲の骨格やリズムの置き方が前に出る構成になっている。
Staxらしい乾いた音像と、メンフィス録音らしい手触りが特徴。ビートルズの楽曲を単に模倣するのではなく、南部のR&Bやソウルの文脈へ持ち込んだ内容として整理しやすい作品だ。
『Abbey Road』との関係
このアルバムは『Abbey Road』の全曲カバーで、アルバム全体を通して元作との対応が意識されている。曲順は入れ替えられているが、アルバム単位でビートルズ作品をなぞる設計になっている点が大きい。
ビートルズ側の楽曲提供クレジットには、Maclen MusicやHarrisong Musicが見える。カバーアルバムでありながら、原曲との結びつきが明確な一枚だ。
聴きどころ
この作品でまず目に入るのは、Booker T. Jonesのオルガンと、Steve Cropperのギターの組み合わせだ。そこにDonald “Duck” Dunnのベース、Al Jackson Jr.のドラムが入ることで、旋律をなぞるだけでなく、リズムの推進力が前に出る。
実際に聴くと、原曲のポップなフレーズが、より土の匂いのある演奏へ置き換わっていく感覚がある。特にメロディの強い曲ほど、インスト化によって構造が見えやすくなる印象だ。逆に、原曲のアレンジの細部を知っているほど、MG’sの解釈の仕方がはっきり見えてくる。
代表曲とのつながり
Booker T & The MG’sといえば、やはり「Green Onions」が代表曲として知られている。このアルバム自体はそのヒット曲路線とは少し違い、オリジナル曲集ではなくカバー作だが、バンドの演奏力を示す作品としてはわかりやすい位置にある。
Staxの看板バンドとして、Otis Redding、Wilson Pickett、Sam & Daveらの伴奏や制作にも深く関わってきた彼らが、同時代のロックの大作を自分たちの言葉に置き換えた、という見方もできる。
同時代の文脈
1970年前後は、ソウルやR&Bの側からロックの曲を取り込む動きが目立った時期でもある。その中で『McLemore Avenue』は、単発の流行ではなく、メンフィスのスタジオ・バンドがロックの大曲をインストゥルメンタルでまとめ上げた例として見ておきやすい。
比較対象としては、同じくソウルやR&Bの演奏力を軸にしたバンドや、カバーを通じて原曲を別の文脈へ移し替える仕事をしていたミュージシャンが思い浮かぶ。とはいえ、このアルバムはStaxの音とビートルズの楽曲がそのままぶつかるところに意味がある。
作品の位置づけ
Booker T & The MG’sにとっては、自分たちの代表曲や伴奏仕事とは別の角度から、バンドの実力を示したアルバムと言える。70年代初頭にはバンドとしての活動が終盤に向かっていくため、この一枚はキャリア後期のまとまった作品としても見やすい。
Rock & Roll Hall of Fame入りを果たしたグループの中でも、『McLemore Avenue』は単なる企画盤ではなく、演奏者としての視点が前面に出たアルバムとして記憶されやすい。ビートルズの『Abbey Road』を、メンフィスのソウル・バンドがどう受け止めたか。その答えの一つがこの作品だ。
基本情報
- アーティスト: Booker T & The MG’s
- タイトル: McLemore Avenue
- オリジナルリリース年: 1970年
- 国: US
- ジャンル: Funk / Soul
- スタイル: Rhythm & Blues, Soul
トラックリスト
- (Medley) (15:46)
- A2 – Something (4:07)
- (Medley) (7:25)
- (Medley) (10:39)
Il Tempio Delle Clessidre – AlieNatura (2013)
Il Tempio Delle Clessidre『AlieNatura』について
Il Tempio Delle Clessidreは、2006年にジェノヴァで結成されたイタリアのプログレッシブ・ロック・バンド。『AlieNatura』は2013年にイタリアでリリースされた作品で、バンドの初期を代表するタイトルのひとつとして位置づけられる。メンバーにはFabio Gremo、Stefano Galifi、Elisa Montaldo、Giulio Canepa、Francesco Ciapica、Paolo Tixiが名を連ねている。
このバンドは、イタリアン・プログレの系譜にしっかり乗った音作りで知られる存在。とくに、Storia di un MinutoやDarwin!のような70年代イタリア勢を思わせる、組曲的な展開や鍵盤の存在感、歌と演奏のせめぎ合いが軸になるタイプのグループとして語られることが多い。Stefano Galifiの参加も、古典的なイタリアン・プログレ文脈で注目されやすいポイントだろう。
作品の内容と位置づけ
『AlieNatura』は、バンド名義の作品の中でも、彼らの方向性をはっきり示すアルバムとして扱える内容。ロックを基調にしながら、プログレッシブ・ロックらしい曲展開を前面に出した構成で、イタリア産プログレの伝統を意識した作りになっている。派手な即効性よりも、曲の流れやパートごとの切り替わりを追う楽しさが中心のタイプだ。
2013年時点のリリースとして見ると、クラシックな感触を持ちながらも、現行のイタリア・プログレ再興の流れの中で受け止められる1枚でもある。70年代の遺産をなぞるだけでなく、現代の録音でその語法を鳴らしているところに意味がある作品と言える。
聴きどころ
このアルバムでは、まず鍵盤とギターの絡みが重要になる。イタリアン・プログレらしいドラマ性を支えるのは、メロディの伸びよりも、曲の中での展開と音の重なりだ。歌唱はその上に乗るというより、演奏と一体で進む印象が強い。
また、バンドの編成からも分かる通り、ボーカル、キーボード、ギター、ベース、ドラムがそれぞれ役割を分担しながら、ひとつの長い流れを作っていくタイプの音楽。短いフックで押すより、セクションごとの積み重ねで聴かせる作りになっている。
リリース仕様
- 2013年、イタリア盤
- ゲートフォールド・ジャケット
- ブルー・ヴァイナル
- インサート付き
- バンドロゴ入りスリップマット付き
- フォトカード付き
- コットンバッグ付き
- 限定100枚
物理メディアとしては、かなりコレクター性の強い仕様。限定100枚という数字に加えて、スリップマットやコットンバッグまで付属する点からも、作品そのものだけでなくパッケージ全体を含めて楽しむ作りになっている。
まとめ
『AlieNatura』は、イタリアのプログレッシブ・ロックが持つ伝統的な語法を、2013年時点のバンドがどう鳴らすかを示す作品。Il Tempio Delle Clessidreの名前を押さえるうえでも、まず触れておきたいタイトルのひとつだろう。演奏、構成、装丁まで含めて、バンドの世界観がまとまっている。
トラックリスト
- A1 – Kaze (Ciò Che Il Vento Porta Con Se) (4:15)
- A2 – Senza Colori (8:30)
- A3 – Il Passo (9:25)
- A4 – Fino Alla Vetta (7:42)
- B1 – Onirica Possessione (9:08)
- B2 – Notturna (2:40)
- Il Cacciatore (14:50)