The Jimmy Castor Bunch – The Jimmy Castor Bunch (1979)
The Jimmy Castor Bunch / The Jimmy Castor Bunch
1979年にUSでリリースされた、The Jimmy Castor Bunch名義のアルバム。Jimmy Castorを中心に、John Pruittがソングライティング、出版、プロデュース面で関わる編成で、Gerry Thomasを含むメンバーが参加している。ソウル、ファンク、ディスコの流れの中に、Jimmy Castorらしいラテン色が時折のぞくグループの一枚として位置づけられる作品だ。
作品の位置づけ
Jimmy Castorは、60年代から活動してきたファンク/ソウル・シーンの人物で、The Jimmy Castor Bunchはその代表的なグループ名義のひとつ。1979年という時期は、ファンクがディスコと接近しながら形を変えていた時代で、このアルバムもその空気を受けた一枚として見てよさそうだ。派手にジャンルを横断するというより、当時のUSブラック・ミュージックの実用的なダンス感覚をきっちり持った作品という印象がある。
サウンドの印象
全体としては、タイトなリズム隊を軸にしたファンク寄りの作りで、ホーンやコーラス、ベースの推進力が目立つタイプのアルバム。Jimmy Castor作品に期待される、言葉数の多いヴォーカル、リズムの切れ、遊び心のあるノリが前に出やすい構成だ。ラテンの要素が入る場面もあり、完全に直線的なディスコ作品というより、ファンクをベースにしたグルーヴ盤としての性格が強い。
実際に聴いたときは、曲ごとのフックよりも、演奏のまとまりとリズムの持続で聴かせるタイプに感じられることが多い。派手な展開で押すというより、一定のテンポ感の中で身体を動かしやすいビートを積み重ねる作りだ。
同時代とのつながり
1979年のファンク/ソウル周辺を考えると、ファットバック・バンドやセシル・ホルムズ周辺のダンス志向、あるいはディスコ期のソウル作品と並べて見たくなる時期だ。Gerry ThomasがThe Fatback Bandにも関わっていたことからも、当時のダンス・ミュージックの現場感が重なる。洗練されたディスコというより、バンド演奏の熱量を残したファンク寄りの作りに近い。
代表曲・注目点
このアルバム単体では、広く知られた代表曲の存在は前面には出ていないが、Jimmy Castorといえば「Troglodyte (Cave Man)」や「It’s Just Begun」で知られる人物。その流れを踏まえると、この1979年作も、彼の持ち味であるリズムの粘りと掛け合いの感覚を確認できる一枚として捉えやすい。
リリースに関しては、プロモーション用ステッカー付きの個体があることが知られている。US盤として流通した1979年のオリジナル期の資料として見ると、当時の販促の雰囲気も含めて面白い。
まとめ
The Jimmy Castor Bunch名義の本作は、Jimmy Castorのファンク/ソウル路線を1979年の空気の中でまとめたアルバム。ラテン色を含むグルーヴ、バンド感のある演奏、ディスコ期のダンス感覚が同居する内容で、70年代末のUSブラック・ミュージックの一断面が見える作品だ。
トラックリスト
- A1 – Don’t Do That (7:08)
- A2 – Need Your Lovin (6:46)
- A3 – Party People (5:35)
- B1 – Psych-Out (6:55)
- B2 – Goodbye! (7:40)
- B3 – I Just Wanna Stop (6:06)
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Rupert Hine – Waving Not Drowning (1982)
Rupert Hine / Waving Not Drowning(1982)
Rupert Hineは、英国内で長く活動したシンガー、ソングライター、キーボード奏者、プロデューサーだ。1960年代半ばから自分名義でもバンドでも録音を重ねていて、このWaving Not Drowningは1982年にUKで出たアルバムになる。電子音を前面に出した作りで、ジャンル表記としてはElectronic、スタイルとしてはSynth-popに置かれている。
作品の位置づけ
Rupert Hineのキャリアの中では、作曲と制作の感覚がかなり前に出た時期の一枚として見える。本人はアーティスト活動だけでなくプロデューサーとしても知られていて、歌とキーボード、スタジオワークが自然につながっている人だ。このアルバムも、その持ち味がそのまま表れた作品という印象になる。
1982年UKの空気感
1982年という年は、UKのポップスでシンセサイザーが広く浸透していた時期だ。Rupert Hineの音作りも、その流れの中にある。硬質な打ち込み感と、メロディを前に出す歌もののバランスがこの時代らしい。周辺の文脈でいえば、同時代の英国シンセポップに通じる耳ざわりがありつつ、プロデューサー気質の整理された響きが特徴になっている。
聴きどころ
実際に聴くと、音のレイヤーが多すぎず、要所でシンセのフレーズやリズムの刻みがはっきり分かる作りだ。歌を覆い隠すというより、歌の輪郭を支えるような配置になっている。タイトル曲のWaving Not Drowningは、作品全体の方向性を示す中心曲として受け取られやすいだろう。派手なロック的高揚より、一定のテンポ感の中で細部を聴かせるタイプのアルバムという印象が残る。
盤の情報
- オリジナルリリース年: 1982年
- リリース国: UK
- 盤の表記: Made in England
- 一部の流通盤には、裏ジャケットに金色のプロモーションスタンプが付く例あり
アーティストについて
Rupert Hineは、演奏者としてだけでなく、音楽業界の制度面にも関わった人物でもある。BASCAのソングライター委員会を率い、Ivor Novello Awards委員も務めた。のちには、技術ライターで起業家のAlan GrahamとともにOne-Click Licence(OCL)を立ち上げ、NDiiDやTotemといった仕組みにも関わっている。音楽制作と著作権、テクノロジーの接点に早くから目を向けていた人でもある。
まとめ
Waving Not Drowningは、1982年のUKシーンに置くと、電子音を使いながらも歌を中心に据えたRupert Hineの代表的な時期を示すアルバムとして捉えやすい。プロデューサーとしての整理された音像、シンセポップ期の空気、そして本人の作家性が重なる一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Eleven Faces (3:44)
- A2 – The Curious Kind (4:46)
- A3 – The Set Up (4:29)
- A4 – Dark Windows (3:22)
- A5 – The Sniper (5:32)
- B1 – Innocents In Paradise (3:24)
- B2 – House Arrest (4:18)
- B3 – The Outsider (5:29)
- B4 – One Man’s Poison (6:13)
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Camel – Camel (1973)
Camel『Camel』について
Camelは、1971年に結成されたイングランドのプログレッシブ・ロック・グループ、Camelのデビュー・スタジオ・アルバム。オリジナルのリリースは1973年2月で、この日本盤は1982年に日本で製造された盤になる。バンド初期の4人、Andrew Latimer、Peter Bardens、Doug Ferguson、Andy Wardによる出発点の作品であり、以後のCamelの方向性を見ていくうえで基本になる1枚。
バンド初期の輪郭が見えるデビュー作
この時期のCamelは、ギターのAndrew LatimerとキーボードのPeter Bardensを軸にした編成。のちにより組曲的で流れのある作品へ進んでいくが、このデビュー作ではバンド名そのままの手触りを持つ、比較的まっすぐなプログレ・ロックの組み立てが目立つ。ギター、オルガン、シンセ、フルート、リズム隊がそれぞれ役割を持っていて、演奏の見通しがはっきりしている印象。
Camelはこの後、1975年の『The Snow Goose』で大きく評価を広げるが、その意味では『Camel』は“のちの代表作へ向かう前段階”という位置づけになっている。まだバンドの表現が固まりきる前の、出発点としての記録。
収録曲とシングル
マスターノートによると、本作は1973年2月発売のデビュー・アルバム。収録曲のうち、Track 5はシングルに関連し、Track 6「Curiosity」はそのシングルのB面として扱われている。アルバム単位で聞くと、曲ごとの性格の違いが出やすく、バンドの初期作らしいまとまり方になっている。
代表曲として広く知られるのは、この後の作品群に収録される曲のほうが多いが、デビュー作としてはバンドの基本線をつかむための重要盤といえる。
同時代の文脈
1970年代前半のイギリスのプログレッシブ・ロックには、長尺の構成、キーボードの前面化、曲展開の切り替えなどが共通項としてある。Camelもその流れの中にありつつ、同時代の巨人たちと比べると、過度に劇的へ振り切るより、演奏の流れを保ちながら組み立てていくタイプに見える。後年のジャズ寄りの展開や、より叙情的な作風へ向かう前の段階として聞くと、バンドの輪郭がつかみやすい。
日本盤について
この盤は1982年の日本製造盤。オリジナルの1973年盤とは発売時期が異なるため、作品そのものは1973年のデビュー作として、盤としては後年の日本盤として扱うのが自然。日本盤のため、当時の国内流通向けにプレスされた1枚という位置づけになる。
まとめ
『Camel』は、Camelというバンドの最初の記録であり、のちの『The Snow Goose』や『Moonmadness』へつながる前提が見える作品。初期プログレらしい編成感と、ギターとキーボードの役割分担がはっきりしたデビュー作として、バンドの原点を確認できる内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Slow Yourself Down
- A2 – Mystic Queen
- A3 – Six Ate
- A4 – Separation
- B1 – Never Let Go
- B2 – Curiosity
- B3 – Arubaluba
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David McWilliams – Lord Offaly (1972)
David McWilliams「Lord Offaly」について
David McWilliamsは、北アイルランド・ベルファスト出身のシンガー/ソングライターで、1960年代から70年代にかけて活動した人物だ。ソングライターとしての確かな筆致で知られ、フォークとロックのあいだを行き来する作品を残している。
この「Lord Offaly」は1972年の作品で、手元の盤は1973年リリースのUS盤。Bell Recordsから出ており、ジャケットにはBell Recordsのプロモーション・ステッカーが付いていたという記録もある。レーベル表記は「Bell Records, A division of Columbia Pictures Industries, Inc.」となっている。
作品の位置づけ
David McWilliamsの代表的な流れの中では、初期の大きなヒットで知られる時期のあとに置かれる作品群のひとつとして見ることができる。彼の名前を広く知らしめたのは「Days of Pearly Spencer」だが、「Lord Offaly」はその単発のヒット曲だけでは見えにくい、アルバム単位での作家性を追ううえで重要な一枚といえる。
タイトルからはアイルランド的な響きがあるが、ここではDavid McWilliamsらしい、歌詞を中心に据えた曲作りが軸になっている。フォーク寄りの語り口を保ちながら、バンド演奏でロックの手触りを加えるタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの印象
この時代のDavid McWilliamsは、いわゆるフォーク・ロックの文脈に置かれることが多い。アコースティックな響きとロックのリズムが同居する作りで、派手なアレンジで押すというより、曲の輪郭と歌の内容を前面に出すタイプの盤だ。Bell Records期のUSリリースという点でも、60年代後半から70年代前半のアメリカン・ロック市場に向けた整理された音作りが意識されていた可能性がある。
同時代の耳で並べるなら、フォーク・ロックの流れの中にいる作品で、シンガー/ソングライター色の強いアルバムとして受け取りやすい。大編成で押し切るタイプではなく、歌そのものを聴かせる方向性。
「Days of Pearly Spencer」との関係
David McWilliamsの名前でまず挙がるのはやはり「Days of Pearly Spencer」だが、この「Lord Offaly」はその代表曲の延長線だけでは説明しきれない。アーティストとしての活動を、ヒット曲単位ではなくアルバム単位で追うときに見えてくる一枚という印象が強い。
なお、この盤にはCD再発も存在しており、流通のされ方としては後年に再び扱われている作品でもある。オリジナル期の空気をそのまま持つかどうかは別として、少なくとも1970年代前半のDavid McWilliamsを知る手がかりにはなる。
まとめ
「Lord Offaly」は、David McWilliamsのフォーク・ロック系の作家性を追ううえでの1972年作。1973年のUS盤としてはBell Recordsからのリリースで、プロモーション用ステッカー付きの個体も確認されている。大ヒット曲だけでは見えない、アルバムとしてのDavid McWilliamsを確認できる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Go On Back To Momma (From The Film “Gold”) (3:30)
- A2 – She Was A Lady (4:25)
- A3 – I Will Always Be Your Friend (4:00)
- A4 – Heart Of The Roll (3:25)
- A5 – I Would Be Confessed (5:08)
- B1 – Spanish Hope (Instrumental) (3:50)
- B2 – Blind Mens Stepping Stones (5:56)
- B3 – Lord Offaly (6:33)
- B4 – The Prisoner (4:00)
- B5 – The Gypsy (3:40)
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Yes – Fragile (1971)
Yes『Fragile』について
Yesの『Fragile』は、1971年に発表された4作目のスタジオ・アルバムで、プログレッシブ・ロックの定番としてよく語られる作品だ。バンドの初期を代表する1枚であり、長尺曲と個別のソロ・パートを組み合わせた構成がはっきり示されている。アート・ロック、プログ・ロックという並びがそのまま内容に結びつくアルバムで、Yesの名前を広く印象づけた時期の作品でもある。
1976年盤は日本でのリリースで、ゲートフォールド仕様、インサート、8ページのブックレット付き。歌詞とライナー・ノーツは見開き内側に収められている。℗1972 Atlantic Recording Corporation, U.S.A.の表記があり、盤面のランアウトはスタンプ刻印という案内になっている。
作品の位置づけ
『Fragile』は、Yesがバンドとしての輪郭を強く見せた作品として知られる。メンバーは、Jon Anderson、Steve Howe、Chris Squire、Rick Wakeman、Bill Brufordという編成が中心で、バンドの演奏力とアレンジの緻密さが前面に出る。後のYesにつながる、複雑な構成とメロディの明快さが同居した時期の記録でもある。
このアルバムでは、バンド全体で組み上げた曲と、各メンバーの個性を切り出した短いソロ・パートが並ぶ。グループとしての統一感と、個々のプレイヤーの存在感を同時に見せる構成で、当時のYesの考え方がよく出ている。
収録曲と代表曲
中でもよく知られるのが「Roundabout」だ。アルバム冒頭を飾るこの曲は、Yesの代表曲として広く認識されている。リフ、転調、各パートのつながりがはっきりしていて、バンドの特徴を早い段階で示す1曲になっている。
ほかにも「South Side of the Sky」「Heart of the Sunrise」といった曲があり、いずれも長めの展開を持ちながら、演奏の切り替えやリズムの変化が細かく組まれている。短いソロ曲を挟みつつ全体を進める流れも、この作品ならではの構成だ。
同時代の文脈
1971年前後のイギリスでは、YesのほかにもKing Crimson、Genesis、Jethro Tullなどが、それぞれ異なる形でロックの拡張を進めていた。『Fragile』はその中でも、演奏の精密さと音の積み上げ方がはっきりした作品として位置づけられる。シンフォニックな展開や技巧的なアンサンブルを重視する流れの中で、Yesの方向性を示したアルバムといえる。
まとめ
『Fragile』は、Yesの初期を代表する重要作であり、「Roundabout」を含む代表的な楽曲群と、バンド各員のソロ的な見せ場が共存するアルバムだ。日本盤の1976年リリースでは、見開きジャケットとブックレット付きの仕様が用意されている。作品そのものは、Yesがプログレッシブ・ロックの中心的存在として見られるようになる流れを、かなり早い段階で形にした1枚として捉えられている。
トラックリスト
- A1 – Roundabout (8:29)
- A2 – Cans And Brahms (1:35)
- A3 – We Have Heaven (1:30)
- A4 – South Side Of The Sky (8:04)
- B1 – Five Per Cent For Nothing (0:35)
- B2 – Long Distance Runaround (3:33)
- B3 – The Fish (Shindleria Praematurus) (2:35)
- B4 – Mood For A Day (2:57)
- B5 – Heart Of The Sunrise (10:34)
関連動画
- Roundabout (2024 Remaster)
- Cans and Brahms (2024 Remaster)
- We Have Heaven (2024 Remaster)
- South Side of the Sky (2024 Remaster)
- Five Per Cent for Nothing (2024 Remaster)
- Long Distance Runaround (2024 Remaster)
- The Fish (Schindleria Praematurus) (2024 Remaster)
- Mood for a Day (2024 Remaster)
- Heart of the Sunrise (2024 Remaster)
Far Out – 日本人 (1973)
Far Out「日本人」について
Far Outは、1970年代前半の日本で活動したサイケデリック/プログレッシブ系のバンドです。「日本人」は1973年に登場した作品で、重いギター、展開の多い曲構成、当時の国産ロックらしい土台を持つ1枚として知られています。メンバーはFumio Miyashita、Keiju Ishikawa、Manami Arai、Eiichi Sayuの4人。
作品の位置づけ
この作品は、Far Outの初期を代表するタイトルとして見られることが多いです。日本のハードロックやプログレッシブ・ロックが独自の形を作っていった時期の記録であり、海外向けの再紹介盤が出るほど、後年まで注目されてきた作品でもあります。
当時の日本のロックでは、海外のハードロックやプログレッシブ・ロックの影響を受けつつ、長い曲構成や演奏中心の組み立てを前面に出す作品が増えていました。「日本人」もその流れの中にある1枚で、70年代初頭の日本産ロックの空気をそのまま切り取ったような存在です。
音の印象
実際の音像は、ギターの押し出しが強く、リズム隊も前に出るタイプです。曲によっては演奏の切り替わりが多く、ひとつのリフを長く引っぱるというより、場面を変えながら進む作りが目立ちます。サイケデリックな色合いと、ハードロック寄りの力感が同居している点が特徴です。
派手なヒット曲で引っ張るというより、アルバム全体の流れで聴かせる性格が強い作品です。代表曲を1曲だけ挙げて語るタイプの盤というより、まとまった演奏と空気感で印象を残す内容と言えるでしょう。
同時代の文脈
同じ時代の日本のロックでは、外来のロックを吸収しながら独自化を進める動きが各所で見られました。Far Outもその流れの中で、英米のハードロックやプログレッシブ・ロックに通じる要素を持ちながら、日本のバンドらしい緊張感のある演奏にまとめています。海外の同時代バンドと並べると、より硬質で、演奏の切迫感が前に出るタイプとして受け取られやすいでしょう。
再発盤について
ここで扱っている盤はヨーロッパで出た再発盤で、オリジナルは1973年の日本盤です。再発盤は、入手しやすさという点でオリジナル盤とは性格が異なりますが、作品そのものは1973年当時の内容を伝えるものです。日本のレア盤として知られるタイトルが、のちに海外で再び流通した例のひとつでもあります。
まとめ
「日本人」は、Far Outの初期の姿を知るうえで重要な1枚です。70年代前半の日本のハードロック/プログレッシブ・ロックの文脈の中で、演奏主体の構成と強いギターを軸にした作品として位置づけられます。派手な話題性よりも、当時のバンドの手触りをそのまま残した記録として見ていくと、輪郭がつかみやすい盤です。
トラックリスト
- A – Too Many People (17:55)
- B – 日本人 (19:52)
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Propaganda – p: Machinery (Polish) (1985)
Propaganda「p: Machinery (Polish)」について
Propagandaは、ドイツ・デュッセルドルフ出身のシンセポップ・グループだ。1982年にRalf DörperとAndreas Theinを中心に始まり、1985年の時点ではClaudia Brücken、Susanne Freytag、Michael Mertens、Ralf Dörperの編成で活動していた。ZTT周辺の80年代英国ポップの文脈で語られることの多いグループで、緻密な打ち込みと強いビート、女性ボーカルの存在感を軸にしたサウンドが持ち味である。
この「p: Machinery (Polish)」は、1985年に登場した「p: Machinery」のポーリッシュ・ヴァージョンを収めた盤。Propagandaの代表曲のひとつとして知られる「p: Machinery」の別形態で、同曲の12インチ展開の中でも長尺版にあたる。オリジナルの「p: Machinery」は「A Secret Wish」期の重要曲で、Propagandaの代表作を語るうえで外せない1曲だ。
曲の位置づけ
Propagandaにとって1985年は、アルバム「A Secret Wish」に結実する時期だ。その中で「p: Machinery」は、鋭い機械的リズムとボーカルの切り替わりがはっきりした、バンドの個性がよく出た楽曲として扱われている。マスターノートによると、今回の「Polish」は9分24秒のヴァージョンで、最後に1分15秒のリプリーズを含む構成だ。単なる延長ではなく、曲の終わり方まで含めて別の流れを作っている。
同曲には複数のヴァージョンが存在していて、3分台の7インチ向けミックス、ギターを足した再構成版、そしてこの長尺の「Polish」など、用途ごとに性格が分かれている。Propagandaのシングル制作が、当時の12インチ・シーンらしい編集感覚に支えられていたことが分かる。
サウンドの印象
実際に聴くと、打ち込みのリズムとシンセの層がかなり明確に分かれていて、音数は多いのに整理されている。ボーカルは前に出すぎず、ビートの上で言葉を置いていく感じが強い。長尺版のため、同じフレーズの反復が続いても、途中の展開や抜き差しで流れが保たれている。短いシングル版とは違って、曲の構造そのものを楽しむタイプの仕上がりだ。
Propagandaのサウンドは、同時代の英国シンセポップの中でも、単純な明るさや軽快さより、冷たさや緊張感が前に出る。Depeche ModeやCabaret Voltaire周辺と並べて語られることがあるのも、そうした要素が理由になりやすい。とはいえ、Propagandaは女性ボーカルの配置やコーラスの扱いで、よりポップ・ソングとしての輪郭も強い。
日本盤としての特徴
この盤は日本でのリリースで、付属物として日本語のインフォシートと英語詞が入っている。80年代の輸入盤/国内盤の文脈では珍しくないが、歌詞を追いながら聴ける仕様は、当時のリスナーにとって分かりやすい作りだ。収録内容そのものは1985年当時のシングル・ヴァージョンの範囲に収まっている。
Propagandaというバンドの中で
Propagandaは、メンバー変動の多いバンドだが、1985年はClaudia Brückenのボーカルが前面に出た時期として印象が強い。「Dr. Mabuse」に続いて「p: Machinery」もグループの代表曲となり、ZTTレーベルを象徴する80年代ポップの一角として定着していく流れにある。
制作面では、Stephen Lipsonがプロデュースを担った時期でもあり、音の密度や編集の細かさにその特徴が出ている。Propagandaの中でも、アルバム曲とシングル曲の境目がはっきりしつつ、12インチでさらに構造を広げる手つきがよく見える作品だ。
まとめ
「p: Machinery (Polish)」は、Propagandaの代表曲「p: Machinery」を長尺で味わえる1985年の12インチ・ヴァージョンだ。シングルとしての推進力と、12インチならではの展開の長さが両立していて、Propagandaの80年代的な完成度がまとまった1枚になっている。日本盤は日本語インフォシート付きで、英語詞も付属する構成である。
トラックリスト
- A – p: Machinery (Polish) (9:20)
- B1 – p: Machinery (Passive) (3:44)
- B2 – Frozen Faces (5:30)
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M-Opus – At The Mercy Of Manannán (2023)
M-Opus『At The Mercy Of Manannán』について
アイリッシュ・プログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロック・バンド、M-Opusによる『At The Mercy Of Manannán』は、2023年に登場した作品だ。バンドの出身国もリリース国もアイルランドで、同国のプログ・ロック文脈の中で受け止めやすい1枚になっている。
タイトルにある「Manannán」は、アイルランド神話に登場する海の神として知られる存在で、作品全体にもケルト圏の物語性を感じさせる要素がある。バンド名、作品タイトル、そしてアイルランドという背景がつながって見える構成で、ロック作品でありながら土地の伝承や神話を意識した作りになっている点が目を引く。
作品の位置づけ
アーティスト情報としては、M-Opusはアイリッシュのプログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロック・バンドとされている。『At The Mercy Of Manannán』は2023年の作品として提示されており、現行のバンド像を知るうえでの中心作として見るのが自然だろう。
プログ・ロックとシンフォニック・ロックの組み合わせからは、楽曲の展開や構成の変化を重視するタイプの作品像が読み取れる。アイルランドのバンドという点では、同じく物語性やスケール感を重視する70年代以降のプログ・ロック系バンドの系譜とも比較しやすい。
レコード盤の仕様
この盤は、マット仕様のゲートフォールド・ジャケットに収められ、2ページのカラー印刷インサート、黒のポリライニング入りインナーLPスリーブ、再封可能な透明ポリプロピレン製スリーブが付属する。パッケージ全体は、グリーンエネルギー、グリーンガス、ソーラーエネルギーを使って倫理的に制作されたと案内されている。
- 限定500枚
- 2023年リリース
- 専用マスタリングを施したヴァイナル・プロダクション
レコードとしては、作品の内容だけでなくパッケージ面にもかなり意識が向けられている印象だ。ゲートフォールドやインサート付きの構成は、アルバムの世界観をじっくり見せる作り方としてわかりやすい。
聴きどころとして見えやすい点
実際の音そのものについてはここでは断定しないが、プログ・ロック/シンフォニック・ロックというスタイルからは、曲ごとの長い展開、パートの切り替わり、楽器の重ね方に耳が向きやすい作品として捉えやすい。タイトルの神話性とあわせて、単独曲の強さだけでなく、アルバム全体の流れで聴くタイプの作品像が浮かぶ。
代表曲やヒット曲として広く知られた1曲があるという情報は見当たらないが、こうした作品では曲単位よりも、アルバム全体の構成やテーマ性が印象に残ることが多い。
まとめ
『At The Mercy Of Manannán』は、アイルランドのM-Opusが2023年に発表した、神話的な題材とプログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロックの文脈を重ねたアルバムだ。限定500枚のヴァイナルとして、専用マスタリングや丁寧なパッケージングも含めて、作品のまとまりを感じやすい仕様になっている。
トラックリスト
- A1 – Setting Off (2:02)
- A2 – Riverflow (6:55)
- A3 – Whirlpool (3:23)
- A4 – To The Other Side (9:10)
- B1 – Na Bruídaí (7:55)
- B2 – Valley of Elah (4:07)
- B3 – Scaling Novas (3:25)
- B4 – Carnivale (5:14)
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Morse Code – La Marche Des Hommes (1975)
Morse Code 『La Marche Des Hommes』(1975)
カナダ・ケベック州出身のプログレッシブ・ロック・バンド、Morse Codeが1975年に発表した作品。バンドは1967年に別名義で活動を始め、その後にMorse Code Transmissionを経て、最終的にMorse Code名義へ落ち着いた。フランス語圏カナダのロック史の中で、70年代前半のプログレ文脈にしっかり置かれるグループだ。
本作『La Marche Des Hommes』は、そうした流れの中で出た1975年作。録音は1975年5月から6月にかけて、Son Québec Inc.スタジオで行われている。収録内容は、歌詞入りの片面インサート付きという、当時のプログレ作品らしい体裁も持つ。
作品の位置づけ
Morse Codeは、キーボードとリード・ヴォーカルを務めるChristian Simardを中心に、演奏面でも多人数編成で知られる。提示されているメンバーには、Daniel Lemay、Michel Vallée、Raymond Roy、Yves Boisvert、Marc Leach、Jean Ravel、Jocelyn Julien、Bernie Tapin、Gilles Simard、Mario Langis、Gilles Beaudoinが並ぶ。編成の厚さは、そのままプログレッシブ・ロックの作りに結びついていそうな顔ぶれだ。
1970年代半ばのカナダ・プログレは、英語圏ではRushやFM、フランス語圏ではQuébecの独自シーンが存在感を持っていた時期で、このバンドもその一角にある。Morse Codeは、同時代の長尺構成や鍵盤主体のアンサンブルを扱うバンド群と並べて語られることがありそうだ。
聴きどころ
実際の音像としては、プログレ作品らしく、楽曲展開の切り替えや、鍵盤とバンド全体の動きの組み合わせが軸になっているタイプのアルバムとして捉えられる。Christian Simardのキーボードと歌が中心に置かれている点も、この時代のプログレらしい輪郭だ。
タイトル曲の「La Marche Des Hommes」は、作品全体の顔として受け止められやすい曲名で、アルバムのテーマ性を代表する位置にあると思われる。ヒット曲として広く知られたシングルの情報は見当たらず、アルバム単位で聴かれる性格が強い。
作品の特徴
- 1975年のカナダ産プログレッシブ・ロック
- フランス語圏ケベックのバンドによる作品
- Son Québec Inc.スタジオ録音
- 歌詞入りの片面インサート付き
- 鍵盤とヴォーカルを軸にした編成
同時代の文脈
この時期のプログレは、英米の有名バンドだけでなく、各地域のローカルシーンで独自に発展していた。Morse Codeも、その流れの中で、フランス語圏カナダのロック表現を担ったグループとして見ることができる。英語圏の大型バンドとは違う言語環境の中で、作品の組み立てや歌の置き方にも地域性が出やすい時代だった。
『La Marche Des Hommes』は、そうした70年代中盤の空気をそのまま閉じ込めた一枚として、Morse Codeの活動を追ううえで押さえておきたい作品だ。
トラックリスト
- A1 – La Marche Des Hommes (11:14)
- A2 – Le Pays D’Or (3:16)
- A3 – La Cérémonie De Minuit (5:00)
- B1 – Cocktail (3:25)
- B2 – Une Goutte De Pluie (3:23)
- B3 – Qu’est-ce Que T’as Compris? (5:29)
- B4 – Problème (2:05)
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Galliard – Strange Pleasure (1970)
Galliard『Strange Pleasure』について
Galliardの『Strange Pleasure』は、1968年にバーミンガムで結成されたUKのプログレッシブ/ジャズ・ロック・バンドによる初期作品のひとつで、オリジナルは1970年に発表されたアルバムだ。Galliardは同年にDeramから2作を残しており、この『Strange Pleasure』はその1枚目にあたる。翌年には解散しているため、活動期間は短いが、70年代初頭の英国ロックの流れの中では、フォーク色とサイケデリックな感触を含んだ作品として位置づけられている。
作品の位置づけ
バンドのプロフィールを見ると、GalliardはBirmingham出身の進歩的なロック・バンドであり、ジャズ・ロック寄りの演奏感を持ちながら、メロディや曲調にはフォーク・ロック、サイケデリック・ロックの要素も見える。『Strange Pleasure』は、そうした複数の要素がまとまった初期の記録として捉えやすい。バンドの後続作『New Dawn』と並べて語られることが多いが、こちらはデビュー期の輪郭を示すアルバムという印象が強い。
盤の情報と再発について
ここで扱う盤は2007年リリースのヨーロッパ盤で、カバーには「Limited Edition of 500 Copies」とあり、シュリンクの黄色ステッカーには「TPT 245, 180 gram virgin vinyl」と記載されている。オリジナルの1970年盤とは発売時期が異なる再発盤で、コレクション用途の仕様を持つ一枚だ。ジャケット裏面には、メンバー表記のLes Podrazaの名前が消され、ニックネームのBeppaが書き込まれている。こうした細部は、資料性のある再発盤らしい特徴と言える。
バンドの文脈
Galliardは、同時代の英国のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロックの周辺にいるバンドとして見ておくとわかりやすい。バーミンガムという土地柄も含め、ロンドン中心ではないローカルな英国ロックの流れの中で成立したグループだ。プログレッシブな構成感と、フォーク寄りの語り口、サイケデリックな色合いが同居するタイプの作品として、70年前後の英国ロック史をたどるときに名前が挙がる存在だ。
収録曲について
この作品の中で広く知られた代表曲が定番化している、というタイプではない。少なくともGalliardは、シングル・ヒットで知られるバンドというより、アルバム単位で語られるグループだ。作品を通して聴くと、曲ごとの展開や演奏の組み立てにバンドの個性が出るタイプのアルバムと言える。
まとめ
『Strange Pleasure』は、Galliardの活動初期を示す1970年作であり、バーミンガム発の英国ロックとしての輪郭を持ったアルバムだ。フォーク・ロック、サイケデリック・ロック、ジャズ・ロックの要素が同居する70年代初頭らしい空気をまといながら、短命だったバンドの足跡を伝える一枚として見ておきたい。
トラックリスト
- A1 – Skillet (3:44)
- A2 – A Modern Day Fairy Tale (3:15)
- A3 – Pastorale (2:29)
- A4 – I Wrapped Her In Ribbons (3:51)
- A5 – Children Of The Sun (3:45)
- B1 – Got To Make It (4:00)
- B2 – Frog Galliard (3:22)
- B3 – Blood (3:47)
- B4 – Hear The Colours (3:47)
- B5 – I Wanna Be Back Home (4:49)
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Exmagma – Goldball (1974)
Exmagma「Goldball」について
Exmagmaは、ドイツ・シュトゥットガルト周辺を拠点にしたアンダーグラウンドなジャズ・ロック・トリオである。メンバーは、キーボードのThomas Balluff、ギター/ベースのAndy Goldner、ドラムのFred Braceful。いずれも経歴がはっきりしていて、Balluffは1960年代のソウル・バンドMuli & The Misfits、Goldnerはローカルなリズム&ブルース・コンボFive Fold Shade、Bracefulは1950年代後半にドイツへ移ったアメリカ人ジャズ・ドラマーとして知られる。Exmagmaは、そうした背景の違う3人が合流した、ドイツのクラウトロックと即興ジャズの交差点にあるグループという位置づけになる。
「Goldball」は、Exmagmaの2作目にあたる作品で、1974年3月に録音され、1974年にUrusまたはDisjuncta名義で初出した。ここで取り上げている盤は2003年リリースの再発盤で、オリジナルの1974年盤とは年代が異なる。録音とミックスは1974年にWolperathで行われている。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronic、Jazz、Rock、スタイルはKrautrock、Fusion、Space Rock、Free Improvisation。Exmagmaらしいのは、この複数の要素が別々に並ぶというより、演奏の中でひと続きに現れる点である。ギター、キーボード、ドラムの3人編成で、曲の骨格がはっきりした場面と、即興に寄る場面が行き来するタイプの作品として捉えやすい。
同時代のドイツ勢でいえば、クラウトロックの枠に収まりつつも、よりジャズ寄りの緊張感を持ったバンドとして語られることが多い。Wolfgang DaunerやEt Cetera周辺の流れ、あるいは即興性の強いジャズ・ロックの文脈に置くと見えやすい作品である。Fred Bracefulの経歴が示す通り、アメリカのジャズ感覚が土台にあり、その上にドイツの実験的なロックの感触が重なる構図。
作品の位置づけ
「Goldball」は、Exmagmaのディスコグラフィーの中でも重要な位置にある2作目。バンドの基本形が固まった段階の記録として見ることができる。1作目で示した方向性を受けつつ、より演奏の密度や展開の幅が出た作品として扱われることが多い。
タイトル曲「Goldball」が作品名になっているが、特定のヒット曲として広く知られた楽曲というより、アルバム全体の流れの中で聴かれるタイプの作品である。曲単位の派手な代表曲を押し出すというより、トリオの即興と構成の切り替えそのものが聴きどころになっている。
2003年盤について
この盤は2003年のリリースで、オリジナルの1974年盤を後年に再発したものにあたる。カタログ番号は、ジャケット表記ではDaily009、レーベル表記では000.009となっている。再発盤としては、まずオリジナル音源を改めて聴ける点が大きい。
作品そのものは1974年の録音とミックスに基づくため、音楽内容はオリジナル時点のものをそのまま伝える形になる。再発盤としては、当時のクラウトロックやジャズ・ロックを後年の視点で聴き直す際の入口になっている。
まとめ
Exmagmaの「Goldball」は、ドイツのアンダーグラウンド・ジャズ・ロックを語るうえで外しにくい1枚である。シュトゥットガルト周辺のローカルな背景、アメリカ人ジャズ・ドラマーの参加、そして1974年という時代の空気が、3人編成の演奏にそのまま刻まれている作品と言える。
トラックリスト
- A1 – Marilyn F. Kennedy (2:25)
- A2 – Dada (3:35)
- A3 – Adventures With Long S. Tea 25 Seconds Before Sunrise (2:25)
- A4 – Groove (4:50)
- A5 – Tango Wolperaiso (2:30)
- B1 – Jam Factory (For People Insane) (4:00)
- B2 – Habits (5:55)
- B3 – Dance Of The Crass (0:50)
- B4 – Greetings To The Maroccan Farmers (6:45)
- B5 – Last But One Train To Amsterdam (0:55)
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- Exmagma – Goldball 1974 (full album)
- Exmagma — Da Da
- Exmagma- Adventures With Long S. Tea.wmv
- exmagma “groove” and “marilyn f.kennedy”.
- Exmagma-Habits.wmv
- Exmagma Goldball 1974 full album
- Exmagma—–Goldball (1974 )
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- Exmagma − Goldball (1974)
- Uma banda psicodélica alemã: EXMAGMA (Goldball, 1974, parte 1)
Drnwyn – Gypsies In The Mist (1978)
Drnwyn『Gypsies In The Mist』について
Drnwynの『Gypsies In The Mist』は、1978年にオリジナル・リリースされた作品で、USのacid-psych-folk-rockバンドとして紹介されるグループの記録になっている。盤は2007年に出ており、ここでは1978年当時の作品として扱うのが自然だろう。レコード情報では、録音とミックスはオハイオ州セーラムのWilderland Recording Studiosで行われたとされている。
作品の輪郭
クレジットに並ぶメンバーは、Randy Pregibon、David W. Hoag、Cheryl McIlvaine、Kevin McIlvaine、John Volio、Nancy Fannin、Larry Davis。複数名が参加している編成で、フォークロックを土台にしながら、acid rockやpsychedelic rockの要素を重ねたバンド作品として見える。ジャンル表記もRock、Blues、Folk Rock、Acid Rock、Psychedelic Rock、Psychedelicと幅がある。
タイトル曲『Gypsies In The Mist』が作品名を担っている点からも、アルバム全体の雰囲気を象徴する曲として置かれている可能性が高い。1970年代後半のアメリカのアンダーグラウンドなフォーク/サイケデリック系作品に通じる、手作り感のある私家盤の空気を持つ作品として整理できる。
オリジナル盤と再発盤の位置づけ
オリジナルは1978年の私家盤として800枚限定でリリースされたと記録されている。2007年盤はその後に出た再発盤で、作品そのものの年代は1978年に置かれる。こうした再発盤では、音源内容は同じでも、レコードの入手経路や流通の範囲が大きく変わることが多い。『Gypsies In The Mist』も、もともと限られた枚数で出た作品として扱われている。
聴きどころとして見える点
実際の音を確定的に述べることはできないが、クレジットとスタイル表記からは、アコースティックな楽器運びを軸にしつつ、ブルース寄りの感触やサイケデリックな展開が差し込まれる構成が想像しやすい。USの70年代フォークロックやアシッド・フォーク周辺の文脈に置くと、同時代のローカルな私家盤らしい作り込みの作品群の一つとして見えてくる。
作品の背景
この作品は、商業的な大規模リリースというより、限定枚数で作られた自主制作盤の文脈にある。1978年という時期は、一般的なロックの主流から見ると少し遅い年代にもあたり、そこにフォークロックやサイケデリックの感触を持ち込んでいる点が、このレコードの性格をよく示している。アメリカの70年代ローカル・サイケやフォーク系の私家盤を追う流れの中で、名前が挙がるタイプの作品といえる。
まとめ
『Gypsies In The Mist』は、Drnwynが1978年に残した私家盤のフォークロック/サイケデリック作品。録音地や参加メンバーが明記されており、当時のローカルな制作環境と、ブルースや酸性ロックの要素を含むバンドの輪郭が見えやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Empty Bars (4:55)
- A2 – Summer Sun (4:36)
- A3 – Secrets Of The Past (4:50)
- A4 – Brothers (3:03)
- A5 – Move A Mountain (5:02)
- B1 – Gypsies In The Mist (6:27)
- B2 – Places, Faces, Pages (5:26)
- B3 – The Madman And The Angel (5:22)
- B4 – Something To Hang On To (5:17)
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Stonebolt – Stonebolt (1978)
Stonebolt『Stonebolt』について
Stoneboltは、カナダ・バンクーバー出身のロック・バンドによる1978年作の1枚です。バンド名をそのままタイトルにした本作は、グループの初期像をそのまま示すようなセルフタイトル盤で、Ray RoperとDavid Jay Willsのツイン・ヴォーカルを軸に、ギター、キーボード、ベース、ドラムがきっちり組み合わさった内容になっている。クレジットを見るだけでも、当時のカナディアン・ロックらしい、演奏重視の編成が見えてくる作品です。
バンドの成り立ちと作品の位置
Stoneboltはバンクーバーを拠点に活動したカナダのロック・バンドで、Ray Roper(guitars, vocals)、David Jay Wills(vocals)、Dan Atchison(bass)、John Webster(keyboards)、Brian Lousley(drums, percussion, vocals)というメンバー構成。のちにキーボード奏者として知られるJohn Websterの名前も見えるあたり、バンドの中で鍵盤が重要な役割を担っていたことがうかがえる。
この1978年の『Stonebolt』は、バンド名を冠した最初のアルバムで、グループの基本形を示す作品と見てよさそうです。カナダのロック・シーンでは、同時代にApril WineやTriumphのようなバンドが存在感を強めていた時期で、Stoneboltもその流れの中にあるバンドとして捉えやすい。派手な装飾より、曲の骨格とバンド・アンサンブルを前に出すタイプの1枚という印象です。
サウンドの印象
この時代の北米ロックらしく、ギターを中心にしたバンド・サウンドが軸。ツイン・ヴォーカルの使い分けがあることで、曲ごとの表情が変わりやすく、メロディを押し出す場面と、ロック・バンドとしての押しの強さを出す場面とが分かれやすい構成です。キーボードが入ることで、ただ硬いだけではない広がりも作っている。
実際に聴くと、演奏のきっちりしたまとまりと、歌メロを前に出す作りが目につくタイプの作品。大きく攻めるというより、楽曲ごとのフックを積み上げていく印象が残る1枚です。
ヒット曲・代表曲について
Stoneboltは後年、シングル「I Will Still Love You」で知られるようになるバンドです。ただしこの曲は本作より後の時期の代表曲で、1978年のこのアルバム時点では、バンドの基礎固めの段階にある作品として見るのが自然です。セルフタイトル盤らしく、のちの活動につながる音の土台がここにある。
日本盤について
今回の日本盤には、4ページの日本語/英語ピクチャー・歌詞インサートと帯が付属する。こうした仕様は当時の国内盤らしい作りで、アートワークや歌詞を追いやすい点が特徴です。輸入盤中心で聴かれやすいジャンルの作品でも、国内盤ならではの付加情報が見やすい形でまとまっている。
まとめ
『Stonebolt』は、1978年時点のカナディアン・ロック・バンドの姿をそのまま写したようなセルフタイトル作です。ギター、鍵盤、ツイン・ヴォーカルを軸にした構成で、バンドの基本線がよくわかる内容。Stoneboltという名前を最初に聴くなら、まずここから入るのが自然な1枚です。
トラックリスト
- A1 – Was It You
- A2 – I Will Still Love You`
- A3 – One Man’s Heartache
- A4 – Sail On
- B1 – The Shadow
- B2 – Do It Right (Do It Again)
- B3 – Singin’ In The Street
- B4 – Queen Of The Night
- B5 – Stay In Line
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Various – The Psychedelic Snarl (1984)
The Psychedelic Snarl / Various
1984年にUKのBam-Caruso Recordsから出たコンピレーション盤。タイトルどおり、1960年代のUKサイケデリック・ロック/フリークビート系の音源を集めた編集盤で、裏ジャケットには「Choice U.K. Psychotic Freakbeat from the sixties.」とある。オリジナル・マスターテープからの収録をうたい、当時のシーンをまとまった形で追える作りになっている。
作品の性格
このレコードは単なる曲寄せ集めではなく、各バンドの詳細や当時のギグ広告の複製を載せた8ページのブックレット付きで、資料性の高い編集盤になっている。厚手の黒いインナー・スリーブが付属し、パッケージ面でもコレクター向けの作りがはっきりしている。
収録曲は、レーベル表記から見るとPhilips、Fontana、DJMなどに残された音源が中心。サイケデリック・ロックの文脈の中でも、いわゆる大きなヒット曲を並べるというより、60年代UKのローカルなグループや、シングル単位で残った録音を掘り起こす性格が強い。Bam-Carusoらしい、埋もれた音源の再提示という役割を持つ一枚といえる。
収録内容と聴きどころ
曲順全体を通してみると、ギターの歪み、オルガン、モノラル録音らしい密度のある鳴りが目立つ。サイケデリックという言葉から想像される長尺の展開よりも、フリークビート寄りの推進力と、60年代後半のスタジオ実験が同居するタイプの曲が並ぶ構成。1曲ごとのキャラクターがはっきりしていて、コンピレーションとしてのメリハリが出ている。
ブックレットやクレジット面も含めて、当時のUKアンダーグラウンド・シーンを俯瞰する資料として機能する内容。裏ジャケットの表現どおり、心理的な浮遊感よりも、少し荒く、直進的で、ロックの手触りが前に出た音像が中心だ。
クレジット面の注意点
Living Daylightsのクレジットには誤記があり、Curt CresswellとBob Heatherの名前が記されているが、Bob Heatherの正しい綴りはHoatherとされる。また、この2名はそのバンドのメンバーではなく、当該録音にも参加していないとされている。こうした点も、資料盤らしい一面として押さえておきたい。
レーベルと時代背景
Bam-Caruso Recordsは、60年代英国ロックの再発掘で知られるレーベル。1980年代前半は、サイケデリックやフリークビートの再評価が進み、オリジナル盤の価値が改めて見直されていた時期でもある。この盤も、その流れの中で企画された編集盤として位置づけられる。
同時代のUKサイケ再発コンピと比べても、単なる定番集というより、レーベル横断で「当時の空気」をまとめた印象が強い。ジャケットに使われたP. St. John Nettletonの“The Third Beast In The Vase”も含め、音だけでなくアートワークまで含めて60年代UKの断片を束ねた作りになっている。
まとめ
The Psychedelic Snarlは、1960年代UKのサイケデリック/フリークビートを1984年の視点で再構成したコンピレーション盤。オリジナル盤のシングル音源を中心に、資料性の高いブックレットとあわせて、当時のローカルなバンド群を立体的に見せる内容になっている。編集盤としての骨格がしっかりした一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Atmospheres
- A2 – Faster Than Light
- A3 – Woman Of Distinction
- A4 – It’s All Over Now
- A5 – Always With Him
- A6 – Never Had A Girl Like You Before
- A7 – Cast A Spell
- A8 – The Spider And The Fly
- B1 – Rumble On Mersey Square South
- B2 – Magic Potion
- B3 – Let’s Live For Today
- B4 – I Must Be Mad
- B5 – I Will
- B6 – Grey
- B7 – Save My Soul
- B8 – The Morning After
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Hummingbird – Diamond Nights (1977)
Hummingbird『Diamond Nights』(1977)について
Hummingbirdの『Diamond Nights』は、1977年にUSで出た作品で、バンドの持ち味であるロックの骨格に、ソウルやジャズ、ファンクの要素を重ねた一枚だ。Bobby Tenchを中心に1974年に結成された英米混成バンドで、ここではBernard Purdie、Max Middleton、Conrad Isidore、Robert Ahwai、Bernie Holland、Clive Chamanらが参加している。
前身の流れをたどると、Hummingbirdはジミー・ペイジ周辺のセッション感覚や、英国のブルース/ロック人脈ともつながるメンバー構成で知られる。そうした背景を踏まえると、『Diamond Nights』も単なるバンド作品というより、演奏者それぞれの経験が前に出るタイプのレコードとして捉えやすい。
作品の輪郭
このアルバムは、ギターを軸にしたロックの手触りがありつつ、リズム隊の動きにソウル・ジャズやジャズ・ファンクの感覚がにじむ内容だ。Bernard Purdieのようなグルーヴ重視のドラマーが入っていることもあって、ビートの置き方に独特の粘りが出やすい編成と言える。
同時代の文脈で見ると、1970年代半ばの英国発のバンドでも、ロックだけに寄らず、ファンクやR&Bの語法を取り入れる流れがあった。Hummingbirdもその中に置くと見通しがよく、Jeff Beck周辺や、よりジャズ寄りのクロスオーバー作品を思わせる場面があるかもしれない。
聴きどころ
実際の音の印象としては、派手な展開で押すというより、演奏の間合いとリズムの推進力で聴かせるタイプに思える。ボーカル、ギター、キーボード、ベース、ドラムがそれぞれ前に出すぎず、曲の中で役割を分担する流れが見えやすい。ファンク寄りの曲ではリズムの反復、ソウル寄りの曲では歌のフレーズ感が耳に残りやすい構成だ。
この時期のHummingbirdは、個々のプレイヤーの力量がそのまま作品の質感につながるバンドだったので、曲単体だけでなく、演奏の呼吸を追う楽しみが大きい。そうした意味では、アルバム全体を通してバンドの色よりも、メンバーの持ち味が積み重なっていく感覚がある。
曲と収録内容について
本作では、レーベル表記とバックカバーの曲順が一致しない版が確認されている。盤によって収録表記の見え方が違うため、レコードを手に取るときはクレジットの確認が必要になるタイプの作品だ。
代表曲として大きく知られた一曲を前面に押し出す作品というより、アルバム単位で聴かれる性格が強い。Hummingbirdの中でも、バンドの演奏力とジャンル横断的な作りがまとまって表れた一枚として見ると、位置づけがつかみやすい。
まとめ
『Diamond Nights』は、1977年という時代の空気の中で、ロックを土台にソウル、ジャズ、ファンクの要素を自然に混ぜたHummingbirdのアルバムだ。Bobby Tenchを中心にしたこのバンドの持ち味が、演奏中心の形でよく出た作品として理解しやすい。
派手な看板曲で押すというより、メンバーの手触りやグルーヴの積み重ねで聴かせる一枚。Hummingbirdというバンドの名前を追ううえでも、1970年代中盤の英米ロックとブラック・ミュージックの接点を見るうえでも、外しにくい位置にある作品だ。
トラックリスト
- A5 – Got My “Led Boots” On (3:41)
- A4 – Spirit (3:35)
- B2 – Cryin’ For Love (3:14)
- B3 – She Is My Lady (5:01)
- B4 – You Can’t Hide Love (4:25)
- A1 – Anaconda (5:50)
- A3 – Madatcha (3:48)
- A2 – Losing You (Ain’t No Doubt About You) (3:57)
- B1 – Spread Your Wings (4:15)
- B5 – Anna’s Song (3:28)
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Paternoster – Paternoster (1972)
Paternoster『Paternoster』について
オーストリア、ウィーン出身のプログレッシブ・ロック・バンド、Paternosterによるセルフタイトル作。オリジナルは1972年の作品で、1971年のデビュー作に続く時期の録音として知られる。ここで取り上げる盤は2015年リリースの再発盤で、1972年3月9日と10日にウィーンのQuodlibet-Studiosで録音されている。
Paternosterは、1970年代初頭の短い活動期間のなかで残した作品で知られるバンドで、ウィーンのアンダーグラウンド・シーンに属する存在として語られることが多い。1971年の同名アルバムはごく少数しか流通しなかったことでも知られ、この1972年録音の作品も、その周辺の文脈で捉えられる一枚になっている。
作品の位置づけ
バンドの活動史のなかでは、初期の代表的な記録のひとつ。デビュー作と近い時期の制作であり、Paternosterというグループの音像や制作環境を続けて確認できる資料性の高い作品といえる。2015年盤はドイツ盤として出ており、単一ジャケットでのパッケージ。
録音と再発盤のポイント
録音は1972年3月、ウィーンのスタジオで実施。オリジナル時代の空気をそのまま伝える内容で、再発盤としては、1970年代初頭の記録を現在の流通環境で聴ける点に価値がある。リリース国はドイツで、盤の表記は「Made in Germany」。
オリジナル盤との違いについては、少なくとも提示情報からは2015年再発であること、そしてパッケージが単一ジャケットであることが確認できる。内容面は1972年録音の作品として扱うのが自然。
バンドの文脈
Paternosterは、オーストリアの地下的なプログレッシブ・ロックの流れに置かれることが多い。活動期間は短く、解散も早かったため、作品数は多くない。そのぶん、1971年作とこの1972年作が、バンドの全体像を知るうえで重要な手がかりになっている。
同時代の欧州プログレの文脈で見ると、英国勢の大作志向とは少し距離のある、地域性の強いアンダーグラウンド作品として捉えやすい。ウィーン録音という点も含め、ローカルな制作背景がそのまま残ったレコードだといえる。
メンバー
- Haimo Wisser
- Franz Wippel
- Gerhard Walter
- Gerhart Walenta
まとめ
Paternoster『Paternoster』は、1972年のウィーン録音を収めた、オーストリア産アンダーグラウンド・プログレの記録。短命なバンドの活動期を示す一枚であり、1971年のデビュー作とあわせて、Paternosterという名前を知るうえで外せない作品になっている。
トラックリスト
- A1 – Paternoster (3:57)
- A2 – Realization (3:31)
- A3 – Stop These Lines (6:56)
- A4 – Blind Children (6:14)
- B1 – Old Danube (4:13)
- B2 – The Pope Is Wrong (6:00)
- B3 – Mammoth Opus O (8:55)
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Big Brother & The Holding Company – Cheap Thrills = チ―プ・スリル (1968)
Big Brother & The Holding Company『Cheap Thrills』について
Big Brother & The Holding Companyの『Cheap Thrills』は、1968年に発表されたアルバムで、Janis Joplinが在籍していた時期の代表作として知られる作品だ。サンフランシスコのブルースロック/サイケデリック・ロック周辺の空気を、そのまま閉じ込めたような一枚である。
バンドは1965年にサンフランシスコで結成され、ギターのJames Gurley、Sam Andrew、ベースのPeter Albin、ドラムのDave Getzという編成を軸に活動した。そこにJanis Joplinのボーカルが重なったことで、グループの存在感は大きく変わった。『Cheap Thrills』は、その組み合わせが最も強く刻まれた作品のひとつといえる。
作品の位置づけ
このアルバムは、Big Brother & The Holding Companyにとって最も広く知られるタイトルだ。グループ名義ではあるが、実際にはJanis Joplinのボーカルが作品全体の印象を決定づけている。バンド側のざらついた演奏と、Joplinの声の強さがぶつかり合う構図が、この作品の核になっている。
同時代のサンフランシスコ勢、たとえばJefferson AirplaneやGrateful Deadと並べて語られることも多いが、『Cheap Thrills』はその中でもブルース色の出し方がはっきりしている。サイケデリックな時代の空気を持ちながら、根っこにはブルースの歌い回しとバンドの生演奏感がある。
収録曲と代表曲
この作品でまず挙がるのは「Piece of My Heart」だろう。もともと広く知られた曲だが、Janis Joplinの歌唱で決定的に印象づけられた。荒い呼吸感と、フレーズの押し出しの強さが前面に出る。
もうひとつ重要なのが「Summertime」。George Gershwinの楽曲を、ロックの文脈で再解釈した形で収めている。テンポの置き方や声の伸ばし方に、原曲とは違う緊張感がある。
ほかにも「Ball and Chain」など、ライブでの熱量を思わせる曲が並ぶ。アルバムの中にはBill GrahamのFillmore Auditoriumで録音されたライブ素材も含まれており、スタジオ盤でありながら、会場の空気がはっきり残っている。
日本盤LPの特徴
今回の盤は1974年の日本盤。オリジナルの1968年盤とは別に、日本でCBS/SONYから製造された一枚で、帯付き、10インチの歌詞インサート、そしてCBSのプラスチック内袋が付属する仕様だ。
ジャケット裏面には「Manufactured by CBS/SONY INC.(Tokyo Japan)」の表記があり、日本で流通した盤であることが確認できる。オリジナル盤の初出時とはパッケージ面の細部が異なる、日本盤らしい作り込みがポイントになる。
聴きどころ
この作品の聴きどころは、演奏の整い方よりも、歌とバンドが同じ方向に突っ込んでいく感じにある。Janis Joplinのボーカルは、ただ強いというより、言葉を押し出す圧がある。その上で、ギターがやや荒れた質感のまま絡むので、曲ごとの勢いが途切れにくい。
また、スタジオ録音とライブ録音が混ざることで、アルバム全体の温度差が一定ではない。そのぶん、曲ごとの表情の違いが出やすい作品でもある。
まとめ
『Cheap Thrills』は、Big Brother & The Holding Companyのバンド性と、Janis Joplinの存在感が最も強く結びついたアルバムだ。1968年当時のサンフランシスコ・ロックの文脈の中でも、ブルース由来の歌と演奏を前に出した一枚として位置づけやすい。
1974年の日本盤は、帯や歌詞インサートを備えた当時の国内仕様で、オリジナル盤とは別の形でこの作品を手元に置ける盤といえる。
トラックリスト
- A1 – Combination Of The Two = ふたりだけで (5:40)
- A2 – I Need A Man To Love = 愛する人が欲しい (4:53)
- A3 – Summertime = サマータイム (3:58)
- A4 – Piece Of My Heart = 心のカケラ (4:12)
- B1 – Turtle Blues = タートル・ブルース (4:22)
- B2 – Oh, Sweet Mary = オー、スィート・マリー (4:17)
- B3 – Ball And Chain = ボールとチェーン (9:31)
However – Calling (1984)
However『Calling』について
『Calling』は、USの前衛ロック/プログレ・ロック・バンド、Howeverが1984年に発表した作品です。バンドは1977年結成で、メンバーはBobby Read、Bill Kotapish、Joe Princiotto、Peter Princiotto。クレジットと歌詞を収めたシートが付属する点も、この時代の自主性の強い作品らしいところです。
ジャンル表記はRock、スタイルはArt RockとProg Rock。つまり、一般的なロックの枠内に置きながら、曲の構成や演奏の組み立てにひと工夫あるタイプの作品として捉えやすい1枚です。1980年代前半のUSプログレは、70年代の大仰なプログレとは少し距離を置きつつ、アートロック寄りの整理された作りに向かう流れもあり、その文脈の中で見ることができる作品といえます。
作品の位置づけ
1984年という年は、バンドにとって初出となる時期のリリースです。つまり『Calling』は、Howeverの活動の中でも早い段階の記録。バンドの輪郭を知るうえで、まず触れておきたいタイトルです。アーティスト紹介でも前衛性とプログレッシブな志向が示されているので、バンドの基本姿勢がそのまま出た作品として受け取れます。
同時代の文脈
同時代のUSロックでは、従来型のハードロックやAORとは別に、実験性を残したアートロックやプログレの系譜が細く続いていました。そうした流れの中では、曲展開を重視するバンドや、演奏の密度で聴かせるバンドが比較対象になりやすいです。Howeverも、その系譜に置いて見ると自然な存在感があります。
比較のイメージとしては、英国プログレの大作志向というより、USのバンドらしい実直な演奏感と構成重視の姿勢に目が向きます。派手な売り方より、作品そのものを通して知るタイプのレコードです。
収録内容とパッケージ
付属シートに歌詞とクレジットが載っているのもポイントです。歌詞を追いながら聴けるので、演奏だけでなく言葉の面でも作品を追いやすい構成です。クレジットが明示されていることで、バンド内の役割や制作の手触りも見えやすくなります。
聴きどころの見方
実際の音像としては、アートロックとプログレ・ロックの間を行く作品として、曲ごとの展開やアンサンブルの組み方に注目する聴き方が合いそうです。メロディを前に出す場面と、演奏の組み立てで引っ張る場面、その切り替えが作品の印象を決めるはずです。こうしたタイプの作品では、1曲ごとの完成度だけでなく、アルバム全体の流れも重要になります。
代表曲やヒット曲として広く知られた曲名は、この情報からは確認しにくいですが、バンドの初期作としてはアルバム全体がひとつのまとまりとして受け止められる1枚です。
まとめ
『Calling』は、1984年のUS発アートロック/プログレ・ロック作品。Howeverというバンドの初期像を示す、クレジットと歌詞付きのアルバムです。70年代プログレの遺伝子を引きつつ、80年代の時代感の中で整理された形に落とし込んだ作品として見ると、位置づけがつかみやすいです。
トラックリスト
- A1 – Stop Sign (2:10)
- A2 – Spheres Of Action (3:22)
- A3 – Favour Me Oblivion (4:53)
- A4 – Sigh (2:07)
- A5 – On The Face Of The World (6:50)
- A6 – Heroe’s Return (4:07)
- B1 – Airplay (3:15)
- B2 – Calling (2:42)
- B3 – Little Ricky (The Next Generation) (5:50)
- B4 – Wild / Cold With Monotony & Trio (8:48)
- B5 – The World War (0:30)
- B6 – Chips (2:33)
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Steve Hackett – Voyage Of The Acolyte (1975)
Steve Hackett / Voyage Of The Acolyte
Steve Hackettの初ソロ作として知られるのが、1975年発表の「Voyage Of The Acolyte」だ。Genesis在籍中に制作されたアルバムで、バンドの枠を少し離れたところで、ギターを軸にした組曲的な構成と、シンフォニックな展開を前面に出している。プログレッシブ・ロックの文脈では、Steve Hackettという名前を語るうえで外せない1枚になっている。
ここで扱うのは1978年に日本で出た盤。オリジナルの1975年盤とは時期が異なり、日本盤としての仕様が加わっている。帯とインサート付きで、インサートには英語詞と日本語ライナーノーツを収録。曲順や内容は作品の核をそのまま伝えつつ、国内盤らしい丁寧な作りになっている。
作品の位置づけ
Steve Hackettは、1950年ロンドン生まれの英国人ギタリスト。Genesisで8作に参加し、1977年に離脱したのち、ソロ活動へ本格的に移っていく。その流れの中で見ると、「Voyage Of The Acolyte」は、後のソロ作へつながる出発点という位置づけがはっきりしている。Genesis時代の緊密なアンサンブル感を引き継ぎながら、より個人名義の作品として組み立てられている点が重要だ。
音の印象
全体はロックを基調にしつつ、プログレッシブ・ロックらしい展開の多さがある。アコースティックなパートとエレクトリックなパートの切り替え、静かな導入から厚みのあるバンド・サウンドへ進む構成など、曲ごとの温度差が大きい。ギターは前に出るが、いわゆる速弾き中心ではなく、フレーズの置き方や音色の選び方で聴かせるタイプの内容だ。
実際に聴くと、派手さよりも、曲が少しずつ形を変えながら進む流れが印象に残る。細かな部分では、メロディの運びや間の取り方に、当時のGenesis周辺で共有されていた感覚が見える。単独のギタリスト作品というより、1970年代半ばの英国プログレの空気をまとったアルバム、という受け止め方がしやすい。
同時代との関係
1975年という時期は、Genesisのほか、YesやCamel、King Crimson周辺など、英国のプログレッシブ・ロックが多様化していた頃に当たる。その中でこの作品は、歌や大編成の派手さで押すより、ギターを中心にした作曲と構成のまとまりで存在感を出している。Steve Hackett個人の感性が、そのまま作品の骨格になっている点が特徴的だ。
代表曲として触れたい曲
アルバム全体の流れで聴かれる作品だが、「Shadow of the Hierophant」はよく話題に上る曲だ。長めの構成で、静かな始まりから徐々に密度を上げていく展開が印象に残る。ソロ作でありながら、バンド的なスケール感を持ったナンバーとして、このアルバムの性格を端的に示している。
日本盤について
1978年の日本盤は、帯と日本語ライナーノーツ付きという点がまず分かりやすい。さらに、インサートに英語詞が載っているので、歌詞を追いながら聴きやすい仕様になっている。トラックの長さはインサート表記基準で、世界各国盤の表記と少し異なるとのこと。レコードの細部まで含めて楽しめる、当時の国内プレスらしい一枚だ。
まとめ
「Voyage Of The Acolyte」は、Steve HackettがGenesisのギタリストとして知られる以前から、すでにソロ作としての輪郭を持っていたことを示すアルバムだ。1975年のオリジナル作品としての価値に加え、1978年の日本盤では、帯・インサート付きの仕様も含めて当時の輸入盤文化を感じさせる。英国プログレの流れの中で、ギター主導の組曲的な作品として位置づけやすい1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Ace Of Wands (5:20)
- A2 – Hands Of The Priestess (Part 1) (3:24)
- A3 – A Tower Struck Down (3:49)
- A4 – Hands Of The Priestess (Part 2) (2:47)
- A5 – The Hermit (4:43)
- B1 – Star Of Sirius (7:04)
- B2 – The Lovers (7:56)
- B3 – Shadow Of The Hierophant (5:22)
関連動画
Teresa Gatta – Cantadonnacanta (1978)
Teresa Gatta『Cantadonnacanta』について
Teresa Gattaの『Cantadonnacanta』は、1978年にイタリアでリリースされた作品だ。フォークを基調にした内容で、女性労働者の闘いを1800年から現代までたどる、語りと歌を組み合わせた構成になっている。
作品の内容と性格
このレコードは、単なる歌集というより、歴史的なテーマを前面に出した語りものとして捉えやすい。リリースノートにもある通り、働く女性の歩みを物語として描き、その節目を歌とナレーションでつないでいく作りだ。題名の「Cantadonnacanta」も、女性の声をそのまま前に出すような印象を残す。
制作はMAMA Recordsによるもので、Donna Theater GroupとU.D.I.(イタリア女性同盟)向けの企画として作られている。イタリアでは1970年代、労働運動や女性運動と結びついた文化作品が少なくなく、この盤もその流れの中に置ける内容だ。
音楽的な位置づけ
ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolkとなっている。大きな編成のポップ作品ではなく、言葉の内容を伝えることに重心があるタイプのフォーク作品として見るのが自然だ。イタリアの政治性を帯びたフォークや、社会的テーマを扱うシンガーソングライター作品と近い文脈に入る。
同時代のイタリア作品でいうと、労働や社会問題を扱うフォーク、あるいは演劇と接続した歌ものの流れを思わせる。歌そのものの技巧を見せる盤というより、テーマを共有する場の記録に近い性格がある。
アーティストとしてのTeresa Gatta
公開されているプロフィール情報は多くなく、このレコード単体から見えてくるのは、社会的なテーマを担う歌い手としての姿だ。ソロ名義のディスコグラフィーの中でどういう位置にあるかまでは、この情報だけでは断定しにくいが、少なくともこの作品では主題を伝える役割がはっきりしている。
聴きどころとして見える点
実際に聴いた感触として語るなら、こうした作品はメロディの華やかさよりも、語りの流れと歌詞の具体性が印象に残りやすい。女性労働史を1800年から現代まで追うという構成上、時代の切り替わりごとに場面が変わっていくタイプの盤と考えられる。
代表曲のように単独で広く知られたナンバーがあるというより、全体を通して一つのストーリーとして聴く作品だろう。曲名単位で切り出すより、アルバム全体の連続性に意味がある。
まとめ
『Cantadonnacanta』は、1978年のイタリアで生まれた、女性労働者の歴史を歌と語りで描くフォーク作品だ。音楽作品であると同時に、当時の社会運動や演劇的な表現とも結びついた記録として見えてくる。Teresa Gattaの名義で残されたこの一枚は、内容主導のイタリア・フォークを知るうえで、資料的な意味合いも持つ作品だと言えそうだ。
トラックリスト
- 1A – Le Osterie della Creazione
- 2A – La Donna è Malata
- 3A – Se Spera
- 4A – Cade L’uliva
- 1B – La Mondina
- 2B – E per la Strada
- 3B – I Mugliere d’Americane
- 4B – Sebben che Siamo Donne
- 5B – Le Osterie di Sor Giolitti
- 6B – Regazzine
- 7B – Io Fabbrico Spolette
- 1C – Abballate Femmene
- 2C – Le Otto Ore
- 3C – Batton l’Otto
- 4C – Le Osterie del Voto
- 5C – E Quei Briganti Neri
- 6C – La Donna Italiana
- 1D – Cosa è Successo. Cosa l’è Stato
- 2D – Bella, Ciao
- 3D – Le Osterie delle Leggi
- 4D – Cantadonnacanta
Prelude – After The Gold Rush (1974)
Prelude『After The Gold Rush』について
Preludeの「After The Gold Rush」は、1974年にアメリカでリリースされた作品。イングランド北東部ゲーツヘッド出身の男女ボーカル・フォーク・トリオが、Neil Youngの同名曲を取り上げたもので、グループ名を広く知らしめた代表曲として扱われている。アーティストのプロフィールでも触れられている通り、最もよく知られる編成はBrian Hume、Irene Hume、Ian Vardyの3人で、1970年に結成された。
作品の位置づけ
Preludeにとっては、1973年のファースト・アルバム『How Long Is Forever?』から生まれた一曲で、そこからシングルとして切り出されたのがこの「After The Gold Rush」。つまり、単独のヒット曲というより、バンドの初期を代表する録音として受け止められている作品だ。オリジナル・アルバムの流れの中で育った曲が、のちに広く聴かれるようになった形でもある。
曲の特徴
この曲はア・カペラ版として知られている。Neil Youngの原曲を、Preludeは声の重なりでまとめ上げていて、楽器を強く前面に出すタイプではない。フォーク・グループらしい編成を生かした構成で、歌声そのものが曲の中心になっている。聴きどころは、メロディの運びよりも、3人のボーカルの並び方やハーモニーのまとまりにある。
録音はロンドンのScorpio Soundで行われている。リリース・ノートには、ColumbiaのSanta Mariaプレスで、ランアウトに「S /」の刻印が入ることが記されている。こうした細かな盤の違いは、US盤コレクションでは確認ポイントになりやすい。
当時の反応
この曲は英国と米国の両方でチャート入りしている。英国では1974年1月26日にTop 50へ入り、9週間チャートにとどまり、最高21位。アメリカでは1974年2月11日にBillboard Hot 100へ入り、5週間のチャート・インとなって最高22位を記録している。Preludeの名前が国際的に広まった要因として、この成績はかなり大きい。
同時代の文脈
1970年代前半のフォーク・シーンには、シンプルな編成でボーカルの重なりを前面に出すグループがいくつかあった。Preludeもその流れの中に置ける存在で、英国のフォーク・コーラス感覚と、当時のポップ・ロック寄りの聴かれ方が交差している印象がある。Neil Youngの楽曲を選んだ点も、同時代のシンガーソングライター文化との接点を示している。
まとめ
Preludeの「After The Gold Rush」は、Neil Youngの楽曲を素材にしながら、Prelude自身のボーカル・アレンジで形を作った1974年の代表曲。グループの出自がフォークにあること、そしてア・カペラでヒットを得たことが、この一曲の輪郭をはっきりさせている。作品としては、バンドの初期キャリアを語るうえで外せない録音と言えそうだ。
トラックリスト
- A1 – After The Gold Rush (2:07)
- A2 – Dear Jesus (3:50)
- A3 – To Hell With The War (2:58)
- A4 – Lady From A Small Town (3:06)
- A5 – Rufus (1:03)
- A6 – Open Book (3:06)
- B1 – Hotel Room (4:31)
- B2 – Rock Dreams (1:48)
- B3 – Fly (3:34)
- B4 – Adventures On The Way (5:22)
- B5 – Follow Me Down (3:36)
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Al Di Meola – Scenario (1983)
Al Di Meola『Scenario』について
『Scenario』は、ジャズ/フュージョン・ギタリスト、Al Di Meolaが1983年に発表した作品。初期から高い技巧で知られてきた彼が、1980年代前半のデジタル録音時代に入って制作したアルバムで、作り込みの細かさと演奏の切れ味が前面に出た一枚として位置づけられる。
Al Di Meolaは1954年、ニュージャージー州ジャージー・シティ生まれ。Return to Foreverで名を広めたあと、ソロ作ではラテン色の強いアコースティック路線から、エレクトリックなフュージョンまで幅広く展開してきた。この『Scenario』は、その流れの中で1983年という時代感をよく映す作品といえる。
作品の内容と参加ミュージシャン
本作には、Phil CollinsとBill Brufordが参加している。いずれもそれぞれの所属レーベルのクレジット付きで収録されており、ロック/プログレッシブ・ロックの文脈でも名前の通る演奏家が関わっている点が、この作品の輪郭をはっきりさせている。
演奏面では、Di Meolaらしい速いフレーズ、音の粒立ちのそろったギター、緻密なアンサンブルが中心。ジャズの即興性だけで押し切るというより、構成のあるフュージョン作品としてまとまっている印象を持たれやすい内容だろう。
1983年のフュージョン作品としての位置
1980年代前半のフュージョンは、録音技術の進化やシンセサイザーの普及と結びついて、音像が整理された作品が増えていた時期。本作も「A Digital Recording.」とあるように、当時の新しい録音環境を反映した仕上がりになっている。
同時代の近い感覚を持つギタリストとしては、John McLaughlinやLarry Coryell、Pat Methenyなどが比較対象に挙がりやすい。もっとも、Di Meolaはその中でもリズムの切り方やピッキングの明瞭さが際立つタイプで、『Scenario』でもその個性が前に出ている。
日本盤の仕様
この日本盤は、帯付き、重量感のあるカードスリーブ、厚手のMaster Sound内袋という仕様。英語・日本語の片面インサートが付属し、盤によってはMastersound Catalogueのインサートが入る場合もある。
オリジナルが1983年の作品であるのに対し、この日本盤も同年リリース。初出時の空気をそのまま伝える盤として扱える。
聴きどころ
この作品でまず目を引くのは、ギターの輪郭のはっきりした音作り。速弾きの派手さだけでなく、音の抜け、リズムの置き方、バンド全体の密度が聴きどころになっている。
また、ゲスト陣の存在によって、単なるギター・ソロ作品ではなく、曲ごとの色合いが変わる点もこのアルバムの面白さ。ジャズの即興、ロック寄りの推進力、スタジオ作品としての整った構成、その3つが同居した一枚として捉えやすい。
まとめ
『Scenario』は、Al Di Meolaの1983年時点の到達点を、デジタル録音のクリアな音像でまとめたフュージョン作品。技巧、編曲、ゲストの存在感がバランスよく並んだアルバムで、80年代前半のジャズ/フュージョンの空気を知るうえでも重要なタイトルのひとつといえる。
トラックリスト
- A1 – Mata Hari (6:04)
- A2 – African Night (4:51)
- A3 – Island Dreamer (4:06)
- A4 – Scenario (3:55)
- B1 – Sequencer (4:06)
- B2 – Cachaca (5:34)
- B3 – Hypnotic Conviction (3:51)
- B4 – Calliope (4:19)
- B5 – Scoundrel (3:44)
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Zygoat – Zygoat (1974)
Zygoat / Zygoat(1974年作品、1982年盤)
「Zygoat」は、ニューヨークを拠点に活動したキーボード奏者、Burt Alcantaraによるプロジェクトの名義作として知られる作品だ。1974年にオリジナルが出ているが、ここで扱うのは1982年に日本で出た盤。電子音楽の初期、しかもシンセサイザーを前面に置いた先駆的なアルバムとして位置づけられている。
作品の輪郭
内容は、電子音の動きそのものを聴かせるタイプのアルバム。ジャンル表記はElectronic、スタイルはExperimentalとAmbient。楽曲を強く押し出すというより、音色、持続音、モジュレーションの変化で空気を組み立てていく作りに目が向く。ダンス作品を専門にしていたキーボード奏者のプロジェクトという背景もあり、リズム感のある場面と、音の広がりを重視する場面が同居している印象の一枚だ。
1970年代前半のシンセサイザー作品として見ると、同時代の電子音楽の流れの中でもかなり早い段階の記録に入る。ドイツのクラウトロック系や、米国の実験音楽、初期アンビエント周辺と並べて語られることがありそうな内容で、機材の新しさをそのまま作品化したような性格がある。
聴きどころ
実際の音像は、メロディを追うというより、シンセの発音や残響の変化を追っていくタイプだ。音の輪郭がくっきり出る場面もあれば、レイヤーが重なってまとまりのある流れになる場面もある。電子音の表情をひとつずつ見せる進行で、当時のシンセ作品らしい手触りが前に出ている。
代表曲として広く知られた曲名が目立つ作品ではなく、アルバム全体で聴かれる性格が強い。なので、1曲だけを切り出すより、通して聴いたときの音の配置や質感の変化が、この作品の中心になっている。
アーティストの位置づけ
Burt Alcantaraのプロジェクトとしては、ダンス作品向けの仕事を背景にしながら、より実験的な電子音楽へ踏み込んだ記録と見てよさそうだ。シンセサイザーがまだ新しい表現手段として扱われていた時期に、その可能性を前面に出した点で、彼の仕事の中でも特に実験性の強い位置を占める作品に見える。
1982年盤について
この盤は日本でのリリースで、ジャケットには帯と片面印刷のインサートが付く仕様。1982年盤として流通しているため、オリジナルの1974年盤とは発売時期が異なる。日本盤らしい丁寧な体裁で再紹介された一枚、と捉えられる。
まとめ
「Zygoat」は、初期シンセサイザー音楽の記録として見どころのある作品だ。実験性とアンビエント性が前に出た構成で、1970年代前半の電子音楽が持っていた試行錯誤の空気を、そのまま封じ込めたような内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Leaves Of Sand
- A2 – Zygoat
- A3 – Ybur Knom
- A4 – Pillar Of Salt
- A5 – Movement To The Earth
- A6 – Seeds Cast To The Wind
- B1 – Zy-Clone
- B2 – Ybur Doon
- B3 – Zygomania
- B4 – The Ladder Of Zeugma
- B5 – The Libran Sea
- B6 – Perseverance Furthers
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Hako Yamasaki – 綱渡り (1976)
Hako Yamasaki『綱渡り』
山崎ハコの『綱渡り』は、1976年に日本でリリースされた作品。フォークシンガー・ソングライターとして知られる山崎ハコが、70年代の日本のフォーク/フォークロックの空気の中で作り上げたアルバムで、アコースティックな手触りと、歌と言葉の強さが前に出る一枚として捉えやすい。
アーティストの位置づけ
山崎ハコは1957年、大分県日田市生まれの日本のフォーク系シンガーソングライター、ギタリスト、女優。1970年代のフォーク・ブームの流れの中で活動を広げ、1975年から2024年まで継続して作品を発表してきた。『綱渡り』は、その初期の時期にあたる作品で、デビュー間もない時代の表現がまとまっている。
この時期の山崎ハコは、後年の代表的なイメージにつながる、個人的な感情をそのまま言葉に置き換えるような歌い口と、ギターを軸にした曲作りがすでに前面に出ている。70年代の日本の女性シンガーソングライターの文脈で見ると、吉田拓郎周辺のフォークや、岡林信康、中島みゆきらと並べて語られることのある世代性を持った作品群のひとつでもある。
収録曲とアルバムの流れ
収録は全10曲。A面には「向かい風」「白い花」「ひまわり」「天井」「ヘルプ ミー(Help Me)」、B面には「ひとり歌」「ハーモニカ吹きの男」「綱渡り」「歌いたいの」「誕生祝い」が並ぶ。タイトル曲はB3の「綱渡り」。
曲名を見るだけでも、日常の感情や身体感覚に近い言葉が多く、派手な装飾よりも、歌の内容をまっすぐ受け取らせる構成になっていることがうかがえる。アルバム全体としては、静かな曲と、少し張りつめた曲が交互に置かれていて、歌詞の重さと演奏の素朴さが同じ方向を向いている印象がある。
サウンドの印象
ジャンル表記としてはロック、スタイルとしてはフォークロックとアコースティック。実際にも、バンドサウンドで押し切るというより、ギターと歌を中心に据えた編成感が強い。音の数を増やして盛り上げるタイプではなく、フレーズの間や声の置き方で曲を進める作り。
聴きどころとしては、山崎ハコの声の芯の強さ。音域を大きく使うというより、言葉を押し出すような歌い方で、歌詞の一語一語が前に出る。そのため、同時代のフォークロックの中でも、演奏の派手さより歌の圧を感じやすい作品になっている。
代表曲・注目曲
このアルバムでは、まずタイトル曲の「綱渡り」が中心曲として目に入る。曲名そのものが、この時期の山崎ハコの緊張感ある歌世界を端的に示している。ほかにも「向かい風」「ひとり歌」「歌いたいの」といった曲名が、個人の内側にある感情をそのまま題材にしていることを伝える。
「ヘルプ ミー(Help Me)」のように英語を織り込んだ題もあり、70年代の日本のフォークが持っていた外来ポップスとの接点も見える。とはいえ、全体はあくまで山崎ハコ自身の言葉と歌の重心でまとまっている。
同時代の文脈
1976年という年は、日本のフォークがシンガーソングライター中心の音楽として広く定着していた時期。『綱渡り』もその流れの中にあり、アコースティックな編成で内面を描く作品として自然に位置づけられる。メロディの親しみやすさだけでなく、歌詞の切実さや語り口の近さが前に出るところが、この時代のフォークロックらしいポイント。
山崎ハコはのちに作品数を重ねていくが、『綱渡り』はその初期段階で、すでに作家性の輪郭が見えるアルバムとして受け止めやすい。デビュー初期の作品を追うときに、その後の代表曲や後年の表現へつながる入口として置かれることが多い一枚だろう。
まとめ
『綱渡り』は、山崎ハコの初期の持ち味である、言葉の強さとアコースティックな土台がはっきり出た1976年作。派手な展開よりも、歌そのものを聴かせる作りで、70年代日本のフォークロックの空気をそのまま閉じ込めたような作品になっている。
トラックリスト
- A1 – 向かい風 (5:17)
- A2 – 白い花 (5:16)
- A3 – ひまわり (3:15)
- A4 – 天井 (5:29)
- A5 – ヘルプミー (4:18)
- B1 – ひとり唄 (3:38)
- B2 – ハーモニカ吹きの男 (3:34)
- B3 – 綱渡り (5:31)
- B4 – 歌いたいの (4:12)
- B5 – 誕生祝い (6:59)