Areski – Brigitte Fontaine – Je Ne Connais Pas Cet Homme (1973)
Areski – Brigitte Fontaine「Je Ne Connais Pas Cet Homme」
フランスのAreski BelkacemとBrigitte Fontaineによる共作名義、Areski – Brigitte Fontaineの一枚。1973年のオリジナル作品として知られるタイトルで、ここに収められているのはシャンソンを軸にしながら、アヴァンギャルドや実験的な要素を前面に出した世界観だ。
作品の輪郭
Brigitte Fontaineの語りかけるような歌唱と、Areskiの多彩な演奏・構成がぶつかり合うというより、同じ空間の中で少しずつ形を変えていく作り。ロックやポップの枠に置かれながらも、一般的な歌モノの流れには収まらない、ひっかかりのある音像がこの作品の中心にある。
この二人の共同作業は、単独名義の作品とは少し違って、作品全体がひとつの会話のように進むところが特徴的だ。メロディが前に出る場面もあれば、言葉の運びや間の取り方が主役になる場面もあり、シャンソンの伝統と前衛的な感覚が同居している。
聴きどころ
この手のAreski-Fontaine作品では、派手な展開や分かりやすいサビよりも、音の配置や声の置き方に耳が向く。Brigitte Fontaineの声は、歌うというよりも言葉を音楽の中に置いていくようで、Areskiの側はその動きを受け止めながら、楽曲の輪郭を少しずつずらしていく印象がある。
70年代フランスのシャンソン周辺には、BarbaraやJacques Higelin、Magma周辺のように既存の形式を崩しながら独自の表現へ向かう動きがあったが、この作品もその流れの中で語られることがありそうだ。とはいえ、ロックの推進力だけでも、実験音楽の硬さだけでもなく、その中間にある独特の距離感が残る。
リリースについて
盤として流通しているものは1990年代後半から2000年代初頭の再発盤とみられ、オリジナルの1973年盤とは別の時代のプレスになる。再発盤としては、価格コードやバーコードが付かない仕様という点が目立つ。
アーティストのキャリアの中では、AreskiとBrigitte Fontaineの共同名義作品の一つとして位置づけられる一枚。二人の関係性そのものが作品の核にあるタイプで、単なる客演ではなく、名前どおりの共同制作として捉えるのが自然だ。
まとめ
「Je Ne Connais Pas Cet Homme」は、フランスのシャンソンを土台にしながら、ポップ、ロック、実験性が同じ画面に並ぶ作品。歌と演奏の役割分担が固定されず、曲ごとに表情が変わっていくところが面白い。
トラックリスト
- A1 – Depuis (1:54)
- A2 – J’ai 26 Ans, Madame (1:15)
- A3 – La Fille Du Curé (2:04)
- A4 – Comment Ca Va (1:40)
- A5 – Montparnasse (1:23)
- A6 – La Recherche De L’Hiver (3:44)
- A7 – Les Blanchisseuses (1:09)
- A8 – C’est Normal (4:21)
- B1 – Dis-moi (4:03)
- B2 – Insert (0:25)
- B3 – On N’est Pas Des Arbres (1:45)
- B4 – La Renarde Et Le Bélier Touffu (3:56)
- B5 – Insert (0:25)
- B6 – Je Ne Connais Pas Cet Homme (2:18)
- B7 – Nous Ne Pourrons Plus Dormir (1:32)
- B8 – La Morvien (2:37)
- B9 – Le Silence (1:52)
- B10 – Final (0:35)
関連動画
- Areski et Brigitte Fontaine – C’est Normal
- La fille du curé
- Montparnasse
- La recherche de l’hiver
- Les blanchisseuses
- Brigitte Fontaine – C’est normal
- Areski et Brigitte Fontaine “Dis-moi”
- Areski & Brigitte Fontaine – On N’Est Pas Des Arbres (1973)
- Brigitte Fontaine et Areski Belkacem – La renarde et le bélier touffu
Dagmar Krause – Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler) (1986)
Dagmar Krause『Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler)』について
Dagmar Krauseは、ドイツ出身の前衛的な歌手として知られるアーティストだ。本作『Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler)』は1986年の作品で、ブレヒト、ヴァイル、アイスラーに関わる歌曲をまとめた内容になっている。タイトルからもわかる通り、演劇や政治性を含むドイツ語圏の歌曲史に接続するアルバムだ。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronic、Non-Music、Pop、スタイルはModern Classical、Chanson、Political、Balladとなっている。実際の印象としては、ポップ・ソングのような分かりやすさだけでなく、室内楽的な響きや演劇的な語り口が前に出るタイプの作品として捉えやすい。歌の抑揚や言葉の置き方が中心にあり、音そのものも整った楽曲進行より、テキストの輪郭を際立たせる方向に寄っている。
Dagmar Krauseの持つ硬質な歌声は、この手のレパートリーと相性がよい。ブレヒト作品に通じる距離感、ヴァイルの都市的な感触、アイスラーの政治的な色合いが、彼女の解釈を通して一本の流れとしてつながっている。ドイツの前衛音楽や実験的なシャンソンの文脈で見ても、かなり位置がはっきりしたアルバムだ。
サウンドと雰囲気
質感としては、軽やかな歌謡曲というより、言葉を聴かせるための編成と音作りが目立つ。電子的な要素、現代音楽的な構成、バラード調の運びが混ざり、舞台作品に近い緊張感を持つ場面もある。派手な装飾で押すというより、旋律とテキストの関係を見せるタイプの仕上がりだ。
ブレヒト/ヴァイル/アイスラーという並びから連想される、政治性、風刺、都市の感触といった要素も、アルバム全体の空気に反映されている。シャンソンやモダン・クラシカルの周辺にある作品として聴くと、輪郭をつかみやすい。
位置づけ
Dagmar Krauseにとっては、前衛的な歌唱とドイツ語歌曲の伝統が重なる地点にある作品と見られる。彼女のキャリア全体を考えると、実験性だけでなく、既存の歌曲や舞台音楽をどう歌い直すかという面がよく出た一枚だ。
同時代の文脈でいえば、ブレヒト歌曲の再解釈は、演劇性と政治性を帯びた作品群の中で語られることが多い。Dagmar Krauseはその中でも、歌唱の輪郭を強く出すタイプの表現者として比較されやすい存在だろう。
トラック構成について
この盤には10曲の追加トラックを収録したCD版が存在する。オリジナルの1986年盤とあわせて見ると、収録内容の違いがある作品として扱われる。
まとめ
『Angebot & Nachfrage (Lieder Von Brecht / Weill & Eisler)』は、Dagmar Krauseの歌声を軸に、ブレヒト、ヴァイル、アイスラーの系譜を現代的に捉え直したアルバムだ。電子音響、シャンソン、政治的な歌曲、現代音楽的な構成が交差する一枚として、1986年のドイツの音楽シーンの一端を示している。
トラックリスト
- A1 Angebot & Nachfrage (Song Von Der Ware) (2:57)
- A2 Grabrede 1919 (1:59)
- A3 Deutsche Miserere (1:39)
- A4 O Falladah, Die Du Hangest! (2:41)
- A5 Alabama-Song (2:51)
- A6 Hollywood-Elegien (2:55)
- A7 Surabaya Johnny (3:59)
- A8 Moritat (Ballade Von Mackie Messer) (2:39)
- B1 Matrosen-Tango (3:57)
- B2 Die Ballade Von Der Höllenlili (2:25)
- B3 Das Lied Von Der Moldau (1:40)
- B4 Im Gefängnis Zu Singen (3:00)
- B5 Ostersonntag 1935 (1:24)
- B6 Zu Potsdam Unter Den Eichen (2:22)
- B7 Der Song Von Mandelay (2:12)
- B8 Benares Song (3:52)
関連動画
Francesco Guccini – Opera Buffa (1973)
Francesco Guccini「Opera Buffa」について
「Opera Buffa」は、イタリアのシンガーソングライター、Francesco Gucciniが1973年に発表した作品。Gucciniは1940年6月14日、モデナ生まれで、イタリアのフォーク/カンツォーネ系の流れの中で語りを含む表現を得意とするアーティストとして知られている。
この作品は、ジャンル表記ではNon-Music、Pop、Folk、World、& Country、スタイルではChanson、Spoken Wordにまたがる内容。音楽だけで押し切るというより、言葉の比重が大きい作りで、語りと歌が行き来する構成が想像しやすい。派手な演出よりも、言葉の運びや話法そのものを聴かせるタイプの一枚という印象がある。
作品の位置づけ
1973年という時期は、Gucciniが作家性を強めていた時代にあたる。イタリアのシンガーソングライターたちが、政治や社会、個人の記憶を歌詞に持ち込んでいった流れの中で考えると、この作品もその文脈に置いて見やすい。ZuccheroやLucio Dallaのようなポップ寄りのアーティストとは少し距離があり、より言葉中心のカンツォーネ/フォークの系譜に近い。
タイトルの「Opera Buffa」は、オペラ・ブッファを思わせる言い回しで、作品全体にも演劇的な感触を与えている。内容の細部は作品を通して確かめたいところだが、少なくとも形式面では、一般的なポップ・アルバムとは違う手触りがある。
サウンドの質感
サウンドは、華美なアレンジで押すというより、声と言葉を前に出した作りとして捉えやすい。Spoken Wordの要素が示す通り、朗読や語りに近い場面が軸になっていると見てよさそうだ。フォーク由来の素朴さと、シャンソン的な語り口が並ぶところに、この作品の輪郭がある。
同時代の文脈
1970年代前半のイタリアでは、カンツォーネが単なる流行歌にとどまらず、文章性の強い表現へ広がっていった時期でもある。Francesco Gucciniは、その中でも歌詞の重みを強く意識した人物として知られていて、「Opera Buffa」もそうした流れの一部として見ると分かりやすい。フォーク、シャンソン、語りの要素が交差する作品群の中に位置する一枚だ。
アーティストについて
Francesco Gucciniはモデナ出身のイタリア人ソングライター、フォークシンガー。イタリア語の言葉運びを重視した作品で評価されてきたアーティストで、公式サイトや各種紹介ページでもその作家性が前面に出ている。「Opera Buffa」は、そうしたGucciniの持ち味を確認しやすい1973年作として見ておくと整理しやすい。
基本情報
- アーティスト: Francesco Guccini
- タイトル: Opera Buffa
- オリジナルリリース年: 1973年
- リリース国: Italy
- アーティストの国: Italy
- ジャンル: Non-Music / Pop / Folk, World, & Country
- スタイル: Chanson / Spoken Word
Francesco Gucciniの1973年作として、歌と語りの境界を行き来する作品。イタリアのカンツォーネとフォークの文脈の中で、言葉の存在感が際立つ一枚だ。
トラックリスト
- A1 Il Bello (2:17)
- A2 Di Mamme Ce N’è Una Sola (4:25)
- A3 La Genesi (7:00)
- B1 Fantoni Cesira (3:00)
- B2 Talkin’ Sul Sesso (6:00)
- B3 La Fiera Di San Lazzaro (5:40)
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Various – Puissance 13+2 (1971)
Various『Puissance 13+2』について
『Puissance 13+2』は、Various名義でまとめられた1971年の作品。ジャズ、ロック、ポップの要素をまたぎながら、ジャズ・ロック、シャンソン、サイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロックの文脈に置かれるタイトルです。US盤として2016年にリリースされた盤で、オリジナルは1971年にさかのぼります。
作品の輪郭
Various名義のコンピレーション的な性格がうかがえるタイトルで、ひとつのバンド作品というより、複数の楽曲や演奏を通して当時の音楽性を切り取る構成として受け取れる作品です。ジャズ由来のリズム感に、ロックの推進力、ポップの耳なじみやすさが重なり、そこにシャンソン的な歌ものの要素や、サイケデリック、プログレ寄りの展開が加わる流れ。
音の質感としては、ビートの立った演奏と、楽曲ごとに色合いの変わるアレンジが見どころになりやすいタイプです。リズムは直線的に進むだけでなく、ジャズ・ロックらしい揺らぎや、プログレ的な構成の変化を含む場面も想像しやすい内容。派手に押し切るというより、曲ごとの表情の差で聴かせる作品像です。
1971年という時代感
1971年は、ロックが細分化し、ジャズと接近したスタイルや、サイケデリック以降の拡張感を持つ作品が多く見られた時期です。この『Puissance 13+2』も、そうした時代の空気の中で、ジャンルの境目をまたぐ作りに位置づけられるタイトルといえそうです。プログレやジャズ・ロックの流れと、歌ものとしてのフレーズ感が同居する点が、この時代らしいところ。
聴きどころの整理
- ジャズ、ロック、ポップをまたぐ構成
- ジャズ・ロックらしいリズムの動き
- シャンソン由来の歌もの感
- サイケデリック・ロック、プログレ・ロック寄りの展開
- 曲ごとの色の違いを楽しめるタイプの作品
まとめ
『Puissance 13+2』は、1971年のジャンル横断的な音作りを示すVarious名義の作品。ジャズ・ロックを軸にしながら、ポップやシャンソン、サイケデリック、プログレの要素が重なるあたりに、当時の広がりが見える一枚です。作品全体としては、曲ごとの表情の違いと、時代特有のクロスオーバー感が印象に残るタイトルといえます。
トラックリスト
- A1 All’s So Comic (Introduction) (2:32)
- A2 All’s So Comic (3:23)
- A3 Mekanik Kommando (5:55)
- A4 Arkham (3:16)
- B1 Un Hini A Garan (4:09)
- B2 Here’s To You (1:25)
- B3 Informer Blues (3:46)
- B4 Been Gone So Long (5:55)
- B5 Bill Bailey (2:39)
- C1 I’m On My Way (3:50)
- C2 Ils N’Ont Rien Compris (4:56)
- C3 Unfathomable Of The Seventh Time (8:10)
- C4 Aria Populaire (2:03)
- D1 Promenade (2:53)
- D2 Charles (8:40)
- D3 On A Tapé (3:00)
- D4 Iguane (5:25)
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Enzo Jannacci – Quelli Che… (1975)
Enzo Jannacci『Quelli Che…』について
『Quelli Che…』は、イタリアのシンガー・ソングライター、俳優、そして医師でもあったEnzo Jannacciによる1975年の作品。イタリア国内で発表されたアルバムで、Latin、Pop、Folk、World & Countryの要素を含みつつ、Chansonの文脈に置ける一枚として捉えやすい内容になっている。
作品の位置づけ
Enzo Jannacciは、歌手としてだけでなく、舞台や映画の分野でも活動した人物。そうした背景もあって、この作品にも、歌を前面に出しながら言葉の運びや語り口を重視する感触がある。1970年代半ばのイタリア音楽らしく、ポップスの分かりやすさと、フォーク寄りの語りの要素が同居している印象。
サウンドの特徴
音の作りは、派手に押し出すというより、曲の輪郭をはっきり見せる方向。リズムは比較的素直で、演奏の質感も過度に装飾的ではない。Chansonらしい歌中心の構成があり、メロディを支えるアレンジが前に出すぎないところに特徴がある。
LatinやFolkの要素も加わることで、単純なポップ・アルバムとは少し違う広がりがある。イタリアの同時代シーンでいうと、シンガー・ソングライターの語り口や、カンツォーネの系譜を意識しやすい作品。
時代背景と聴きどころ
1975年という時期は、イタリアではポップス、フォーク、作家性の強い歌ものが並行して展開していた時代。『Quelli Che…』も、その流れの中で、歌詞のニュアンスや曲ごとの表情を味わうタイプの作品として見えてくる。
Enzo Jannacciのキャリア全体を見ても、こうした歌と語りの間を行き来する作風は重要な要素のひとつ。アルバム単位で聴くと、彼の多面的な活動の中でも、歌手としての側面がよく出た時期の作品として受け取れそうだ。
基本情報
- アーティスト: Enzo Jannacci
- タイトル: Quelli Che…
- リリース年: 1975
- 国: Italy
- ジャンル: Latin, Pop, Folk, World, & Country
- スタイル: Chanson
トラックリスト
- A1 La Televisiun
- A2 Quelli Che…
- A3 El Me Indiriss
- A4 Il Monumento
- A5 Borsa Valori
- A6 L’Arcobaleno
- B1 Vincenzina E La Fabbrica
- B2 Dottore…
- B3 Viva La Galera
- B4 Il Bonzo (Ora Importa Anche A Me La Mia Libertà)
- B5 9 Di Sera (A Televisão)
- B6 Il Karate
- B7 El Marognero
- B8 Il Kenia