Marillion – Misplaced Childhood (1985)
Marillion『Misplaced Childhood』について
Marillionの『Misplaced Childhood』は、1985年に発表された3作目のスタジオ・アルバムだ。英国のプログレッシブ・ロック・バンドとして存在感を強めていた時期の作品で、いわゆる「Fish期」の代表作としてよく挙げられる。バンド名を知る人には、この作品でMarillionの輪郭がはっきりした、と感じる人も多いはずだ。
2017年盤として出回っているこのレコードは、オリジナルの1985年作を後年に再プレス、あるいは再発したものにあたる。作品そのものは1985年のものとして受け取るのが自然だ。
作品の位置づけ
Marillionは1979年にイングランドのアリスベリーで結成され、80年代前半から活動を続けてきた。特に初期は、アート・ロックやシアトリカルな要素を含む80年代プログレの代表格として語られることが多い。『Misplaced Childhood』は、その中でも商業面・評価面の両方で大きな到達点になったアルバムだ。
この時期のMarillionは、同時代のプログレ再興組として語られることが多く、GenesisやCamel、IQ、Pallas、Pendragonといった名前と並べて語られることもある。とはいえ、単なる「復古」ではなく、Fishの語り口を前面に出したドラマ性の強い楽曲構成が、バンド独自の色になっている。
アルバムの内容と聴きどころ
『Misplaced Childhood』は全10曲で構成され、通して聴くと一つの物語のように流れていく作りだ。特にA面冒頭の「Pseudo Silk Kimono」から「Kayleigh」へのつながりは、このアルバムの入り口としてよく知られている。
なかでも「Kayleigh」は、Marillionを代表する曲としてまず名前が挙がることが多い。シングルとしても広く知られ、バンドの認知を押し上げた一曲だ。続く「Lavender」も同時期の代表曲として語られることが多く、このアルバムが“曲単位でも覚えられている”作品であることを示している。
演奏面では、Steve Rotheryのギターが旋律を明確に引っぱり、Mark Kellyのキーボードが和声と装飾を支え、Pete TrewavasとIan Mosleyのリズムが場面転換を作る。Fishの歌は、メロディをなぞるだけでなく、台詞のように曲の場面を動かしていくタイプで、このアルバムではその特徴がかなりはっきり出ている。
曲の流れとアルバム構成
この作品は、単独のヒット曲だけでなく、曲間のつながりや組曲的な構成で聴かれることが多い。前後の曲が切れ目なく印象をつないでいくため、1曲ごとの輪郭とアルバム全体の流れが両方残るタイプの作りだ。
- 「Kayleigh」: 代表曲として最も知られる曲
- 「Lavender」: 80年代Marillionを象徴する人気曲のひとつ
- 「Heart of Lothian」: バンドの演奏力と展開の多さが出る曲
- 「Blind Curve」: 長尺で組曲的な性格が強い構成
2017年盤について
2017年盤は、オリジナルの1985年盤からかなり時間を置いて出た再発盤と考えられる。こうした再発では、オリジナル盤の入手性を補う形で流通することが多く、ジャケットや収録内容は基本的に作品本体をそのまま伝えるものだ。
再発盤を手にする場合、まず大事なのは音源のクレジットやカッティング情報を確認することだが、この作品については、まずアルバム本編そのものの価値が中心になる。1985年当時のプログレ・アルバムとしての存在感が、そのまま残るタイトルだ。
まとめ
『Misplaced Childhood』は、MarillionのFish期を代表する一枚であり、1980年代プログレの中でもよく話題に上る作品だ。代表曲「Kayleigh」を軸にしつつ、アルバム全体でひとつの流れを作る構成が印象に残る。バンドの演奏、Fishの語り口、メロディの運び方がまとまっていて、Marillionというバンドの特徴がかなり分かりやすく表れたアルバムといえる。