Flaming Youth – Ark 2 (1969)
Flaming Youth『Ark 2』について
Flaming Youthは、UKのプログレッシブ・ロック/ブルース系バンドとして知られるグループで、フィル・コリンズが在籍していたことでも名前が挙がる。『Ark 2』は1969年に発表された作品で、バンドの短い活動期間の中でも、初期フィル・コリンズの参加作として位置づけられる1枚。アルバム全体はロックを土台にしたプログレッシブな構成で、当時の英国ロックの流れの中にある作品として聴ける。
作品の位置づけ
Flaming Youthは活動期間が短く、作品数も多くない。そのため『Ark 2』は、バンドの代表作というよりも、メンバーのキャリアをたどるうえで重要な記録盤という見方がしやすい。特にフィル・コリンズの名前で追うと、後の大きな活動へつながる前段階の音源として興味深い。
メンバーはフィル・コリンズ、ロニー・キャリル、ブライアン・チャットン、ゴードン・スミスの4人。クレジット上もこの編成が中心で、バンドの輪郭がはっきりした作品になっている。
音の印象
『Ark 2』は、ロックの基本形を保ちながら、曲ごとの展開や構成にプログレッシブ・ロックらしい作り込みが見えるアルバム。派手なヒット志向というより、アルバム単位で流れを追うタイプの作品としてまとまっている。ブラスやオルガン主体の分厚いサウンドを前面に出すというより、演奏の組み立てで聴かせるタイプの60年代末らしい空気感がある。
同時代の英国ロックの文脈で見ると、プログレッシブ・ロックがまだ大きく定着する前夜の感触が強い。のちの大作志向のプログレというより、ロック・バンドの延長線上で少しずつ構成を広げていく段階の音作りといった印象。
代表曲について
このアルバムは、シングルヒットで広く知られるタイプの作品ではない。アルバム全体を通して聴く性格が強く、特定の1曲が一般的な代表曲として独立して語られることは多くない。
1986年オランダ盤について
今回の盤は1986年にオランダで出たもの。オリジナルの1969年盤からかなり後年のプレスで、ジャケット裏には「also playable on mono」、ゲートフォールド内には「© Lynn Music 1969」、レーベルには「Made in Holland」「℗ 1969」といった表記がある。オランダ盤としての流通仕様がはっきりした再プレス盤と見てよさそうだ。
こうした再発盤は、当時のオリジナル盤の雰囲気を保ちつつ、後年の流通向けに作られている点が特徴になる。盤の年代が1986年でも、収録内容そのものは1969年の作品として聴くことになる。
まとめ
『Ark 2』は、Flaming Youthという短命バンドの記録であり、フィル・コリンズの初期キャリアをたどるうえでも押さえておきたいアルバム。1969年という時期らしいロックの手触りと、プログレッシブ・ロックへ向かう入口のような構成が同居している作品で、英国ロック史の流れの中で見ると輪郭がつかみやすい1枚。
トラックリスト
- A1 – Guide Me, Orion (3:15)
- A2 – Earthglow (2:52)
- A3 – Weightless (2:35)
- The Planets (13:50)
- B1 – Changes (5:47)
- B2 – Pulsar (3:08)
- B3 – Space Child (5:47)
- B4 – In The Light Of Love (3:32)
- B5 – From Now On (Immortal Invisible) (5:06)
関連動画
Genesis – Invisible Touch (1986)
Genesis『Invisible Touch』について
Genesisの『Invisible Touch』は、1986年に発表されたアルバムで、バンドの80年代を代表する一枚として知られている作品だ。Peter Gabriel脱退後にPhil Collinsがフロントマンを務める体制が定着してからの作品で、プログレッシブ・ロックの出自を持ちながら、より広い層に届くポップ寄りのサウンドへと進んだ時期の到達点にあたる。Rock、Soft Rock、Pop Rockの文脈で語られることが多いアルバムでもある。
バンドの流れの中での位置づけ
Genesisは1967年にイングランドで結成されたグループで、初期は複雑な曲構成や演奏面の緻密さで評価を集めた。その後、1975年にPeter Gabrielが離れ、Phil Collinsがリード・ヴォーカルを担当するようになると、音楽性はより親しみやすい方向へ移っていく。1980年代に入ると、その変化は明確になり、Tony Banks、Mike Rutherford、Phil Collinsの3人を軸にした時期に大きく人気を伸ばした。
『Invisible Touch』は、その流れの中でも特にヒット性の高い楽曲を揃えたアルバムとして位置づけられる。Genesisのキャリア全体で見ても、70年代の組曲的な作品群とは違う側面が前面に出た一枚で、80年代ポップ・ロックの文脈で聴かれることが多い。
代表曲とアルバムの特徴
タイトル曲「Invisible Touch」は、このアルバムを語るうえで外せない代表曲だ。シンセサイザーのリフとPhil Collinsの歌が前に出る作りで、Genesisの中でも特に覚えやすいシングルとして知られている。ほかにも、シングルとして広く流通した曲が複数あり、アルバム全体としてもメロディの分かりやすさとリズムの明快さが印象に残る構成になっている。
一方で、完全に軽いポップ作品というわけでもなく、演奏やアレンジの中にはGenesisらしい細かな作り込みが見える。70年代からのファンにとっては、バンドがどの地点までポップ化したのかを確かめる作品でもあり、80年代の大衆性とバンド固有の手触りが同居したアルバムとして受け止められてきた。
同時代の文脈
1986年という年は、ロックの中でもシンセや電子的な音色が広く使われていた時期で、Genesisもその流れの中にある。プロッグの出自を持つバンドが、80年代のメインストリームに寄せていく例は珍しくなく、同時代の聴き手には、より洗練されたポップ・ロックとして届いていたはずだ。Genesisの場合は、演奏の精密さとシングル志向の強さが並んでいる点が特徴的だ。
日本盤について
今回の日本盤は、帯付きで4ページのインサートが付属する仕様。インサートには写真、英語詞、日本語詞、解説が収録されている。収録時間はこのインサート記載のものが採用されており、世界各国盤の表記と異なる点がある。さらに、ジャケット表面の手の黒い印刷や、裏面のオレンジのラインがエンボス加工になっているのも、この盤の見どころだ。
まとめ
『Invisible Touch』は、Genesisが80年代に到達したポップ・ロック路線を分かりやすく示すアルバムだ。バンドの初期を知っていると、その変化がよりはっきり見えるし、この時期から入ると、代表曲の強さとアルバム単位での整理された作りが印象に残りやすい。Genesisの歴史の中でも、1986年という年の空気をまとった作品として捉えやすい一枚である。
トラックリスト
- A1 – Invisible Touch (3:27)
- A2 – Tonight, Tonight, Tonight (8:50)
- A3 – Land Of Confusion (4:45)
- A4 – In Too Deep (4:58)
- B1 – Anything She Does (4:06)
- Domino (10:43)
- B3 – Throwing It All Away (3:49)
- B4 – The Brazilian (4:50)
Emerson, Lake & Palmer – Works (Volume 1) (1977)
Emerson, Lake & Palmer『Works (Volume 1)』について
Emerson, Lake & Palmerは、キース・エマーソン、グレッグ・レイク、カール・パーマーによる英国のプログレッシブ・ロック・バンドだ。1970年に結成され、クラシック音楽やジャズの要素を取り込んだ大作志向の曲作りと、各メンバーの演奏技術の高さで知られている。
『Works (Volume 1)』は1977年の作品で、バンドのキャリアの中では中期にあたるアルバムだ。タイトルの通り「Works」という大きな企画の第1弾で、バンドの個性をそのまま詰め込んだスタジオ作というより、メンバーそれぞれの色が前面に出る構成になっている。
作品の位置づけ
ELPは初期の代表作である『Emerson, Lake & Palmer』や『Tarkus』『Brain Salad Surgery』で、長尺組曲やシンセサイザー、オルガン、ピアノを軸にした強い印象を残してきた。その流れの中で『Works (Volume 1)』は、各メンバーの個別性をよりはっきり見せるアルバムとして位置づけられている。
バンド全体の一体感で押し切るタイプというより、ソロ的な楽曲とELPらしいアンサンブルが同居する作りだ。大編成のロックというより、メンバーの持ち味を分割して見せる構成が特徴になっている。
収録曲と代表曲
この作品からはシングルも出ており、特にGreg Lake名義の「C’est La Vie」はよく知られている楽曲だ。グレッグ・レイクの歌唱を軸にした曲で、ELPの中でも比較的親しみやすい側のナンバーとして語られることが多い。
そのほかにも、キース・エマーソンらしい鍵盤主体の曲、カール・パーマーの存在感が出る構成など、メンバーそれぞれの役割が見えやすい内容になっている。
1977年の日本盤について
ここで扱うのは1977年に日本で出た盤だ。発売元はワーナー・パイオニア株式会社で、Made by Warner-Pioneer Corporation、Printed in Japanのクレジットがある。日本語ライナーノーツ付き、三面見開きのゲートフォールド仕様。
オリジナルの1977年作品を日本で同年にリリースした盤なので、当時の国内流通盤として見てよい内容だ。ジャケットの体裁や日本語解説を含め、国内盤ならではの仕様になっている。
サウンドの印象
実際に聴くと、ELPらしい鍵盤の主張はしっかりありつつ、曲ごとの色分けがはっきりしている印象だ。プログレらしい複雑さと、歌ものとしての輪郭が同居していて、長く引っ張る組曲型の作品とはまた違う聴き味になっている。
「C’est La Vie」のような楽曲では、グレッグ・レイクの声とアコースティック寄りの響きが前に出る。一方で、別の曲ではエマーソンのキーボードが曲の中心を強く支える。ELPの演奏技術の高さが、曲ごとに違う形で見えるアルバムだ。
同時代の文脈
1970年代後半のプログレッシブ・ロックは、初期の大作志向から少しずつ変化していく時期でもあった。その中でELPは、クラシック由来の構成感や技巧性を保ちながら、より楽曲単位で聴かせる方向にも触れている。King Crimsonの実験性、Yesの精密なアンサンブル、Genesisの劇的な展開と並べて語られることも多いバンドだが、ELPは特に鍵盤主導の派手な演奏がはっきりしたグループと言える。
まとめ
『Works (Volume 1)』は、Emerson, Lake & Palmerの中期を示す1977年の作品で、メンバー個々の持ち味が分かりやすく出たアルバムだ。代表曲「C’est La Vie」を含み、ELPの技巧性と楽曲性の両方を追える一枚になっている。日本盤は同年リリースで、日本語ライナーノーツ付きの三面見開き仕様という点も記録しておきたい。
トラックリスト
- Piano Concerto No. 1
- B1 – Lend Your Love To Me Tonight (4:00)
- B2 – C’est La Vie (4:17)
- B3 – Hallowed Be Thy Name (4:35)
- B4 – Nobody Loves You Like I Do (3:56)
- B5 – Closer To Believing (5:34)
- C1 – The Enemy God (3:16)
- C2 – LA Nights (5:42)
- C3 – New Orleans (2:45)
- C4 – Bach Two Part Invention In D Minor (1:53)
- C5 – Food For Your Soul (3:58)
- C6 – Tank (5:09)
- D1 – Fanfare For The Common Man (9:38)
- D2 – Pirates (13:20)
Triana – Triana (1981)
Triana『Triana』について
スペインのアンダルシア・ロックを代表するTrianaが、1981年に発表したアルバム『Triana』。バンド名と同じタイトルを冠した作品で、グループのディスコグラフィーの中でも、いわば自己名義を前面に出した一枚として位置づけられる。リリース元はMovieplay、国はスペイン。盤としても1981年のオリジナル・リリースで、内袋の印刷物と3枚のインサートが付属する仕様になっている。
Trianaというバンドの背景
Trianaは1974年、セビリアで結成された。アンダルシア由来の旋律感覚と、当時のロック、特にプログレッシブ・ロックの語法を結びつけたグループとして知られる。中心人物はJesús de la Rosa、Juan José Palacios “Tele”、Eduardo Rodríguez Rodwayの3人で、のちにトリオ編成を軸に活動していく。
もともとの出発点には別名義のバンドがあり、そこからメンバーの入れ替わりを経てTrianaへつながっていく。Jesús de la Rosaがベース兼ヴォーカルとして加入したのち、Crosby, Stills & Nashを思わせるようなコーラス感のある編成から、やがてTrianaの独自の形へまとまっていった、という流れが重要だろう。
1981年作としての位置づけ
Trianaは1970年代後半から1980年代初頭にかけて、アンダルシア・ロックの象徴的存在となっていく。その中で本作『Triana』は、活動の後期にあたるアルバムのひとつで、バンド名をそのままタイトルにした点からも、グループの輪郭を強く意識した作品として見えやすい。
1983年にはJesús de la Rosaが交通事故で死去し、バンドの活動は大きな区切りを迎える。そうした意味では、1981年の『Triana』は、オリジナル期のTrianaを追ううえで後半戦の記録として押さえたい一枚になる。
音楽性とジャンルの文脈
ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rock。Trianaの音楽は、英米のプログレッシブ・ロックに近い組み立てを持ちながら、スペイン語の歌唱と南スペインの空気感を前面に出すところに特徴がある。派手な技巧の誇示というより、曲の流れや歌の抑揚を軸に聴かせるタイプのバンドとして語られることが多い。
同時代のスペイン・ロックの中では、Rafael BerrioやAsfalto、Bloqueといったバンド群と並べて語られることがある一方で、Trianaは特にアンダルシア色の強さで区別される存在だろう。フラメンコ由来の感触をロックに持ち込んだ点で、後年のスペイン語圏ロックにも影響を残したバンドとして扱われることが多い。
作品の聴きどころとして
実際の音像としては、ギター、キーボード、ベース、ドラムが前に出すぎず、歌を中心にまとまる作りが印象に残りやすい。Trianaの作品は、長い展開で押し切るというより、旋律の運びとスペイン語の響きで引っ張る場面が目立つため、プログレの文脈にありながらも、曲単位でのわかりやすさを持つ。
この時期のTrianaを聴くと、派手なサウンド実験よりも、バンドとしての定着感、つまり「Trianaという音」がどこまで固まっていたかが見えやすい。バンド名をそのままタイトルにしたことにも、その自意識が表れているように思える。
代表曲やヒット曲について
Triana全体の代表曲としては、一般に『Tu frialdad』や『Abre la puerta』などがよく挙げられるが、本作『Triana』については、アルバム全体で聴かれる性格が強い。少なくとも、バンドのキャリア全体を代表する定番曲がこの一枚に集中している、というタイプではない。
オリジナル盤としての情報
- アーティスト: Triana
- タイトル: Triana
- リリース年: 1981年
- 国: スペイン
- レーベル表記: ℗ 1981 Movieplay
- 仕様: 印刷された内袋、3枚のインサート付き
オリジナル盤ならではの付属物が確認できるのは、コレクション面でも興味深いところだろう。インサート類を含めて作品世界を補完する、当時のLPらしい作りになっている。
まとめ
『Triana』は、スペインのアンダルシア・ロックを代表するバンドTrianaが1981年に残した、後期のスタジオ作。プログレッシブ・ロックの枠組みを持ちながら、スペイン語の歌と南部の色合いを軸にしたバンドの個性が、そのまま反映された一枚として見てよさそうだ。バンド名をタイトルにした点も含めて、Trianaというグループの輪郭をあらためて示す作品になっている。
トラックリスト
- A1 – Un Mal Sueño (4:40)
- A2 – Es Algo Tan Maravilloso (4:04)
- A3 – Una Vez (4:12)
- A4 – Y Qué Voy A Hacer Con Tu Sonrisa (4:39)
- B1 – Una Noche De Amor Desesperada (5:10)
- B2 – Por El Camino (6:49)
- B3 – Corre (4:30)
関連動画
- TRIANA – UN MAL SUEÑO (TRIANA – 1981)
- TRIANA – ES ALGO TAN MARAVILLOSO (TRIANA – 1981)
- TRIANA – UNA VEZ (TRIANA – 1981)
- TRIANA – Y QUE VOY A HACER CON TU SONRISA (TRIANA – 1981)
- TRIANA – UNA NOCHE DE AMOR DESESPERADA (TRIANA – 1981)
- TRIANA – POR EL CAMINO (TRIANA – 1981)
- TRIANA – CORRE (TRIANA – 1981)
Mike Oldfield – The Complete (1985)
Mike Oldfield『The Complete』について
Mike Oldfieldの『The Complete』は、1985年にUKで登場した2枚組の編集盤だ。いわゆる「ベスト盤」というより、1970年代から1980年代半ばまでの活動をまとめて見せる回顧的な作品で、作曲家・マルチインストゥルメンタリストとしての変化を追える内容になっている。
『Tubular Bells』で知られる複雑な長尺インストゥルメンタルの時代から、1980年代前半のヒット曲、さらに当時のライヴ音源までを収めた構成で、Mike Oldfieldの仕事を俯瞰する入口として位置づけやすい1枚だ。
作品の構成
オリジナルの2LPでは、各面ごとにテーマが分かれている。
- A面はインストゥルメンタル中心。1970年代から1980年代の短い小品や、シングルで出ていた非アルバム曲が並ぶ。
- B面はヴォーカル曲中心。1982年から1984年にかけてのヒット曲をまとめている。
- C面は複雑な長尺作品の抜粋。初期4作からの断片と、1984年の映画『The Killing Fields』の音楽が入る。
- D面はライヴ音源。1981年と1982年のツアーからの未発表曲で構成されている。
この分け方がかなり明確で、単なる曲寄せ集めではなく、Oldfieldの作風の広がりを面ごとに見せる作りになっている。短い旋律の小品、ポップ寄りのヒット曲、長大な組曲、そしてライヴ演奏という並びは、当時の彼の活動をそのまま切り分けたような印象だ。
聴きどころ
この盤でまず目を引くのは、やはり1980年代前半のヒット曲群だ。Mike Oldfieldといえば『Tubular Bells』のイメージが強いが、1983年の「Moonlight Shadow」も代表曲として外せない。こうした楽曲がB面にまとまっていることで、シングル・アーティストとしての側面もはっきり見える。
一方で、A面の小品群やC面の初期作品抜粋は、プログレッシヴ・ロック的な構築性や、フォーク、民族音楽、アンビエント寄りの要素が混ざるMike Oldfieldらしさを伝える部分だ。長尺作品の断片だけでも、メロディの置き方や楽器の重ね方に独特の癖がある。
そして、ファンの関心を集めやすいのがD面のライヴ音源だろう。スリーヴノートでも、1981年から1984年にかけてのツアーで演奏された未発表ライヴ素材として紹介されている。スタジオ盤とは違って、演奏の推進力が前に出やすく、楽曲の輪郭が少し違って聴こえる構成になっている。特に『Sheba』から『Mirage』、『Platinum』、『Mount Teide』といった曲の並びは、当時のステージを切り取った記録として価値が高い。
収録曲の由来に見えるポイント
ライヴ面の収録元には、ドイツ各地の公演が含まれている。『Sheba』と『Mirage』は1981年4月1日のエッセン公演、『Platinum』は1981年4月2日のハノーファー公演からとされている。『Mount Teide』は1982年ツアーのドイツ公演からのもので、1982年12月6日のケルン公演音源ではない点も記録されている。
こうした情報を見ると、『The Complete』は単なるダイジェストではなく、当時入手しにくかった音源を含めてMike Oldfieldの活動を整理した編集盤として作られていることが分かる。とくにライヴ面は、コレクター目線でも注目されやすい内容だ。
1985年という時期の意味
1985年のMike Oldfieldは、初期の実験的で長いインストゥルメンタル作品から、より広い聴衆に届く楽曲へと活動の重心が移っていた時期だ。『The Complete』はその変化を1つの作品に収めているため、彼のキャリアの見取り図として機能している。『Tubular Bells』の作曲家という顔だけでは収まりきらないことが、かなり分かりやすい。
同時代のプログレッシヴ・ロック周辺のアーティストと比べても、Oldfieldはシンフォニックな長尺曲とポップなヒット曲を同じ軸で扱える点が特徴的だ。この編集盤では、その両方が無理なく同居している。
細かな表記について
盤面表記では、A7が「Wallberg」となっているが、正しいタイトルは「Waldberg」とされている。また、A2の曲長表記にはズレがあり、センターラベルでは3:52とあるが、実際は2:52とされている。こうした細部も、初期プレスらしい記録として残っている。
まとめ
『The Complete』は、Mike Oldfieldの10年以上にわたる仕事を、インストゥルメンタル、ヒット曲、長尺構成、ライヴという4つの切り口で見せる1985年の編集盤だ。『Moonlight Shadow』のような代表曲と、初期作品の断片、さらに未発表ライヴまでを並べたことで、彼の音楽の幅がそのまま伝わる内容になっている。
ベスト盤というより、作家としての変遷をたどるための1枚、という印象が強い。
トラックリスト
- A1 – Arrival (2:46)
- A2 – In Dulci Jubilo (3:52)
- A3 – Portsmouth (3:15)
- A4 – Jungle Gardenia (2:45)
- A5 – Guilty (3:57)
- A6 – Blue Peter (2:07)
- A7 – Waldberg (The Peak) (3:24)
- A8 – Wonderful Land (3:37)
- A9 – Etude (Theme From The Killing Fields) (3:04)
- B1 – Moonlight Shadow (3:37)
- B2 – Family Man (3:45)
- B3 – Mistake (2:54)
- B4 – Five Miles Out (4:17)
- B5 – Crime Of Passion (3:38)
- B6 – To France (4:34)
- B7 – Shadow On The Wall (12″ Version) (5:07)
- C1 – Excerpt From Ommadawn (7:04)
- C2 – Excerpt From Tubular Bells (8:34)
- C3 – Excerpt From Hergest Ridge (4:20)
- C4 – Excerpt From Incantations (4:41)
- C5 – Excerpt From The Killing Fields (Evacuation) (4:07)
- D1 – Sheba (3:28)
- D2 – Mirage (4:49)
- D3 – Platinum (Including North Star/Platinum Finale) (14:16)
- D4 – Mount Teide (4:07)
関連動画
Steamhammer – Steamhammer (1969)
Steamhammer『Steamhammer』について
Steamhammerの『Steamhammer』は、イングランド南部ワージング出身のブルース・ロック・バンド、Steamhammerが残したデビュー作だ。オリジナルは1969年の作品で、のちの再発ではタイトル表記やカバーの扱いが変わるケースもあるが、まずはこのバンドの出発点として押さえておきたい1枚である。
Steamhammerは1968年に、ギターのMartin Quittentonと、ボーカル、ギター、ハーモニカを担当するKieran Whiteを中心に結成された。初期の核には、Martin Pugh、Steve Davy、Michael Rushtonも加わっており、当初はブルースを土台にした編成だった。その後、メンバー交代を重ねながら、次第にプログレッシブ・ロック寄りの要素を取り込んでいく流れになる。
作品の位置づけ
このアルバムは、バンドがまだブルースの色を強く残していた時期の記録として重要な位置にある。後年の作品ではより実験性や長尺の構成が前面に出ていくが、本作ではその前段階として、英国のブルース・ロックらしい骨格がしっかり聴ける。デビュー盤らしいまとまりと、のちの展開につながる芽の両方が見える作品だ。
Steamhammerは、同時代の英国ブルース・ロックの流れの中で語られることが多く、単なるコピー・バンドではなく、徐々にプログレッシブな方向へ寄っていった点でも特徴がある。のちにMartin PughやLouis Cennamoが他のプロジェクトへ進むことも含めて、この時期のSteamhammerは70年代初頭の英国ロックの移り変わりを映す存在といえる。
サウンドの印象
収録曲はブルース・ロックを軸にしながら、演奏の組み立てや曲の進め方に、すでに少しひねりがある。Kieran Whiteの歌とハーモニカ、ギター・ワークを中心にした硬質な鳴りが印象に残る構成だ。後のプログレ色が強い時期に比べると、ここではまだ曲の芯が比較的はっきりしている。
実際に聴くと、英国産ブルース・ロックの中でも、単にラフなだけでは終わらない演奏の詰め方が伝わってくる。ギターの絡みやリズムの押し引きに、すでにバンドとしての個性を作ろうとする意志が見える内容だ。
同時代との関係
この時期の英国では、ブルースを出発点にしたバンドが、より複雑な構成や長いインストゥルメンタルへ進む例が多かった。Steamhammerもその流れの中にあり、ブルース・ロックとプログレッシブ・ロックの境目をまたぐような立ち位置にいる。のちの展開を知っていると、本作の段階ですでにその変化の入口が見えるのが面白いところだ。
クレジットと発売情報
- アーティスト: Steamhammer
- タイトル: Steamhammer
- オリジナル・リリース年: 1969年
- リリース国: Germany
- ジャンル: Rock
- スタイル: Blues Rock, Prog Rock
クレジットには「Devised and Produced By Artist Musical Productions」とあり、ロンドンのCurzon Streetの住所表記も見える。出版社はFranklin Boyd Musicで、一部の曲だけ別出版社クレジットになっている。こうした細かな表記からも、当時の英国ロック作品らしい制作背景がうかがえる。
まとめ
『Steamhammer』は、Steamhammerというバンドがブルース・ロックからプログレッシブな方向へ進む前の、出発点として聴けるデビュー作だ。のちの実験性を知る人には、その前段階としての素地が確認できる1枚でもある。バンドの輪郭をつかむには、まずここから入るのが自然な流れだろう。
トラックリスト
- A1 – Water (Part One) (0:51)
- A2 – Junior’s Wailing (3:18)
- A3 – Lost You Too (3:29)
- A4 – She Is The Fire (3:10)
- A5 – You’ll Never Know (3:26)
- A6 – Even The Clock (4:08)
- B1 – Down The Highway (4:23)
- B2 – On Your Road (2:51)
- B3 – Twenty Four Hours (7:30)
- B4 – When All Your Friends Are Gone (3:50)
- B5 – Water (Part Two) (1:44)
関連動画
- Steamhammer – Down The Highway
- Steamhammer – Even The Clock
- Steamhammer-On Your Road
- When All Your Friends Are Gone (Digitally Remastered Version)
- Steamhammer – Windmill
- Steamhammer – ‘Autumn Song’ (1969)
- Steamhammer – Steamhammer (Full Album Vinyl Rip)
- Steamhammer – Junior’s Wailing
- Steamhammer – Lost You Too (Reflection 1969)
- STEAMHAMMER-Reflection-06-Even The Clock-{1969}
Ray Parker Jr. – Two Places At The Same Time (1980)
Ray Parker Jr.「Two Places At The Same Time」について
Ray Parker Jr.の「Two Places At The Same Time」は、1980年に発表されたソロ作品です。アメリカ・デトロイト出身のシンガー、ソングライター、ギタリスト、プロデューサーとして知られる彼が、Raydioでの活動と並行しながら、自身のソロ表現を前に出していった時期の一枚です。
Ray Parker Jr.というと、のちに「The Other Woman」や「Ghostbusters」で広く知られることになりますが、この時点ではすでにファンクとポップの境目を自然に行き来する書き手・演奏者としての輪郭がはっきりしている印象です。バリー・ホワイト周辺の仕事やRaydioでの経験が、そのままソロ作にもつながっている流れと見てよさそうです。
作品の位置づけ
このアルバムは、Ray Parker Jr.がソロ名義で存在感を固めていく過程にある作品です。Raydioの活動と近い時期のため、バンド的な感触とソロならではのまとまりが同居しているのが特徴です。後年の大ヒット曲が先に思い浮かぶ人も多いですが、その前段階として、彼の作曲と演奏の土台を確認できるタイトルです。
1980年という時期は、ファンクがディスコ以後の形に移っていく流れの中にあり、ギター主体のリフ、タイトなベース、整理されたリズムの作り方が重要になっていく頃です。この作品も、その時代の空気の中で、過度に荒々しくはせず、輪郭のはっきりしたグルーヴを作っている印象があります。
サウンドの印象
録音とミックスはHollywoodのRaydio StudiosとAmeraycan Studiosで行われています。盤のクレジットからも、制作環境がかなり整った状態で作られたことがうかがえます。ファンクを軸にしながら、演奏の隙間やコーラスの置き方に、ラジオ向きの整理された感触がある作品です。
Ray Parker Jr.はギタリストとしての表情がはっきりした人なので、単にリズムを刻むだけでなく、フレーズそのものが曲の推進力になっている点が目立ちます。ソウル寄りの歌ものとしても、インスト感のあるバンド・ファンクとしても受け取れる作りです。
収録曲まわり
収録曲の中では、A4の楽曲がHancock Music出版とクレジットされています。アルバム全体としては、作曲・演奏・プロデュースの手つきが揃っていて、ひとつの曲だけが突出するというより、全体で流れを作るタイプの構成です。
Ray Parker Jr.は、のちに「The Other Woman」でポップチャート上位に入り、「Ghostbusters」でさらに広く知られるようになりますが、この1980年作では、そうしたヒット期の前に、ファンクを核にしたソロ・アーティストとしての方向性が見えやすいです。
同時代の文脈
同じ時代のファンク/ソウルの流れで見ると、演奏の切れ味とポップなまとめ方を両立させるアーティストたちと近い空気があります。Ray Parker Jr.の場合は、ギターを前に出しつつ、歌とリズムをきっちり整理するところが持ち味です。派手さを押し出すより、曲の中で機能するフレーズを置くタイプの作り方です。
また、彼はこの後、ソロ活動だけでなく作家・プロデューサーとしても多くの楽曲を手がけていきます。New Edition、Cheryl Lynn、Deniece Williams、Diana Rossなどへの提供曲があることからも、メロディとリズムの組み立てに長けた人物として見てよさそうです。
盤の特徴
このUS盤は、Aristaロゴ内の「Arista」の文字が装飾的な書体になっている点が特徴です。レーベル表記の違いがある同系統のプレスも存在しますが、この盤ではそのデザインが見分けのポイントになります。ジャケットやラベルの細部まで含めて、1980年当時のUSプレスらしい雰囲気があります。
まとめ
「Two Places At The Same Time」は、Ray Parker Jr.がソロ・アーティストとしての輪郭を固めていく1980年の作品です。のちの大ヒット曲で知られる前段階として、ファンクを基盤にしながら、演奏・制作・ソングライティングのバランスを見せる一枚、といった位置づけです。
Raydioやバリー・ホワイト周辺の仕事を経た人物らしい、きっちりしたグルーヴと整理された楽曲作り。その積み重ねが、この時期のソロ作にはしっかり出ているように感じられます。
トラックリスト
- A1 – It’s Time To Party Now (4:53)
- A2 – Until The Morning Comes (4:24)
- A3 – Two Places At The Same Time (3:49)
- A4 – Tonight’s The Night (5:06)
- B1 – A Little Bit Of You (4:18)
- B2 – Everybody Makes Mistakes (4:58)
- B3 – Can’t Keep From Cryin’ (3:37)
- B4 – For Those Who Like To Groove (4:28)
関連動画
Renaissance – Renaissance (1969)
Renaissance『Renaissance』について
Renaissanceの1作目となるセルフタイトル盤『Renaissance』は、1969年に発表された作品で、バンド初期の出発点を示すアルバムだ。もともとRenaissanceは、元The YardbirdsのKeith RelfとJim McCartyを中心に、ロック、フォーク、クラシックの要素を組み合わせる新しい方向を目指してロンドンで結成された。その最初期の編成で録音されたのがこのアルバムで、のちに長く続くRenaissance像とは少し違う、初期衝動の強い時期を記録した内容になっている。
作品の位置づけ
この時点のRenaissanceは、後年のAnnie Haslam期に知られるシンフォニックな展開よりも、より直接的で、サイケデリック・ロック寄りの色合いを持つ。Keith Relfがギターを担当し、Louis Cennamoがベース、John Hawkenがキーボード、Jane Relfがボーカルを務める編成で、バンドの基礎が形になっている。Renaissanceという名前の出発点として重要な一枚であり、バンドの後年を知ってから聴くと、音の輪郭の違いがはっきり見える作品だ。
音の印象
演奏は、のちの大作志向のプログレとは少し距離があり、曲ごとの流れを追いやすい。オルガンやピアノを軸にしたアレンジと、歌を前に出した構成が目立つ。ロックの推進力の中に、フォーク寄りの旋律感やクラシカルな響きを差し込む作りで、後年のRenaissanceにつながる要素はすでに見えている。サイケデリック・ロックとしての空気もあり、1969年という年らしい質感のある録音だ。
同時代の文脈
1960年代末の英国では、ロックが長尺化・複雑化していく流れが進んでいた。このアルバムもその文脈の中にあり、フォークやクラシックの要素を取り込んでいく動きと重なる。比較対象としては、同時期のプログレッシブ・ロック周辺のバンドや、フォーク・ロックから発展した英国勢の流れが思い浮かぶ。もっとも、Renaissanceはこの時点ではまだジャンルの完成形というより、複数の要素を試している段階にある。
曲とクレジット
収録曲の著作権表記はB. Feldman & Co. Ltd. trading as Renaissance Musicとなっている。録音はOlympic Sound Studiosで行われ、写真はJohn ClampによるVictoria and Albert Museumでの撮影、ジャケット内の「The Downfall of Icarus」はGenissonの作品が使われている。アートワークやクレジット面にも、英国の文化的背景を感じさせる要素が入っている。
ヒット曲として広く知られる楽曲がこのアルバムから出ているわけではないが、Renaissanceの最初期の輪郭をつかむには意味のある内容だ。のちにバンドがより大きな編成と壮大な構成へ進んでいく前段階として、ここには初期Renaissanceの核が置かれている。
1981年盤について
今回の盤は1981年に西ドイツで出た再発盤で、青いレーベルに「Alle Urheber- u. Leistungsschutzrechte…」の周回表記が使われている。盤のクレジットには、1980年から1982年ごろに見られる仕様が記されており、西ドイツ盤らしい印象の再発だ。Ariola流通、Western Germany印刷、Mohndruckによる印刷など、当時の西独プレス盤の特徴が確認できる。
オリジナルの1969年盤と比べると、音楽内容そのものは同じだが、こちらは後年の再発として流通したものになる。レーベルや周回表記、プレス情報の違いが、コレクション面では見どころになっている。
まとめ
『Renaissance』は、Renaissanceというバンドの始まりをそのまま収めた一枚だ。Keith RelfとJim McCartyを起点にした初期編成の記録であり、のちのシンフォニック路線へ向かう前の、ロック、フォーク、クラシックの要素が交差する段階を示している。1969年の英国ロックの空気と、バンドの出発点がそのまま残ったアルバムとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Kings And Queens (10:55)
- A2 – Innocence (7:05)
- B1 – Island (5:57)
- B2 – Wanderer (4:00)
- B3 – Bullet (11:24)
関連動画
Leon Spencer, Jr. – Bad Walking Woman (1972)
Leon Spencer, Jr.『Bad Walking Woman』について
『Bad Walking Woman』は、アメリカのソウル・ジャズ/オルガン奏者、Leon Spencer, Jr.が1972年に発表した作品。US盤として同年に登場しており、70年代前半のジャズ・ファンク路線をはっきり示す内容になっている。レーベル周辺の流通はFantasy Recordsが担っていた。
Leon Spencer, Jr.という奏者
Leon Spencer, Jr.は1945年11月1日、テキサス州ヒューストン生まれ。ハモンド・オルガンを軸に、ソウルの感触を持ったジャズで知られる人物で、60年代末から70年代にかけてのジャズ・ファンクの流れの中で存在感を示した。編成の中心にオルガンを置き、リズムのうねりを前面に出すタイプの演奏家として理解しやすい。
作品の輪郭
本作はジャズ/ジャズ・ファンクの文脈に置ける1枚で、グルーヴを軸にした組み立てが特徴。リリース情報には、A3、A4、B2、B3にストリング・セクションが入ることが記されている。オルガン・コンボの中に弦を差し込むことで、単なるセッション・アルバムとは少し違う、整えられた質感が加わっている。
また、A2はラベル上で「Down On Dowling St.」と表記されている。こうした表記違いは、盤を追うときの小さな見どころのひとつでもある。
曲と聴きどころ
この時期のLeon Spencer, Jr.らしいのは、オルガンが旋律も伴奏もまとめて引き受けるところ。ベースラインの動きとドラムの押し出しが前に出て、そこにホーンや弦が重なると、曲の輪郭がはっきり立つ。ジャズの即興性よりも、反復するリフや拍の粘りが耳に残るタイプの内容といえる。
作品内で広く知られた代表曲として特定のヒット曲が前面に語られるタイプではないが、Leon Spencer, Jr.のディスコグラフィーを追うときには、70年代初頭のオルガン・ジャズの流れを確認できる1枚として見えてくる。
同時代とのつながり
『Bad Walking Woman』は、同時代のジャズ・ファンクの空気と強く結びついた作品。オルガン・ジャズの延長線上にありながら、よりリズム・セクションの推進力を重視する点で、当時のソウル・ジャズ系の作品群とも近い感触がある。オルガンを中心にした70年代ジャズの流れをたどるとき、Jimmy Smith以降の系譜や、同時期のファンキーなインスト作品と並べて見られることが多い領域だ。
まとめ
『Bad Walking Woman』は、Leon Spencer, Jr.のオルガン・プレイを軸に、ジャズ・ファンクの手触りをまとった1972年の作品。ストリング・セクションを含む曲もあり、オルガン・コンボの基本形に少し色を足した構成が印象に残る。70年代初頭のソウル・ジャズの空気を、作品単位でたどるうえで押さえておきたいタイトルのひとつ。
トラックリスト
- A1 – Hip Shaker (3:50)
- A2 – Down On Dowling Street (4:55)
- A3 – In Search Of Love (4:00)
- A4 – If You Were Me And I Were You (5:57)
- B1 – Bad Walking Woman (5:01)
- B2 – When My Love Has Gone (6:10)
- B3 – When Dreams Start To Fade (7:42)
関連動画
Booker T & The MG’s – McLemore Avenue (1970)
Booker T & The MG’s『McLemore Avenue』について
『McLemore Avenue』は、Booker T & The MG’sが1970年に発表したアルバムで、Stax Recordsの本拠地だったメンフィスの空気をそのまま閉じ込めたような一枚だ。Booker T. Jones、Steve Cropper、Donald “Duck” Dunn、Al Jackson Jr.を中心にしたこのバンドは、Staxのインハウス・バンドとして数多くの録音を支えながら、自身の名義でも「Green Onions」や「Hip Hug-Her」といったヒットを残している。
この作品は、そのキャリアの中でもかなり特徴的な位置にある。タイトルの通り、ビートルズの『Abbey Road』を全曲カバーしたアルバムで、しかも曲順や構成をかなり意識した作りになっている。しかもジャケットまで『Abbey Road』を思わせる構図でまとめられていて、オリジナル盤の時点でコンセプトがはっきりしている。
作品の性格
収録曲は、ビートルズの楽曲をBooker T & The MG’s流のインストゥルメンタル・ソウルとして再解釈したもの。原曲のメロディを追いながら、オルガン、ギター、ベース、ドラムの演奏で輪郭を組み直していくスタイルだ。歌がないぶん、曲の骨格やリズムの置き方が前に出る構成になっている。
Staxらしい乾いた音像と、メンフィス録音らしい手触りが特徴。ビートルズの楽曲を単に模倣するのではなく、南部のR&Bやソウルの文脈へ持ち込んだ内容として整理しやすい作品だ。
『Abbey Road』との関係
このアルバムは『Abbey Road』の全曲カバーで、アルバム全体を通して元作との対応が意識されている。曲順は入れ替えられているが、アルバム単位でビートルズ作品をなぞる設計になっている点が大きい。
ビートルズ側の楽曲提供クレジットには、Maclen MusicやHarrisong Musicが見える。カバーアルバムでありながら、原曲との結びつきが明確な一枚だ。
聴きどころ
この作品でまず目に入るのは、Booker T. Jonesのオルガンと、Steve Cropperのギターの組み合わせだ。そこにDonald “Duck” Dunnのベース、Al Jackson Jr.のドラムが入ることで、旋律をなぞるだけでなく、リズムの推進力が前に出る。
実際に聴くと、原曲のポップなフレーズが、より土の匂いのある演奏へ置き換わっていく感覚がある。特にメロディの強い曲ほど、インスト化によって構造が見えやすくなる印象だ。逆に、原曲のアレンジの細部を知っているほど、MG’sの解釈の仕方がはっきり見えてくる。
代表曲とのつながり
Booker T & The MG’sといえば、やはり「Green Onions」が代表曲として知られている。このアルバム自体はそのヒット曲路線とは少し違い、オリジナル曲集ではなくカバー作だが、バンドの演奏力を示す作品としてはわかりやすい位置にある。
Staxの看板バンドとして、Otis Redding、Wilson Pickett、Sam & Daveらの伴奏や制作にも深く関わってきた彼らが、同時代のロックの大作を自分たちの言葉に置き換えた、という見方もできる。
同時代の文脈
1970年前後は、ソウルやR&Bの側からロックの曲を取り込む動きが目立った時期でもある。その中で『McLemore Avenue』は、単発の流行ではなく、メンフィスのスタジオ・バンドがロックの大曲をインストゥルメンタルでまとめ上げた例として見ておきやすい。
比較対象としては、同じくソウルやR&Bの演奏力を軸にしたバンドや、カバーを通じて原曲を別の文脈へ移し替える仕事をしていたミュージシャンが思い浮かぶ。とはいえ、このアルバムはStaxの音とビートルズの楽曲がそのままぶつかるところに意味がある。
作品の位置づけ
Booker T & The MG’sにとっては、自分たちの代表曲や伴奏仕事とは別の角度から、バンドの実力を示したアルバムと言える。70年代初頭にはバンドとしての活動が終盤に向かっていくため、この一枚はキャリア後期のまとまった作品としても見やすい。
Rock & Roll Hall of Fame入りを果たしたグループの中でも、『McLemore Avenue』は単なる企画盤ではなく、演奏者としての視点が前面に出たアルバムとして記憶されやすい。ビートルズの『Abbey Road』を、メンフィスのソウル・バンドがどう受け止めたか。その答えの一つがこの作品だ。
基本情報
- アーティスト: Booker T & The MG’s
- タイトル: McLemore Avenue
- オリジナルリリース年: 1970年
- 国: US
- ジャンル: Funk / Soul
- スタイル: Rhythm & Blues, Soul
トラックリスト
- (Medley) (15:46)
- A2 – Something (4:07)
- (Medley) (7:25)
- (Medley) (10:39)
Il Tempio Delle Clessidre – AlieNatura (2013)
Il Tempio Delle Clessidre『AlieNatura』について
Il Tempio Delle Clessidreは、2006年にジェノヴァで結成されたイタリアのプログレッシブ・ロック・バンド。『AlieNatura』は2013年にイタリアでリリースされた作品で、バンドの初期を代表するタイトルのひとつとして位置づけられる。メンバーにはFabio Gremo、Stefano Galifi、Elisa Montaldo、Giulio Canepa、Francesco Ciapica、Paolo Tixiが名を連ねている。
このバンドは、イタリアン・プログレの系譜にしっかり乗った音作りで知られる存在。とくに、Storia di un MinutoやDarwin!のような70年代イタリア勢を思わせる、組曲的な展開や鍵盤の存在感、歌と演奏のせめぎ合いが軸になるタイプのグループとして語られることが多い。Stefano Galifiの参加も、古典的なイタリアン・プログレ文脈で注目されやすいポイントだろう。
作品の内容と位置づけ
『AlieNatura』は、バンド名義の作品の中でも、彼らの方向性をはっきり示すアルバムとして扱える内容。ロックを基調にしながら、プログレッシブ・ロックらしい曲展開を前面に出した構成で、イタリア産プログレの伝統を意識した作りになっている。派手な即効性よりも、曲の流れやパートごとの切り替わりを追う楽しさが中心のタイプだ。
2013年時点のリリースとして見ると、クラシックな感触を持ちながらも、現行のイタリア・プログレ再興の流れの中で受け止められる1枚でもある。70年代の遺産をなぞるだけでなく、現代の録音でその語法を鳴らしているところに意味がある作品と言える。
聴きどころ
このアルバムでは、まず鍵盤とギターの絡みが重要になる。イタリアン・プログレらしいドラマ性を支えるのは、メロディの伸びよりも、曲の中での展開と音の重なりだ。歌唱はその上に乗るというより、演奏と一体で進む印象が強い。
また、バンドの編成からも分かる通り、ボーカル、キーボード、ギター、ベース、ドラムがそれぞれ役割を分担しながら、ひとつの長い流れを作っていくタイプの音楽。短いフックで押すより、セクションごとの積み重ねで聴かせる作りになっている。
リリース仕様
- 2013年、イタリア盤
- ゲートフォールド・ジャケット
- ブルー・ヴァイナル
- インサート付き
- バンドロゴ入りスリップマット付き
- フォトカード付き
- コットンバッグ付き
- 限定100枚
物理メディアとしては、かなりコレクター性の強い仕様。限定100枚という数字に加えて、スリップマットやコットンバッグまで付属する点からも、作品そのものだけでなくパッケージ全体を含めて楽しむ作りになっている。
まとめ
『AlieNatura』は、イタリアのプログレッシブ・ロックが持つ伝統的な語法を、2013年時点のバンドがどう鳴らすかを示す作品。Il Tempio Delle Clessidreの名前を押さえるうえでも、まず触れておきたいタイトルのひとつだろう。演奏、構成、装丁まで含めて、バンドの世界観がまとまっている。
トラックリスト
- A1 – Kaze (Ciò Che Il Vento Porta Con Se) (4:15)
- A2 – Senza Colori (8:30)
- A3 – Il Passo (9:25)
- A4 – Fino Alla Vetta (7:42)
- B1 – Onirica Possessione (9:08)
- B2 – Notturna (2:40)
- Il Cacciatore (14:50)
関連動画
Flairck – Gevecht Met De Engel (1980)
Flairck『Gevecht Met De Engel』について
『Gevecht Met De Engel』は、オランダのアンサンブル、Flairckが1980年に発表した作品。冬の1979年から1980年にかけて、WeespのDureco Studioで録音されている。Flairckは、ギター・ヴィルトゥオーソのErik Visserを中心に1978年に結成されたグループで、編成を固定しない形で活動してきた。フォーク、ジャズ、室内楽、さらにブルースの要素を含む音楽性で知られ、この作品もその流れの中にある一枚だ。
作品の輪郭
ジャンル表記はClassical、Folk、World, & Country、スタイルはNeo-Classical、Folk。Flairckらしいのは、楽曲の設計にアンサンブルならではの視点があるところで、複数のアコースティック楽器を使いながら、曲ごとにまとまりを作っていく構成。バンドのプロフィールにもある通り、メンバーが書いた音楽をアルバム単位のテーマに沿って組み立てる傾向が強く、この作品もその作り方がうかがえる。
タイトルの“Gevecht Met De Engel”はオランダ語で「天使との戦い」といった意味合いの言葉。作品全体の題名として、舞台作品や組曲を思わせる響きがある。Flairckのアルバムは、曲の並びよりも全体の流れで聴かれることが多いタイプで、この盤もその性格が前面に出ている。
Flairckというバンドの位置づけ
Flairckは、1970年代末から1980年代初頭のヨーロッパで広がった、ロック以外の器楽アンサンブルの潮流の中で語られることが多いグループ。アコースティック中心の編成で、民俗音楽の旋律感と室内楽的な書法を行き来する点は、同時代の民族音楽志向のアンサンブルや、プログレッシブ・フォークの文脈とも近い。オランダ発のグループとしては、緻密なアンサンブルと演劇的な構成に特徴がある。
この1980年作は、Flairckの初期の代表的な時期に置かれる作品のひとつ。バンドの基本的な輪郭、つまりアコースティック楽器を軸にした多層的な編成、旋律主導の展開、テーマ性のある構成が見えやすい時期の記録と言える。
聴きどころ
この作品でまず目を引くのは、楽器の重なり方。ギターを軸にしながら、笛類、弦、打楽器などが入れ替わるように前に出て、固定されたロックバンドの演奏というより、室内楽寄りのアンサンブルとして進む場面が多い。旋律がはっきりしていて、そこに装飾や対旋律が重なる作りがFlairckらしい。
また、フォークの素材をそのまま並べるのではなく、構成を組み立て直していく手つきがある。テンポや拍子の切り替え、音色の交代、静と動の置き方など、楽曲単位での設計がはっきりしている印象だ。実際に聴くと、音の数の多さよりも、どの楽器をどこで置くかという整理の良さが印象に残るタイプの作品。
同時代との関係
1980年前後のヨーロッパでは、フォークを下敷きにしながら、クラシックやジャズの要素を取り込むアーティストが各地にいた。Flairckもその流れにありつつ、オランダらしい端正さと、アンサンブルの組み立てに重点を置く点で独自性がある。比較対象としては、英国のフォーク・プログレ系、あるいは大陸ヨーロッパの器楽アンサンブルの文脈が思い浮かぶ。
ただし、Flairckは歌を前面に出すロックバンドというより、器楽中心の構成で世界を作るグループ。そこが同時代の多くのフォーク・ロック勢とは違うところだ。
リリース情報の整理
- アーティスト: Flairck
- タイトル: Gevecht Met De Engel
- オリジナルリリース年: 1980年
- リリース国: オランダ
- 録音: 1979年冬〜1980年冬、Dureco Studio(Weesp)
- ジャンル: Classical / Folk / World, & Country
- スタイル: Neo-Classical / Folk
まとめ
『Gevecht Met De Engel』は、Flairckの初期を代表する時期の一枚として、アコースティック編成の細かな組み立てと、テーマ性のある作りが確認できる作品。フォークの旋律感、室内楽的な整理、そしてヨーロッパの器楽アンサンブルらしい構築性が一つの盤にまとまっている。Flairckというグループの性格をつかむうえで、重要な位置にあるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Oost-West Express (4:49)
- A2 – De Vlinder (7:25)
- A3 – Voor Antoinette (3:08)
- A4 – De Stoomwals (7:13)
- Gevecht Met De Engel
関連動画
Vytas Brenner – Hermanos (1974)
Vytas Brenner『Hermanos』について
『Hermanos』は、ベネズエラのギタリスト/キーボード奏者、Vytas Brennerが1974年に発表した作品である。電子楽器、ロック、ラテン、フォーク、そしてベネズエラの伝統音楽を交差させていく彼の初期活動を知るうえで、重要な位置にある一枚といえる。
Brennerは1946年にドイツのチュービンゲンで生まれ、1949年に家族とともにベネズエラへ移住した。のちに米国テネシー州で音楽を学び、電子音楽のコースも修めている。その経歴が示す通り、彼の音楽はローカルな民俗性だけでなく、米国の教育環境で身につけた作曲・編曲の感覚も含んだものになっている。
作品の位置づけ
『Hermanos』は、Brennerが1972年に結成した自身のバンド、La Ofrendaによる活動期と重なる時期の作品である。彼はこの時期から、エレクトリック/エレクトロニックな音色とアコースティック楽器、ピアノを組み合わせ、プログレッシブ・ロック、ラテンのリズム、ベネズエラの伝統音楽をひとつの流れにまとめていった。後年の代表的な仕事へつながる、初期の実験と整理の段階として見ることができる。
音の特徴
ジャンル表記としては Electronic、Rock、Latin、Folk、World & Country にまたがり、スタイルは Folk Rock、Latin、Prog Rock に置かれている。実際にこの時代のBrenner作品を追うと、単純なロック・バンドの演奏だけではなく、鍵盤のレイヤーや電子的な質感が前面に出る場面があり、そこにラテン系のリズムやフォーク寄りの旋律が重なる構成が目立つ。ベネズエラ産のプログレッシブ・ロックとして語られることがあるのも、そのあたりの作りに理由がある。
同時代の文脈で見ると、ラテンアメリカ各地で進んでいたロックのローカライズ、つまり英米由来のロックをその土地の民俗音楽やリズムに接続していく流れの中にある。Brennerの場合はさらに、電子音楽の訓練を受けた人物ならではの音色設計が加わる点が特徴的で、同じく民俗要素とロックを結びつけたアーティスト群の中でも、鍵盤主体の色合いが強い部類に入る。
曲について
この作品に大きく知られたヒット曲があるというより、アルバム全体でBrennerの語法を示すタイプの作品として捉えられる。曲単位での派手なシングル志向というより、連続する編曲や音色の切り替えを含めて聴くと輪郭が見えやすい。
補足
Brennerはその後もLa Ofrenda名義で1970年代を通じて活動を続け、1980年代以降も映画音楽、テレビ、広告、オーケストラとの共演など、幅広い仕事を残している。『Hermanos』は、そうした多方面での活動に先立つ時期の記録として、彼の出発点をよく示す作品である。
ベネズエラのロック史や、ラテン・プログレの流れをたどる際に名前が挙がる一枚。電子的な質感と土着的な要素を同居させた、1974年ならではの実験性が見える作品である。
トラックリスト
- A1 – Agua Clara
- A2 – Madrugada
- A3 – Amanecer
- A4 – Danza Con Pájaros
- A5 – Gavilán
- B1 – Pastos
- B2 – Ganado
- B3 – Estampida
- B4 – Ana Karina Rote
- B5 – Sentado En Una Piedra
関連動画
Aphrodite’s Child – It’s Five O’Clock (1970)
Aphrodite’s Child『It’s Five O’Clock』について
Aphrodite’s Childは、ギリシャ出身のロック・ポップ・サイケデリック・バンドで、1967年から1972年にかけて活動したグループだ。VangelisことEvangelos Papathanassiou、Demis RoussosことArtemios Venturis Roussosを中心に、ヨーロッパ圏で存在感を強めた。
『It’s Five O’Clock』は1970年に発表された2作目のアルバムで、バンドの代表作のひとつとして知られる作品だ。前作『End of the World』の流れを受けつつ、より整理されたポップ感と、当時らしいサイケデリックな色合いが同居している。Aphrodite’s Childのアルバムの中では、初期の勢いと曲作りのまとまりが見えやすい位置づけの一枚といえる。
作品の位置づけ
この時期のAphrodite’s Childは、シングルでの成功とアルバム志向の両方を持っていた。デビュー曲「Rain and Tears」は、パッヘルベルのカノンを下敷きにしたことで知られ、ヨーロッパ各国で大きなヒットになった。その成功を背負いながら作られた2作目が『It’s Five O’Clock』という流れだ。
アルバムタイトル曲「It’s Five O’Clock」は、作品を象徴する曲として扱われることが多い。ほかにも「Annabella」など、メロディを前に出した曲が並ぶ。全体としては、英語圏のポップ・ロックの形式の中に、地中海圏のグループらしい輪郭がにじむ内容だ。
サウンドと聴きどころ
このアルバムでは、ロックのバンド演奏を土台にしながら、サイケデリック・ロックの時代らしい響きが要所に入る。Vangelisの鍵盤は前に出すぎず、曲の骨格を支える役回りが中心だ。Demis Roussosの声は、曲のメロディをそのまま印象づけるタイプで、分かりやすいフックを作っている。
実際に聴くと、派手な展開で押すというより、曲ごとのメロディとコーラスの配置で聴かせる印象が強い。アレンジは1970年前後のポップ・ロックとしては比較的ストレートで、そこに少し歪んだ質感や浮遊感が加わる。サイケデリック期の作品としては、過度に実験的ではなく、曲の輪郭が追いやすい部類だ。
同時代とのつながり
Aphrodite’s Childは、同時代の欧州ロックの中でも、英語で歌うことで国境を越えて広がったグループだ。サイケデリック・ロックやポップ・ロックという軸で見ると、歌メロを重視する点ではThe Beatles以後の英国ポップ、鍵盤主体の組み立てではプログレッシブ・ロック前夜の空気とも接点がある。
ただし、この段階ではまだ大きく実験に振り切ってはいない。後年の『666』で見えるような前衛性はまだ控えめで、まずは楽曲の分かりやすさが前面にある。そういう意味では、バンドの変化の途中にある記録でもある。
再発盤としての見方
今回の日本盤は1978年リリース。オリジナルの1970年盤からは時間が空いている。付属インサート付きという点は、日本盤らしい丁寧な仕様として見てよさそうだ。音楽内容そのものは1970年の作品だが、日本で流通した盤としては、当時の再評価やカタログ整理の文脈で手に取られた可能性がある。
まとめ
『It’s Five O’Clock』は、Aphrodite’s Childの初期を代表するアルバムのひとつで、シングルヒットで知られるバンドのメロディ志向と、サイケデリック・ロック期の空気が同居した作品だ。代表曲「It’s Five O’Clock」を軸に、1970年前後のヨーロッパ産ポップ・ロックの輪郭が見えやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – It’s Five O’ Clock
- A2 – Take Up
- A3 – Take Your Time
- A4 – Annabella
- A5 – Let Me Love, Let Me Live
- B1 – Funky Mary
- B2 – Good Time So Fine
- B3 – Marie Jolie
- B4 – Such A Funny Night
関連動画
The Icicle Works – Evangeline (1987)
The Icicle Works「Evangeline」について
The Icicle Worksは、1980年にリヴァプールで結成されたUKグループで、1983年の「Love is a Wonderful Colour」で広く知られるようになったバンドだ。UKチャートではこの曲が最大のヒットになっている。Ian McNabbを中心に、当時のUKインディー/ロックの流れの中で活動していたグループで、この「Evangeline」は1987年の作品として出ている。
作品の位置づけ
「Evangeline」は、The Icicle Worksの1987年のリリース。バンドの初期の代表曲である「Love is a Wonderful Colour」から数年後の時期にあたり、よりアルバム単位でバンドの輪郭を追う流れの中にある1枚として見える。メンバーにはIan McNabb、Zak Starkey、Richard Naiff、Chris Sharrock、Chris Layhe、Paul Burgess、Roy Corkill、Dave Baldwin、Mark Revell、Dave Greenの名前が並ぶ。
内容と音の印象
収録は4トラック構成の12インチ盤。ロックを基調にした演奏で、インディー・ロックの枠に置かれる作品らしく、ギターの存在感と曲の推進力が前に出るタイプの記録として受け取れる。The Icicle Worksらしい、メロディを軸にした作り込みが見える作品だ。
実際に聴くと、華やかさよりも曲の運びとバンドのまとまりが先に来る。Ian McNabbの作曲家としての感触が前に出やすいバンドだが、この時期の作品でもその性格は保たれている。派手な装飾で押すというより、曲そのものの構成で聴かせる印象。
同時代の文脈
1980年代後半のUKロック/インディーの空気の中では、The Icicle Worksはメジャーな大ヒットを重ねるタイプというより、楽曲の質感で覚えられるバンドのひとつだ。リヴァプール出身という点でも、同じ都市圏から出てきた多くのUKバンドと並べて語られることが多い。
「Love is a Wonderful Colour」がバンド最大のヒットであることを踏まえると、「Evangeline」はその代表曲のような知名度で語られるというより、当時のバンドの活動を追ううえで押さえておきたい一作という位置づけになっている。
初回盤の仕様
初回プレスには巨大なポスターが付属していた。フロント・スリーヴには、ポスター付きの初回盤を示す白いステッカーが貼られており、「4 track 12″ BEG 181 TP includes poster」と記載されている。さらに、両ラベルとも「A SIDE」と表記されているが、B面側はミスプリントになっている。ランアウトはすべて手書き刻印だ。
まとめ
「Evangeline」は、The Icicle Worksの1987年の活動を切り取ったUK盤。初期ヒット「Love is a Wonderful Colour」で知られるバンドの、その後の時期を示す記録として見やすい。ポスター付き初回盤やラベルのミスプリントなど、物としての特徴もはっきりしている。
トラックリスト
- A – Evangeline
- B1 – Everybody Loves To Play The Fool
- B2 – Waiting In The Wings
- B3 – Evangeline (Demo Version)
関連動画
Stone The Crows – Stone The Crows (1970)
Stone The Crows『Stone The Crows』(1970)
Stone The Crowsの1970年作『Stone The Crows』は、スコットランド出身のロック・バンドによるデビュー・アルバムだ。1969年に活動を始め、1973年までの短い活動期間のあいだに4枚のスタジオ・アルバムを残しているが、その最初の1枚がこの作品になる。
メンバーにはMaggie Bell、Leslie Harvey、Jimmy McCulloch、James Dewar、Colin Allen、Ronnie Leahy、Steve Thompson、John McGinnisの名前が並ぶ。ブルース・ロックを軸にしたサウンドで、60年代末から70年代初頭の英国ロックの流れの中に置くと見えてくるバンドだ。
作品の位置づけ
デビュー盤ということもあって、バンドの輪郭を最初に示す役割が強い。Stone The Crowsはのちにいくつかのスタジオ作を出すが、このアルバムではまず、Maggie Bellの歌声と、ギターを中心にしたバンド・サウンドが前面に出る構成になっている。英国のブルース・ロックを語る文脈では、同時代のバンド群と並べて語られることが多いグループのひとつだ。
収録とレコード仕様
この盤はゲートフォールド仕様。ジャケットを開く形の作りで、当時のロック・アルバムらしいパッケージになっている。
レーベル面のクレジットには、A3が著作権管理下にあること、そして「Fred Stumble & The Icelandic Sheep Band」への謝辞が記されている。こうした文言も、70年代初頭のレコードらしい細部だ。
聴きどころとして見える点
このアルバムの核は、やはりMaggie Bellの歌唱にある。ブルースを下敷きにしたロックの中で、声そのものが強い存在感を持つタイプの作品だ。バンド全体としては、ギター、オルガン、リズム隊が前に出る編成で、曲ごとに熱量を保ちながら進む印象がある。
実際に耳を通すと、派手な装飾よりも、演奏のまとまりとボーカルの押し出しが印象に残る。70年という時期の空気、つまりブルース・ロックがハードな方向へ少しずつ寄っていく流れの中で、その場の演奏感を大事にした作りに感じられる。
同時代の文脈
Stone The Crowsは、英国のブルース・ロック系バンドの系譜の中で捉えやすい。女性ボーカルを前面に置いた点でも、同時代のロック・バンドの中では存在感がある。Maggie Bellの名前は、その後のロック・シーンでもしばしば言及される。
また、メンバーの顔ぶれを見ると、のちに別のバンドや活動で知られるミュージシャンも含まれており、当時の英国ロックの流動性も見えてくる。短い活動期間ながら、70年代初頭のロックの一断面を切り取ったような1枚だ。
まとめ
『Stone The Crows』は、Stone The Crowsの出発点となる1970年のデビュー・アルバム。ブルース・ロックを基調に、Maggie Bellの歌を軸へ置いた作品として把握しやすい。バンドの初期像を知るうえで重要な1枚、という位置づけのアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – The Touch Of Your Loving Hand (6:01)
- A2 – Raining In Your Heart (5:10)
- A3 – Blind Man (5:09)
- A4 – The Fool On The Hill (4:13)
- B1 – I Saw America (17:28)
関連動画
The Church – Heyday (1985)
The Church『Heyday』(1985)
The Churchは、オーストラリアのロック・バンドとして知られるグループで、Steve Kilbeyを中心に1980年に始動した。初期は4人編成を経て、Marty Willson-Piperの加入でギター2本の体制が固まり、以後のバンド像を形づくっていく。その流れの中で出たのが、1985年作の『Heyday』である。
この作品は、The Churchの初期を代表するアルバムのひとつとして扱われることが多い。1985年という時期のバンドは、まだキャリアの土台を固めている段階で、ここでは後年の内省的な側面に向かう前の、演奏の輪郭がはっきりした時期の姿が見える。オーストラリア発のインディー・ロック、ギター主体のロック文脈の中で聴かれてきた作品でもある。
作品の位置づけ
『Heyday』は、The Churchのディスコグラフィーの中でも、初期の勢いとバンドの個性がまとまっている時期のアルバムとして見られる。Steve Kilbeyのソングライティング、Peter KoppesとMarty Willson-Piperのギターの絡み、そして当時のバンドが持っていたバンド・サウンドのまとまりが、この時点でかなり明確になっている。
後の代表曲で広く知られる時代に比べると、ここでは曲ごとのアレンジや演奏の組み立てが前面に出る。The Churchらしい、ギターのレイヤーを軸にした作りが確認できるアルバムという印象で語られることが多い。
同時代の文脈
1985年のロック/インディー・ロック周辺を見渡すと、英国やオーストラリアではギターを中心にしたバンドが多く活動していた時期である。The Churchもその流れの中で、派手な装飾よりも演奏の組み合わせで聴かせるタイプのバンドとして位置づけやすい。
同じくギターの重なりや楽曲の構造で聴かせるバンド群と並べて語られることはあるが、The Churchの場合はSteve Kilbeyの低めの歌唱と、2本のギターが作る線の多い音像が特徴になっている。
収録曲と代表曲について
この時期のThe Churchを語るときは、後年に知られる曲やアルバムとのつながりで触れられることが多い。『Heyday』そのものは、のちの代表曲である「Under the Milky Way」の時代より前の作品で、バンドの基礎体力がよく見える段階にある。
アルバム単位で聴くと、楽曲ごとにギターの配置やリズムの置き方が変わり、バンドの持つ柔らかさと硬さの両方が見える構成になっている。曲単体のヒットで押すタイプというより、アルバム全体の流れで印象を残すタイプの作品として受け止められてきた。
このカナダ盤について
今回の盤はカナダ盤で、WEA Music Of Canada Ltd.による製造・流通。プリントされたインナー・スリーブに歌詞が付く仕様である。1985年のオリジナル時期のリリースなので、当時の空気感をそのまま持つ初期プレスとして扱える。
音の細部やマスタリング差については盤ごとの確認が必要になるが、少なくともこの仕様からは、当時の流通形態とアルバムの初出時の形を追える。ジャケットやインナーを含めて、80年代中盤のロック作品らしいパッケージングになっている。
まとめ
『Heyday』は、The Churchの初期を代表する1985年作で、Steve Kilbeyを軸にしたソングライティングと、2本のギターが作るバンド・サウンドがはっきり出たアルバムである。後年の代表曲へつながるバンドの基礎が見える一枚、といった位置づけで語りやすい作品だ。
オーストラリア発のインディー・ロック、1980年代中盤のギター・バンドの文脈の中で聴くと、The Churchというバンドの輪郭がつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – Myrrh (4:18)
- A2 – Tristesse (3:28)
- A3 – Already Yesterday (4:15)
- A4 – Columbus (3:48)
- A5 – Happy Hunting Ground (5:30)
- B1 – Tantalized (4:57)
- B2 – Disenchanted (3:53)
- B3 – Night Of Light (4:46)
- B4 – Youth Worshipper (3:45)
- B5 – Roman (3:55)
関連動画
Eela Craig – Hats Of Glass (1978)
Eela Craig『Hats Of Glass』について
Eela Craigは、1970年代から80年代にかけて活動したオーストリアのロック・バンドで、プログレッシブ・ロックを軸にジャズやクラシックの要素、さらに宗教的な歌詞を取り込んだグループだ。『Hats Of Glass』は1978年に発表された作品で、同年のバンド活動を代表する一枚として位置づけられる。
録音は1977年8月から11月にかけて行われており、オリジナルの発表は1978年。Eela Craigのキャリアを追うと、初期のシンフォニックな志向から、より洗練されたスタジオ作品へと進んでいく流れの中にある作品として見えてくる。
バンドの背景
Eela Craigは1970年にリンツで結成された。初期作ではEmerson, Lake & Palmer、King Crimson、Gentle Giant、Colosseumといった同時代の大物と比較されたことがあり、演奏力と構成の込み入ったロックを持ち味にしていたバンドだ。1972年にはチューリヒ室内管弦楽団との共演も行っており、当時のロック・バンドとしては珍しいオペラハウスでの演奏にもつながっていく。
1975年にはVertigo Recordsと契約し、以後はシングルやアルバムを発表するようになる。1978年は特に重要な年で、宗教的コンセプトを持つ『Missa Universalis』や、クリス・デ・バーグの「A Spaceman Came Travelling」のカバーも同年に出ている。そうした流れの中で『Hats Of Glass』も並ぶ。
作品の内容と聴きどころ
『Hats Of Glass』は、Electronic、Rockを基盤に、Art Rock、Synth-pop、Prog Rockの要素が並ぶ作品として整理されている。Eela Craigらしい鍵盤中心のアレンジと、ロック・バンドとしての推進力が同居するタイプのアルバムだ。
この時期のEela Craigは、シンフォニック・ロックの文脈に置かれやすい一方で、1970年代後半らしいシンセサイザーの比重も見える。プログレッシブ・ロックの長い構成感だけでなく、電子楽器を前に出したサウンドが作品の輪郭を作っている。
また、同時代のプログレ勢と比べると、イギリス勢の大仰さよりも、ドイツ語圏のバンドらしい緻密さや教会音楽的な感触がにじむ。Brucknerや宗教音楽との接点を持つ『Missa Universalis』の存在を踏まえると、『Hats Of Glass』も単なるロック盤ではなく、彼らの幅広い音楽的背景の延長線上にある作品として聴ける。
代表曲・話題曲について
1978年のEela Craigを語るうえでは、同年の「A Spaceman Came Travelling」がよく知られている。こちらはChris de Burgh曲のカバーで、バンドの透明感のあるアンサンブルと相性のよい楽曲として扱われてきた。『Hats Of Glass』自体の中でも、こうしたメロディ重視の感覚や、電子的な響きの扱いにバンドの特徴が出ている。
この時期の位置づけ
『Hats Of Glass』は、Eela Craigが1970年代後半に到達したスタジオ志向のまとまりを示す作品といえる。初期のプログレ的な実験性を引き継ぎつつ、シンセサイザーやロックの推進力を前面に出した時期の記録でもある。
その後、バンドは1980年代前半に活動が停滞し、1987年にはポップ寄りのシングル群を発表、最後のアルバム『Hit or Miss』へ進む。そうした後年の動きを見ると、『Hats Of Glass』は、バンドの中でも70年代的なプログレ路線と電子音響の接点を示す一枚として確認しやすい。
まとめ
Eela Craig『Hats Of Glass』は、オーストリアのプログレ・バンドが1978年に残した電子音とロックの結節点のような作品だ。ジャズやクラシックの影響、宗教音楽への関心、そして同時代のプログレ・バンドと比較される演奏志向が、バンドの背景としてそのまま反映されている。
1977年秋の録音という事実も含めて、70年代後半の空気をそのまま封じ込めた一作として見てよさそうだ。
トラックリスト
- A1 – A Spaceman Came Travelling (4:49)
- A2 – Hats Of Glass (10:25)
- A3 – Chances Are (5:26)
- B1 – Heaven Sales (2:53)
- B2 – Holstenwall Fair (8:10)
- B3 – Caught On The Air (3:52)
- B4 – (Remove Another Hat Of Glass And You Could Easily Find Assorted Kinds Of) Cheese (3:30)
関連動画
Curved Air – Phantasmagoria (1972)
Curved Air『Phantasmagoria』(1972)について
Curved Airは、1970年に結成されたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドで、1972年の『Phantasmagoria』はその初期を代表する作品のひとつだ。バンドの中心にいるのは、ヴォーカルのSonja Kristinaと、Darryl Way、Francis Monkmanらの個性の強い演奏陣。ストリングスやシンセサイザーも含めた編成で、当時の英国プログレらしい実験性と、歌曲としてのまとまりが同居しているアルバムとして知られている。
この作品は、Curved Airの2作目にあたり、前作『Air Conditioning』に続いてバンドの方向性をはっきり示した時期の録音だ。1972年3月、ロンドンのAdvision Studiosで録音され、例外のある曲を除いてそこで制作されている。ジャケットやクレジットからも、当時のスタジオ技術を積極的に使った作品であることが読み取れる。
作品の特徴
『Phantasmagoria』では、ロックの基本形に加えて、変拍子、クラシカルな旋律、電子音響的な処理が前面に出る。曲によってはアコースティックな響きよりも、編集やシンセサイザーの処理そのものが楽曲の構成要素になっている。特にB面の一部では、声をコンピュータで解析・加工したうえで使用しており、当時としてはかなり実験的な制作だ。
録音クレジットを見ると、E.M.S.(London)での作業や、Synthi 100 Synthesizerの使用が記されている。Peter Zinovieffの許可のもとで制作されたトラックもあり、電子音楽の文脈とも接点がある内容だ。プログレッシブ・ロックの中でも、演奏の技巧だけでなく音響処理まで踏み込んだ時期の作品として位置づけやすい。
収録曲にまつわるメモ
この盤のクレジットには、曲ごとの制作上の注記が残っている。
- Track A4には「Also featuring Doris the Cheetah」とある。曲のクレジット上の遊び心が見える部分。
- Track A5はE.M.S.で録音され、Synthi 100 Synthesizerでシーケンスされたと記されている。
- Track B2はSonja Kristinaの声をPDP 8/LコンピュータとSynthi 100で解析・処理した素材のみで構成されていると明記されている。
こうした記述からも、単なるバンド演奏の記録ではなく、スタジオそのものを使った実験が作品の中核にあることがわかる。曲名やクレジットの段階で、すでに音の作り方を見せているアルバムだ。
バンド内での位置づけ
Curved Airは、ヴァイオリンを前に出した編成や、Sonja Kristinaの歌唱で知られるバンドだが、『Phantasmagoria』ではその特徴がかなり明確に出ている。Darryl Wayのヴァイオリン、Francis Monkmanのキーボード、Sonja Kristinaの歌がそれぞれ別の役割を持ちながら、曲ごとに組み替わっていく印象がある。
この時期のCurved Airは、同時代の英国プログレの中でも、YesやGenesisのような大編成の組曲路線とは少し異なり、室内楽的な感触と電子音響をつなげる方向に特徴がある。比較対象としては、音の実験を積極的に取り入れたグループや、ヴァイオリンを含む編成のプログレ・バンドが思い浮かぶ。
代表曲について
『Phantasmagoria』からは、アルバム全体の流れの中で聴かれる曲が多いが、収録曲の中にはバンドの個性を示す楽曲が並ぶ。特定の一曲だけが切り出されるというより、演奏、歌、電子処理の組み合わせでアルバムとして印象が残るタイプの作品だ。ヒット曲中心の作りではなく、作品全体の構成を追う楽しみがある。
日本盤について
この日本盤は1972年のリリースで、バックカバーにはWarner-Pioneerのクレジットが入っている。オリジナルと同年のリリースなので、内容面では当時の作品性をそのまま伝える盤と見てよさそうだ。レコードの流通面では日本国内向けの仕様が付く時代の一枚で、ブックレットやジャケット表記の違いがコレクション上の見どころになることもある。
まとめ
『Phantasmagoria』は、Curved Airの初期を代表する1972年のアルバムで、プログレッシブ・ロックの演奏性と、スタジオ実験の両方がはっきり出た作品だ。ロンドン録音、電子音楽的な処理、Sonja Kristinaの声を素材にしたトラックなど、当時の技術を使い切る姿勢が記録されている。バンドの個性がそのままアルバムの構造になっている一枚、という印象が強い。
トラックリスト
- A1 – Marie Antoinette (6:20)
- A2 – Melinda (More Or Less) (3:25)
- A3 – Not Quite The Same (3:44)
- A4 – Cheetah (3:33)
- A5 – Ultra-Vivaldi (2:22)
- B1 – Phantasmagoria (3:15)
- B2 – Whose Shoulder Are You Looking Over Anyway? (3:24)
- B3 – Over And Above (8:36)
- B4 – Once A Ghost Always A Ghost (Dedicated To Al & Bena) (4:25)
Vangelis – Hypothesis (1978)
Vangelis『Hypothesis』(1978)について
『Hypothesis』は、Vangelis名義で1978年に出た作品。ギリシャ出身の作曲家、編曲家、キーボード奏者として知られる彼の初期活動を伝える1枚で、電子音楽、ジャズ、ロックの要素が交差する内容になっている。後年の映画音楽や大規模なシンセサウンドで広く知られる以前のVangelisを追ううえで、位置づけの見えやすい作品だ。
作品の背景
本作は1971年5月にロンドンのMarquee Studiosで録音された音源を収めたものとして扱われている。リリースは1978年のUK盤で、レーベル表記はA BYG Recording。グレー地にグリーン文字のラベルで出回った盤として知られている。
VangelisはAphrodite’s Childのメンバーとしても活動した人物で、1970年代前半からソロ名義やコラボレーションを通じて多くの作品を残した。『Hypothesis』は、その中でもかなり早い時期の記録にあたる。
音の印象
演奏の中心には、キーボードを軸にした即興的な流れがある。ジャズ・ロック寄りのリズム感を持ちながら、曲の進行はきっちり整理されるというより、音が連なっていくタイプ。電子的な音色と生楽器の反応が同じ場に置かれていて、実験性の強い作りだ。
後年のVangelisにある、旋律を大きく押し出す書き方とは少し距離がある。ここでは、音の質感や反復、展開のしかたに耳が向く。プログレッシブ・ロックの周辺にあった1970年代初頭の空気も感じやすい。
同時代の文脈
この時期のヨーロッパのロックや電子音楽には、即興性とスタジオ実験を組み合わせる動きが多い。Vangelisの初期作もその流れの中にあり、ジャズ・ロック、実験音楽、プログレッシブ・ロックの境界に立つ作品として見られることが多い。
同時代のアーティストでいえば、電子的なアプローチではクラウトロック周辺、即興性ではジャズ・ロック系のミュージシャンと並べて語られることがある。とはいえ、Vangelisはその後、映画音楽やシンセ主体のソロ作品で独自の位置を作っていくため、『Hypothesis』はその前段階の記録として読むと分かりやすい。
この作品の位置づけ
『Hypothesis』は、Vangelisのキャリアの中でも初期の試みを示す1枚。のちの代表作である『Chariots of Fire』や『Blade Runner』のような、広い空間を思わせるメロディ中心の作風とは異なるが、音響の扱い方や構成の発想には、後年につながる部分も見える。
また、この作品は本人の正式な許可なしに出た音源としても知られている。そうした経緯もあり、1971年の録音時点のVangelisを記録した資料的な性格が強い。
まとめ
『Hypothesis』は、Vangelisの初期を知るうえで重要な作品のひとつ。1971年録音、1978年リリースという経緯を持ち、電子音楽、ジャズ、ロックが交わる実験的な内容になっている。後年の大きな成功作とは別の場所にあるが、彼の出発点に近い姿を伝える1枚として押さえておきたい作品だ。
トラックリスト
- A – Hypothesis – Part 1 (16:00)
- B – Hypothesis – Part 2 (16:10)
関連動画
Junior Walker & The All Stars – Peace & Understanding Is Hard To Find (1973)
Junior Walker & The All Stars『Peace & Understanding Is Hard To Find』(1973)
Junior Walker & The All Starsが1973年に発表したアルバム。Motown周辺で活動してきた彼らのディスコグラフィーの中でも、70年代前半の時期を切り取る一枚として位置づけられる作品だ。アーティスト名の通り、中心にいるのはサックス奏者のJunior Walker。そこに Willie Woods、Phillip Wright、James Graves、Jerome Teasley、Victor Thomas が加わる編成で、R&Bとソウルを軸にしたバンド・サウンドを鳴らしている。
アーティストの背景
Junior Walker & The All Stars は、1960年代のMotownを代表するインストゥルメンタル寄りのR&Bグループのひとつ。もともとは「The Rhythm Rockers」として活動し、その後「The All Stars」となり、1961年にHuey P. Meauxの紹介でHarveyレーベルとつながった経緯がある。のちにFuqua系のレーベルがBerry GordyのMotownに吸収されると、1964年からMotown所属となった。
このグループの代表曲として知られるのが1965年の「Shotgun」。サックスのフレーズが前面に出た、短くも強い推進力のある曲としてよく語られる。以後も1972年までチャート上で活動を続け、1979年に解散した。
この作品の位置づけ
『Peace & Understanding Is Hard To Find』は、タイトル曲が初出となる1973年の作品。Junior Walker & The All Starsにとっては、60年代のヒット期を経たあと、70年代のソウル/ファンクの流れの中で作られたアルバムという見方ができる。Motownの看板のひとつとしての役割を担いながら、サックス主体のバンド・サウンドを保っている点が重要だ。
同時代の文脈で見ると、James Brown周辺のファンク、あるいは同じMotown系の緊張感あるソウル作品と並べて語られることがありそうだが、Junior Walkerの場合はやはりリードするサックスの音が中心にある。歌だけで押すというより、楽器の推進力が前面に出る作りが特徴になっている。
聴きどころ
実際に耳を通すと、まず印象に残るのはJunior Walkerのサックスの輪郭。音数で埋めるというより、短いフレーズを強く置いていく感触がある。そこにリズム隊がついて、ソウルのグルーヴを作る構成。バンドとしてのまとまりがあり、演奏の温度感で引っ張るタイプのアルバムだ。
タイトル曲「Peace & Understanding Is Hard To Find」は、作品の顔として受け取られやすい曲名。70年代前半らしい社会的な言葉を持ちながら、演奏面ではJunior Walkerの持ち味がきちんと出るタイプの一曲として聴ける。
代表曲とのつながり
Junior Walker & The All Starsを初めて辿ると、多くの人はまず「Shotgun」に行き着くはずだ。あの曲の勢い、サックスの押し出し、Motownの中でも少し異色の荒さ。その延長線上にあるのが、この1973年作という捉え方がしやすい。大ヒット曲の再現というより、バンドの持ち味を70年代仕様で保っている印象。
まとめ
『Peace & Understanding Is Hard To Find』は、Junior Walker & The All Starsの看板であるサックス・ソウルを1973年の感覚で記録したアルバム。Motown黄金期の代表曲で知られるグループが、70年代にどう鳴っていたかを確認できる一枚だ。派手な逸話よりも、バンドの演奏とグルーヴそのものに価値がある作品として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 – I Ain’t Going Nowhere (3:35)
- A2 – I Don’t Need No Reason (2:44)
- A3 – It’s Alright, Do What You Gotta Do (3:29)
- A4 – It’s Too Late (2:54)
- A5 – Soul Clappin’ (4:25)
- B1 – I Can See Clearly Now (3:18)
- B2 – Gimme That Beat (Part 1) (3:27)
- B3 – Gimme That Beat (Part 2) (2:48)
- B4 – Country Boy (2:59)
- B5 – Peace And Understanding (Is Hard To Find) (3:05)
関連動画
Albert Hammond – Your World And My World (1981)
Albert Hammond / Your World And My World(1981)
Albert Hammondの1981年作『Your World And My World』は、ソフトロックやポップロックの流れの中で、メロディを前面に出した楽曲を並べたアルバムだ。British singer / composerとして知られるHammondは、ロンドン生まれでジブラルタル育ち。のちにアメリカへ拠点を移し、シンガーとしてだけでなく、ソングライターとしても活動を広げていった人物である。
アーティストとしての位置づけ
1981年という時期のAlbert Hammondは、すでにヒット曲を持つ作家・歌手として認知されていた時期に当たる。70年代にアメリカで活動を続けたあとに出た本作は、彼の持ち味である歌の流れの良さ、コード進行のわかりやすさ、そして声の柔らかさが、そのままアルバム単位でまとまった作品として捉えやすい。
同時代のアメリカ西海岸系のポップスや、同じくメロディ重視のシンガーソングライター作品と並べて語られることが多いタイプの1枚だ。派手な演出よりも、曲の骨格と歌で聴かせる作り。そういう意味で、Albert Hammondの作家性が見えやすいアルバムである。
音の印象
この作品は、バラード調の曲と、ポップ寄りの曲が自然につながっていく構成が目立つ。アコースティックな響きとバンド演奏のバランスがよく、耳に入ってくるのはまずメロディの明瞭さ。ソフトロック、フォークロック、ポップロックというタグどおり、ビートで押すというより、歌の線を丁寧に追わせる作りだ。
実際に聴くと、声の置き方がかなり素直で、フレーズの終わりまで崩さずに運ぶタイプの歌い方が印象に残る。音数が多すぎないぶん、コードの変化やコーラスの重なりが聴き取りやすい。派手な展開を求めるより、曲の中で少しずつ景色が動く感じのアルバムである。
代表曲・ヒット曲について
Albert Hammondの代表曲としては、単独のヒットだけでなく、作家として広く知られる楽曲が多い。本作そのものの中でも、アルバムの核になるのは歌メロを強く押し出したバラード群だ。タイトルの『Your World And My World』も、アルバム全体の性格を示すような、個人の感情をまっすぐに置いた響きがある。
Hammondはのちにソングライターとしての評価も強まり、2008年にはSongwriters Hall of Fame入りを果たしている。そうした経歴を踏まえると、このアルバムも「歌を作る人」としての手つきが見えやすい一作として位置づけられる。
同時代とのつながり
1981年のポップ/ロック周辺では、洗練されたアレンジと聴きやすいメロディを持つ作品が多い時期だった。Albert Hammondもその流れの中にいて、ロックの荒さよりも、ラジオ向きの整った構成を優先するタイプの作品を作っている。AOR的な感触や、シンガーソングライター系の落ち着いた作りと近い耳で聴けるアルバムだ。
同じくメロディ重視の男性ソロ作と比べても、Hammondは英国出身ながらアメリカで活動を続けた経歴が効いていて、英語圏のポップスの中心に自然に入り込むタイプの作家として見えやすい。
まとめ
『Your World And My World』は、Albert Hammondの歌と作曲の持ち味が、1981年時点のポップロックの枠組みの中でまとまったアルバムだ。曲単位でもアルバム単位でも、派手さよりも流れのよさが前に出る。ソフトロックやバラード系の感触を軸に、彼の作家性を追いやすい作品として受け取れる。
トラックリスト
- A1 – Your World And My World (3:48)
- A2 – Memories (3:12)
- A3 – When I’m Gone (4:22)
- A4 – Anyone With Eyes (3:22)
- A5 – World Of Love (2:08)
- B1 – I Want You Back Here With Me (3:34)
- B2 – Experience (3:24)
- B3 – Take Me Sailing (2:40)
- B4 – By The Night (4:28)
- B5 – I’m A Camera (2:13)
関連動画
Patrick Moraz – Human Interface (1987)
Patrick Moraz『Human Interface』(1987)について
Patrick Morazは、スイス出身のキーボード奏者。プログレッシブ・ロックとジャズの両方の文脈で知られる人で、Mainhorse、Refugee、Yes、そしてMoody Bluesでの活動でも名を残している。ソロ作は、その多彩な鍵盤ワークを前面に出した作品が多く、この『Human Interface』もその流れの中にある1987年作だ。
このアルバムはカナダ盤で、リリース年は1987年。記録上はカナダでプレスされており、スパインには「Printed In Canada」の表記がある。録音・制作面では、TimeCode Studiosで作曲、編曲、プログラミングが行われ、Blackbarn Studiosで演奏・録音・ミックスが行われたとクレジットされている。デジタル録音、ミックス、マスタリングを前提にした作品で、80年代後半らしい制作環境がはっきり見える一枚だ。
作品の位置づけ
Patrick Morazにとっては、バンド活動と並行して続けてきたソロ表現のひとつ。YesやMoody Bluesで知られる彼だが、ソロではより直接的にキーボード主体の音作りを展開してきた。『Human Interface』は、その中でも電子楽器と当時のデジタル機材を積極的に使った時期の作品として見てよさそうだ。
クレジットには、Kurzweil Music Systems、Korg、Apple Computer、Sony 3324など、当時のスタジオ機材やデジタル環境が並ぶ。Macintosh Computersの記載もあり、80年代後半のテクノロジーと音楽制作の接点がかなり前面に出たレコードになっている。
サウンドの印象
実際に聴くと、鍵盤のレイヤーを軸にした構成が中心で、プログレッシブ・ロック的な組み立て方と、電子音楽寄りの処理が同居している印象がある。バンド演奏の生々しさを押し出すというより、プログラミングや録音処理を含めて音像を作るタイプの作品だ。
この時期のMorazらしく、旋律だけでなく音色の切り替えやリズムの置き方に耳が向く内容。ギターロック中心の80年代プログレとは少し違って、キーボード奏者の視点が最後まで通っている感じがある。
同時代の文脈
1987年という年を考えると、シンセサイザーやデジタル録音がロックの制作現場に定着していった時期にあたる。『Human Interface』もその流れの中にあり、当時の高度なスタジオ機材を使った作品として位置づけやすい。プログレの系譜で見ると、70年代的な長尺志向そのままというより、80年代の録音技術や音色設計を取り込んだタイプの作品だ。
盤の情報
このカナダ盤では、内袋にマスタリング・クレジットとしてSteve Rooke at Abbey Roadの表記があるものの、実際にはこのカナダ盤にはそのまま当てはまらない可能性が示されている。実際のプレスとマスタリングはCBS Records Canada Ltd., Don Mills, Ontarioで行われたとされる。
また、内袋の片面にはCinema Recordsのプロモーション文面が使われている。こうした仕様は、当時の流通や印刷資材の事情がそのまま残ったものとして見ておくとよさそうだ。
まとめ
『Human Interface』は、Patrick Morazのキーボード奏者としての持ち味を、1987年のデジタル制作環境の中でまとめたソロ作品だ。YesやMoody Bluesでの経歴を知っていると、そこからさらに電子的でスタジオ志向の方向へ振れた一枚として聴ける。プログレッシブ・ロックの系譜と80年代後半の録音技術、その接点にある作品。
トラックリスト
- A1 – Light Elements (6:38)
- A2 – Beyond Binary (4:32)
- A3 – Cin-A-Maah (5:45)
- A4 – Stormtroops On Loops (1:14)
- A5 – Modular Symphony (1st Movement) (3:06)
- B1 – Go To Ophioplomel (4:06)
- B2 – Kyushu (11:03)
- B3 – Stressless (6:06)
- B4 – Hyperwaves (6:05)
関連動画
- Patrick Moraz – Light Elements
- Patrick Moraz – Beyond Binary
- Patrick Moraz – Cin-A-Mah
- Patrick Moraz – Stormtroops on Loops
- Patrick Moraz – Modular Symphony (1st Movement)
- Patrick Moraz – Go to Ophioplomel
- Patrick Moraz – Kyushu
- Patrick Moraz – Stressless
- Patrick Moraz – Hyperwaves
- Patrick Moraz – Go to Ophioplomel + Intro (bonus track)
Thors Hammer – Thors Hammer (1971)
Thors Hammer『Thors Hammer』について
Thors Hammerは、コペンハーゲン出身のデンマークのプログレッシブ・ロック・バンドで、1971年に1枚だけアルバムを残したグループとして知られている。ここで取り上げる『Thors Hammer』はその唯一のアルバムで、1971年のオリジナル盤はデンマークのMetronomeから出ている。のちの2010年盤はドイツ盤の再発で、オリジナルの録音をもとにした復刻盤という位置づけになる。
メンバーはJesper Nehammer、Michael Bruun、Henrik Bødtcher、Peter Nielsen、Simon Koppel、Henrik Langkilde。バンドのプロフィールとしては、この作品のあとに主要メンバーがまとまり、1970年代のAnacondaやTyggegummibandenの核になっていく流れが記録されている。
作品の基本情報
- アーティスト: Thors Hammer
- タイトル: Thors Hammer
- オリジナル・リリース: 1971年
- 2010年盤: ドイツ盤再発
- 録音: 1971年1月〜2月、コペンハーゲンのMetronome Studio
- レーベル表記: Original release by Metronome, Denmark 1971
- パッケージ: シングルジャケット、4ページ・インサート、ポリライン入りLPスリーブ
- 仕様: 1,000枚限定、手書きナンバリング入り
サウンドと時代背景
スタイルはジャズ・ロック、プログレッシブ・ロック。1971年という時期を考えると、北欧のロックが欧州のプログレ文脈に本格的に接続していく流れの中に置ける作品だ。デンマークの同時代バンドの中でも、演奏の組み立てや曲の展開を重視するタイプの一枚として見られることが多い。
ジャズ・ロック寄りの要素を含むプログレ作品として、同時代の英国勢と並べて語られることがある。とはいえ、単純に英米の模倣としてではなく、北欧ロックらしい整理されたアンサンブルと、録音年代相応の生々しい質感が前面に出るタイプのレコードといえる。
再発盤としての2010年盤
2010年盤は1971年オリジナルの再発で、収録内容の基本はオリジナル盤に沿っている。盤としては、限定1,000枚の手書きナンバー入り、4ページ・インサート付きという形でまとめられている。オリジナル盤の資料性を意識した作りで、作品そのものに加えて、当時の記録を手元で確認しやすい仕様になっている。
レコードのクレジットには、1971年の著作権表記と2010年の再発表記が併記されており、録音年と再発年の区別がはっきりしている。再発盤としては、オリジナルの記録をそのまま伝える方向のリリースと受け取れる。
位置づけ
Thors Hammerにとってこのアルバムは唯一のスタジオ・アルバムであり、バンドの名前をそのまま刻んだ自己紹介的な一枚でもある。のちにメンバーがAnacondaやTyggegummibandenへつながっていくことを考えると、単独作で終わったアルバムというより、70年代デンマーク・ロックの流れの起点のひとつとして見えてくる。
代表曲や広く知られたヒット曲については、この作品の情報からは特に前面には出ていない。アルバム全体で聴かれるタイプの作品として扱われることが多そうだ。
ひとこと
1971年の北欧プログレらしい記録性の強い一枚。唯一作、当時のスタジオ録音、のちの再発盤という要素がまとまっていて、バンドの歴史をたどる入口としても分かりやすいレコードだ。
トラックリスト
- A1 – Mexico (6:21)
- A2 – Not Worth Saying (13:05)
- B1 – Blind Gypsy Woman (5:02)
- B2 – Believe In What You Want (9:03)
- B3 – Evasive Dreams Beyond (3:32)