Gleb Kolyadin – Gleb Kolyadin (2018)
Gleb Kolyadin『Gleb Kolyadin』(2018)について
Gleb Kolyadinは、サンクトペテルブルク出身のピアニスト/キーボード奏者による、2018年のセルフタイトル作。UKのKscopeから出た作品で、ジャンル表記はJazz、Rock、スタイルはProg Rockとなっている。ピアノを軸にしながら、ロック寄りの構成感を持つ作品として受け止められる1枚だ。
作品の位置づけ
このアルバムは、アーティスト名をそのまま冠した初のタイトル作として見てよさそうだ。本人の演奏を前面に置いた内容で、ピアニスト/キーボード奏者としての輪郭を示す位置づけになっている。
Kscopeというレーベルの並びからも、プログレッシブ・ロック周辺のリスナーに届く形で紹介された作品と考えられる。ジャズ的な手触りとロックの構成感が同居するあたり、同時代のインストゥルメンタル系プログレや、クラシカルな鍵盤表現を軸にした作品群と並べて語られることが多いタイプだろう。
サウンドの印象
盤の情報から確認できるのは、ピアノとキーボードを中心にした作品であること、そしてジャズとロックの両方にまたがる性格を持つこと。演奏主体のアルバムとして、細かなフレーズの積み重ねや、鍵盤の音色の切り替えが聴きどころになっているはずだ。
プログレッシブ・ロック文脈では、派手な歌ものよりも、組曲的な展開やリズムの変化、鍵盤の主導権が前に出る作品として受け止められる可能性がある。いわゆる“バンドの中のキーボード”ではなく、鍵盤奏者自身の視点が中心にあるアルバムという印象。
リリース情報
- アーティスト: Gleb Kolyadin
- タイトル: Gleb Kolyadin
- オリジナルリリース年: 2018年
- 盤のリリース年: 2018年
- リリース国: UK
- レーベル表記: Kscope
- ジャンル: Jazz, Rock
- スタイル: Prog Rock
パッケージと盤の仕様
この盤は、シングルジャケットに収められ、再封可能なプラスチック・スリーブ入り。フロントにはハイプ・ステッカーが付き、印刷されたインナー・スリーブにはクレジットと歌詞が掲載されている。表記上は、2018年のKscope作品としてEU製。
まとめ
Gleb Kolyadinのセルフタイトル作は、サンクトペテルブルク出身の鍵盤奏者が、自身の演奏を軸にまとめた2018年作。ジャズとロックの境界に置かれつつ、Kscopeらしいプログレッシブな文脈にも接続された1枚だ。作品全体としては、ピアノとキーボードの表現を前面に出したインストゥルメンタル寄りの響きが核になっている。
トラックリスト
- A1 – Insight
- A2 – Astral Architecture
- A3 – Kaleidoscope
- A4 – Eidolon
- A5 – Into The Void
- A6 – The Room
- B1 – Confluence
- B2 – Constellation
- B3 – Echo / Sigh / Strand
- B4 – Penrose Stairs
- B5 – Storyteller
- B6 – The Best Of Days
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Guy Chabert – Ma Tarentaise (1978)
Guy Chabert「Ma Tarentaise」(1978)について
Guy Chabertの「Ma Tarentaise」は、1978年にフランスで出たフォーク/ワールド系の作品です。タイトルが示す通り、フランス東部のサヴォワ地方にあるタランテーズ渓谷を思わせる内容で、土地の名を前面に出した作品として受け止めやすい一枚です。フランスの地方色と、当時の素朴な歌ものの空気が重なるタイプのレコードといえるでしょう。
作品の輪郭
1970年代のフランスでは、シャンソンの流れを引きながら、地方の言葉や土地の記憶を扱う音楽が少なくありませんでした。「Ma Tarentaise」もその文脈に置くと見えやすい作品です。大都市のポップスというより、地域性や暮らしの感覚を前に出したフォーク寄りの表現として聴くと、輪郭がつかみやすいです。
Guy Chabertについてまとまったプロフィールは見当たらず、この作品がどの位置づけにあるかを厳密に追うのは難しいですが、少なくともタイトルと制作年からは、フランスの地方歌謡やルーツ志向の流れの中で生まれた録音として受け取れます。1978年という時期は、フォークが単なる流行ではなく、土地や記憶を記録する手段として機能していた時代でもあります。
1978年らしい聴こえ方
この時期のフランスのフォーク作品は、英米のフォークロックほど派手な編成に寄らず、歌、アコースティック楽器、素朴な伴奏を軸にした作りが目立ちます。そうした中で「Ma Tarentaise」も、メロディと語り口、地域の名前を持つ題材そのものが作品の中心になっているタイプとして捉えられます。
同時代の比較対象としては、フランスの地方色を打ち出したシンガーソングライターや、伝統音楽を再解釈したアーティストたちの流れが思い浮かびます。とはいえ、ここでは英米フォークの模倣というより、フランス語の響きと土地の記憶を軸にした独自の手触りが重要です。
タイトルから見えるもの
「Ma Tarentaise」というタイトルは、個人の思い出と地名が結びついた作りです。アルバム全体も、観光地の紹介というより、暮らしの感覚や地域へのまなざしを歌にしたものとして読むのが自然です。地名を冠した作品は、その土地に対する親密さが前提になることが多く、この作品もそうした私的な距離感を持っている可能性が高いです。
盤としてのポイント
オリジナルの作品年は1978年で、盤も同年のリリースです。再発盤としての違いを比べる材料は手元の情報からは読み取れませんが、少なくともこのレコードは1970年代末のフランス地方フォークの空気をそのまま抱えた一枚として位置づけられます。
まとめ
Guy Chabertの「Ma Tarentaise」は、フランスの地方性が前に出た1978年作として見ると、作品の性格がつかみやすいレコードです。派手さよりも、土地の名前、フランス語の響き、歌の持つ記録性が印象に残るタイプの一枚です。
トラックリスト
- A1 – Ma Tarentaise (5:28)
- A2 – Infusion Au Plutonium (4:56)
- A3 – Trame (4:05)
- A4 – Ode Au Berger (4:32)
- B1 – A La Vieille (3:12)
- B2 – Liberté (4:27)
- B3 – Le Cheval Galaxique (4:30)
- B4 – Le Quartier Nègre (3:26)
- B5 – Les Blés De L’Hiver (3:51)
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Third Ear Band – Music From Macbeth (1972)
- Classical
- Electronic
- Folk, World, & Country
- Stage & Screen
- Experimental
- Folk
- Neo-Classical
- Soundtrack
Third Ear Band「Music From Macbeth」について
Third Ear Bandの「Music From Macbeth」は、1972年に発表されたサウンドトラック作品だ。ロマン・ポランスキー監督の映画「マクベス」のために制作された音楽で、Third Ear Bandにとっても代表作として知られる一枚になっている。英国のアンダーグラウンドから出てきたグループらしく、ロックの文脈に収まりきらない器楽中心の作りがこの作品でもはっきりしている。
このバンドは、1960年代ロンドンの実験的なシーンを背景にしたグループで、打楽器、弦、木管を軸にした編成へと移っていった経緯がある。「Music From Macbeth」でも、そのアコースティックな編成を生かした演奏が中心で、旋律よりも音の配置や間、反復の感覚が前に出る内容になっている。
作品の位置づけ
Third Ear Bandの作品の中では、この「Music From Macbeth」が最も広く知られている。Harvestレーベルの中でもかなり異色の存在として語られやすく、John Peelに支持されたことでも知られる。中世音楽を思わせる素材に、東洋的な響きや即興性を混ぜた器楽音楽という彼らの特徴が、このサウンドトラックでまとまった形になっている。
映画音楽としては、場面を細かく追うというより、映像の空気を支える役割が強い。打楽器の刻み、弦の持続、管楽器の短いフレーズが前後しながら進み、作品全体に古風な手触りと実験音楽らしい構成感を与えている。
収録音の印象
実際に聴くと、派手な展開で押すタイプではなく、音の層が少しずつ入れ替わっていく作りが目立つ。強いリズムで引っぱる曲よりも、静かな緊張感を保ちながら進む断片が多い。フォークの素朴さ、室内楽的な組み立て、舞台音楽のような性格が同居している印象だ。
サウンドトラックでありながら、曲ごとの独立性よりも全体の流れで聴かせるタイプ。短いモチーフの反復や、同じ音型の微妙な変化が続き、映画の不穏さとよく結びついている。
同時代との関係
同時代の英国プログレッシブ・ロックやサイケデリック作品と比べても、Third Ear Bandはかなり特殊だ。たとえば、同じHarvest周辺の実験性を持つグループと並べても、エレクトリックなロックバンドというより、古楽、民族音楽、即興演奏の交点にいる。クラスター感のある室内楽的な響きや、映画音楽としての機能性は、当時の前衛的なフォークや現代音楽の周辺ともつながって見える。
一方で、ロックの文脈に置くと、ギター主体のバンドではなく、打楽器と弦、管の組み合わせで独自の音を作っている点が際立つ。Third Ear Bandの名前が語られるとき、この作品が外せないのも自然な流れだ。
日本盤について
今回の日本盤は、1972年の作品を日本で初めて出したものになる。初期プレスの一部には赤盤があるとされている。オリジナルの内容は同じながら、日本での初出盤としての存在感は強い。
まとめ
「Music From Macbeth」は、Third Ear Bandの特徴がそのまま映画音楽に結びついた作品だ。中世的な響き、アコースティック中心の編成、即興性のある構成が、マクベスという題材の不穏さと重なっている。ロック、フォーク、現代音楽、舞台音楽の境界にあるアルバムとして、1972年の英国実験音楽の一断面を示す一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Overture
- A2 – The Beach
- A3 – Lady Macbeth
- A4 – Inverness: Macbeth’s Return / The Preparation / Fanfare / Duncan’s Arrival
- A5 – The Banquet
- A6 – Dagger And Death
- A7 – At The Well / The Prince’s Escape / Coronation / Come Sealing Night
- A8 – Court Dance
- B1 – Fleance
- B2 – Groom’s Dance
- B3 – Bear Baiting
- B4 – Ambush / Banquo’s Ghost
- B5 – Going To Bed / Blind Man’s Buff / Requiescant / Sere And Yellow Leaf
- B6 – The Cauldron
- B7 – Prophesies
- B8 – Wicca Way
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Pilot – Second Flight (1975)
Pilot『Second Flight』について
『Second Flight』は、スコットランドのポップ・グループ、Pilotが1975年に発表した作品。Bandの初期を代表する流れの中にあるタイトルで、同年のバンドの活動をそのまま切り取ったような一枚として位置づけられる。
Pilotは、元Bay City RollersのDavid PatonとBilly Lyallを中心に、1973年にエディンバラで結成されたグループ。Alan Parsonsと密接に仕事を進めたことでも知られ、1974年から1975年にかけて「Magic」「January」「Call Me Round」「Just A Smile」といった曲をヒットさせている。そうした時期の勢いを背景にしたアルバムという見方ができる。
作品の聴きどころ
この時期のPilotは、メロディを前に出した作りがはっきりしている。David Patonのリード・ボーカルとベースを軸に、Billy Lyallのキーボードやフルート、Ian Bairnsonのギター、Stuart Toshのドラムが組み合わさる形。派手に押し切るというより、曲の輪郭をきちんと見せるタイプの演奏が中心になっている。
すでにシングルで実績を作っていた時期なので、楽曲単位で耳に残るフックを置く構成が目立つ。1970年代中盤のブリティッシュ・ポップ/ソフトロックの文脈で聴くと、同時代のメロディ重視のバンド群と並べて捉えやすい。
同時代との関係
Pilotは、同じく英国のポップ・ロックの中でも、アリーナ向けの大きな音ではなく、整ったアレンジと歌の流れで聴かせる側にある。Alan Parsonsとの関係からも、音のまとまりや構成の明快さが意識されたグループとして見やすい。後年にはメンバーがThe Alan Parsons ProjectやKate Bushの作品にも関わっていくが、この『Second Flight』は、そうした活動の前段にあるPilot本体の姿を確認できる時期の記録でもある。
日本盤としての特徴
この盤は1975年の日本盤で、Japanese inner sheetと帯付き。日本向けの体裁が整った当時のリリースで、オリジナルの時代感をそのまま持ったまま国内流通した形になる。
代表曲とのつながり
Pilotといえば「Magic」や「January」がよく知られているが、『Second Flight』はそのヒット期と近いタイミングにあるため、バンドの核となるメロディ志向をつかみやすい。代表曲で知られる印象と、アルバム全体で見せるバンドのまとまり、その両方を意識しながら聴ける作品だ。
まとめ
『Second Flight』は、Pilotが1975年に示したポップ・センスと演奏のまとまりを確認できる一枚。スコットランド出身のバンドらしい、曲の輪郭を大切にした作りが中心で、同時代の英国ポップ/ソフトロックの流れの中でも位置づけやすい作品となっている。
トラックリスト
- A1 – You’re My No. 1
- A2 – Love Is
- A3 – Call Me Round
- A4 – 55º North 3º West
- A5 – To You Alone
- A6 – Do Me Good
- B1 – Heard It All Before
- B2 – Bad To Me
- B3 – You’re Devotion
- B4 – January
- B5 – Passion Piece
- B6 – Dear Artist
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Time Traveller – Chapters I & II (2008)
Time Traveller『Chapters I & II』について
『Chapters I & II』は、フィンランドのロック・バンド、Time Travellerによる2008年作。ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rockで、同国フィンランドでリリースされた作品である。タイトルからもわかるように、章立てのような構成を意識した作品名で、プログレッシブ・ロックらしい組み立てを想像しやすい一枚だ。
作品の位置づけ
2008年という時期は、90年代以降に再評価が進んだプログレッシブ・ロックの流れが、北欧圏でも続いていた時期に当たる。Time Travellerの本作も、その文脈の中で捉えやすい。バンドのプロフィールやメンバー情報は確認できないが、少なくともこの時点での代表的なリリースのひとつとして見られる作品名になっている。
内容の印象
実際に聴いた感触として語れる範囲で言うと、プログレッシブ・ロックの作品名らしく、曲の展開やパートの切り替えを意識した作りが前提にあるタイプのタイトルに見える。ロックの基本形を置きつつ、楽曲を短くまとめるよりも、流れや構成を重視する空気がある作品として受け取りやすい。
派手なヒット曲を前面に出すというより、アルバム全体で聴かせる性格の作品として捉えたほうが自然だろう。曲単位の代表曲として広く知られたナンバーは、少なくとも確認できる範囲では見当たらない。
同時代・ジャンルの文脈
フィンランドのプログレッシブ・ロックは、メロディを前面に出すバンドから、組曲的な展開を重視するタイプまで幅がある。Time Travellerもその中で、2000年代後半の北欧プログレの流れに置いて見ると整理しやすい。英国の古典的なプログレを参照しながら、現代的な録音感覚でまとめる作品群と並べて語られることが多い系統である。
リリース情報
- アーティスト: Time Traveller
- タイトル: Chapters I & II
- オリジナルリリース年: 2008年
- リリース国: フィンランド
- アーティスト国: フィンランド
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock
まとめ
『Chapters I & II』は、2008年のフィンランド産プログレッシブ・ロック作品として見ておくと把握しやすい。タイトルの示す通り、ひとまとまりの流れを重視したアルバム像が浮かびやすく、北欧プログレの2000年代的な一枚として位置づけられる作品である。
トラックリスト
- Chapter I: The Journey
- A1 – Launch
- A2 – Part One: The Pioneers
- A3 – Shifting (Or The Introduction To The Traveller)
- A4 – Part Two: The Traveller
- A5 – Part Three: Floating
- Chapter II: Circumstances
- B1 – Part Four: The Chase
- B2 – Part Five: The Great Escape
- B3 – Part Six: Dead End
- B4 – Part Seven: The Release
- B5 – Outro
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John “Jellybean” Benitez – Just A Mirage (1988)
John “Jellybean” Benitez / Just A Mirage
John “Jellybean” Benitez が1988年に発表した「Just A Mirage」は、アルバム「Just Visiting This Planet」からのシングル盤。クレジット上でも Produced for Jellybean Productions Inc. と記されていて、当時の彼がDJ/プロデューサーとして動いていた現場感のある1枚だ。
作品の位置づけ
Jellybean Benitez はニューヨーク生まれのアメリカ人ミュージシャン、ソングライター、DJ、プロデューサーとして知られる人物。80年代のダンス・ミュージックの流れの中で、制作側の仕事を前面に出してきたキャリアの持ち主で、このシングルもその文脈に置いて見やすい。
「Just Visiting This Planet」収録曲の中から切り出された形で、アルバムの中核を担う曲のひとつとして扱われている。
内容とクレジット
表題曲「Just A Mirage」は、A面に収録。出版クレジットは House Of Fun Music, Inc. / April Music, Inc. / Tutti Ragazzi Music。B面は House Of Fun Music, Inc. の表記になっている。
盤には ℗&© 1988 Chrysalis Records, Inc. の記載があり、80年代後半のメジャー・ダンス・シングルらしい体裁だ。
また、クレジット欄には Danae Jacovidis、Disconet、Casey Jones、India、Laura Kuntz、Mac Quayle、Ernest With The Gold Tooth (How Low Can You Go) へのスペシャル・サンクスが入っている。制作周辺に関わる人脈の広さが見える部分。
音の印象
この曲はHi NRGの流れにある作品として整理されていて、当時のダンス・フロア向けシングルらしい推進力がある。打ち込み主体のリズム、明確なビート、そしてボーカルを前に出す作りが中心で、クラブ向けの直進性を持った仕上がり。
Jellybean の名前で流通している作品群の中でも、プロデューサーとしての仕事がそのまま形になったタイプのシングルと言えそうだ。
同時代との関係
1988年のHi NRG/ダンス・ポップ周辺は、クラブ、12インチ、リミックス文化が強く結びついていた時代。この「Just A Mirage」も、その時代のUSダンス・シーンの空気を反映した1枚として見やすい。
同時代の作品群と比べると、DJ/プロデューサー主導の制作であることが前に出ていて、レコードとしての機能性がはっきりしている。
まとめ
「Just A Mirage」は、John “Jellybean” Benitez の1988年作として、アルバム「Just Visiting This Planet」から切り出されたダンス・シングル。Hi NRGの文脈、80年代後半のUSクラブ・サウンド、そしてプロデューサーとしてのJellybean の立ち位置が、そのまま反映された内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Just A Mirage (Extended Dance Mix) (5:45)
- A2 – Just A Mirage (Dub Mix) (4:44)
- B1 – Mirage (Dancers Dream) (Extended Dance Mix) (7:08)
- B2 – Mirage (Dancers Dream) (Hearthrobs Bonus Beats) (7:04)
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Atoll – L’Araignée-Mal (1975)
Atoll『L’Araignée-Mal』について
Atollは、1972年にフランス・メスで結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。フランス産らしい構成の細かさと、シンフォニックな展開をあわせ持つグループとして知られている。中心人物はアンドレ・バルゼとクリス・ベヤで、70年代を通じて編成を変えながら活動した。
『L’Araignée-Mal』は1975年の作品で、Atollの初期を代表するアルバムのひとつに位置づけられる。バンドがまだ勢いのある時期に作った作品で、のちの変化の前に、当時のAtollの輪郭をつかみやすい一枚だ。
作品の輪郭
このアルバムは、演奏の切り替わりが多く、曲の中で場面が次々に変わっていくタイプの作品だ。リフで押す部分と、鍵盤を中心に組み立てる部分の往復があり、フランスのプログレに特有の組曲感が出ている。英米系のプログレと比べると、演奏の運びにやや硬質な感触があり、同時代のフランス勢の中でも構成の密度を意識した作りに感じられる。
Atollは、マグマのような強い独自性を前面に出すタイプとも、キャメルのような流麗さを軸にするタイプとも少し違い、曲の展開そのものを丁寧に積み上げていく印象がある。『L’Araignée-Mal』でも、その作り方がはっきり出ている。
盤について
ここでの盤は1979年の日本盤。オリジナルは1975年の作品で、日本盤は後年の再発にあたる。ジャケット、インサート、帯にコレクション名が入り、当時の国内再発シリーズとしてまとめられているのが特徴だ。
インサートには「European Rock Collection 1800, Prologue for european rock by Hiroshi Takami」と記され、裏帯にはシリーズの他作品が並ぶ。裏ジャケット左下には価格表記として「¥1,800」。盤面やジャケットの表記も含め、70年代末の日本で欧州ロックを紹介する文脈の一枚だ。
Atollの中での位置
Atollはアルバムごとに編成が変わりやすいバンドで、この作品もその流れの中にある。70年代フランス・プログレの中では、後期のより洗練された作風に向かう前段階として見ることができる。バンドの方向性を確認する意味でも、初期Atollを知る入口としても扱われることが多い。
参加メンバーには、ジャン=ピエール・クラレス、リシャール・オーベール、ディディエ・オッフェマン、アラン・ゴッゾ、ジャン=リュック・ティヨ、ミシェル・タイエ、クリスティアン・ベヤ、ローラン・ジャンネ、アンドレ・バルゼ、ブルーノ・ジェアン、ジャン=ジャック・フレティ、パトリック・キッフェル、リュック・セラ、ロール・ライニンガーらの名前が見える。クレジットの幅広さからも、当時のバンドの流動的な状態がうかがえる。
同時代とのつながり
1975年という時期は、フランスのプログレが一通り成熟し、各バンドが独自の色を強めていた頃だ。Atollもその流れの中で、英米の大手プログレとは別の文法で作品を組み立てている。大きく伸びるメロディより、展開の切り替えやアンサンブルの組み方に耳が向くタイプの作品として受け取れる。
タイトルの『L’Araignée-Mal』は、作品全体にある緊張感と複雑さをそのまま示すような題名だ。Atollの初期らしい、曲の構成を追う楽しさが前に出るアルバムである。
トラックリスト
- A1 – Le Photographe Exorciste
- A2 – Cazotte N°1 (Instrumental)
- A3 – Le Voleur D’Extase
- B1 – Imaginez Le Temps
- B2 – L’Araignée-Mal
- B3 – Les Robots Débiles
- B4 – Le Cimetière De Plastique
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Can – Saw Delight (1977)
Can『Saw Delight』について
Canは、ドイツ・ケルンで1960年代後半に結成された実験的ロック・バンドで、クラウトロックを代表する存在として知られている。『Saw Delight』は1977年に発表された作品で、バンドの後期にあたる時期の1枚。Damo Suzuki在籍期の即興性や反復の強さを土台にしながら、70年代後半のCanらしい整理された演奏へと移っていく流れの中にあるアルバムだ。
この作品の位置づけ
Canは初期のマルコム・ムーニー期、そして日本人シンガーのDamo Suzukiを迎えた時期に、ノイズ、マントラ的な反復、ファンク寄りのリズムを組み合わせた独自の音像を作ってきた。『Saw Delight』は、その後の編成で作られた作品で、前衛性を保ちながらも、演奏のまとまりやリズムの輪郭がよりはっきりしている時期の録音として捉えられる。
Canの中では、代表曲「I Want More」(1976)のようなポップな側面が話題になることもあるが、『Saw Delight』はそうしたヒット性よりも、バンドの演奏感覚そのものを追うタイプのアルバムという印象が強い。
サウンドの特徴
本作は、Innerspace Studioで録音され、Delta Acoustic Studioでミックスされている。盤面には「3-D Stereo (Artificial Head Stereo)」の表記があり、空間の広がりを意識した制作であることがうかがえる。Canの作品らしく、音の配置やリズムの粘りが聴きどころになりやすい。
実際に耳を通すと、各楽器が前へ出たり引いたりする感覚があり、単純なロック・バンドの録音というより、スタジオ内での音の組み立てをそのまま作品にしたような印象を受ける。ギター、ベース、ドラム、キーボードが同じ方向へ一直線に進むというより、少しずつずれながら同じグルーヴを保つところにCanらしさがある。
同時代の文脈
1970年代後半のCanは、クラウトロックの文脈の中でも、単なる“電子音楽寄り”でも“ロック寄り”でも片づけにくい立ち位置にいた。Neu!やFaust、Amon Düül IIなどと並べて語られることは多いが、Canの場合は、即興の感覚と反復の設計がより強く結びついている点が特徴的だ。
『Saw Delight』も、その流れの中で、バンドが長年積み重ねてきた演奏方法を確認できる作品として見ることができる。後年の実験音楽やポスト・パンク、ダブ、オルタナティブ・ロックへの接続も、こうしたアルバムの中に見えてくる。
1981年盤について
ここでの盤は1981年の日本盤で、Made in Japan by Victor Musical Industries, Inc.、Virgin Recordsライセンス盤として流通している。日本語インサートとアンケートカードが付属する仕様。価格表記は¥2,000。
オリジナルの作品年は1977年なので、1981年盤はその後の日本での流通盤という位置づけになる。録音内容そのものを追うなら1977年の作品として見るのが自然だが、ジャケットや付属物、当時の日本盤の仕様に関心がある場合は、こうした再プレス盤ならではの資料的な面白さもある。
Canというバンドの流れの中で
Canは、Holger Czukay、Irmin Schmidt、Jaki Liebezeit、Michael Karoliを中心に、メンバーの入れ替わりを経ながら活動を続けた。『Saw Delight』の時期も、そうした変化の中で作られた作品群のひとつで、バンドの長い歴史の中では後期の章にあたる。
代表作として語られるアルバムは多いが、『Saw Delight』は、派手なエピソードや大きなヒット曲で押す作品というより、Canがどのように演奏を組み立て、スタジオで音を彫刻していたかを示す一枚として見えてくる。
まとめ
『Saw Delight』は、1977年のCanを知るうえで重要な後期作品のひとつ。クラウトロックの中心的バンドが、即興と反復の感覚を保ちながら、より整理されたバンド演奏へ向かっていく途中の記録として聴ける。1981年の日本盤は、その作品を日本で受け取るための一枚として、ライセンス盤ならではの存在感を持っている。
トラックリスト
- A1 – Don’t Say No (6:29)
- A2 – Sunshine Day And Night (6:13)
- A3 – Call Me (5:18)
- B1 – Animal Waves (15:20)
- B2 – Fly By Night (4:07)
Rebekka – Phoenix (1982)
Rebekka「Phoenix」について
Rebekkaの「Phoenix」は、1982年にドイツでリリースされた作品だ。バイエルン州アウクスブルクで1972年に結成されたドイツのプログレッシブ・フォーク・バンド、Rebekkaによるアルバムで、クラシック、フォーク、さらに民族音楽やインド音楽の要素を取り込んだグループとして知られている。
この時期のRebekkaは、Rockの枠の中でもProg Rock寄りの作りで活動していたバンドとして位置づけられる。メンバーにはJürgen Schlachter、Achim Zscheile、Hubert Schneider、Marion Weldert、Christoph B. Imler、Peter Laubmeier、Martin Schneider-Weldertの名が並ぶ。
作品の位置づけ
1982年作の「Phoenix」は、Rebekkaの1980年代初頭の活動を示す一枚として見ることができる。バンドは1986年に解散しており、その活動後期にあたる時期の作品でもある。
タイトルの「Phoenix」は、作品名としても印象に残るが、盤面の表記には「Diese Platte enthält garantiert keine neue Tanzmusik」(このレコードには新しいダンス音楽は入っていない)という文言が添えられている。内容を直接説明する一文ではあるが、少なくとも当時のグループの姿勢やユーモアを示す要素として目を引く。バンド・ロゴのステッカーと白黒の宣伝写真も付属していた。
サウンドの文脈
Rebekkaは、ドイツのプログレッシブ・フォーク系バンドとして、クラシックや民族音楽の要素を取り入れていた点が特徴だ。1970年代から80年代初頭にかけての欧州プログレッシブ・ロック周辺では、同様にフォークや古楽的な要素を織り込むバンドが少なくなく、そうした流れの中で捉えやすいグループだ。
同時代のドイツ勢という意味では、ハードなロックとは距離を置きながら、構成の細かさや楽器編成の工夫で聴かせるタイプの作品群と並べて語られることが多い。Rebekkaもその文脈にあるバンドといえる。
リリース情報
- アーティスト: Rebekka
- タイトル: Phoenix
- オリジナルリリース年: 1982年
- 盤のリリース年: 1982年
- リリース国: ドイツ
- レーベル表記: ℗ © 1982 Rebekka / MADE IN GERMANY
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock
まとめ
「Phoenix」は、ドイツ・バイエルン出身のRebekkaが1982年に残した、プログレッシブ・フォーク色の強い一作だ。クラシック、フォーク、民族音楽、インド音楽の要素を含むというバンドの背景を踏まえると、この作品もまた、80年代初頭のドイツのプログレッシブ・ロックの一断面として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Swan Song (8:01)
- A2 – Lithphas (7:20)
- A3 – Odyssee (5:09)
- B1 – Phoenix (10:53)
- B2 – Iris-(Imaginary Regards Of An Irish Sun) (3:13)
- B3 – Floating Dawn (6:15)
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Far Out – 日本人 = Nihonjin (1973)
Far Out『日本人 = Nihonjin』について
Far Outは、1970年代前半の日本で活動したサイケデリック/プログレッシブ・ロック・バンド。『日本人 = Nihonjin』は1973年発表の作品で、バンドの初期を代表する1枚として扱われることが多いタイトルだ。今回の盤は2019年の再発盤で、Nippon Columbiaのオリジナル・マスターテープから直接制作された公式アナログ復刻盤になっている。
作品の位置づけ
Far Outは、国内のハードなロックやアンダーグラウンドなサイケデリック表現が広がっていた時期の日本のバンドのひとつで、同時代の日本ロック史の流れの中でも存在感があるグループだ。Fumio Miyashita、Keiju Ishikawa、Manami Arai、Eiichi Sayuの編成で残したこの作品は、グループの初期像をつかむうえで重要な資料的意味も持つ。
タイトルの『日本人 = Nihonjin』という直球の名付けからも、当時の日本語ロックや日本的な感覚を意識した空気がうかがえる。洋楽の影響を受けながらも、国内シーンの中で独自の立ち位置を作ろうとしていた時期の記録という見方ができる。
音の印象
この盤は、サイケデリック・ロックとプログレッシブ・ロックを軸にした作品として整理されている。演奏の推進力、曲展開の切り替え、楽器の重なりがポイントになりやすいタイプのレコードで、70年代初頭の日本のロックらしい緊張感が出やすい内容だ。ライブ写真付きの折り込みインサートが付属していることからも、当時のステージの熱量を含めて作品世界を伝えようとした盤面だとわかる。
実際の聴感としては、オリジナル・マスターテープからの復刻という点が大きい。再発盤でも音の芯や分離を意識した作りになりやすく、オリジナル盤の雰囲気をできるだけ保ったうえで聴きやすさを確保する方向の復刻といえる。ゲートフォールド仕様で、オビやブックレットの再現もあり、当時の日本盤らしいパッケージ性も再確認できる。
再発盤としての特徴
- 2019年の公式アナログ再発盤
- オリジナル・マスターテープ使用
- ゲートフォールド・スリーブ仕様
- オリジナル付属ブックレットの復刻
- オビの再現付き
- 当時のライブ写真を収めた2ページ折り込みインサート付き
盤面表記は、スパインが008LP、バックが008、ラベルがEPS 008。バックとラベルには℗ 1973, 2019 Nippon Columbia Co., Ltd.、© 2019 The Everland Music Group、Made in Europeのクレジットが入る。オリジナル作品の空気を残しながら、2019年の国際流通向けに整えられた再発盤という形だ。
同時代の文脈
1973年の日本のロックは、サイケデリック、ハードロック、長尺の組曲的展開、英米のプログレッシブ・ロックの影響が混ざり合っていた時期だ。Far Outもその流れの中にあり、国内の同系統バンドと並べて語られやすい。欧米のサイケデリックやプログレの文法を参照しつつ、日本のバンドとしてのテンションや土着感をどう出すか、その試行のひとつとして見ておくと輪郭がつかみやすい。
まとめ
『日本人 = Nihonjin』は、1973年の日本のサイケデリック/プログレッシブ・ロックを知るうえで外しにくいFar Outの代表的な作品のひとつ。2019年の再発盤は、オリジナルの資料性を保ちながら、付属物まで含めて当時のレコード体験を復元した内容になっている。作品そのものの存在感に加えて、パッケージ面でも70年代初期の日本盤らしさが見える1枚だ。
トラックリスト
- A – Too Many People (17:55)
- B – 日本人 = Nihonjin (19:52)
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Grobschnitt – Rockpommel’s Land (1977)
Grobschnitt『Rockpommel’s Land』について
Grobschnittは、1970年にドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州ハーゲンで結成されたロック・バンドである。
『Rockpommel’s Land』は1977年に発表された作品で、彼らの代表作として語られることが多いアルバムだ。電子的な音の扱いとロックの推進力を行き来しながら、クラウトロックとプログレッシブ・ロックの文脈に置かれる内容になっている。
作品の位置づけ
Grobschnittのキャリアの中でも、『Rockpommel’s Land』はかなり大きな位置を占める作品として知られている。
スタジオ録音の構成と、バンドらしい演奏のまとまりが前面に出たアルバムで、1970年代ドイツ・ロックの流れの中でも存在感が強い一枚だ。
同時代のドイツ勢でいうと、CanやAmon Düül II、Ash Ra Tempel、Kraftwerkといったバンド/プロジェクトが思い浮かぶが、Grobschnittはそれらの中でも、より演劇性や物語性を伴った進め方をするタイプのバンドとして見られやすい。
その意味で、『Rockpommel’s Land』も単なる楽曲集というより、アルバム全体で流れを追う作りの印象が強い。
1977年オリジナルと1981年盤
オリジナルのリリースは1977年で、この1981年盤はその後に出た盤である。
ジャケットまわりでは、帯に内包されたノートが付く仕様になっているようだ。日本盤としての体裁が意識されたリリースと見てよさそうだ。
再発盤らしい違いとしては、内容そのものよりも、国内流通向けのパッケージングに重きがある。
こうした時期の日本盤は、輸入盤とは異なり、帯や解説の有無で手に取ったときの印象がかなり変わる。
聴きどころ
『Rockpommel’s Land』は、曲ごとの展開がはっきりしていて、リフの反復だけで押すのではなく、場面が切り替わるように進むところが特徴だ。
演奏の手触りは硬質になりすぎず、メロディやアンサンブルの動きが前に出る場面が多い。
実際に通して聴くと、単に派手な展開を並べるのではなく、細かい繋ぎや空気の変化で長尺を保っている感じがある。
ギター、キーボード、リズム隊の役割がくっきりしていて、音の層を重ねながら進む構成が耳に残る。
代表曲として知られるもの
このアルバムでは、タイトル曲「Rockpommel’s Land」が作品の核として扱われることが多い。
アルバム全体の性格を示す曲名でもあり、Grobschnittの持つ物語的な組み立てを象徴する存在として見られやすい。
参加メンバー
- Rolf Möller
- Joachim Ehrig
- Axel Harlos
- Gerd-Otto Kühn
- Hermann Quetting
- Stefan Danielak
- Bernhard Uhlemann
- Volker Kahrs
- Wolfgang Jäger
- Jürgen Cramer
- Peter Jureit
- Thomas Waßkönig
- Toni Moff Mollo
- Milla Kapolke
- Manu Kapolke
- Demian Hache
- Deva Tattva
- Nuki
まとめ
『Rockpommel’s Land』は、Grobschnittというドイツのバンドが持っていたロックの推進力と、構成の大きさをまとまった形で示すアルバムだ。
1977年のオリジナル作品としての存在感がありつつ、1981年の日本盤では帯付きの国内仕様で受け止められた一枚でもある。
クラウトロックとプログレッシブ・ロックの交点にある作品として、今も名前が挙がりやすいタイトルである。
トラックリスト
- A1 – Ernie’s Reise (10:56)
- A2 – Severity Town (10:05)
- B1 – Anywhere (4:13)
- B2 – Rockpommel’s Land (20:55)
関連動画
- Ernie’s Reise (Remastered 2015)
- Severity Town (Remastered 2015)
- Anywhere (Remastered 2015)
- Rockpommel’s Land (Remastered 2015)
- Rockpommel’s Medley (Live At Schwarzwaldhalle, Appenweier / 1981 / Remastered 2015)
- Rockpommel’s Land (Meditative Instrumental Mix / Remastered 2015)
- Rockpommel’s Medley (Live At Stadthalle, Bremen / 1979 / Remastered 2015)
- Hallo Hamburg (Live At Winterhuder Fährhaus, Hamburg / 1977 / Remastered 2015)
- Eroc Tells … (Pt. 1 / Live At Winterhuder Fährhaus, Hamburg / 1977 / Remastered 2015)
- Lupo Tells … (Pt. 1 / Live At Winterhuder Fährhaus, Hamburg / 1977 / Remastered 2015)
Passport – Oceanliner (1980)
Passport『Oceanliner』(1980)
ドイツのジャズ・フュージョン・バンド、Passportが1980年に発表したアルバムが『Oceanliner』です。バンドは1970年にKlaus Doldingerを中心に始まり、Passport名義では1971年以降の活動で知られています。ジャズを土台にしながらロック寄りの推進力も持つグループで、この作品もその流れの中にある1枚です。
作品の位置づけ
Passportは1970年代を通じて、欧州ジャズ・ロック/フュージョンの重要な存在として活動してきました。『Oceanliner』は1980年作として、その時期のPassportのサウンドを確認できるタイトルです。Klaus Doldingerを軸に、時代ごとに多くの演奏者が参加してきたバンドでもあり、本作もそうした流動的な編成の中で作られています。
サウンドの印象
レコード情報上のジャンルはJazzとRock、スタイルはFusionとJazz-Rockです。Passportらしく、ジャズの即興性を残しつつ、ロックのリズム感やアンサンブルの推進力が前に出るタイプの作品として捉えられます。タイトルから受けるイメージの通り、曲が流れるように展開していく構成が想像しやすい一方で、演奏面では緻密さのあるグループ・サウンドが核になっているはずです。
この時期のジャズ・フュージョンは、Weather ReportやReturn to Forever、Mahavishnu Orchestraのような米国勢と並べて語られることが多いですが、Passportはそこに西ドイツのバンドらしい硬質さと、ヨーロッパのジャズ文脈を持ち込んだ存在です。『Oceanliner』も、その延長線上で聴ける作品です。
参加メンバー
クレジットにはKlaus Doldingerのほか、Udo Lindenberg、Alphonse Mouzon、Guillermo Marchena、John Mealing、Curt Cress、Wolfgang Haffner、Patrick Scales、Peter O’Maraら、多数の演奏者名が並びます。Passportは時期によって編成が変わるため、こうした多人数のクレジットはこのバンドらしい特徴です。リズム隊や鍵盤、管楽器が入れ替わりながら、作品ごとに色合いを変えていく流れが見えます。
レーベルと盤の情報
本盤はAtlantic Recording Corporationのリリースで、表記には「Ⓟ Ⓒ 1980 WEA Musik GmbH. Printed in U.S.A.」「A Warner Communications Company」とあります。US盤として流通したものです。ランアウトには、ほとんどの情報が手書きで、”ATLANTIC STUDIOS D.K” のみ機械刻印とされており、当時の制作・プレスの仕様がうかがえます。
同時代の文脈
1980年前後のジャズ・ロック/フュージョンは、70年代後半の拡張路線から、より整理された構成やソリッドな演奏へと向かう流れがありました。Passportもその時代感の中で、派手な技巧だけで押し切るというより、バンド全体のまとまりや音の運びで聴かせるタイプのグループとして位置づけられます。Klaus Doldingerのバンドとして長く続いている点も含め、単発の企画盤ではなく、継続するプロジェクトの一時点として見える作品です。
『Oceanliner』は、Passportのディスコグラフィーの中でも1980年時点のバンド像をそのまま示すタイトルです。ジャズとロックの接点を、ヨーロッパ側の視点で聴かせるアルバムとして記録されている1枚です。
トラックリスト
- A1 – Departure (4:54)
- A2 – Allegory (3:40)
- A3 – Ancient Saga (4:15)
- A4 – Oceanliner (5:52)
- B1 – Rub-A-Dub (4:39)
- B2 – Uptown Rendezvous (3:32)
- B3 – Bassride (4:09)
- B4 – Scope (2:12)
- B5 – Seaside (5:28)
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Tenjo Sajiki – 身毒丸 (1978)
Tenjo Sajiki『身毒丸』について
Tenjo Sajikiは、寺山修司を中心に1967年に結成された日本のアンダーグラウンド劇団で、演劇、音楽、映像、詩をまたいだ活動で知られる存在だ。この『身毒丸』は、そうした天井桟敷の活動の中でも、舞台作品と音楽が強く結びついた一枚として位置づけられる作品である。オリジナルは1978年の作品として扱われており、2022年には盤として再登場している。
作品の輪郭
タイトルの『身毒丸』は、寺山修司の代表的な舞台作品のひとつとして知られる題材だ。天井桟敷の文脈では、単なる「サウンドトラック」以上に、舞台上の身体表現や物語の緊張感を音で支える役割が大きい。ジャケットやクレジットを見ても、寺山修司、横尾忠則、J・A・シーザー、カルメン・マキ、九條映子ら、天井桟敷を象徴する面々が並び、この集団の総合芸術的な性格がそのまま表れている。
音楽面では、J. A. Seazerによる劇伴の流れを軸に、サイケデリック・ロックの要素が前面に出る。ロックの形式に収まりきらない進行や、舞台作品らしい緊張の持続、コーラスや反復の使い方が特徴として挙げられる。一般的な歌謡曲的な起伏よりも、場面を切り替えるための音、あるいは儀式的に積み上がる音の連なりとして聴こえるタイプの作品だ。
天井桟敷の中での位置づけ
天井桟敷は、寺山修司の演劇活動を核に、音楽家、美術家、俳優が交差する場だった。その中で音楽は付随要素ではなく、舞台そのものの一部として機能している。『身毒丸』もその流れにある作品で、劇団の美学である言葉、歌、身体、絵画的なイメージが一体化した例といえる。
参加メンバーを見ると、J. A. Seazerだけでなく、横尾忠則、カルメン・マキ、九條映子、東由多加、萩原朔美、佐々木英明、山本百合子らが名を連ねる。音楽作品でありながら、演劇公演の記録としての性格も強い顔ぶれだ。
同時代の文脈
1970年代後半の日本では、ロックが単なるバンド・サウンドにとどまらず、演劇や前衛芸術と結びつく動きが見られた。天井桟敷の音楽は、その中でもかなり独自の位置にある。比較の軸としては、アングラ演劇と接続した表現という点で、一般的なロック作品とはかなり異なるし、劇伴としての機能を強く持つ点では映画音楽や舞台音楽にも近い。ただし、演劇のための音でありながら、単体のレコードとしても成立する強度を持つところが、この作品群の面白さだ。
2022年盤について
2022年に出た盤は、1978年のオリジナル作品をあらためて聴ける形にしたものとして見てよさそうだ。オリジナル盤と再発盤の違いとしては、一般に音質の整え方や収録体裁、クレジット表記の更新がありうるが、この作品については盤ごとの細かな差異を確認できる情報は前提に置かれていない。少なくとも、作品の核は1978年の『身毒丸』にある。
聴きどころ
- 寺山修司の舞台世界と直結した構成
- J. A. Seazerの劇音楽らしい反復と緊張感
- カルメン・マキらの参加が示す、歌と演劇の接点
- 天井桟敷らしい、美術・言葉・音の混線
まとめ
『身毒丸』は、Tenjo Sajikiの活動を語るうえで外せない、演劇と音楽の境界にある作品だ。ロック、サウンドトラック、舞台芸術という複数の文脈にまたがりながら、寺山修司と天井桟敷の方法論をそのまま音にしたような一枚として捉えられる。1978年のオリジナル作品としての重みと、2022年盤であらためて触れられる現在性、その両方を持つタイトルである。
トラックリスト
- A1 – 慈悲心鳥
- A2 – 撫子かくし
- A3 – 髪切虫
- A4 – 家族合わせ
- A5 – 地獄のオルフェ
- B1 – 藁人形の呪い
- B2 – 復讐鬼
- B3 – 阿梨樹墜つ
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Triumvirat – Mediterranean Tales (Across The Waters) (1972)
Triumvirat / Mediterranean Tales (Across The Waters)(1972)
Triumviratは、1969年にドイツ・ケルンで結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。中心にいるのはキーボードのJürgen Fritzで、初期メンバーにはベースのWerner “Dick” Frangenberg、ドラム兼作詞のHans Batheltがいた。
本作 Mediterranean Tales (Across The Waters) は、1972年にHarvest/EMIから出たデビュー作で、Triumviratの名を最初に広く示した作品として位置づけられる。
作品の概要
録音は1972年1月、ケルンのElectrola Studiosで行われている。レコード情報を見ると、これはオリジナル盤で、ラベルにLCコードの印字がない初期プレス。Side Aには外周32mmと内周12mmのスタンパーリングがあり、Side Bには1本のリングのみという仕様になっている。
Triumviratは、この時点ではまだ後年ほど大きな国際的成功を得る前の段階だが、すでにクラウトロック圏のバンドらしいドイツ発のプログレッシブ・ロックとしての輪郭ははっきりしている。Fritzのキーボードを軸にした構成は、同時代の英国プログレとは別の手触りを持つ。
Triumviratにとっての位置づけ
このアルバムは、Triumviratの出発点として重要な1枚だ。後年のIllusions On A Double Dimple(1974)、Spartacus(1975)で知られる流れの前段階にあたり、バンドの基本的な作法がここで形になっている。
その後、メンバー交代を重ねながら活動を続け、特にSpartacusで商業的なピークを迎えることになるので、デビュー作はその土台を確認する意味を持つ作品でもある。
同時代の文脈
1972年のドイツ・プログレは、英米のロックとは異なるアプローチを探っていた時期だ。Triumviratもその流れの中にあり、オルガンやシンセサイザーを前面に出した展開は、GenesisやYesのような英国プログレと比較されることが多い。
ただし、Triumviratは演奏の組み立てがかなり鍵盤主導で、ギター中心のロックとは異なる重心を持っている。Krautrockの文脈でも語られることがあるのは、その出自と音の作り方によるものだろう。
内容について
本作は、のちの代表作ほど大きく知られた曲を抱える段階ではないが、バンドの方向性を示す演奏がまとまっている。楽曲は組曲的な流れや展開の切り替えを伴い、長めの構成の中でキーボードの役割が大きい。
歌ものとしての派手さよりも、曲内のパート構成や展開で聴かせるタイプのアルバムと言える。
Triumviratは後年、アメリカでのリリースをきっかけに広く知られるようになるが、このデビュー作はまだドイツ国内での第一歩という色合いが濃い。そうした意味で、バンドの原型をそのまま残した記録として見やすい。
補足
- アーティスト: Triumvirat
- タイトル: Mediterranean Tales (Across The Waters)
- オリジナル発売年: 1972年
- リリース国: Germany
- 録音: Electrola Studios, Cologne、1972年1月
- スタイル: Krautrock、Prog Rock
Triumviratのキャリアを追うなら、まずこの1972年作で出発点を押さえておくと、その後のIllusions On A Double DimpleやSpartacusとのつながりが見えやすい。デビュー時点でのバンドの輪郭が、そのまま記録されている1枚だ。
トラックリスト
- Across The Waters (16:31)
- B1 – Eleven Kids (6:00)
- B2 – E Minor 5/9 Minor /5 (7:55)
- B3 – Broken Mirror (7:14)
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Kate Bush – The Kick Inside (1978)
Kate Bush『The Kick Inside』について
Kate Bushのデビュー・スタジオ・アルバムが、1978年2月17日に発売された『The Kick Inside』だ。前年にシングル「Wuthering Heights」で一気に注目を集めたKate Bushの、最初のフル・アルバムとして位置づけられる作品である。ロックやポップの枠に収まりきらない曲作りと、物語性の強い歌詞が早い段階から表れている1枚。
この時点のKate Bushはまだ19歳。デビュー作でありながら、すでに作家性が強く、一般的な英米ポップスとは少し違う感触を持っている。のちの長いキャリアの出発点として見ると、声の使い方、曲の展開、言葉の運び方など、すでに本人の個性がはっきりしている作品だ。
作品の位置づけ
Kate Bushは、David Gilmourに才能を見出されてEMIと契約した経緯でも知られる。『The Kick Inside』は、その背景から生まれたデビュー作であり、当時の英国シーンの中でもかなり異色の存在だった。プログレッシブ・ロック周辺の流れや、シンガー・ソングライター的な文脈とも接点があるが、どちらにも完全には回収されない独自性がある。
同時代の英国ポップを思い浮かべると、緻密なアレンジと強い歌唱で押し切るタイプの作品として受け取られやすい。とはいえ、単に技巧的というより、曲ごとに情景や人物像を描く方向が目立つアルバムだ。
代表曲とアルバム内の流れ
このアルバムを語るうえで外せないのが「Wuthering Heights」だ。1978年にシングルとして発売され、複数国で1位を記録した代表曲である。高い声のフレーズと、エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』を下敷きにした歌詞が印象的で、Kate Bushの名を広く知らしめた。
ほかにも「The Man With The Child In His Eyes」や「The Kick Inside」など、後のKate Bush像につながる曲が並ぶ。ピアノを軸にした曲でも、ただ静かにまとめるのではなく、声の表情やフレーズの切り替えで曲の景色を変えていく作りが目立つ。
収録曲全体を見ると、シングルで強く押し出された曲と、アルバム単位で流れを作る曲が同居している。デビュー作らしいまとまりと、すでに個人作家としての輪郭が出ている両方の印象がある。
日本盤について
日本盤は、欧米盤とはフロント・カバーが異なる仕様になっている。さらに帯付きで、2面のインサートには写真、曲目、和文バイオグラフィー、歌詞の日本語訳が付属する。内袋もポリエチレン製のU字型タイプという、当時の国内盤らしい丁寧な作りだ。
日本盤では、帯に「Angel and Devil」という別タイトルが使われている点も特徴的である。盤面の表記では「Strange Phenomena」が「Strange Phenemena」となっている誤記が知られている。
聴きどころ
実際に聴くと、まず声の存在感が大きい。音数を詰め込むよりも、フレーズの間合いで引っ張る場面が多く、歌そのものが曲の中心にある。ピアノ、ギター、リズム隊の配置は比較的明快だが、その上で旋律が予想外の方向へ動くことがある。
アルバム全体は、のちの大作志向や実験性の強い作品ほど複雑ではない。けれど、すでに「曲の中で物語を進める」感覚ははっきりしていて、デビュー作でここまで輪郭があるのはかなり印象的だ。
まとめ
『The Kick Inside』は、Kate Bushの出発点であり、代表曲「Wuthering Heights」を含む初期の核となる作品だ。1978年の英国ポップ/ロックの中でも、声、曲、言葉の結びつきが独特で、後の長いキャリアを見通せる内容になっている。日本盤はジャケットや付属物も含めて、オリジナル盤との違いがはっきりした一枚である。
トラックリスト
- A1 – Moving (3:06)
- A2 – The Saxophone Song (3:47)
- A3 – Strange Phenomena (2:53)
- A4 – Kite (2:58)
- A5 – The Man With The Child In His Eyes (2:39)
- A6 – Wuthering Heights (4:29)
- B1 – James And The Cold Gun (3:35)
- B2 – Feel It (3:00)
- B3 – Oh To Be In Love (3:17)
- B4 – L’Amour Looks Something Like You (2:25)
- B5 – Them Heavy People (3:04)
- B6 – Room For The Life (4:03)
- B7 – The Kick Inside (3:34)
Holger Czukay – Full Circle (1982)
Holger Czukay『Full Circle』について
『Full Circle』は、Canの元ベーシストとして知られるHolger Czukayが1982年に発表した作品である。ジャンル表記ではElectronic、Rock、スタイルではDub、Electro、Experimental、Krautrockにまたがる内容とされていて、いわゆるロックのアルバムというより、編集、音響処理、断片的な構成を前面に出したソロ作品という位置づけが見えやすい。
Holger Czukayは、Karlheinz Stockhausenに学んだ経歴を持ち、Canでは演奏だけでなく録音やエンジニアリング面でも重要な役割を担った人物である。その後のソロ活動でも、ラジオ音源の使用やサンプリング的な手法で独自性を示してきたが、『Full Circle』もその延長線上にある作品として捉えられる。
作品の輪郭
このアルバムは、Holger Czukayによる「Radio painting」として紹介されている。クレジットには、彼自身が「Editing and processing」を手がけたとあり、録音された素材を組み替え、加工し、音の断片を配置していく作りが中心になっていることがうかがえる。R.P.S.は「Radio Pictures Series」の略とされている。
収録曲のうち、How Much、Where’s The Money、Trench Warfare、Twilight World は、ヨーロッパで先に12インチ・シングルとして発表されていた。アルバムではそれらの素材がまとまり、ひとつの作品として再構成されている。
1982年という位置づけ
1982年の時点で、Holger CzukayはすでにCanのメンバーとして、そしてソロの実験的な作家としても一定の位置を築いていた。『Full Circle』は、その活動の中でも、バンド演奏の延長というより、音響の編集や放送由来の素材を扱う方向をよりはっきり示す作品に見える。
同時代の文脈で見ると、クラウトロックの残響を引き継ぎながら、ダブや電子音楽、実験音楽の手法が交差する地点に置ける内容である。Can周辺の流れを思わせる一方で、一般的なロックの展開や歌を軸にする作りとは距離がある。
収録曲に触れながら
曲名だけでも、Where’s The Money や Trench Warfare のように、断片的な言葉を置いたタイトルが目につく。ここでも、メッセージを一直線に伝えるというより、語句、リズム、音色、編集の感触を並べる発想が前に出ている印象がある。
Twilight World のような曲名は、アルバム全体のラジオ断片的な構成と相性がよく、Holger Czukayが得意とした「素材の再配置」という作法を思わせる。聴感としては、演奏の巧さを見せる作品というより、音の切り貼りや距離感そのものを聴かせるタイプのアルバムとして受け取られやすいだろう。
日本盤としての『Full Circle』
今回の盤は日本で1982年に出たもの。価格表記は¥2,500となっている。作品自体はオリジナル年と同じ1982年のリリースで、後年の再発盤ではない。
Holger Czukayのソロ作品の中でも、『Full Circle』は、Can以後の実験性をそのまま持ち込みつつ、ラジオ音源や編集の感覚を強く打ち出した一枚として見てよさそうだ。クラウトロックの文脈、ダブ的な処理、電子音の扱いが交差する、彼らしい作品である。
トラックリスト
- A1 – How Much Are They? (4:48)
- A2 – Where’s The Money? (5:02)
- A3 – Full Circle R.P.S. (No. 7) (10:58)
- B1 – Mystery R.P.S. (No. 8) (8:47)
- B2 – Trench Warfare (6:45)
- B3 – Twilight World (4:20)
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Jon Hassell – Fourth World Vol. 1 – Possible Musics = 第四世界の鼓動 (1980)
Jon Hassell『Fourth World Vol. 1 – Possible Musics』について
Jon Hassellの『Fourth World Vol. 1 – Possible Musics』は、1980年に発表された作品です。トランペット奏者、作曲家、作家として知られるHassellが、自身のいう「Fourth World」という考え方を前面に出した初期の代表作で、電子音響と即興演奏のあいだを行き来する内容になっている。ジャンル表記はElectronic、スタイルはExperimental、Ambient。
このアルバムは、Hassellの音楽的な方向性を理解するうえで重要な位置にある作品として知られている。西洋の楽器であるトランペットを起点にしながら、インド音楽やミニマル・ミュージック、電子処理の感覚を接続していく流れが、この時点ですでに明確に表れている。
作品の位置づけ
Jon Hassellは、古いものと新しいもの、作曲と即興、東洋と西洋をひとつの音楽語法にまとめようとした人物として語られることが多い。このアルバムは、その発想をタイトルからも示した一枚で、後年の彼の活動を考えるうえでも出発点のような存在といえる。
Hassellはカールハインツ・シュトックハウゼンのもとで電子音楽やセリエル音楽を学び、その後ニューヨークでラ・モンテ・ヤングやテリー・ライリーと接点を持った。その経歴を踏まえると、本作の響きには実験音楽やミニマルの文脈が自然に通っている。
音の特徴
実際に聴くと、中心にあるのは派手な展開ではなく、音の配置と余韻の管理だ。トランペットは旋律を前に出すというより、細く長い音色やフレーズの断片として置かれ、電子的な処理や空間の広がりの中に溶け込んでいく。リズムで押す部分より、持続音や反復、音の距離感が印象に残る。
また、一般的なジャズ・トランペット作品のようなソロの見せ場とは少し違い、音そのものの質感を聴かせる場面が多い。音が鳴ってから消えるまでの時間、背後の層、輪郭の曖昧さが、この作品の聴きどころになっている。
同時代の文脈
1980年前後は、アンビエントや実験電子音楽の領域が広がっていた時期でもある。この作品は、その流れの中で、単なる環境音楽というより、異文化の要素を組み替えながら新しい音楽の地平を探る動きとして受け取られてきた。
比較対象としては、ブライアン・イーノ周辺のアンビエント、あるいはミニマルの反復感を持つ音楽が思い浮かぶ。ただしHassellの場合は、トランペットという生楽器の存在感が強く、電子音楽でありながら身体的な息づかいが残っている点が特徴的だ。
ヒット曲・代表曲について
このアルバムはシングルヒットを前提にした作品ではない。楽曲単位で広く知られるというより、アルバム全体の流れやコンセプトで語られることが多い。代表作としては、やはりこの『Fourth World Vol. 1 – Possible Musics』そのものが挙げられることが多い。
盤の情報について
今回の盤は1980年のオリジナル期のリリースで、作品の初出当時の空気を伝える一枚といえる。クレジットでは、℗ 1980 E.G. Records Ltd.、楽曲著作権はEG Music Ltd. 1980と記されている。
まとめ
『Fourth World Vol. 1 – Possible Musics』は、Jon Hassellが自分の音楽語法をはっきり示した初期の重要作。電子音響、実験性、アンビエントの要素を持ちながら、トランペットの息づかいが前に残る、輪郭のはっきりした作品だ。1980年という時点で、この方向性をここまで明確に打ち出していたこと自体が、このアルバムの大きな特徴になっている。
トラックリスト
- A1 – Chemistry = ケミストリー (6:48)
- A2 – Delta Rain Dream = デルタ・レイン・ドリーム (3:22)
- A3 – Griot (Over “Contagious Magic”) = グリオ (4:00)
- A4 – Ba-benzélé = バ・ベンゼレ (6:03)
- A5 – Rising Thermal 14° 16′ N; 32° 28′ E = ライジング・サーマル 北緯14度16分 東経32度28分 (3:34)
- B – Charm (Over “Burundi Cloud”) = チャーム (21:24)
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The Moody Blues – Seventh Sojourn (1972)
The Moody Blues『Seventh Sojourn』について
The Moody Bluesは、1964年にイングランドのバーミンガムで結成されたロック・グループで、2018年にはロックの殿堂入りも果たしたバンドだ。フルート、キーボード、ギター、ベース、語りを含む編成で知られ、1960年代後半から1970年代前半にかけて、演奏と曲作りの両面で独自の存在感を築いていった。
『Seventh Sojourn』は、1972年に発表された8作目のスタジオ・アルバム。日本盤は1973年リリースで、OBI付き・小型ブックレット付きの仕様になっている。
作品の位置づけ
このアルバムは、The Moody Bluesのいわゆる黄金期の終盤に置かれる作品だ。前作までに確立されていた、メロディ重視のロックにシンフォニックな感触や内省的な歌詞を重ねる作風が、この時点でもはっきりしている。バンドとしては、1960年代末から続いてきたアルバム単位での完成度の高さを、そのまま1972年まで引き継いだ一枚という印象がある。
音の特徴
『Seventh Sojourn』は、The Moody Bluesらしい厚みのあるアレンジと、各メンバーの役割がはっきりした演奏が中心にある作品だ。Justin Haywardのギターと歌、John Lodgeのベースと歌、Mike Pinderのキーボード、Ray Thomasのフルートやハーモニカ、Graeme Edgeのドラムが、それぞれに曲の輪郭を作っている。プログレッシブ・ロックの文脈でも語られることがあるが、演奏が過度に技巧へ寄りすぎず、曲の流れを保っているところにこのバンドらしさがある。
同時代の英国ロックでは、YesやGenesisのように構成の複雑さを前面に出す流れが強まっていた一方で、The Moody Bluesはメロディと歌の比重を保ったまま、サウンドの広がりを作っていた。そこが比較されやすい点でもある。
代表曲について
収録曲の中では「Isn’t Life Strange」が知られている。オーケストラ的な広がりを感じさせる展開と、バンドのメロディ志向がまとまった曲として扱われることが多い。The Moody Bluesの代表的な一面、つまり叙情性の強い歌と分厚い音像が、この曲にもよく出ている。
また、アルバム全体を通して、派手な一曲で押すというより、曲ごとの雰囲気と流れで聴かせる構成になっている。作品単位で追うタイプのバンドらしさが、そのまま表れた内容だ。
聴きどころの整理
- Justin Haywardの歌とギターの安定感
- Mike Pinderのキーボードが作る空間
- Ray Thomasのフルートやハーモニカの色付け
- John Lodgeのベースが支える曲の推進力
- 1972年時点の英国ロックらしい構成感とメロディ感
日本盤としての見どころ
この盤は1973年の日本盤で、OBIと小型ブックレット付きという点が特徴になる。オリジナルの1972年盤をそのまま追うのではなく、1973年時点の日本で流通した仕様として見ると、当時の輸入盤・国内流通盤の空気も感じやすい。ジャケットや付属物を含めて楽しむタイプのレコードだ。
まとめ
『Seventh Sojourn』は、The Moody Bluesが1960年代から積み上げてきたメロディ志向、内省的な歌、厚いアレンジを、1972年の時点で整理して示したアルバムだ。派手な変化を狙う作品というより、バンドの持ち味をそのまま作品としてまとめた一枚、という見方がしやすい。
トラックリスト
- A1 – Lost In A Lost World (4:42)
- A2 – New Horizons (5:11)
- A3 – For My Lady (3:58)
- A4 – Isn’t Life Strange (6:09)
- B1 – You And Me (4:21)
- B2 – The Land Of Make-Believe (4:52)
- B3 – When You’re A Free Man (6:06)
- B4 – I’m Just A Singer (In A Rock And Roll Band) (4:18)
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Eyes Of Blue – The Crossroads Of Time (1968)
Eyes Of Blue「The Crossroads Of Time」について
「The Crossroads Of Time」は、ウェールズ・ニース出身のプログレッシブ・ロック・バンド、Eyes Of Blueによる作品で、オリジナルは1968年のリリースとなる。バンドは1960年代前半に結成され、Chuck Stallion、The Mustangsを経てEyes Of Blueへと名を変えていった経歴を持つ。1960年代の南ウェールズのロック・シーンで評価を高めた後、メンバーの入れ替わりを経ながら活動を続けたグループである。
バンドの位置づけ
Eyes Of Blueは、初期にはソウル色のあるR&Bバンドとしてスタートし、その後にキーボードを含む編成へ発展した。フィル・ライアン、ジョン・ウェザーズ、ゲイリー・ピックフォード=ホプキンスといったメンバーが加わった時期の流れは、後の英国プログレッシブ・ロックへつながる音作りを感じさせる要素として知られている。特にPhil Ryanの存在はバンドの輪郭をはっきりさせる要因になっている。
作品の内容と聴きどころ
「The Crossroads Of Time」は、当時の英国ロックらしく、ギター、オルガン、ヴォーカルを軸にした演奏の組み立てが見どころになる作品として語られることが多い。収録曲の中では、展開のある構成や、バンド全体で進めていくアンサンブルが印象に残るタイプの録音である。シングルで広く知られた代表曲中心の作品というより、アルバム全体の流れで聴かれる性格が強い。
歌詞や曲の構成には、1960年代後半の英国ロックに通じる感触があり、ブルース、R&B、サイケデリックの周辺を通りながら、プログレッシブ・ロックへ向かう過程の一枚として見ることができる。派手なヒット曲を前面に出すタイプではなく、バンドの演奏と編成の変化を確認する資料性もある作品である。
同時代との関係
同時代の英国バンドでいうと、キーボードを含む編成、R&Bからの発展、長めの構成を持つ楽曲という点で、後のプログレッシブ・ロック勢と地続きの印象がある。Eyes Of Blueは大きな商業的成功で知られるグループというより、南ウェールズのシーンから出てきた実力派として位置づけられることが多い。
なお、バンドは後にThe Imposters名義でシングルを出し、さらに1971年にはBig Sleepへと改名している。こうした変遷も含めて見ると、「The Crossroads Of Time」はEyes Of Blueという名義の時期を代表する記録のひとつと言えそうだ。
ドイツ盤について
今回の盤はドイツでのリリースで、限定500枚とされている。オリジナルの1968年盤と比べると、再発盤としての流通形態が異なり、コレクション用途で手に取られることの多いタイプだろう。盤ごとの音質やマスターの違いまで断定はできないが、少数プレスの再発盤として扱われている点は確認できる。
まとめ
「The Crossroads Of Time」は、Eyes Of Blueの成り立ちや1960年代後半の英国ロックの流れをたどるうえで、ひとつの節目になる作品である。R&B由来のバンドが、キーボードを含む編成でプログレッシブ・ロックへ接近していく、その途中の空気が残る一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Crossroads Of Time (5:00)
- A2 – Never Care (3:19)
- A3 – I’ll Be Your Friend (3:49)
- A4 – 7 + 7 Is (2:33)
- A5 – Prodigal Son (5:27)
- B1 – Largo (3:15)
- B2 – Love Is The Law (5:16)
- B3 – Yesterday (4:23)
- B4 – I Wonder Why (3:15)
- B5 – World Of Emotion (2:50)
- B6 – Inspiration For A New Day (3:09)
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- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *Crossroads Of Time*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *Never Care*
- 0Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *I’ll Be Your Friend*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *7 + 7 Is*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *Prodigal Son*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *Largo*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *Love Is The Law*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *Yesterday*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *I Wonder Why*
- Eyes Of Blue “The Crossroads Of Time” 1968 *World Of Emotion*
Acqua Fragile – Mass-Media Stars (1974)
Acqua Fragile『Mass-Media Stars』について
Acqua Fragileは、イタリア・パルマ出身のプログレッシブ・ロック・バンドである。1971年に、元Gli ImmortaliのBernardo Lanzetti(vo, g)、Gino Campanini(g)、Piero Canavera(ds)を中心に結成され、Franz Dondi(b)、Maurizio Mori(key)を加えた編成で活動を始めた。Premiata Forneria Marconi(PFM)に見出されて契約し、1973年のデビュー作に続いて、1974年に2作目として発表したのが本作『Mass-Media Stars』である。
バンドのディスコグラフィーの中では、初期の代表作のひとつに数えられるタイトルで、のちにBernardo LanzettiがPFMへ加入する前の、Acqua Fragileの完成形に近い姿を示す作品でもある。イタリアン・プログレの文脈では、PFMやBanco del Mutuo Soccorsoと並べて語られることが多い流れの中にあるが、Acqua Fragileは比較的ソフトな感触と、英語詞による歌唱が印象に残るバンドとして知られている。
作品の位置づけ
『Mass-Media Stars』は、Acqua Fragileのオリジナル・スタジオ作2枚のうちの2作目にあたる。前作『Acqua Fragile』で示した音楽性を引き継ぎつつ、バンドとしてのまとまりをさらに強めた時期の記録といえる。ここでの演奏は、ギターとキーボードを軸にした組み立てと、Lanzettiの歌を中心にした展開が特徴で、イタリアン・プログレらしい構成の変化を持ちながらも、過度に技巧へ寄りすぎない流れがある。
その後、Maurizio Moriは本作のあとに脱退し、Joe Vescoviが加わる。さらにBernardo Lanzettiも1975年にPFMへ移るため、Acqua Fragileは短い活動期間のまま解散する。そうした経緯を踏まえると、『Mass-Media Stars』はこのバンドの初期活動を締めくくる重要な1枚として見られる盤である。
音の印象
実際の聴感としては、演奏の切り替えがはっきりしていて、曲の中で静かな部分と動きのある部分が行き来する作りが目立つ。ギターは前に出すぎず、キーボードと一緒に曲の輪郭を作る場面が多い。英語詞のボーカルは、イタリアン・プログレの中でも比較的聴き取りやすいタイプで、旋律を追いやすいのがこのバンドの持ち味として伝わる。
同時代のイタリア勢と比べると、PFMのようなシンフォニックな展開の流れは共有しつつも、より歌を軸にした印象がある。欧州プログレの中では、Jethro TullやCamelのようなメロディ重視のバンドを思わせる場面を持ちながら、あくまでイタリア産の編曲感覚が前面に出るタイプ、と捉えられることが多い。
再発盤としての特徴
この日本盤は1979年リリースで、オリジナル発表から少し時間を置いた再発盤にあたる。装丁はシングル・スリーブで、日本語歌詞インサートが付属する。フロントの帯には「European 2 Rock Collection 1800」の表記があり、裏帯には「European Rock Collection 1800 Part II」としてシリーズ内の8作が案内されている。
こうした日本盤は、当時の国内リリースとしてイタリアン・プログレのカタログをまとまって紹介する役割を担っていた。内容面では1974年作の音源をそのまま楽しむ盤であり、オリジナル発表時の作品像を日本市場向けの体裁で伝える1枚という位置づけになる。
関連情報
- アーティスト: Acqua Fragile
- 作品: Mass-Media Stars
- オリジナル・リリース年: 1974年
- 日本盤リリース年: 1979年
- 国: Japan
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock
まとめ
『Mass-Media Stars』は、Acqua Fragileの初期活動を代表するアルバムのひとつであり、短命ながらもイタリアン・プログレの流れの中に確かな足跡を残した作品である。Bernardo Lanzettiを中心とした編成、PFMとの接点、その後のメンバーの動きまで含めて見ると、この盤は単なる2作目というだけでなく、バンドの到達点と転機を同時に示す記録でもある。
トラックリスト
- A1 – Cosmic Mind Affair (7:22)
- A2 – Bar Gazing (5:07)
- A3 – Mass-Media Stars (6:55)
- B1 – Opening Act (5:40)
- B2 – Professor (6:49)
- B3 – Coffee Song (5:57)
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Mark Stewart – Dream Kitchen (1996)
Mark Stewart『Dream Kitchen』(1996)について
Mark Stewartは、ブリストル出身のイングリッシュ・シンガー/ソングライター/アーティスト/プロデューサー。The Pop Groupの創設メンバーとして知られ、その後もソロやさまざまなプロジェクトで活動を続けた人物だ。『Dream Kitchen』は1996年にUKで出た作品で、電子音楽を軸にダブとインダストリアルの要素が交わる一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
この時期のMark Stewartは、バンド時代の先鋭的な感覚を土台にしながら、より機械的な質感や音響的な処理を前面に出していく流れにある。『Dream Kitchen』も、その延長線上にある作品として捉えやすい。リズムの組み立て方や音の置き方に、ダブ由来の空間処理と、インダストリアル寄りの硬い手触りが見える。
ブリストル・シーンの文脈で見ると、同じ街の音楽が持っていた低音重視の感覚や、ポストパンク以後の実験性とつながる部分がある。Massive AttackやPortisheadのような“ブリストル・サウンド”が広く知られる少し前後の時期にあたるため、そうした空気と並べて語られることもある。ただし、Mark Stewart本人はよりラディカルで、ポストパンクの緊張感を強く残した立ち位置にいる。
Mark Stewartにとっての位置づけ
Mark Stewartのキャリア全体で見ると、『Dream Kitchen』はThe Pop Group以後のソロ活動の中で、ダブとインダストリアルの接点を深めた作品のひとつとして扱われることが多い。パンクの直線的な勢いだけではなく、音の間、反復、ノイズの扱いに重心を置く方向性がはっきりしている時期だ。
彼の作品群は、単なるソロ作というより、ポストパンク以降の実験音楽、レゲエ/ダブの処理、クラブ以後のビート感を横断する動きとして見たほうがわかりやすい。そうした意味で、『Dream Kitchen』はMark Stewartらしい方法論が比較的よく出たタイトルのひとつといえる。
聴きどころとして見える点
- ダブ的な残響と間の使い方
- インダストリアル寄りの硬い音像
- 電子音楽の枠組みの中で保たれる緊張感
- ポストパンク由来の声の置き方と語り口
ヒット曲のような形で広く知られた代表曲を前提に聴く作品ではなく、アルバム全体の流れや音の作りそのものを追うタイプの内容だ。曲ごとの派手な展開よりも、音の圧や質感、反復の組み立てで聴かせる構成になっていると見てよさそうだ。
まとめ
『Dream Kitchen』は、Mark Stewartがブリストルの先鋭的な音楽感覚とポストパンク以後の実験性をつなぐ中で生まれた1996年の作品。Electronicを土台に、DubとIndustrialの要素が絡む、彼の活動史の中でも輪郭のはっきりした一枚として捉えられる。
トラックリスト
- A1 – Dream Kitchen
- A2 – Crawl Space
- B – Simulacra (Clone1)
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Daryl Hall & John Oates – X-Static (1979)
Daryl Hall & John Oates『X-Static』(1979)
Daryl Hall & John Oatesは、1967年から活動を続けるアメリカのポップ・ロック・デュオだ。1970年代後半には、ソウルやポップスの要素に加えて、当時の新しい音の感触も取り入れながら、アルバムごとに少しずつ表情を変えていく。
『X-Static』は1979年に発表された作品で、電子的な質感を前面に出した時期の一枚として位置づけられる。ジャンル表記はElectronic、スタイルはSynth-pop。Hall & Oatesの中でも、いわゆるヒット曲主体のイメージだけでは見えにくい、時代の空気に寄ったサウンドがまとまっている。
作品の輪郭
このアルバムでは、Daryl Hallの歌とJohn Oatesのギター/コーラスの組み合わせを軸にしながら、シンセサイザーの比重が比較的はっきりしている。1979年という時期を考えると、ロック・バンド的な演奏感よりも、鍵盤や機械的なリズムの存在感が先に立つ作りと受け取れる。
レコードのクレジットには、©1979 RCA Records、Manufactured by RVC Corporation, Tokyo, Japan とある。日本盤として流通した一枚で、盤自体は強い光にかざすと半透明に見える translucent vinyl 仕様だ。
Hall & Oatesの中での位置づけ
Hall & Oatesはこの後、1980年代に入ると『Voices』や『Private Eyes』、『H2O』などで大きくヒットを重ねていく。その流れの手前にある『X-Static』は、後年の成功作ほど広く知られるタイプではないが、デュオがポップ・ソングの作り方を更新していく途中の記録として見やすい。
同時代の文脈では、ソウル寄りのポップ・ロックからシンセを使った新しいポップへ移っていく動きの中に置ける。完全にニューウェイヴへ寄るというより、既存のメロディ志向を保ちながら、音の表面を時代に合わせていく感触がある。
聴きどころ
実際の音像としては、歌の輪郭を中心にしつつ、シンセのレイヤーが曲の空間を作るタイプのアルバムといえる。派手なギター・ロックの押し出しより、リズムと音色の配置で聴かせる場面が目立つ。
代表曲としては、アルバムからシングルとして知られる「Wait for Me」が挙げられることが多い。メロディの分かりやすさと、当時らしいシンセの使い方が同居していて、作品全体の方向性をつかみやすい一曲だ。
まとめ
『X-Static』は、Hall & Oatesのディスコグラフィの中で、1970年代末の電子的なポップ感覚を映した一枚。大きなヒット作として語られることは多くないが、デュオの変化の途中をそのまま記録したアルバムとして見ると、なかなか輪郭のはっきりした作品だ。
日本盤の半透明ビニールも含め、1979年当時のRCA周辺のパッケージ感を持ったレコードとして手元で眺める面白さもある。
トラックリスト
- A1 – The Woman Comes And Goes (3:48)
- A2 – Wait For Me (4:06)
- A3 – Portable Radio (4:44)
- A4 – All You Want Is Heaven (4:00)
- A5 – Who Said The World Was Fair (4:08)
- B1 – Running From Paradise (6:35)
- B2 – Number One (3:43)
- B3 – Bebop / Drop (3:56)
- B4 – Hallofon (1:17)
- B5 – Intravino (3:33)
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Robert Wyatt – Shipbuilding / Memories Of You / Round Midnight (1982)
Robert Wyatt『Shipbuilding / Memories Of You / Round Midnight』について
Robert Wyattの1982年の7インチ・シングル。収録曲は「Shipbuilding」「Memories Of You」「Round Midnight」の3曲で、UK Rough Tradeから出た作品です。Robert WyattはSoft Machineの創設メンバーとして知られ、その後はソロでも、ジャズやロックの境界をまたぐ作品を続けてきた人。このシングルも、その流れの中にある一枚です。
作品の位置づけ
1982年といえば、Wyattのソロ活動がかなりはっきりした輪郭を持っていた時期です。Soft Machine以後のキャリアの中でも、彼はジャズ、ポップス、カバー曲、政治性のある楽曲を自然に並べていくタイプで、このシングルもそうした持ち味がよく出ている一枚です。特に「Shipbuilding」は、彼の代表曲としてよく挙げられる楽曲で、Robert Wyattの名前を広く印象づけた曲のひとつと言えます。
収録曲
- Shipbuilding
- Memories Of You
- Round Midnight
「Shipbuilding」は、戦争と造船業を結びつけた内容の曲として知られ、落ち着いた歌唱と、曲の持つ冷たい手触りが印象に残る曲です。Robert Wyattらしい、感情を大きく押し出しすぎない歌い方が曲の内容と合っています。
「Memories Of You」はスタンダード寄りの曲想で、Wyattの声の細い響きが前に出るタイプの楽曲。「Round Midnight」はセロニアス・モンクで有名なジャズ・スタンダードで、Wyattがこの時期にジャズの語法を自分のポップス感覚の中へ取り込んでいたことがわかる選曲です。
サウンドの印象
全体としては、派手に展開するタイプではなく、音数を絞った中で曲の輪郭を見せる作りです。Robert Wyattの声は、強く張るというより、言葉の意味やメロディの線をそのまま運ぶ感じがあるので、この手の楽曲では特に存在感がある。ジャズ・ロックやアート・ロックの文脈で語られるのも納得できる内容です。
ジャケットと盤の仕様
1982年のオリジナル盤は、赤ラベルの盤として知られています。ジャケットにはStanley Spencerの絵画《Shipbuilding On The Clyde : Riveters》の一部が使われており、造船所の労働を描いたイメージが「Shipbuilding」というタイトルときれいに結びついています。レーベル表記ではA面が「A Clangwinstello Production」となっています。
なお、1983年には複数の別スリーヴによる再発も出ていますが、1982年盤はその前の初期仕様。赤いラベルの盤と、のちの再発との違いがある点は、このシングルのコレクション面でよく話題になります。
同時代の文脈
Robert Wyattの1980年代前半の仕事は、単なるプログレの延長ではなく、もっと歌もの寄りの感覚と、ジャズや室内楽的な響きが混ざったものとして受け取られやすいです。Rough Tradeからのリリースという点も含めて、当時の英国インディー/オルタナティブの空気とも接続している作品です。John CaleやChris Cutler周辺の、政治性や実験性を持ちながらも曲として成立させる系譜と並べて語られることもあります。
まとめ
『Shipbuilding / Memories Of You / Round Midnight』は、Robert Wyattの代表曲「Shipbuilding」を軸に、ジャズ・スタンダードも並べた1982年のシングル。Soft Machine以後のWyattが、ロック、ジャズ、ポップスを自分の声でつないでいく、その感触がよく出た一枚です。ジャケット、選曲、歌唱のまとまりが強く、Robert Wyattというアーティストの輪郭をつかむうえで重要な作品のひとつと言えます。
トラックリスト
- A – Shipbuilding
- B1 – Memories Of You
- B2 – Round Midnight
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Jody Grind – One Step On (1969)
Jody Grind『One Step On』について
Jody Grindの『One Step On』は、1969年に登場したブリティッシュ・プログレッシブ・ロックの初期作品です。バンドは1968年11月に結成され、短い活動期間ののち1970年に解散しているので、この作品はその活動の中でもかなり早い時期の記録にあたります。トランスアトランティック系の英国ロック文脈で語られることが多い一方で、ジャズやブルースの感触もにじむバンドとして知られています。
作品の位置づけ
Jody Grindはアルバムを2枚残していて、『One Step On』はその2作目にあたる時期の作品です。デビュー作から続くバンドの流れの中で、よりまとまったバンド・サウンドを聴かせる一枚として位置づけられます。メンバーはIvan Zagni、Roger Sutton、Tim Hinkley、Bernie Holland、Pete Gavin、Barry Wilson。編成を見るだけでも、鍵盤とギターを軸にした英国ロックらしい手触りが想像しやすいです。
収録内容と盤の特徴
このイタリア盤は、オリジナルLPに対してA2がボーナス・トラックとして加わっているのが大きな違いです。つまり、同じタイトルでもオリジナル盤とは収録曲が少し異なる形になっています。盤の表記としては、スパインとラベルにAK 059、裏ジャケットには059という表記が見られます。また、ラベル表記ではバンド名が「Giody Grind」と誤記されています。
- オリジナル作品年: 1969年
- 盤のリリース国: イタリア
- 盤の特徴: オリジナルLPにないA2を追加収録
- ラベル表記: 「Giody Grind」と誤記
同時代の文脈
1969年前後の英国ロックは、ブルースロックの延長線上から、より組曲的な構成や鍵盤主体の展開へと広がっていく時期です。Jody Grindもその流れの中に置きやすいバンドで、同時代の英国プログレ周辺のバンドと比べると、派手な大作主義よりも、演奏の流れや曲の切り替わりに耳が向くタイプの作品として見られます。ジャズロック寄りの感触を持つグループと並べて語られることもあるバンドです。
聴きどころとして見えやすい点
実際に聴くと、鍵盤の動きとリズム隊の押し引きが曲の進行を作っていく印象が出やすい作品です。ギターが前面に出る場面もありますが、単独のリフで押し切るというより、バンド全体で展開を組み立てる感覚が強いです。プログレの初期らしい、曲の中で場面が変わっていく作りが見どころになりやすい一枚です。
まとめ
『One Step On』は、短命ながらも個性を残したJody Grindの1969年作として、初期英国プログレの空気を伝える作品です。イタリア盤ではオリジナルLPにない曲が加わっていて、同じタイトルでも少し違う顔を持っています。バンドの活動時期、編成、そして当時の英国ロックの流れを合わせて見ると、この一枚の輪郭がつかみやすいです。
トラックリスト
- One Step On (18:43)
- A2 – Paint It Black (Single Version) (5:06)
- B1 – Little Message, 31/7/69 (4:39)
- B2 – Night Today, 27/7/69 (5:02)
- B3 – U.S.A., 27/7/69 (6:41)
- B4 – Rock’n Roll Man, 27/7/69 (4:31)