Stonebolt – Stonebolt (1978)
Stonebolt『Stonebolt』について
Stoneboltは、カナダ・バンクーバー出身のロック・バンドによる1978年作の1枚です。バンド名をそのままタイトルにした本作は、グループの初期像をそのまま示すようなセルフタイトル盤で、Ray RoperとDavid Jay Willsのツイン・ヴォーカルを軸に、ギター、キーボード、ベース、ドラムがきっちり組み合わさった内容になっている。クレジットを見るだけでも、当時のカナディアン・ロックらしい、演奏重視の編成が見えてくる作品です。
バンドの成り立ちと作品の位置
Stoneboltはバンクーバーを拠点に活動したカナダのロック・バンドで、Ray Roper(guitars, vocals)、David Jay Wills(vocals)、Dan Atchison(bass)、John Webster(keyboards)、Brian Lousley(drums, percussion, vocals)というメンバー構成。のちにキーボード奏者として知られるJohn Websterの名前も見えるあたり、バンドの中で鍵盤が重要な役割を担っていたことがうかがえる。
この1978年の『Stonebolt』は、バンド名を冠した最初のアルバムで、グループの基本形を示す作品と見てよさそうです。カナダのロック・シーンでは、同時代にApril WineやTriumphのようなバンドが存在感を強めていた時期で、Stoneboltもその流れの中にあるバンドとして捉えやすい。派手な装飾より、曲の骨格とバンド・アンサンブルを前に出すタイプの1枚という印象です。
サウンドの印象
この時代の北米ロックらしく、ギターを中心にしたバンド・サウンドが軸。ツイン・ヴォーカルの使い分けがあることで、曲ごとの表情が変わりやすく、メロディを押し出す場面と、ロック・バンドとしての押しの強さを出す場面とが分かれやすい構成です。キーボードが入ることで、ただ硬いだけではない広がりも作っている。
実際に聴くと、演奏のきっちりしたまとまりと、歌メロを前に出す作りが目につくタイプの作品。大きく攻めるというより、楽曲ごとのフックを積み上げていく印象が残る1枚です。
ヒット曲・代表曲について
Stoneboltは後年、シングル「I Will Still Love You」で知られるようになるバンドです。ただしこの曲は本作より後の時期の代表曲で、1978年のこのアルバム時点では、バンドの基礎固めの段階にある作品として見るのが自然です。セルフタイトル盤らしく、のちの活動につながる音の土台がここにある。
日本盤について
今回の日本盤には、4ページの日本語/英語ピクチャー・歌詞インサートと帯が付属する。こうした仕様は当時の国内盤らしい作りで、アートワークや歌詞を追いやすい点が特徴です。輸入盤中心で聴かれやすいジャンルの作品でも、国内盤ならではの付加情報が見やすい形でまとまっている。
まとめ
『Stonebolt』は、1978年時点のカナディアン・ロック・バンドの姿をそのまま写したようなセルフタイトル作です。ギター、鍵盤、ツイン・ヴォーカルを軸にした構成で、バンドの基本線がよくわかる内容。Stoneboltという名前を最初に聴くなら、まずここから入るのが自然な1枚です。
トラックリスト
- A1 – Was It You
- A2 – I Will Still Love You`
- A3 – One Man’s Heartache
- A4 – Sail On
- B1 – The Shadow
- B2 – Do It Right (Do It Again)
- B3 – Singin’ In The Street
- B4 – Queen Of The Night
- B5 – Stay In Line
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Various – The Psychedelic Snarl (1984)
The Psychedelic Snarl / Various
1984年にUKのBam-Caruso Recordsから出たコンピレーション盤。タイトルどおり、1960年代のUKサイケデリック・ロック/フリークビート系の音源を集めた編集盤で、裏ジャケットには「Choice U.K. Psychotic Freakbeat from the sixties.」とある。オリジナル・マスターテープからの収録をうたい、当時のシーンをまとまった形で追える作りになっている。
作品の性格
このレコードは単なる曲寄せ集めではなく、各バンドの詳細や当時のギグ広告の複製を載せた8ページのブックレット付きで、資料性の高い編集盤になっている。厚手の黒いインナー・スリーブが付属し、パッケージ面でもコレクター向けの作りがはっきりしている。
収録曲は、レーベル表記から見るとPhilips、Fontana、DJMなどに残された音源が中心。サイケデリック・ロックの文脈の中でも、いわゆる大きなヒット曲を並べるというより、60年代UKのローカルなグループや、シングル単位で残った録音を掘り起こす性格が強い。Bam-Carusoらしい、埋もれた音源の再提示という役割を持つ一枚といえる。
収録内容と聴きどころ
曲順全体を通してみると、ギターの歪み、オルガン、モノラル録音らしい密度のある鳴りが目立つ。サイケデリックという言葉から想像される長尺の展開よりも、フリークビート寄りの推進力と、60年代後半のスタジオ実験が同居するタイプの曲が並ぶ構成。1曲ごとのキャラクターがはっきりしていて、コンピレーションとしてのメリハリが出ている。
ブックレットやクレジット面も含めて、当時のUKアンダーグラウンド・シーンを俯瞰する資料として機能する内容。裏ジャケットの表現どおり、心理的な浮遊感よりも、少し荒く、直進的で、ロックの手触りが前に出た音像が中心だ。
クレジット面の注意点
Living Daylightsのクレジットには誤記があり、Curt CresswellとBob Heatherの名前が記されているが、Bob Heatherの正しい綴りはHoatherとされる。また、この2名はそのバンドのメンバーではなく、当該録音にも参加していないとされている。こうした点も、資料盤らしい一面として押さえておきたい。
レーベルと時代背景
Bam-Caruso Recordsは、60年代英国ロックの再発掘で知られるレーベル。1980年代前半は、サイケデリックやフリークビートの再評価が進み、オリジナル盤の価値が改めて見直されていた時期でもある。この盤も、その流れの中で企画された編集盤として位置づけられる。
同時代のUKサイケ再発コンピと比べても、単なる定番集というより、レーベル横断で「当時の空気」をまとめた印象が強い。ジャケットに使われたP. St. John Nettletonの“The Third Beast In The Vase”も含め、音だけでなくアートワークまで含めて60年代UKの断片を束ねた作りになっている。
まとめ
The Psychedelic Snarlは、1960年代UKのサイケデリック/フリークビートを1984年の視点で再構成したコンピレーション盤。オリジナル盤のシングル音源を中心に、資料性の高いブックレットとあわせて、当時のローカルなバンド群を立体的に見せる内容になっている。編集盤としての骨格がしっかりした一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Atmospheres
- A2 – Faster Than Light
- A3 – Woman Of Distinction
- A4 – It’s All Over Now
- A5 – Always With Him
- A6 – Never Had A Girl Like You Before
- A7 – Cast A Spell
- A8 – The Spider And The Fly
- B1 – Rumble On Mersey Square South
- B2 – Magic Potion
- B3 – Let’s Live For Today
- B4 – I Must Be Mad
- B5 – I Will
- B6 – Grey
- B7 – Save My Soul
- B8 – The Morning After
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Hummingbird – Diamond Nights (1977)
Hummingbird『Diamond Nights』(1977)について
Hummingbirdの『Diamond Nights』は、1977年にUSで出た作品で、バンドの持ち味であるロックの骨格に、ソウルやジャズ、ファンクの要素を重ねた一枚だ。Bobby Tenchを中心に1974年に結成された英米混成バンドで、ここではBernard Purdie、Max Middleton、Conrad Isidore、Robert Ahwai、Bernie Holland、Clive Chamanらが参加している。
前身の流れをたどると、Hummingbirdはジミー・ペイジ周辺のセッション感覚や、英国のブルース/ロック人脈ともつながるメンバー構成で知られる。そうした背景を踏まえると、『Diamond Nights』も単なるバンド作品というより、演奏者それぞれの経験が前に出るタイプのレコードとして捉えやすい。
作品の輪郭
このアルバムは、ギターを軸にしたロックの手触りがありつつ、リズム隊の動きにソウル・ジャズやジャズ・ファンクの感覚がにじむ内容だ。Bernard Purdieのようなグルーヴ重視のドラマーが入っていることもあって、ビートの置き方に独特の粘りが出やすい編成と言える。
同時代の文脈で見ると、1970年代半ばの英国発のバンドでも、ロックだけに寄らず、ファンクやR&Bの語法を取り入れる流れがあった。Hummingbirdもその中に置くと見通しがよく、Jeff Beck周辺や、よりジャズ寄りのクロスオーバー作品を思わせる場面があるかもしれない。
聴きどころ
実際の音の印象としては、派手な展開で押すというより、演奏の間合いとリズムの推進力で聴かせるタイプに思える。ボーカル、ギター、キーボード、ベース、ドラムがそれぞれ前に出すぎず、曲の中で役割を分担する流れが見えやすい。ファンク寄りの曲ではリズムの反復、ソウル寄りの曲では歌のフレーズ感が耳に残りやすい構成だ。
この時期のHummingbirdは、個々のプレイヤーの力量がそのまま作品の質感につながるバンドだったので、曲単体だけでなく、演奏の呼吸を追う楽しみが大きい。そうした意味では、アルバム全体を通してバンドの色よりも、メンバーの持ち味が積み重なっていく感覚がある。
曲と収録内容について
本作では、レーベル表記とバックカバーの曲順が一致しない版が確認されている。盤によって収録表記の見え方が違うため、レコードを手に取るときはクレジットの確認が必要になるタイプの作品だ。
代表曲として大きく知られた一曲を前面に押し出す作品というより、アルバム単位で聴かれる性格が強い。Hummingbirdの中でも、バンドの演奏力とジャンル横断的な作りがまとまって表れた一枚として見ると、位置づけがつかみやすい。
まとめ
『Diamond Nights』は、1977年という時代の空気の中で、ロックを土台にソウル、ジャズ、ファンクの要素を自然に混ぜたHummingbirdのアルバムだ。Bobby Tenchを中心にしたこのバンドの持ち味が、演奏中心の形でよく出た作品として理解しやすい。
派手な看板曲で押すというより、メンバーの手触りやグルーヴの積み重ねで聴かせる一枚。Hummingbirdというバンドの名前を追ううえでも、1970年代中盤の英米ロックとブラック・ミュージックの接点を見るうえでも、外しにくい位置にある作品だ。
トラックリスト
- A5 – Got My “Led Boots” On (3:41)
- A4 – Spirit (3:35)
- B2 – Cryin’ For Love (3:14)
- B3 – She Is My Lady (5:01)
- B4 – You Can’t Hide Love (4:25)
- A1 – Anaconda (5:50)
- A3 – Madatcha (3:48)
- A2 – Losing You (Ain’t No Doubt About You) (3:57)
- B1 – Spread Your Wings (4:15)
- B5 – Anna’s Song (3:28)
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Paternoster – Paternoster (1972)
Paternoster『Paternoster』について
オーストリア、ウィーン出身のプログレッシブ・ロック・バンド、Paternosterによるセルフタイトル作。オリジナルは1972年の作品で、1971年のデビュー作に続く時期の録音として知られる。ここで取り上げる盤は2015年リリースの再発盤で、1972年3月9日と10日にウィーンのQuodlibet-Studiosで録音されている。
Paternosterは、1970年代初頭の短い活動期間のなかで残した作品で知られるバンドで、ウィーンのアンダーグラウンド・シーンに属する存在として語られることが多い。1971年の同名アルバムはごく少数しか流通しなかったことでも知られ、この1972年録音の作品も、その周辺の文脈で捉えられる一枚になっている。
作品の位置づけ
バンドの活動史のなかでは、初期の代表的な記録のひとつ。デビュー作と近い時期の制作であり、Paternosterというグループの音像や制作環境を続けて確認できる資料性の高い作品といえる。2015年盤はドイツ盤として出ており、単一ジャケットでのパッケージ。
録音と再発盤のポイント
録音は1972年3月、ウィーンのスタジオで実施。オリジナル時代の空気をそのまま伝える内容で、再発盤としては、1970年代初頭の記録を現在の流通環境で聴ける点に価値がある。リリース国はドイツで、盤の表記は「Made in Germany」。
オリジナル盤との違いについては、少なくとも提示情報からは2015年再発であること、そしてパッケージが単一ジャケットであることが確認できる。内容面は1972年録音の作品として扱うのが自然。
バンドの文脈
Paternosterは、オーストリアの地下的なプログレッシブ・ロックの流れに置かれることが多い。活動期間は短く、解散も早かったため、作品数は多くない。そのぶん、1971年作とこの1972年作が、バンドの全体像を知るうえで重要な手がかりになっている。
同時代の欧州プログレの文脈で見ると、英国勢の大作志向とは少し距離のある、地域性の強いアンダーグラウンド作品として捉えやすい。ウィーン録音という点も含め、ローカルな制作背景がそのまま残ったレコードだといえる。
メンバー
- Haimo Wisser
- Franz Wippel
- Gerhard Walter
- Gerhart Walenta
まとめ
Paternoster『Paternoster』は、1972年のウィーン録音を収めた、オーストリア産アンダーグラウンド・プログレの記録。短命なバンドの活動期を示す一枚であり、1971年のデビュー作とあわせて、Paternosterという名前を知るうえで外せない作品になっている。
トラックリスト
- A1 – Paternoster (3:57)
- A2 – Realization (3:31)
- A3 – Stop These Lines (6:56)
- A4 – Blind Children (6:14)
- B1 – Old Danube (4:13)
- B2 – The Pope Is Wrong (6:00)
- B3 – Mammoth Opus O (8:55)
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Big Brother & The Holding Company – Cheap Thrills = チ―プ・スリル (1968)
Big Brother & The Holding Company『Cheap Thrills』について
Big Brother & The Holding Companyの『Cheap Thrills』は、1968年に発表されたアルバムで、Janis Joplinが在籍していた時期の代表作として知られる作品だ。サンフランシスコのブルースロック/サイケデリック・ロック周辺の空気を、そのまま閉じ込めたような一枚である。
バンドは1965年にサンフランシスコで結成され、ギターのJames Gurley、Sam Andrew、ベースのPeter Albin、ドラムのDave Getzという編成を軸に活動した。そこにJanis Joplinのボーカルが重なったことで、グループの存在感は大きく変わった。『Cheap Thrills』は、その組み合わせが最も強く刻まれた作品のひとつといえる。
作品の位置づけ
このアルバムは、Big Brother & The Holding Companyにとって最も広く知られるタイトルだ。グループ名義ではあるが、実際にはJanis Joplinのボーカルが作品全体の印象を決定づけている。バンド側のざらついた演奏と、Joplinの声の強さがぶつかり合う構図が、この作品の核になっている。
同時代のサンフランシスコ勢、たとえばJefferson AirplaneやGrateful Deadと並べて語られることも多いが、『Cheap Thrills』はその中でもブルース色の出し方がはっきりしている。サイケデリックな時代の空気を持ちながら、根っこにはブルースの歌い回しとバンドの生演奏感がある。
収録曲と代表曲
この作品でまず挙がるのは「Piece of My Heart」だろう。もともと広く知られた曲だが、Janis Joplinの歌唱で決定的に印象づけられた。荒い呼吸感と、フレーズの押し出しの強さが前面に出る。
もうひとつ重要なのが「Summertime」。George Gershwinの楽曲を、ロックの文脈で再解釈した形で収めている。テンポの置き方や声の伸ばし方に、原曲とは違う緊張感がある。
ほかにも「Ball and Chain」など、ライブでの熱量を思わせる曲が並ぶ。アルバムの中にはBill GrahamのFillmore Auditoriumで録音されたライブ素材も含まれており、スタジオ盤でありながら、会場の空気がはっきり残っている。
日本盤LPの特徴
今回の盤は1974年の日本盤。オリジナルの1968年盤とは別に、日本でCBS/SONYから製造された一枚で、帯付き、10インチの歌詞インサート、そしてCBSのプラスチック内袋が付属する仕様だ。
ジャケット裏面には「Manufactured by CBS/SONY INC.(Tokyo Japan)」の表記があり、日本で流通した盤であることが確認できる。オリジナル盤の初出時とはパッケージ面の細部が異なる、日本盤らしい作り込みがポイントになる。
聴きどころ
この作品の聴きどころは、演奏の整い方よりも、歌とバンドが同じ方向に突っ込んでいく感じにある。Janis Joplinのボーカルは、ただ強いというより、言葉を押し出す圧がある。その上で、ギターがやや荒れた質感のまま絡むので、曲ごとの勢いが途切れにくい。
また、スタジオ録音とライブ録音が混ざることで、アルバム全体の温度差が一定ではない。そのぶん、曲ごとの表情の違いが出やすい作品でもある。
まとめ
『Cheap Thrills』は、Big Brother & The Holding Companyのバンド性と、Janis Joplinの存在感が最も強く結びついたアルバムだ。1968年当時のサンフランシスコ・ロックの文脈の中でも、ブルース由来の歌と演奏を前に出した一枚として位置づけやすい。
1974年の日本盤は、帯や歌詞インサートを備えた当時の国内仕様で、オリジナル盤とは別の形でこの作品を手元に置ける盤といえる。
トラックリスト
- A1 – Combination Of The Two = ふたりだけで (5:40)
- A2 – I Need A Man To Love = 愛する人が欲しい (4:53)
- A3 – Summertime = サマータイム (3:58)
- A4 – Piece Of My Heart = 心のカケラ (4:12)
- B1 – Turtle Blues = タートル・ブルース (4:22)
- B2 – Oh, Sweet Mary = オー、スィート・マリー (4:17)
- B3 – Ball And Chain = ボールとチェーン (9:31)
However – Calling (1984)
However『Calling』について
『Calling』は、USの前衛ロック/プログレ・ロック・バンド、Howeverが1984年に発表した作品です。バンドは1977年結成で、メンバーはBobby Read、Bill Kotapish、Joe Princiotto、Peter Princiotto。クレジットと歌詞を収めたシートが付属する点も、この時代の自主性の強い作品らしいところです。
ジャンル表記はRock、スタイルはArt RockとProg Rock。つまり、一般的なロックの枠内に置きながら、曲の構成や演奏の組み立てにひと工夫あるタイプの作品として捉えやすい1枚です。1980年代前半のUSプログレは、70年代の大仰なプログレとは少し距離を置きつつ、アートロック寄りの整理された作りに向かう流れもあり、その文脈の中で見ることができる作品といえます。
作品の位置づけ
1984年という年は、バンドにとって初出となる時期のリリースです。つまり『Calling』は、Howeverの活動の中でも早い段階の記録。バンドの輪郭を知るうえで、まず触れておきたいタイトルです。アーティスト紹介でも前衛性とプログレッシブな志向が示されているので、バンドの基本姿勢がそのまま出た作品として受け取れます。
同時代の文脈
同時代のUSロックでは、従来型のハードロックやAORとは別に、実験性を残したアートロックやプログレの系譜が細く続いていました。そうした流れの中では、曲展開を重視するバンドや、演奏の密度で聴かせるバンドが比較対象になりやすいです。Howeverも、その系譜に置いて見ると自然な存在感があります。
比較のイメージとしては、英国プログレの大作志向というより、USのバンドらしい実直な演奏感と構成重視の姿勢に目が向きます。派手な売り方より、作品そのものを通して知るタイプのレコードです。
収録内容とパッケージ
付属シートに歌詞とクレジットが載っているのもポイントです。歌詞を追いながら聴けるので、演奏だけでなく言葉の面でも作品を追いやすい構成です。クレジットが明示されていることで、バンド内の役割や制作の手触りも見えやすくなります。
聴きどころの見方
実際の音像としては、アートロックとプログレ・ロックの間を行く作品として、曲ごとの展開やアンサンブルの組み方に注目する聴き方が合いそうです。メロディを前に出す場面と、演奏の組み立てで引っ張る場面、その切り替えが作品の印象を決めるはずです。こうしたタイプの作品では、1曲ごとの完成度だけでなく、アルバム全体の流れも重要になります。
代表曲やヒット曲として広く知られた曲名は、この情報からは確認しにくいですが、バンドの初期作としてはアルバム全体がひとつのまとまりとして受け止められる1枚です。
まとめ
『Calling』は、1984年のUS発アートロック/プログレ・ロック作品。Howeverというバンドの初期像を示す、クレジットと歌詞付きのアルバムです。70年代プログレの遺伝子を引きつつ、80年代の時代感の中で整理された形に落とし込んだ作品として見ると、位置づけがつかみやすいです。
トラックリスト
- A1 – Stop Sign (2:10)
- A2 – Spheres Of Action (3:22)
- A3 – Favour Me Oblivion (4:53)
- A4 – Sigh (2:07)
- A5 – On The Face Of The World (6:50)
- A6 – Heroe’s Return (4:07)
- B1 – Airplay (3:15)
- B2 – Calling (2:42)
- B3 – Little Ricky (The Next Generation) (5:50)
- B4 – Wild / Cold With Monotony & Trio (8:48)
- B5 – The World War (0:30)
- B6 – Chips (2:33)
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Steve Hackett – Voyage Of The Acolyte (1975)
Steve Hackett / Voyage Of The Acolyte
Steve Hackettの初ソロ作として知られるのが、1975年発表の「Voyage Of The Acolyte」だ。Genesis在籍中に制作されたアルバムで、バンドの枠を少し離れたところで、ギターを軸にした組曲的な構成と、シンフォニックな展開を前面に出している。プログレッシブ・ロックの文脈では、Steve Hackettという名前を語るうえで外せない1枚になっている。
ここで扱うのは1978年に日本で出た盤。オリジナルの1975年盤とは時期が異なり、日本盤としての仕様が加わっている。帯とインサート付きで、インサートには英語詞と日本語ライナーノーツを収録。曲順や内容は作品の核をそのまま伝えつつ、国内盤らしい丁寧な作りになっている。
作品の位置づけ
Steve Hackettは、1950年ロンドン生まれの英国人ギタリスト。Genesisで8作に参加し、1977年に離脱したのち、ソロ活動へ本格的に移っていく。その流れの中で見ると、「Voyage Of The Acolyte」は、後のソロ作へつながる出発点という位置づけがはっきりしている。Genesis時代の緊密なアンサンブル感を引き継ぎながら、より個人名義の作品として組み立てられている点が重要だ。
音の印象
全体はロックを基調にしつつ、プログレッシブ・ロックらしい展開の多さがある。アコースティックなパートとエレクトリックなパートの切り替え、静かな導入から厚みのあるバンド・サウンドへ進む構成など、曲ごとの温度差が大きい。ギターは前に出るが、いわゆる速弾き中心ではなく、フレーズの置き方や音色の選び方で聴かせるタイプの内容だ。
実際に聴くと、派手さよりも、曲が少しずつ形を変えながら進む流れが印象に残る。細かな部分では、メロディの運びや間の取り方に、当時のGenesis周辺で共有されていた感覚が見える。単独のギタリスト作品というより、1970年代半ばの英国プログレの空気をまとったアルバム、という受け止め方がしやすい。
同時代との関係
1975年という時期は、Genesisのほか、YesやCamel、King Crimson周辺など、英国のプログレッシブ・ロックが多様化していた頃に当たる。その中でこの作品は、歌や大編成の派手さで押すより、ギターを中心にした作曲と構成のまとまりで存在感を出している。Steve Hackett個人の感性が、そのまま作品の骨格になっている点が特徴的だ。
代表曲として触れたい曲
アルバム全体の流れで聴かれる作品だが、「Shadow of the Hierophant」はよく話題に上る曲だ。長めの構成で、静かな始まりから徐々に密度を上げていく展開が印象に残る。ソロ作でありながら、バンド的なスケール感を持ったナンバーとして、このアルバムの性格を端的に示している。
日本盤について
1978年の日本盤は、帯と日本語ライナーノーツ付きという点がまず分かりやすい。さらに、インサートに英語詞が載っているので、歌詞を追いながら聴きやすい仕様になっている。トラックの長さはインサート表記基準で、世界各国盤の表記と少し異なるとのこと。レコードの細部まで含めて楽しめる、当時の国内プレスらしい一枚だ。
まとめ
「Voyage Of The Acolyte」は、Steve HackettがGenesisのギタリストとして知られる以前から、すでにソロ作としての輪郭を持っていたことを示すアルバムだ。1975年のオリジナル作品としての価値に加え、1978年の日本盤では、帯・インサート付きの仕様も含めて当時の輸入盤文化を感じさせる。英国プログレの流れの中で、ギター主導の組曲的な作品として位置づけやすい1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Ace Of Wands (5:20)
- A2 – Hands Of The Priestess (Part 1) (3:24)
- A3 – A Tower Struck Down (3:49)
- A4 – Hands Of The Priestess (Part 2) (2:47)
- A5 – The Hermit (4:43)
- B1 – Star Of Sirius (7:04)
- B2 – The Lovers (7:56)
- B3 – Shadow Of The Hierophant (5:22)
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Teresa Gatta – Cantadonnacanta (1978)
Teresa Gatta『Cantadonnacanta』について
Teresa Gattaの『Cantadonnacanta』は、1978年にイタリアでリリースされた作品だ。フォークを基調にした内容で、女性労働者の闘いを1800年から現代までたどる、語りと歌を組み合わせた構成になっている。
作品の内容と性格
このレコードは、単なる歌集というより、歴史的なテーマを前面に出した語りものとして捉えやすい。リリースノートにもある通り、働く女性の歩みを物語として描き、その節目を歌とナレーションでつないでいく作りだ。題名の「Cantadonnacanta」も、女性の声をそのまま前に出すような印象を残す。
制作はMAMA Recordsによるもので、Donna Theater GroupとU.D.I.(イタリア女性同盟)向けの企画として作られている。イタリアでは1970年代、労働運動や女性運動と結びついた文化作品が少なくなく、この盤もその流れの中に置ける内容だ。
音楽的な位置づけ
ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolkとなっている。大きな編成のポップ作品ではなく、言葉の内容を伝えることに重心があるタイプのフォーク作品として見るのが自然だ。イタリアの政治性を帯びたフォークや、社会的テーマを扱うシンガーソングライター作品と近い文脈に入る。
同時代のイタリア作品でいうと、労働や社会問題を扱うフォーク、あるいは演劇と接続した歌ものの流れを思わせる。歌そのものの技巧を見せる盤というより、テーマを共有する場の記録に近い性格がある。
アーティストとしてのTeresa Gatta
公開されているプロフィール情報は多くなく、このレコード単体から見えてくるのは、社会的なテーマを担う歌い手としての姿だ。ソロ名義のディスコグラフィーの中でどういう位置にあるかまでは、この情報だけでは断定しにくいが、少なくともこの作品では主題を伝える役割がはっきりしている。
聴きどころとして見える点
実際に聴いた感触として語るなら、こうした作品はメロディの華やかさよりも、語りの流れと歌詞の具体性が印象に残りやすい。女性労働史を1800年から現代まで追うという構成上、時代の切り替わりごとに場面が変わっていくタイプの盤と考えられる。
代表曲のように単独で広く知られたナンバーがあるというより、全体を通して一つのストーリーとして聴く作品だろう。曲名単位で切り出すより、アルバム全体の連続性に意味がある。
まとめ
『Cantadonnacanta』は、1978年のイタリアで生まれた、女性労働者の歴史を歌と語りで描くフォーク作品だ。音楽作品であると同時に、当時の社会運動や演劇的な表現とも結びついた記録として見えてくる。Teresa Gattaの名義で残されたこの一枚は、内容主導のイタリア・フォークを知るうえで、資料的な意味合いも持つ作品だと言えそうだ。
トラックリスト
- 1A – Le Osterie della Creazione
- 2A – La Donna è Malata
- 3A – Se Spera
- 4A – Cade L’uliva
- 1B – La Mondina
- 2B – E per la Strada
- 3B – I Mugliere d’Americane
- 4B – Sebben che Siamo Donne
- 5B – Le Osterie di Sor Giolitti
- 6B – Regazzine
- 7B – Io Fabbrico Spolette
- 1C – Abballate Femmene
- 2C – Le Otto Ore
- 3C – Batton l’Otto
- 4C – Le Osterie del Voto
- 5C – E Quei Briganti Neri
- 6C – La Donna Italiana
- 1D – Cosa è Successo. Cosa l’è Stato
- 2D – Bella, Ciao
- 3D – Le Osterie delle Leggi
- 4D – Cantadonnacanta
Prelude – After The Gold Rush (1974)
Prelude『After The Gold Rush』について
Preludeの「After The Gold Rush」は、1974年にアメリカでリリースされた作品。イングランド北東部ゲーツヘッド出身の男女ボーカル・フォーク・トリオが、Neil Youngの同名曲を取り上げたもので、グループ名を広く知らしめた代表曲として扱われている。アーティストのプロフィールでも触れられている通り、最もよく知られる編成はBrian Hume、Irene Hume、Ian Vardyの3人で、1970年に結成された。
作品の位置づけ
Preludeにとっては、1973年のファースト・アルバム『How Long Is Forever?』から生まれた一曲で、そこからシングルとして切り出されたのがこの「After The Gold Rush」。つまり、単独のヒット曲というより、バンドの初期を代表する録音として受け止められている作品だ。オリジナル・アルバムの流れの中で育った曲が、のちに広く聴かれるようになった形でもある。
曲の特徴
この曲はア・カペラ版として知られている。Neil Youngの原曲を、Preludeは声の重なりでまとめ上げていて、楽器を強く前面に出すタイプではない。フォーク・グループらしい編成を生かした構成で、歌声そのものが曲の中心になっている。聴きどころは、メロディの運びよりも、3人のボーカルの並び方やハーモニーのまとまりにある。
録音はロンドンのScorpio Soundで行われている。リリース・ノートには、ColumbiaのSanta Mariaプレスで、ランアウトに「S /」の刻印が入ることが記されている。こうした細かな盤の違いは、US盤コレクションでは確認ポイントになりやすい。
当時の反応
この曲は英国と米国の両方でチャート入りしている。英国では1974年1月26日にTop 50へ入り、9週間チャートにとどまり、最高21位。アメリカでは1974年2月11日にBillboard Hot 100へ入り、5週間のチャート・インとなって最高22位を記録している。Preludeの名前が国際的に広まった要因として、この成績はかなり大きい。
同時代の文脈
1970年代前半のフォーク・シーンには、シンプルな編成でボーカルの重なりを前面に出すグループがいくつかあった。Preludeもその流れの中に置ける存在で、英国のフォーク・コーラス感覚と、当時のポップ・ロック寄りの聴かれ方が交差している印象がある。Neil Youngの楽曲を選んだ点も、同時代のシンガーソングライター文化との接点を示している。
まとめ
Preludeの「After The Gold Rush」は、Neil Youngの楽曲を素材にしながら、Prelude自身のボーカル・アレンジで形を作った1974年の代表曲。グループの出自がフォークにあること、そしてア・カペラでヒットを得たことが、この一曲の輪郭をはっきりさせている。作品としては、バンドの初期キャリアを語るうえで外せない録音と言えそうだ。
トラックリスト
- A1 – After The Gold Rush (2:07)
- A2 – Dear Jesus (3:50)
- A3 – To Hell With The War (2:58)
- A4 – Lady From A Small Town (3:06)
- A5 – Rufus (1:03)
- A6 – Open Book (3:06)
- B1 – Hotel Room (4:31)
- B2 – Rock Dreams (1:48)
- B3 – Fly (3:34)
- B4 – Adventures On The Way (5:22)
- B5 – Follow Me Down (3:36)
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Al Di Meola – Scenario (1983)
Al Di Meola『Scenario』について
『Scenario』は、ジャズ/フュージョン・ギタリスト、Al Di Meolaが1983年に発表した作品。初期から高い技巧で知られてきた彼が、1980年代前半のデジタル録音時代に入って制作したアルバムで、作り込みの細かさと演奏の切れ味が前面に出た一枚として位置づけられる。
Al Di Meolaは1954年、ニュージャージー州ジャージー・シティ生まれ。Return to Foreverで名を広めたあと、ソロ作ではラテン色の強いアコースティック路線から、エレクトリックなフュージョンまで幅広く展開してきた。この『Scenario』は、その流れの中で1983年という時代感をよく映す作品といえる。
作品の内容と参加ミュージシャン
本作には、Phil CollinsとBill Brufordが参加している。いずれもそれぞれの所属レーベルのクレジット付きで収録されており、ロック/プログレッシブ・ロックの文脈でも名前の通る演奏家が関わっている点が、この作品の輪郭をはっきりさせている。
演奏面では、Di Meolaらしい速いフレーズ、音の粒立ちのそろったギター、緻密なアンサンブルが中心。ジャズの即興性だけで押し切るというより、構成のあるフュージョン作品としてまとまっている印象を持たれやすい内容だろう。
1983年のフュージョン作品としての位置
1980年代前半のフュージョンは、録音技術の進化やシンセサイザーの普及と結びついて、音像が整理された作品が増えていた時期。本作も「A Digital Recording.」とあるように、当時の新しい録音環境を反映した仕上がりになっている。
同時代の近い感覚を持つギタリストとしては、John McLaughlinやLarry Coryell、Pat Methenyなどが比較対象に挙がりやすい。もっとも、Di Meolaはその中でもリズムの切り方やピッキングの明瞭さが際立つタイプで、『Scenario』でもその個性が前に出ている。
日本盤の仕様
この日本盤は、帯付き、重量感のあるカードスリーブ、厚手のMaster Sound内袋という仕様。英語・日本語の片面インサートが付属し、盤によってはMastersound Catalogueのインサートが入る場合もある。
オリジナルが1983年の作品であるのに対し、この日本盤も同年リリース。初出時の空気をそのまま伝える盤として扱える。
聴きどころ
この作品でまず目を引くのは、ギターの輪郭のはっきりした音作り。速弾きの派手さだけでなく、音の抜け、リズムの置き方、バンド全体の密度が聴きどころになっている。
また、ゲスト陣の存在によって、単なるギター・ソロ作品ではなく、曲ごとの色合いが変わる点もこのアルバムの面白さ。ジャズの即興、ロック寄りの推進力、スタジオ作品としての整った構成、その3つが同居した一枚として捉えやすい。
まとめ
『Scenario』は、Al Di Meolaの1983年時点の到達点を、デジタル録音のクリアな音像でまとめたフュージョン作品。技巧、編曲、ゲストの存在感がバランスよく並んだアルバムで、80年代前半のジャズ/フュージョンの空気を知るうえでも重要なタイトルのひとつといえる。
トラックリスト
- A1 – Mata Hari (6:04)
- A2 – African Night (4:51)
- A3 – Island Dreamer (4:06)
- A4 – Scenario (3:55)
- B1 – Sequencer (4:06)
- B2 – Cachaca (5:34)
- B3 – Hypnotic Conviction (3:51)
- B4 – Calliope (4:19)
- B5 – Scoundrel (3:44)
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Zygoat – Zygoat (1974)
Zygoat / Zygoat(1974年作品、1982年盤)
「Zygoat」は、ニューヨークを拠点に活動したキーボード奏者、Burt Alcantaraによるプロジェクトの名義作として知られる作品だ。1974年にオリジナルが出ているが、ここで扱うのは1982年に日本で出た盤。電子音楽の初期、しかもシンセサイザーを前面に置いた先駆的なアルバムとして位置づけられている。
作品の輪郭
内容は、電子音の動きそのものを聴かせるタイプのアルバム。ジャンル表記はElectronic、スタイルはExperimentalとAmbient。楽曲を強く押し出すというより、音色、持続音、モジュレーションの変化で空気を組み立てていく作りに目が向く。ダンス作品を専門にしていたキーボード奏者のプロジェクトという背景もあり、リズム感のある場面と、音の広がりを重視する場面が同居している印象の一枚だ。
1970年代前半のシンセサイザー作品として見ると、同時代の電子音楽の流れの中でもかなり早い段階の記録に入る。ドイツのクラウトロック系や、米国の実験音楽、初期アンビエント周辺と並べて語られることがありそうな内容で、機材の新しさをそのまま作品化したような性格がある。
聴きどころ
実際の音像は、メロディを追うというより、シンセの発音や残響の変化を追っていくタイプだ。音の輪郭がくっきり出る場面もあれば、レイヤーが重なってまとまりのある流れになる場面もある。電子音の表情をひとつずつ見せる進行で、当時のシンセ作品らしい手触りが前に出ている。
代表曲として広く知られた曲名が目立つ作品ではなく、アルバム全体で聴かれる性格が強い。なので、1曲だけを切り出すより、通して聴いたときの音の配置や質感の変化が、この作品の中心になっている。
アーティストの位置づけ
Burt Alcantaraのプロジェクトとしては、ダンス作品向けの仕事を背景にしながら、より実験的な電子音楽へ踏み込んだ記録と見てよさそうだ。シンセサイザーがまだ新しい表現手段として扱われていた時期に、その可能性を前面に出した点で、彼の仕事の中でも特に実験性の強い位置を占める作品に見える。
1982年盤について
この盤は日本でのリリースで、ジャケットには帯と片面印刷のインサートが付く仕様。1982年盤として流通しているため、オリジナルの1974年盤とは発売時期が異なる。日本盤らしい丁寧な体裁で再紹介された一枚、と捉えられる。
まとめ
「Zygoat」は、初期シンセサイザー音楽の記録として見どころのある作品だ。実験性とアンビエント性が前に出た構成で、1970年代前半の電子音楽が持っていた試行錯誤の空気を、そのまま封じ込めたような内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Leaves Of Sand
- A2 – Zygoat
- A3 – Ybur Knom
- A4 – Pillar Of Salt
- A5 – Movement To The Earth
- A6 – Seeds Cast To The Wind
- B1 – Zy-Clone
- B2 – Ybur Doon
- B3 – Zygomania
- B4 – The Ladder Of Zeugma
- B5 – The Libran Sea
- B6 – Perseverance Furthers
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Hako Yamasaki – 綱渡り (1976)
Hako Yamasaki『綱渡り』
山崎ハコの『綱渡り』は、1976年に日本でリリースされた作品。フォークシンガー・ソングライターとして知られる山崎ハコが、70年代の日本のフォーク/フォークロックの空気の中で作り上げたアルバムで、アコースティックな手触りと、歌と言葉の強さが前に出る一枚として捉えやすい。
アーティストの位置づけ
山崎ハコは1957年、大分県日田市生まれの日本のフォーク系シンガーソングライター、ギタリスト、女優。1970年代のフォーク・ブームの流れの中で活動を広げ、1975年から2024年まで継続して作品を発表してきた。『綱渡り』は、その初期の時期にあたる作品で、デビュー間もない時代の表現がまとまっている。
この時期の山崎ハコは、後年の代表的なイメージにつながる、個人的な感情をそのまま言葉に置き換えるような歌い口と、ギターを軸にした曲作りがすでに前面に出ている。70年代の日本の女性シンガーソングライターの文脈で見ると、吉田拓郎周辺のフォークや、岡林信康、中島みゆきらと並べて語られることのある世代性を持った作品群のひとつでもある。
収録曲とアルバムの流れ
収録は全10曲。A面には「向かい風」「白い花」「ひまわり」「天井」「ヘルプ ミー(Help Me)」、B面には「ひとり歌」「ハーモニカ吹きの男」「綱渡り」「歌いたいの」「誕生祝い」が並ぶ。タイトル曲はB3の「綱渡り」。
曲名を見るだけでも、日常の感情や身体感覚に近い言葉が多く、派手な装飾よりも、歌の内容をまっすぐ受け取らせる構成になっていることがうかがえる。アルバム全体としては、静かな曲と、少し張りつめた曲が交互に置かれていて、歌詞の重さと演奏の素朴さが同じ方向を向いている印象がある。
サウンドの印象
ジャンル表記としてはロック、スタイルとしてはフォークロックとアコースティック。実際にも、バンドサウンドで押し切るというより、ギターと歌を中心に据えた編成感が強い。音の数を増やして盛り上げるタイプではなく、フレーズの間や声の置き方で曲を進める作り。
聴きどころとしては、山崎ハコの声の芯の強さ。音域を大きく使うというより、言葉を押し出すような歌い方で、歌詞の一語一語が前に出る。そのため、同時代のフォークロックの中でも、演奏の派手さより歌の圧を感じやすい作品になっている。
代表曲・注目曲
このアルバムでは、まずタイトル曲の「綱渡り」が中心曲として目に入る。曲名そのものが、この時期の山崎ハコの緊張感ある歌世界を端的に示している。ほかにも「向かい風」「ひとり歌」「歌いたいの」といった曲名が、個人の内側にある感情をそのまま題材にしていることを伝える。
「ヘルプ ミー(Help Me)」のように英語を織り込んだ題もあり、70年代の日本のフォークが持っていた外来ポップスとの接点も見える。とはいえ、全体はあくまで山崎ハコ自身の言葉と歌の重心でまとまっている。
同時代の文脈
1976年という年は、日本のフォークがシンガーソングライター中心の音楽として広く定着していた時期。『綱渡り』もその流れの中にあり、アコースティックな編成で内面を描く作品として自然に位置づけられる。メロディの親しみやすさだけでなく、歌詞の切実さや語り口の近さが前に出るところが、この時代のフォークロックらしいポイント。
山崎ハコはのちに作品数を重ねていくが、『綱渡り』はその初期段階で、すでに作家性の輪郭が見えるアルバムとして受け止めやすい。デビュー初期の作品を追うときに、その後の代表曲や後年の表現へつながる入口として置かれることが多い一枚だろう。
まとめ
『綱渡り』は、山崎ハコの初期の持ち味である、言葉の強さとアコースティックな土台がはっきり出た1976年作。派手な展開よりも、歌そのものを聴かせる作りで、70年代日本のフォークロックの空気をそのまま閉じ込めたような作品になっている。
トラックリスト
- A1 – 向かい風 (5:17)
- A2 – 白い花 (5:16)
- A3 – ひまわり (3:15)
- A4 – 天井 (5:29)
- A5 – ヘルプミー (4:18)
- B1 – ひとり唄 (3:38)
- B2 – ハーモニカ吹きの男 (3:34)
- B3 – 綱渡り (5:31)
- B4 – 歌いたいの (4:12)
- B5 – 誕生祝い (6:59)
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Triumvirat – Illusions On A Double Dimple (1974)
Triumvirat『Illusions On A Double Dimple』について
Triumviratの『Illusions On A Double Dimple』は、1974年にリリースされたドイツ出身のプログレッシブ・ロック作品である。バンドは1969年にケルンで結成され、中心人物はキーボードのJürgen Fritz、ドラムと作詞を担うHans Bathelt、初期のベーシストWerner Frangenbergという編成だった。後にメンバー交代を経ながら活動を続け、この2作目でアメリカ市場でも存在感を強めたアルバムとして知られている。
Triumviratは、当時のヨーロッパ産プログレらしく、鍵盤を前面に出した構成が特徴のバンドである。Genesis、Yes、ELPといった同時代の大型プログレ勢と並べて語られることが多いが、Triumviratはよりクラシカルな鍵盤ワークと組曲的な展開に比重がある印象のグループである。
作品の位置づけ
本作は、1972年のデビュー作『Mediterranean Tales (Across The Waters)』に続くセカンド・アルバムで、Triumviratの初期像をはっきり示す一枚である。制作中にはドラマーのHans Papeが離れ、Helmut Köllenが加入している。こうした編成の変化もあり、アルバムにはバンドの骨格が固まっていく途中の緊張感がある。
この作品は米国でもCapitolから出され、ラジオでかなりオンエアされたとされる。ヨーロッパのプログレ作品としては珍しく、アメリカで実地の反応を得たタイトルのひとつである。その後にはFleetwood Macの前座としての米国ツアーも行われ、Triumviratの名前を広げるきっかけになった。
録音とUS盤の情報
録音は1973年6月から10月にかけて、ケルンのEMI-Electrola Studiosで行われた。US盤のバックカバーには1973年のEMI Electrola表記があり、ラベル面では1974年表記となっている。アメリカ盤はCapitol Recordsが製造・流通を担っている。
今回のUSプレスはJacksonville工場由来の盤で、両面のランアウトにWally Traugottのカットを示す「Wly」刻印が入っている。マスタリングのクレジットとして、少なくともこの盤ではその名が確認できる。
音の印象
実際に聴くと、やはりまず耳に入るのはJürgen Fritzの鍵盤である。オルガン、ピアノ、シンセの切り替えが細かく、楽曲の推進力をほぼ一手に担っている。ギター主体で押すタイプのロックではなく、キーボードのレイヤーで曲を組み立てるタイプのプログレである。
曲の展開は長尺でも流れが見えやすく、組曲的な構成の中でテーマが何度か姿を変えて戻ってくる。派手なギミックより、旋律とリフの反復で引っ張る場面が多い。ヘヴィさ一辺倒ではなく、室内楽的な感触とロックのリズムが同居しているのがこの作品の持ち味である。
同時代との関係
1974年は、欧州プログレが成熟していた時期でもある。Triumviratのこの時期の作品は、イギリス勢の大作主義と比べられることが多い一方で、ドイツらしい整った構成と鍵盤中心の音作りが目立つ。ELP的なオルガン・ロックの感触を思わせる部分もありつつ、よりメロディ志向で、過度に攻撃的にはならないバランス感がある。
バンドの後年には『Spartacus』が最大のヒット作となるが、『Illusions On A Double Dimple』はその前段階として、Triumviratの基本形を固めた重要作という位置づけで見られることが多い。
代表曲について
このアルバムでは、長尺曲を中心に作品全体で聴かせる構成が中心で、シングル的なヒット曲が前面に出るタイプではない。とはいえ、アメリカで放送回数が伸びたことで、Triumviratの名を広げる役割は果たしている。アルバム単位で評価されるタイプの一枚である。
まとめ
『Illusions On A Double Dimple』は、Triumviratの初期代表作のひとつであり、1970年代前半の欧州プログレの鍵盤志向をよく示すアルバムである。録音はドイツ、発売は1974年のUS盤で、アメリカでも一定の反応を得た。バンドの後の飛躍を考えるうえでも、この時点での完成度と方向性を確認できる作品である。
トラックリスト
- Illusions On A Double Dimple
- A1 – Flashback (0:54)
- A2 – Schooldays (3:20)
- A3 – Triangle (6:55)
- A4 – Illusions (1:40)
- A5 – Dimplicity (5:28)
- A6 – Last Dance (4:42)
- Mister Ten Percent
- B1 – Maze (3:01)
- B2 – Dawning (1:01)
- B3 – Bad Deal (1:40)
- B4 – Roundabout (5:49)
- B5 – Lucky Girl (4:32)
- B6 – Million Dollars (5:19)
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Piramis – 3 (1979)
Piramis『3』について
『3』は、ハンガリーのロック・バンド、Piramisが1979年に発表したアルバムである。バンドは1970年代から活動を続ける長寿グループで、ハンガリー国内のポップ・ロック/ハード・ロックの文脈で知られ、場面によってはプログレッシブ寄りの曲調も取り入れてきた。西欧圏でも一定の反応を得たバンドとして紹介されることがある。
作品の位置づけ
この『3』は、タイトルどおりバンド名義の3作目にあたる1979年作として捉えられる。クレジット上の編成は、Köves Miklós、Som Lajos、Gallai Péter、Révész Sándor、Závodi János。ハンガリー産ロックの中でも、歌ものの推進力とバンド・アンサンブルのまとまりを両立させた時期の記録として見やすい1枚である。
録音とミックスはブダペストのPepita Studiosで行われ、ハンガリー盤として同年にリリースされている。収録曲名はハンガリー語表記で統一されている点も、当時の国内盤らしい特徴といえる。
音の印象
全体の軸はロックとポップ・ロックで、そこにプログレッシブ・ロック寄りの展開が差し込まれる構成。演奏時間はA面19分35秒、B面19分00秒と、LPとしては比較的コンパクトだが、曲ごとの密度は高めで、歌を前に出しながらバンド・サウンドをしっかり鳴らしていくタイプの作品に見える。
Révész Sándorのボーカルを中心に、ギターとキーボードが曲の輪郭を作り、メロディを押し出す場面と、やや組曲的な流れを持つ場面が並ぶ。ハンガリー国内の同時代ロックと比べると、単純なハードロック一辺倒ではなく、歌謡性と構成の組み立てが同居している印象である。
同時代の文脈
1970年代後半の東欧ロックでは、英米のハードロックやプログレの影響を受けつつ、母語の歌詞とローカルなメロディ感を前面に出すバンドが多かった。Piramisもその流れの中にあり、国内のロック・リスナーに向けたわかりやすさと、演奏面の厚みを両立させたグループとして位置づけられる。
同時代の西側バンドと単純比較できる作品ではないが、歌を主役に置きながらアンサンブルで押し切る姿勢には、ハードロック寄りのバンド感と、プログレ寄りの構成意識の両方が見て取れる。
ヒット曲・代表曲について
このアルバム単体で広く知られる代表曲については、ここでは断定しない。ただし、Piramis自体はハンガリー国内で認知度の高いバンドであり、アルバム単位で耳にすると、バンドの持つ歌の強さと演奏の推進力が伝わりやすい。
まとめ
『3』は、1979年時点のPiramisの持ち味をそのまま封じ込めたハンガリー産ロック作品である。ポップ・ロックの聴きやすさ、ハードロックの押し、そして部分的なプログレ的展開が、国内盤らしいまとまりの中で並ぶ1枚。Piramisというバンドの輪郭をつかむうえで、重要な時期の記録として扱える作品である。
トラックリスト
- A1 – Kóbor Angyal
- A2 – Nem Tudom
- A3 – Az Idö Nekünk Dolgozik
- A4 – A Dal
- B1 – Túl Nagyra Nöttél
- B2 – Vágyakozás
- B3 – Gyere Szorits Erösen
- B4 – Más Helyen Keress
- B5 – Amikor Veled Vagyok
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The Battered Ornaments – Mantle Piece (1969)
The Battered Ornaments『Mantle Piece』
The Battered Ornamentsは、Creamの作品でも知られる作詞家Pete Brownが、Cream解散後に組んだロック・バンドである。1969年に結成され、Brownのボーカルとトランペットを軸に、Chris Spedding(ギター)、Charlie Hart(オルガン、バイオリン)、George Khan(サックス)、Butch Potter(ベース)、Rob Tait(ドラムス)、Pete Bailey(パーカッション)らが参加していた。
『Mantle Piece』は、その流れの中で完成したセカンド・アルバムで、オリジナルは1969年の作品。UK制作の作品として、当時のブリティッシュ・ロックがジャズやサイケデリックな要素を取り込んでいた時期の空気がよく出ている。録音はロンドンのE.M.I. Studios, St John’s Woodで行われている。
作品の位置づけ
このバンドにとっては、Pete Brownが主導したプロジェクトのひとつとして見ていくと分かりやすい。The Battered Ornamentsは、初期LP『A Meal You Can Shake Hands With in the Dark』に続いて本作を残し、その後にBrownが離脱したことで、バンドの形も変わっていく。つまり『Mantle Piece』は、バンドの初期活動をまとめるうえで重要な一枚という位置づけになる。
クレジット面ではやや事情がある。オリジナルLPのクレジットが再発盤にそのまま載っているわけではなく、GI Recordsの限定的な再発シリーズでは、収録音源のライセンスのみを得ていたため、ジャケットは白紙に近い体裁で、タイプライター風の最小限の情報だけが記されている。1982年盤は、そうした再発の文脈で出たものとして見るとよさそうだ。
音の方向性
ジャンル表記ではJazz、Rock、Pop、スタイルではProg Rock、Experimental、Psychedelic Rockにまたがる。実際、この時期の英国ロックらしく、曲の骨格はロックに置きつつ、サックスやオルガン、バイオリンが前に出る場面もある。Chris Speddingのギターも、後年のソロ活動を知っていると、かなり早い時期から輪郭のはっきりした演奏をしていたことが分かる。
また、Pete BrownがCreamで見せたような、歌詞の感覚や言葉の運びを期待すると、ここでもその延長線上の作家性が感じられる。Cream解散直後の時代背景を踏まえると、単なるサイド企画ではなく、ブリティッシュ・ロックの拡張路線の中に置ける作品と言えそうだ。
メンバーと録音
- Rob Tait
- Chris Spedding
- George Khan
- Butch Potter
- Nisar Ahmad Khan
録音場所がE.M.I. Studios, St John’s Wood, Londonと明記されている点も、この時代の英国制作盤らしい。スタジオ作品としてのまとまりを重視した作りが想像しやすい。
まとめ
『Mantle Piece』は、Pete Brownを中心にしたThe Battered Ornamentsが1969年に残したセカンド・アルバムで、UKロックの中でもジャズや実験性を取り込んだ一枚として位置づけられる。オリジナル盤の文脈を知ると、後年の再発盤の簡素な装丁も含めて、作品の周辺情報まで含めて面白いレコードである。
トラックリスト
- A1 – Sunshades
- A2 – Late Into The Night
- A3 – Then I Must Go
- A4 – The Crosswords And The Safety Pins
- B1 – Staggered
- B2 – Twisted Track
- B3 – Smoke Rings
- B4 – Take Me Now
- B5 – My Love’s Gone Far Away
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- Then I must go
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The Babys – The Babys (1976)
The Babys『The Babys』(1976)について
The Babysは、イギリス出身のロック・グループによる1976年のデビュー作で、バンド名をそのまま冠したセルフタイトル作品。オリジナルのリリースは同年、レーベルはChrysalis Recordsで、クレジット上も1976年の作品として整理されている。
メンバー構成は、結成時の中心人物であるキーボード/ギターのMichael Corby、ボーカル/ベースのJohn Waite、ドラムスのTony Brock、ギターのWally Stockerという基本線が知られている。後年のメンバー名も資料には並ぶが、この1枚はグループ初期の輪郭をつかむうえで重要な位置づけのアルバムとして見られている。
作品の輪郭
ジャンル表記はRock、Pop、スタイルはPop Rock。演奏の骨格はロック寄りだが、メロディの押し出しはかなり強いタイプの作品で、The Babysらしいポップな感触が前面に出る。英国バンドとして紹介されることが多い一方で、活動の展開や受容のされ方を含めると、同時代のUKメロディック・ロックやAOR寄りの文脈でも語られることがある。
この時期のChrysalis周辺のロック作品らしく、硬さだけで押すというより、歌と曲の流れを重視した作り。John Waiteのボーカルを軸に、ギターとキーボードがきっちり役割分担するバンド・サウンドという印象につながる。
収録曲と知られているポイント
本作で特に知られる曲としては「I Love How You Love Me」がある。もともとScreen Gems-EMI Music Inc.表記の曲で、このアルバムではバンドの解釈で収められている。作品クレジット上でもこの曲だけ出版社表記が分かれていて、アルバム全体の中で少し異なる位置にあることがわかる。
その他の楽曲はThe Hudson Bay Music Company出版。アルバム全体としては、単発の派手さよりも、曲ごとの輪郭を揃えた構成が印象に残るタイプの1枚。
アーティストにとっての位置づけ
The Babysにとっては、まず最初の名刺代わりとなるアルバム。のちにバンドはメンバーの入れ替わりや活動の変化を経験していくが、このデビュー作には、John Waite、Tony Brock、Wally Stockerを中心にした初期バンドの基本形がはっきり刻まれている。後年の代表曲や洗練された時期と比べると、まだバンドの輪郭を探りながら進む段階の記録としても読める。
聴きどころの整理
- 1976年オリジナルのデビュー作という位置づけ
- John Waiteのボーカルを軸にしたポップ・ロック路線
- 「I Love How You Love Me」の収録
- Chrysalis Recordsの当時のロック作品らしい明快なバンド・サウンド
The Babysの初期像をつかむには、まずこのセルフタイトル盤が基準になりそうだ。バンド名と同じタイトル、1976年という時代の空気、そしてメロディを前に出したロック・アプローチ。そうした要素がまとまった、初期The Babysの出発点となる作品である。
トラックリスト
- A1 – Looking For Love (4:43)
- A2 – If You’ve Got The Time (2:38)
- A3 – I Believe In Love (4:17)
- A4 – Wild Man (3:29)
- A5 – Laura (5:02)
- B1 – I Love How You Love Me (2:21)
- B2 – Rodeo (2:58)
- B3 – Over And Over (4:47)
- B4 – Read My Stars (2:43)
- B5 – Dying Man (6:30)
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Night Crickets – A Free Society (2022)
Night Crickets「A Free Society」について
Night Cricketsの「A Free Society」は、2022年にUSで登場した作品。メンバーはVictor DeLorenzo、David Haskins、Darwin Meinersの3人で、ロックを軸にしたオルタナティヴ・ロック作品としてまとまっている。アーティストのプロフィール情報は多くないが、少なくともこの作品では、3人の名前がそのまま制作の核になっていることがわかる。
作品の輪郭
本作は、Night Cricketsという名義で最初に世に出たタイトルであり、2022年時点のバンドの現在地を示す一枚と見てよさそうだ。USのアーティストによるUSリリースで、同時代のオルタナティヴ・ロックの文脈に置かれる作品でもある。
収録曲の細かなクレジットや制作背景、シングル曲の有無といった情報は確認できないが、少なくともクレジット上は3人のメンバー構成がはっきりしていて、個々の演奏や役割のぶつかり方が作品の骨格になっているタイプのリリースと捉えられる。
メンバーについて
- Victor DeLorenzo
- David Haskins
- Darwin Meiners
この3名による編成という点が、本作の大きな特徴。バンドとしてのまとまりを前提にしつつ、それぞれの個性が前に出る可能性を感じさせる布陣だ。
ジャンルの位置づけ
ジャンル表記はRock、スタイルはAlternative Rock。いわゆる直球のロックというより、既存のロックの枠を少しずらした感触を持つ作品として整理されている。2020年代に入ってからのオルタナティヴ・ロックは、90年代的な質感を参照しつつも、音の置き方や楽曲の組み方で個性を出す作品が多いが、「A Free Society」もそうした流れの中で語られる一枚になりそうだ。
聴きどころとして見える点
実際の音像については、公開情報だけでは細部まで断定しにくい。ただ、3人編成のロック作品という情報からは、演奏の隙間やリズムの動き、声の置き方が前に出る構成が想像される。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体で流れを作るタイプの作品として受け取られることが多そうだ。
代表曲やシングルの情報は手元では確認できないが、作品名そのものが印象に残るタイトルで、アルバムのテーマ性を感じさせる。タイトルの持つ意味合いも含めて、曲順全体で聴かせる構成かどうかに注目したくなる。
まとめ
Night Cricketsの「A Free Society」は、2022年のUSリリースとして登場した、3人組によるオルタナティヴ・ロック作品。情報量は多くないものの、アーティスト名義としての初期作にあたる一枚であり、メンバー構成とジャンルの輪郭だけでも作品の姿はかなり見えてくる。ロックの基本形を土台にしながら、同時代のオルタナティヴな感覚を持ち込んだタイトルとして記録しておきたい。
トラックリスト
- A1 – Black Leather On The Inside
- A2 – Candlestick Park
- A3 – Amanda’s Mantra
- A4 – A Free Society
- A5 – Roman À Clef
- A6 – Soul Wave
- B1 – Little Did I
- B2 – Sloe Song
- B3 – The Unreliable Narrator
- B4 – Down Below
- B5 – Return To The Garden Of Allah
- B6 – Sacred Monster
- B7 – I Want My Night Crickets!
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Kaukasus – “I” (2014)
Kaukasus『I』について
NorwayのKaukasusが2014年に発表した『I』は、Ketil Vestrum Einarsen、Rhys Marsh、Mattias Olssonの3人を中心にした作品だ。プロフィールにもある通り、Kaukasusは「dark nordic progressive rock, with excursions into kraut & art rock」という性格を持つプロジェクトで、北欧のプログレ系ミュージシャンたちが集まったバンドとして見ておくと全体像をつかみやすい。
録音はOslo、Trondheim、Stockholmの3都市にまたがって行われている。現地の複数スタジオを使って仕上げられた作品で、制作環境の広がりがそのままグループの横断的な成り立ちにもつながっている印象がある。
メンバーと背景
中心人物の3人はいずれも北欧のプログレ/アートロック周辺で知られるプレイヤーだ。
- Ketil Vestrum Einarsen: Jaga Jazzist、Motorpsycho
- Rhys Marsh: The Autumn Ghost、Opium Cartel
- Mattias Olsson: Änglagård、White Willow
この顔ぶれからも、単なるセッション的な寄り合いではなく、プログレッシブ・ロック、アートロック、クラウトロックの要素を共有するミュージシャン同士の接点として成立していることがうかがえる。
作品の位置づけ
『I』はKaukasusのタイトルを持つ初出作品として2014年に登場した。バンドの出発点を示す一枚として捉えられる内容で、後年の活動を追ううえでも基準になる作品といえる。黒盤200枚限定というプレス情報もあり、流通量の少ないアイテムとして扱われている。
音の印象
実際に聴いた感想として語ることはできないが、提示されているプロフィールと参加メンバーの経歴からは、北欧プログレの文脈に沿った緻密な構成と、クラウトロック寄りの反復、アートロック的な展開の組み合わせが想像しやすい。Jaga JazzistやMotorpsycho、Änglagård、White Willowといった名前に接点を持つメンバー編成は、この作品がリズムや音色の組み立てに重心を置いたタイプの演奏になっていることを示している。
同時代・近い文脈
2010年代の北欧では、70年代プログレの語法をそのままなぞるのではなく、クラウトロック、アートロック、ポストロック的な感覚を混ぜた作品が目立っていた。Kaukasusもその流れの中で理解しやすい。とくに、ÄnglagårdやWhite Willow周辺の流れを知っていると、旋律の扱いや構成の作り方に共通する感覚を見つけやすそうだ。
基本情報
- アーティスト: Kaukasus
- タイトル: I
- オリジナルリリース年: 2014
- リリース国: Norway
- 録音: HESTHAGEN STUDIO (Oslo), AUTOMNSONGS RECORDING STUDIO (Trondheim), ROTH HÄNDLE V (Stockholm)
- メンバー: Mattias Olsson, Ketil Vestrum Einarsen, Rhys Marsh
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock, Art Rock
- 限定数: 200 copies on black vinyl
北欧プログレの系譜にあるミュージシャンたちが、複数都市にまたがる制作体制でまとめた初期作。Kaukasusというバンドの出発点を知るうえで、まず押さえておきたい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – The Ending Of The Open Sky (5:31)
- A2 – Lift The Memory (8:35)
- A3 – In The Stillness Of Time (5:56)
- A4 – Starlit Motion (4:36)
- B1 – Reptilian (9:05)
- B2 – The Witness (4:19)
- B3 – The Skies Give Meaning (8:03)
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Clannad – Dúlamán (1976)
Clannad『Dúlamán』について
『Dúlamán』は、アイルランド出身のファミリー・グループ、Clannadが1976年に発表した作品。伝承曲を中心にまとめたアルバムで、クレジット上はすべての曲がトラディショナル、Ciarán O Braonáinによるアレンジとして記されている。録音はRockfield Studiosで行われ、リリースはドイツ盤として出ている。
Clannadは、70年代前半のフォーク/フォーク・ロックの文脈から出発したグループで、後年はシンセサイザーや電子的な制作を取り入れた作品でも知られる。この『Dúlamán』は、そうした変化の前段階にある、アコースティックな編成とアイルランド伝承曲の結びつきがはっきりした時期の1枚として位置づけられる。
作品の内容と流れ
アルバムでは、ケルト系の民謡や伝承歌を、家族グループならではの声の重なりで聴かせる構成。Maire Brennanのヴォーカルを軸に、兄妹・親族のハーモニーが前に出る作りで、歌の旋律そのものを丁寧に聴かせるタイプのアルバムだ。派手な演出よりも、曲の持つ由来や言葉の輪郭が残ることに重きが置かれている印象がある。
ゲートフォールド仕様で、内側には各曲の説明が載っているのも特徴。トラディショナル曲を扱う作品らしく、曲ごとの背景を確認しながら聴ける作りになっている。
タイトル曲「Dúlamán」
タイトル曲「Dúlamán」は、このアルバムを代表する1曲として知られる。アイルランド語の伝承歌で、海藻採りを題材にした民謡として語られることが多い。Clannadの手にかかると、素朴な題材の歌が、声の配置とリズムの運びによってしっかり前に出る。後年の彼らの静かな叙情とは少し違い、この時期ならではの、民謡の輪郭が見えやすい演奏。
Clannadの中での位置づけ
Clannadの初期を知るうえで、かなり重要なアルバムといえる。のちの作品で聴ける幻想性や電子的な処理はまだ前面には出ておらず、まずは伝承曲をどう現代の録音物として成立させるかに焦点がある。家族グループとしての一体感、アイルランド語の響き、フォーク・ロックの枠内での整理された演奏、その3点がきれいにまとまった時期の記録。
Clannadは、のちに『Theme From Harry’s Game』で広く知られ、Maire Brennanの歌声も大きく注目されるが、この1976年作では、そうした後年のイメージよりも、民謡の継承者としての姿がはっきりしている。
同時代の文脈
1970年代のアイリッシュ・フォークには、PlanxtyやThe Bothy Bandのように伝承曲を現代的に鳴らす動きがあり、Clannadもその流れの中に置ける。もっとも、Clannadはバンド編成の勢いよりも、声のまとまりと整ったアレンジに特徴がある。フォーク・ロックとしての枠組みの中で、伝承歌を端正にまとめた作品という見方がしやすい。
盤としての情報
- オリジナルリリース年: 1976年
- リリース国: Germany
- レーベル表記: INTERCORD TON GMBH
- 録音: Rockfield Studios
- 仕様: ゲートフォールド・スリーヴ、内側に曲解説
- クレジット: 全曲トラディショナル、Ciarán O Braonáin編曲
1976年という時点でのClannadの姿を、そのまま押さえた作品。アイルランドの伝承曲を、家族グループの声で丁寧に束ねたアルバムとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Dúlamán (Seaweed) (4:30)
- A2 – Cumha Eoghain Rua Uí Neill (Lament For Owen Roe) (4:03)
- A3 – Two Sisters (4:07)
- A4 – Éirigh Suas A Stóirín (Rise Up My Love) (5:03)
- A5 – The Galtee Hunt (3:03)
- B1 – Éirigh Is Cuir Ort Do Chuid Éadaigh (Arise And Dress Yourself) (4:05)
- B2 – Siúil A Rún (Irish Love Song) (5:43)
- B3 – Mo Mháire (2:38)
- B4 – DTigeas A Damhsa (Children’s Dance Song) (1:20)
- B5 – Cucanandy/The Jug Of Brown Ale (3:08)
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Castanarc – Journey To The East (1984)
Castanarc『Journey To The East』について
Castanarcは、英国ドンカスター出身のプログレッシブ・ロック・バンド。『Journey To The East』は1984年にリリースされた作品で、バンドの初期を代表する1枚として位置づけられるタイトル。リリース国はUK、レーベル表記はCastarnacとなっている。
作品の概要
80年代前半の英国プログレッシブ・ロックは、70年代の大きな流れを受けつつも、よりコンパクトな構成や、当時の録音環境に合わせた音作りへと移行していた時期。Castanarcもその文脈に置かれるバンドで、同時代の英国プログレの中では、演奏主体の組み立てを持つグループとして見られている。
『Journey To The East』は、そうした時代の英国プログレッシブ・ロック作品のひとつとして聴かれているタイトル。バンド名義での作品として、初期の活動を知るうえで重要な位置にある。
メンバー
- Rick Burns
- Pat Mount
- David Powell
- Sam Pulled
- Paul Ineson
- Neil Duty
- Dave Kirkland
- Mark Holiday
- Vincenzo Lammi
- Dave Richie
- Pete Robinson
- Rob Clark
サウンドと文脈
スタイル表記はProg Rock。Castanarcは英国のプログレッシブ・ロック・バンドとして紹介されており、同ジャンルの中でも、演奏の組み立てや曲展開を重視するタイプの作品群に連なる。80年代の英国プログレは、YesやGenesisのような大御所の残響だけでなく、IQ、Marillion、Pendragonなど同時代のシーンとも並べて語られることが多いが、Castanarcもその広い流れの中で捉えられる存在。
『Journey To The East』という題名は、作品全体に物語性を感じさせるものだが、ここではタイトルからの印象に留めておくのが自然。曲の内容や構成については、作品単位での確認が必要になる。
アーティストとしての位置づけ
Castanarcのプロフィールには「British prog rock band from Doncaster」とある。つまり、地方都市ドンカスターから出た英国プログレッシブ・ロック・バンドという立ち位置。1984年という年にこの作品を出している点も含め、70年代黄金期の直系というより、80年代の英国プログの延長線上で語られるグループといえる。
関連情報
- Prog Archivesのアーティストページあり
- Bandcampで音源の案内あり
- Facebookでバンド情報の発信あり
まとめ
『Journey To The East』は、1984年のUKプログレッシブ・ロック作品として、Castanarcの初期を示すタイトル。ドンカスター出身の英国バンドという背景と、Prog Rockという明確なジャンル性を持つ作品として、80年代英国プログレの一角に置かれるアルバム。
トラックリスト
- A1 – Goodbye To All That (5:53)
- A2 – Soon (3:12)
- A3 – The Fool (8:47)
- B1 – Peyote (4:29)
- B2 – Travelling Song (2:09)
- B3 – Journey To The East (7:25)
- B4 – Am I (3:23)
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The Holy Modal Rounders – Indian War Whoop (1967)
The Holy Modal Rounders『Indian War Whoop』について
The Holy Modal Roundersは、1960年代のニューヨーク・ロウアー・イースト・サイドで結成された、Peter StampfelとSteve Weberを中心とするアメリカのフォーク・グループだ。フォークを土台にしながら、ユーモアや逸脱感をそのまま持ち込んだ作風で知られ、この『Indian War Whoop』は1967年発表の作品として位置づけられる。
この盤は2004年リリースのイタリア盤。オリジナルの時代感を伝える作品を、後年に再び手に取れる形にした再発盤として見るのが自然だ。The Holy Modal Roundersのディスコグラフィーの中でも、素朴なアコースティック・フォークだけでは収まらない側面が前に出る時期の一枚として扱われることが多い。
作品の輪郭
収録メンバーにはPeter Stampfel、Steve Weberに加えて、Jeff Baxter、Sam Shepard、Lee Crabtree、Robin Remaily、Robert Nickson、John Wesley Annas、Michael McCartyの名が並ぶ。クレジット上でも、中心のデュオに複数の演奏者が加わった編成であることがわかる。
ジャンル表記はRock、Blues、Non-Music、Folk、World、& Country、スタイルはCountry Blues、Comedy、Psychedelic Rock、Avantgarde、Folk。実際の音像も、伝統的なフォークやブルースの要素をベースにしながら、歌の運びやアレンジにひねりを入れたものとして受け止められるだろう。少なくとも、まっすぐなトラディショナル再演だけの記録ではない。
アーティストの中での位置づけ
The Holy Modal Roundersは、アメリカン・フォークの文脈にいながら、後のサイケデリック・フォークやアウトサイダー的な感覚にも近い距離を持つグループとして語られることがある。『Indian War Whoop』も、その流れの中で、既存のフォーク像を少し外したところに置かれる作品と見てよさそうだ。
同時代のフォーク・リバイバルと比べると、より整った伝承再現よりも、脱線や滑稽さ、粗さを含んだ演奏の印象が強い。Folkways系のストレートな収集記録や、より後年のシンガーソングライター作品とは、方向性がかなり異なる。
曲と聴きどころ
この作品について、広く知られた大ヒット曲というよりは、グループの持つ独自の感触をまとまって味わうタイプの一枚と捉えるほうが近い。曲ごとの流れの中で、ブルース由来のフレーズ、フォークの歌い回し、意図的に外したようなユーモアが行き来するところに、このグループらしさがある。
もし実際に耳を通すと、演奏のよれ方や歌の距離感が、きっちりしたスタジオ作品というより、場の空気ごと切り取ったように感じられる場面があるかもしれない。そこがこの手の作品の面白さでもある。
再発盤として見ると
2004年のイタリア盤として流通しているこのレコードは、1967年のオリジナル作品を後年に聴き直すための版といえる。オリジナル盤との細かな仕様差まではここでは断定しないが、少なくとも作品そのものの時代性は1967年に属する。
つまり『Indian War Whoop』は、The Holy Modal Roundersの持つ奇妙さとフォークの接点を確認できる記録であり、1960年代アメリカン・フォークの周縁を見渡すうえでも興味深い一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Indian War Whoop
- A2 – Sweet Apple Cider
- A3 – Soldier’s Joy
- A4 – Cocaine Blues
- A5 – Sky Divers
- B1 – Radar Blues
- B2 – The I.W.W. Song
- B3 – Football Blues
- B4 – Bay Rum Blues
- B5 – Morning Glory
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David Bowie – Tonight (1984)
David Bowie「Tonight」について
David Bowieの「Tonight」は、1984年に発表されたアルバムだ。今回の日本盤は1985年リリースで、オリジナル作品を日本で流通させた初期プレスにあたる。ブリティッシュ・ポップ/ロックの流れの中で作られた作品で、ボウイの80年代前半の作風を知るうえで重要な一枚になっている。
作品の位置づけ
「Tonight」は、前作「Let’s Dance」の大きな成功のあとに出たアルバムだ。1980年代のボウイは、ダンス・ミュージックや当時のポップ・サウンドを取り込みながら、作品ごとに方向を変えていたが、この作品でもその路線が続いている。ロックを軸にしつつ、当時のポップ・ロックらしい整った音像が前面に出た内容になっている。
同時代の空気で見ると、80年代中盤の英国ポップ/ロックらしい、明快なビートとシンセの使い方が印象に残る時期の作品だ。ボウイのキャリア全体で見ると、70年代の実験性やキャラクター性の強い時代とは違い、商業的なポップ・ロックのフォーマットに寄せたアルバムのひとつとして位置づけられる。
収録曲と知られた楽曲
このアルバムでは、タイトル曲「Tonight」が中心的な楽曲として知られている。加えて、ヒット曲としては「Blue Jean」が代表的だ。シングルとしても広く知られており、当時のボウイのポップな側面をよく示す曲になっている。
また、アルバム収録曲には、のちにライブでも触れられることのある曲が含まれている。ボウイ作品の中では、楽曲単体の強さよりも、アルバム全体の流れで聴くと当時の音作りが見えやすい一枚だ。
日本盤の特徴
今回の日本盤は、帯と歌詞カード付きの初回プレス。日本盤らしく、英語詞を追いながら聴ける作りになっている。80年代の輸入盤/国内盤の違いを感じやすい時期のリリースでもあり、コレクション面でも分かりやすい仕様だ。
盤の発売年は1985年だが、作品そのものは1984年のオリジナル・アルバムとして扱われる。したがって、内容は1984年時点のボウイのサウンドを反映している。
聴きどころの整理
- 1984年のDavid Bowieを示すポップ・ロック作品
- 「Blue Jean」など、シングル曲の存在感
- 80年代中盤らしい整ったアレンジとビート感
- 日本盤ならではの帯・歌詞カード付き仕様
総評
「Tonight」は、David Bowieの幅広いディスコグラフィの中で、80年代ポップ・ロックの側面を押し出した作品だ。実験的な側面を強く求めるアルバムではなく、当時のポップ・ミュージックの文法に沿った作りが目立つ。代表曲「Blue Jean」を含むことで、アルバムとしての輪郭もつかみやすい。
日本盤初期プレスは、1984年の作品を1985年の国内リリースとして手に取れる一枚。Bowieの80年代を追ううえで、ひとつの節目として見やすいタイトルだ。
トラックリスト
- A – Tonight (Vocal Dance Mix)
- B1 – Tumble And Twirl (Extended Dance Mix)
- B2 – Tonight (Dub Mix)
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Mondial – Remember Mondial (1993)
Mondial『Remember Mondial』について
『Remember Mondial』は、ルーマニアのロック・グループ、Mondialの作品で、1993年にルーマニアでリリースされたアルバムだ。録音は1969年から1971年にかけて行われた音源で構成されている。バンド名をそのまま冠した回顧的なタイトルで、グループの初期録音をまとめて聴ける内容になっている。
バンドの背景
Mondialは1966年にブカレストでFilip Mercaによって結成されたロック・グループだ。ルーマニアのロック史の中ではかなり早い時期に登場した存在で、1979年にいったん解散し、1998年に再結成されている。
『Remember Mondial』は、そうしたバンドの歩みの中でも、初期の活動期にあたる時代の記録として位置づけられる作品といえる。
収録音源の年代と盤の情報
このアルバムに収められているのは、1969年から1971年に録音された音源だ。盤自体は1993年のリリースで、オリジナルの録音年代と発売年にかなり差がある。
ジャケットや盤面の情報では「Made In Romania」とあり、白ラベルにグレー印字の仕様になっている。
音楽性
クレジット上のジャンルはロック、スタイルはポップ・ロックとなっている。1960年代末から1970年代初頭の東欧ロックらしく、時代の空気を感じさせる編成感と、歌を前に出したつくりが想像しやすい。
同時代のロックを追う文脈では、英米のロックを土台にしつつ、各地の放送文化や歌謡性が混ざるタイプの作品群と並べて語られることが多い分野だ。
作品の位置づけ
タイトルが示す通り、本作はMondialというバンドを振り返る意味合いの強い1枚だ。1969年から1971年の録音をまとめているため、活動初期の姿を知る手がかりとして見ることができる。
ルーマニアのロック史の中でも、結成から比較的早い時期の演奏や録音をまとめた資料性のある作品として受け止めやすい。
メンバー
- Mihai Cernea
- Gabriel Litvin
- Vlad Gabrielescu
- Gabriel Drăgan
- Filip Merca
- Romeo Vanica
- Mircea Drăgan
- Florin Dumitru
- Dorel Vintilă Zaharia
- Mihai Constantinescu
- Nicolae Enache
- Radu Stoica
- Doru Tufiș
- Puiu Hațeganu
- Dragoș Vasiliu
まとめ
『Remember Mondial』は、Mondialの初期録音を1993年時点でまとめ直したルーマニア盤だ。1969年から1971年という録音年代、ロック/ポップ・ロックという整理、そして「Remember」というタイトルから、バンドの出発点を見直す性格の作品として捉えやすい。
派手な演出よりも、まずは当時のバンドの輪郭を追うための1枚という印象になる。
トラックリスト
- A1 – Primăvară (2:55)
- A2 – Romanță Fără Ecou (3:40)
- A3 – De Va Veni La Tine Vîntul (2:45)
- A4 – Atît De Fragedă (4:30)
- A5 – Omule (3:03)
- A6 – Pe Harta Europei (5:15)
- B1 – Romanța Inimii (3:00)
- B2 – Departe Sînt De Tine (4:00)
- B3 – Orbul (3:30)
- B4 – Vîntul – Nopți De Veghe – Vara (11:30)
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Neuronium – Supranatural (1987)
Neuronium『Supranatural』(1987)
Neuroniumの『Supranatural』は、1987年にUKでリリースされた電子音楽作品だ。バルセロナを拠点に活動してきたNeuroniumにとっては、ミシェル・ウイゲンを中心とする体制が定着した時期のアルバムで、クレジット上は Neuronium 名義ながら、実質的にはウイゲンの意志が強く反映された一枚として位置づけられる。
Neuroniumというグループ
Neuroniumは1976年に、キーボード/シンセサイザーのMichel Huygen、キーボード/シンセサイザー/ギターのCarlos Guirao、マルチ楽器奏者のAlbert Giménezによって結成された。初期にはEMI-Harvestから『Quasar 2C361』(1977年)と『Vuelo Quimico / Chemical Flight』(1978年)を発表し、その後も編成を変えながら活動を継続している。
Huygenはこのプロジェクトの音楽を「psychotronic music」「cosmic electronic music」と表現しており、少なくともプロフィール上は、電子音響を中心に据えた宇宙的なイメージの作品群として整理できる。
『Supranatural』の位置づけ
本作は1986年12月から1987年3月にかけてバルセロナで録音され、1987年6月に最終ミックスが行われた。クレジットには「Issued under licence from Michael Huygen」とあり、Neuroniumという名称がMichel Huygenの登録商標であることも記されている。つまり、この時期のNeuroniumは、グループ名でありながらHuygenの主導性が強いプロジェクトとして見えてくる。
1980年代のNeuroniumは、初期メンバーの変動を経て、HuygenとSanti Picóの組み合わせが中心になっていく流れにある。『Supranatural』もその時代の延長線上にある作品として捉えやすい。
音の印象
ジャンル表記はElectronic、スタイルはElectro、Ambient。実際の音像も、その枠組みを外れない。シンセサイザーのレイヤーを軸に、リズムを強く前面へ出すというより、音の持続や空間の広がりで聴かせるタイプの作品として受け取れる。電子音楽としての構造がはっきりしていて、派手な展開や大きな歌メロを中心に置く作りではない。
同時代のヨーロッパの電子音楽、たとえばVangelisや、よりアンビエント寄りのシンセ作品を好む文脈と並べて語られやすいタイプでもある。実際、NeuroniumはVangelisとのコラボレーション作『A Separate Affair』の存在でも知られており、1980年代のスペイン発電子音楽の流れを考えるうえで外せないグループだ。
この時期のNeuroniumらしさ
『Supranatural』では、バンドというよりも、Huygenの制作ユニットとしてのNeuroniumが前に出ている。録音地がバルセロナであること、そしてUK盤として出ていることからも、ローカルな制作環境と国際流通の両方を持った作品として見てよさそうだ。
Neuroniumのディスコグラフィーの中では、初期のEMI-Harvest期とはまた違う、より後年の成熟した電子音響の局面に置ける一枚。1980年代半ばのNeuroniumを追うなら、その流れを確認できる作品として重要な位置にある。
補足
- 録音: 1986年12月〜1987年3月、スペイン・バルセロナ
- 最終ミックス: 1987年6月
- リリース: 1987年、UK盤
- 名義: Neuronium
- 主な表記: Electronic / Electro / Ambient
派手なヒット曲で押す作品ではなく、シンセサイザー主体の構築感をじっくり聴かせるアルバムだといえる。
トラックリスト
- A1 – When The Goblins Invade Madrid (3:35)
- A2 – Digitron (3:55)
- A3 – Priorite Absolue (6:43)
- A4 – Europe Is Europe (5:44)
- B – Sundown At Tanah Lot (17:30)