Earth And Fire – Atlantis (1973)
Earth And Fire『Atlantis』(1973)
オランダ、Voorschoten/Voorburg出身のポップ・バンド、Earth And Fireが1973年に発表したアルバム。女性ボーカルのJerney Kaagmanを中心に、Chris Koerts(ギター)、Gerard Koerts(キーボード)、Hans Ziech(ベース)、Ton van der Kleij(ドラムス)らで構成されたこのグループは、60年代末から70年代前半にかけて、オランダ国内で複数のヒットを持っていたバンドだ。
『Atlantis』は、彼らのディスコグラフィーの中でも初期の重要作として扱われる一枚で、バンドがHammond organ主体の編成から、Mellotronやシンセサイザーを取り入れたサウンドへ移っていく時期の作品でもある。プログレッシブ・ロック、シンフォニック・ロックの文脈で語られることが多く、同時代の欧州ロックの流れの中でも、鍵盤の比重が大きいアルバムとして位置づけられている。
作品の位置づけ
Earth & Fireはシングル・ヒットの多いバンドだが、アルバム単位でも評価されている。前作『Song of the Marching Children』と並んで、『Atlantis』は初期の代表作として挙げられることが多い。後年になるほどシンセサイザーの使用が増え、さらにディスコ的な要素も見えてくるが、この時点ではまだロック・バンドとしてのまとまりが強く、メロトロンやオルガンの使い方が作品の骨格を作っている。
1970年代前半のオランダ・ロックは、EkseptionやFocusのように、クラシックやシンフォニックな要素を取り込んだバンドが国際的にも注目された時期だった。Earth & Fireもその流れに近い場所にいて、英米のプログレ勢とは少し違う、メロディーを前面に出した作りが耳に残る。
収録曲とヒット曲
Earth & Fireは「Seasons」「Ruby is the One」「Wild & Exciting」「Invitation」「Memories」などのヒットで知られるが、『Atlantis』の時代はアルバム志向を強めていく流れにある。グループのプロフィールにもある通り、この時期は長尺の楽曲を含む構成が特徴で、サイドをまたぐ大作的な展開も導入されている。シングル・ヒット中心の印象だけでなく、アルバム全体を通して構築する姿勢が見える作品だ。
代表曲の存在と、アルバム志向の強化。その両方が重なる時期の記録として、『Atlantis』は押さえられている。
音の特徴
聴きどころは、Jerney Kaagmanのボーカルと、Chris Koertsのギター、Gerard Koertsのキーボードが作る分厚いアンサンブル。Hammond organに加えてMellotronやシンセサイザーが入ることで、音の層が増している。ストレートなロックの推進力だけでなく、鍵盤が前に出る場面が多く、曲の展開を支える役割がはっきりしている。
実際に聴くと、バンドの演奏はタイトで、楽曲の輪郭も比較的はっきりしている印象だ。欧州のシンフォニック・ロックらしい鍵盤の厚みはありつつ、ポップ・バンドとしての歌の強さも残っている。プログレ寄りの長尺曲と、シングル向きのわかりやすさが同居しているところが、この時期のEarth & Fireらしさだろう。
オリジナル盤について
本作は1973年のオリジナル・リリース。提示されている盤情報では、同年盤の中でもラベル表記、クレジット位置、カタログ番号やマトリクスの位置、スピード表記、rights society表記に差異のあるバリエーションが確認されている。ランアウトはスタンプ押し。オリジナル期のプレス違いを追う楽しみもあるタイトルだ。
まとめ
『Atlantis』は、Earth & Fireがポップ・バンドから、よりアルバム志向の強いシンフォニック・ロック・バンドへと歩を進めていく途中の作品。Jerney Kaagmanのボーカル、Koerts兄弟の鍵盤とギター、そしてメロトロン/シンセ導入による音の広がりが、1973年という時点の空気をよく映している。オランダの70年代ロックを語るうえで、初期の重要な一枚として扱われる作品だ。
トラックリスト
- Atlantis (16:22)
- B1 – Maybe Tomorrow, Maybe Tonight (3:12)
- B2 – Interlude (1:57)
- B3 – Fanfare (6:03)
- B4 – Theme From Atlantis (1:50)
- B5 – Love, Please Close The Door (4:11)
関連動画
Can – Can (1978)
Can『Can』について
Canは、1960年代末にケルンで結成されたドイツの実験音楽/ロック・バンドである。ジャキ・リーベツァイトの一定したリズム、イルミン・シュミットの鍵盤、ホルガー・シュカイの編集的なベース/テープ処理、マイケル・カローリのギターを軸に、サイケデリック・ロック、スペース・ロック、実験音楽を行き来する作風で知られる。
本作『Can』は1978年に登場した作品で、バンド名をそのまま冠したタイトル盤。レーベルや流通の事情で別名義でも出ているが、中心にあるのはCanの1980年代以前の活動をまとめる形の音源群である。録音はInner Space Studio、ミックスはベルリンのHansa-Tonstudiosで行われている。2010年盤は180グラム仕様の再発盤。
作品の位置づけ
Canのディスコグラフィの中では、1970年代後半の時期を示す一枚として見やすい。初期の強い即興性と編集感覚、リズムの反復、音の断片をつなぐ構成といった、バンドの特徴がそのまま残っている時期の記録である。
Canはクラウトロックの代表格として語られることが多く、Neu!、Faust、Amon Düül II などと並べて言及されることも多い。とはいえ、単純に同時代のドイツ産ロックというだけではなく、ロック、ファンク、ミニマルな反復、ノイズ処理、映画音楽的な場面転換が同居する点に独自性がある。
この盤で聴こえるCanらしさ
Canの音は、派手なソロや分かりやすい展開より、反復の中で少しずつズレや変化が起きる構造に特徴がある。本作でもその手触りは変わらず、リズムが前に出る場面、空間の広がりを感じる場面、断片的な歌やフレーズが差し込まれる場面が並ぶ。
実際に聴くと、演奏がきっちり固定されているというより、各パートが互いに様子を見ながら進む感じがある。ジャキ・リーベツァイトのドラムは拍を強く主張しすぎず、一定の推進力を保ちながら曲の輪郭を作る。そこにホルガー・シュカイの低音や編集的な処理が重なり、イルミン・シュミットの鍵盤が空間を埋める。ロックでありながら、曲の中心が常に少しずつ動いている印象である。
メンバーと時代背景
Canの中核は、イルミン・シュミット、ホルガー・シュカイ、ジャキ・リーベツァイト、マイケル・カローリの4人。そこにマルコム・ムーニーやダモ鈴木が加わった時期には、即興と反復のバランスがさらに際立った。1970年代後半のCanは、初期の荒さを残しつつも、より構成の意識が見える段階にある。
この時代のCanは、英国や米国のロックとは別の流れで語られることが多い。プログレッシブ・ロックのように大仰な組曲へ向かうわけでもなく、ハードロックのようにリフを前面に出すわけでもない。むしろ、反復、断片、空気感、ミックスの処理によって曲を成立させる点が重要である。
代表曲との関係
Canの代表曲としては、国際的に知られたポップ・サティア「I Want More」や、「Halleluwah」「Vitamin C」「Mother Sky」などが挙げられることが多い。本作はそうした広く知られた代表曲中心の編集盤というより、バンドの語法そのものを確認するための一枚として捉えやすい。
そのため、Canの名前だけを知っている場合でも、単発の名曲集とは違う聴き方になる。曲単位の強さより、セッション的な流れ、バンド内で共有されている反復の感覚が前面に出る。
再発盤について
2010年の盤は180グラム仕様の再発盤である。オリジナルの1978年盤とは発売時期が異なるため、音源そのものの時代と、手元にあるレコード盤の製造年は分けて見ておく必要がある。ジャケットやプレス仕様は再発盤ならではの要素で、内容面はオリジナルの作品を基にしている。
まとめ
『Can』は、Canというバンドの輪郭をそのまま示すようなタイトル盤である。クラウトロックの文脈、反復と即興のあいだを行き来する演奏、映画音楽にも通じる場面転換など、グループの核が見えやすい。
1970年代ドイツの実験ロックを知るうえで、Canの位置を確認するための一枚として整理できる内容である。
トラックリスト
- A1 – All Gates Open (8:16)
- A2 – Safe (8:36)
- A3 – Sunday Jam (4:17)
- B1 – Sodom (5:42)
- B2 – A Spectacle (5:48)
- B3 – E.F.S. Nr. 99 (“Can Can”) (3:16)
- B4 – Ping Pong (0:25)
- B5 – Can Be (3:00)
関連動画
National Health – D.S. Al Coda (1982)
National Health『D.S. Al Coda』(1982)
National Healthは、イングランドのカンタベリーで1975年に結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。カンタベリー・シーンらしい複雑な演奏と、ジャズ由来のフレーズを組み合わせた音楽で知られる。『D.S. Al Coda』は1982年にフランスで登場した作品で、バンドの活動末期にあたる時期の記録になる。
作品の位置づけ
National Healthは1981年に解散しているので、このアルバムはその終盤の流れを受けたものとして聴かれることが多い。録音は1981年10月から11月にかけてロンドンのMatrixで行われており、バンドの活動の締めくくりに近い時期の音が収められている。
メンバーには、John Greaves、Bill Bruford、Dave Stewart、Neil Murray、Pip Pyle、Amanda Parsons、Mont Campbell、John Mitchell、Alan Gowen、Phil Miller、Phil Leeといった名前が並ぶ。カンタベリー系、あるいは周辺の英国プログレ文脈を追っていると、よく見かける顔ぶれだ。National Healthというグループ自体が、演奏技術の高さとアンサンブルの細かさで語られやすい存在でもある。
音の印象
この作品は、ジャズ・ロックの流れを土台にしながら、曲の展開やリズムの切り替えが細かい。ロックの推進力だけで押し切るタイプではなく、各パートが絡み合う構成の妙が前に出る。Bill Brufordの参加もあって、リズム面の緊張感ははっきりしている。
National Healthの音は、同じカンタベリー系でも、Soft Machineの後期やHatfield and the North、あるいはDave Stewart周辺のプロジェクトと比較されることが多い。そうした中で『D.S. Al Coda』は、よりアンサンブル志向の強い一作として受け取られることがある。
ジャンルとスタイル
- ジャンル: Jazz、Rock
- スタイル: Art Rock、Jazz-Rock、Prog Rock
この並びどおり、即興性よりも作曲と編成の組み立てが目立つ内容だ。ジャズ・ロックの要素を含みつつ、プログレッシブ・ロックの複雑な構成が中心にある。
代表曲について
National Healthは、単独の大きなヒット曲で知られるバンドというより、アルバム単位で語られることが多い。『D.S. Al Coda』についても、曲単位の知名度より、作品全体の流れや演奏の密度で評価されやすいタイプの盤だ。
まとめ
『D.S. Al Coda』は、カンタベリー系プログレの文脈をそのまま引き継いだような、緻密な演奏とジャズ・ロックの要素が前面に出た作品だ。1981年の解散直前に録音され、1982年にフランスでリリースされたことで、バンドの終盤を記録した一枚として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – Portrait Of A Shrinking Man (5:35)
- A2 – TNTFX (3:11)
- A3 – Black Hat (4:52)
- A4 – I Feel A Night Coming On (6:38)
- A5 – Arriving Twice (2:20)
- B1 – Shining Water (8:50)
- B2 – Tales Of A Damson Knight (1:55)
- B3 – Flanagans People (7:31)
- B4 – Toad Of Toad Hall (5:35)
関連動画
- National Health – D.S. al Coda (Full Album)
- National Health – Portrait of a Shrinking Man
- National Health – T.N.T.F.X
- National Health – Black Hat
- National Health – I Feel A Night Coming On
- National Health – Arriving Twice
- National Health – Shining Water
- National Health – Tales of a Damson Knight
- National Health – Flanagan’s People
- National Health – Toad Of Toad Hall
The Whispers – This Kind Of Lovin’ (1981)
The Whispers / This Kind Of Lovin’(1981)
The Whispersは、1960年代から活動を続けるロサンゼルスのソウル・グループだ。男性ヴォーカル・グループらしい整ったハーモニーと、80年代以降の洗練されたR&Bサウンドの両方を持つ存在として知られている。This Kind Of Lovin’は1981年の作品で、グループがSolar周辺で存在感を強めていく時期の1枚にあたる。
作品の位置づけ
1981年という時期のThe Whispersは、70年代後半のディスコ期を経て、より都会的なソウル/ダンスR&Bへ軸足を置いていた。1978年の「And The Beat Goes On」、1980年の「It’s A Love Thing」といったヒットで知られる流れの中にある作品で、グループの名前をR&Bチャート上位に定着させていく時期のタイトルでもある。
レーベル表記には℗ 1981 Dick Griffey Productions、© 1981 RCA Recordsとあり、当時のSolar系ソウル作品らしい制作背景が見える。ジャケットやクレジット面も含めて、1980年代初頭のUSソウル・アルバムとしての佇まいがある。
サウンドの印象
この時期のThe Whispersらしく、曲の芯にはメロディ重視の歌い回しと、複数人の声がきれいに重なるコーラスがある。ファルセットを押し出すというより、輪郭のそろったヴォーカルを前に出しながら、リズム隊と鍵盤で流れを作るタイプの作りだ。ディスコの延長線上にありつつ、踊るためだけでなく歌を聴かせる構成が残っているところが特徴的だ。
実際に聴くと、派手な展開で引っ張る作品というより、グループの声の揃い方とリズムの置き方で聴かせるタイプに感じられる。The Whispersは派手な個性を前面に出すグループというより、アンサンブルの精度で魅せる印象が強い。
代表曲とのつながり
収録曲の中核を語るうえでは、同時期のヒット曲群と並べて捉えるのがわかりやすい。The Whispersは1980年前後に「It’s A Love Thing」でR&Bチャート2位を記録し、翌1982年には「In The Raw」もヒットさせている。少し後の1987年には「Rock Steady」でR&Bチャート1位に到達しており、This Kind Of Lovin’はその中間にある重要な時期の一作という位置づけだ。
- 「And The Beat Goes On」:1978年の代表曲
- 「It’s A Love Thing」:1980年のヒット
- 「In The Raw」:1982年のヒット
- 「Rock Steady」:1987年の最大級のヒット
同時代との関係
1981年前後のソウル/R&Bでは、The Whispersのようにコーラスを生かしたグループが、ダンス・ミュージックの流れの中で洗練を進めていた。近い文脈では、同じくグループ・ヴォーカルを軸にした作品群や、ディスコ後のブラック・ミュージックの流れに接続するアーティストたちが思い浮かぶ。The Whispersはその中でも、歌のバランスが整ったグループとして聴かれてきた存在だ。
グループについて
The Whispersは1964年にカリフォルニア州ワッツで結成され、ロサンゼルスを拠点に活動してきた。オリジナル・メンバーにはWallace Scott、Walter Scott、Nicholas Caldwell、Gordy Harmon、Marcus Hutsonが含まれる。長い活動歴の中でメンバー変遷はあるが、グループとしては50年以上にわたり活動を続け、R&Bチャートでも多数のヒットを記録している。
2003年にはVocal Group Hall of Fame、2014年にはR&B Music Hall of Fameに選出されている。ハーモニー・グループとしての評価が、長いキャリアを通して積み上がってきたことがわかる。
まとめ
This Kind Of Lovin’は、The Whispersが70年代のディスコ期から80年代の都会的なR&Bへ移っていく流れの中にある1981年作だ。派手さよりも、整ったコーラス、リズムの安定感、メロディの運びで聴かせるタイプの作品として見ると、グループの持ち味がわかりやすい。代表曲「And The Beat Goes On」や「It’s A Love Thing」に接続する時期のタイトルとして押さえておきたい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – This Kind Of Lovin’ (5:00)
- A2 – World Of A Thousand Dreams (3:45)
- A3 – I’m The One For You (4:05)
- A4 – Got To Get Away (5:00)
- B1 – I’m Gonna Love You More (6:03)
- B2 – Can’t Stop Loving You Baby (4:19)
- B3 – What Will I Do (4:05)
- B4 – The Bright Lights And You Girl (3:25)
関連動画
- The Whispers – This kind of lovin’ ”Edit” (1981)
- The Whispers – I’m Gonna Love You More (1981) (Maxi 45T)
- THE WHISPERS … CAN’T STOP LOVING YOU BABY…..
- The Whispers – World of a Thousand Dreams
- The Whispers – I’m The One For You
- The Whispers – The Bright Lights and You Girl
- The Whispers – Got to Get Away
- The Whispers – This Kind Of Lovin’ (1981)
- Whispers – I’m The One For You.wmv
- Got to Get Away
Gruppo Sportivo – Sombrero Times (1984)
Gruppo Sportivo「Sombrero Times」について
「Sombrero Times」は、オランダのニューウェイブ/ポップ・バンド、Gruppo Sportivoが1984年に発表した作品。バンドは1976年にハーグで結成されていて、この時期にはすでにユーモアを含んだポップ感覚と、ひねりのあるバンド・サウンドで知られていた。
この作品は、Rock、Popを軸にしながら、New Wave、Prog Rock、Indie Rockの要素も並ぶ1枚。録音はオランダのSpitsbergen Studioで行われている。レコードには歌詞入りのインナーシートが付属していた。
作品の位置づけ
1984年という年は、Gruppo Sportivoにとって、80年代前半の流れの中で活動を続けていた時期にあたる。バンド名義の中心はHans Vandenburgで、メンバーにはMartin Bakker、Max Mollinger、Eric Wehrmeyer、Josee Van Ierselらが並ぶ。複数のメンバーがクレジットされているところからも、バンドとしてのアンサンブルを前面に出した作品だったことがうかがえる。
Gruppo Sportivoは、同時代の欧州ニューウェイブやポップ・ロックの文脈で語られることが多い。ひとことで言えば、軽いノリだけで押し切るタイプではなく、メロディの作り方や曲の組み立てに少し癖があるバンド。そのため、単純なポップ・バンドとも、硬質なニューウェイブ・バンドとも少し違う立ち位置にある。
サウンドの印象
「Sombrero Times」は、タイトルから受ける陽気さだけでなく、実際の中身もリズムの立ち方やギターの刻み、コーラスの運びに特徴があるタイプの作品として見られる。ニューウェイブらしい乾いた感触を持ちながら、ポップ・ロックとしての聴きやすさも残している構成。そこに、少しプログレッシブな展開や、インディー寄りの距離感が重なる形。
このバンドの持ち味としては、英米勢のコピーに寄りきらないところが挙げやすい。たとえば、同時代の英国ニューウェイブやポップ・ロックと比較すると、よりコミカルで、曲の見せ方に遊びがある印象になりやすい。とはいえ、音だけでふざけているというより、演奏はきちんとまとまっているタイプ。
楽曲と資料面
このレコードについて、特定の代表曲やヒット曲の情報は確認できる範囲では目立っていない。とはいえ、インナーシートに歌詞が付いている点からも、楽曲そのものを追いやすい作りになっているのは確かだ。歌詞を読みながら聴くことで、Gruppo Sportivoらしい言葉遊びや軽妙さを追う楽しみが出てくる構成だろう。
また、1984年のヨーロッパ盤として出ているので、オリジナル時点の空気をそのまま伝える資料性もある。再発盤ではなく当時のリリースなので、80年代前半のバンドの音像やパッケージをそのまま知る手がかりになっている。
まとめ
「Sombrero Times」は、Dutch new wave/popの流れの中で、Gruppo Sportivoの個性が出やすい時期の作品。ロック、ポップを土台にしつつ、ニューウェイブ的な軽さと、少しひねった曲づくりが同居した1枚として捉えやすい。バンドのディスコグラフィーの中でも、80年代前半の活動を追ううえで押さえておきたいタイトルのひとつだ。
トラックリスト
- A1 – Radar (3:03)
- A2 – Why-Oh-Why (5:29)
- A3 – Give It Up (4:38)
- A4 – Get Up Enjoy (4:00)
- A5 – Two Tickets For Rio (3:23)
- B1 – Good In Bad (3:20)
- B2 – Family Life (4:22)
- B3 – Girls In Slow Motion (4:06)
- B4 – Mumbo Jumbo (3:25)
- B5 – What Kind Of Normal Guy Am I (3:49)
関連動画
- Gruppo Sportivo Sombrero Times Radar
- Gruppo Sportivo Sombrero Times Why-O-Why
- Gruppo Sportivo Sombrero Times Give It Up
- Gruppo Sportivo – Get Up Enjoy
- Gruppo Sportivo Sombrero Times Two Tickets For Rio
- Gruppo Sportivo – Good In Bad
- Gruppo Sportivo – Family Life
- Gruppo Sportivo – Girls In Slow-Motion (Eating A Banana)
- Gruppo Sportivo – Mumbo Jumbo
- Gruppo Sportivo – What Kind Of Normal Guy Am I?
Fabrizio De André – Fabrizio De Andre’ (1981)
Fabrizio De André『Fabrizio De Andre’』について
イタリアのシンガーソングライター、Fabrizio De Andréが1981年に発表したアルバム『Fabrizio De Andre’』。通称では「L’Indiano」と呼ばれる作品で、フレデリック・レミントンの絵画「The Outlier」をジャケットに使ったことでも知られている。2010年には、Sony Italiaによるブルー・ヴァイナルの限定再発盤が出ている。
De Andréは、イタリアのカンタウトーレを代表する存在のひとりで、社会性のある視点、物語性の強い歌詞、民謡や地方の言葉を取り入れた作風で語られることが多い。この1981年作も、その流れの中にある1枚で、80年代以降の彼の活動を語るうえで外せない位置づけの作品。
作品の位置づけ
1981年は、De Andréがすでに長く第一線で活動していた時期。1960年代のデビューから、1968年の「La Canzone di Marinella」の成功を経て、イタリアの大衆音楽の中で確かな地位を築いていた。その後も、単なるヒットメーカーというより、歌詞の内容や視点そのものに重心を置く表現者として評価されていく。
この『Fabrizio De Andre’』は、そうした彼の作家性が成熟した時期のアルバムで、ポップ・ロックの形式の中に、語り口のある歌、社会や土地の記憶に触れる要素が入り込んでいる。80年代のイタリア音楽の文脈で見ると、より洗練されたアレンジや制作を採り入れながらも、De Andréらしい歌の中心はぶれない、という印象の作品。
ジャケットとタイトル「L’Indiano」
この作品は「L’Indiano」の名でも流通している。ジャケットに使われたのは、アメリカの画家フレデリック・レミントンによる1909年の絵画「The Outlier」。ブルックリン美術館所蔵の作品で、イメージ面でもアルバムの記憶に残る要素になっている。
イタリアのカンタウトーレ作品では、音だけでなく装丁や題材の選び方も重要になりやすいが、この盤もその例に入る。音楽とビジュアルの結びつきが強い1枚。
収録曲の特徴
このアルバムでは、「Ave Maria」が特に知られている。リリースノートにもある通り、この曲はサルデーニャの伝統的なイタリア民謡をもとにした再構成・翻案で、De Andréが地方の音楽素材を自分の言葉に置き換える姿勢がよく出ている。
彼は1980年代以降、ジェノヴァ方言やガッルーラ方言、ナポリ方言なども歌に取り入れていくが、その背景には、標準語だけでは拾いきれない土地の感情や生活の手触りを、歌の中に残そうとする意識があるように見える。このアルバムも、その延長線上の作品として聴ける。
オリジナル盤と2010年再発盤の違い
オリジナルは1981年のDischi Ricordi S.p.A.からのリリース。2010年盤はSony Italiaによる限定再発で、ブルー・ヴァイナル仕様、かつ番号入りステッカー付きの仕様になっている。コレクター向けの再発としての性格が強い盤。
表記面では、アーティスト名の綴りがジャケットの表、裏、スパイン、CDで異なる形になっている点も特徴。再発盤を手に取ると、オリジナル時代の作品が後年に色付き盤としてシリーズ化され、別のかたちで流通していることがわかる。
まとめ
『Fabrizio De Andre’』は、Fabrizio De Andréのディスコグラフィーの中でも、作家性と歌の親しみやすさが同居した1981年の作品。イタリアのカンタウトーレ文化、ポップ・ロック、民謡の再解釈という複数の要素が、彼らしい距離感でまとまっている1枚。
「Ave Maria」のような伝統曲の扱い、レミントンの絵画を使ったジャケット、そして後年のブルー・ヴァイナル再発まで含めて、作品そのものだけでなく、周辺の情報も印象に残るアルバム。
トラックリスト
- A1 – Quello Che Non Ho (5:48)
- A2 – Canto Del Servo Pastore (3:11)
- A3 – Fiume Sand Creek (5:16)
- A4 – Ave Maria (5:42)
- B1 – Hotel Supramonte (4:31)
- B2 – Franziska (5:28)
- B3 – Se Ti Tagliassero A Pezzetti (4:58)
- B4 – Verdi Pascoli (5:12)
関連動画
- Quello che non ho – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio de Andrè – CANTO DEL SERVO PASTORE (Indiano)
- Fiume Sand Creek – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio De Andrè – AVE MARIA (Indiano)
- Hotel Supramonte – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio de Andrè – FRANZISKA (Indiano)
- Se ti tagliassero a pezzetti – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio de Andrè – VERDI PASCOLI (Indiano)
- Quello che non ho
AIR – The Virgin Suicides Redux (2000)
AIR『The Virgin Suicides Redux』について
AIRは、ジャン=ブノワ・ダンケルとニコラ・ゴダンによるフランスの電子音楽デュオ。1995年の始動以来、エレクトロニカ、ロック、映画音楽の領域をまたぎながら活動してきた。この『The Virgin Suicides Redux』は、2000年に発表された映画『ヴァージン・スーサイズ』のサウンドトラックを、25周年記念盤としてあらためてまとめた2025年盤である。
原作はソフィア・コッポラ監督の長編デビュー作『The Virgin Suicides』。AIRにとっては、映画作品と強く結びついた代表的な仕事のひとつであり、バンドのディスコグラフィーの中でも、アルバム単体というより「映像のための音楽」としての存在感がはっきりした作品だ。
作品の位置づけ
『The Virgin Suicides』は、AIRが映画音楽の文脈で広く知られるきっかけになったタイトルのひとつ。以後のAIRにも通じる、空間の広いシンセ、低めのテンポ、音数を絞ったアレンジが中心で、作品全体を通して「劇伴として機能すること」と「単独のアルバムとして聴けること」の両方が意識された作りになっている。
2000年当時のAIRは、同時代のフレンチ・エレクトロニックの流れの中でも、ダフト・パンクのようなダンス寄りの方向性とは少し異なり、ブライアン・イーノ、ヴァンゲリス、クラフトワーク、あるいは映画音楽の系譜に近い耳で語られることが多かった。『The Virgin Suicides』も、その文脈でとらえやすい一枚である。
サウンドの特徴
この作品では、シンセサイザーを軸にした旋律、控えめなビート、空気を含んだ鍵盤音、ロックの編成を思わせる要素が、かなり整った形で並ぶ。ジャズやフューチャー・ジャズ、アンビエントといったタグが付くのも、音の隙間やコード感、リズムの置き方に理由がある。派手な展開で引っ張るというより、同じ温度のまま場面を切り替えていく印象が強い。
映画音楽としては、登場人物の心理や郊外の空気感を説明しすぎず、画面の外側にある余白を埋める役割が大きい。アルバムとして聴くと、短い曲がつながりながら一つの流れを作っていく構成で、曲ごとの主張より、全体の距離感が前に出る。
今回の2025年盤について
2025年盤は「New Analog Mix – 25th Anniversary Edition」として案内されている。オリジナルの2000年盤と比べると、単なる再発ではなく、アナログ・ミックスを前面に出した記念盤という位置づけになる。印刷されたインナー・スリーブが付属し、ドイツで印刷・製造された盤であることも明記されている。
クレジット面では、インナー・スリーブにドラムの表記ミスがあること、またランアウト部の「1+」と「V=」が鏡像になっていることが記録されている。こうした点も、再発盤ならではの細かな特徴である。
聴きどころとして目に入る曲
『The Virgin Suicides』では、映画の中で使われた楽曲や、作品全体の印象を決定づけるモチーフがいくつか知られている。中でも、バンドの代表作として語られやすいのは、アルバム全体の空気を象徴するような曲群で、サウンドトラックでありながら、AIRらしいメロディの見え方がはっきりしている点が特徴だ。
ただし、この作品はシングルヒットで押すタイプではなく、1曲ごとの知名度よりも、アルバム全体の統一感で記憶される作品である。
まとめ
『The Virgin Suicides Redux』は、AIRが映画音楽の領域で残した代表的な作品『The Virgin Suicides』を、25周年記念盤として再提示した2025年のアナログ盤。2000年のオリジナルが持っていた、静けさ、郊外的な距離感、シンセ主体の劇伴性はそのままに、再発盤としての仕様が加わった一枚である。
AIRのディスコグラフィーをたどるうえでも、ソフィア・コッポラ作品との関係をたどるうえでも、重要な位置にあるタイトルと言える。
トラックリスト
- A1 – Playground Love (3:32)
- A2 – Clouds Up (1:30)
- A3 – Bathroom Girl (2:26)
- A4 – Cemetary Party (2:36)
- A5 – Dark Messages (2:29)
- A6 – The Word ‘Hurricane’ (2:31)
- A7 – Dirty Trip (6:14)
- B1 – Highschool Lover (Theme From The Virgin Suicides) (2:40)
- B2 – Afternoon Sister (2:24)
- B3 – Ghost Song (1:58)
- B4 – Empty House (2:57)
- B5 – Dead Bodies (2:59)
- B6 – Suicide Underground (5:54)
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Granada – Valle Del Pas (1978)
Granada『Valle Del Pas』について
『Valle Del Pas』は、スペイン・マドリードのプログレッシブ・ロック・バンド、Granadaが1978年に発表した作品である。録音はマドリードのEstudios Torresで行われ、ゲートフォールド仕様のジャケットでリリースされた。バンド名のGranadaはスペインのロック文脈ではいくつかの系譜があるが、この作品はマドリード拠点のプログレ・バンドによるものとして位置づけられる。
バンドの背景
Granadaは、マドリードで結成されたスペインのプログレッシブ・ロック・バンドとして知られている。メンバーにはJavier Monforte、Carlos Cárcamo、Carlos García Vaso、Antonio S. Rodríguez、Javier Huidobro、Julio Blasco、Joaquín Blanco、Antonio García Oteyza、Juan Bona、Michael Vorteflich、Miguel Angel Bullido、“Chicho” L. Hipólitoらの名前が並ぶ。編成の詳細は時期によって変動した可能性があるが、この作品がバンドの活動の中で1978年時点の到達点のひとつであることは確かである。
1970年代後半のスペインでは、英米のプログレッシブ・ロックの影響を受けつつ、独自の感触を持つバンドが各地で登場していた。Granadaもその流れの中にあるグループとして捉えられる。マドリードという都市圏から出てきたバンドらしく、当時の国内ロックの文脈の中で受け止められていた作品といえる。
作品の位置づけ
『Valle Del Pas』は1978年のオリジナル作品で、Granadaの初期活動を知るうえで重要な一枚である。バンド名の認知度というより、スペイン産プログレの実例として参照されるタイプの作品で、同時代の欧州プログレに通じる構成志向を持つアルバムとして扱われることが多い。
この時期のスペイン・プログレは、長尺曲、組曲的な展開、キーボード主体のアレンジ、ギターとリズム隊の切り替えなど、演奏面の情報量が多い作品が目立つ。Granadaの『Valle Del Pas』も、そうした時代の作法の中で語られることが自然な作品である。
録音と仕様
本作はEstudios Torres, Madridで録音されている。リリース時の仕様としてはゲートフォールド・カバーが採用されており、アナログ盤としての存在感を意識した作りになっている。ジャケットを広げて眺めるタイプの1970年代らしいパッケージで、作品全体の物理的な印象も強い。
聴きどころ
このアルバムの魅力は、スペイン語圏のロックとしての輪郭と、プログレッシブ・ロックとしての構成感が同居している点にある。曲の流れを追っていくと、単なる演奏の巧さだけではなく、場面転換の作り方や楽器同士の受け渡しに1970年代的な手触りが見えてくる。派手なヒット曲で押すタイプというより、アルバム全体で聴かせる性格が強い作品である。
実際に聴くと、音の重ね方や展開の作りに、当時のスペインのロック・シーンらしい素朴さと緊張感が同時に感じられる場面がある。英語圏の有名バンドをなぞるだけではない、ローカルな空気を含んだプログレとして受け止められる一枚である。
同時代の文脈
1978年という年は、プログレッシブ・ロックがすでにピークを過ぎつつあった時期でもある。その中で『Valle Del Pas』のような作品が出ていることは、スペイン国内ではなおプログレ的な表現が機能していたことを示す。英国やイタリアの大物バンドと並べて聴くと、より直接的で土着的な響きが立つこともある。
スペインの70年代ロック全体で見ると、同時代のシーンには手数の多いバンドや、クラシック寄りの構成を持つグループが少なくない。Granadaもその系譜に置くと理解しやすい。国内ロックの中で、プログレの文法を使ってアルバム単位の表現を試みた作品として位置づけられる。
まとめ
Granadaの『Valle Del Pas』は、1978年のスペイン産プログレッシブ・ロックを知るうえで押さえておきたいアルバムである。マドリード録音、ゲートフォールド仕様、そして当時のスペイン・ロックの空気を背負った一枚として、作品そのものの存在感がある。バンドの活動やスペイン・プログレの流れをたどる入口として見ても、意味のあるタイトルである。
トラックリスト
- A1 – No Sé Si Debo (5:03)
- A2 – Breve Silueta De Color Carmín (4:22)
- A3 – Noches Oscuras, Ocas Contentas (5:48)
- A4 – Himno Del Sapo (4:00)
- B1 – Valle Del Pas (7:47)
- B2 – Calle Betis (Atardeciendo) (6:47)
- B3 – Ya Llueve (4:43)
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True Myth – True Myth (1979)
True Myth『True Myth』について
True Mythの『True Myth』は、1979年にカナダでリリースされたデビュー作である。バンドはオンタリオ州ロンドンで、Fanshawe Collegeの音楽学校に通う学生たちのクラス課題をきっかけに結成された。中心にいたのがキーボードのTom Treumuthで、彼の動きがワーナー・ブラザースとの契約につながったとされている。カナダ出身のプログ・ロック作品としてだけでなく、カナダ人アーティストによる初のデジタル録音LPとしても記録されている作品だ。
作品の位置づけ
このアルバムは、True Mythにとって最初のアルバムであり、バンドの出発点そのものにあたる。プロフィール上でも、Tom Treumuthがバンドの中核として機能していたことがはっきりしており、作品の性格もその延長線上で捉えやすい。1970年代後半のカナダのロック文脈に置くと、テクニカルな演奏とスタジオ志向の強い作品群の中で、デジタル録音という新しい手法を採り入れた点が目立つ。
録音と制作の特徴
マスターノートによれば、録音にはSoundstream社の機材が使われている。Soundstreamは1970年代後半の初期デジタル音声実験で知られるオーディオ企業で、この時期のデジタル録音はまだかなり先進的な試みだった。True MythのこのLPは、カナダ人アーティストによる初のデジタル録音LPとされ、世界的にも初期のデジタル・アルバムのひとつに数えられる。技術面での意味合いが強い作品で、1979年当時としてはかなり時代の先を行く記録だったと言える。
盤の仕様
オリジナル盤はゲートフォールド仕様で、さらに大きなインサートが付属する。インサートは古いプリンターの用紙を思わせる作りになっている。加えて、黒白の帯に「True Myth A Rock Digital Recording / Enregisterement Digital Du Rock」と記された仕様も確認できる。見た目の面でも、デジタル録音を前面に出したリリースだったことが分かる。
音楽的な文脈
ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rock。1970年代後半のカナダのプログ・ロックといえば、演奏力を前提にした構成や、キーボードを軸にした展開が印象に残る作品が多い。True Mythもそうした流れの中にあるバンドとして見られる。Tom Treumuthがキーボード担当であることからも、バンドの音の組み立てで鍵盤が重要な役割を担っていたことがうかがえる。
メンバー
- Tom Treumuth
- Steve McKenna
- Tony Cook
- Kirk Devereux
- Bob Stirajs
- Malcolm McGuigan
ひとこと
『True Myth』は、単なるデビュー盤というだけでなく、カナダにおける初期デジタル録音の記録としても読めるアルバムである。バンドの始まり、1970年代末のプログ・ロックの空気、そして新しい録音技術の導入が重なった、時代性の強い一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Reach For The Heavens (6:06)
- A2 – Light Years Before (6:05)
- A3 – It’s Got To Be (3:13)
- B1 – Time And Time Again (4:45)
- B2 – Space Promenade (4:28)
- B3 – In The Mist (4:56)
- B4 – Song Of The World (4:21)
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Arachnoid – Arachnoid (1979)
Arachnoid『Arachnoid』について
フランスの短命バンド、Arachnoidが残した唯一のアルバム『Arachnoid』は、1979年にオリジナル盤が出た作品として知られている。バンド名は脳を包む膜を指す言葉と、クモの仲間を示す言葉の両方にかかっており、その由来どおり、音の感触にも神経の細部を追うような構成と、実験的な発想が見える作品だ。
ジャンル分けではロック、スタイルとしてはプログレッシブ・ロック、エクスペリメンタル、アヴァンギャルドに置かれている。フランス産のダークなプログレッシブ・ロックの一例として語られることが多く、70年代後半のフランス勢らしい、演奏の切り替えと構成の細かさを持つ一枚という位置づけになる。
作品の位置づけ
Arachnoidは、短い活動期間の中でこの1枚だけを残したバンドだ。バンドは管理面の不足もあり、1978年6月に解散したとされる。つまりこのアルバムは、活動の集大成であると同時に、バンドの全体像を知るほぼ唯一の手がかりでもある。
収録内容の詳細な曲名情報はここでは触れないが、作品全体としては、当時のフランス・プログレに見られる、組曲的な展開や、楽器同士のぶつかり合いを重視した作りが想像しやすい。英国の同時代プログレと比べると、より硬質で、実験寄りの進め方を取るフランス勢の流れに置けそうな存在だ。
1988年盤について
手元の盤は1988年のフランス盤で、インサート付き。片面にはグループストーリー、もう片面にはMuseaの製品案内が載っている仕様だ。こうした再発盤では、音源そのものに加えて、当時のバンド紹介やレーベル資料が付くことで、作品の背景をたどりやすくなるのが特徴だ。
オリジナル盤が1979年、こちらの盤は1988年という区別になる。作品そのものは70年代末のフランス・プログレの文脈に属しつつ、1980年代の再発によって改めて流通した、という見方がしやすい。
メンバー
- Patrick Woindrich
- Marc Meryl
- François Faugieres
- Bernard Minig
- Pierre Kuti
- Nicolas Popowski
まとめ
『Arachnoid』は、フランスの短命バンドが残した唯一作であり、70年代末フランス・プログレの一断面を示すアルバムだ。バンド名の由来まで含めて、頭の中の感覚や神経の動きに触れるような方向性が意識されているように見える。派手なヒット曲で押すタイプの作品ではなく、アルバム全体の流れで個性を伝える一枚として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 – Le Chamadère (13:57)
- A2 – Piano Caveau (7:24)
- A3 – In The Screen Side Of Your Eyes (4:04)
- B1 – Toutes Ces Images / Segamisec Setout (8:15)
- B2 – La Guêpe (8:44)
- B3 – L’Adieu Au Pierrot / Final (4:00)
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Three Angry Poles – Motorcycle Maniac (1986)
Three Angry Poles / Motorcycle Maniac(1986)
Three Angry Polesの「Motorcycle Maniac」は、1986年にベルギーで出た作品です。メンバーはLuc Van Acker、Jean-Marc Lederman、Didier Moensの3人。Electronicを軸に、EBMとElectroの感触を持つ、80年代中盤のベルギーらしい一枚として見ておきたい作品です。
作品の輪郭
タイトルからも分かる通り、バイクや速度感を連想させる語感を持つ作品ですが、内容は単なる勢い頼みではなく、当時の欧州エレクトロ/EBMの文脈にある、機械的なリズムと直線的なビートが前面に出た作りです。ベルギーはこの時期、Front 242をはじめとするEBMの重要な産地として知られていて、この作品もその空気の中に置くと見えやすいです。
Luc Van Ackerはベルギーのエレクトロ/インダストリアル周辺で知られる人物で、Jean-Marc Ledermanも同じく80年代ベルギーのシーンで存在感を持つミュージシャンです。3人の名前が並ぶだけでも、当時のローカルな実験性とクラブ向きの硬さが同居するイメージが立ちます。
音の特徴
この時代のEBMらしく、打ち込みの反復、乾いたシンセ音、ベースの押し出しが核になっているタイプです。メロディを大きく歌い上げるというより、リズムの反復と音色の質感で引っ張る方向性。Electroの要素もあるので、完全に無機質へ寄り切るというより、フックのあるビート感が残るのもポイントです。
聴感としては、ロックのバンド編成よりも、クラブやダンスフロアを意識した設計に近い印象を持ちやすい作品です。ギターの主張で押すのではなく、シーケンスとドラムマシンの推進力で前へ進む感じ。80年代半ばのベルギー製ダンス・エレクトロの空気がそのまま残っているような手触りです。
同時代の文脈
1986年という時期は、EBMがひとつの形式として固まりつつあった頃です。Front 242、The Neon Judgement、Nitzer Ebbのような名前が思い浮かぶ時代で、Three Angry Polesもその周辺にある作品として整理しやすいです。とはいえ、彼らは大きなアルバム作品で知られるというより、ベルギーのシーンの中で短く鋭い存在感を残すタイプのプロジェクトとして見られます。
その意味では、「Motorcycle Maniac」は、当時のEBM/Electroの最前線にある、ベルギー産の1枚として位置づけられる作品です。クラブ、シンセ、機械的反復というキーワードでつながる時代性がはっきりしています。
リリース時のポイント
この作品には「Dedicated to the spirit of Ecstasy.」というリリースノートが付いています。スピードや移動のイメージを呼び込む一文で、タイトルとあわせて作品全体のイメージを補強している形です。レコードとしては1986年当時の空気をそのまま抱えた初出作品として見るのが自然です。
まとめ
「Motorcycle Maniac」は、1986年のベルギー産Electronic作品として、EBMとElectroの交差点に置きやすい一枚です。Three Angry Polesという名義のもと、Luc Van Acker、Jean-Marc Lederman、Didier Moensの3人が、80年代中盤の機械的なダンス音楽の感覚を凝縮した作品、と捉えられます。
ベルギーEBMの文脈に触れるときに、Front 242などと並べて見たくなるタイプのタイトルです。
トラックリスト
- A – Motorcycle Maniac (4:43)
- B1 – It’s All Over (3:59)
- B2 – 5 A.M. (3:51)
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Liquid Liquid – Remixes (1998)
Liquid Liquid『Remixes』について
Liquid Liquidは、1980年代前半のニューヨーク地下シーンを代表するバンドのひとつで、99 Recordsから活動を広げたグループだ。本作『Remixes』は1998年に登場したタイトルで、バンドの既発曲を別の形で捉え直した内容として位置づけられる。Liquid Liquidといえば、〈Cavern〉が後年ヒップホップ文脈でも語られる存在で、Grandmaster Flash & The Furious Fiveの〈White Lines〉との関連でも名前が挙がることが多い。
Liquid Liquidというバンドの輪郭
このバンドは、最初から現在よく知られる形だったわけではない。もともとは別名義でより実験的な音を鳴らしていたが、Liquid Liquidとして再編されると、打楽器を軸にしたリズム主体のスタイルへ寄っていく。観客にパーカッションを持ち寄ってもらうようなライブもあったとされ、その中でDennis Youngがマリンバを持ち込んだことをきっかけに加入したというエピソードも残っている。こうした経緯から、彼らの音はロックのバンド編成というより、パーカッション・アンサンブルに近い感触を持つ。
『Remixes』の内容と聴こえ方
タイトルどおり、元曲の構造を別角度から見せる作品として受け取れる一枚だ。Liquid Liquidの元来の持ち味である反復、細かい打撃音、ベースの粘りが前面に出やすく、ダンス・ミュージックと実験性のあいだを行き来するバンドの性格が見えやすい。メロディを追うというより、リズムの配置や音の間を聴くタイプの内容で、同時代のポストパンクや初期ヒップホップの周辺にあった空気ともつながる。
実際に聴くと、音数そのものは多くなくても、各パートの入り方と抜け方にかなり意識が向く。マリンバ、ベース、ドラム、ヴォーカルがそれぞれ別の役割を保ちながら、全体としては推進力を作る形だ。派手に展開するというより、同じフレーズを少しずつずらしていく感覚が目立つ。そうした作りは、後のブレイクビーツやインディー・ダンス系の耳にもつながりやすいだろう。
代表曲との関係
Liquid Liquidを語るうえで避けて通れないのが〈Cavern〉だ。本作でも、グループを象徴するあの鋭いリズム感や反復の設計が重要な要素として残る。〈White Lines〉の件で広く知られるようになったことで、彼らは「サンプリング元」として語られがちだが、元の音源を聴くと、単なる素材以上に独特のバンド感がある。そこがこのグループの面白さだと思う。
同時代の文脈
Liquid Liquidは、ESGやBush Tetras、Materialあたりと並べて語られることが多いタイプの存在だ。ニューヨークのダウンタウン・シーンの中で、ロック、ファンク、ダブ、初期ヒップホップの要素が交差していた時代のバンドとして見ると、輪郭がつかみやすい。いわゆるギター主体のロックとは少し違い、リズムの切り方や音の空間の使い方に重心がある。
盤としての情報
この盤はUKリリースで、ダイカット仕様のスリーブという点も特徴になっている。1998年時点の作品として、80年代初期のオリジナル活動をそのまま並べるというより、後年の視点でLiquid Liquidの音を再確認する意味合いが強い。
Liquid Liquidの作品群の中では、バンドの核にある反復とパーカッシブな感覚を、比較的わかりやすく示す一枚として捉えられる。ヒップホップ史の文脈でも、ポストパンクの文脈でも名前が出てくる理由が、音の作り方から伝わる内容だ。
トラックリスト
- A – Cavern (The Cut Chemist Rocks A Rave In A Missile Silo Remix)
- B – Scraper (Psychonauts Remix)
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Spirogyra – St. Radigunds (1971)
Spirogyra『St. Radigunds』について
Spirogyraは、1967年にイングランド・ボルトンで結成された英国のフォーク/プログレッシブ系バンドで、中心人物はMartin CockerhamとMark Francis。St. Radigundsは1971年に発表された作品で、初期Spirogyraの姿を知るうえで重要な1枚として扱われることが多いアルバムだ。
バンド名は、後にBarbara Gaskinの歌声で知られる時期も含め、英国フォークの流れとロックの要素が近い距離にあるグループとして語られやすい。アコースティックな響きと、曲によっては組曲的な構成や展開を持つ点が、同時代のフォークロック系作品と並べて見られる背景になっている。
作品の位置づけ
St. Radigundsは、Spirogyraの初期作品として位置づけられるアルバムで、バンドの核となるMartin Cockerham、Mark Francisに加えて、Barbara Gaskin、Julian Cusack、Steve Borrillが参加している。メンバー編成を見るだけでも、後の活動へつながる人選がそろっていることがわかる。
この時期のSpirogyraは、英国のフォーク・リヴァイヴァルの流れの中にありながら、単純な弾き語り型では終わらないところが特徴になっている。ロックの演奏感と、フォーク由来の語り口が同居するあたりが、この作品の聴きどころになっている。
音楽性と聴きどころ
収録曲は、曲ごとに表情を変えながら進むタイプの作品として受け取られやすい。アコースティックギターを軸にした組み立て、複数の声の絡み、楽器の切り替えによる展開など、70年代初頭の英国フォークロックらしい手触りがある。
Barbara Gaskinの歌声は、このバンドの印象を決める大きな要素だ。声の出し方が前面に出る場面もあれば、アンサンブルの中で自然に溶け込む場面もあり、曲の性格をはっきり分けている。いわゆる大きなヒット曲で知られる作品というより、アルバム全体の流れで聴かれるタイプの記録という印象が強い。
同時代の比較でいえば、英国フォークの文脈ではFairport ConventionやSteeleye Spanのようなバンドがまず思い浮かぶが、Spirogyraはその中でもより室内楽的な組み立てや、素朴さと構成美のバランスに目が向くグループとして見られやすい。プログレ寄りの耳で拾うと、フォークの曲調の中に細かな展開がある点も面白い。
再発盤について
2021年盤は、オリジナルの1971年作をもとにした再発盤として扱われる。リリース情報では、high gloss laminated gatefold仕様、4面構成の12インチ折り込みカラーレイリーフレット、歌詞とテキストの掲載、ブラックの帯電防止プレーン・インナースリーヴが付く。オリジナル盤の記録とは別に、現行盤としてのパッケージ性が強い仕様になっている。
こうした再発盤は、音源そのものに加えて、ジャケットや付属物を含めて作品を見直す機会にもなる。特に歌詞やテキストがまとまって確認できる構成は、もともとアルバム単位での鑑賞に向いたSpirogyraの作品と相性がよさそうだ。
まとめ
St. Radigundsは、Spirogyraの初期を示す1971年のアルバムで、英国フォークロックの流れの中にある作品だ。Barbara Gaskinの歌声、アコースティック主体の演奏、曲ごとの展開の作り方など、バンドの基本形が見えやすい。2021年再発盤では、見開きジャケットと付属ブックレットを含む形で、その時代の空気を手元で確かめやすい仕様になっている。
トラックリスト
- A1 – The Future Won´t Be Long (4:27)
- A2 – Island (3:39)
- A3 – Magical Mary (6:20)
- A4 – Captain’s Log (2:00)
- A5 – At Home In The World (2:40)
- A6 – Cogwheels Crutches And Cyanide (6:00)
- B1 – Time Will Tell (5:32)
- B2 – We Were A Happy Crew (5:29)
- B3 – Love Is A Funny Thing (2:00)
- B4 – The Duke Of Beaufoot (8:02)
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Kate Bush – Never For Ever (1980)
Kate Bush『Never For Ever』――1980年のKate Bushを押し広げた3作目
Kate Bushの『Never For Ever』は、1980年9月にリリースされた3作目のスタジオ・アルバムだ。前作までで確立していた独自の歌世界を保ちながら、より曲ごとの表情がはっきりした作品として知られている。ロックとポップの枠に収まりきらない書き方、歌い方、音の置き方が、この時点ですでにかなり強い。
日本盤は帯付きの見開きジャケット仕様で、歌詞の日本語インサートやファンクラブ案内も封入された。盤面そのものより、当時の日本向けリリースらしい情報量のある作りになっている。
作品の位置づけ
Kate Bushは1978年のデビュー以来、作家性の強い作品を継続して発表してきたが、『Never For Ever』はその中でも重要な節目にあたる。デビュー作『The Kick Inside』、続く『Lionheart』に続いて出たこのアルバムでは、作曲家としての視野がさらに広がっている。のちの作品ほど大作志向ではないが、歌詞の題材やアレンジの振れ幅はかなり広い。
全体を通して、ピアノを核にしつつ、打楽器、シンセサイザー、ギター、コーラスが場面ごとに入れ替わる。ひとつの雰囲気を長く引っぱるというより、曲ごとに景色が切り替わる構成だ。
代表曲とアルバムの流れ
この時期のシングルとして知られるのが「Babooshka」「Breathing」「Army Dreamers」だ。いずれもアルバムの中で存在感が大きい。
「Babooshka」は、フックの強いリフと物語性のある歌詞が印象に残る曲で、Kate Bushの代表曲のひとつとして挙げられることが多い。曲としての分かりやすさがありつつ、声の使い分けや言葉の運びに彼女らしさが出ている。
「Breathing」は、原子力と生命の不安を題材にした曲として知られ、A面の最後に置かれている。静かな導入から緊張感を積み上げていく流れで、80年代初頭のポップ・アルバムの中でもかなり異色の存在感がある。
「Army Dreamers」は、戦争と若者の喪失を描いた曲で、メロディは穏やかでも内容は重い。単純に派手なヒット曲というより、アルバム全体の温度を決める1曲という印象だ。
なお、後年にクリスマス期の楽曲として知られる「December Will Be Magic Again」も、この時期のシングルとして並ぶ。アルバム本編とは別の流れで出た曲だが、同時代のKate Bushの制作活動の広がりを示している。
曲ごとの手触り
『Never For Ever』は、1曲ごとの輪郭がはっきりしている。奇妙な題材を扱っていても、音の組み立てが散らかりすぎない。むしろ、短い曲でも場面転換が明確で、歌詞の細部とアレンジの相互作用で聴かせるタイプだ。
たとえば「Delius (Song of Summer)」のような曲では、題材の取り方そのものがKate Bushらしい。クラシックや文学、演劇的な感覚を、ロック/ポップのフォーマットにそのまま押し込まず、別の形に変えている。
一方で「The Wedding List」や「The Infant Kiss」のような曲では、物語を追う感覚が強く出る。歌声の抑揚とアレンジの切り替えで、短編を読むような感触がある。
同時代の文脈
1980年という時期を考えると、ニュー・ウェイヴやシンセ・ポップが広がる中で、Kate Bushはそのどこにも完全には属していない。実験性はあるが、前衛音楽として閉じてもいない。ポップの形式を使いながら、演劇性や文学性を強く持ち込んでいる点で、同時代の一般的なロック/ポップ作品とはかなり距離がある。
比較対象としては、同じく作家性の強い英国のポップ作家たちが思い浮かぶが、Kate Bushの場合は歌唱のレンジと曲構成の独特さが際立つ。ソングライターであり、歌手であり、作品全体の演出家でもある、という印象だ。
日本盤の仕様
この日本盤には、見開きジャケット、帯、両面印刷のインサートが付く。インサートには日本語歌詞が載り、Kate Bush Fan Clubへの案内も入っている。さらに「Babooshka」のシングル紹介用の小さな案内もあり、当時の日本盤らしい資料性がある。
曲順や収録内容はオリジナルの流れを踏まえているが、インサートの表記による再生時間が他国盤と少し異なる点もある。こうした差も、日本盤を手に取る楽しみのひとつだ。
まとめ
『Never For Ever』は、Kate Bushが初期の段階ですでに独自の語り口を完成させつつあったことを示すアルバムだ。ヒット曲の「Babooshka」、緊張感のある「Breathing」、物語性の強い「Army Dreamers」と、印象の異なる曲が並びながら、全体としてはひとつのまとまりを保っている。
1980年の作品として見ると、当時のポップやロックの流れから少し外れた場所で鳴っている感じがある。その距離感こそが、このアルバムの大きな特徴だ。
トラックリスト
- A1 – Babooshka (バブーシュカ) (3:20)
- A2 – Delius (Song Of Summer) (ディーリアス(夏の歌)) (2:49)
- A3 – Blow Away (For Bill) (死者たち (ビルに捧く)) (3:32)
- A4 – All We Ever Look For (わずかな真実) (3:45)
- A5 – Egypt (エジプト) (4:10)
- B1 – The Wedding List (ウエディング・リスト) (4:15)
- B2 – Violin (バイオリン) (3:14)
- B3 – The Infant Kiss (少年の口づけ) (2:55)
- B4 – Night Scented Stock (木の精は夜の香り) (0:48)
- B5 – Army Dreamers (夢みる兵士) (2:55)
- B6 – Breathing (呼吸) (5:25)
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Jethro Tull – A (1980)
Jethro Tull『A』について
Jethro Tullの『A』は、1980年に発表された13作目のスタジオ・アルバム。ブリティッシュ・ロックの文脈の中で、フルートを前面に出したイアン・アンダーソンの歌と演奏で知られるこのバンドが、80年代の入口で出した作品だ。録音は1980年5月16日から6月6日まで行われ、同年8月29日にUK、9月1日にUSで発売された。
バンドのキャリアの中では、70年代後半までのフォーク色や組曲的な長尺曲とは少し違う、より引き締まったバンド・アンサンブルが目立つ時期の作品として位置づけられる。メンバーにはイアン・アンダーソンに加え、マーティン・バレ、デイヴ・ペッグ、ジョン・グラスコック、ドン・エイリー、エディ・ジョブソン、そしてギターにトニー・アイオミが参加しているのが大きな特徴だ。
作品の輪郭
『A』はロックを基調にしたアルバムで、プログレッシブ・ロックの要素を残しながらも、80年という時代に合わせて音の整理が進んだ印象を受ける。演奏は密度がありつつ、過度に長大化しない構成でまとまっている。Jethro Tullらしいフルートの存在感は保たれつつ、ギター、キーボード、リズム隊の役割分担がはっきりした作りになっている。
実際に聴くと、70年代中期の大作主義とは違う、バンドとしての機動力が前に出る。音数は多いが、各パートの動きが比較的追いやすく、アレンジの整理されたアルバムという印象が強い。
同時代の流れの中で
1980年のロック界では、70年代プログレの大作路線が少しずつ姿を変えていった時期でもある。Jethro Tullもその流れの中で、従来のスタイルをそのまま繰り返すのではなく、よりコンパクトな曲作りへ寄っている。プログレッシブ・ロックの文脈では、YesやGenesisなどと同じく、70年代的な語法を80年代に持ち込む動きの一つとして見られることが多い。
その一方で、Jethro Tullは単なる“プログレ・バンド”というより、ブリティッシュ・ロックの中でフォーク、ブルース、室内楽的な感触を織り込んできたグループでもある。『A』では、その幅広さが比較的コンパクトな形で表れている。
注目曲とエピソード
このアルバムでは、タイトル曲の「A」が作品名と同じく中心的な存在として語られることが多い。アルバム全体の顔役として扱われやすい曲で、80年時点のバンドの方向性を示す一曲になっている。
また、トニー・アイオミの参加もこの作品の重要な話題だ。Black Sabbathのギタリストとして知られる彼が関わっていることで、Jethro Tullの中でも少し異なる硬質な感触が加わっている。メンバー表を見ても、当時のバンド編成が流動的だったことがわかる。
まとめ
『A』は、Jethro Tullが70年代の延長線上にいながら、1980年の空気に合わせて輪郭を整えたアルバム。フルート主体の個性はそのままに、バンド・サウンドを前に出した構成が印象に残る作品だ。プログレッシブ・ロックの流れを追う上でも、Jethro Tullのディスコグラフィーをたどる上でも、ひとつの節目として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Crossfire (3:51)
- A2 – Fylingdale Flyer (4:27)
- A3 – Working John, Working Joe (5:01)
- A4 – Black Sunday (6:33)
- B1 – Protect And Survive (3:22)
- B2 – Batteries Not Included (3:47)
- B3 – Uniform (3:30)
- B4 – 4.W.D. (Low Ratio) (3:37)
- B5 – The Pine Marten’s Jig (3:23)
- B6 – And Further On (4:19)
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Tryad – … If Only You Believe In Lovin’ (1972)
Tryad『… If Only You Believe In Lovin’』について
Tryadは、1970年代前半のニューヨークでJim Lasko、Jesse Lanzillotti、Norine Lyonsの3人によって結成されたグループだ。1972年にStorm King Recordsからアルバム『…If Only You Believe in Lovin’』を発表している。今回の盤は2017年リリースで、オリジナル作の再登場という位置づけになる。
作品の輪郭
このアルバムは、メロディを軸にしたフォークの感触に、ウェストコースト系のカントリー・ロック、さらにアシッド・フォーク寄りの要素が交わる作品として紹介されている。Rock、Folk、World, & Countryの枠に置かれながら、スタイル面ではFolk、Psychedelic Rockとしても整理されている。
クレジット上では、全曲がSun Sign Music(ASCAP)出版で、アレンジはJim YoungとTryad名義。インサートには歌詞が収録されている。盤としては、制作上の事情で実際のリリースが2017年まで遅れたという点も記録されている。
1972年作品としての位置づけ
Tryadの作品としては、1972年に出たこの1枚が中心になる。プロフィールからも、バンドの活動初期にまとまった形で残されたアルバムと見てよさそうだ。ニューヨーク発のグループながら、サウンドの方向性は当時のアメリカン・フォークロックやカントリー・ロックの流れと重なる部分がある。
同時代の耳で捉えるなら、こうした作風は西海岸のフォークロックや、より内省的なサイケデリック・フォークの流れと並べて語られることが多いタイプだろう。派手なロック色というより、曲の進行や歌の置き方で聴かせるアルバムという印象になりやすい。
リリース年について
オリジナルは1972年作だが、手元にある盤は2017年盤として扱うのが自然だ。つまり、作品そのものは1972年の記録で、現在流通している盤は後年に出た再発盤ということになる。再発盤では歌詞インサート付きで聴ける点が、当時盤との大きな違いとして残る。
まとめ
『…If Only You Believe In Lovin’』は、Tryadという三人組が残した1972年のアルバムで、フォークを基調にしたロック作品として整理できる一枚だ。ニューヨークのグループでありながら、内容は西海岸系のカントリー・ロックやアシッド・フォークの文脈にもつながる。2017年盤は、そのオリジナル作品をあらためて聴ける形にした再発盤として位置づけられる。
トラックリスト
- A1 – I’m Wonderin’ How I Ever Got That Way
- A2 – Columbia Tavern
- A3 – Uptown Suburb Alley
- A4 – The Coming Time Of Gone
- A5 – Something Sweet In Dying
- B1 – Country Way
- B2 – Spider Song
- B3 – Don’t Talk To Strangers
- B4 – Northern Journey
- B5 – Eulogy/Raga
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Fireballet – Night On Bald Mountain (1975)
Fireballet『Night On Bald Mountain』について
Fireballetは、1970年代半ばに北ニュージャージーで活動したシンフォニック・プログレッシブ・ロック・バンドである。『Night On Bald Mountain』は1975年に発表された作品で、ハードロック寄りの推進力と、当時のプログレッシブ・ロックらしい鍵盤中心の構成が並ぶ一枚として位置づけられる。
メンバーはJim Cuomo(リード・ボーカル、ドラム)、Brian Hough(キーボード、オルガン、ボーカル)、Ryche Chlanda(ギター、ボーカル)、Frank Petto(キーボード、シーケンサー、ボーカル)、Martyn Biling/Biglin(ベース、12弦ギター)に加え、Ian McDonaldがフルートとサックスで参加している。編成を見るだけでも、ギター主体のバンドというより、鍵盤と管楽器を含む多層的なアンサンブルを志向していたことがわかる。
作品の輪郭
本作は、硬質なロックのリフと、オルガンやシンセサイザーを軸にした展開が同居する内容である。プログレッシブ・ロックの文脈では、同時代のカンサス、スタイクス、ジェネシス周辺の流れを連想させる面がある一方、よりアメリカ的な直線性も感じられる構成である。
タイトル曲「Night On Bald Mountain」は、作品名をそのまま掲げた代表的な曲として扱われることが多い。クラシック由来の題名を持つ点も含め、70年代プログレッシブ・ロックらしい大仰さと物語性が前に出た印象である。
サウンド面の特徴
この盤はSansui QS Stereo-Quad compatible formatでミックスされており、通常のステレオ再生でも良好な結果を想定したうえで、QSデコーダー使用時には4チャンネル再生を狙った設計になっている。70年代中盤らしい、録音フォーマットへの意識が見える点である。
実際の聴感としては、低音とオルガンの厚み、ギターの前進感、そこにフルートやサックスが差し込まれることで、音数の多い編成が整理されて聴こえるタイプの作りに寄るはずである。とくにプログレッシブ・ロックの作品では、こうした分離の良さが楽曲の展開を追いやすくする要素になる。
1975年という位置づけ
1975年の時点で、プログレッシブ・ロックは既に大規模な組曲や演奏技術の競争が進んでいた時期である。その中でFireballetは、北米のバンドらしい骨太さを保ちながら、シンフォニックな構成を前面に出していた。派手さだけで押すのではなく、鍵盤とギターの役割分担で楽曲を組み立てる姿勢がこの作品の軸になっている。
Ian McDonaldの参加も注目点である。King CrimsonやForeignerで知られる人物で、フルートやサックスを加えることで、Fireballetの音像により鮮明な色合いを与えている。バンドの編成に外部の管楽器が入ることで、単なるハードロック盤とは違う輪郭が出ている。
レコードの仕様について
- オリジナル発表年: 1975年
- リリース国: US
- ジャンル: Rock
- スタイル: Hard Rock, Prog Rock
- 付属インサートはカバー内に収まらない大きさで、折りたたんで封入されていた
- Sansui QS Stereo-Quad compatible formatによるミックス
まとめ
『Night On Bald Mountain』は、70年代中盤のアメリカ産プログレッシブ・ロックの中でも、鍵盤、ギター、管楽器を組み合わせた編成がはっきり見える作品である。ハードロックの推進力とシンフォニックな展開が並び、当時の北米プログレの一断面を示す一枚として捉えやすい内容である。
トラックリスト
- A1 – Les Cathèdrales (10:16)
- A2 – Centurion (Tales Of Fireball Kids) (4:46)
- A3 – The Fireballet (5:15)
- B1 – Atmospheres (3:40)
- Night On Bald Mountain (Suite)
- B2a – Night On Bald Mountain (2:20)
- B2b – Night-Tale (6:28)
- B2c – The Engulfed Cathedral (4:38)
- B2d – Night-Tale (Reprise) (2:34)
- B2e – Night On Bald Mountain (Finale) (2:50)
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Of Montreal – Jon Brion Remix EP (2009)
Of Montreal『Jon Brion Remix EP』について
『Jon Brion Remix EP』は、Athens, Georgia出身のOf Montrealによる2009年の作品。バンドの中心人物であるKevin Barnesを軸に、初期は60年代ポップやサイケデリックの感触を通し、後年はエレクトロニカ、ファンク、グラム、アフロビートまで取り込んでいく、このバンドの変化がよく知られている。その流れの中にある1枚がこのEPだ。
ジャンル表記はElectronic、Rock、Pop。スタイルとしてはArt Rock、Pop Rock、Experimentalに置かれている。タイトルからもわかる通り、Jon Brionによるリミックスを中心にした内容で、Of Montrealの楽曲を別の切り口から聴かせる作品として位置づけられる。
作品の位置づけ
2009年のOf Montrealは、もともとのインディー・ポップ/サイケ寄りの感覚に加えて、より広い編成感や加工の強いサウンドへと進んでいた時期。そうした時代の流れの中で出たこのEPは、バンドの原曲をそのまま並べるのではなく、Jon Brionの手つきで再構成された音像を味わうタイプのリリースになっている。
Polyvinyl Record Companyのカタログでは、この作品は「An Eluardian Instance EP」としても参照されている。作品名の扱いに揺れがある点は、レーベル資料を追ううえで目に入る情報だ。
Of Montrealというバンドの文脈
Of MontrealはKevin Barnesのプロジェクトとして語られることが多いバンドで、メンバーの入れ替わりが多いことでも知られる。提示されているメンバー一覧からも、その流動性が見えてくる。Derek Almstead、Julian Koster、Dottie Alexander、K Ishibashi、Jojo Glidewellら、多彩な演奏家が関わってきた。
音楽的には、初期のポップ・サイケ路線から、PrinceやDavid Bowieを思わせる要素を取り込んだ時期まで幅がある。2000年代後半のインディー・ロック界では、同じくアート性の高いポップを扱うアーティストとして、Animal CollectiveやThe Fiery Furnacesのような名前と並べて語られることもあった流れ。
聴きどころ
リミックスEPという形式上、ここでの聴きどころは楽曲そのものの展開よりも、元の曲がどのように切り分けられ、別の質感に置き換えられているかという点にある。Jon Brionは、映画音楽やプロデュースでも知られる人物で、細かな音の配置や和声の扱いに特徴がある。その手癖がOf Montrealの楽曲に入ることで、原曲の輪郭が少しずつずらされるタイプの作品になっている。
Of Montrealの代表曲という文脈でいえば、この時期は『Hissing Fauna, Are You the Destroyer?』の流れが大きく、そこから派生する作品群のひとつとして見ると整理しやすい。バンドのコアなファンにとっては、アルバム本編とは違う角度で曲を確認できる資料的な意味合いもあるだろう。
まとめ
『Jon Brion Remix EP』は、2009年のOf Montrealを、Jon Brionのリミックスという形で切り取った1枚。アート・ロック寄りの構成感と、ポップな手触りが同居するバンドの性格が、そのまま別の編集で見えてくる作品だ。作品名の扱いに別表記がある点も含めて、Of Montrealのカタログを追ううえで押さえておきたいEPといえる。
トラックリスト
- A1 – First Time High (Reconstructionist Remix Of “An Eluardian Instance”) (4:03)
- A2 – First Time High (Of Chicago Acoustic Version) (4:34)
- B1 – Gallery Piece (JB Remix) (3:54)
- B2 – Gallery Piece (Long Version) (8:16)
- B2 – Gallery Piece (Instrumental) (3:54)
Flower Travellin’ Band – Satori (1971)
Flower Travellin’ Band『Satori』について
Flower Travellin’ Bandの『Satori』は、1971年に発表された日本のロック作品だ。バンドは、元The Flowers周辺の流れから1970年に結成され、Joe Yamanaka、Hideki Ishima、Jun Kobayashi、Joji Wadaという編成で活動した。いわゆる日本のロックが海外のハードロックやサイケデリック・ロックと強く接続していった時期の作品として知られている。
このアルバムは、Flower Travellin’ Bandの代表作として語られることが多い。バンドの初期を示すだけでなく、後の日本のヘヴィロックやアンダーグラウンドなロック作品を振り返るときにも、しばしば参照されるタイトルだ。
作品の位置づけ
『Satori』は、Flower Travellin’ Bandが短い活動期間の中で残した主要作のひとつで、バンドの輪郭をはっきり示す内容になっている。日本のバンドでありながら、演奏の密度や曲の進め方には、同時代の英米ロックに通じる要素が見える一方、歌唱やフレーズの運びには独自の色もある。
当時のサイケデリック・ロックやハードロックの文脈で見ると、同時代の作品群と並べて語られることが多い。たとえば、欧米の重厚なロックや長尺志向の作品と比較されやすく、Flower Travellin’ Bandの中でも特に存在感のある一枚として扱われている。
収録内容と聴きどころ
この作品は、曲ごとの展開を追っていくタイプのアルバムとして知られる。リリース情報にある通り、2019年盤は2017年の96kHz/24bitリマスター音源をもとにしたアナログ再発で、ディスクはEU製だ。オリジナルの1971年盤を直接聴くのとは少し事情が異なるが、現在入手しやすい形のひとつとして位置づけられる。
実際に聴いたときの印象として語られやすいのは、Joe Yamanakaの歌声の強さ、Hideki Ishimaのギターの粘り、リズム隊の重さだ。とくに、曲が進むにつれて音数を増やしながらも、演奏が散らばりすぎないところにこのバンドのまとまりがある。サイケデリックな色合いがありつつ、単なる雰囲気重視ではなく、ロック・バンドとしての推進力が前に出る作品という見方ができる。
2019年盤について
2019年の盤は、1971年オリジナル作品の再発盤だ。2017年のデジタル・リマスターを使っているため、オリジナル盤とは音の見え方が変わっている可能性がある。再発盤としては比較的新しいマスターを採用している点が特徴で、古い録音の空気を残しながら、現行の流通に乗せた仕様といえる。
盤ごとの違いに注目するなら、オリジナルの時代感をそのまま持つ初出盤と、リマスター由来の2019年盤では、聴感上の整理のされ方に差が出ることがある。もっとも、作品そのものの骨格は1971年の『Satori』のままだ。
Flower Travellin’ Bandというバンド
Flower Travellin’ Bandは、日本のロック史の中でも特に国際的な視点で語られやすいバンドだ。1970年に結成され、のちにカナダのトロントへ拠点を移したという経歴も含め、当時の日本のバンドとしてはかなり特異な歩みをしている。1973年にいったん解散し、2008年にはオリジナル・メンバーを中心に再結成している。
『Satori』は、そのバンド像を端的に示す一枚として受け止められている。日本のロックがどこまで行けるか、という問いに対して、かなり早い段階でひとつの答えを出した作品、と見ることもできる。
まとめ
『Satori』は、Flower Travellin’ Bandの代表的な1971年作品であり、日本のサイケデリック・ロックを語るうえで外しにくいタイトルだ。2019年盤は2017年リマスターを使った再発で、オリジナルの内容を現在のフォーマットで聴ける仕様になっている。バンドの演奏力、Joe Yamanakaの歌、当時のロック文脈との接点がまとまった一枚として、今でもよく参照される作品だ。
トラックリスト
- A1 – Satori Part 1 (5:22)
- A2 – Satori Part 2 (6:56)
- A3 – Satori Part 3 (9:40)
- B1 – Satori Part 4 (10:53)
- B2 – Satori Part 5 (6:56)
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Joe Yamanaka – The Times (1975)
Joe Yamanaka『The Times』について
『The Times』は、Joe Yamanakaが1975年に発表した作品です。日本のヴォーカリストとして知られるJoe Yamanakaは、横浜生まれ。ソロ作としてのこのアルバムは、ロックを軸にしながら、サイケデリック・ロックの要素も感じさせる内容として位置づけられます。
Joe Yamanakaは1946年9月2日生まれ、2011年8月7日に横須賀で亡くなっています。彼の活動をたどるうえで、『The Times』は1970年代半ばの時期を示す一枚として見ておきたい作品です。
作品の概要
本作は日本で制作・発売されたアルバムで、1975年のオリジナル・リリースです。収録内容の詳細は、英語と日本語の歌詞、バンド写真、そして日本語ライナーを含む4ページのインサート付き。作品全体を通して、当時の国内盤らしい丁寧なパッケージングがうかがえます。
リリースノートには「We would dedicate this album to those who payed the first and strongest attentions those days.」という献辞が記されています。アルバムの背景に、当時この音楽に強く反応した人たちへの意識があったことが読み取れます。
Joe Yamanakaという存在
Joe Yamanakaは、日本のロック史の中でも独特の存在感を持つヴォーカリストです。英語詞を含む表現や、力強い歌声で知られ、ソロでもグループ活動でも印象を残しています。『The Times』は、その声の個性を前面に出しやすい時期の作品として受け止められます。
1970年代の日本のロックは、国内独自の発展をしながら、海外のロックやサイケデリック・ロックの影響も強く受けていました。本作もそうした流れの中に置いて考えやすい一枚です。
サウンドの印象
このアルバムは、ロックの骨格を持ちながら、サイケデリック・ロックらしい感触が入る作品として整理できます。Joe Yamanakaのヴォーカルが中心にあることは想像しやすく、歌そのものの存在感が聴きどころになっているはずです。
実際に聴くと、英語と日本語の両方がクレジットされている点からも、言葉の扱いに意識が向いた作品として受け取れます。歌詞の内容を追いながら聴く楽しみもあるタイプのアルバムです。
同時代の文脈
1975年という時期は、日本のロックがアルバム単位で存在感を強めていた頃です。海外のサイケデリック・ロックやハードなロックの影響を受けつつ、日本語・英語の使い分けや歌い方で個性を出す流れがありました。Joe Yamanakaの作品も、その時代性の中で見ておくと輪郭がつかみやすいです。
特定のヒット曲や代表曲については、今回の情報だけでは確認できません。少なくともこの盤では、アルバム全体のまとまりとヴォーカリストとしての表現が中心にあるようです。
まとめ
『The Times』は、1975年の日本におけるJoe Yamanakaの表現を示す作品です。ロックを土台に、サイケデリック・ロックの気配も持つ内容で、英語と日本語の歌詞、そして日本語ライナーを含むインサートが当時の作品性を補っています。
1970年代半ばの日本のロックをたどるうえで、Joe Yamanakaというヴォーカリストの存在を確認できる一枚です。
トラックリスト
- A1 – Satori Pt. II (5:56)
- A2 – Satori Pt. I (5:22)
- A3 – Shadows Of Lost Days (4:45)
- A4 – Hiroshima (5:15)
- B1 – Make Up (3:02)
- B2 – Look At My Window (11:42)
- B3 – Spasms (5:20)
- B4 – I Wanna See You (4:55)
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Mankind – Pophits (2020)
Mankind『Pophits』について
『Pophits』は、スウェーデンのポップ・ロック・バンド、Mankindが2020年に発表した作品である。クレジット上のメンバーは Alex Ceci、Fredrik Diffner、Oliver Boson、Art Onion。ジャンル表記はRock、スタイルはAlternative RockとPsychedelic Rockとなっている。
作品の輪郭
Mankindはスウェーデン出身のポップ・ロック・バンドとして紹介されており、『Pophits』でもその基本線ははっきりしている。タイトルの通りポップ寄りの感触を持ちながら、ロックの骨格を保ち、さらにオルタナティヴ・ロックとサイケデリック・ロックの要素が重なる位置づけの作品と読める。派手な説明を足さなくても、バンドの音像を端的に示す題名と編成になっている。
2020年というリリース時期を踏まえると、同時代の北欧ロックやインディー寄りのサウンドの文脈に置いて見ることができる。整ったメロディ感と、少し視界をゆらすようなサイケデリックな処理を両立させるタイプの作品として整理しやすい。
メンバー構成
- Alex Ceci
- Fredrik Diffner
- Oliver Boson
- Art Onion
4人編成であることが確認できる。クレジット上では、個々の役割までは読み取れないが、バンドとしてのまとまりを前提にした作品であることは分かる。
位置づけ
『Pophits』は、Mankindの活動の中で2020年に記録されたアルバムとして捉えるのが自然である。作品名からも、バンドのポップな側面を前面に出した一枚であることがうかがえる。オルタナティヴ・ロックの直線的な推進力と、サイケデリック・ロックの音の揺らぎを同じ盤面に置く作りは、北欧のロック作品でしばしば見られる組み合わせでもある。
聴きどころとして見えやすい点
実際の曲名や代表曲の情報は確認できないが、ジャンル表記からは、メロディを前に出しつつ、音の層で変化をつける構成が想像しやすい。ロックの土台にポップなフックを載せる形、そこへサイケデリックな処理を重ねる形、そうした作法の延長線上にある作品として見ておくと分かりやすい。
まとめ
Mankind『Pophits』は、スウェーデンのポップ・ロック・バンドによる2020年作として、ロック、オルタナティヴ・ロック、サイケデリック・ロックの要素を持つ一枚である。4人編成のバンド作品として、シンプルなポップ性とロックの輪郭を同時に示すタイトルになっている。
トラックリスト
- A1 – Colours (4:08)
- A2 – Waltzing Charade (4:59)
- A3 – Pickled Love (4:46)
- A4 – Faceless Stranger (3:56)
- A5 – Silent Treament (3:27)
- A6 – Tired (4:27)
- B1 – Happy Child (3:03)
- B2 – Heart On Sleeve (2:08)
- B3 – Mother Said (4:14)
- B4 – No Doubt In My Mind (7:23)
- B5 – Simple Is Good (1:55)
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Alberto Fortis – Fragole Infinite (1982)
Alberto Fortis『Fragole Infinite』(1982)
Alberto Fortisは、イタリアのシンガー・ソングライター。1955年生まれで、70年代後半から80年代にかけてイタリアのポップ/ロック・シーンで活動してきた人物だ。『Fragole Infinite』は1982年に発表された作品で、ロックを基調にしたポップ・ロック寄りの一枚として位置づけられる。
この作品はロンドンのAbbey Road Studios、Studios 2 & 3で録音されている。イタリアのアーティストが英国の大きなレコーディング拠点で制作した点は、当時の作品として見ても印象に残る要素だ。クレジット上ではPolyGram Dischi S.p.a. – Milanoによる1982年のリリースで、イタリア盤として登場している。
作品の位置づけ
Alberto Fortisは、イタリアのシンガー・ソングライターとして知られており、この時期の作品群の中でも1982年作の『Fragole Infinite』は、80年代初頭の彼の音楽を確認できるタイトルのひとつだ。アーティスト名義での活動を追ううえで、初期80年代の到達点のように見ることができる。
サウンドの印象
ジャンル表記はRock、スタイルはPop Rock。作品全体は、ロックの枠組みの中でメロディを前に出すタイプの作りとして捉えられる。録音先がAbbey Roadということもあり、音像の見え方や演奏のまとまりに意識が向く作品として受け取られることが多いはずだ。
ただし、ここでは断定は避けたいが、80年代初頭のイタリアのポップ・ロック作品らしく、歌を中心に据えた構成で聴かれる一枚と言える。英米のロック文脈を参照しつつも、イタリア語の歌ものとしての性格が前に出るタイプのアルバムだろう。
制作面の情報
- 録音場所: Abbey Road Studios, London(Studios 2 & 3)
- リリース国: Italy
- リリース年: 1982年
- レーベル表記: PolyGram Dischi S.p.a. – Milano
- 付属物: Printed inner sleeve
代表曲について
このレコードについて、ここで代表曲やヒット曲として確実に挙げられる情報は確認できない。収録曲単位での知名度を追うなら、別途トラックリストや当時のシングル情報と合わせて見ると、作品の輪郭がさらに見えやすくなる。
まとめ
『Fragole Infinite』は、Alberto Fortisが1982年にイタリアで発表したポップ・ロック作品。Abbey Roadで録音された点も含めて、制作の背景がはっきりした一枚だ。80年代初頭のイタリアのシンガー・ソングライター作品として、彼の活動をたどるうえで重要な位置にあるアルバムと見てよさそうだ。
トラックリスト
- A1 – Fragole Infinite (3:14)
- A2 – Due File (3:40)
- A3 – Ti Diro’ (3:41)
- A4 – Non Piu’ Di Tanto (2:46)
- A5 – L’Uomo Grande (2:51)
- A6 – Galli (3:29)
- B1 – Angelo (3:02)
- B2 – Suzy Body (2:50)
- B3 – Dimmi Di No (3:21)
- B4 – Liquido Breve Per Bibo (4:17)
- B5 – Neve (3:42)
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Midnight Oil – 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 (1982)
Midnight Oil『10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1』について
Midnight Oilの『10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1』は、1982年に発表された4作目のスタジオ・アルバム。オーストラリア・シドニーで1972年に結成されたロック・バンドが、80年代前半の時点でどんな音を鳴らしていたかが見える作品である。Peter Garrettの強い歌声、Jim MoginieとMartin Rotseyのギター、Rob Hirstのドラムを軸にした編成が、この時期のMidnight Oilの核になっている。
作品の位置づけ
このアルバムは、バンドの初期から中期へ移る段階にある作品として捉えやすい。Midnight Oilは後年、社会性の強いメッセージ性でも知られるが、1982年の時点では、ロックの推進力を前面に出しつつ、ニュー・ウェイヴの要素も取り込んだ時期にあたる。バンドの輪郭を保ったまま、より広い1980年代的なサウンドに接近していく流れの中にある一枚である。
サウンドの印象
実際に聴くと、演奏の芯はかなりはっきりしている。ギターは音数を詰め込みすぎず、リズムの切れ味を優先する場面が多い。Peter Garrettのヴォーカルは、メロディをなぞるというより、言葉を押し出すような歌い方で、曲全体の緊張感を支える役割が大きい。ロックの骨格の上に、当時らしい乾いた質感のアレンジが乗る構図で、派手さよりも推進力が残るタイプの内容である。
ニュー・ウェイヴ色は、リズムや空気の作り方に出ている。とはいえ、シンセ主体の音作りに寄るわけではなく、あくまでバンド演奏中心。そのため、同時代のオーストラリア/UK圏のロックと並べたときにも、演奏の前に出る力が目立つ。
同時代の文脈
1982年のロック周辺では、ポスト・パンク以後の流れを受けたニュー・ウェイヴ、タイトなギター・ロック、ラジオ向けのフォーマットが同時に並走していた。Midnight Oilはその中で、単なるポップ寄りでも、純粋なハード・ロック寄りでもない位置にいる。The PoliceやU2の初期作品に通じる、輪郭のはっきりしたリズムとギターの組み方を思わせる局面もあるが、Midnight Oilのほうがより直線的で、熱量を前に出す場面が多い印象である。
代表曲について
このアルバムからは「Power and the Passion」が知られている。バンドの代表曲のひとつとして触れられることが多く、攻めるリズムと覚えやすいフックが両立した楽曲である。Midnight Oilの初期の勢いをまとめて示す曲として、このアルバムを語るうえで外しにくい存在だろう。
初回盤の仕様
初回プレスには「Oil Rag」と呼ばれる紙が付属していたとされる。こうした付属物は、当時のアルバムを手に取った感覚を伝える要素でもあり、盤そのものの情報としては小さいが、初期流通盤らしさを示すポイントになっている。
バンドの流れの中で
Midnight Oilは、メンバー編成が比較的安定していたバンドとして知られる。Peter Garrett、Jim Moginie、Martin Rotsey、Rob Hirstを中心に、ベースにはAndrew James、のちにPeter Giffordが加わる。このアルバムの時点では、まだ初期の編成感が色濃い時期で、バンドの基礎体力がそのまま作品に出ている。
まとめ
『10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1』は、Midnight Oilが1980年代前半のロックの中で、自分たちの推進力を固めていた時期の記録として聴きやすい一枚である。ギター・バンドとしての骨組み、Peter Garrettの存在感、そして当時のニュー・ウェイヴ感覚が、過不足なくまとまっている作品だと思える。
トラックリスト
- A1 – Outside World (4:46)
- A2 – Only The Strong (4:36)
- A3 – Short Memory (4:54)
- A4 – Read About It (3:50)
- A5 – Scream In Blue (5:42)
- B1 – U.S. Forces (4:06)
- B2 – Power And The Passion (5:50)
- B3 – Marlinga (4:46)
- B4 – Tin Legs And Tin Mines (4:51)
- B5 – Somebody’s Trying To Tell Me Something (4:00)
関連動画
- Midnight Oil – Power and the Passion
- Midnight Oil – US Forces
- Midnight Oil – 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 (1982) [Album]
- Midnight Oil – 4 – Read About It – 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 (1982)
- Midnight Oil – 5 – Scream In Blue – 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 (1982)
- Midnight Oil – 7 – Power And The Passion – 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 (1982)
- Short Memory (Remastered Version)
- Only The Strong (Remastered Version)
- Scream In Blue (Remastered Version)
- Midnight Oil – 6 – U.S. Forces – 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 (1982)
Lift – Spiegelbild (1981)
Lift『Spiegelbild』(1981)
『Spiegelbild』は、東ドイツのロック・バンド、Liftが1981年に発表した作品。バンドはもともと1969年に
Liftというバンドの流れ
Liftは、東ドイツのロック史の中でもよく語られる存在。ロックを土台にしながら、シンフォニック・ロック、プログレッシブ・ロック、ポップ・ロックの要素を取り込み、長い活動の中で編成も変化してきた。提示されているメンバー名も多く、時期ごとに人員の入れ替わりがあったことがうかがえる。
この『Spiegelbild』も、そうしたLiftの歩みの中で出た1981年作品として見ると、バンドの成熟した時期の記録という印象が強い。東ドイツのロック・シーンでは、演奏力を前提にした組み立てのしっかりした作品が多く、Liftもその文脈の中で語られることが多いバンドだ。
音の特徴
この作品は、ジャンル表記としてRock、Pop、スタイルとしてSymphonic Rock、Pop Rock、Prog Rockが挙がっている。実際の聴感としても、ロックの骨格に、鍵盤やアレンジの厚みを持たせたタイプの作品として受け取られることが多いはずだ。リフやメロディを前面に出しつつ、曲の流れを大きく取る作りがLiftらしいところ。
歌を中心に据えながらも、単純なポップス寄りに寄り切らず、展開や間の取り方にプログレ的な感触が残る。とはいえ難解さを押し出す方向ではなく、曲としての輪郭を保ったまま進むあたりに、この時期のLiftの持ち味がある。
1981年という時期の位置づけ
1981年は、Liftにとって活動歴の中盤以降にあたる時期。デビュー直後の勢いをそのまま残すというより、バンドとしての作法が固まったあとに出る作品の雰囲気がある。東ドイツのロックという枠の中でも、派手な実験性より、演奏とアンサンブルの安定感が印象に残る年代だ。
同時代の文脈で見ると、英国のシンフォニック・ロックやプログレッシブ・ロックの影響を感じさせつつも、Liftの場合はより歌ものの感覚、つまりメロディの分かりやすさが前に出やすい。そういう意味では、欧州のロック・バンド群の中でも、組曲性一辺倒ではない立ち位置にある。
作品としての見どころ
『Spiegelbild』というタイトル自体は「鏡像」を意味するので、曲順やアルバム全体の構成を意識して聴くと、バンドの内側を映すような感覚がある。Liftの作品は、単曲の強さだけでなく、アルバム単位で流れを追うとまとまりが見えやすいタイプだ。
代表曲の明示的な情報はここでは挙げられていないが、Liftの作品群では、バンド名を広く知らしめた楽曲や歌詞で語られる曲がいくつかある。『Spiegelbild』も、その時期のLiftのサウンドを知るうえで外しにくい一枚として扱われることが多い。
まとめ
『Spiegelbild』は、東ドイツのLiftが1981年に残したロック作品。シンフォニック・ロック、ポップ・ロック、プログレッシブ・ロックの要素を持ちながら、演奏のまとまりと歌の流れを重視した作りが特徴の一枚だ。バンドの長い歴史の中で、成熟した時期のLiftを映す作品として見てよさそうだ。
トラックリスト
- A1 – Rückblick (0:45)
- A2 – Sindbad (3:29)
- A3 – Märchenland (3:58)
- A4 – Alptraum (3:01)
- A5 – Erinnerung (4:27)
- A6 – Am Abend Mancher Tage (3:45)
- B1 – Zwischenzeit (4:04)
- B2 – Liebeslied (2:40)
- B3 – Vincent Van Gogh (8:27)
- B4 – Einsamkeit (3:05)