Twelfth Night – Fact And Fiction (1982)
Twelfth Night『Fact And Fiction』について
Twelfth Nightは、1978年に結成されたUKのネオ・プログレッシブ・ロック・バンド。『Fact And Fiction』は1982年にリリースされた作品で、この時期のバンドの輪郭をつかみやすい一枚だ。ジャンル表記としてはRock、スタイルはProg Rock。80年代初頭の英国プログレ系の空気をそのまま映したような内容になっている。
バンドの位置づけ
Twelfth Nightは、1987年にいったん解散し、その後2007年から2012年にかけて再結成も行っている。『Fact And Fiction』は、バンドの活動初期から中期にかけての代表的な時期に置かれる作品として見られることが多い。メンバーにはMartyn Watson、Andy Revell、Geoff Mann、Clive Mitten、Brian Devoil、Rick Battersby、Andy Sears、Dean Baker、Roy Keyworth、Nigel Atkins、Electra McLeod、Ian Lloyd Jones、Mark Spencer、Andy Faulknerらの名前が並ぶ。
作品の印象
このアルバムでは、プログレッシブ・ロックらしい構成の変化や、楽曲の展開を追う楽しさが前に出ている。演奏はきっちり組み立てられていて、リズムやギター、キーボードの役割分担がはっきりしている印象だ。派手な装飾を重ねるというより、曲の流れを保ちながら場面を切り替えていくタイプの作りに感じられる。
実際に聴くと、音の重ね方や間の置き方に80年代初頭の英国プログレらしい整理された感触がある。メロディを前面に出す場面と、演奏で押していく場面の切り替えがはっきりしていて、1曲ごとの表情の違いが追いやすい。ボーカルの存在感もあり、インスト中心の硬質なプログレとは少し違う、歌を軸にしたバンド感が見えやすい作品だ。
同時代の文脈
Twelfth Nightは、同じく英国で展開したネオ・プログレ系の流れにあるバンドとして語られることが多い。MarillionやIQなどと並べて見られることもあり、70年代プログレの系譜を引きつつ、80年代の録音感やバンド編成の実感を持ち込んでいるところが特徴になっている。『Fact And Fiction』も、その文脈の中で聴くと整理しやすい。
補足
この作品について特に広く知られたヒット曲がある、というよりは、アルバム全体の流れで聴かれるタイプの一枚として捉えられやすい。バンドの活動史の中では、初期の性格を確認できる重要な時期の記録として位置づけられるだろう。
1982年のUK発プログレ作品として見ると、『Fact And Fiction』は、時代の空気とバンドの持ち味がそのまま残るアルバムだ。
トラックリスト
- We Are Sane (10:27)
- A2 – Human Being (7:50)
- A3 – This City (4:01)
- A4 – World Without End (1:54)
- B1 – Fact And Fiction (3:59)
- B2 – The Poet Sniffs A Flower (3:51)
- B3 – Creepshow (11:57)
- B4 – Love Song (5:40)
関連動画
Alberto Radius – Che Cosa Sei (1976)
Alberto Radius / Che Cosa Sei
Alberto Radiusの「Che Cosa Sei」は、1976年に発表された作品で、ロックとポップの要素を軸にしたポップ・ロックの一枚だ。アルベルト・ラディウスはイタリア出身のギタリスト、シンガーで、60年代後半から70年代にかけてのイタリアン・ロック・シーンで存在感を示した人物として知られる。
アーティストの立ち位置
Radiusは、バンド活動を通してキャリアを積み上げたあと、1969年にFormula 3を結成したことで広く知られる。Lucio BattistiのレーベルNumero Unoからデビューし、代表曲「Questo Folle Sentimento」がイタリアのチャートで上位に入ったことでも知られる。そうした流れを踏まえると、「Che Cosa Sei」は、バンド・ミュージシャンとしての経験と、ソロでの表現がつながる時期の作品として位置づけられる。
作品の印象
この作品は、ギターを前面に押し出したロック色と、歌ものとしての聴きやすさが同居するタイプのアルバムとして捉えやすい。70年代イタリアのポップ・ロックには、メロディを重視しつつ演奏にも力が入る作品が多いが、本作もその文脈の中にある一枚と言えそうだ。曲の輪郭を保ちながら、演奏の細部で個性を見せる流れが見えやすい。
作曲者としてのRadiusの持ち味は、バンド時代に培ったギターの感覚と、歌のフレーズの運びの両方にある。Formula 3や、同時代のイタリアン・ロックに通じる耳なじみのよさと、ロック寄りの音作りが近い距離にあるのがこの時代の特徴でもある。
盤について
ここにある盤は1982年リリースのもの。作品そのものは1976年の発表なので、70年代オリジナルの流れを後年の盤で聴く形になる。ジャケットや音質の細かな違いは盤ごとに変わることがあるが、作品の核になる部分は1976年時点のものとして受け止めやすい。
関連する文脈
- イタリアン・ロックの流れの中にあるソロ作品
- Formula 3での活動を経たギタリスト/シンガーとしての一面
- ロックとポップの間を行き来する70年代イタリア作品の一例
「Che Cosa Sei」は、Alberto Radiusの経歴を踏まえて聴くと、演奏家としての手触りとポップ・ソングとしてのまとまりが見えやすい作品だ。派手さよりも、曲と演奏の組み合わせで聴かせるタイプのアルバムとして記憶しやすい。
トラックリスト
- A1 – Che Cosa Sei (3:58)
- A2 – L’Asino (3:58)
- A3 – Il Respiro Di Laura (5:12)
- A4 – La Meta’ (5:07)
- B1 – Sound (3:40)
- B2 – Salamoia (3:42)
- B3 – Suoni (4:47)
- B4 – Zenit (4:47)
- B5 – Pop Star (4:00)
関連動画
Various – The Harvest Bag (1971)
The Harvest Bag / Various (1971)
1971年にUKで出たHarvestレーベルのサンプラー盤で、レーベル・コンピレーションとしての性格がはっきりした1枚です。ロックを軸にしながら、ブルース・ロック、カントリー・ロック、ジャズ・ロック、プログレッシブ・ロックまでを一通り見渡せる内容になっていて、当時のHarvestの幅をそのまま切り取ったような作品です。
作品の位置づけ
Harvestは1971年11月にこうしたサンプラーを送り出していて、レーベルの色をまとめて示す役割が強い盤です。個別のアーティスト作品ではなく、複数の録音を通して当時のレーベルの方向性を伝える内容で、UKロックの流れの中にあるHarvestの立ち位置が見えやすい構成です。
特にこの盤は、Electric Light Orchestraの初出音源を収録していることで知られています。ELOの初期記録に触れられる点は、このレコードの大きな特徴です。
収録内容の印象
曲単位で見ると、ブルース寄りの粘り、カントリー・ロックの素朴な運び、ジャズ・ロックのリズム処理、プログレッシブ・ロックの展開感といった要素が、1枚の中で切り替わっていく構成です。レーベル・コンピレーションらしく、ひとつの作品世界を通して聴かせるというより、当時のHarvestが抱えていた音の輪郭を並べて示す内容といえる盤です。
こうしたサンプラー盤は、個々の曲の代表性よりも「その時点で何が起きていたか」を伝える資料性が前面に出やすいですが、この盤もそのタイプです。1971年のUKロックを、レーベル単位で俯瞰する入口のような位置にある作品です。
時代背景
1971年のUKロックは、ブルースの土台を残しながら、カントリーやジャズ、プログレの要素を取り込んでいく時期でした。Harvestはその流れを受け止めるレーベルのひとつで、このサンプラーにはその動きがまとまって表れています。Pink Floyd周辺で知られるレーベルという印象だけでは収まらない、もう少し広い音楽性の広がりが見える内容です。
まとめ
The Harvest Bagは、1971年のUK Harvestレーベルを一望できるサンプラー盤です。ロックを基盤に、複数のスタイルを横断する当時の空気感がそのまま入っていて、さらにElectric Light Orchestraの初出音源を含む点でも記録性の高い1枚です。作品単体というより、レーベルの断面を残したコンピレーションとして捉えると、その性格がつかみやすい盤です。
トラックリスト
- A1 – Laughed At The Judge
- A2 – River Woman
- A3 – Queen Of The Hours
- A4 – Shoot Her If She Runs
- A5 – After The Day
- B1 – Call Me A Liar
- B2 – Ain’t Gonna Do You No Harm
- B3 – Living Here Alone
- B4 – Ella James
- B5 – The City – Part 1 (The Ghetto)
関連動画
- Grease Band – 1971 – Laughed At The Judge – Dimitris Lesini Blues
- SOUTHERN COMFORT “RIVER WOMAN” (1972)
- Queen of the Hours (2001 Remaster)
- Shoot Her if She Runs
- After The Day
- Edgar Broughton Band – Call Me A Liar (1971)
- East of Eden – Ain’t Gonna Do You No Harm
- Roy Harper – Living Here Alone (UK1971)
- Ella James (2005 Remaster)
- Mark-Almond Band – The Ghetto
Steve Hackett – Cured (1981)
Steve Hackett『Cured』
Steve Hackettは、Genesisでの活動で知られる英国出身のギタリスト。1977年にバンドを離れてからはソロ活動を軸に作品を重ねていて、『Cured』は1981年に発表されたソロ作のひとつである。英国ロックの流れの中でも、プログレッシブ・ロックの出自を残しながら、より歌もの寄りの作りへ寄った時期の作品として聴かれることが多い。
作品の輪郭
このアルバムでは、Steve Hackettらしいギターの存在感を土台にしつつ、Pop RockとProg Rockが並ぶ構成になっている。Genesis時代の複雑な展開をそのまま引き継ぐというより、曲ごとの輪郭をはっきりさせた作りで、ロック・アルバムとしてのまとまりが前に出る印象である。
1980年代初頭という時期もあって、70年代のプログレに比べると音像はすっきりしている。ギターのフレーズは前面にありながら、曲調は比較的コンパクトで、メロディの分かりやすさが耳に残るタイプの一枚。プログレ寄りのソロ・ギタリスト作品としても、同時代の英国ロック作品としても追える内容である。
聴きどころ
Steve Hackettのソロ作品では、ギターの表情がそのまま曲の色になることが多いが、『Cured』でもそこは変わらない。派手に弾き続けるというより、フレーズの置き方や音の抜き差しで曲を進めていく場面が目立つ。ボーカル曲でもギターが前に出るため、バンド作品とは違う視点で彼の演奏を追えるアルバムである。
代表曲として広く知られた定番曲が真っ先に挙がる作品ではないが、アルバム全体を通して聴くと、80年代初頭のSteve Hackettがどんな方向を向いていたかが見えやすい。Genesis脱退後のソロ活動を確認する上でも、ひとつの節目に置かれる作品といえる。
リリースについて
オリジナルは1981年の作品で、ここで扱う盤は1984年リリースのもの。UK盤として流通した再発盤にあたり、作品そのものは1981年の内容を収めている。オリジナル発表時の空気を残しつつ、80年代の流通の中で聴かれてきた一枚である。
まとめ
『Cured』は、Genesisを経たSteve Hackettが、ソロ・アーティストとして自分のギターを中心に組み立てた1981年作。プログレッシブ・ロックの文脈を持ちながら、ポップ・ロック寄りのまとまりも見せるアルバムで、80年代初頭の英国ロックの一断面として捉えやすい作品である。
トラックリスト
- A1 – Hope I Don’t Wake
- A2 – Picture Postcard
- A3 – Can’t Let Go
- A4 – The Air-Conditioned Nightmare
- B1 – Funny Feeling
- B2 – A Cradle Of Swans
- B3 – Overnight Sleeper
- B4 – Turn Back Time
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Clearlight – Forever Blowing Bubbles (しゃぼん玉幻覚) (1975)
Clearlight「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」について
Clearlightは、フランス・パリ出身のプログレッシブ・ロック・バンド。1973年に始動し、キーボード奏者Cyrille Verdeauxを軸に、Gong周辺を含むフランスのプログレ/アンダーグラウンド界のミュージシャンたちが入れ替わりで参加してきたグループだ。本作「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は1975年に発表された作品で、日本盤は1982年リリース。Electronic、Jazz、Rockをまたぐ内容で、Jazz-Rock、Experimental、Prog Rockの文脈に置かれる一枚になっている。
作品の立ち位置
Clearlightは、バンドというよりもCyrille Verdeauxのプロジェクト色が強い出発点を持ち、その後にClearlight名義のグループとして広がっていった経緯がある。本作もその流れの中にある作品で、Steve Hillage、Didier Lockwood、Tim Blake、Didier Malherbeといった顔ぶれが並ぶのがまず目を引くところ。フランスのプログレ/ジャズ・ロックの線上で、演奏者の個性を前面に出すタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲ごとに音の重心が少しずつ動いていくのが分かりやすい。キーボードを中心に据えた展開がありつつ、ギターやサックス、ヴァイオリン系の音色が差し込まれ、ロックのリズム感と即興性のあるフレーズが交差する場面が多い。ジャズ・ロックらしい流れの中に、電子音や浮遊感のある処理が入ることで、単純なバンド・サウンドには収まらない作りになっている。
派手な歌もの中心というより、演奏の展開そのものを聴かせるタイプ。フレーズの受け渡しや、音色の切り替えに耳が行く作りで、フランスのプログレらしい実験性と、当時のジャズ・ロックの推進力が同居している印象だ。
同時代の文脈
1970年代半ばのフランスでは、GongやMagma周辺を含め、ロック、ジャズ、サイケデリックな感覚を横断する作品が次々に生まれていた。本作もその流れの中で聴くと位置づけが見えやすい。英国のプログレに比べると、構築美だけでなく、演奏の自由度や音の飛び方が前に出る場面があり、Clearlightもその系譜に連なる存在と言えそうだ。
特にSteve HillageやDidier Lockwood、Didier Malherbeのようなプレイヤーが関わっている点は、この時期のフレンチ・プログレ/ジャズ・ロックの交差点をよく示している。バンドの固定的な編成というより、場面ごとに色が変わるアンサンブルとしての面白さがある。
日本盤について
1982年に出た日本盤は、オリジナルの1975年盤から数年後の登場になる。日本での紹介時期としては、70年代プログレの再評価が進んでいたタイミングとも重なり、当時のリスナーにとってはフランス産の変則的なジャズ・ロック/プログレ作品として受け取られたはずだ。盤としてはオリジナル発売から時間をおいてのリリースになるため、作品そのものの成立時期と日本での流通時期は分けて見ておきたいところ。
まとめ
「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は、Clearlightというプロジェクトの性格がよく出た一枚。Cyrille Verdeauxを中心に、フランスの個性的な演奏家たちが集まり、ロック、ジャズ、電子的な要素を混ぜながら進んでいく。1970年代フランス・プログレの広がりを、そのまま音にしたような作品として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 – Chanson (4:44)
- A2 – Without Words (7:41)
- A3 – Way (8:16)
- B1 – Ergotrip (6:24)
- B2 – Et Pendant Ce Temps La (4:43)
- B3 – Narcisse Et Goldmund (2:39)
- B4 – Jungle Bubbles (2:45)
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Chic – Take It Off (1981)
Chic『Take It Off』について
Chicの『Take It Off』は、1981年にリリースされた作品。Nile RodgersとBernard Edwardsを中心に1977年に結成されたChicは、ディスコ期を代表するグループのひとつとして知られていて、この時期のファンク/ソウルの流れの中でも、演奏の精度とリズムの組み立てで存在感を示している。
グループ名を追うと、Chicはギター、ベース、ドラムの土台がはっきりしたバンドで、そこにボーカルとホーン、キーボードが重なっていく構成。Nile Rodgersのカッティング・ギターとBernard Edwardsのベースが軸にある点は、この作品でも作品全体の骨格として意識しやすいところだ。
1981年のChicという位置づけ
1981年のChicは、ディスコの文脈を引き継ぎつつ、よりファンク寄りの手触りを持った時期として捉えやすい。『Take It Off』もその流れの中にある作品で、ダンス・ミュージックとしての機能性と、バンド演奏の輪郭が前に出るタイプの1枚。ディスコの華やかさだけでなく、リズムセクションの細かい動きや、声の掛け合いの配置に耳が向く内容だ。
同時代のファンク/ダンス・ミュージックと比べると、Chicは派手な装飾よりも、演奏の組み合わせで曲を組み上げていく印象が強い。そうした作りは、後のダンス・ミュージックやR&Bにもつながる流れとして語られることが多い。
サウンドの聴きどころ
この作品でまず目立つのは、ギターとベースの噛み合い方。Nile Rodgersの細かいストロークと、Bernard Edwardsの動くベースラインが、リズムを前へ押していく。そこにドラム、キーボード、ホーンが加わり、曲の中でグルーヴの密度が上がっていく作りだ。
ボーカル面では、リードとコーラスの受け渡しが重要な要素。Chicらしいアンサンブル感があり、ひとりの歌を前面に出すというより、バンド全体でフレーズを積み重ねていく感触がある。
Chicの代表曲とのつながり
Chicといえば『Le Freak』『Good Times』が代表曲としてよく挙がるが、『Take It Off』もその延長線上で、バンドの基本形がよく見える時期の作品として捉えられる。ヒット曲中心のイメージとは少し違い、バンドの演奏とアレンジの組み立てに目が向くところがある。
まとめ
『Take It Off』は、1981年のChicが持っていたファンク/ディスコの手触りを、そのままパッケージしたような作品。Nile RodgersとBernard Edwardsを核にした演奏の強さ、ホーンやコーラスを含めたバンド・アンサンブル、そしてダンス・ミュージックとしての推進力がまとまっている1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Stage Fright (3:55)
- A2 – Burn Hard (5:12)
- A3 – So Fine (4:10)
- A4 – Flash Back (4:28)
- A5 – Telling Lies (2:28)
- B1 – Your Love Is Cancelled (4:12)
- B2 – Would You Be My Baby (3:34)
- B3 – Take It Off (5:12)
- B4 – Just Out Of Reach (3:45)
- B5 – Baby Doll (3:10)
関連動画
- Take It Off
- So Fine
- Stage Fright
- Burn Hard
- Telling Lies
- Chic – Take It Off (1981) – A4 – Flash Back
- Chic – Take It Off (1981) – B1 – Your Love Is Cancelled
- Chic – Take It Off (1981) – B4 – Just Out Of Reach
- Chic – Take It Off (1981) – B2 – Would You Be My Baby
- Chic – Take It Off (1981) – B5 – Baby Doll
Nine Days’ Wonder – Sonnet To Billy Frost (1976)
Nine Days’ Wonder / Sonnet To Billy Frost
1976年にドイツでリリースされた、Nine Days’ Wonderのアルバム。マインハイムを拠点にしたこのバンドは、1960年代から活動していたWalter Seyfferを中心に発展してきたグループで、Krautrockの流れの中でも、ジャズ、ブリティッシュ・プログレ、フランク・ザッパ的な感触を取り込んだ硬質なロックを鳴らしていたことで知られる。
Sonnet To Billy Frostは、そのNine Days’ Wonderの1976年作品として位置づけられる一枚。メンバーにはMichael Bundt、Sid Gautama、John Earle、Walter Seyffer、Bernd Unger、Rolf Henning、Karl Mutschlechner、Martin Roscoe、Peter Oehler、Hans Frauenschuh、Freddie Münster、Karl-Heinz Weiler、Walter Kirchgässnerらが名を連ねる。
作品の輪郭
この時期のNine Days’ Wonderは、単純なハードロックでもなく、一直線のプログレッシブ・ロックでもない、曲ごとに手触りの変わる作りが特徴になっている。Walter Seyfferの個性的なヴォーカルを軸に、曲展開の切り替えやリズムの組み替えが入り、バンド全体で組曲的な流れを作っていくタイプの作品と言える。
同時代のドイツ勢でいえば、CanやAmon Düül IIのようなKrautrockの流れ、あるいは英国プログレの構成感と比較して語られることが多いバンドだが、Nine Days’ Wonderはその中でも演奏の密度と、ロックの骨格を崩しすぎない点に特徴がある。Frank Zappaの影響を感じさせる、ひねりのあるアレンジ感もこのグループらしい要素。
聴きどころ
実際に聴くと、まず耳に残るのはWalter Seyfferの声質。歌として流すというより、フレーズの置き方で曲の輪郭を強めていく印象がある。そこに、管や鍵盤、ギター、リズム隊が細かく絡み、ひとつの曲の中で場面が何度も切り替わっていく。
派手なヒット曲で引っ張る作品というより、アルバム全体で聴かせるタイプの内容。収録曲それぞれが、演奏の緊張感やアンサンブルの組み替えを見せる方向に寄っていて、70年代中期のドイツ産プログレ/Krautrockの文脈をそのまま感じられる一枚になっている。
バンドの中での位置づけ
Nine Days’ Wonderは、1960年代から続くWalter Seyfferの活動史の延長線上にあるバンドで、The GravesからNine Days Wonderへと発展していった経緯を持つ。Sonnet To Billy Frostは、その流れの中で70年代中盤の到達点のひとつとして捉えやすい作品。バンドの持つ多国籍な編成と、ジャズやプログレを含む広い音楽語法が、比較的まとまった形で表れている。
まとめ
1976年のドイツ産プログレ作品として、Nine Days’ Wonderらしい複雑さと、ロックの推進力が同居したアルバム。Krautrock、British progressive rock、Frank Zappa的な感覚が交差するバンドの個性を、そのままアルバム単位で追える内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Alchemists (5:50)
- A2 – I Need A Rest (4:06)
- A3 – In Memory Of Sir Hillary (3:25)
- Five Minute Musical
- A5 – Turn And Go On (4:05)
- B1 – Sonnet To Billy Frost (6:23)
- B2 – Empty Frame (3:56)
- B3 – Almost October (3:50)
- B4 – Jamie (3:42)
- B5 – You’re Always All Alone With The Things You Love (5:39)
- B6 – I Need A Rest, Part II (1:12)
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Rockwell – Somebody’s Watching Me (1984)
Rockwell「Somebody’s Watching Me」について
Rockwellの「Somebody’s Watching Me」は、1984年にリリースされたシングルで、同名タイトルの代表曲として知られる作品だ。US出身のヴォーカリスト/プロデューサーであるRockwellにとって、短い活動期間の中でも存在感を強く残した1曲で、彼の名を広く知らしめた中心作でもある。
ジャンルはElectronicとFunk / Soul、スタイルとしてはSynth-popとFunkに位置づけられる。打ち込み主体の骨格に、ファンク由来のリズム感が重なる作りで、当時の80年代らしいシンセの質感が前面に出ている。リリース国はUS、アーティストもUSという、同時代のアメリカン・ポップ/R&Bの流れの中で捉えやすい作品だ。
作品の立ち位置
Rockwellは1964年生まれ、デトロイト出身。Motown創設者Berry Gordyの息子として生まれた人物で、本人の経歴自体もかなり特徴的だ。とはいえ、この作品でまず耳に入るのは肩書きよりも、ひとつの楽曲としての強さのほうだろう。80年代前半のシンセポップとファンクの接点にある音像で、彼のキャリアを語るときの軸になる。
「Somebody’s Watching Me」は、タイトル通り“誰かに見られている”という感覚をそのまま曲にした内容で、軽いノリだけでは終わらない緊張感がある。リズムは跳ねるが、歌の運びには落ち着かない空気がまとわりつく。そのバランスが、この曲を単なるダンス・トラック以上のものにしている印象だ。
聴きどころ
実際に聴くと、まずシンセのフレーズが印象に残る。音数は多すぎず、輪郭のはっきりしたビートに引っかかるように鳴っていて、曲全体を引っ張る役割を持っている。ベースの動きも一定の推進力を作っていて、ファンク寄りの感触がそこで出てくる。
ボーカルは、派手に押し切るタイプというより、言葉を追わせるような運びが中心だ。そこに不穏さが乗るので、フックの強さと少し落ち着かない気配が同居している。80年代のシンセポップの中でも、ポップさだけに寄り切らないところがこの曲の輪郭だと思う。
同時代とのつながり
この時期のアメリカでは、シンセを前面に出したポップやR&Bが広がっていて、ファンクの感覚と電子音の組み合わせも珍しくない流れだった。そうした文脈の中で見ると、「Somebody’s Watching Me」は、クラブ寄りの軽さと、歌詞の不安感を同居させたタイプの1曲として整理しやすい。派手なサウンドの中に、テーマのわかりやすさがあるのも特徴だ。
Rockwellの作品としては、この曲がまず先に挙がることが多いはずで、彼の短い活動の中でも代表的な位置づけにある。1984年という年の空気感を、そのまま切り取ったような1枚だ。
まとめ
「Somebody’s Watching Me」は、80年代前半の電子音主体のポップとファンクの接点にある作品で、Rockwellの名を決定づけた楽曲として見てよさそうだ。シンセのフレーズ、跳ねるリズム、そして“見られている”というテーマが一体になった、印象の残るタイトル。
トラックリスト
- A1 – Somebody’s Watching Me (5:01)
- A2 – Obscene Phone Caller (3:24)
- A3 – Taxman (3:56)
- A4 – Change Your Ways (4:49)
- B1 – Runaway (4:24)
- B2 – Wasting Away (3:55)
- B3 – Knife (5:03)
- B4 – Foreign Country (5:56)
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Paatos – Breathing (2011)
Paatos『Breathing』について
『Breathing』は、スウェーデン・ストックホルムで結成されたプログレッシブ・ロック・バンド、Paatosの作品。オリジナルのリリースは2011年で、こちらの盤は2013年にオランダで出たもの。Paatosは2000年8月に結成され、Reine Fiske、Stefan Dimle、Ricard “Huxflux” Nettermalm、Johan Wallen、Petronella Nettermalmを中心に活動してきたバンドである。
バンドの輪郭
Paatosはストックホルム出身のプログレッシブ・ロック・バンドとして知られる。現在の編成は、Ricard Nettermalmがドラム、パーカッション、プログラミング、Petronella Nettermalmがヴォーカルとチェロ、Peter Nylanderがギター、Ulf Ivarssonがベースという布陣。メンバーの顔ぶれを見ると、ロックの基本編成にチェロやプログラミングも加わる構成で、バンドの音づくりの幅広さがうかがえる。
プログレッシブ・ロックの文脈では、演奏の組み立てや曲展開の作り込みが重視されることが多いが、Paatosもその系譜にあるバンドとして語られることが多い。北欧のプログレ/オルタナ寄りの流れの中で聴かれることもある存在で、同時代のシーンでは繊細な女性ヴォーカルを軸にしたバンドとして名前が挙がりやすい。
『Breathing』の位置づけ
2011年発表の『Breathing』は、Paatosのディスコグラフィーの中でも後期の作品にあたる。結成から10年を超えた時期のリリースで、バンドとしての経験値が反映された時期の録音と見てよさそうだ。2013年盤はオランダでのリリースで、作品そのものは2011年のものとして扱われる。
このバンドは、Reine FiskeやStefan Dimleといったメンバーの関与でも知られていて、北欧プログレ周辺のファンの間ではその人脈も含めて語られることがある。『Breathing』も、そうした流れの中で受け取られてきた作品のひとつと言える。
サウンドの印象
実際に聴くと、Paatosらしい緊張感のあるバンド演奏と、Petronella Nettermalmのヴォーカルが軸にあることがわかる。チェロが入ることで音の重心が低くなり、ギター、ベース、ドラムのロック・バンドとしての推進力に、別の質感が重なる構成。派手に押し切るというより、音数の配置や空気の残し方で曲を進めていくタイプの作品に聴こえる。
プログレッシブ・ロックといっても長大な組曲だけで構成される印象ではなく、曲ごとの流れを追いやすいところもある。北欧のメロディを前面に出すタイプのロックや、静と動の切り替えを重視するバンドと並べて語られることがありそうな内容である。
代表曲について
この作品全体はアルバム単位で聴かれる性格が強く、特定のヒット曲で知られるタイプとは少し違う。むしろ、曲間のつながりやアルバム全体の流れのほうに耳が向く作りで、Paatosの持つバンドとしてのまとまりが見えやすい。
まとめ
『Breathing』は、ストックホルム出身のPaatosが積み重ねてきたプログレッシブ・ロックの手触りを、後期の時期にまとめた作品。2011年のオリジナル盤としては、演奏の精度、Petronella Nettermalmの歌声、チェロを含む編成の個性が見えやすい一枚である。北欧プログレの流れの中でも、バンドの輪郭がはっきり出るタイトルとして受け止められてきた作品だろう。
トラックリスト
- A1 – Gone (5:52)
- A2 – Fading Out (3:36)
- A3 – Shells (5:58)
- A4 – In That Room (4:56)
- A5 – Over & Out (3:31)
- B1 – Breathing (5:56)
- B2 – Smärtan (4:30)
- B3 – Surrounded (4:48)
- B4 – Precious (4:25)
- B5 – No More Rollercoaster (4:15)
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Tudor Lodge – Tudor Lodge (1971)
Tudor Lodge『Tudor Lodge』について
英国レディングを拠点に活動したフォーク・バンド、Tudor Lodgeのアルバム『Tudor Lodge』。オリジナルは1971年の作品で、リリース国はUK。メンバーにはLinda Thompson、John Stannard、Lyndon Green、Ann Steuart、Lynne Whitelandの名前が並ぶ。
John Stannardを中心にしたバンドとして知られ、フォークを土台にしたロック寄りの響きが、この作品にも通っている。後年の再発盤として1988年に出回った盤もあり、現在では当時の英国フォーク・ロックの流れをたどるうえで触れられることの多い一枚という位置づけになっている。
作品の輪郭
ジャンル表記はRock、スタイルはFolk Rock。アコースティックな感触を軸にしながら、ロックのフォーマットの中で演奏を組み立てるタイプの作品として受け取られてきた。Tudor Lodgeというバンド名の通り、英国の古い民謡的な空気と、1970年代初頭のロックの流れが同居している印象がある。
同時代の英国フォーク・ロックの文脈では、Fairport ConventionやPentangleの流れを思わせる場面がある。とはいえ、派手なロック色を前面に出すというより、曲ごとの輪郭や歌の置き方に重心があるタイプの作品として語られることが多い。
聴きどころ
実際に聴くと、Linda Thompsonの歌声がまず印象に残る。後の活動でも知られる彼女だが、この時期の録音では、曲の芯をまっすぐ支えるような歌い方が目立つ。アンサンブルは過度に厚くならず、歌と伴奏の距離感が近い。フォーク・ロックらしい編成の中で、音数を詰め込みすぎない作りが特徴的だ。
アルバム全体としては、曲ごとの表情を追う楽しさがある一方で、1曲だけを切り出して強く押し出すより、まとまりで聴くタイプの作品に感じられる。代表曲として広く知られる一曲を前面に置くというより、アルバム単位で当時のUKフォーク・ロックの空気を残した記録として見られている。
アーティストにとっての位置づけ
Tudor Lodgeは、John Stannardを中心に長く活動を続けてきたバンドで、このアルバムはその初期の姿を伝える重要な記録といえる。バンドのプロフィールをたどると、Reading, Englandを拠点に活動を続けてきたことがわかり、地域に根ざしたフォーク・バンドとしての輪郭も見えてくる。
1971年という時期を考えると、英国ではフォークの伝統がロックの形式に吸収されていく流れが強かった。Tudor Lodgeのこの作品も、その流れの中に置くと理解しやすい。フォーク・ロックの文脈に沿いながら、バンドの持ち味をそのまま残したアルバムとして受け止められている。
まとめ
『Tudor Lodge』は、英国フォーク・ロックの初期70年代らしい質感を持つアルバム。Linda Thompsonの参加を含む編成、John Stannardを軸にしたバンドの形、そして歌を中心に据えた作りが、作品の輪郭をはっきりさせている。再発盤として流通した1988年盤でも、この1971年作の空気はそのまま伝わってくる。
トラックリスト
- A1 – It All Comes Back To Me
- A2 – Would You Believe?
- A3 – Recollection
- A4 – Two Steps Back
- A5 – Help Me Find Myself
- A6 – Nobody’s Listening
- B1 – Willow Tree
- B2 – Forest
- B3 – I See A Man
- B4 – The Lady’s Changing Home
- B5 – Madeline
- B6 – Kew Gardens
関連動画
- Tudor Lodge ► Willow Tree [HQ Audio] 1971
- Tudor Lodge 1971 *It All Comes Back To Me*
- Tudor Lodge 1971 *Would You Believe*
- Tudor Lodge 1971 *Recollection*
- Tudor Lodge 1971 *Two Steps Back*
- Tudor Lodge 1971 *Help Me Find Myself*
- Tudor Lodge 1971 *Nobody’s Listening*
- Tudor Lodge 1971 *Willow Tree*
- Tudor Lodge 1971 *Forest*
- Tudor Lodge 1971 *I See A Man*
Space – The Best of Space (2018)
Space『The Best of Space』
『The Best of Space』は、Spaceの代表曲をまとめた2018年作のベスト盤だ。Spaceはフランスのグループで、Didier Marouani(Ecama名義でも知られる)とRoland Romanelliを中心に結成されたユニットとして知られている。1977年のUKディスコ・ヒット「Magic Fly」で広く注目を集め、その後も「Just Blue」や「Tango In Space」、「Carry On, Turn Me On」など、電子音を前面に出したディスコ作品を残してきた。
作品の位置づけ
この『The Best of Space』は、そうした活動を振り返る内容のコンピレーションとして捉えやすい。Spaceの音楽は、ディスコのビート感にシンセサイザーのフレーズを重ねた作りが特徴で、当時のダンス・ミュージックの流れの中でも、少し機械的で、少し宇宙的な方向へ寄っている印象がある。
オリジナルの活動期を追って聴くと、「Magic Fly」のような代表曲だけでなく、「Just Blue」収録曲のようなインストゥルメンタル中心の楽曲にもグループの輪郭が見えやすい。ベスト盤としては、その流れを短い時間でたどれる構成といえる。
サウンドの印象
Spaceの音は、電子楽器のラインが前に出る一方で、ディスコらしい一定のグルーヴも保っているのがポイントだ。Madeline BellやCissy Stoneのような歌手の参加歴もあり、曲によっては声の存在感が加わる場面もある。とはいえ、全体の軸はやはりリズムとシンセの反復にある。
同時代のディスコと比べると、よりヨーロッパ産の電子音楽寄りの感触が強い。派手な歌モノのディスコというより、Kraftwerk以降の電子音楽の流れや、70年代後半のクラブ向けインストゥルメンタルの空気と接点があるタイプだ。そこにSpace独自のメロディ感が乗る、という見方がしやすい。
代表曲について
やはり外せないのは「Magic Fly」だ。Spaceの名前を決定づけた曲として知られていて、この曲のイメージがそのままグループ像につながっている。ベスト盤の中でも中心になる存在で、Spaceを初めて聴くときの入口としても機能しやすい。
そのほか、「Just Blue」や「Tango In Space」のような曲名からも分かる通り、宇宙や未来感のあるテーマが一貫している。音だけでなく、タイトルや曲の設計にもグループの方向性がはっきり出ている。
まとめ
『The Best of Space』は、Spaceのディスコ/エレクトロニック路線を代表曲中心に追える2018年のベスト盤だ。1977年の「Magic Fly」を軸に、当時のヨーロッパ・ディスコの中でこのグループがどんな立ち位置にいたのかをつかみやすい内容になっている。電子音の質感とディスコの推進力、その組み合わせがこの作品の核だ。
- アーティスト: Space
- タイトル: The Best of Space
- リリース年: 2018年
- ジャンル: Electronic
- スタイル: Disco
- 代表曲: 「Magic Fly」
トラックリスト
- A1 – Magic Fly
- A2 – Tango In Space
- A3 – Flying Nightmare
- A4 – Running In The City
- B1 – Carry On, Turn Me On
- B2 – Air Force
- B3 – Fasten Seat Belt
- C1 – Deliverance
- C2 – Save Your Love For Me
- C3 – Symphony
- D1 – Just Blue
- D2 – Deeper Zone
- D3 – Ballad For Space Lovers
- D4 – Velvet Rape
関連動画
Neuronium – Vuelo Químico (1978)
Neuronium『Vuelo Químico』
Neuroniumは、スペイン・バルセロナを拠点にした電子音楽グループで、1976年にMichel Huygen、Carlos Guirao、Albert Giménezの3人で始動したユニットだ。本作『Vuelo Químico』は、1978年にオリジナルが登場した作品で、彼らの初期活動を示す1枚として位置づけられる。
作品の位置づけ
この時期のNeuroniumは、EMI-Harvestからのアルバムを重ねていた初期段階にあたる。前作『Quasar 2C361』に続く流れの中で作られた『Vuelo Químico』は、のちにMichel Huygen中心の体制へ移っていく前の、バンドとしてのまとまりが見える時期の記録でもある。メンバー表を見ても、初期メンバーがそろった形で残る作品として読むことができる。
サウンドの輪郭
ジャンル表記はElectronicとRock、スタイルはProg RockとAmbient。実際に聴くと、シンセサイザーを軸にした構成の中に、ロック由来の展開やリズム感が入り、曲の進行そのものを聴かせるタイプの作りだ。電子音だけで閉じず、ギターやバンド的な動きが残っている点が、この時期のNeuroniumらしいところだろう。
Huygen自身がNeuroniumの音楽を「psychotronic music」「cosmic electronic music」と呼んでいたこともあり、宇宙的な広がりを持つ電子音楽として語られることが多い。とはいえ、ここでは雰囲気だけに寄らず、音のレイヤーやフレーズの積み重ねで曲を組み立てている印象がある。
同時代の文脈
1970年代後半のスペインでこうした電子音楽を鳴らしていた点は、同時代の欧州プログレやアンビエントの流れとも重なる。ドイツの電子音楽や、英国のプログレッシブ・ロックと比べながら聴くと、Neuroniumはよりシンセ主体で、しかもロックの骨格を完全には手放していない。そういう中間的な立ち位置が、アルバム全体の特徴になっている。
録音・再発の見方
盤のリリース年は1983年だが、作品そのものの初出は1978年。したがって、1983年盤はオリジナル時点の音源をあらためて手に取れる形の再登場として見るのが自然だろう。オリジナル盤との比較で細かな差異を語れる情報はここでは確認できないが、少なくとも作品の中核は1978年のNeuronium初期像にある。
ひとこと
『Vuelo Químico』は、Neuroniumがのちにたどる長い電子音楽活動の出発点のひとつとして置けるアルバムだ。バンド編成の感触と、シンセを中心にした構築、その両方が見える初期作として印象に残る。
トラックリスト
- Abismos De Terciopelo (19:55)
- B1 – Viento Solar (2:43)
- B2 – Vuelo Químico (14:45)
関連動画
Peter Baumann – Repeat Repeat (1981)
Peter Baumann『Repeat Repeat』について
Peter Baumannによる『Repeat Repeat』は、1981年に発表された電子音楽作品です。ジャンルはElectronic、スタイルはSynth-popに位置づけられていて、Tangerine Dreamでの活動でも知られるBaumannが、ソロ・アーティストとして展開していた時期の作品として捉えられます。
作品の輪郭
Peter Baumannは、1971年から1977年までTangerine Dreamに在籍し、シンセサイザー主体の音作りをバンドの中核へ押し進めた人物として知られています。その流れを踏まえると、『Repeat Repeat』にも、彼の電子音楽家としての経験がそのまま反映されていると見てよさそうです。Tangerine Dreamの流れを引き継ぐ作品群の中でも、ソロならではの整理された作りに目が向くタイトルです。
1981年という時期は、電子音楽が実験的な文脈だけでなく、ポップな構造とも結びついていったタイミングでもあります。この作品も、その時代感の中で聴かれることが多い1枚でしょう。シンセサイザーの音色を軸にしながら、曲の輪郭を比較的はっきり示すタイプの作品として受け取られやすい内容です。
Peter Baumannというアーティストの位置づけ
Baumannにとってこの時期のソロ活動は、Tangerine Dreamで培った電子音楽の手法を、自分の名前で組み立て直していく流れにあたります。バンドでの大規模な活動を経て、個人の作家としてどこまで音の設計を詰めるか、という関心が前面に出る時期でもあります。
のちに彼は自身のレーベル運営や、Baumann Instituteでの活動にもつながるように、音楽を単なる作品発表だけでなく、より広い視点で扱っていくことになります。そうした経歴を踏まえると、『Repeat Repeat』は、彼の電子音楽家としての基盤を確認しやすい作品のひとつです。
同時代とのつながり
1981年のシンセポップは、ヨーロッパの電子音楽とポップ・フォーマットが重なる時代でもあります。Baumannの作品は、そうした流れの中で、クラブ向けのダンス・ポップというよりは、シンセの質感や構成の組み方に重心があるタイプとして見られます。Tangerine Dream周辺の電子音楽、あるいは同時代のシンセ主体のソロ作品と並べて語られることが多い領域です。
まとめ
『Repeat Repeat』は、Peter BaumannがTangerine Dream後のソロ活動で示した電子音楽の一作。1981年という年らしいシンセサイザー中心の空気を持ちながら、彼の作家性を追いやすいタイトルです。作品全体を通して、電子音楽の流れの中でBaumannがどの位置にいたのかを確認しやすい1枚として受け止められます。
トラックリスト
- A1 – Repeat Repeat (3:43)
- A2 – Home Sweet Home (3:44)
- A3 – Deccadance (3:11)
- A4 – Realtimes (3:25)
- A5 – M.A.N. Series Two (3:37)
- B1 – Brain Damage (2:45)
- B2 – Kinky Dinky (3:14)
- B3 – Daytime Logic (2:51)
- B4 – Playland Pleasure (3:27)
- B5 – What Is Your Use (3:30)
関連動画
- PETER BAUMANN – What Is Your Use? (1981)
- Peter Baumann – Daytime logic (Baby won’t you mary me)
- Peter Baumann — Brain Damage
- PETER BAUMANN – Playland Pleasure (1981)
- Peter Baumann – M.A.N. Series Two
- Peter Baumann – Repeat Repeat (Remastered Video) (1981)
- Peter Baumann – Deccadance (1981)
- Peter Baumann – Repeat Repeat (full Vinyl album)
- Peter Baumann – Repeat Repeat
- Peter Baumann – Realtimes (Single von 1981)
Khan – Space Shanty (1972)
Khan『Space Shanty』について
Khanは、Steve Hillageを中心に結成されたUKのプログレッシブ・ロック・バンドで、Canterbury sceneに連なる存在として知られるグループだ。活動期間は1971年から1972年までと短く、アルバムは1枚だけ。その唯一の作品が1972年発表の『Space Shanty』になる。
この作品は、Rockを軸にPsychedelic RockとProg Rockの要素がまとまった一枚。Steve Hillageのギターを中心に、Dave Stewart、Nigel Griggs、Eric Peachey、Nick Greenwood、Val Stevensらが参加している。Khanというバンドの全体像をつかむには、まずこのアルバムを聴くのがいちばんわかりやすい位置づけだろう。
作品の位置づけ
『Space Shanty』は、Steve Hillageがのちにソロで展開していく感覚の前段階としても見られる作品だ。Canterbury系らしい演奏の組み立てと、サイケデリックな広がりが同居していて、当時のUKプログレ周辺の流れの中でも、かなりKhanらしい個性が出ている一枚という印象になる。
同時代の文脈で見れば、長尺の展開や複雑なアンサンブルを重視するProg Rockの流れと、より色彩感のあるPsychedelic Rockの感覚が重なる時期の作品として捉えやすい。Canterbury sceneの関連作を追っていると、演奏の細かな受け渡しやリズムの運びに、その系譜らしさが見えてくる。
1972年作品としての流れと1976年盤
オリジナルは1972年の作品で、今回の盤は1976年リリース。作品そのものは1972年のKhanを示すものとして扱える。再発盤として流通した可能性があるため、基本的にはオリジナル作品の内容をそのまま受け継ぐ形で見るのが自然だ。
聴きどころ
このアルバムの中心は、やはりSteve Hillageのギター。フレーズの置き方や音の伸びが楽曲の推進力になっていて、バンド全体の演奏もそれに合わせて組み立てられている。大きく派手に押すというより、演奏の切り替わりや展開の変化で引っ張るタイプの作品だ。
いわゆるヒット曲が前面に出るタイプではなく、アルバム全体の流れで聴く性格が強い。曲ごとのまとまりよりも、連続する展開や演奏の手触りに耳が向く一枚、と言えそうだ。
ひとこと
Khanにとって『Space Shanty』は、短命だったバンドの足跡をそのまま残したような作品だ。Steve Hillageのキャリアを起点に、Canterbury sceneとUKプログレのつながりを見ていくうえでも、外せない存在として語られることが多い。
トラックリスト
- A1 – Space Shanty (Incl. The Cobalt Sequence And March Of The Sine Squadrons)
- A2 – Stranded (Incl. Effervescent Psycho Novelty No. 5)
- A3 – Mixed Up Man Of The Mountains
- B1 – Driving To Amsterdam
- B2 – Stargazers
- B3 – Hollow Stone (Including Escape Of The Space Pilots)
関連動画
- Space Shanty (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Stranded (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Mixed up Man of the Mountains (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Driving to Amsterdam (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Stargazers (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Hollow Stone (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)
- Break the Chains (feat. Steve Hillage & Dave Stewart) (Bonus Track)
- Mixed up Man of the Mountains (feat. Steve Hillage & Dave Stewart) (First Version – Bonus Track)
Kings Of Convenience – Peace Or Love (2021)
Kings Of Convenience『Peace Or Love』について
Kings Of Convenienceは、ノルウェー・ベルゲン出身のデュオ。Erlend ØyeとEirik Glambek Bøeの2人によるユニットで、どちらも歌い、どちらも作曲を手がける。細かなギターの絡みと、落ち着いた歌声で知られるグループだ。
『Peace Or Love』は2021年にリリースされた作品で、Kings Of Convenienceにとってこの時期の活動をそのまま反映したアルバムとして聴ける1枚。リリース国はヨーロッパ盤。ジャンル表記はPop、Folk、World, & Country、スタイルはFolk、Indie Popとなっている。
作品の印象
この作品では、Kings Of Convenienceらしい、音数を抑えたアレンジと、2人の歌声の呼吸が前に出る構成が中心になる。ギターのフレーズは細かく、演奏の隙間がそのまま曲の輪郭になっているタイプ。派手な展開で押す作品というより、声と弦の動きで曲を組み立てる作りだ。
聴き進めると、メロディの見せ方がかなり丁寧なことがわかる。短いフレーズの反復や、声の重なり方で曲を進める場面が多く、Kings Of Convenienceの既知の持ち味がそのまま出ている印象。いわゆるインディー・フォークやインディー・ポップの文脈に置くと、余白のある編曲と柔らかい歌唱が軸になる作品として見やすい。
アーティストにとっての位置づけ
Kings Of Convenienceは、デビュー以降、派手さよりも曲の細部を積み上げるスタイルで知られてきたユニット。この『Peace Or Love』も、その延長線上にあるアルバムとして捉えやすい。ベルゲン出身という背景も含め、北欧のインディー・フォークらしい静かな手触りを感じさせる。
同時代のインディー・フォーク、インディー・ポップの流れの中では、Broken Social Sceneのような大編成の動きとは対照的で、Sufjan StevensやThe Acornの一部作品に見られるような、音の配置を細かく整える方向と比べやすい。とはいえ、Kings Of Convenienceはあくまで2人の声とギターのやり取りに重心がある。
ひとこと
『Peace Or Love』は、Kings Of Convenienceの名前から連想しやすい、控えめな編曲とデュオの歌の組み合わせがそのまま表に出た作品。2021年作として、彼らの持ち味を確認できるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Rumours (4:09)
- A2 – Rocky Trail (3:30)
- A3 – Comb My Hair (3:06)
- A4 – Angel (3:15)
- A5 – Love Is A Lonely Thing (2:45)
- A6 – Fever (3:56)
- B1 – Killers (3:53)
- B2 – Ask For Help (4:07)
- B3 – Catholic Country (3:00)
- B4 – Song About It (3:04)
- B5 – Washing Machine (2:46)
関連動画
Joe Yamanaka – Reggae Vibration (1982)
Joe Yamanaka「Reggae Vibration」について
「Reggae Vibration」は、Joe Yamanakaが1982年に発表した作品。日本のボーカリストとして知られる彼が、レゲエを軸にしたサウンドへ向けて手を伸ばした一枚で、オリジナルのリリースは1982年。日本で制作され、日本で出た作品としてまとまっている。
作品の輪郭
ジャンル表記はReggae、スタイルはRoots ReggaeとReggae-Pop。ルーツ寄りの骨格を持ちながら、ポップスとしての聴きやすさも意識した内容として捉えやすい。Joe Yamanakaの歌声を中心に置いた構成が想像しやすく、レゲエのリズムを土台にしながら、歌ものとしての存在感を前に出した作品群という印象になる。
Joe Yamanakaという存在
Joe Yamanakaは1946年9月2日に横浜で生まれ、2011年8月7日に横須賀で亡くなった日本のボーカリスト。国内ロックやポップスの文脈でも語られる人物だが、この作品ではレゲエというスタイルに焦点が当たっている。1980年代初頭という時期に、日本のアーティストがレゲエを作品として打ち出していた点も、この一枚の見どころになっている。
同時代の文脈
1982年の日本では、レゲエがまだ主流ジャンルとして広く定着していたとは言いにくい時期。そんな中で、Roots ReggaeとReggae-Popの要素を持つ作品が出ているのは、当時の日本の音楽シーンの中でも少し目を引く動き。海外のレゲエ・シーンをそのままなぞるというより、日本語圏の歌い手が自分の持ち味を乗せていく流れとして見ると、位置づけがつかみやすい。
聴きどころ
実際の音像は、Joe Yamanakaの声質とレゲエのリズムの組み合わせに集約されるタイプの作品として受け取りやすい。派手な装飾よりも、歌とビートの関係が前に出るつくりが想像される。レゲエ・ポップ寄りの手触りが入ることで、ルーツ色の強さだけに寄らない、まとまりのある聴感につながっている可能性が高い。
関連情報
- アーティスト: Joe Yamanaka
- タイトル: Reggae Vibration
- オリジナルリリース年: 1982年
- リリース国: Japan
- ジャンル: Reggae
- スタイル: Roots Reggae, Reggae-Pop
Joe Yamanakaの公式サイトは http://www.joe-yamanaka.com/ 。
1982年という年に、日本のボーカリストがレゲエを自分の作品として形にした記録。そんなふうに見ると、この「Reggae Vibration」は、当時の日本の音楽の広がりを示す一枚として位置づけやすい。
トラックリスト
- A1 – Rastafari Part I (2:31)
- A2 – Reggae Vibration (3:28)
- A3 – I’m A Stranger (4:23)
- A4 – As The Time Passes By (4:53)
- A5 – A New Day Is Rising Now (4:03)
- B1 – Caribbean Love Song (3:45)
- B2 – Shining Star (3:43)
- B3 – On Your Own (3:53)
- B4 – Travel On Again (3:31)
- B5 – Never Too Late (3:50)
- B6 – Rastafari Part II (0:31)
関連動画
- joe yamanaka & the wailers i’m a stranger
- Joe Yamanaka A new day is rising now
- Joe Yamanaka & The Wailers – Reggae Vibration
- Amazing Reggae Vibrations : By Joe Yamanaka and The Wailers
- Joe Yamanaka – I’m A Stranger (Disco Reggae Vibration 1982)
- Joe Yamanaka – “Reggae Vibration”
- Joe Yamanaka and The Wailers – Reggae Vibrations
- Joe Yamanaka & The Wailers – On YourOwn
Memory Control One – Counter (2008)
Memory Control One「Counter」について
Memory Control Oneは、イタリアのElectro/Discoプロジェクトで、Francesco BoscoloとBeppe Lodaによるユニットだ。2008年にリリースされた「Counter」は、その活動の中でも2008年時点の空気をそのまま閉じ込めた作品として捉えやすい。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronic、スタイルはTrance、Electro、Italo-Disco。こうした並びからも、シンセサイザーを軸にしたダンス寄りの電子音楽として整理しやすい1枚だ。イタリアという土地と、Italo-Discoの文脈が自然につながるところも、このユニットの特徴として見えてくる。
Francesco BoscoloとBeppe Lodaという2人の名前が並ぶあたり、単なる匿名的なエレクトロ・プロジェクトというより、制作の手触りや選曲感覚がはっきり出るタイプの作品として受け取りやすい。Beppe Lodaはイタリアのディスコ/ダンス文脈で知られる人物でもあり、その背景を踏まえると、「Counter」にはディスコの延長線上にある電子音楽の感覚が通っているように見える。
2008年という時点での位置づけ
2008年は、Italo-Discoの再評価や、エレクトロ・サウンドの更新がいくつも重なっていた時期だ。「Counter」も、その流れの中で置くと理解しやすい。80年代のディスコ感を参照しつつ、より硬質な電子音や反復を前に出した作りが想像しやすい作品だ。
同時代の文脈で言えば、レトロなディスコの要素をそのまま復刻するというより、ElectroやTranceの要素を通して現在形に組み直すタイプのプロジェクトとして見ると、輪郭がつかみやすい。派手な歌ものというより、ビートやシンセの動きに耳が向く作品として受け取られることが多そうだ。
聴きどころのイメージ
実際に聴くと、リズムの押し出し方やシンセの反復に耳が残りやすいタイプの作品として感じられるかもしれない。メロディを強く前に出すというより、トラック全体の推進力で聴かせる印象だ。Italo-Disco由来の明確なコード感と、Electroの機械的な輪郭、そのあいだを行き来する作りが見どころになりそうだ。
代表曲や大きなヒット曲として広く知られた1曲を挙げるのは難しいが、アルバム全体の流れの中で、反復と展開のバランスをどう作るかがこの作品の核になっているように見える。
まとめ
「Counter」は、イタリア発のElectro/DiscoプロジェクトであるMemory Control Oneの2008年作として、Trance、Electro、Italo-Discoの要素を横断する1枚だ。Francesco BoscoloとBeppe Lodaという制作陣の背景も含めて、イタリアのダンス・エレクトロの流れをたどるうえで押さえやすい作品と言えそうだ。
トラックリスト
- A – Counter (6:06)
- B – Counter (B. Loda Elettro Monster Version) (6:15)
関連動画
Various – Baubles Vol.One – Down To Middle Earth (1988)
Various『Baubles Vol.One – Down To Middle Earth』について
『Baubles Vol.One – Down To Middle Earth』は、UKのVarious名義で1988年にリリースされたレコードだ。ロックを軸に、ガレージ・ロック、ポップ・ロック、サイケデリック・ロックの要素が並ぶ1枚で、80年代後半の空気の中で、60年代的な感触を引き寄せるような作品として受け取れる。
作品の印象
Various名義の作品なので、特定のバンドの個性を前面に出すというより、収録曲ごとの色合いを楽しむタイプの構成になっている。タイトルからもまとまった企画盤らしさがあり、ロックの中でも、ざらついたギター感、メロディの分かりやすさ、少し浮遊感のある響きが行き来する内容が想像しやすい。
1988年という時期を考えると、同時代のUKロックの流れの中で、よりシンプルなバンド感や、60年代回帰の感覚を持つ作品群と近い位置に置いて語られることがありそうだ。ガレージ・ロックの直線的な勢い、ポップ・ロックの整理された曲作り、サイケデリック・ロックの音の広がりが、ひとつの盤の中で並ぶあたりが見どころになりそうである。
聴きどころ
- ギターの粗さと、曲の輪郭の見えやすさの両立
- ポップ寄りのメロディと、ロックらしい押しの強さ
- サイケデリックな質感が、曲間の空気にどう出るか
ヒット曲や広く知られた代表曲については、この情報からは特定しづらい。各曲の顔ぶれを追いながら、収録順で雰囲気がどう変わるかを見る楽しみ方が合いそうな作品だ。
当時の文脈
80年代後半のUKでは、ロックの中でも過去のスタイルを参照する動きがいくつか見られた時期で、この盤もそうした流れの中で捉えやすい。ガレージ・ロックの荒さ、ポップ・ロックの明快さ、サイケデリック・ロックの色づけが同居する構成は、単独のバンドの自己表現というより、ロックの複数の系譜を一枚に置いたような印象につながる。
1988年オリジナルのUK盤として、80年代のリリースらしいまとまりを持ちながら、内容面ではより古いロックの感覚に触れるタイプの作品として見てよさそうだ。
まとめ
『Baubles Vol.One – Down To Middle Earth』は、Various名義の1988年UKロック作品として、ガレージ・ロック、ポップ・ロック、サイケデリック・ロックの要素が並ぶ1枚である。作品全体の輪郭は、曲ごとの性格や並び方に目を向けるとつかみやすいタイプだ。
トラックリスト
- A1 – Things (Goin’ Round In My Mind) (2:31)
- A2 – Any Way The Wind Blows (2:59)
- A3 – The French Girl (2:55)
- A4 – The Man Who Paints Pictures (6:48)
- A5 – Tendency To Be Free (2:36)
- A6 – Full Cycle (6:00)
- A7 – You Must Be A Witch (2:43)
- B1 – Six Feet Down (2:33)
- B2 – Down To Middle Earth (2:49)
- B3 – A Visit With Ashiya (3:32)
- B4 – More Than It Seems (3:19)
- B5 – Pale Dream (2:31)
- B6 – Forgotten Man (2:20)
- B7 – Nightmare Of Percussion (2:48)
関連動画
- Girl (I`m Waiting For You) – Merrell Fankhauser & H.M.S. Bounty
- Anyway The Wind Blows (Version A)
- The Sonics – Anyway The Wind Blows
- The Daily Flash – “The French Girl”
- Man Who Paints The Pictures
- ILL WIND – ‘Full Cycle’ (1968)
- Rabbit Mackay – Tendency To Be Free
- The Lollipop Shoppe-You must be a Witch
- THE DRUIDS OF STONEHENGE- Six Feet Down (1968)
Terry Hall – Laugh (1997)
Terry Hall『Laugh』について
Terry Hallのソロ作『Laugh』は、1997年に発表された作品。スキンヘッド・レゲエや2トーンの文脈で知られるThe Specialsのフロントマンとして名を上げた彼が、ソロでは別の角度から自分の歌を聴かせる流れにある1枚だ。2019年盤として出回っているこのレコードは、オリジナルの1997年作をあらためて手に取れる形にしたものとして見てよさそうだ。
作品の位置づけ
Terry Hallは、The Specials、Fun Boy Three、The Colourfield、Vegasといった活動を経て、1990年代にソロ名義のアルバムを発表している。その中で『Laugh』は、彼のソロ期を代表するタイトルのひとつ。バンドでの役割が強かった時代と比べると、より個人の視点が前に出る作品として位置づけられる。
音の印象
ジャンル表記はRock、スタイルはPop Rock、Alternative Rock。実際のサウンドも、その枠の中で整理しやすい内容になっている。派手に押し出すタイプというより、メロディと歌の輪郭をきちんと見せる作りで、Terry Hallの歌い方の癖や言葉の置き方がよく伝わる。
彼の声は、軽く流すというより、少し間を置いて言葉を置く感じがある。そのため、曲の中ではユーモアと皮肉、そして静かな温度差が同居して聞こえる場面がある。The SpecialsやFun Boy Threeでの経験が下地にありつつ、90年代のオルタナティヴ寄りの空気にも接続している印象だ。
1990年代英ロックとのつながり
『Laugh』が出た1997年は、UKロックやポップの中で、ソロ・シンガーがバンド的な質感を持ち込む作品も多かった時期。Terry Hallの場合は、ダンスホールやスカのイメージだけに収まらず、歌ものとしての強さを前に出している点が特徴的だ。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体の流れで聴かせるタイプの作品。
再発盤としての見どころ
2019年盤として流通しているこのレコードは、1997年のオリジナル盤をあらためて楽しめる形。盤としての新しさよりも、当時の音像や曲順をそのまま追える点に意味がある。Terry Hallのソロ期をまとめて辿るうえでも、ひとつの節目になるタイトルだ。
まとめ
『Laugh』は、Terry Hallの歌と曲作りが、The Specials以降の文脈の中でどうソロ作品へつながっていくかを見せる1枚。ポップ・ロック、オルタナティヴ・ロックの枠に置きながらも、彼ならではの言葉の運びと、少し距離を取った歌声が印象に残る作品だ。
トラックリスト
- A1 – Love To See You
- A2 – Sonny And His Sister
- A3 – Ballad Of A Landlord
- A4 – Take It Forever
- A5 – Misty Water
- B1 – Room Full Of Nothing
- B2 – Happy Go Lucky
- B3 – For The Girl
- B4 – Summer Follows Spring
- B5 – I Saw The Light
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Pulsar – Halloween (1977)
Pulsar / Halloween
フランス・リヨン出身のプログレッシブ・ロック・バンド、Pulsarによる1977年作品が「Halloween」だ。ピンク・フロイドやキング・クリムゾン、さらにマーラーのようなクラシック作曲家からの影響を公言するバンドらしく、ロックを軸にしながらも、音の組み立てや曲の進み方に独特の重さと緊張感がある作品として知られている。
バンドの立ち位置
Pulsarは1974年にファースト・アルバムを発表し、フランスのプログレ・シーンの中でも早い段階から活動していたグループだ。イングランドのレーベルと契約した最初のフランスのバンドとしても記録されていて、国内シーンにとどまらない動きがあったことがうかがえる。「Halloween」は、そうした流れの中で発表された中期の作品にあたる。
音の印象
この時期のPulsarは、オルガンやシンセサイザー、メロトロン、フルート、ギター、ベース、ドラムスを中心にした編成。演奏の密度が高く、各楽器が前に出たり引いたりしながら、長めの展開を組み立てていくタイプのプログレになっている。フランス産プログレに見られる室内楽的な感触と、英国プログレ由来の重心の低さ、その両方を持つバンドとして語られることが多い。
実際に聴くと、派手なフックで押すというより、曲の流れそのものをじっくり追わせる作りが目立つ。ギターとキーボードの絡み、フルートの差し込み、リズム隊の粘りが、曲ごとの空気を細かく変えていく印象だ。
1977年という時代
1977年という年は、プログレッシブ・ロックにとっては大きな転換期でもある。その中で「Halloween」は、流行の変化にそのまま寄せるのではなく、Pulsarらしい長尺志向と構築的な演奏を保っている作品として位置づけられる。前作までの流れを引き継ぎつつ、1970年代後半の空気の中で自分たちの語法を続けたアルバム、と見られそうだ。
1987年盤について
手元にあるのは1987年盤で、作品そのものは1977年のオリジナル・リリースに属する。フランス盤として出ているこの再発は、オリジナル盤から10年後の再登場ということになる。盤としては当時の再発仕様で手に取られた一枚で、Pulsarの1970年代作品を後追いで聴く入口のひとつになっている。
まとめ
「Halloween」は、フランスのプログレ・バンドPulsarの中期を代表する一枚として捉えやすい作品だ。ピンク・フロイドやキング・クリムゾンの系譜を感じさせつつ、フランス的な感触もある、70年代プログレらしい密度の高いアルバム。バンドの歩みの中では、1974年のデビュー後に積み上げた表現が、1977年時点でどこまで深まっていたかを示す作品とも言えそうだ。
トラックリスト
- Halloween Part I (20:30)
- A1 – Halloween Song (1:20)
- A2 – Tired Answers (9:30)
- A3 – Colours Of Childhood (6:00)
- A4 – Sorrow In My Dreams (3:40)
- Halloween Part II (18:40)
- B1 – Lone Fantasy (4:50)
- B2 – Dawn Over Darkness (6:10)
- B3 – Misty Garden Of Passion (2:15)
- B4 – Fear Of Frost (3:35)
- B5 – Time (1:50)
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The Beach Boys – Shut Down Volume 2 (1964)
The Beach Boys『Shut Down Volume 2』について
The Beach Boysの『Shut Down Volume 2』は、1964年に発表された5作目のスタジオ・アルバムだ。アメリカ西海岸のサーフ・カルチャーと結びついた初期の代表作のひとつで、Brian Wilsonを中心にした緻密なコーラスと、車や海辺を題材にした楽曲が並ぶ一枚になっている。
この時期のThe Beach Boysは、サーフ・ロックのイメージを強く打ち出しながら、ポップ・グループとしての完成度も高めていた。The Beatlesや同時代のブリティッシュ・インヴェイジョン勢と並べて語られることも多いが、こちらはあくまでアメリカン・ポップの文脈で存在感を示した作品群のひとつだ。
作品の位置づけ
『Shut Down Volume 2』は、初期The Beach Boysの流れをつかむうえで重要なアルバムだ。デビュー後の勢いをそのまま持ち込みつつ、グループ独自のハーモニーやアレンジが少しずつ洗練されていく段階が見える。後年の実験的な作品に比べると、ここでは曲ごとの役割がはっきりしていて、当時のバンドの輪郭がつかみやすい。
代表曲と内容
収録曲の中では、「Fun, Fun, Fun」や「Don’t Worry Baby」といった曲がよく知られている。「Fun, Fun, Fun」はThe Beach Boysらしい車と若さのイメージを前面に出した曲で、イントロから推進力がある。「Don’t Worry Baby」は、同じアルバムの中でも少し温度の違う楽曲で、コーラスの重なりが印象に残る。どちらもグループの初期を代表する定番曲として扱われている。
全体としては、ロックンロールの勢い、サーフ・ミュージックの要素、そしてボーカル・ハーモニーが中心。演奏面ではシンプルに聞こえる部分もあるが、声の配置やフレーズのまとまりで曲を引っ張る作りになっている。
日本盤としてのリリース
ここで扱うのは1977年に日本で出た盤だ。オリジナルの1964年盤から時間を置いた再登場で、当時の日本のリイシュー盤として受け取られたものになる。オリジナル盤と比べると、時代を経た後の再発売という位置づけがはっきりしている。
録音年代の空気感は当然1960年代前半のままだが、1970年代の日本盤として手に取ると、The Beach Boysの初期像を改めて確認するような感覚がある。アルバム単位で追うと、のちの『Pet Sounds』以降の流れに至る前段階としても見えてくる一枚だ。
まとめ
『Shut Down Volume 2』は、The Beach Boysの初期を象徴するサーフ/カー・ソング集として機能しつつ、バンドのハーモニーの強さをよく示すアルバムだ。ヒット曲を含みながら、1964年当時のアメリカン・ポップの輪郭をそのまま残した内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Fun, Fun, Fun
- A2 – Don’t Worry Baby
- A3 – In The Parkin’ Lot
- A4 – “Cassius” Love Vs. “Sonny” Wilson
- A5 – The Warmth Of The Sun
- A6 – This Car Of Mine
- B1 – Why Do Fools Fall In Love
- B2 – Pom Pom Play Girl
- B3 – Keep An Eye On Summer
- B4 – Shut Down, Part II
- B5 – Louie, Louie
- B6 – Denny’s Drums
関連動画
Pink Floyd – Wish You Were Here = 炎 (あなたがここにいてほしい) (1975)
Pink Floyd『Wish You Were Here = 炎 (あなたがここにいてほしい)』1975年盤
Pink Floydの『Wish You Were Here』は、1975年に発表された9作目のスタジオ・アルバムです。イングランドのロック・バンドとして知られる彼らが、実験性の高いサウンドと、曲の構成を丁寧に積み上げる作風をさらに進めた時期の作品で、日本盤は同じ1975年リリースです。邦題は『炎(あなたがここにいてほしい)』となっている。
作品の位置づけ
この時期のPink Floydは、『The Dark Side of the Moon』の成功を経て、バンドとしての存在感が一段と大きくなっていた頃です。『Wish You Were Here』は、その流れの中で作られたアルバムで、前作までの到達点を受けながら、より内省的な内容へ進んでいる印象がある。
演奏面では、David Gilmour、Roger Waters、Richard Wright、Nick Masonの4人を軸にした作品で、各パートの役割がはっきりしているのも特徴です。ギター、ベース、キーボード、ドラムがそれぞれ無理なく噛み合い、音の隙間を活かした作りになっている。
収録曲と代表曲
アルバムの中心にあるのは、表題曲「Wish You Were Here」です。後年までPink Floydを代表する楽曲のひとつとして扱われることが多く、静かな導入からアコースティック・ギターの流れへつながる構成が印象に残る。
もうひとつの大きな曲が「Shine On You Crazy Diamond」。アルバム冒頭と終盤に分かれて配置されていて、全体をひとつの組曲のように聴かせる作りになっている。シンセサイザーやギターの音色が長く伸びる場面が多く、Pink Floydらしい構成感がよく出ている。
また、「Welcome to the Machine」では機械的な質感のある音作りが前面に出ていて、アルバム全体の中でも性格の異なる一曲として機能している。「Have a Cigar」はシングルとしても知られ、この作品の中では比較的わかりやすい輪郭を持つ曲のひとつ。
サウンドの特徴
このアルバムでは、派手な速弾きや大きな展開よりも、音の配置と間の取り方が目立つ。アコースティック・ギター、エレクトリック・ピアノ、シンセサイザー、効果音が重なり、ロック・バンドの演奏でありながら、かなり設計された音像になっている。
1970年代半ばのプログレッシブ・ロックの文脈でも重要な一枚として扱われることが多く、同時代の大編成志向の作品とは違って、感情の温度を保ちながら細部を積むタイプのアルバムとして聴こえる。
日本盤について
この日本盤は1975年リリースのオリジナル期の盤で、作品の初出時の空気をそのまま持っている。邦題「炎(あなたがここにいてほしい)」が付いているため、英語タイトルとは少し印象が変わるが、内容はオリジナル・アルバムに沿ったもの。
ひとこと
『Wish You Were Here』は、Pink Floydの中でも曲ごとの役割がはっきりしていて、アルバム全体の流れで聴く意味が大きい作品だと思う。表題曲の存在感はもちろん、組曲的な「Shine On You Crazy Diamond」が盤面の軸になっている点も、この作品を語るうえで外せないところ。
- アーティスト: Pink Floyd
- タイトル: Wish You Were Here = 炎(あなたがここにいてほしい)
- オリジナルリリース: 1975年
- 日本盤リリース: 1975年
- ジャンル: Rock
- 代表曲: 「Wish You Were Here」「Shine On You Crazy Diamond」「Have a Cigar」
トラックリスト
- A1 Shine On You Crazy Diamond (Part 1 To 5) (13:30)
- A2 Welcome To The Machine (7:24)
- B1 Have A Cigar (5:08)
- B2 Wish You Were Here (5:32)
- B3 Shine On You Crazy Diamond (Part 6 To 9) (12:27)
Ozric Tentacles – Erpland (1990)
Ozric Tentacles『Erpland』について
Ozric Tentaclesは、1983年にイングランド・サマセットで結成された、プログレッシブ/スペース/サイケデリック・ロックのバンドだ。電子音とロックを行き来する編成で知られ、40年にわたって30作以上のアルバムを発表している。中心人物はギタリストのEd Wynneで、長い活動のなかでも彼が唯一のオリジナル・メンバーとして在籍を続けている。
『Erpland』は1990年の作品。今回の盤は2024年リリースのものとして扱われる。Ozric Tentaclesの中でも、電子音のレイヤーとバンド演奏の推進力が前面に出た時期を示すアルバムとして位置づけられる作品だ。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronicとRock、スタイルはAmbient、Space Rock、Psychedelic Rock。曲の流れを追っていくと、リズム隊の反復の上にシンセやフルート、ギターが重なり、場面ごとに密度を変えながら進んでいく構成が印象に残る。Ozric Tentaclesらしい、演奏主体のインストゥルメンタル志向がはっきりした内容だ。
実際に聴いていくと、曲ごとの区切りよりも全体の連続感が強く、アルバム単位で聴く性格がかなり濃い。Space Rockの文脈で語られることが多いのも納得しやすい作りで、同時代のサイケデリック/プログレッシブ系インスト作品と並べて聴かれることがあるのも自然なところだ。
バンドの中での位置づけ
Ozric Tentaclesは編成の変化が多いバンドだが、そのなかでもEd Wynneのギター、キーボード、プログラミングを軸にした作りは一貫している。『Erpland』も、その核がよく見える一枚だと言えそうだ。1990年という時期を考えると、アナログ的なバンド感と電子的な処理が同居する、グループの持ち味がまとまっている作品として捉えやすい。
聴きどころとして名前が挙がりやすい曲
本作を語るうえでは、タイトル曲「Erpland」がまず中心に置かれることが多い。アルバムの輪郭を端的に示す曲として扱われやすく、バンドの代表的な一面をまとめて感じられる存在だ。
また、アルバム全体を通じて、フルートやシンセが前に出る場面と、ギターがリズムを押し出す場面の切り替わりが見どころになる。特定のヒット曲で引っ張るというより、曲間の流れと音の配置で聴かせるタイプの作品だ。
2024年盤について
2024年盤として流通しているこのエディションは、オリジナルの1990年作を現在の形で聴ける盤として見てよさそうだ。Ozric Tentaclesの作品群を追ううえでは、初期からのサウンドの流れを確認できる一枚でもある。
派手な説明を必要としない、演奏と音の層で成立しているアルバム。Ozric Tentaclesのディスコグラフィーのなかでも、スペース・ロックとサイケデリック・ロックの要素がまとまった代表的な一作として見られている。
トラックリスト
- A1 Eternal Wheel (8:20)
- A2 Toltec Spring (3:03)
- A3 Tidal Convergence (7:14)
- B1 Sunscape (4:02)
- B2 Mysticum Arabicola (9:15)
- B3 Cracker Blocks (5:40)
- C1 The Throbbe (6:22)
- C2 Erpland (5:32)
- C3 Valley Of A Thousand Thoughts (6:32)
- D1 Snakepit (3:18)
- D2 Iscence (4:38)
- D3 A Gift Of Wings (9:47)
関連動画
- Ozric Tentacles – Erpland [Full Album]
- Eternal Wheel (2020 Ed Wynne Remaster)
- Toltec Spring (2020 Ed Wynne Remaster)
- Tidal Convergence (2020 Ed Wynne Remaster)
- Sunscape (2020 Ed Wynne Remaster)
- Mysticum Arabicola (2020 Ed Wynne Remaster)
- Crackerblocks (2020 Ed Wynne Remaster)
- The Throbbe (2020 Ed Wynne Remaster)
- Valley Of A Thousand Thoughts (2020 Ed Wynne Remaster)
- Snakepit (2020 Ed Wynne Remaster)
Severed Heads – Since The Accident (1983)
Severed Heads「Since The Accident」について
「Since The Accident」は、オーストラリア出身の電子音楽グループ、Severed Headsが1983年に発表した作品。UK盤も同じ1983年リリースで、初期のバンドが持っていた実験性と、その後につながるダンス寄りの感覚が同居した時期の記録として位置づけられる一枚である。
Severed Headsは1979年にシドニーで始動したグループで、もともとはMr And Mrs No Smokin’ Signとして活動していた。初期はテープループやノイズ、シンセサイザーの不協和音を軸にした、いわゆるインダストリアル寄りの作風で知られる。その後、4/4の規則的なリズムや分かりやすいメロディ、コード進行を取り入れていき、前衛性とEBM、シンセポップが交わるような方向へ進んでいった。
作品の輪郭
「Since The Accident」は、その流れの中でも、リズムの輪郭がはっきり見えやすい時期の作品として聴こえる。打ち込みの感触、反復するフレーズ、音の切り貼り感が前面に出ていて、初期インダストリアルの硬さと、後年のダンス・ミュージック的な推進力のあいだを行き来する内容になっている。
ジャンル表記としてはElectronic、スタイルとしてはLeftfield、Experimental、Synth-pop、Industrial。こうした並びからも、単純なシンセポップ作品というより、実験音楽の手つきが残った電子音楽として捉えられていることが分かる。同期の電子音楽と比べると、整ったポップ性だけでなく、音の配置や質感にひっかかりが残るタイプの作品である。
アーティストの中での位置づけ
Severed Headsにとっては、初期のアヴァンギャルド寄りの作風から、より広いリスナーに届く可能性を持ったサウンドへ移っていく途中の重要な段階にある作品といえる。のちに「Dead Eyes Opened」で1984年にチャート入りし、Nettwerk RecordsやVolition Recordsとの関係を通じて活動の幅を広げていくが、その前段階である1983年時点のバンドの姿がこの作品にはよく表れている。
中心人物Tom Ellardを軸に、Garry Bradbury、Richard Fielding、Stephen Jones、Robert Racicらが関わったバンドの文脈を踏まえると、「Since The Accident」はSevered Headsらしい変化の途中を示すタイトルとして見やすい。完全に実験音楽へ振り切るのでもなく、かといって素直なポップへ寄るわけでもない、その中間の張りつめた感じが印象に残る。
同時代の文脈
1983年という年は、シンセポップやインダストリアル、初期EBMが互いに影響を与え合っていた時期でもある。Severed Headsは、その中でオーストラリア発のグループとして、欧米のシーンと接続しながら独自の音作りを進めていた。Cabaret VoltaireやThrobbing Gristleの流れを思わせる要素と、当時のシンセポップの明快さが同居するあたりが、この時期の彼らの特徴として受け取られている。
ひとこと
「Since The Accident」は、Severed Headsの初期と中期をつなぐような位置にある作品。テープ、シンセ、反復、リズムの組み立てがそのままバンドの個性になっていて、1983年の電子音楽の空気感をそのまま切り取ったような一枚である。
トラックリスト
- A1 A Relic Of The Empire
- A2 A Million Angels
- A3 Houses Still Standing
- A4 Gashing The Old Mae West
- A5 Dead Eyes Opened
- A6 Golden Boy
- B1 Godsong
- B2 Epilepsy 82
- B3 Exploring The Secrets Of Treating Deaf Mutes
- B4 Brassiere, In Rome
- B5 Wasps