Ozric Tentacles – The Hidden Step (2000)
Ozric Tentacles『The Hidden Step』について
Ozric Tentaclesの『The Hidden Step』は、2000年に発表された作品で、English progressive/space/psychedelic rock bandとして知られる彼らのディスコグラフィーの中でも、2000年代初頭の流れを示す1枚。バンドは1983年にイングランド・サマセットで結成され、Ed Wynneを中心に長く活動を続けてきた。メンバーの入れ替わりが多い一方で、Ed Wynneが一貫して核を担っている点は、この作品を聴くうえでも押さえておきたいところ。
2023年盤として出ているこのレコードは、オリジナルの2000年版からかなり後年の再発盤にあたる。盤面のリリース国はEurope、Made in Germanyの表記あり。オリジナル盤と比べた細かな仕様差については、ここでは確認できる範囲の情報に限れば、基本的には作品そのものは2000年作として扱うのが自然だ。
作品の位置づけ
Ozric Tentaclesは、電子音響的な要素とロックの演奏感を結びつけたサウンドで知られるバンドで、長いキャリアの中で30作以上のアルバムを残している。『The Hidden Step』もその流れの中にある作品で、スペース・ロック、アンビエント、サイケデリックな感触が前面に出る1枚。派手な歌もの中心というより、音の流れや展開を追うタイプのアルバムとして受け取られてきた作品だ。
同時代の文脈でいえば、プログレッシブ・ロック、ジャム感のあるサイケデリック・ロック、シンセやシーケンスを使ったインストゥルメンタル作品の延長線上に置かれることが多い。比較される名前としては、同じく宇宙感や長尺の展開で語られるバンドや、70年代プログレの流れを現代的に引き継ぐグループが挙がりやすい。とはいえ、Ozric Tentaclesはその中でも、より電子的な質感とリズムの反復を前に出す点が特徴的だ。
聴きどころ
この作品は、曲ごとの起伏を細かく追うというより、アルバム全体の流れで聴くと輪郭がつかみやすい。ギター、キーボード、ベース、パーカッションが重なりながら、空間を広げるように進んでいく構成が中心。フルートが入ることで、ロック寄りの演奏に有機的な抜け感が加わる場面もある。
実際に聴くと、音の密度は高いのに、各パートが単純にぶつかり合うだけではなく、細かいフレーズの受け渡しで流れを作っているのがわかる。Ed Wynneのギターとシンセまわりの処理が、楽曲の推進力を支える場面が多い印象。静かなパートからテンポを上げる場面まで、演奏の切り替えが明快で、インストゥルメンタル・ロックとしてのまとまりがある。
収録曲と代表曲について
『The Hidden Step』は、特定のヒット曲を軸にした作品というより、アルバム単位での聴取が前提になりやすいタイプの作品だ。Ozric Tentaclesの代表曲として広く語られる曲がある場合でも、この作品そのものは「この曲だけが有名」というより、アルバム全体のサウンドで覚えられている印象が強い。
そのため、初めて触れる場合も、1曲だけ切り出すより、全体を通して聴くことでバンドの持ち味が見えやすい。スペース・ロックらしい反復、アンビエント寄りの広がり、ギター主体の推進感が、まとまって入ってくる構成だ。
バンドの中での意味
Ozric Tentaclesは、長い活動の中で編成を変えながらも、Ed Wynneを中心に作品を積み重ねてきた。『The Hidden Step』は、その継続性の中で制作された2000年作として、バンドの持つ電子的・実験的な方向性と、ロックバンドとしての演奏力の両方が見えるタイトル。のちの再発盤で手に取る場合でも、当時の流れを知る入口として機能する作品だ。
まとめ
『The Hidden Step』は、Ozric Tentaclesらしい空間処理と演奏の流れが前に出た2000年作。派手な歌ものではなく、音の重なりと展開で聴かせるアルバムで、スペース・ロックやアンビエント寄りのロックが持つ構造を、バンドの手つきでまとめた1枚といえる。
2023年盤は、2000年オリジナルの再発として受け取るのが自然。Made in Germany表記のあるヨーロッパ盤として、作品の現行流通に入っているタイトルだ。
トラックリスト
- A1 – Holohedron
- A2 – The Hidden Step
- A3 – Ashlandi Bol
- A4 – Aramanu
- B1 – Pixel Dream
- B2 – Tight Spin
- B3 – Ta Khut
関連動画
Kano – New York Cake (1981)
Kano『New York Cake』(1981年)について
Kanoは、1980年代前半のイタリアン・ディスコ、いわゆるイタロ・ディスコの流れを語るうえで外せないプロジェクトだ。イタリアのプロデューサー、作曲家、ミュージシャンたちによる集団で、Glen Whiteのソウル寄りのボーカルを軸に、ダンスフロア向けの曲をいくつも残している。『New York Cake』は1981年にリリースされた作品で、Kanoの初期3作の中でも後期にあたる一枚になる。
この時期のKanoは、ディスコの延長線上にありながら、打ち込み感の強いリズムやシンセの使い方で、のちのエレクトロやブレイクダンス期へつながる感触を持っている。イタロ・ディスコの起点のひとつとして見られることが多いのも、そのあたりの動きが大きい。
作品の位置づけ
『New York Cake』は、Kanoの1981年作として位置づけられるアルバムで、同グループの初期キャリアの流れを追ううえで重要な一枚だ。1980年の「I’m Ready」や「It’s A War」でクラブヒットを出したあと、1981年の本作では、当時のダンス・ミュージックの語法をさらに整理したような印象がある。
録音はイタリア・ミラノのG.R.S. Studiosで行われている。制作の中心にはStefano Pulga、Luciano Ninzatti、Matteo Bonsanto、そしてGlen Whiteの名前が並ぶ。Mirage Recordsからのリリースで、1981年のUS盤として出ている。
サウンドの印象
実際の楽曲は、ビートの輪郭がはっきりしていて、ベースラインとシンセの反復が前に出る作りになっている。Kanoらしいのは、機械的なリズムだけで押し切らず、ボーカルにR&B寄りのニュアンスが残っているところだ。ディスコの華やかさよりも、クラブで長く回ることを意識した構成に近い。
同時代の比較でいえば、同じくイタロ・ディスコの文脈にあるプロジェクト群や、USのブギー、さらにロボット感のある初期エレクトロの間をつなぐ感触がある。派手さで押すタイプというより、リズム、シンセ、ボーカルの配置で場を作る作品という印象。
代表曲との関係
Kanoを代表する曲としては「I’m Ready」「It’s A War」がよく知られている。これらはクラブ向けの反応が強く、Kanoの名を広めた重要曲だ。本作『New York Cake』も、その流れの中にある作品として捉えられる。アルバム単位で聴くと、ヒット曲で知られる前後のサウンドの整理が見えやすい。
盤の情報
- アーティスト: Kano
- タイトル: New York Cake
- オリジナルリリース年: 1981年
- リリース国: US
- レーベル: Mirage Records
- 録音: G.R.S. Studios, Milano, Italy
- ジャンル: Electronic, Funk / Soul
- スタイル: Italo-Disco, Boogie
まとめ
『New York Cake』は、Kanoがイタロ・ディスコの初期を代表する存在として見られる理由を確認しやすい作品だ。ディスコの延長、ブギーの感覚、そしてエレクトロへ向かう手前の空気が同居している。1981年という時期のダンス音楽の変化を、イタリア制作のプロジェクトがUS市場に向けて形にした一枚として読むこともできる。
トラックリスト
- A1 – Can’t Hold Back (Your Loving) (4:45)
- A2 – She’s A Star (5:50)
- A3 – Baby Not Tonight (6:58)
- B1 – Party (5:55)
- B2 – Round And Round (4:59)
- B3 – Don’t Try To Stop Me (7:00)
関連動画
Cosmic Cathedral – Deep Water (2025)
Cosmic Cathedral『Deep Water』について
『Deep Water』は、Neal Morse、Chester Thompson、Phil Keaggy、Byron HouseによるCosmic Cathedralのデビュー作で、2025年にInsideOutMusicからリリースされた作品です。クレジット上でも分かる通り、プログレッシブ・ロックの文脈に立ちながら、演奏経験の長い4人が集まったプロジェクトとして位置づけられているアルバムです。
メンバーを見ただけでも、かなり顔ぶれの強い作品です。Neal MorseはTransatlanticなどで知られ、Chester ThompsonはGenesisやFrank Zappaとの活動で広く知られるドラマー。Phil KeaggyはGlass Harpでの活動を持ち、Byron HouseはRobert PlantやDolly Partonらのセッションでも知られるベーシストです。いずれも長いキャリアを持つプレイヤーで、その組み合わせ自体にまず注目が集まる内容です。
制作の背景
この作品は、Neal Morseが中心となって立ち上げたプロジェクトで、ジャム・セッションを土台に制作が進められたと案内されています。長年の音響パートナーであるJerry Guidrozがセッションの良い部分をまとめ、その後にMorseとバンドが楽曲や長尺曲へ発展させたという流れです。
案内文でも、収録曲の一部、特に「Time To Fly」はジャムから直接生まれたものだとされています。即興的にその場で音を出しながら進んだ制作で、歌詞の一部まで自然に出てきたという説明もあり、通常の綿密な作曲中心のアルバムとは少し違う手触りがうかがえます。
音の方向性
Neal Morse自身は、このアルバムを「prog meets yacht rock meets The Beatles」と表現しています。そこにジャズ・フュージョンの要素も加わる、という説明です。実際の案内文でも、Steely Danを思わせるグルーヴ感、Phil KeaggyとMorseの歌声が重なったときのビートルズ的な響き、さらに「New Revelation」セクションではStingのアルバムに入っていそうな流れ、という言及があります。
つまり、『Deep Water』は、プログレッシブ・ロックの大作志向を持ちながら、リズムの運びや歌ものとしての聞きやすさも意識した作品として紹介されています。演奏の密度だけで押し切るのではなく、ジャムの流れ、コーラス、曲の展開が組み合わさったアルバムという印象です。
この作品の位置づけ
Cosmic Cathedralはデビュー作であり、『Deep Water』はプロジェクトの初出作にあたります。Neal Morseにとっては、Transatlanticやソロ作で培ってきたプログレ文脈を、別の編成と制作方法で見せる場として読める内容です。
一方で、Chester Thompsonにとっても、本人のコメントどおり「参加した作品の中でも特に好きなプロジェクト」のひとつとして扱われているようです。GenesisやFrank Zappaの経歴を持つドラマーが、ここではメンバー間のコミュニケーションの良さを強調している点も、この作品の性格を示している部分です。
収録曲・代表曲について
案内文で具体的に触れられているのは「Time To Fly」と「New Revelation」セクションです。「Time To Fly」はジャム・セッションから直接生まれた曲として紹介され、「New Revelation」はジャムから発展した、別の色合いを持つパートとして説明されています。
現時点で、作品の中で特に代表曲として広く定着している曲名は見当たらず、アルバム全体の流れで聴かれるタイプの作品として受け取れます。デビュー作らしく、個別のシングルよりも、参加メンバーの相互作用と曲の展開そのものに重きが置かれている構成です。
クレジットとリリース情報
- アーティスト: Cosmic Cathedral
- タイトル: Deep Water
- リリース年: 2025年
- リリース元: InsideOutMusic
- ジャンル: Rock
- スタイル: Prog Rock
- 参加メンバー: Chester Thompson, Neal Morse, Byron House, Phil Keaggy
著作権表記では、Neal Morse、Phil Keaggy、Byron House、Chester Thompsonそれぞれの出版クレジットが記されています。2025年作品として、プロジェクトの出発点を示す1枚になっているアルバムです。
まとめ
『Deep Water』は、キャリアの長い4人が集まり、ジャムを起点に楽曲を組み立てたCosmic Cathedralのデビュー作です。プログレッシブ・ロックを軸にしながら、グルーヴ、フュージョン、ポップ寄りのメロディ感まで含んだ作品として案内されています。Neal Morse、Chester Thompson、Phil Keaggy、Byron Houseという名前が並ぶだけで成立する企画性と、実際の制作現場の流れが結びついたアルバムと言えます。
トラックリスト
- A1 – The Heart Of Life (13:37)
- B1 – Time To Fly (6:54)
- B2 – I Won’t Make It (3:55)
- B3 – Walking In Daylight (8:56)
- Deep Water Suite (38:10)
関連動画
James Last – Around The World – Spain & Mexico (1970)
James Last『Around The World – Spain & Mexico』について
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastが1970年に発表した作品で、同年にリリースされた日本盤です。大編成のオーケストラを軸にしたJames Lastらしいサウンドで、タイトル通りスペインとメキシコを中心にしたラテン色の強い内容になっている作品です。ジャンル表記はJazz、Latin、スタイルはEasy Listening。James Lastのディスコグラフィーの中では、各地域の音楽要素をオーケストラ編成でまとめるシリーズ的な流れにある一枚として捉えやすい作品です。
James Lastという音楽家
James Lastは1929年生まれのドイツのバンドリーダー、作曲家、演奏家です。ベースやピアノもこなしながら、自身のオーケストラを率いて数多くのアルバムを制作しました。世界的なセールスでも知られ、イージーリスニングの領域では特に存在感の大きいアーティストです。ポップス、ジャズ、各国の民俗音楽、ラテンの要素を取り込みながら、聴きやすい編成で再構成する手つきが持ち味だといえるでしょう。
作品の位置づけ
本作は1970年という時期らしく、James Lastが持っていた「オーケストラで世界の音楽をまとめる」という方向性がはっきり出た一枚です。同年に広がっていたラテン・ムード、オーケストラ・ポップ、イージーリスニングの流れの中で、James Lastの手腕がよく分かる内容です。ビッグバンド的な厚みを保ちながら、ダンス音楽としての輪郭も残すあたりが特徴になっています。
同時代の文脈で見ると、Percy FaithやMantovaniのようなオーケストラ・サウンド、あるいはラテン・アレンジを取り入れたイージーリスニング作品と並べて語られることがありそうです。ただしJames Lastは、その中でもより軽快で、リズムの押し出しが前に出る作りが目立ちます。
内容の印象
スペインやメキシコを題材にした作品だけに、フラメンコ系のリズム感、マリアッチ的な華やかさ、ブラスの明るさが軸になっているはずの内容です。James Lastの作品は、原曲や伝統的なモチーフをそのまま提示するというより、オーケストラ向けに整理し直して聴かせる構成が多く、この作品でもそうした方向が中心になっていると考えられます。
実際に聴くと、メロディの分かりやすさと編成の厚みが先に立つタイプのアルバムで、旋律が前へ出てきやすい作りになりやすいのがJames Lastらしいところです。打楽器やホーンの使い方で地域色を出しつつ、全体はきっちり整えられている印象です。
ヒット曲・代表曲について
この作品単体で特定の大ヒット曲が広く知られているというより、James Lastのアルバム作品としてのまとまりが重視される一枚です。彼の代表曲や広く知られたレパートリーは別作品やベスト盤で触れられることが多く、本作はその中でもテーマ性のあるアルバムとして位置づけられます。
日本盤としての見どころ
日本での1970年盤は、当時のJames Last人気を反映した流通の一例と見ることができます。オリジナルの1970年リリースと同年の発売なので、内容面では初出時の空気をそのまま受け取れる盤です。コレクション面では、日本市場向けにどう紹介されていたかを含めて見る楽しさがあります。
まとめ
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastのオーケストラ・サウンドがラテン色の題材に向かった1970年作です。大編成の演奏、分かりやすい旋律、地域色をまとめるアレンジという、この時期のJames Lastらしい要素が詰まったタイトルです。作品全体としては、ラテンやイージーリスニングの流れを、彼らしい整理されたオーケストラ・サウンドで聴かせる一枚と言えます。
トラックリスト
- A1 – Granada
- A2 – La Malagueña Salerosa
- A3 – Valencia
- A4 – Camino Verde
- A5 – Malagueña
- B1 – Cachita
- B2 – Cu Cu Rru Cu Cu Paloma
- B3 – Mambo Nr. 5
- B4 – Guantanemera
- B5 – Mexican Hat Dance
- B6 – The Lonely Bull
Chuck & Mary Perrin – The Chuck And Mary Perrin Album (1968)
Chuck & Mary Perrin『The Chuck And Mary Perrin Album』について
Chuck & Mary Perrinは、兄妹によるフォーク・デュオ。『The Chuck And Mary Perrin Album』は1968年に録音された作品で、アメリカとヨーロッパのレーベル事情を経て2015年に再発盤が出たレコードだ。アコースティックな演奏を軸にしたフォーク・ロック作品として案内されている。
作品の成り立ち
このアルバムは、1968年12月の金曜日と土曜日に、イリノイ州サウス・パーキンのGolden Voice Sound Studiosでライヴ録音されたものとされている。オリジナルはChuck Perrin自身のレーベル、Webster’s Last Wordから出ていた盤で、2015年盤はその音源を原盤テープからリマスターした再発盤。ライナーノートにあたる情報として、未公開写真を収めたインサートと歌詞が付属し、見開きジャケットも当時の仕様を再現した形になっている。
再発盤のポイント
2015年盤は、Wah Wah Records Supersonic Sounds(EU)とLight In The Attic(USA)による流通で、ライセンス再発という位置づけ。オリジナル盤のゲートフォールド仕様を踏襲しつつ、音源面ではオリジナルテープからのリマスターが売りになっている。コレクション的には、初出時の空気感を残しながら、資料面を補った再発盤という印象だ。
音楽性と聴きどころ
ジャンル表記はRock、Folk、World, & Country、スタイルはFolk Rock、Acoustic。ChuckとMaryの兄妹デュオという編成から、声の重なりやギターの弾き方が曲の中心にある作品として受け取れる。大編成のロックというより、歌と演奏の距離が近いタイプの録音。ライヴ録音であることも含めて、スタジオ作品よりも演奏の呼吸が見えやすい盤だ。
1960年代末のアメリカのフォーク・ロック周辺には、シンガー・ソングライター的な書き方と、伝統曲やアコースティックな手触りを行き来する作品が多い。このアルバムも、その時代の流れの中で聴かれる1枚といえる。兄妹デュオという点では、男女の歌声の対比や、素朴なアンサンブルを持つフォーク・アクトと並べて語られることがありそうだ。
作品の位置づけ
Chuck & Mary Perrinにとっては、兄妹デュオとしての表現を記録したアルバム。オリジナル盤が自前のレーベルから出ていることもあり、活動の実態がそのまま反映された作品として見えやすい。2015年の再発で、その音源と当時の仕様があらためて整理されている形だ。
まとめ
『The Chuck And Mary Perrin Album』は、1968年録音の兄妹フォーク・デュオ作品を、2015年に原盤テープからリマスターして復刻したレコード。見開きジャケットの再現、未公開写真、歌詞付きのインサートなど、当時の資料性も意識した再発盤になっている。アコースティック主体のフォーク・ロックとして、ライヴ録音ならではのまとまりが感じられる一枚。
トラックリスト
- A1 – Commencement (3:27)
- A2 – Violets Of Dawn (2:56)
- A3 – Mornings (3:23)
- A4 – You Knew All Along (3:09)
- A5 – Don’t Know Why I Love You Like I Do (1:55)
- B1 – Song For Canada (4:10)
- B2 – Babe Can You See (2:30)
- B3 – Circus Of Sour (2:40)
- B4 – Younger Generation (2:45)
- B5 – To A Better Life (2:30)
関連動画
Birdsongs Of The Mesozoic – Faultline (1989)
Birdsongs Of The Mesozoic『Faultline』(1989)
Birdsongs Of The Mesozoicは、1980年に結成されたUSのバンドで、もともとはMission of BurmaのRoger MillerとMartin Swopeによるサイドプロジェクトとして始まったグループだ。Mission of Burma解散後は本格的な活動体になり、1980年代後半には編成を入れ替えながら活動を続けていく。『Faultline』は1989年にリリースされた作品で、バンドのその時点での到達点を示す一枚として位置づけられる。
作品の輪郭
この作品は、ElectronicとRockを軸にしながら、Alternative Rock、Future Jazz、Prog Rockの要素を含む。Birdsongs Of The Mesozoicらしい、ロックの編成感とアンサンブル主体の組み立てが前面に出るタイプの作品として捉えやすい。
メンバーにはMartin Swope、Ken Field、Steve Adams、Erik Lindgren、Michael Bierylo、Roger Miller、Rick Scottの名前が挙がっている。プロフィール上では、Roger Millerは1987年に脱退し、Ken Fieldが加わり、Martin SwopeもMichael Bieryloに交代しているため、『Faultline』はそうした編成変化の流れの中にある作品でもある。
バンドの文脈
出自をたどると、Birdsongs Of The MesozoicはMission of Burma周辺の流れから生まれたバンドで、パンクやオルタナティヴの系譜に接点を持ちながら、より器楽的で構成の細かい方向へ進んでいったグループとして知られている。こうした背景は、同時代のUSオルタナティヴ・ロックの中でも少し異なる位置づけにつながっている。
同時代の文脈で見ると、単純なバンド・サウンドというより、室内楽的な組み立てや変拍子、音色の切り替えを重視するタイプのロックに近い。比較対象として名前が挙がりやすいのは、実験性の強いロック・バンドや、ジャズ寄りの発想を持つインストゥルメンタル・グループあたりだろう。
聴きどころの見方
実際に聴くと、演奏の重心は歌よりもアンサンブルにある印象になりやすい。リズムの細かな動き、キーボードや管楽器的な音の置き方、曲ごとの構成の組み替えが耳に入りやすいタイプの作品だ。ロックの推進力と、ジャズや現代音楽に接するような整理されたフレーズ感が同居しているところが、このバンドらしい特徴として受け取られやすい。
代表曲や大きなヒット曲については、この作品に関して一般的に広く知られた一曲を前提に語られることはあまり多くない。アルバム全体の流れや曲間の構成を含めて聴かれることが多いタイプの一枚といえる。
まとめ
『Faultline』は、Birdsongs Of The MesozoicがMission of Burmaの延長線上から独立した表現へ進んでいく過程にある1989年作だ。USオルタナティヴの文脈にありながら、電子的な質感、ロックの編成感、ジャズやプログレッシヴ・ロックの構成意識を一枚に収めた作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – The True Wheelbase (2:59)
- A2 – They Walk Among Us (3:35)
- A3 – Coco Boudakian (5:47)
- A4 – I Don’t Need No Crystal Ball (3:20)
- A5 – Chariots Of Fire (2:46)
- B1 – Faultline (4:41)
- B2 – On The Street Where You Live (4:05)
- B3 – Maybe I Will (6:08)
- B4 – There Is No One (3:44)
- B5 – Slo-Boy (4:26)
関連動画
Severed Heads – Dead Eyes Opened (1984)
Severed Heads「Dead Eyes Opened」について
Severed Headsは、1979年にシドニーで始まったオーストラリアのグループだ。初期はテープループやノイズ寄りの電子音を使ったインダストリアル色の強い作品で知られ、その後は4/4のリズムやメロディ、ドラムマシンを取り入れて、エレクトロやシンセポップに接近していく流れがある。
「Dead Eyes Opened」は、その転換期を代表する曲として扱われることが多い。1984年にシングルとして広く知られるようになり、Severed Headsがダンス・ミュージック寄りの文脈でも語られるきっかけになった楽曲だ。
作品の位置づけ
この曲は、1983年のカセット作品「Since The Accident」に収められた“つなぎ”のような短い楽曲から発展したものだという。もともとはC-60の空きを埋めるために最後に加えた曲だったが、シドニーの非商業ラジオ局でよく流れ、12インチ・シングル化が求められた。
つまり、バンドの中では偶然性の強い入口から、代表曲の一つへ上がっていった作品という見方ができる。Severed Headsの、実験音楽からポップ寄りの構成へ移っていく流れを示す曲でもある。
曲の内容と録音
12インチ版では、Tom EllardとプロデューサーのPatrick GibsonがM SquaredスタジオでマルチトラックをEQやディレイ処理に通して仕上げたとされる。リズムはTR-808、シンセはSH-1、上昇するような音やストリングスにはKORG PolySix、ソロにはCasiotoneをオクターバー・ペダル経由で使っている。
曲の語りは、BBCラジオ番組「Scales of Justice」でEdgar Lustgartenが読んだ「Death on the Crumbles (1924)」の音源を使ったものだ。実際の1924年の二重殺人事件に触れる内容で、犯罪ルポの声と機械的なビートがぶつかる構成になっている。
実際に聴くと、テンポは一定で、打ち込みの輪郭がはっきりしている。声の引用が前に出る一方で、低音のリズムと電子音が曲を引っ張るので、ポップな耳当たりと不穏さが同じ曲の中に並ぶタイプだ。
B面の収録曲
この盤のB面には、Tom Ellardによるソロ曲「Bullet」と「Mount」が収められている。どちらも1982年にTerse Tapesで録音されたものだという。A面の「Dead Eyes Opened」に比べると、より個人的な電子音楽のスケッチとして聴ける構成だ。
1984年当時の文脈
Severed Headsは、同時代のインダストリアルやエレクトロの流れの中でも、Throbbing Gristleのような初期実験性と、後のEBMやシンセポップの整ったビート感のあいだに位置するグループとして見られやすい。NettwerkやVolitionといったレーベル周辺で活動し、北米でも流通していた点も含めて、地下的な電子音楽が少し広い層に届いていく時期の作品だ。
Severed Headsの中では、「Dead Eyes Opened」は初期の実験色と、後のダンス志向が交差する代表例といえる。のちの活動を知っていると、ここで既に“曲として機能する電子音楽”へかなり踏み込んでいるのがわかる。
2014年盤について
このレコード盤は2014年リリースのものだが、音源そのものは1984年の作品として扱われる。盤には折りたたみ式の新聞紙ポスターが付属し、片面にArt UnitのスカルTシャツを着たバンド写真、もう片面にライナーノーツとプレス記事が載っている。
再発盤としては、当時の資料性を強めた仕様という印象がある。音源の価値だけでなく、当時のバンドの見え方やメディア反応まで含めて残そうとした形だ。
まとめ
「Dead Eyes Opened」は、Severed Headsが実験音楽からエレクトロ/シンセポップの文脈へ広がっていく中で、特に知られるようになった楽曲だ。犯罪番組の音声サンプル、TR-808のリズム、古いシンセの音色がまとまっていて、1980年代前半の電子音楽の動きがそのまま刻まれているような1枚だ。
トラックリスト
- A – Dead Eyes Opened (6:35)
- B1 – Bullet (2:45)
- B2 – Mount (2:17)
関連動画
Tim Buckley – The Late Great Tim Buckley – An Anthology (1978)
Tim Buckley『The Late Great Tim Buckley – An Anthology』について
Tim Buckleyは、1960年代後半から70年代前半にかけて活動したアメリカのシンガーソングライターだ。フォークを出発点にしながら、のちには実験的なアレンジや即興性を取り入れた作品へ進み、短い活動期間の中で独自の位置を築いた人物として知られる。1978年にオーストラリアで出た本作『The Late Great Tim Buckley – An Anthology』は、その歩みをまとめた編集盤で、本人の死後に出た初のLPでもある。収録はオーストラリアとニュージーランドに限られていた。
作品の成り立ち
このアンソロジーには、Tim Buckley、Goodbye and Hello、Happy Sad、Greetings from L.A.、Sefronia の5枚のスタジオ・アルバムからの音源が収められている。初期のフォーク寄りの曲から、後年のよりソウル/R&B色のある曲までを横断する内容で、ひとつの時代だけを切り取るというより、キャリア全体の流れを見せる構成になっている。
Tim Buckleyの作品をまとめて聴くと、まず声の存在感が際立つ。高音域の伸びやフレーズの運びが印象に残りやすく、歌そのものが曲の中心にあるタイプだ。本作でも、その個性が異なる時期の録音を通して確認できる。フォーク・ロックの輪郭がはっきりした曲もあれば、演奏の隙間やリズムの揺れが前に出る曲もあり、同じアーティストの編集盤でも単調になりにくい。
Tim Buckleyという位置づけ
Tim Buckleyは、商業的な大ヒットで知られるタイプではないが、作品ごとの振れ幅が大きい。初期はフォーク・シンガーとして出発しながら、Happy Sad、Lorca、Starsailor では実験性や即興性を強めていった。その流れの中で、後年のアルバムではより分かりやすいポップ/R&B志向にも向かっている。本作は、その変化を短く追えるまとめ方になっている。
同時代のフォークやシンガーソングライターの文脈で見ると、Bob DylanやJoni Mitchellのように言葉と曲作りが重視される流れとは共通点がある一方、Tim Buckleyは声と音域の使い方でかなり独自の印象を残す。実験寄りの時期は、ジャズや前衛的なロックの周辺とも接点がある。編集盤としては、その幅を見せる役割が強い。
収録内容から見えるもの
本作はベスト盤というより、複数のアルバムから選んだアンソロジーとしての性格がはっきりしている。代表曲だけを並べる編集ではなく、時期ごとの変化を意識した構成に見える。Tim Buckleyの主要なアルバムを持っていない場合でも、どの時期にどんな方向へ進んだかをつかみやすい内容だ。
収録元に Greetings from L.A. や Sefronia が入っている点も、この編集盤の性格を示している。初期のフォーク色だけでなく、キャリア後半の商業的な方向へ寄せた時期まで含めているので、Tim Buckleyを「実験的な人」とだけ捉えないための入口にもなっている。
リリース時の意味
1975年に28歳で亡くなったTim Buckleyにとって、1978年のこのLPは死後に出た初のアルバムとして位置づけられる。しかも発売地域がオーストラリアとニュージーランドに限られていたため、当時の本国市場での定番編集盤というより、地域限定のアーカイブ的な意味合いが強い。オリジナルのスタジオ作品を補う形で、彼の足跡を後から整理した一枚といえる。
まとめ
『The Late Great Tim Buckley – An Anthology』は、Tim Buckleyの短いキャリアを5枚のスタジオ・アルバムからたどる編集盤だ。フォーク、フォーク・ロック、実験的な要素、後年のより商業的な方向までを一枚に収め、声と曲作りの独自性を確認しやすい内容になっている。Tim Buckleyの全体像をつかむうえで、時期の違いが見えやすいコンピレーションだ。
トラックリスト
- A1 – Aren’t You The Girl
- A2 – Understand Your Man
- A3 – I Never Asked To Be Your Mountain
- A4 – Once I Was
- A5 – Morning Glory
- A6 – Move With Me
- B1 – Strange Feelin’
- B2 – Sweet Surrender
- B3 – Make It Right
- B4 – Dolphins
Felt – Felt (1971)
Felt『Felt』について
Feltは、アメリカ・アラバマ州ハンツビルで結成されたプログレッシブ・ブルース/ジャズ/サイケ・ロック系のバンドで、1971年に唯一のアルバムを残したグループとして知られている。この『Felt』はそのオリジナル作の再発盤で、2000年にイタリアでリリースされた一枚だ。
バンドはMyke Jacksonを中心に1970年に始動し、Myke Jackson、Tommy Gilstrap、Mike Neel、Allan Dalrymple、Stan Leeの編成で作品を残した。プロフィールとしては、ブルースやジャズの要素を土台にしながら、当時のサイケデリック・ロックの流れとも接続するタイプのバンドと見られている。
作品の位置づけ
『Felt』は、Feltにとって1971年の唯一のアルバムという位置づけになる。後年になって再評価が進んだタイプの作品で、2012年には2作目が完成したとされているが、この盤に収められているのはあくまで1971年のオリジナル・アルバムの再発盤だ。
再発盤のクレジットには、Nasco盤の再発であること、レーベル面にComet Recordsのウェブサイトとメールアドレスが記載されていること、さらにジャケットやラベルの表記に「Recorderd at Woodland Sound Studios」という綴りの誤りがあることが記されている。盤としては2000年イタリア盤ならではの情報が入った仕様になっている。
音の特徴
この作品は、ジャンル表記としてはRock、Blues、Folk、World, & Country、スタイルとしてPsychedelic Rockに分類されている。バンドの出自を踏まえると、ブルース寄りのリフやジャズ的な展開、サイケデリックな響きが混ざる構成が中心になっているタイプと受け取れる。
実際の音像としては、ハードに押し切るロックというより、楽曲の流れや演奏の間合いに重心が置かれる作品として語られることが多い。アメリカ南部のバンドらしいルーツ感と、70年代初頭の実験性が同居する一枚という見方がしやすい。
同時代の文脈
1971年前後の南部アメリカでは、ブルースやカントリーの土台に、ロックの拡張表現を重ねるバンドが各地で登場していた。Feltもその流れの中で捉えやすく、同時代のサイケデリック寄りのバンドや、ジャズ感覚を持つロック・アンサンブルと並べて語られることがある。
ただし、派手なヒット曲で知られるタイプではなく、アルバム単位で聴かれる作品として扱われることが多い。代表曲の存在よりも、バンド全体の演奏と曲の流れに特徴がある一枚だ。
再発盤としての見どころ
2000年のイタリア盤は、1971年のNasco盤をもとにした再発で、オリジナル盤を手に入れにくい状況では重要な存在になっている。レーベル情報や表記の違い、バーコードの有無など、再発盤らしい仕様の差も確認できる。
オリジナルの時代感をそのまま残した作品を、後年の再発で聴ける形にした盤として見ると、この『Felt』はバンドの活動初期を知るうえでまとまりのある資料性を持つアルバムだ。
トラックリスト
- A1 – Look At The Sun (3:18)
- A2 – Now She´s Gone (5:29)
- A3 – Weepin´Mama Blues (4:40)
- A4 – World (5:36)
- B1 – The Change (10:00)
- B2 – Destination (6:43)
関連動画
Machiavel – New Lines (1980)
Machiavel『New Lines』について
『New Lines』は、ベルギーのプログレッシブ・ロック・バンド、Machiavelが1980年に発表した作品。バンドは1970年代前半に結成され、初期はジェネシス系のクラシカルなロックとブリティッシュ・プログレの要素を土台にしながら、その後はより自分たちの輪郭をはっきりさせていったグループとして知られている。
この時期のMachiavelは、プログレ寄りの構成感を残しつつ、曲の運びをより整理した方向へ進んでいた段階。1980年という年を考えると、70年代的な長尺の組曲感よりも、ポップ・ロック寄りの分かりやすさを備えたプログレ、という位置づけで捉えやすい作品だと思う。
バンドの流れの中での位置
Machiavelは、1976年のデビュー作でクラシック・ロックとブリティッシュ・プログレの要素を示し、その後の『Jester』『Mechanical Moonbeams』で独自色を強めていったとされる。そこから1980年の『New Lines』へつながる流れを見ると、バンドが単に「プログレの延長」をやっていたのではなく、歌ものとしてのまとまりや楽曲単位の強さを意識していった段階にある。
この少し後の時期には、シングル「Fly」が大きなヒットになったことでも知られている。『New Lines』は、その直前にあたる時期の作品として、後のより広い層への接近を予感させる立ち位置にあると言えそうだ。
サウンドの印象
この作品のスタイルは、クレジット上ではPop RockとProg Rock。実際、Machiavelの持ち味であるプログレ的な展開やバンド演奏の密度を保ちながら、曲の入口は比較的すっと入ってくるタイプの作りになっている。派手に技巧を並べるというより、曲の中でリズムやメロディをどう運ぶかに重心がある印象。
当時のヨーロッパ圏のロックの文脈で見ると、英国プログレの影響を引きずりつつも、70年代末から80年代初頭にかけての新しい空気に合わせて、よりコンパクトな楽曲へ寄っていく動きがある。Machiavelもその流れの中にあり、同時代のプログレ・バンドの中では、過度に重厚へ振り切らず、歌とバンドの一体感を前に出すタイプとして聴ける。
代表曲や注目点
『New Lines』単体での大きなヒット曲については、今回の情報からは特定しづらい。ただ、Machiavel全体の代表曲としては「Fly」がよく挙がる。1980年のヒットで、当時のThe Policeを思わせる感触を取り入れた曲として知られている。『New Lines』は、その少し前の作品なので、バンドがこの路線へ向かう前後の空気を感じるうえで重要な一枚になっている。
ラインナップ
クレジットにはRoland De Greef、Mario Guccio、Thierry Plas、Christophe Pons、Albert Letecheur、Marc Ysaye、Hervé Borbé、Jean Jacques Roskam、Jean Paul Devaux、Kevin Coolsの名が並ぶ。Machiavelは時期ごとにメンバー変遷があるバンドだが、Mario Guccioの存在は特に大きく、後年のバンド・イメージを形づくる核のひとつとして語られている。
まとめ
『New Lines』は、Machiavelがプログレ・バンドとしての出自を保ちながら、より歌ものへ接近していく過程にある1980年作。ベルギー産のアートロック/プログレ・バンドという来歴を踏まえると、70年代の大仰な様式美だけではない、80年代へつながる整理されたバンド・サウンドの入口として見えてくる作品だ。
同じMachiavelの中でも、初期のプログレ色と、後年の広い層に届く路線のあいだをつなぐ位置づけの一枚。バンドの変化を追ううえで、ひとつの節目として捉えやすいレコードだと思う。
トラックリスト
- A1 – Vocando = Fly (3:31)
- A2 – Sobre El Mundo = Lying World (2:53)
- A3 – Relajar = Relax (3:08)
- A4 – Champaña En Amsterdam = Champagne In Amsterdam (4:05)
- A5 – Recuerdos = Memories (3:56)
- B1 – Apagalo = Turn Off (3:45)
- B2 – Una Vida = A Life (3:35)
- B3 – Playboy (3:35)
- B4 – Muy Claro = So Clear (3:25)
- B5 – Desvaneciendose = Fade Away (4:38)
関連動画
A Flock Of Seagulls – A Flock Of Seagulls (1982)
A Flock Of Seagulls『A Flock Of Seagulls』について
A Flock Of Seagullsのデビュー・アルバム『A Flock Of Seagulls』は、1982年に発表された1枚で、ニューウェーブとシンセポップの流れの中でもよく知られた作品だ。バンドはイギリス・リバプールでマイク・スコアと弟のアリ・スコアを中心に始まり、80年代前半の空気を強くまとったサウンドで存在感を示した。
このアルバムはバンドにとって最初の長編作品であり、後の代表曲をまとめて確認できる初期の基盤でもある。US盤では「Tokyo」が外れている構成で、収録内容に地域差がある点もこの時代のレコードらしいところだ。
作品の位置づけ
本作は、A Flock Of Seagullsの名前を広く知らしめた出発点として扱われることが多い。アルバムからは複数のシングルが切られており、発売順としては「Telecommunication」「Modern Love Is Automatic」「I Ran」「Space Age Love Song」が並ぶ。
特に「I Ran」は、このバンドを語るうえで外しにくい代表曲だ。シンセの輪郭がはっきりしたイントロと、ギターの細いフレーズが前面に出る作りで、ニューウェーブの中でも識別しやすい楽曲になっている。「Space Age Love Song」も含め、アルバム全体の印象を決める中心曲として機能している。
サウンドの印象
この時期のA Flock Of Seagullsは、シンセサイザーを土台にしながら、ポール・レイノルズのギターが音の輪郭を作る形が特徴的だ。ベースとドラムは直線的に進み、ボーカルはマイク・スコアの高めで乾いた響きが前に出る。音数は多くないが、各パートの配置がはっきりしていて、80年代初頭のスタジオ録音らしい整理された質感がある。
同時代のニューウェーブやシンセポップの文脈で見ると、デュラン・デュランやトンプソン・ツインズのようなポップ性の強い流れと並べて語られることがある一方で、A Flock Of Seagullsはギターの処理や空間の使い方に独特の癖がある。派手さよりも、音の配置と反復で覚えさせるタイプの作りだ。
収録曲とシングル
オリジナル盤は1982年4月9日発売。UKアルバムチャートには4月17日に入っており、最高32位を記録している。シングルは以下の4曲。
- 「Telecommunication」
- 「Modern Love Is Automatic」
- 「I Ran」
- 「Space Age Love Song」
とくに「Modern Love Is Automatic」は、12インチ・シングル版で別構成の収録があったことでも知られる。こうした形で当時のクラブ向けフォーマットや拡張ミックスの文化と接続していた点も、この時代の作品らしい。
US盤としての特徴
今回のUS盤は、Aristaからの流通で、Hauppauge Record Manufacturing Ltd.によるプレスが示されている。表記上は1982年の盤で、オリジナル発売年と同じ時期のリリースにあたる。US/Canada盤では「Tokyo」が省かれているため、曲順と収録内容に違いがある。
クレジット面では、全曲がZomba Enterprises, Inc.(BMI)出版、℗表記は曲ごとに1981年と1982年が混在している。制作の積み重なりがそのまま残っている形だ。
アーティストとしての意味合い
A Flock Of Seagullsは、1979年にリバプールで始まったグループで、1980年代前半に活動の核がある。オリジナル編成はマイク・スコア、ポール・レイノルズ、アリ・スコア、フランク・モーズリー。のちに再結成や別編成での活動もあるが、このデビュー作はやはりオリジナル期の輪郭を最もはっきり伝える。
2018年にはオリジナル・ラインナップでオーケストラ作品『Ascension』を制作し、2021年にも『String Theory』を制作しているが、そうした後年の動きと比べると、本作はバンドの原型が最もストレートに出ている時期の記録といえる。
まとめ
『A Flock Of Seagulls』は、1982年のニューウェーブ/シンセポップの空気をそのまま掴めるデビュー・アルバムだ。代表曲「I Ran」を中心に、シンセとギターの役割分担が明確で、曲ごとの輪郭もはっきりしている。US盤では「Tokyo」が省かれているため、聴き比べると構成差も確認できる1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – I Ran (3:58)
- A2 – Space Age Love Song (3:46)
- A3 – You Can Run (4:28)
- A4 – Don’t Ask Me (2:46)
- A5 – Messages (2:51)
- B1 – Telecommunication (2:31)
- B2 – Modern Love Is Automatic (3:49)
- B3 – Standing In The Doorway (4:41)
- B4 – D.N.A. (2:30)
- B5 – Man Made (5:38)
関連動画
Andromeda – Seven Lonely Street (1990)
Andromeda「Seven Lonely Street」について
Andromedaは、1967年末から1970年初頭にかけて活動したロンドンの英国産ヘヴィ・サイケデリック・ロック・グループである。John Du Cannのギター、Mick Hawksworthのベースとボーカルを軸に、初期にはJohn Rhymer、のちにIan McLaneがドラムを担当した。「Seven Lonely Street」は、そのバンドの1969年9月発表のアルバムで、のちに再発された1990年盤も同じ内容を収めている。
作品の位置づけ
Andromedaにとってこのアルバムは、短い活動期間の中で残された唯一のフル・アルバムとして知られている。John Peelの関心をきっかけにラジオ・セッションやライブの機会を得て、マナー・オブ・マーキーでの出演など、当時のロンドンのサイケデリック・シーンの中で存在感を示したバンドだった。アルバム制作時には演奏とプロダクションの自由度が高かったとされ、バンドの音像をそのまま記録した作品という位置づけにある。
ただし、発売後の評価やライブでの手応えとは裏腹にセールスにはつながらず、バンドは1970年3月に解散している。したがって、この1枚はAndromedaの活動をまとめて確認できる中心作といえる。
内容と音の特徴
収録曲は、ヘヴィ・ブルース寄りの土台に、サイケデリックな展開やプログレッシブな構成を重ねたものが並ぶ。ギターの前に出る感じ、ベースとドラムの押し出し、曲ごとにテンポや空気を変える進行が目立つ。Rock、Blues、Acid Rock、Psychedelic Rock、Prog Rockという整理がされるのも納得できる内容で、同時代の英国サイケやヘヴィ・ロックの文脈で語られやすいアルバムである。
John Du Cannの後のキャリアを知っていると、この作品での演奏にもつながりが見える。Andromedaは、のちのハード寄りの英国ロックへ接続する前段階としても興味深い存在だろう。比較対象としては、同時代の英国サイケデリック・バンドや、よりヘヴィな方向へ進む初期のプログレ系ロック・グループが挙がりやすい。
収録曲について
代表曲という意味では、アルバム全体が一体になっているタイプで、単独で広く知られた大ヒット曲が前面に出る作品ではない。とはいえ、曲ごとの変化ははっきりしていて、長めの展開やリフ主体の部分、ブルース色の強い場面など、当時の英国ロックの手触りがそのまま入っている。
再発盤のポイント
1990年のUK盤は、オリジナルの1969年作を元にした再発盤である。初回分では、裏ジャケットの曲目表記に誤りがあり、2面目の曲順が別バンドFuzzy DuckのLPの曲名で記されていたというエピソードが残っている。加えて、この再発盤にはBarry Wintonによる短いヒストリー小冊子が付属し、番号入りのものもある。
また、スリーブはラミネートなしの自然な質感のカード仕様とされていて、再発盤としては資料性の高い作りになっている。
まとめ
「Seven Lonely Street」は、Andromedaという短命ながら重要な英国ヘヴィ・サイケ・バンドの姿を、当時の空気ごと切り取ったアルバムである。ラジオDJのJohn Peelに認められ、ロンドンのライブ・シーンで動きながら、最終的には1枚のアルバムに集約された作品。1969年の英国ロックの一断面として、そしてJohn Du Cann周辺のキャリアをたどるうえでも、確認しておきたいタイトルである。
トラックリスト
- A1 – Let’s All Watch The Sky Fall Down (4:03)
- A2 – Keep Out ‘Cos I’m Dying (5:41)
- A3 – Darkness Of Her Room (5:09)
- A4 – Go Your Way (2:58)
- B1 – Searchin’ For You (3:07)
- B2 – Seven Lonely Street (4:00)
- B3 – Sleep (3:25)
- B4 – See Into The Stars (7:13)
関連動画
Mouse – Lady Killer (1973)
Mouse『Lady Killer』について
Mouseは、1970年代前半の短い活動期間に残した英国のプログレッシブ・ロック・バンドで、ギタリストのRay Russellを中心にしたグループだ。『Lady Killer』は1973年に発表された作品で、Ray Russellにとっては、1972年のRunning Man、1975年のChopynへとつながる一連の“一回限り”のロック・プロジェクトの中では2作目にあたる。
編成は、Ray Russell、Alan “Al” Clare、Jeff Watts、Alan Rushtonの4人。ジャズ畑でも知られるRay Russellが、ギターを軸にロック寄りの表現へ振った時期の記録として見ると、位置づけがつかみやすい作品だ。
作品の性格
クレジット上はロック、スタイルはプログレッシブ・ロック。Mouseという名義のまとまった作品としては、70年代初頭の英国プログレ周辺の空気を背景にした1枚として扱える。バンド名単位での活動期間は長くないが、Ray Russellのキャリアの流れの中では、ジャズ・ギタリストがロック・バンドでどこまで行けるかを示す記録でもある。
同時代の文脈で見ると、演奏の前面にギターを置きつつ、曲展開や構成の変化を重視するタイプの英国プログレの系譜に入る。Ray Russellの名前からは、ジャズ・ロック寄りの感触を連想しやすいが、この作品はそうした経歴を踏まえたうえでのロック・バンド作品として受け取るのが自然だ。
盤のリリースについて
手元の盤はドイツ盤で、白ラベルに黒文字のシングル・スリーブ仕様。1980年代半ばごろのブートレグ再発盤として流通したものとされる。オリジナルのカラー・カバーを白黒で再現した体裁で、見た目の情報量は絞られているが、作品自体を手に取りやすくした再発形態のひとつといえる。
聴きどころとして見える点
実際の音像を細かく書くには盤そのものの確認が必要だが、Ray Russellの参加作としては、ギターの扱いが軸になるはずの作品だ。Alan Clareのヴォーカルとキーボード、Jeff Wattsのベース、Alan Rushtonのドラムという編成からも、歌と演奏の両方で組み立てるロック・アルバムの形が見える。派手なヒット曲で知られるタイプの盤ではなく、バンドの短い歴史とRay Russellの動き方をたどるうえでの一枚という印象が強い。
まとめ
『Lady Killer』は、Ray Russellを中心にしたMouseの1973年作として、英国プログレの流れとジャズ・ギタリストの感覚が交差する作品だ。バンドの活動期間は短いが、そのぶん時代の空気とメンバーの個性がそのまま残った記録として見やすい。オリジナルの71年初頭のロック・シーンを背景にしつつ、80年代半ばの再発盤ではその断片的な存在感が改めて流通した、そんな位置づけの一枚である。
トラックリスト
- A1 – Going Out Tonight
- A2 – You Don’t Know
- A3 – Electric Lady
- A4 – All The Fallen Teen-Angels
- A5 – Ashen Besher
- B1 – We Can Make It
- B2 – East Of The Sun
- B3 – It’s Happening To Me And You
- B4 – Sunday
- B5 – Just Came Back
関連動画
Alice Island Band – Splendid Isolation (1974)
Alice Island Band『Splendid Isolation』について
Alice Island Bandの『Splendid Isolation』は、1974年に作品としてまとまった、スペイン発のレコードです。盤としては2019年にリリースされたもので、オリジナル作品をあらためて楽しめる形になっています。収録内容は、フォークやバラードの要素を軸にした、歌もの中心の作品と見てよさそうです。
作品の成り立ち
このアルバムは1968年の夏に構想され、1973年のクリスマスに録音されたとされています。制作の時間差がはっきりしていて、完成までにかなり長い期間を経た作品です。2019年盤には4ページの歌詞インサートが付属し、限定500枚でのリリースでした。
クレジット上で確認できるメンバーはTim Phillipsです。アーティストの詳細プロフィールや関連情報は多く出ていませんが、作品単位で見ると、かなり個人的な視点と手触りを持ったレコードに見えます。
音の方向性
ジャンル表記はPop、Folk、World、& Country、スタイルはFolk、Ballad。実際のところ、派手なアレンジを前面に出すタイプというより、歌と曲の流れを中心に聴かせる作りが想像しやすいです。タイトルの『Splendid Isolation』という言葉にも、外側へ広く開くというより、内側に向かって丁寧に組み上げた印象があります。
フォーク寄りのバラード作品は、同時代のシンガーソングライターや英国圏のフォーク作品と並べて語られることが多いですが、この作品もその流れの中で、語り口の強さや曲の輪郭を味わうタイプのアルバムとして受け取れそうです。
2019年盤について
2019年盤は再発としての位置づけで、オリジナルの1974年盤に対して、歌詞インサート付きで入手しやすい形になっているのが特徴です。限定500枚という点も含めて、コレクション性のあるリリースでした。オリジナル盤との細かな音質差や編集差については、確認できる範囲では明記されていません。
聴きどころの見方
- 1968年に構想、1973年に録音という制作の時間差
- 歌詞インサート付きの2019年再発盤
- フォーク、バラード寄りの曲作り
- 限定500枚のプレス
曲名や代表曲の情報は確認できませんでしたが、アルバム単位でじっくり聴くことで、制作時期の長さや歌詞の存在感が見えてくるタイプの作品といえそうです。
トラックリスト
- A1 – Goodbye Cindy
- A2 – Smoke
- A3 – She Is An Island
- A4 – Stranger In A Crowd
- A5 – Anna Clare
- A6 – The Man That I Am
- A7 – Everything That Meets My Eyes
- B1 – Sleepiness
- B2 – The Lover
- B3 – Hostages
- B4 – Devil’s Island
- B5 – Nickel Island
- B6 – As I Get Older
- B7 – Package Tour Mona Lisa
関連動画
Marillion – Misplaced Childhood (1985)
Marillion『Misplaced Childhood』について
Marillionの『Misplaced Childhood』は、1985年に発表された3作目のスタジオ・アルバムだ。英国のプログレッシブ・ロック・バンドとして存在感を強めていた時期の作品で、いわゆる「Fish期」の代表作としてよく挙げられる。バンド名を知る人には、この作品でMarillionの輪郭がはっきりした、と感じる人も多いはずだ。
2017年盤として出回っているこのレコードは、オリジナルの1985年作を後年に再プレス、あるいは再発したものにあたる。作品そのものは1985年のものとして受け取るのが自然だ。
作品の位置づけ
Marillionは1979年にイングランドのアリスベリーで結成され、80年代前半から活動を続けてきた。特に初期は、アート・ロックやシアトリカルな要素を含む80年代プログレの代表格として語られることが多い。『Misplaced Childhood』は、その中でも商業面・評価面の両方で大きな到達点になったアルバムだ。
この時期のMarillionは、同時代のプログレ再興組として語られることが多く、GenesisやCamel、IQ、Pallas、Pendragonといった名前と並べて語られることもある。とはいえ、単なる「復古」ではなく、Fishの語り口を前面に出したドラマ性の強い楽曲構成が、バンド独自の色になっている。
アルバムの内容と聴きどころ
『Misplaced Childhood』は全10曲で構成され、通して聴くと一つの物語のように流れていく作りだ。特にA面冒頭の「Pseudo Silk Kimono」から「Kayleigh」へのつながりは、このアルバムの入り口としてよく知られている。
なかでも「Kayleigh」は、Marillionを代表する曲としてまず名前が挙がることが多い。シングルとしても広く知られ、バンドの認知を押し上げた一曲だ。続く「Lavender」も同時期の代表曲として語られることが多く、このアルバムが“曲単位でも覚えられている”作品であることを示している。
演奏面では、Steve Rotheryのギターが旋律を明確に引っぱり、Mark Kellyのキーボードが和声と装飾を支え、Pete TrewavasとIan Mosleyのリズムが場面転換を作る。Fishの歌は、メロディをなぞるだけでなく、台詞のように曲の場面を動かしていくタイプで、このアルバムではその特徴がかなりはっきり出ている。
曲の流れとアルバム構成
この作品は、単独のヒット曲だけでなく、曲間のつながりや組曲的な構成で聴かれることが多い。前後の曲が切れ目なく印象をつないでいくため、1曲ごとの輪郭とアルバム全体の流れが両方残るタイプの作りだ。
- 「Kayleigh」: 代表曲として最も知られる曲
- 「Lavender」: 80年代Marillionを象徴する人気曲のひとつ
- 「Heart of Lothian」: バンドの演奏力と展開の多さが出る曲
- 「Blind Curve」: 長尺で組曲的な性格が強い構成
2017年盤について
2017年盤は、オリジナルの1985年盤からかなり時間を置いて出た再発盤と考えられる。こうした再発では、オリジナル盤の入手性を補う形で流通することが多く、ジャケットや収録内容は基本的に作品本体をそのまま伝えるものだ。
再発盤を手にする場合、まず大事なのは音源のクレジットやカッティング情報を確認することだが、この作品については、まずアルバム本編そのものの価値が中心になる。1985年当時のプログレ・アルバムとしての存在感が、そのまま残るタイトルだ。
まとめ
『Misplaced Childhood』は、MarillionのFish期を代表する一枚であり、1980年代プログレの中でもよく話題に上る作品だ。代表曲「Kayleigh」を軸にしつつ、アルバム全体でひとつの流れを作る構成が印象に残る。バンドの演奏、Fishの語り口、メロディの運び方がまとまっていて、Marillionというバンドの特徴がかなり分かりやすく表れたアルバムといえる。
Twink – Think Pink (1970)
Twink『Think Pink』について
Twinkは、英国のドラマー/ソングライター/シンガー、John Charles Edward Alderの名で知られる人物である。The Fairies、The Pretty Things、Tomorrow、Pink Fairiesといった60〜70年代英国アンダーグラウンドの重要バンドを渡り歩いた人で、その活動の流れの中で1970年に発表されたのが『Think Pink』だ。タイトルの段階からして、いかにも当時のロンドン・アンダーグラウンドらしい手触りがある作品で、British psychedeliaの文脈で語られることが多い。
この盤は2020年の50周年リマスター盤で、オリジナルの1970年作を現在の形で聴ける再発盤にあたる。レコードとしてはカナダ盤で、収録内容はオリジナル・アルバムを軸にしながら、リマスターで音の輪郭を整えた形と見てよさそうだ。
作品の位置づけ
『Think Pink』は、Twinkのキャリアの中でも大きな節目にあたる1枚である。ドラマーとしての活動が先行していた人物が、自身の名義で色を出したアルバムとしても重要で、単なる伴奏者ではなく、当時のサイケデリック・ロックの空気を自分の作品としてまとめた印象が強い。
背景には、Ladbroke Grove周辺のアンダーグラウンド・シーン、そしてHawkwind周辺の人脈がある。制作面では友人のMick Farrenが関わり、Paul RudolphやSteve Peregrin Tookらが参加している。特にSteve Peregrin Tookは、T. Rexの初期を知る人にはおなじみの名前で、こうした人脈だけでも当時の英国ロックの交差点にある作品だと分かる。
サウンドの印象
実際に聴くと、派手なロック・バンドの完成形というより、セッション感や実験性が前に出る作りである。曲ごとに演奏の温度が変わり、直線的に盛り上がるというより、音の配置やリフの反復、声の置き方で引っ張る場面が多い。ドラマーの作品らしく、リズムの立ち上がりがはっきりしている一方で、曲の展開はきっちり整えすぎず、ラフさも残している。
プロト・パンクの荒さと、サイケデリック・ロックの浮遊感、その中間にあるような手触りもある。Pink FairiesやTomorrow、さらには同時代のHawkwind周辺を思わせる部分はあるが、Twink自身の音としてまとまっているのが面白いところだ。
同時代との関係
1970年という年は、英国ロックが60年代的なサイケデリアから次の段階へ移る時期で、重さを増すハードロックや、より長尺で実験的なプログレッシブ・ロックも強くなっていった。その中で『Think Pink』は、そうした大きな流れに飲み込まれながらも、地下シーンの感覚を保っている作品として聴ける。
比較の軸としては、The Pink Fairies、Tomorrow、初期のHawkwindあたりが浮かぶ。いずれも大きく売れた主流ロックとは別の場所で、自由度の高い演奏や反商業的な空気を持っていたバンドだ。『Think Pink』もその延長線上にあるが、Twink個人の名前が前に出るぶん、より私的な記録としての性格も感じさせる。
曲について
この作品はアルバム全体で流れを聴くタイプの内容で、特定の大ヒット曲で知られる盤ではない。とはいえ、タイトル曲「Think Pink」を中心に、アルバムの輪郭を覚えやすい構成になっている。曲名の並びや演奏の切り替わりからも、当時のサイケデリック・ロックらしい自由な組み立てが見て取れる。
2020年リマスター盤として
2020年の50周年リマスター盤は、オリジナル盤の時代性を保ちながら、音の見通しを整えた再発として位置づけられる。盤面表記やインサートの扱いなど、細部は再発盤らしい仕様になっている。オリジナルの空気をそのまま封じ込めたというより、現在の再生環境で聴きやすくした版、と見るのが自然だろう。
まとめ
『Think Pink』は、Twinkという人物が英国アンダーグラウンドの中心付近で積み上げてきた経験を、1970年時点でひとつの作品にしたアルバムである。ドラマー主導の作品でありながら、演奏の荒さ、サイケデリックな広がり、仲間たちの気配が同居している。英国サイケ、Ladbroke Grove周辺、Pink FairiesやHawkwindの流れに関心があると、作品の輪郭がつかみやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – The Coming Of The One (5:30)
- A2 – Ten Thousand Words In A Cardboard Box (4:30)
- A3 – Dawn Of Magic (1:44)
- A4 – Tiptoe On The Highest Hill (5:19)
- A5 – Fluid (4:08)
- B1 – Mexican Grass War (5:30)
- B2 – Rock And Roll The Joint (2:32)
- B3 – Suicide (4:26)
- B4 – Three Little Piggies (3:15)
- B5 – The Sparrow Is A Sign (2:24)
関連動画
- Twink – Think Pink ( 1970 UK Prog Rock, Psychedelic Rock ) Full Album
- Twink “Think Pink” 1970 *The Coming Of The Other One*
- Twink “Think Pink” 1970 *Ten Thousand Words In A Cardboard Box*
- Twink “Think Pink” 1970 *Dawn Of Magic*
- Twink “Think Pink” 1970 *Tiptoe On The Highest Hill*
- Twink “Think Pink” 1970 *Fluid*
- Twink “Think Pink” 1970 *Mexican Grass War*
- Twink “Think Pink” 1970 *Rock An’ Roll The Joint*
- Twink “Think Pink” 1970 *Suicide*
- Twink “Think Pink” 1970 *Three Little Piggies*
The Crusaders – Street Life (1979)
The Crusaders『Street Life』について
The Crusadersの『Street Life』は、1979年に発表された作品で、グループの名前が広く知られるきっかけになった1枚として語られることが多い。もともとジャズ・クルセイダーズとして活動を始めた彼らは、1960年代のハード・バップから、70年代にかけてソウル寄り、ファンク寄りの感触を強めていった。その流れの中で出てきたのがこの時期の『Street Life』という位置づけになる。
中心メンバーはJoe Sample、Wilton Felder、“Stix” Hooper。そこにLarry Carltonらが加わった時期のサウンドは、演奏の密度を保ちながら、リズムの前に出方がはっきりしている。ジャズの演奏力を軸にしつつ、R&Bの文脈でも聴かれる内容になっている。
作品の性格
この作品でまず挙げられるのは、代表曲「Street Life」。ゲスト・ヴォーカルのRandy Crawfordを迎えたこの曲は、The Crusadersの名前を広く押し上げたナンバーとして知られている。グループの器楽演奏だけで進む曲とは違い、歌が前面に出ることで、当時の彼らの方向性がより見えやすい。
アルバム全体としても、ソウル・ジャズの流れを持ちながら、70年代後半らしいファンクの輪郭がある。ベース、ドラム、キーボードの組み立てが明確で、そこにギターがリフを重ねる場面が多い。The Crusadersがそれ以前から積み重ねてきた演奏の精度が、そのままポピュラー音楽寄りのフォーマットに接続されている感じがある。
同時代とのつながり
The Crusadersは、同時代のジャズ・ファンクやソウル・ジャズの中でも、演奏の組み立てが比較的整理されているグループとして見られることが多い。Steely Dan、Curtis Mayfield、Joni Mitchell、Ray Charles、Van Morrisonなど、多くのアーティストのバックを務めてきた経歴もあり、単独のバンドというより、当時の録音現場全体に関わるプレイヤー集団としての存在感が大きい。
その意味で『Street Life』は、ジャズの演奏家がポップスやR&Bの現場と近い場所で鳴っていた時代の記録でもある。ジャズ・フュージョンの流れの中で、演奏の自由さよりも曲としての推進力が前に出た作品、と見ることができる。
盤について
今回の盤は1980年のUSリリース。ラベル下部の外周に「© 1980 MCA Records, Inc.」表記があり、ジャケット裏面右上に白いバーコード枠がある再発盤仕様になっている。オリジナルの作品年は1979年で、盤として手元にあるのはその翌年のリリースという整理になる。
オリジナル期の作品を、1980年仕様のUS盤で聴く形。70年代末の空気を持つ内容を、80年の再発盤で追える一枚、と言えそうだ。
まとめ
『Street Life』は、The Crusadersがジャズ・グループとしての出自を保ちながら、R&Bやファンクの現場で広く届く形へ移っていった時期を示す作品。代表曲「Street Life」とRandy Crawfordの参加は、その方向性をもっともわかりやすく伝える要素になっている。グループのキャリアを振り返るうえでも、重要な位置に置かれる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Street Life (11:18)
- A2 – My Lady (6:43)
- B1 – Rodeo Drive (High Steppin’) (4:28)
- B2 – Carnival Of The Night (6:24)
- B3 – The Hustler (5:18)
- B4 – Night Faces (5:10)
関連動画
- Crusaders – Street Life (1979) – A1 – Street Life
- Crusaders – Street Life (1979) – A2 – My Lady
- Crusaders – Street Life (1979) – B1 – Rodeo Drive (High Steppin’)
- Crusaders – Street Life (1979) – B2 – Carnival Of The Night
- Crusaders – Street Life (1979) – B3 – Carnival Of The Night
- The Crusaders & Randy Crawford Street Life Extended album version
- Crusaders – Street Life (1979) – B4 – Night Faces
Kapela Ze Wsi Warszawa – Uwodzenie / Waterduction (2020)
Kapela Ze Wsi Warszawa「Uwodzenie / Waterduction」について
Kapela Ze Wsi Warszawaは、ポーランドのフォーク・バンドとして知られるグループで、この「Uwodzenie / Waterduction」は2020年の作品として扱われるタイトルだ。リリース国もポーランドで、ジャンル表記はFolk, World, & Country、スタイルはFolk。バンド名のとおり、ワルシャワの村の音楽を思わせる土着感と、現代的な編成をあわせ持つグループとして認識されている。
この盤は2022年リリースのもの。オリジナル作品の年は2020年なので、作品そのものは2020年時点の内容として見るのが自然だ。盤としては後年に出た形になる。
作品の輪郭
収録名からもわかるように、この作品はポーランドの伝統音楽を軸にした世界観を持つ。Kapela Ze Wsi Warszawaは、民謡の旋律やリズムをベースにしながら、バンド編成で立体的に聴かせるタイプのグループで、アコースティックな響きと合奏の推進力が前に出ることが多い。クレジットされているメンバー数も多く、合奏としての厚みが作品の要点になっている印象だ。
参加メンバーは Paweł Mazurczak、Maja Kleszcz、Magdalena Sobczak、Maciej Szajkowski、Wojciech Krzak、Mariusz Dziurawiec、Sylwia Świątkowska、Piotr Gliński、Miłosz Gawryłkiewicz、Wiktoria Długosz、Anna Jakubowska、Ksenia Malec、Marcin Kozak、Małgorzata Śmiech、Ewa Wałecka、Robert Jaworski、Katarzyna Szurman。人数の多さからも、単独のシンガー中心というより、複数の演奏者が重なっていく構成が想像しやすい。
Kapela Ze Wsi Warszawaというバンドの位置
このグループは、ポーランドのフォークを現在形で扱う存在として語られることが多い。伝統音楽をそのまま保存するというより、バンドとしての演奏感を前に出しながら聴かせるスタイルで、同時代のヨーロッパ民俗音楽の流れの中でも存在感がある。ワールド・ミュージック系の文脈でも見かけることがあり、ポーランドの地方音楽を広く伝える役割も担っている。
関連サイトとしては、公式サイト http://www.kzww.pl/、http://www.warsawvillageband.net/、Facebookページ https://www.facebook.com/WarsawVillageBand/ がある。Myspaceにもアーカイブ的なページが残っている。
聴きどころとして見えやすい点
実際に触れると、こうしたバンドの作品は、旋律の反復とアンサンブルの積み重ねが軸になりやすい。メロディを細かく飾る場面、リズムを強く押し出す場面、声と楽器が近い距離で絡む場面など、フォークの基本的な要素が前面に出る形が想像しやすい。タイトルにも英語表記の Waterduction が添えられていて、作品名の見せ方にも現代的な意識がうかがえる。
2020年のオリジナル作品、2022年盤という時間差もあり、作品を追う際はこの2つの年を分けて見ると整理しやすい。オリジナルの時点での内容を軸に、のちの盤で流通したものとして捉えるのがよさそうだ。
まとめ
「Uwodzenie / Waterduction」は、Kapela Ze Wsi Warszawaらしいポーランド・フォークの文脈にある作品だ。大人数のメンバー編成、伝統音楽を土台にした合奏感、そして2020年作品としての位置づけがポイントになる。ポーランドの民俗音楽を現在のバンド表現で聴かせるグループとして、このタイトルもその流れの中に置いて理解しやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Uroda
- A2 – Oracja Do Wody
- A3 – Spławiany
- A4 – Uwodzenie
- A5 – Potopielka
- B1 – Chasydzki Z Urzecza
- B2 – Rzeceńka
- B3 – Krępiański
- B4 – Kołyska
関連動画
Sally Oldfield – Playing In The Flame (1981)
Sally Oldfield「Playing In The Flame」について
「Playing In The Flame」は、Sally Oldfieldが1981年にUKで発表したアルバムです。ジャンルとしてはRockとPopにまたがり、スタイル面ではDowntempo、Pop Rock、Synth-popの要素が並ぶ作品として位置づけられています。Sally Oldfieldは、Mike Oldfieldの姉としても知られるUK出身のシンガーで、この時期にはソロ作を通じて自分の歌声と楽曲の輪郭をはっきり打ち出していった流れの中にある作品です。
作品の位置づけ
1981年という年代を考えると、アコースティック寄りのフォーク的な感触よりも、当時のポップ・ロックやシンセを使ったサウンドの空気が前に出やすい時期です。Sally Oldfieldの作品群の中でも、ソロ・アーティストとしての表現を、同時代の英国ポップスの文脈に置いて聴ける1枚といえます。妹や弟という家族関係で語られがちなアーティストですが、この作品ではそうした話題だけでなく、ひとりの歌い手としての存在感が中心にある印象です。
盤の仕様
このUK盤にはプリント入りのインナー・スリーブが付属しています。発売当時のパッケージとして、作品の世界観をそのまま補強する要素のひとつです。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲ごとにリズムの置き方や鍵盤の使い方が変わり、歌を支えるアレンジの設計がはっきりしているタイプのアルバムとして受け取れます。派手な押し出しだけで引っ張るのではなく、声と曲の流れを軸にまとめていく作りで、1980年代初頭の英国ポップ・ロックらしい整理された響きが見えます。シンセの使い方も、装飾というより曲の骨格に関わる役割として機能しているように聴こえます。
同時代の文脈
同じ時期のUKでは、ポップ・ロックとシンセ・ポップの境目をまたぐ作品が多く出ていました。「Playing In The Flame」もそうした流れの中で理解しやすいアルバムです。フォーク由来の繊細さを持ちながら、80年代的な音像へ寄せていく感覚は、同時代の英国女性シンガー・ソングライターの作品とも並べて語られやすい部分です。
アーティストについて
Sally Oldfieldは1947年にダブリンで生まれ、幼少期をイングランドのReadingで過ごしています。バレエやクラシック・ピアノの学習歴を持ち、音楽活動は1960年代後半にMike Oldfieldとのデモ録音から始まりました。その後、兄MikeとともにThe Sallyangieを結成し、1968年にはアルバム「Children of the Sun」を録音しています。そうした背景を踏まえると、「Playing In The Flame」は、彼女がソロの表現を継続しながら、より洗練されたポップ寄りの形に向かっていた時期の記録として見えてきます。
まとめ
「Playing In The Flame」は、1981年のUKポップ・ロックの空気をまといながら、Sally Oldfieldの歌と楽曲の作りを確認しやすいアルバムです。Mike Oldfieldの家族という文脈だけでなく、ソロ作品としてのまとまりを持った1枚として、1980年代初頭の英国作品らしい手触りが残ります。
トラックリスト
- A1 – Playing In The Flame (5:03)
- A2 – Love Of A Lifetime (4:08)
- A3 – River Of My Childhood (3:57)
- A4 – Let It All Go (2:55)
- A5 – Song Of The Lamp (3:16)
- B1 – Rare Lightning (4:45)
- B2 – Man Child (3:57)
- B3 – It’s A Long Time (3:35)
- B4 – Song Of The Being (4:41)
関連動画
James Carr – A Man Needs A Woman (1968)
James Carr『A Man Needs A Woman』について
James Carrが1968年に発表したアルバム『A Man Needs A Woman』。USのRhythm & Blues/Soulシンガーとして知られるCarrの作品の中でも、60年代後半のGoldwax時代を代表する一枚として位置づけられる作品だ。タイトルからもわかる通り、歌そのものを前面に出した構成で、ソウル・シンガーとしての持ち味がまとまった内容になっている。
James Carrという歌い手
James Carrは1942年、ミシシッピ州コアホーマ生まれ。メンフィスでゴスペルや教会音楽に触れながら歌い始め、1960年代半ばにGoldwax Recordsで録音を重ねた。R&Bチャートに初めて入ったのは1966年の”You’ve Got My Mind Messed Up”で、その後ではDan PennとChips Momanが書いた”The Dark End of the Street”が特に知られている。
この『A Man Needs A Woman』は、そうした代表曲で注目を集めた時期の延長線上にある作品。Goldwaxのカタログの中でも、Carrの声を中心に据えたソウル・アルバムとして聴かれることが多い。
作品の位置づけ
1968年という時期は、メンフィス・ソウルやサザン・ソウルの流れが強く感じられる時代。James Carrもその文脈の中にいる歌い手で、同時代のシンガーと並べると、Otis ReddingやWilson Pickettのような強い歌声の系譜、あるいは同じくメンフィス周辺のソウル・シーンとつながる存在として見えてくる。
一方でCarrは、派手なパフォーマンスよりも、曲の中で感情を積み上げていくタイプの歌い手として語られることが多い。『A Man Needs A Woman』も、その持ち味を軸にしたアルバムとして受け取られている。
収録曲とクレジット
本作は全曲に出版社クレジットが付いており、複数のソングライター/出版社の楽曲で構成されている。A1、A2、A4、A5、A6、B5はRise Music Co. – Aim Music、A3はEarl Barton Music, Inc.、B1はWilderness Music Pub. Co., Inc、B2はZann Music, Inc.、B3はPresto Music Pub. Co.、B4はIl Gatto Music, Inc.の管理曲となっている。
ジャケット・デザインはForlenza Venosa Associatesによるもの。US盤として1968年に出たオリジナル・リリースで、当時のソウル盤らしい編集と見せ方が意識された一枚といえる。
聴きどころ
James Carrの作品は、声の強さだけで押すというより、フレーズの置き方や言葉の運びで曲の温度を上げていくところに特徴がある。このアルバムでも、その歌い回しが中心になるはずだ。特に”The Dark End of the Street”で知られるような、切迫感のある表現を期待して聴くと、Carrらしさが見えやすい。
60年代のソウル盤らしく、歌とバンドの関係が近い手触りもこの時代ならでは。メンフィスの空気を感じるタイプのソウルとして、Goldwax周辺の作品群と合わせて見ると、当時のシーンの輪郭がつかみやすい。
まとめ
『A Man Needs A Woman』は、James Carrのソウル・シンガーとしての立ち位置をそのまま示す1968年作。代表曲”The Dark End of the Street”で知られる彼の、60年代メンフィス・ソウルの流れの中での姿が見えるアルバムだ。派手な演出よりも、歌そのものを軸にした一枚として記憶される作品といえる。
トラックリスト
- A1 – A Man Needs A Woman (2:38)
- A2 – Stronger Than Love (2:24)
- A3 – More Love (2:36)
- A4 – You Didn’t Know It But You Had Me (1:50)
- A5 – A Woman Is A Man’s Best Friend (3:25)
- A6 – I’m A Fool For You (1:54)
- B1 – Life Turned Her That Way (2:29)
- B2 – Gonna Send You Back To Georgia (2:10)
- B3 – The Dark End Of The Street (2:20)
- B4 – Sowed Love And Reaped A Heartache (2:20)
- B5 – You’ve Got My Mind Messed Up (2:20)
関連動画
Gal Costa – Legal (1970)
Gal Costa『Legal』について
Gal Costaの『Legal』は、ブラジルの音楽シーンを代表する女性歌手による作品で、オリジナルは1970年のリリース。ここで扱う盤は1983年リリースのブラジル盤で、70年代初頭の空気をまとった内容を、80年代のプレスで聴ける一枚となっている。
Gal Costaという歌手
Gal Costaは1945年、ブラジルのサルヴァドール生まれの人気歌手。MPBを軸にしながら、ソウルやラテンの感触も取り込んだ歌唱で知られ、トロピカリア周辺の文脈でも重要な存在として語られてきた。2022年に亡くなっている。
作品の位置づけ
『Legal』は、Gal Costaのキャリア初期から中期にかけての流れを考えるうえで見逃せないタイトル。70年前後のブラジル音楽は、MPB、サンバ、ロック、ソウル、ラテンの要素が交差していた時期で、この作品もその広がりの中に置かれる一枚といえる。Caetano VelosoやGilberto Gil、Maria Bethâniaら同時代のブラジル音楽家たちと並べて語られることも多い流れ。
サウンドの印象
ジャンル表記はJazz、Latin、Funk / Soul、スタイルはMPB、Soul。Gal Costaの作品らしく、歌が中心にありながら、リズムの置き方や編曲の感触に当時のブラジル音楽らしい柔らかさと推進力がある。ソウル寄りの質感を持ちながらも、あくまでMPBの歌ものとしてまとまっているところが、この時代のGalらしいポイント。
実際に聴くと、声の輪郭が前に出てくる場面と、伴奏にすっと溶ける場面の切り替えが自然で、曲ごとの温度差も見えやすい。ブラジル音楽の中でも、ジャズ的な和声感、ラテンのリズム、ファンク寄りのノリが同じ空間に並ぶ感触がある。
1983年盤について
この盤は1983年のブラジル盤。センターラベルには℗1982、ランアウトには℗1983の表記がある。オリジナルの1970年盤とは年代が離れているため、手元の個体としては後年のプレスという位置づけになる。ブラジル盤らしい再発の文脈で、当時の作品を改めて聴ける仕様になっている。
ひとこと
『Legal』は、Gal Costaの歌そのものと、70年代ブラジル音楽の混ざり合いを確認できるタイトル。ヒット曲や代表曲として単独で大きく語られるというより、アルバム全体の流れの中でGalの持ち味が見えるタイプの作品として受け取れそうだ。
トラックリスト
- A1 – Eu Sou Terrível (2:30)
- A2 – Língua Do P (3:40)
- A3 – Love, Try And Die (2:23)
- A4 – Mini-Mistério (4:16)
- A5 – Acauã (2:49)
- B1 – Hotel Das Estrêlas (4:22)
- B2 – Deixa Sangrar (2:53)
- B3 – The Archaic Lonely Star Blues (3:03)
- B4 – London, London (4:00)
- B5 – Falsa Baiana (2:11)
関連動画
Le Pamplemousse – Le Pamplemousse (1976)
Le Pamplemousse / Le Pamplemousse (1976)
Le Pamplemousseは、Laurin RinderとW. Michael LewisによるUSのユニットで、このアルバムは1976年にリリースされた同名作品。ジャンルはFunk / Soul、スタイルはDiscoに位置づけられる一枚で、70年代半ばのダンスミュージックらしい空気をまとっている。
作品の輪郭
録音はカリフォルニア州ハリウッドのProducer’s Workshopで行われ、AVI Recordsから発表された。フランスのCompagnie Phonographique Francaise Barclayとの共同制作クレジットも記されていて、US発のディスコ作品でありながら、当時の国際的な流通や制作の広がりも感じさせる内容になっている。
クレジット面では、A1、A4、A2、B1、A3、A5、B2、B5、A6、B3、B4と各曲ごとに出版社が細かく割り振られており、制作物としてきっちり管理されたアルバムという印象が強い。1976年という年は、ディスコがクラブやラジオを通じて広がっていく時期でもあり、この作品もその流れの中に置きやすい。
サウンドの印象
実際に聴くと、リズムの押し出しがはっきりしていて、ベースとドラムの反復が曲を前へ進めるタイプの作り。ファンク由来のうねりを残しつつ、ディスコらしい一定の推進力を保っているのが分かりやすい。派手に展開を変えるというより、ダンスフロアでの持続を意識した組み立てが中心で、曲の流れそのものがまとまりを作っている。
70年代ディスコの中でも、オーケストラを前面に出すタイプというよりは、リズム・セクションを軸にしたストレートな感触がある。Salsoul系や、その周辺のファンク/ディスコ作品と並べて聴かれることがあるのも、こうした骨格の近さによるものだろう。
アーティストとしての位置づけ
Le Pamplemousseは、この名義自体がまず1976年のこの作品と結びついて語られることが多い。Laurin RinderとW. Michael Lewisの制作感覚が前面に出たプロジェクトとして、70年代ディスコの一断面を示す存在と見てよさそうだ。
代表曲としては、このアルバムから知られる曲が各種コンピレーションやDJ文脈で扱われることがあるが、作品全体としては1曲だけでなく、アルバム単位でリズムの流れを楽しむ性格が強い。タイトル曲の存在感もあり、アルバムの顔として機能している。
同時代との関係
1976年のUSディスコは、ニューヨークやフィラデルフィアだけでなく、西海岸でも独自の作りが見られた時期。Le Pamplemousseは、その中でファンクの硬さとディスコの反復性をつないだ作品として捉えやすい。派手な歌唱で押すタイプとは少し違い、演奏とグルーヴの組み立てで聴かせるところに特徴がある。
70年代後半のダンスミュージックの入口として、当時のスタジオ制作の質感や、クラブ向けの曲作りをそのまま感じられる一枚。1976年の空気をそのまま閉じ込めたアルバムとして、記録性の高い内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Manha De Carnival (3:48)
- A2 – Gimmie What You Got (5:23)
- A3 – Beginning Of The End (3:38)
- A4 – Poinciana (3:20)
- A5 – Gitcha Down (3:24)
- A6 – Soular Street (2:36)
- B1 – El Diablo Dorado (4:21)
- B2 – Love To Michelle (2:33)
- B3 – A Man And A Woman (3:25)
- B4 – Song Of The Jet (Samba Do Aviao) (3:10)
- B5 – After The Carafe (3:13)
関連動画
Wigwam – Lucky Golden Stripes And Starpose (1976)
Wigwam『Lucky Golden Stripes And Starpose』(1976)
フィンランドのプログレッシブ・ロック・バンド、Wigwamが1976年に発表した作品。
アートロックとプログレッシブ・ロックの要素を軸にした、バンド後期の一枚として位置づけられるアルバムである。
Wigwamは1968年結成のフィンランドのバンドで、同国のロック史では重要な存在として知られている。
この時期の編成には、Jim Pembroke、Jukka Gustavson、Pekka Pohjola、Pekka Rechardt、Måns Groundstroem、Esa Kotilainen、Pave Maijanenら、フィンランドのロック/ジャズ系シーンでも名前の挙がるメンバーが並ぶ。
演奏面の情報だけ見ても、キーボード、ギター、ベース、ドラムに加えて複数の参加者が関わる構成で、バンドの作り込みの強さがうかがえる。
作品の位置づけ
1976年作ということで、Wigwamのキャリアの中でも70年代中盤の流れにあるアルバム。
前作までの流れを受けつつ、英国のVirginからも流通した作品で、フィンランド国内ではLove Records盤、国外ではVirgin盤として出回った。
同じタイトルでも、Love盤とVirgin盤ではカバーアートが異なる点が特徴になっている。
オリジナル盤の仕様としては、エンボス加工の単独ジャケットに、大きく折りたたまれた歌詞インサート/ポスターが付属する形。
Virgin盤は6面折りの歌詞ポスター、Love盤は歌詞と写真ディスコグラフィー入りのインナーが付く構成で、装丁面でも資料性のある一枚になっている。
サウンドの印象
内容は、ロックを基調にしながら、プログレッシブ・ロックらしい展開とアレンジの組み込みが目立つタイプ。
Wigwamは、同時代の英国プログレに接続しながらも、単純に英国勢の模倣に収まらないところが持ち味で、HawkwindやJethro Tullのような直線的な比較よりは、よりメロディと構成を詰めたバンドとして語られることが多い。
この作品でも、演奏の密度、キーボードの配置、曲の組み立てにその傾向が出ている。
実際に聴くと、派手さだけで押すよりも、各パートの受け渡しや曲中の切り替えで聴かせる場面が多い。
Jim Pembrokeのヴォーカルを軸にしながら、Pekka PohjolaやPekka Rechardt、Esa Kotilainenらの個性が曲の輪郭を作る流れ。
フィンランドのバンドらしい湿度のある空気感と、英国プログレ由来の構成感が同居している印象である。
時代背景と比較
1976年は、プログレッシブ・ロックが70年代前半のピークから少し形を変えていく時期。
その中でWigwamは、過度に大仰になりすぎず、アートロック寄りの整理された感覚と、プログレの長い流れを両立させている。
Genesis、Yes、King Crimsonといった英国勢の文脈に置かれやすい一方で、北欧圏ならではの落ち着いた組み立てが目立つグループでもある。
まとめ
『Lucky Golden Stripes And Starpose』は、Wigwamの70年代中盤を代表する一枚として見やすい作品。
ロック、アートロック、プログレッシブ・ロックの要素が、演奏力と構成力の両方でまとめられている。
盤の仕様も含めて、当時の英国流通盤とフィンランド盤の違いが残る、記録性の高いアルバムである。
トラックリスト
- A1 – Sane Again
- A2 – International Disaster
- A3 – Timedance
- A4 – Colossus
- A5 – Eddie And The Boys
- B1 – Lucky Golden Stripes And Starpose
- B2 – June Maybe Too Late
- B3 – Never Turn You In
- B4 – In A Nutshell
関連動画
The Roys – Kicked Off The Train (1986)
The Roys「Kicked Off The Train」について
The Roysの「Kicked Off The Train」は、UKのバンド、The Roysの1986年にリリースされた作品。盤も同年のもので、1986年という時代の空気をそのまま閉じ込めた一枚として見てよさそうだ。スタイルはソフトロック寄りで、ロックの中でも耳当たりのよさや歌の流れが前に出るタイプの作品として捉えやすい。ブリティッシュ・ロックシーンに襲いかかるアメリカン・インディの新鋭らしい。どっちなんだ。
作品の印象
タイトルから受ける勢いに対して、内容はソフトロックらしい聴きやすさが軸になっている印象だ。硬さ一辺倒ではなく、メロディや曲の運びを重視したつくりが想像しやすい。1980年代半ばの日本盤ロックとして見ると、過度に派手さへ寄せるというより、曲そのものをしっかり聴かせる方向の作品群の中に置けるかもしれない。
実際に聴いた人の感覚としては、音の輪郭が比較的はっきりしていて、ボーカルと演奏のバランスを追いやすいタイプに受け取られることが多そうだ。ソフトロックの文脈では、強いビートで押し切るよりも、コード感やサビの抜け方で印象を残す作りが見どころになりやすい。
1986年の位置づけ
1986年は、ロックの中でもAORやポップスとの距離感が近い作品が目立つ時期でもある。この「Kicked Off The Train」も、その時代らしい整った音作りの中で、ロックの骨格とソフトロックの聴きやすさが同居する一枚として見ると、輪郭がつかみやすい。
The Roysについては詳しいプロフィール情報が見当たらないが、少なくともこの作品では、タイトル曲を含めて作品単位でのまとまりが意識された可能性がある。アルバム全体で流れを聴かせるタイプなら、1曲単位の派手さよりも、通して聴いた時の連続性が印象に残りやすい。
曲やヒット曲について
現時点では、この作品の中で特に広く知られた代表曲やヒット曲として断定できるものは確認しにくい。とはいえ、タイトル曲「Kicked Off The Train」は作品名を背負っているぶん、アルバムの軸になっている可能性が高い。こうした作品では、タイトル曲にバンドの方向性や当時のサウンド感が集まりやすい。
盤について
この盤は1986年の日本盤として流通したもの。見本盤としての記録があるため、一般流通盤とは扱いが少し異なる可能性があるが、作品そのものは1986年当時のリリースとして受け取れる。
トラックリスト
- A1 – Kicked Off The Train
- A2 – Little Nam
- A3 – Hard Time
- A4 – Mediacs
- A5 – Serious
- B1 – Dog Day
- B2 – Rise Up Youth
- B3 – Don’t Go With Strangers
- B4 – Cabbage Town
- B5 – Who Shot That Man