Peter Gabriel – I/O (Dark-Side Mixes) (2023)
Peter Gabriel『I/O (Dark-Side Mixes)』について
Peter Gabrielの『I/O (Dark-Side Mixes)』は、2023年に登場した通算10作目のスタジオ・アルバム『i/o』の「Dark-Side Mixes」版。ロック、ポップを軸にしながら、Art RockやPop Rockの要素を前面に出した作品で、全12曲を収めた大作になっている。
Peter Gabrielは、Genesisの元フロントマンとして知られる英シンガー/ソングライター/マルチ・インストゥルメンタリスト。ソロ転向後は、オリジナル作の間隔が長くなる時期もありつつ、アルバム単位で強い存在感を保ってきた。本作は、2002年の『Up』以来となる新作オリジナル・アルバムで、ソロ名義のスタジオ作としてはかなり久しぶりの一枚という位置づけになる。
作品の構成
『I/O』は、各曲に「Bright-Side Mix」と「Dark-Side Mix」の2種類のミックスが用意されているのが大きな特徴だ。この『Dark-Side Mixes』は、そのうちのダーク側にあたるミックスをまとめた内容。アルバム全体としては68分を超え、Peter Gabrielのオリジナル・スタジオ作の中でも最長クラスのボリュームになっている。
曲数は12曲。単なる新曲集というより、同じ楽曲を別の角度から聴かせる構成で、ミックス違いを聴き比べる楽しみがあるタイプの作品だ。
Peter Gabrielにとっての位置づけ
本作は、長い制作期間を経て完成した新作であり、Peter Gabrielのキャリアの中でも節目感のあるアルバムだ。Genesis脱退後のソロ活動、ワールド・ミュージックの文脈ともつながる活動、そしてアルバム制作に時間をかける姿勢。その延長線上にある作品として見ると、かなり自然に受け止められる。
また、Peter GabrielはWOMADの創設者としても知られていて、音楽の広がり方そのものに関心を持ち続けてきた人物でもある。『I/O』でも、そうした制作へのこだわりがアルバム全体の設計に表れているように見える。
サウンドの印象
『Dark-Side Mixes』というタイトルどおり、音の輪郭や空気感に重心を置いた聴こえ方になっている。ロックの骨格を保ちながらも、音の配置や質感をじっくり追うタイプのミックスで、曲ごとの細部が見えやすい構成だ。
実際に聴くと、派手な即効性よりも、じわじわと曲の輪郭が立ち上がってくる感触がある。Peter Gabrielらしい緻密なアレンジの積み重ねが前に出る作りで、同じ楽曲でもミックスによって印象が変わるのがわかりやすい。
同時代・ジャンルの文脈
Art RockやPop Rockの文脈で見ると、70年代から続くプログレ寄りの構成感と、80年代以降の洗練されたポップ感覚、その両方をまたぐ立ち位置の作品と言える。Genesis周辺の系譜を思わせつつ、ソロ期のPeter Gabrielが積み上げてきた実験性や音響志向も感じられる。
同時代の大物ロック・アーティストが新作を出す際の「懐かしさ」に寄りすぎない作りとは少し違って、Peter Gabrielの場合はアルバムそのものを作品として組み上げる姿勢が強い。そうした意味で、単発の楽曲集というより、1枚通して聴く前提の構成になっている。
まとめ
『I/O (Dark-Side Mixes)』は、Peter Gabrielの長いキャリアの中でも、かなり重要な新作オリジナル・アルバム『i/o』のダーク側ミックス版。12曲それぞれを別の質感で聴かせる構成が特徴で、久々の新作であること自体も含めて、ソロ活動の節目を示す内容になっている。
トラックリスト
- A1 Panopticom (5:16)
- A2 Playing For Time (6:17)
- A3 The Court (4:21)
- B1 Four Kinds Of Horses (6:47)
- B2 I/O (3:52)
- B3 Love Can Heal (5:59)
- C1 Road To Joy (5:21)
- C2 So Much (4:51)
- C3 Olive Tree (5:58)
- D1 This Is Home (5:04)
- D2 And Still (7:42)
- D3 Live And Let Live (7:11)