Cabaret Voltaire – The Voice Of America (1981)

Cabaret Voltaire「The Voice Of America」
Cabaret Voltaireの「The Voice Of America」は、シェフィールド出身のこのグループが、ニュー・ウェイヴ、インダストリアル、実験電子音楽の要素を前面に出していた時期の作品です。1980年作として知られる一枚で、のちのエレクトロニック・ミュージックの流れを先取りするような、硬質で攻撃的な音作りが印象に残ります。
作品の輪郭
Cabaret Voltaireは、もともとダダ的なパフォーマンス性と音響実験を出発点にしたグループです。この作品でも、その背景ははっきりしています。ビートは機械的で、反復が強く、ドラムやベースの動きも単純なロックの枠には収まりません。ノイズや加工音、テープ処理を思わせる質感が前に出ていて、録音全体にもざらついた空気がまとわりついています。
音の組み立ては、ダンスミュージックの推進力と、インダストリアルらしい冷たさのあいだを行き来する感じです。メロディを強く押し出すというより、リズムの圧力、音の断片、空間の詰まり具合で聴かせるタイプの作り。シンセやエフェクトの使い方にも、実験音楽寄りの感触があります。
Cabaret Voltaireの中での位置づけ
Cabaret Voltaireは1970年代から活動し、初期の実験性を保ちながら、のちにはポップ、ダンス、テクノ、ダブ、ハウスへと接続していきます。その流れの中で「The Voice Of America」は、初期のインダストリアル・サウンドを代表する時期の作品として位置づけられる一枚です。後年のより開いたダンス志向の作品と比べると、こちらはまだ緊張感の強い時代性が濃い印象です。
同時代のイギリスのアンダーグラウンドでは、ポスト・パンク以降の実験性と、機械的なビートへの関心が少しずつ広がっていました。その文脈の中で、この作品は、ロックの編成を使いながら電子音楽的な感覚を押し出していく流れの一例として捉えやすいです。
日本盤としての見どころ
こちらは日本リリースの盤。Cabaret Voltaireの初期重要作として、国内でどう受け止められていたかを含めて、当時のエレクトロニック/インダストリアルの空気を感じられるタイトルです。荒い質感と反復の強さ、そして録音の冷えた雰囲気が、この時期のCabaret Voltaireらしさをよく示しています。
- アーティスト: Cabaret Voltaire
- タイトル: The Voice Of America
- オリジナル作品年: 1980年
- リリース国: Japan
- ジャンル: Electronic
- スタイル: New Wave, Industrial, Experimental
初期Cabaret Voltaireの、音の切り貼り感と機械的な推進力がまとまって見える作品です。
トラックリスト
- A1 The Voice Of America / Damage Is Done
- A2 Partially Submerged
- A3 Kneel The Boss
- A4 Premonition
- B1 This Is Entertainment
- B2 If The Shadows Could March? /1974
- B3 Stay Out Of It
- B4 Obsession
- B5 News From Nowhere
- B6 Messages Received