Brèche – Carapace Et Chair Tendre (1979)

Brèche『Carapace Et Chair Tendre』について
『Carapace Et Chair Tendre』は、カナダ・ケベック州シェルブルック周辺のフォークロック・バンド、Brècheが1979年に発表した作品。メンバーはJacques Joubert、Marc Bolduc、Daniel Roussel、Paul Bolducの4人で、フォークを軸にしながら、クラシック、ジャズ、プログレッシブ・ロックの要素も取り込んでいたグループとして知られている。
このバンドはもともとBolducという名前で活動を始め、ケベック各地の出身メンバーが集まって結成された。1976年ごろから活動を始め、2年ほどケベック州内を回りながら演奏と作曲を重ねたのち、1978年にBrècheへ改名している。バンド名は、自分たちの音楽が時代の流れに「裂け目」を入れるようなものだと感じたことに由来するという。
作品の位置づけ
本作はBrècheにとって唯一のアルバム。1979年夏にカナダでリリースされている。地域のトラッド・フォーク系フェスティバルでも演奏していた一方で、音楽の中身はフォークだけに収まらない構成で、プログレ寄りの感触も持っていた点が特徴として挙げられる。
ケベック州では入手しやすい作品ではなく、また出演機会との相性も含めて十分な露出につながらなかったようで、Brècheは広く知られる前に埋もれた存在になっている。1979年10月以降の活動記録が見えなくなっており、1980年初頭には活動を終えたとみられる流れ。
サウンドの印象
サウンドは、アコースティックな手触りを土台にしたフォークロック路線。リズムは素朴さを保ちながらも、楽曲の組み立てにはプログレッシブ・ロック由来の展開が見えるタイプと受け取れる。録音も、派手に作り込むというより、演奏の輪郭をそのまま置いたような質感。
ジャンル表記としてはRock、Folk、World、& Countryにまたがり、スタイルはFolk Rock。ケベックのトラッド/フォークの文脈にいながら、そこから少し外れたところを狙ったアルバム、という見え方がしやすい一枚。
同時代の文脈
1970年代後半のケベック周辺では、フォークやトラッドの流れと、より実験的なロックの感覚が並走していた。Brècheもその交差点にいたグループのひとつで、伝統音楽の場に出ながら、音の作りはプログレ寄りという立ち位置。そうした意味で、同時代のカナダ産フォークロックやケベックのロック史の中でも、少し横道にある存在として見えてくる。
ひとことで
ケベック発のフォークロックを軸に、クラシック、ジャズ、プログレの気配を織り込んだBrècheの唯一作。1979年という時代と、地域の音楽シーンの間で生まれた、記録としても興味深いアルバム。
トラックリスト
- A1 L’hymne (3:31)
- A2 Marianne (3:39)
- A3 La Légende De Jos Kébék (4:56)
- A4 Vent Du Midi (6:15)
- B1 La Fuite (4:06)
- B2 De Justesse (4:56)
- B3 Grandir (6:38)
- B4 Les P’tites Cuillers (3:10)