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The Move – (Shines On) (1979)

60年代ロンドンのモッズ〜サイケデリック・シーンを過激なパフォーマンスと極上のポップ・センスで駆け抜けたバーミンガム出身の名バンド、ザ・ムーヴ(The Move)。鬼才ロイ・ウッド(Roy Wood)に加え、アイドル・レース(The Idle Race)から若き天才ジェフ・リン(Jeff Lynne)が合流した1970年代初頭の彼らは、やがて世界を席巻するエレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)とウィザード(Wizzard)へと枝分かれしていく「前夜」の最も濃密な奇跡の時間を生きていた。1979年に英Harvestの名門アーカイヴ・シリーズ「Harvest Heritage」よりリリースされた本作『(Shines On)』は、その黄金のハーヴェスト期(1971〜72年)をコリン・マイルズが見事に編纂した決定打的コンピレーションである。

ロイ・ウッドとジェフ・リン:二人の天才がスパークしたハーヴェスト期

オリジナル・ヴォーカリストのカール・ウェイン脱退後、ロイ・ウッドが長年熱望していたジェフ・リンをバンドに迎え入れたことで、ムーヴのソングライティングは究極の化学反応を起こした。ビートルズ後期の重厚なポップ・センスを愛する二人は、スタジオで互いの才能を競い合い、ラスト・アルバム『Message From The Country』をはじめとする驚異的な楽曲群を次々と生み出していった。

マルチ弦楽器奏者としてのロイ・ウッドの過剰なまでの音響実験(ファズ・ベース、サックス、バグパイプ、チェロ)と、ジェフ・リンの卓越したメロディ・センスとタイトなリフ。ベヴ・ベヴァンの重戦車ドラムに乗せて放たれるそのサウンドは、パワー・ポップの元祖でありながら、70年代グラム・ロックやハード・ロックのダイナミズムを先取りしていた。

チープ・トリックが崇拝した「California Man」と、ELOの原型「Do Ya」

本作のハイライトは、ロック史に永遠に刻まれる名曲のオリジナル・テイクが惜しげもなく並んでいる点だ。ジェフ・リンがペンを執り、豪快なギターリフとキャッチーなコーラスで押し切る「Do Ya」は、のちにELO自らがセルフカヴァーして全米大ヒットを記録するハード・ポップの金字塔である。

さらに、50sロックンロールの狂騒をヘヴィなグラム・サウンドで甦らせたロイ・ウッド作の「California Man」は、チープ・トリックが名盤『天国の罠(Heaven Tonight)』でカヴァーし世界的なアンセムとなったことで有名だ。痛快なシングル・ヒット「Tonight」や「Chinatown」、そしてビートルズへの熱烈なオマージュが溢れる「Message From The Country」など、全14曲すべてが濃厚なフックに満ち溢れている。

ポップ・ミュージック史の大きなうねりを刻んだ、奇跡の過渡期

本作に収録された音源を録音していたまさにその同じスタジオの片隅で、彼らは「ロックにチェロとバイオリンを持ち込む」という実験を開始し、それがそのままELOのデビュー作へと結実していった。ザ・ムーヴの終焉であり、同時に巨大な70年代ロック絵巻の始まりを告げたこの時代。アナログ盤の分厚いカッティングで鳴り響くギターとコーラスの塊は、今聴いても圧倒的な祝祭感と興奮をもたらしてくれる。

トラックリスト

  • A1 - Message From The Country (4:44)
  • A2 - Ella James (3:13)
  • A3 - No Time (3:39)
  • A4 - Don't Mess Me Up (3:10)
  • A5 - Until Your Moma's Gone (5:01)
  • A6 - Do Ya (4:00)
  • A7 - Chinatown (3:06)
  • B1 - It Wasn't My Idea To Dance (5:28)
  • B2 - The Minister (4:26)
  • B3 - Ben Crawley Steel Company (3:03)
  • B4 - The Words Of Aaron (5:23)
  • B5 - My Marge (2:00)
  • B6 - Tonight (3:16)
  • B7 - California Man (3:34)
2026.05.02
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